JP2010095735A - 成膜装置、成膜方法およびガスバリアフィルム - Google Patents

成膜装置、成膜方法およびガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】平滑かつ緻密な無機膜を生産性を維持しつつ、しかも膜質を長時間安定して形成することができる成膜装置および成膜方法、ならびにバリアフィルムを提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置は、真空の成膜室内で、有機膜を含む長尺の基板を搬送方向に搬送しつつ、スパッタリングを行い、その表面に無機膜を形成するものであって、基板に対向して配置された第1のターゲット、第1のターゲットの周囲近傍に設けられたアノード部および第1のターゲットに一定周期で電圧を印加する第1の電源部を備える第1の成膜ユニットと、第1の成膜ユニットよりも搬送方向の下流側に設けられ、基板に対向して配置された2つ以上のターゲットおよび各ターゲットに交互に電圧を印加する第2の電源部を備える第2の成膜ユニットと、基板と第1のターゲットとの間および基板と各ターゲットとの間にスパッタガスを供給するスパッタガス供給部とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機物を含む長尺の基板を所定の搬送方向に搬送しつつ、その表面に、無機膜を形成する成膜装置および成膜方法、ならびにこのようにして形成された無機膜を有するバリアフィルムに関し、特に、平滑かつ緻密な無機膜を、生産性を維持しつつ、しかも膜質を長時間安定して形成することができる成膜装置および成膜方法、ならびにこのようにして形成された無機膜を有するバリアフィルムに関する。
現在、光学素子、液晶ディスプレイもしくは有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、および薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタまたは反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
各種の機能性フィルム(機能性シート)は、例えば、ベースフィルム上に無機膜が形成されてなるものである。これらの機能性フィルムの無機膜の製造には、スパッタリング法またはプラズマCVD等の真空成膜法が利用されている。
現在、機能性フィルムを作製する場合、ベースフィルム上に、平坦かつ無欠陥に無機膜を真空成膜するために、ベースフィルム上に下地層として有機膜を形成する場合がある。但し、有機膜上に無機膜を形成するために真空成膜法が、スパッタリング法のように、プラズマを用いる場合、プラズマが有機膜に触れると、エッチング作用が起こり、有機膜の表面が凹凸化する等のダメージを受けてしまうため、この有機膜の上に形成する無機膜は、ピンホール、クラック等の欠陥を有する膜になる。このため、最終的に得られる機能性フィルムは、その性能が著しく低いという問題点がある。
そこで、無機膜の膜質の低下を抑制するために、スパッタリングのカソード(ターゲット)から基板までの距離を長くする方法、対向式スパッタリング法のように、対向カソードに対して基板を鉛直方向に配置する方法が用いられている。
しかしながら、上述の無機膜の膜質の低下を抑制するために用いられる、いずれの方法においても、成膜速度が低下し、生産効率が下がるという問題点がある。また、成膜装置の構成が複雑化するという問題点もあり、これにより、長時間安定して成膜できない虞がある。
なお、機能性フィルムの無機膜の形成には、真空蒸着法のように、プラズマを用いない方法を利用することができるものの、スパッタリング法により形成される無機膜よりも膜質が劣るという問題点がある。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、平滑かつ緻密な無機膜を生産性を維持しつつ、しかも膜質を長時間安定して形成することができる成膜装置および成膜方法、ならびにこのようにして形成された無機膜を有するバリアフィルムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、成膜室内で、有機物を含む長尺の基板を所定の搬送方向に搬送しつつ、スパッタリングを行い前記基板の表面に所定の無機膜を形成する成膜装置であって、前記成膜室内を所定の真空度にする真空排気部と、前記基板の表面に対向して配置された第1のターゲット、前記第1のターゲットの周囲近傍に設けられたアノード部、および前記第1のターゲットに一定周期で電圧を印加する第1の電源部を備える第1の成膜ユニットと、前記第1の成膜ユニットよりも前記基板の搬送方向の下流側に設けられ、前記基板の表面に対向して配置された2つ以上のターゲット、および前記各ターゲットに交互に電圧を印加する第2の電源部を備える第2の成膜ユニットと、前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給するスパッタガス供給部とを有し、前記第1の成膜ユニットと前記第2の成膜ユニットにより前記無機膜を形成することを特徴とする成膜装置を提供するものである。
本発明において、有機物を含む基板には、長尺の基材の表面に有機膜が形成されたものも含まれ、この有機膜を有する基板の場合、有機膜の表面に無機膜を形成する。さらには、有機膜が形成された基板の場合、基材は、有機物を含むものでなくても、有機物を含むものであってもよい。
本発明において、さらに、前記無機膜の成膜時に、前記基板と前記第1のターゲットとの間および前記基板と前記各ターゲットとの間に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部を有することが好ましい。
