JP2012140695A - 蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】テープ状基材の表面に、基材の幅方向に厚みの揃った均一な薄膜を、連続して効率的に形成することのできる蒸着装置を提供する。
【解決手段】真空蒸着室11内に設けられた蒸着源1と、蒸着用のテープ状基材10を供給するための基材供給手段(3)と、蒸着源1から蒸散する蒸着材料をテープ状基材10の被蒸着面に対して放出する放出口1aと、蒸着後のテープ状基材10を回収するための基材巻取り手段(4)と、テープ状基材10の蒸着位置を蒸着源1の放出口1aに対して所定の距離に保持するための基材支持手段(5)とを備える蒸着装置であって、蒸着源1の放出口1aには、テープ状基材10に対する蒸着材料の付着量を均一に制御する所定形状の遮蔽マスク2が、交換可能に装着されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、テープ状の基材の表面に、化合物からなる薄膜を連続的に成膜する蒸着装置に関するものである。
ディスプレイの駆動回路等に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層や、薄膜太陽電池等の光起電力素子における光電変換層、有機発光ダイオード,有機発光トランジスタ等における半導体発光層(有機TFT層)、有機エレクトロルミネッセンス素子における有機発光層など、低分子量の半導体材料からなる薄膜の形成(成膜)には、真空蒸着法やスパッタリング(スパッタ法)等が用いられる。
これら真空蒸着法やスパッタリング等を用いた半導体薄膜の形成には、従来、バッチ式の蒸着装置が用いられてきたが、基板の大形化に対応するためには、装置(蒸着室)の大形化が必要で、設備費や運用コストの上昇を招くため、生産性が向上しないという欠点があった。そこで、近年、真空蒸着室(真空チャンバー)内に複数の蒸着源を一列に並べて配置するとともに、リール等に巻回したテープ状の基材(基板)を真空蒸着室内に繰り出し、これを上記各蒸着源の列に沿って走行させ、テープ状基材の表面(被蒸着面)に薄膜を連続して成膜することにより、複数の蒸着材料からなる多層被膜を順次積層する方法〔いわゆる、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)プロセス〕が開発され、利用されている(特許文献1,2を参照)。
特開2004−218008号公報 特開2010−7113号公報
しかしながら、上記のような、テープ状基材を走行させながら蒸着膜(薄膜)を連続形成する方法は、蒸着による付着・堆積速度(蒸着レート)を上げるために、基材と蒸着源との間の距離を200〜400mm程度と広めに設定する従来のバッチ式蒸着法に比べ、上記テープ状基材を各蒸着源に接近させ、その放出口から蒸着材料を放出させて蒸着を行っている。このため、上記連続法で形成された蒸着膜は、テープ状基材の幅方向で厚さ(膜厚)がばらつき、均一な性能を得られない場合があり、その改善が望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、テープ状基材の表面に、基材の幅方向に厚みの揃った均一な薄膜を、連続して効率的に形成することのできる蒸着装置の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の蒸着装置は、真空蒸着室と、この真空蒸着室内に設けられた蒸着源と、上記真空蒸着室内に蒸着用のテープ状基材を供給するための基材供給手段と、上記蒸着源に関連して設けられ、蒸着源から蒸散する蒸着材料を上記テープ状基材の被蒸着面に対して放出する放出口と、蒸着後のテープ状基材を回収するための基材巻取り手段と、上記真空蒸着室内におけるテープ状基材の蒸着位置を、上記蒸着源の放出口に対して所定の距離に保持するための基材支持手段とを備え、上記蒸着源の放出口に、蒸着材料の放出量を規制して上記テープ状基材の被蒸着面に基材幅方向に均一な膜厚の蒸着膜を形成するための遮蔽マスクが、交換可能に装着されているという構成をとる。
