JP4593023B2 - 多層膜の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、多層膜の製造方法に係り、特に、コンデンサの電子部品に用いられる誘電体層と金属薄膜層とで構成される積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品に対する小型化、高性能化に対する要求はますます厳しさを増す一方であり、コンデンサに対しても例外ではない。コンデンサの容量は、誘電体の誘電率が同一であれば、誘電体の両側の対向する電極面積に比例し、誘電体層の厚みに反比例する。従って、コンデンサを小型化しつつ、その容量を維持もしくは増大させるためには、誘電体層の厚みを薄くし、また、容量発生部分の有効面積を増大させることが有効な手段である。
【0003】
誘電体層と金属薄膜とからなる積層体を用いた電子部品としては、フイルムコンデンサ用の積層体が知られている。このように積層体は一般に、PEN、PET等のポリエステル、PP等のポリオレフィン、PPS等の樹脂フイルムに、アルミニウム等の金属薄膜を真空蒸着法、スパッタ等で積層した金属化フイルムを、積層または巻回してなるものである。
【0004】
しかしながら、樹脂フイルムの厚みには、その製造工程上、もしくはその後のフイルムの利便性、加工性等の制約から、限界がある。現在使用されているフイルムコンデンサ用のフイルム厚みはせいぜい1.2μm程度までであり、コンデンサの容量をさらに増大させるためには、容量発生部分の有効面積を増大させること、即ち、積層又は巻回数を増大させる必要がある。しかしながら、これはコンデンサの小型化の要求に反し、小型化と高容量化との両立は限界に達しているのが現状である。
【0005】
一方、上述する積層体の製造方法とは別の方法により、誘電体層の厚みを1μm程度で製造するコンデンサ用積層体が提案されている(U.S.P.5,125,138号特許明細書および図面)。当該発明によると、従来の積層型フイルムコンデンサ用積層体と同様に、誘電体樹脂層と金属薄膜層とを順次積層することで積層構造を形成するものであり、これを1000層程度以上積層することで、厚さ数mm程度となるようにしたものである。
【0006】
従来このような積層構造の製造に際しては、図5に一例を示すように、メインチャンバーを構成する真空槽5の排気系として、20K以下の温度に冷却された大口径のクライオポンプ11のみを使用して真空排気し積層体を形成している。
【0007】
しかしながら、クライオポンプ内の冷却パネルに樹脂成分が固体状で吸着したり、活性炭へ取り込まれた樹脂成分ガスが再生処理をしても活性化せずメンテナンスに多くの時間を有していた。さらに、メンテナンス後の安定した排気能力を維持する時間が短く、頻繁にメンテナンスをする必要があった。
【0008】
また、真空槽5の排気能力の経時的な低下のため、誘電体の表面処理ユニット9等の内部圧力が上昇し、プロセス条件が変化して、製品特性歩留りが変動することもあった。そして、真空槽5の排気系に取り組まれた酸素ガスがクライオポンプ6内に固体状または液化した状態で再生処理を行うと、密閉空間での酸素濃度の向上により、安全上のトラブルも発生する可能性があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述する誘電体層と金属層を順次積層することで積層体を製造する方法では、同一の真空槽内で、誘電体形成や金属層形成等を繰り返して行う必要がある。この場合、積層体を支持し、非成膜部材からなる回転体を有する真空槽と誘電体形成やその表面処理、金属層形成やそのパターニング工程等の各処理を実施するユニットが繋がっているため、真空槽の排気系と各処理ユニットの排気系の排気力のバランスにより処理圧力が変動する。また、積層体のサイズが大きくなると、その生産性を向上させる必要が生じる。そのため、積層体支持の回転体のサイズが必然的に大きくなり、真空槽の容量が大きくなる。そのため、排気時間の短縮をはかるべく、水分の排気能力が大きい、クライオ(極低温)ポンプを真空槽の排気系として使用している。
【0010】
クライオポンプは極低温冷却パネルなどの極低温冷却手段を具え、排気ガスをトラップし易くし、排気能力の高効率化をはかるものである。
【0011】
この場合、誘電体材料の成分および、成膜やエッチングなどの表面処理工程で使用するガス等の成分が各処理ユニットの排気系だけでは完全に排気することが難しく、真空槽の排気系に拡散する可能性がある。その結果、拡散したガス成分等はクライオポンプの冷却パネル等に吸着されることで、排気能力が低下し、メンテナンス性も低下するという課題を有している。