また、本発明において、前記基板は、ドラムに巻き掛けられて搬送されるものであり、前記ドラムの電位は、フローティング電位であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、真空雰囲気中を、有機物を含む長尺の基板を所定の搬送方向に搬送しつつ、スパッタリングを行い前記基板の表面に所定の無機膜を形成する成膜方法であって、第1のターゲットと、前記第1のターゲットの周囲に設けられたアノード部と、前記第1のターゲットに一定周期で電圧を印加する第1の電源部とを備える第1の成膜ユニットの前記第1ターゲットに対向して、前記基板を搬送するとともに、前記第1の成膜ユニットよりも前記基板の搬送方向の下流側に設けられ、前記基板の表面に対向して配置された2つ以上のターゲットと、前記各ターゲットに交互に電圧を印加する第2の電源部とを備える第2の成膜ユニットの前記各ターゲットに対向して、前記基板を搬送するものであって、前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給する工程と、前記第1の成膜ユニットにおいて、第1のターゲットに負の電圧を所定の時間間隔で所定時間印加して、前記基板の表面に第1の無機層を形成する工程と、前記第2の成膜ユニットにおいて、前記各ターゲットに交互に電圧を印加して、前記第1の無機層の上に第2の無機層を形成して、前記無機膜を形成する工程とを有することを特徴とする成膜方法を提供するものである。
本発明において、前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給する工程においては、さらに、前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間に反応性ガスを供給することが好ましい。
また、本発明において、前記基板は、ドラムに巻き掛けられて搬送されるものであり、前記ドラムの電位は、フローティング電位であることが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の成膜方法により形成された無機膜を有することを特徴とするガスバリアフィルムを提供するものである。
本発明の成膜装置および成膜方法によれば、有機物を含む長尺の基板に対して、平滑かつ緻密な無機膜を、生産性を維持しつつ、しかも膜質を長時間安定して形成することができる。
本発明のガスバリアフィルムにおいては、平滑かつ緻密な無機膜を有するため、所定のガスバリア性能を有する。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の成膜装置および成膜方法ならびにガスバリアフィルムを詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置を示す模式図であり、図2(a)は、図1に示す成膜装置の成膜部の第1の成膜ユニットの要部を示す模式図であり、(b)は、図1に示す成膜装置の成膜部の第2の成膜ユニットの要部を示す模式図である。図3(a)は、本発明の実施形態に係る成膜装置により得られる機能性フィルムの一例を示す模式図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る成膜装置により得られる機能性フィルムの一例を示す模式図である。
図1に示す本発明の実施形態に係る成膜装置10は、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)タイプの成膜装置であり、例えば、有機物を含む長尺の基板100(ウェブ状の基板100)に連続で成膜を行うものである。
この成膜装置10においては、基板100の表面100a(図3(a)参照)に無機膜102(図3(a)参照)を形成して、例えば、光学フィルムまたはガスバリアフィルム等の機能性フィルム110(図3(a)参照)を製造する。
成膜装置10は、基本的に、長尺な基板100(ウェブ状の基板100)を供給する供給室12と、長尺な基板100に無機膜102(図3(a)参照)を形成する成膜室14と、無機膜(図3(a)参照)が形成された長尺な基板100を巻き取る巻取り室16と、真空排気部32と、制御部36とを有する。この制御部36により、成膜装置10における各要素の動作が制御される。
また、成膜装置10においては、供給室12と成膜室14とを区画する壁15aには、基板100が通過するスリット状の開口15cが形成されており、成膜室14と巻取り室16とを区画する壁15bには、無機膜102が形成された基板100(機能性フィルム110)が通過するスリット状の開口15cが形成されている。
成膜装置10においては、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、真空排気部32が配管34を介して接続されている。この真空排気部32により、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部が所定の真空度にされる。
真空排気部32は、供給室12、成膜室14および巻取り室16を排気して、所定の真空度(所定の圧力)に保つものであり、ドライポンプおよびターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有するものである。また、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、それぞれ内部の圧力を測定する圧力センサ(図示せず)が設けられている。
なお、真空排気部32による供給室12、成膜室14および巻取り室16の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。この真空排気部32は、制御部36により制御される。
供給室12は、長尺な基板100を供給する部位であり、基板ロール20、およびガイドローラ21が設けられている。
基板ロール20は、長尺な基板100を連続的に送り出すものであり、例えば、反時計回りに基板100が巻回されている。