すなわち、本発明者は、前記蒸着膜厚の基材幅方向のばらつきの原因は、基材を蒸着源に近接させて行う高速成膜に起因して、蒸着源の放出口付近における蒸着材料の蒸気の濃度差(濃淡)が、そのまま基材に転写されているためではないかと考えた。そして、上記蒸着材料の蒸気の濃度差を緩和するために、蒸着源の放出口に、蒸着材料の蒸気を部分的に遮るマスクを取り付け、放出口の開口(放出)パターンを最適化することを着想した。しかしながら、上記放出口に取り付けた遮蔽マスクには、上記蒸着材料が付着して早期に汚れ、その開口パターンが変化してしまう傾向がみられた。そこで、本発明者はさらに工夫を重ね、この遮蔽マスクを、汚れた場合でも簡単に取り外しできる交換式として上記放出口に装着すれば、基材の幅方向に厚みの揃った均一な薄膜を連続して成膜できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の蒸着装置は、テープ状基材を真空蒸着室内で走行させながら連続で蒸着を行う、ロール・トゥ・ロールプロセスの蒸着装置であって、上記テープ状基材の被蒸着面に面して設けられた蒸着源の放出口に、この被蒸着面に対する蒸着材料の付着量を基材幅方向に均一にするための所定形状の遮蔽マスクが、交換可能に装着されている。そのため、この蒸着装置は、上記テープ状基材の表面に、基材幅方向に厚みの揃った蒸着膜を、高速で成膜することができる。しかも、上記遮蔽マスクが蒸着材料等により汚れた場合でも、この汚れた遮蔽マスクを取り外して交換することにより、上記均一な付着量の状態に、最少の待機時間(ブランク)で復帰させることが可能である。これにより、本発明の蒸着装置は、テープ状基材の幅方向に厚みの揃った高品質な薄膜を、ロスなく高効率で連続して形成することができる。そして、上記薄膜を有するテープ状基材の製造コストを、低減することができる。
また、本発明の蒸着装置のなかでも、上記遮蔽マスクが、同一の開口パターンを有する遮蔽マスク材を、その開口を揃えた状態で複数枚重ねて形成されているとともに、これら各遮蔽マスク材が一枚ずつ除去可能になっており、この除去により順次新しい遮蔽マスク材が使用されるようになっているものは、上記遮蔽マスクの交換作業を、より簡単に行うことが可能になる。これにより、上記薄膜の成膜過程における工程ロスを、より低減できる。
さらに、本発明の蒸着装置において、上記蒸着位置における蒸着源の放出口とテープ状基材の被蒸着面との間の距離が、1〜15mmになっているものは、蒸着材料の利用効率が高く、その成膜レート(速度)を高く設定できる。すなわち、本発明の蒸着装置は、上記放出口−基材間の蒸着距離に由来して、蒸着速度ひいてはテープ状基材の走行速度を向上させることが可能である。そのため、この蒸着装置は、基材と蒸着源との間の距離を200〜400mm程度に設定する従来の蒸着法に比べ、その加工速度を飛躍的に向上させることができる。なお、この加工速度の向上は、上記遮蔽マスクの使用で「テープ状基材の幅方向に厚みの揃った高品質な薄膜」が形成可能になったことにより、もたらされるものである。
そして、本発明の蒸着装置のなかでも、上記筒状蒸着源の放出口近傍と上記遮蔽マスクとを加熱するための加熱手段を備えるものは、蒸発した蒸着材料が、これら放出口と遮蔽マスクの近傍へ付着することが抑制される。したがって、この蒸着装置は、上記成膜した薄膜の膜厚のばらつきがより低減され、製品の歩留りが向上する。また、上記遮蔽マスクへの蒸着材料の付着が遅くなり、この遮蔽マスクの寿命(交換寿命)が延びる。