【0012】
さらに、排気系のバランスが変化し、各処理ユニットの処理圧力が変化してしまうというプロセス安定上の問題があった。また、クライオポンプの再生時に吸着した種々の材料やガス成分がポンプ内に高濃度で存在する危険もあり、装置の安定稼動の上でも課題があった。
【0013】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、水分の排気能力はある程度確保しながら、拡散したガス成分等は吸着されずに常時排気するようにし、大排気容量による排気時間の低減を実現しつつ、排気能力の長期確保によるメンテナンス頻度の低減をはかり、処理圧力の安定化および設備の安定稼動を実現し、信頼性の高い多層膜を提供することが可能な多層膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、本発明では、少なくとも真空槽の排気系として、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプを用いるようにしたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、同一真空槽で、誘電体を形成する工程と、誘電体の表面を処理する工程と、金属電極にパターンを形成する工程と、金属電極を形成する工程を含むプロセスにおいて、各工程のユニットおよび真空槽の排気系として、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプを用いることを特徴とする多層膜の製造方法を特徴とする。
【0016】
本発明は、真空槽と、前記真空槽に繋がり、蒸着原を備えた蒸着源室と、真空槽及び前記蒸着原室をそれぞれ排気するターボ分子ポンプと、このターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルとを備えた装置を用い、同一真空槽内で樹脂層と金属層とを順次連続して成膜する多層膜の製造方法であって、ターボ分子ポンプによって、前記真空槽内に反応ガスを供給しつつ真空槽内を排気し、前記ターボ分子ポンプに接続されるクライオ冷却パネルを酸素ガスが液化しにくい温度に設定することで成膜処理を行う成膜工程を含み、前記成膜工程において、前記真空槽を排気するターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルの温度を120〜150Kとし、前記蒸着源室を排気するターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルの温度を70〜100Kとすることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、酸素ガスなどの反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプによって真空槽を排気しているため、水分の排気能力を確保しながら、拡散したガス成分などは吸着されることなく常時排気されるため、排気時間の低減を実現することができる。
【0018】
また、ガスが液化しないため、誘電体材料の成分および、成膜やプラズマ処理などの表面処理工程で使用するガス等の成分がクライオポンプに吸着したりすることなく、安全に維持することができ、メンテナンスも容易である。また、クライオポンプの再生時に吸着した種々の材料やガス成分がポンプ内に高濃度で存在するというような危険もなく、安定稼動を行うことが可能となる。
【0019】
望ましくは、前記クライオ冷却パネルは水をトラップする一方で酸素は通過させるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、効率よく排気可能であり、連続して信頼性の高い多層膜の形成を行うことが可能となる。
【0021】
望ましくは、さらに酸素ガスを用いたプラズマ処理工程を含むことを特徴とする。
【0022】
特に酸素プラズマを用いる場合には、従来は、被処理残さを含む酸素が、排気ガス中に大量に含まれ、これが冷却パネルに付着することにより、メンテナンス頻度が増大するという問題があったが、このような問題は低減される。
【0023】
望ましくは、前記成膜工程は、樹脂層を蒸着する工程と、アルミニウムを蒸着する工程とを含み、前記真空槽のクライオ冷却パネルは120K以上に設定されると共に、アルミニウム蒸着ユニットのクライオ冷却パネルは70K以上に設定されていることを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、冷却パネルへの酸素のトラップもなく、連続して効率のよい薄膜形成が可能となる。