基板ロール20は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータによって基板ロール20が基板100を巻き戻す方向rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、基板100が連続的に送り出される。
ガイドローラ21は、基板100を所定の搬送経路で成膜室14に案内するものである。このガイドローラ21は、公知のガイドローラにより構成される。
本実施形態の成膜装置10においては、ガイドローラ21は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ21は、基板100の搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
本発明の成膜装置において、基板100としては、有機物を含むものであればよく、例えば、PETフィルム、PENフィルムの各種の有機物を含む樹脂フィルムが用いられる。
巻取り室16は、後述するように、成膜室14で、表面100aに膜が形成された基板100を巻き取る部位であり、巻取りロール30、およびガイドローラ31が設けられている。
巻取りロール30は、成膜された基板100をロール状に、例えば、時計回りに巻き取るものである。
この巻取りロール30は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータにより巻取りロール30が回転されて、成膜済の基板100が巻き取られる。
巻取りロール30においては、モータによって基板100を巻き取る方向Rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、成膜済の基板100を連続的に、例えば、時計回りに巻き取る。
ガイドローラ31は、成膜室14から搬送された基板100を、所定の搬送経路で巻取りロール30に案内するものである。このガイドローラ31は、公知のガイドローラにより構成される。なお、供給室12のガイドローラ21と同様に、ガイドローラ31も、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ31は、テンションローラとして作用するローラであってもよい。
成膜室14は、真空チャンバとして機能するものであり、基板100を搬送しつつ連続的に、基板100の表面100aに、例えば、反応性スパッタリング法によって、無機膜(酸化物の膜、窒化物の膜)を形成する部位である。
成膜室14は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたはアルミニウム合金など、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成されている。
成膜室14には、2つのガイドローラ24、28と、ドラム26と、成膜部40とが設けられている。
ガイドローラ24と、ガイドローラ28とが、所定の間隔を設けて対向して、平行に配置されており、また、ガイドローラ24、およびガイドローラ28は、基板100の搬送方向Dに対して、その長手方向を直交させて配置されている。
ガイドローラ24は、供給室12に設けられたガイドローラ21から搬送された基板100をドラム26に搬送するものである。このガイドローラ24は、例えば、基板100の搬送方向Dと直交する方向(以下、軸方向という)に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ24は、軸方向の長さが、基板100の長手方向と直交する幅方向における長さ(以下、基板100の幅という)よりも長い。
ガイドローラ28は、ドラム26に巻き掛けられた基板100を巻取り室16に設けられたガイドローラ31に搬送するものである。このガイドローラ28は、例えば、軸方向に回転軸を有し、回転可能であり、かつガイドローラ28は、軸方向の長さが基板100の幅よりも長い。
なお、ガイドローラ28、ガイドローラ31、巻取りロール30により、第2の搬送手段が構成される。
また、ガイドローラ24、ガイドローラ28は、上記構成以外は、供給室12に設けられたガイドローラ21と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
ドラム26は、ガイドローラ24と、ガイドローラ28との間の空間Hの下方に設けられている。ドラム26は、その長手方向を、ガイドローラ24およびガイドローラ28の長手方向に対して平行にして配置されている。
このドラム26は、例えば、円筒状を呈し、軸方向に回転軸を有し、回転方向ωに回転可能なものである。ドラム26は、軸方向における長さが基板100の幅よりも長い。
ドラム26は、その表面26a(周面)に基板100が巻き掛けられて、回転方向ωに回転することにより、基板100を所定の成膜位置に保持しつつ、搬送方向Dに基板100を搬送するものである。
なお、ドラム26の回転方向ωの進行方向側、すなわち、基板100が搬送される側が、下流側Ddであり、この下流側Ddの反対側が上流側Duである。
図1に示すように、成膜部40は、ドラム26が回転方向ωに回転して、基板100を搬送方向Dに搬送しつつ、ドラム26の表面26aに巻き掛けられた基板100の表面100aに無機膜102を形成するものである。
成膜部40は、第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bと、スパッタガス供給部48と、反応ガス供給部49とを有する。
制御部36により、第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bと、スパッタガス供給部48と、反応ガス供給部49が制御される。
第1の成膜ユニット40aは、第2の成膜ユニット40bよりもドラム26の上流側Duに設けられている。
第1の成膜ユニット40aは、放電ユニット42aと、アノード(アノード部)43a、43bと、第1の電源部44aと、マスク45とを有する。