(a)は本発明の実施形態における蒸着装置の概略構成図であり、(b)はそのP部拡大模式図、(c)はこの蒸着装置に用いられている放出口用遮蔽マスクの構成を説明する図である。 (a)は、本実施形態で用いられる遮蔽マスクの一形状を示す図であり、(b)〜(g)は、この遮蔽マスクを一つ以上取り付けて形成された蒸着源の放出口の開口パターン例を示す図である。 (a)は、本実施形態で用いられる遮蔽マスクの他の形状を示す図であり、(b)〜(g)は、この遮蔽マスクを一つ以上取り付けて形成された蒸着源の放出口の開口パターン例を示す図である。 本発明の実施例における実施例1〜3および遮蔽マスクを使用しないブランクの蒸着膜の膜厚分布を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態における蒸着装置の概略構成図であり、図1(b),(c)は、その蒸着装置に用いられている放出口用遮蔽マスクの形状を説明する図である。なお、これらの図においては、各部材の厚みを強調して図示している。また、図中の符号11は真空蒸着室、12は真空ポンプであり、真空蒸着室11内におけるテープ状基材10の流れ方向を白抜き矢印で示す。
この実施形態の蒸着装置は、長尺のテープ状基材10の表面に、有機半導体材料や有機発光材料等からなる薄膜を形成するために用いられるものである。その構成は、要約すると、図1(a)に示すように、真空蒸着室11の中に配置された蒸着源1と、蒸着用のテープ状基材10を供給する基材供給手段(巻き出し器3)と、蒸着後のテープ状基材10をロールに巻き取る基材巻取り手段(巻き取り器4)と、上記蒸着源1に対するテープ状基材10の蒸着位置(蒸着距離)を、この蒸着源1の放出口1aに対して所定の距離に保持する基材支持手段(蒸着ステージ5)とから構成されている。そして、上記蒸着源1の放出口1aには、図1(c)のように、同じ形状の複数の遮蔽マスク材2A,2B,2C,・・・を重ねて形成された遮蔽マスク2が、交換可能に装着されている。これが、本実施形態における蒸着装置の特徴である。
すなわち、本実施形態においては、テープ状基材10を一方のロール(巻き出し器3)から供給し、蒸着源1から所定の距離を空けた状態で走行させながら、この蒸着源1から蒸散する蒸着材料を上記テープ状基材10の表面に連続して蒸着する、ロール・トゥ・ロールプロセスの蒸着装置において、上記蒸着源1の放出口1aに、その開口の一部を塞ぐ形状(例えば凸状部2x)を有する遮蔽マスク2が、交換可能に取り付けられ、テープ状基材10に対する蒸着材料の付着量(蒸着量)が、基材幅方向に均一になるように制御されている。これにより、上記蒸着装置は、テープ状基材10の表面に、厚みの揃った蒸着膜を、高速で成膜することができる。しかも、この蒸着装置は、上記遮蔽マスク2が蒸着材料等により汚れた場合でも、汚れた遮蔽マスク材(例えば2A)を取り外して、新たな遮蔽マスク材(例えば、汚れていない2B)を使用することにより、上記均一な付着量の加工条件に、最少の待機時間で復帰することが可能である。そのため、本実施形態の蒸着装置は、テープ状基材10の幅方向に厚みの揃った高品質な薄膜を、ロスなく、高効率で連続して形成することができる。
上記の蒸着装置の構成を、有機薄膜等を製造する場合を例に、詳しく説明する。
上記テープ状基材10としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN),ポリイミド(PI)等からなる樹脂フィルムや、ステンレススチール(SUS)等からなる金属箔が用いられ、リールあるいはロール等に巻回された状態で、図1(a)のように、蒸着装置の巻き出し器3(基材供給手段)にセットされている。