【0025】
また望ましくは、ターボ分子ポンプによって、真空槽内に反応ガスを供給しつつ前記真空槽内を排気し、前記ターボ分子ポンプに接続されるクライオ冷却パネルを反応ガスが液化しにくい温度に設定し、基板を走行させながら、同一真空槽で、誘電体層形成部で前記基板表面に誘電体層を形成する工程と、金属電極形成部で金属電極を形成する工程とを複数回繰り返し、積層コンデンサを形成するようにしたことを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、上記と同様、連続して効率のよい薄膜形成が可能となり、信頼性の高い積層コンデンサを提供することが可能となる。
【0027】
望ましくは、前記基板は樹脂フィルムであり、前記真空槽内で前記樹脂フィルムを回転しながら順次成膜が繰り返されるように構成されており、前記誘電体層を形成する工程は、樹脂蒸着ユニットから前記樹脂フィルム表面に向けて樹脂層を蒸着する工程であり、前記金属電極形成工程はアルミニウム蒸着ユニットから前記樹脂フィルム表面に向けてアルミニウムを蒸着する工程であり、前記真空槽のクライオ冷却パネルは120K以上に設定されると共に、アルミニウム蒸着ユニットのクライオ冷却パネルは70K以上に設定されている。
【0028】
かかる構成によれば、冷却パネルへの酸素のトラップもなく、連続して効率のよい薄膜形成が可能となり、信頼性の高い積層コンデンサを提供することが可能となる。
【0029】
また望ましくは、真空槽と、前記真空槽に接続された、第1および第2の薄膜形成部と、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルに接続されたターボ分子ポンプとを含み、基板を走行させながら、順次第1および第2の薄膜を形成するようにしたことを特徴とする。
【0030】
かかる構成によれば、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプによって真空槽を排気しているため、水分の排気能力を確保しながら、拡散したガス成分などは吸着されることなく常時排気されるため、排気時間の低減を実現することができる。
【0031】
望ましくは、前記第1および第2の薄膜形成部は、それぞれ反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプを具えたことを特徴とする。
【0032】
かかる構成によれば、使用する反応ガスに対応した温度に設定されたクライオ冷却パネルを用いているため、効率よく排気することができるとともに、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0033】
また、本発明の装置は、排気ユニットを具備してなる真空槽と、前記真空槽内で、基板を回転する回転ドラムと、前記基板の回転経路のまわりに順次配設された誘電体層形成部と、誘電体層表面を酸素プラズマで処理するプラズマ処理部と、金属電極形成部とを具備し、前記排気ユニットは、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルに接続されたターボ分子ポンプを具備し、前記回転ドラム上で回転する前記基板表面に順次誘電体層と金属電極とを交互に積層するようにしたことを特徴とする。
【0034】
かかる構成によれば、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルを有するターボ分子ポンプによって真空槽を排気しているため、水分の排気能力を確保しながら、拡散したガス成分などは吸着されることなく常時排気されるため、排気時間の低減を実現することができる。
【0035】
望ましくは、前記基板は樹脂フィルムであり、前記真空槽内で前記樹脂フィルムを回転しながら順次成膜が繰り返されるように構成されており、前記真空槽のクライオ冷却パネルは120K以上に設定されると共に、前記誘電体層形成部は樹脂蒸着部であり、プラズマ処理部は前記樹脂蒸着部で形成された樹脂を酸素プラズマでプラズマ処理部であり、金属電極形成部はアルミニウム蒸着部であり、前記アルミニウム蒸着部のクライオ冷却パネルは70K以上に設定されていることを特徴とする。
【0036】