また、テープ状基材10を供給する巻き出し器3と、蒸着後のテープ状基材10を回収する巻き取り器4とは、対になるように構成されており、この巻き取り器4の回転駆動により、テープ状基材10を巻き出し器3のロールから引き出し、蒸着ステージ5の上を通過させて蒸着を行った後、この巻き取り器4のロールに巻き取って回収するようになっている〔図1(a)中の白抜き矢印を参照〕。
そして、蒸着源1は、その内部に、蒸着材料と、この蒸着材料を加熱・蒸発させるための加熱器等(図示省略)が配置されており、図1(a)のように、その下面に設けられた放出口1aの開口部には、先に述べた遮蔽マスク2が、その形状を揃えた状態で複数枚重ねて装着されている。
上記遮蔽マスク2について、より詳しく説明すると、図1(c)に示すように、遮蔽マスク2は、同じパターン形状に打ち抜き形成された金属製遮蔽マスク材を複数枚(この例においては、蒸着源1の放出口1a側から2A,2B,2Cの3枚)重ねて形成されており、蒸着材料等により汚れた場合に、その汚れた遮蔽マスク材を取り外して、新たな(汚れていない)遮蔽マスク材を使用できるようになっている。なお、遮蔽マスク2は、上記蒸着源1の放出口1aに近い遮蔽マスク材2A側から蒸着材料が付着して汚れるため、交換(メンテナンス)の度に、放出口1a側の遮蔽マスク材2A(図中では上側)から順に取り除き、その下側にある遮蔽マスク材2B,遮蔽マスク材2Cが順次使用される。また、上記各遮蔽マスク材2A,2B,2Cは、上記放出口1aの内側に突出する縁部が、図1(b)の拡大図に示すように、その先端に向かって尖る鋭利な形状に加工されており、上記縁部に対する蒸着材料の付着が防止されている。さらに、前記蒸着源1と上記遮蔽マスク2(遮蔽マスク材2A,2B,2C)とを同時に加熱するヒーター等の加熱手段(図示省略)を設ければ、上記蒸着材料の放出口1a近傍および遮蔽マスク2へ付着を、より抑制することができ、好ましい。
つぎに、上記各遮蔽マスク2(あるいは、それを構成する各遮蔽マスク材2A,2B,2Cのうちの1枚)の形状、および、それらを用いて形成される蒸着源1の放出口1aの開口パターンについて説明する。
図2(a)および図3(a)は、本実施形態で用いられる遮蔽マスク2の形状例を示す図であり、図2(b)〜(g)および図3(b)〜(g)は、これらを一つ以上用いて形成された蒸着源1の放出口1aの開口パターン例を示す図である。なお、これらの図は、放出口1aを上から(蒸着源1側から)見下ろした平面図であり、その下側を通過するテープ状基材10の流れ(走行)方向を、白抜き矢印で表示している。
まず、図2(a)に示す凸状の遮蔽マスク2を用いる場合について述べる。
この凸状の遮蔽マスク2は、上記放出口1a内に突出してその突出部位の付着量を低減する凸状部2xと、上記放出口1aの外側に位置して蒸着源1への取り付けに用いられる取付部2zとから形成されている。そして、上記凸状の遮蔽マスク2を蒸着源1の放出口1aに取り付ける際には、蒸着材料の付着量がテープ状基材10の幅方向に均一になるように、この蒸着装置を用いて行った予備実験(蒸着試験)の結果や、クヌーセン余弦定理(クヌーセンの余弦法則)を用いたシミュレーションの結果等を考慮して、その取り付け位置と残部となる放出口1aの開口パターンが決定される。
例えば、テープ状基材10の幅方向中央部付近の蒸着膜厚が両端部付近に比べて厚い(すなわち、中央部付近の蒸着材料の付着量が多い)際には、上記テープ状基材10の流れ方向のどちらか一方に上記凸状の遮蔽マスク2を取り付ける場合〔図2(b)または図2(c)参照〕や、テープ状基材10の流れ方向の両側に上記凸状の遮蔽マスク2を取り付ける場合〔図2(d)参照〕等がある。
また、テープ状基材10の流れ向の左右(幅方向の端部付近)で蒸着膜厚がばらついている際には、上記テープ状基材10の流れ方向左右のどちらか一方に上記凸状の遮蔽マスク2を取り付ける場合〔図2(e)または図2(f)参照〕や、テープ状基材10の流れ方向左右の両側に上記凸状の遮蔽マスク2を取り付ける場合〔図2(g)参照〕等がある。なお、上記テープ状基材10の流れ向左右の付着量を調整する開口パターン〔図2(e)〜図2(g)〕と、前記テープ状基材10の幅方向の付着量を調整する開口パターン〔図2(b)〜図2(d)〕とは、組み合わせて用いることもできる。
つぎに、図3(a)に示す凹状の遮蔽マスク2’を用いる場合について述べる。
この凹状の遮蔽マスク2’は、上記放出口1a内に凹状に突出してその突出部位(凹状の両側)の付着量を低減する凹状部2yと、上記放出口1aの外側に位置して蒸着源1への取り付けに用いられる取付部2zとから形成されている。そして、上記凹状の遮蔽マスク2’を蒸着源1の放出口1aに取り付ける際には、前記凸状の遮蔽マスク2と同様、蒸着材料の付着量がテープ状基材10の幅方向に均一になるように、この蒸着装置を用いて行った予備実験(蒸着試験)の結果や、クヌーセン余弦定理(クヌーセンの余弦法則)を用いたシミュレーションの結果等を考慮して、その取り付け位置と残部となる放出口1aの開口パターンが決定される。
例えば、テープ状基材10の幅方向中央部付近の蒸着膜厚が両端部付近に比べて薄い(すなわち、中央部付近の蒸着材料の付着量が少ない)際には、上記テープ状基材10の流れ方向のどちらか一方に上記凹状の遮蔽マスク2’を取り付ける場合〔図3(b)または図3(c)参照〕や、テープ状基材10の流れ方向の両側に上記凹状の遮蔽マスク2’を取り付ける場合〔図3(d)参照〕等がある。
また、テープ状基材10の流れ向の左右(幅方向の端部付近)で蒸着膜厚がばらついている際には、上記テープ状基材10の流れ方向左右のどちらか一方に上記凹状の遮蔽マスク2’を取り付ける場合〔図3(e)または図3(f)参照〕や、テープ状基材10の流れ方向左右の両側に上記凹状の遮蔽マスク2’を取り付ける場合〔図3(g)参照〕等がある。なお、上記テープ状基材10の流れ向左右の付着量を調整する開口パターン〔図3(e)〜図2(g)〕と、前記テープ状基材10の幅方向の付着量を調整する開口パターン〔図3(b)〜図3(d)〕とは、組み合わせて用いることもできる。また、先に述べた凸状の遮蔽マスク2を用いるパターン〔図2(b)〜図2(g)参照〕と組み合わせてもよい。
つぎに、真空蒸着室11内においてテープ状基材10を支持する蒸着ステージ5(基材支持手段)は、図1(a)のように、平板状のステージ5aと、このステージ5aを昇降自在に支持する支柱5b,5bと、これらステージ5aおよび支柱5b,5bの昇降に連動して上下する送りローラ5c,5c等とからなる。そして、前記一方のロール(巻き出し器3)から供給されたテープ状基材10が、上記蒸着源1の放出口1aに対する距離D(蒸着距離、本実施形態においては1〜15mm)を一定に保った状態で、このステージ5aの上面に沿って走行できるように構成されている。この基材支持手段は、上記テープ状基材10の放出口1aに対する距離(蒸着距離)を一定に保持できる構造であれば、その他の構成としてもよい。
なお、本実施形態においては、真空蒸着室11内に一つの蒸着源1を有する蒸着装置を例に、本発明を原理的に説明したが、本発明は、例えば真空蒸着室内に複数の蒸着源が配置され、異なる種類の蒸着材料を真空一貫で蒸着する蒸着装置や、一つの工程上に隔壁で隔てられた複数の真空蒸着室と蒸着源とが連続して配設されている蒸着装置、あるいは、蒸着源が基材の下側に配置され、この基材の下面側に蒸着を行う蒸着装置等に適用することができる。また、蒸着源が基材の下側に配置された蒸着装置の場合は、蒸着源の放出口に近い、下側の遮蔽マスク材から蒸着材料が付着して汚れるため、交換(メンテナンス)の際は、この放出口に近い下側の遮蔽マスク材から順に取り除き、その上側にある遮蔽マスク材を順次使用することは勿論である。