かかる構成によれば、冷却パネルへの酸素のトラップもなく、連続して効率のよい薄膜形成が可能となり、信頼性の高い積層コンデンサを提供することが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態の積層コンデンサを製造するための製造装置を模式的に示した概略図である。図2は本発明の実施形態の装置で形成された積層コンデンサを示す図である。
【0039】
この積層コンデンサ製造装置は、メインチャンバーとしての真空槽5内部が、反応ガスが液化しにくい温度である150Kに冷却したクライオ冷却パネル7を有するターボ分子ポンプ6によって排気せしめられるように構成されていることを特徴とするものである。また、蒸着のための蒸着源を具備した蒸着源室も100Kに冷却したクライオ冷却パネル47を有するターボ分子ポンプ46によって排気せしめられている。
【0040】
他部については、従来の装置と同様であるが、この真空槽5内に装着され、一定の角速度又は周速度で、矢印A方向に回転するキャンローラ1の表面に支持基板としての樹脂フィルムが装着され、このキャンローラ1の回転経路にそって、下部に金属蒸着源4、この金属蒸着源4に対してキャンローラ1の回転方向下流側に、樹脂蒸発源2、樹脂硬化装置8、上流側にパターニング材料付与装置3、誘電体処理装置9がそれぞれ配されている。86は樹脂硬化装置8に接続されたターボ分子ポンプである。
【0041】
これらの装置はこの真空槽5と開閉シャッター(図示せず)を介して接続され、その内部は各装置別のターボ分子ポンプ等の真空排気系(図示せず)および、キャンローラを有する真空槽5は、クライオ冷却パネル7およびターボ分子ポンプ6により真空に保持されている。
【0042】
キャンローラ1の外周面は平滑に、好ましくは鏡面状に仕上げられており、好ましくは−20〜40℃、特に好ましくは−10〜10℃に冷却されている。回転速度は自由に設定可能であるが、15〜70rpm程度に設定されている。
【0043】
金属蒸着源4は、キャンローラ1表面に向けて金属蒸着を可能とするものであり、金属電極を形成する。そしてこの金属蒸着源4はクライオ冷却パネル47およびターボ分子ポンプ46により真空排気されるようになっている。ここではアルミニウムを用いているが、蒸着金属としてはAlの他、例えば、Cu、Zn、Sn、Au、Ag、Ptから選ばれた少なくとも一種が使用される。なお、蒸着に代えてスパッタリング法等の手段で金属電極を形成しても良い。
【0044】
樹脂蒸発源2は、キャンローラ1表面に向けて反応性モノマー樹脂を蒸発気化させるものであり、該樹脂が堆積して誘電体層を形成するように構成されている。そしてこの樹脂属蒸着源はクライオ冷却パネル27に接続されたターボ分子ポンプ26により真空排気されるようになっている。
【0045】
堆積された反応性モノマー樹脂は、樹脂硬化装置8により重合又は架橋され、所望の硬化度に硬化して薄膜を形成する。樹脂硬化装置8としては、例えば電子線照射装置又は紫外線照射装置等が用いられる。
【0046】
成膜された樹脂薄膜は、樹脂表面処理装置9により活性化表面処理される。そしてこの樹脂表面処理装置9も、クライオ冷却パネル97に接続されたターボ分子ポンプ96により真空排気されるようになっている。例えば、酸素ガスを導入して電離させた酸素プラズマ処理等を行なって、樹脂表面を活性化させて金属薄膜との接着性を向上させることができる。
【0047】
パターニング材料付与装置3は、パターニング材料を樹脂薄膜表面に帯状に堆積させるためのものである。パターニング材料が堆積した箇所には金属薄膜は形成せず、該箇所が積層体の電気的絶縁部分となる。パターニング材料としては例えばオイルが使用できる。パターニング材料の付与の手段は、蒸発気化させたパターニング材料をノズルから噴射して樹脂薄膜表面で液化させる方法を用いるのが好ましい。
【0048】
以上の工程により、キャンローラ1の外周面に、樹脂層と帯状の電気絶縁体を除く部分に積層された金属層とからなる積層単位を所定回数積層すると、円筒状連続体が形成される。これを半径方向に分割(例えば、45°ごとに8分割)して、キャンローラから取り外し、それぞれ加熱・加圧プレスすることにより平板状の積層体母素子を得る。その後、切断することにより本発明を使用した積層体が得られる。
【0049】