つぎに、上記遮蔽マスクを備えた蒸着装置を用いて行った実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、前記実施形態と同様の構成の蒸着装置〈テクニカル・インスツルメンツ社製:TIEL−600〉を使用して、その蒸着源の放出口に、蒸着材料の付着量を制御するための遮蔽マスク(A,B)を取り付け、蒸着試験を行った。
蒸着時の使用材料および加工条件を、以下に示す。
[テープ状基材]
・ポリエチレンナフタレート(PEN)製フィルム
(幅20mm,長さ50m,厚さ125μm)
[蒸着材料]
・有機発光ダイオード(OELD)の電子輸送材料兼発光材料に用いられる
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体〔Alq3〕
[蒸着の加工条件]
・真空蒸着室の真空度:10-5Pa(10-3〜10-5Pa)
・蒸着源(蒸着材料)の温度:300℃(250〜320℃)
・蒸着源の放出口の開口形状:縦(基材流れ方向)20mm,横(基材幅方向)20mm
・蒸着源の放出口とテープ状基材との距離(蒸着距離):2mm(1〜15mm)
・蒸着(加工)速度:1〜20m/分
上記実施例のサンプルの蒸着の前に、遮蔽マスクを取り付けない状態で、遮蔽マスクの形状を決定する基準となる「ブランク」品を作製した。なお、以下の蒸着膜作製手順は、ブランク,実施例ともに同じである。
まず、蒸着装置の巻き出し器にロール状に巻回されたテープ状基材(PEN製)を取り付け、その先端を加工経路に沿って巻き取り器のロールまで口出しし、準備した。その後、蒸着源の中の加温用所定位置に、蒸着材料(Alq3)を1gセットし、真空蒸着室(チャンバー)を密閉して、真空ポンプにより所定の真空度(10-5Pa)まで真空排気した。所定の真空度に達した後に、蒸着源の予備シャッターを閉じた状態で、蒸着源内の蒸着材料を300℃まで昇温させた。蒸着材料からの蒸発量が安定したと思われる段階で、テープ状基材を所定の速度で走行させ、この走行した状態で上記予備シャッターを開放し、テープ状基材の表面に、上記Alq3からなる有機薄膜を連続で成膜し、巻き取り器のロールに、「ブランク」となる蒸着済みテープ状基材を回収した。
[蒸着膜厚の測定]
上記テープ状基材に成膜された有機薄膜の膜厚(基材幅方向の膜厚分布)を、触針式段差膜厚計〈ULVAC社製:Dektak〉を用いて計測した。
(実施例1)
実施例1のテープ状基材は以下のようにして作製した。
まず、コンピュータを利用して、上記蒸着装置の加工条件におけるクヌーセン余弦定理(クヌーセンの余弦法則)を用いた付着量のシミュレーションを行い、テープ状基材の幅方向の付着量(膜厚)分布を予測した。そして、この予測にもとづき、その付着量のばらつき(幅方向のばらつき)を抑えるための遮蔽マスクAを作製した。なお、この遮蔽マスクAの形状は、前記実施形態に記載の遮蔽マスク2に類似の凸形状である〔図2(a)参照〕。
つぎに、この凸状の遮蔽マスクAを、蒸着源の放出口の基材流れ方向上流側〔図2(b)参照〕に1枚取り付け、上記ブランクと同様に蒸着を行い、実施例1の蒸着済みテープ状基材を作製した。
(実施例2)
ついで、得られた実施例1の蒸着済みテープ状基材の膜厚(基材幅方向の膜厚分布)を、上記ブランクと同様の方法で測定した。そして、その解析結果にもとづき、上記遮蔽マスクAの形状を修正して、改良版の遮蔽マスクBを作製した。なお、この改良版の遮蔽マスクBの形状も、図2(a)に記載の遮蔽マスク2に類似の凸形状である。
つぎに、この遮蔽マスクBを、蒸着源の放出口の基材流れ方向上流側〔図2(b)参照〕に1枚取り付け、上記ブランクおよび実施例1と同様に蒸着を行い、実施例2の蒸着済みテープ状基材を作製した。
(実施例3)
つぎに、上記遮蔽マスクBを、蒸着源の放出口の基材流れ方向上流側と下流側の2個所〔図2(c)参照〕に1枚ずつ取り付け、上記ブランクおよび実施例1,2と同様に蒸着を行い、実施例3の蒸着済みテープ状基材を作製した。
[蒸着膜の膜厚分布]
上記膜厚測定方法を用いて、得られた上記実施例1〜3の蒸着済みテープ状基材と遮蔽マスクを使用していないブランクの蒸着済みテープ状基材の、基材幅方向の「蒸着膜の膜厚分布」を計測した結果を、図4の「グラフ1」に示す。このグラフ1は、テープ状基材(幅20mm)の幅方向中央の膜厚を1とした時の膜厚のばらつき(a.u.)を、基材幅方向中央からの距離1mmごとに示している。なお、基材幅方向の端部(縁部2mm)は、蒸着膜のばらつきが大きく、実質上製品として使用できないため、基材幅方向中央から±8mmより外側は、測定から除外した。
[蒸着膜の有効幅]
また、膜厚のばらつき(誤差)が、基材幅方向中央の厚さ(基準)に対して±3%,±5%,±10%に収まる範囲の幅(基材幅)を、上記測定データの中から抽出し、テープ状基材の幅20mmに対する「蒸着膜の有効幅」(すなわち、製品として使用できる歩留り)を計算した。結果を以下の「表1」に示す。
Figure 2012140695
上記蒸着膜の膜厚分布の測定結果(グラフ1)から、遮蔽マスクを用いた蒸着の方が、基材幅方向の膜厚のばらつきが縮小していることがわかる。また、上記蒸着膜の有効幅の測定結果(表1)から、シミュレーション結果をもとに作製した遮蔽マスクAで蒸着試験を行い、そこで見られた膜厚分布の結果をもとにさらに改良(補正)して設計した遮蔽マスクB(実施例2)が、最良の結果を生み出すことがわかった。
本発明の蒸着装置は、テープ状の基材の表面に、有機化合物等からなる均一な膜厚の薄膜を、連続的かつ効率的に形成することができる。
1 蒸着源
1a 放出口
2 遮蔽マスク
10 テープ状基材
11 真空蒸着室

Claims (4)

  1. 真空蒸着室と、この真空蒸着室内に設けられた蒸着源と、上記真空蒸着室内に蒸着用のテープ状基材を供給するための基材供給手段と、上記蒸着源に関連して設けられ、蒸着源から蒸散する蒸着材料を上記テープ状基材の被蒸着面に対して放出する放出口と、蒸着後のテープ状基材を回収するための基材巻取り手段と、上記真空蒸着室内におけるテープ状基材の蒸着位置を、上記蒸着源の放出口に対して所定の距離に保持するための基材支持手段とを備え、上記蒸着源の放出口に、蒸着材料の放出量を規制して上記テープ状基材の被蒸着面に基材幅方向に均一な膜厚の蒸着膜を形成するための遮蔽マスクが、交換可能に装着されていることを特徴とする蒸着装置。
  2. 上記遮蔽マスクが、同一の開口パターンを有する遮蔽マスク材を、その開口を揃えた状態で複数枚重ねて形成されているとともに、これら各遮蔽マスク材が一枚ずつ除去可能になっており、この除去により順次新しい遮蔽マスク材が使用されるようになっている請求項1記載の蒸着装置。
  3. 上記蒸着位置における蒸着源の放出口とテープ状基材の被蒸着面との間の距離が、1〜15mmである請求項1または2記載の蒸着装置。
  4. 上記筒状蒸着源の放出口近傍と上記遮蔽マスクとを加熱するための加熱手段を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸着装置。
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