この積層体を生産している間は、反応性モノマー樹脂成分や酸素プラズマ用の酸素ガス、またはオイル成分等がキャンローラ1と真空槽5の隙間等より、真空槽の排気系である、クライオ冷却パネル7に接続されたターボ分子ポンプ6に混入してくる。しかしながら、クライオ冷却パネル7の温度は、表面処理で使用するガスや樹脂材料およびパターンニング材料等の物性や混入度合いに応じて設定されており、水分のみを効率的にトラップすることができる程度の温度に保たれている。また、ターボ分子ポンプ6は稼動中常時排気しており、後段はドライポンプやロータリーポンプ等の粗引きポンプ10で排気されているため、クライオポンプを使用した場合のような排気能力の低下や再生時の安全上の問題等を解決することができる。
【0050】
さらに、前述したように金属蒸着源4などのユニットチャンバの排気系等にもクライオ冷却パネル47に接続されたターボ分子ポンプ46を用いることで、蒸着材料内から発生するガス成分(例えば水素)等についても同様な効果を得ることができる。
【0051】
上記方法によれば、多層膜の製造時において、真空排気能力を長期間安定に確保することが可能になるため、メンテナンス頻度の低減や処理圧力の安定化による設備の安定稼動生産を実現するとともに、コンデンサとして使用した場合には、小型化・高容量化を安定して製造することができる。
【0052】
次に、図1に示した装置を用いて積層コンデンサを製造する方法について説明する。
【0053】
まず、樹脂蒸発源2には、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレートを装着し、金属蒸発源4には、アルミニウムを装着した。
【0054】
そして、粗引きポンプ10で真空槽5を真空排気したのち、ターボ分子ポンプ6およびクライオ冷却パネル7によって、真空排気し、真空槽5内を2×10-2Pa以下にする。また、キャンローラ1はその外周面を5℃程度に維持するように、温度制御ユニット(図示せず)で排気されている。
【0055】
そしてさらに各蒸発源内の真空排気を行った後、各蒸発源を所望の温度に加熱し、蒸発を開始する。そしてシャッター(図示せず)を開け、真空槽5内のキャンローラ1上の樹脂基板Fに向けて蒸着を開始する。
【0056】
まず図3(a)に示すように、誘電体層としてのジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレートが、樹脂蒸発源2よりキャンローラ1の外周面の樹脂基板Fに堆積せしめられる。
【0057】
ついで樹脂硬化装置8で、上記により堆積された誘電体層101を重合し、硬化する。この時形成された誘電体層は0.3〜0.4μmである。また、材料を調整することにより0.1μm程度に形成することもできる。
【0058】
その後図3(b)に示すように、樹脂表面処理装置9により、表面を酸素プラズマPで処理し、活性化した。
【0059】
次に、図3(c)に示すように、パターニング材料付与装置3により電気絶縁体に相当する部分に、金属電極をパターニングするために金属層形成抑止のためのオイル膜からなる帯状のパターニング材料102を付与させる。パターンニング材料としてはフッ素系オイルを使用し、これを気化させて直径75μmのノズルより噴出させて、幅100〜350μmの帯状に付着させた。
【0060】
次に図3(d)に示すように、金属蒸発源4からアルミニウムを金属蒸着させ、前記パターニング材料102の形成されていない領域に金属電極103のパターンが形成される。蒸着厚みは25nm、狙いの膜抵抗7Ω/□とした。
【0061】
以上の操作を、キャンローラ1を回転させることにより約4000回繰り返すことにより、約1.3mm厚の積層体を形成した。誘電体厚みが薄い場合は、10000回以上回転させて、図3(e)に示すように、同様の厚みの積層体を形成した。
【0062】
次いで、得られた円筒状の積層体を半径方向に20分割して取り外し、図4に説明図を示すように、加熱化でプレスし平板状の積層体母素子を得た。これを切断し、積層体100を形成し、さらに従来のフイルムコンデンサで行なわれている工程を通過させ、電極200および300を形成して図2に示したようなチップコンデンサを得た。
【0063】
このように、図1に示す様に、真空槽5の排気系および金属蒸着源4の排気系において、クライオポンプの替わりにターボ分子ポンプ6、46を設置すると共に、その前段にクライオ冷却パネル7、47を配置する排気系に変更した。
【0064】
このとき、真空槽5の排気系用クライオ冷却パネル7の温度を通常の70K程度として積層体を製造した場合は、水の排気能力を確保することは可能で排気時間の短縮を図ることができた。しかしながら、長時間稼動させると排気能力の低下が発生し、クライオ冷却パネル7の再生処理が必要となり、メンテナンス頻度が増加する傾向にあった。また再生時に反応ガスである酸素が液化する状態が発生し、ターボ分子ポンプ6が停止した場合等における安全上問題も発生した。
【0065】
そこで、比較的酸素ガスが多く混入してくるメイン排気系のクライオ冷却パネル7の温度を120K以上に設定し、混入が少ない金属蒸着源4ユニットチャンバの排気系用クライオ冷却パネル47の温度は70Kのままの状態に変更すると、大気状態からの排気時間は若干増加するが、長時間稼動時の排気能力の低下が無くなり、クライオ冷却パネル7の再生頻度の低減効果で稼働時間の延長が可能となった。
【0066】
さらに、酸素の液化現象がメイン排気系のクライオ冷却パネル7で発生しなくなり、再生時の場合を含め安全対策が向上した。
【0067】
このような製造方法および製造装置によって製造したチップコンデンサは、積層方向厚み約1.4mm、奥行1.6mm、幅(両外部電極間方向)3.2mmであり、小形ながら容量は0.47μFであり、耐電圧は50Vであった。
【0068】
さらに積層体を分解して蒸着膜の電気抵抗を4端子法で測定したところ、7±3Ω/□になっており、また絶縁抵抗を測定すると、1×1011Ω以上でありコンデンサとして十分な電気絶縁性を得ることができた。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、真空槽の排気系として、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルに接続されたターボ分子ポンプを用いるようにしているため、水分の排気能力を確保しながら、拡散したガス成分などは吸着されることなく常時排気されるため、大気状態からの排気時間は若干増加するが、長時間稼動時の排気能力の低下が無くなり、クライオ冷却パネル7の再生頻度の低減効果で稼働時間の延長が可能となる。また、プロセス安定性の向上およびメンテナンス頻度の低減によって設備の安定稼動が実現でき、品質や歩留りの向上安定化も可能となる。
【0070】
さらに本発明の方法によって積層コンデンサを形成した場合には、真空槽の排気系として、反応ガスが液化しにくい温度に冷却したクライオ冷却パネルに接続されたターボ分子ポンプを用いるようにしているため、誘電体材料の成分および、成膜やプラズマ処理などの表面処理工程で使用するガス等の成分が液化して、クライオポンプに吸着したりすることなく、安全に維持することができ、メンテナンスも容易である。また、クライオポンプの再生時に吸着した種々の材料やガス成分がポンプ内に高濃度で存在するというような危険もなく、安定稼動を行うことが可能となる。小型化・高容量化を安定して実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の製造装置の模式図
【図2】本発明の実施形態の製造装置で形成された積層コンデンサを示す図
【図3】本発明の実施形態の積層コンデンサの製造工程を示す図
【図4】本発明の実施形態の積層コンデンサの製造工程を示す図
【図5】従来の実施例の製造装置の模式図
【符号の説明】
1 キャンローラ
2 樹脂蒸発源
3 パターンニング材料付与装置
4 金属蒸着源
5 真空槽
6 ターボ分子ポンプ
7 クライオ冷却パネル
8 樹脂硬化装置
9 樹脂表面処理装置
10 粗引きポンプ
46 ターボ分子ポンプ
47 クライオ冷却パネル
11 クライオポンプ
F 樹脂フィルム
101 誘電体層
102 フッ素オイル
103 金属層
100 チップ
200 電極
300 電極
Claims (1)
- 真空槽と、前記真空槽に繋がり、蒸着原を備えた蒸着源室と、
真空槽及び前記蒸着原室をそれぞれ排気するターボ分子ポンプと、このターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルとを備えた装置を用い、
同一真空槽内で樹脂層と金属層とを順次連続して成膜する多層膜の製造方法であって、
前記ターボ分子ポンプによって、前記真空槽内に酸素ガスを供給しつつ真空槽内を排気し、前記ターボ分子ポンプに接続されるクライオ冷却パネルを前記酸素ガスが液化しにくい温度に設定することで成膜処理を行う成膜工程を含み、
前記成膜工程において、前記真空槽を排気するターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルの温度を120〜150Kとし、前記蒸着源室を排気するターボ分子ポンプに接続されたクライオ冷却パネルの温度を70〜100Kとすることを特徴とする多層膜の製造方法。
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