また、放電ユニット42a、アノード43a、43b、およびマスク45は、第1の隔離板41aにより、成膜室14内で、他の領域と隔離されている。この第1の隔離板41aで囲まれた領域内には、圧力センサ(図示せず)が設けられている。
放電ユニット42aは、平面視長方形状に形成されており、その長手方向をドラム26の軸方向と一致させて配置されている。この放電ユニット42aは、ドラム26に巻き掛けられる基板100の幅方向の長さよりも長い。
放電ユニット42aは、図2(a)に示すように、電極板50と、金属ターゲット52と、マグネット54とを有する。電極板50の表面50aにターゲット52が設けられており、裏面50bにマグネット54が配置されている。
電極板50は、第1の電源部44aに接続されている。この電極板50は、金属ターゲット52に、第1の電源部44aから所定の電圧を印加させるものである。また、電極板50は、金属ターゲット52を保持するターゲットフォルダを兼ねるものであり、電極板50に、例えば、ボルトなどで金属ターゲット52が固定される。
金属ターゲット52は、形成する無機膜の原料となるものであり、基板100の表面100aに形成する無機膜の組成に応じた金属により形成されている。例えば、Al膜を形成する場合、金属ターゲット52に、アルミニウム(Al)を用いる。また、SiO膜またはSiN膜を形成する場合には、金属ターゲット52に、シリコン(Si)を用いる。さらに、TiO膜を形成する場合には、金属ターゲット52に、チタン(Ti)を用いる。この金属ターゲット52は、スパッタリングに用いられる一般的なものである。
マグネット54は、プラズマ放電を高密度に維持するために設けられるものであり、金属ターゲット52の表面52aに一定の磁力を発生させる。このマグネット54は、電極板50の裏面50b側に、間隔をあけて、例えば、3個、平行に設置されている。このマグネット54は、公知のマグネトロンスパッタリング装置で利用されているマグネットが用いられる。
第1の成膜ユニット40aにおいては、放電ユニット42aが、ドラム26の表面26aに対して所定の距離の隙間Sをあけて配置されている。
第1の成膜ユニット40aとドラム26の表面26aとの隙間SがプラズマPの発生空間となる。
アノード43a、43bは、放電ユニット42aの周囲近傍に設けられるものであり、放電ユニット42aの両側の近傍に設けられている。このアノード43a、43bは、放電ユニット42aにおける放電を維持するために設けられるものである。
アノード43a、43bは、放電ユニット42aの周囲の縁から、例えば、20mm間隔をあけて設けられる。
マスク45は、第1の成膜ユニット40aで形成する無機膜が、アノード43a、43bに付着することを防止するためのものである。このマスク45は、アノード43aと放電ユニット42aとの間、およびアノード43bと放電ユニット42aとの間に設けられている。また、このマスク45は、放電ユニット42aの周囲を取り囲む筒状部材により構成してもよい。
なお、マスク45は、例えば、金属または合金により構成されるものである。また、マスク45は、接地されていても、フローティング電位にされていてもよい。
第1の電源部44aは、放電ユニット42a(金属ターゲット52)に一定周期で、負の電圧を印加する機能を有するものである。
第1の電源部44aには、例えば、パルス電源が用いられる。このパルス電源は、矩形波状に電圧を周期的に発生するとともに、電圧値および電圧発生時間を調節する機能を有する。このパルス電源により、放電ユニット42aの電極板50を介して金属ターゲット52に、例えば、1周期のうち、所定の負の電圧を、所定の時間間隔で所定時間印加することができる。パルス電源により電圧が印加されている間、アノード43a、43bは、接地電位に保たれている。
なお、第1の電源部44aに用いられるパルス電源には、例えば、公知のDCパルススパッタリング装置または公知のデュアルマグネトロンスパッタリング装置で利用されているパルス電源が用いられる。
また、第1の電源部44aは、パルス電源に限定されるものではなく、例えば、公知のRFスパッタリング装置で利用されている高周波電源を用いることもできる。
本実施形態の第1の成膜ユニット40aにおいては、第1の電源部44aとして、パルス電源を用い、1周期のうち、負の電圧を発生させる時間を長くすることにより、スパッタされる時間を長くすることができ、成膜速度を速くすることができる。
また、本実施形態の第1の成膜ユニット40aにおいては、放電ユニット42a(金属ターゲット52)の数は、1つに限定されるものではなく、複数あってもよい。この場合、各放電ユニットに第1の電源部が設けられる。
第2の成膜ユニット40bは、放電ユニット42b、42cと、第2の電源部44bとを有する。
放電ユニット42b、42cは、第2の隔離板41bにより、成膜室14内で、他の領域と隔離されている。この第2の隔離板41bで囲まれた領域内には、圧力センサ(図示せず)が設けられている。
放電ユニット42b、42cは、平面視長方形状に形成されており、その長手方向をドラム26の軸方向と一致させて配置されている。この放電ユニット42b、42cは、ドラム26に巻き掛けられる基板100の幅方向の長さよりも長い。
なお、図2(b)に示す放電ユニット42b、42cは、上述の図2(a)に示す放電ユニット42aと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
第2の成膜ユニット40bにおいては、放電ユニット42bと放電ユニット42cとが組みにされており、第2の電源部44bが、放電ユニット42bの電極板50と放電ユニット42cの電極板50に接続されている。第2の成膜ユニット40bは、いわゆるデュアルマグネトロンスパッタ方式の構成である。
第2の成膜ユニット40bにおいては、放電ユニット42b、42cが、ドラム26の表面26aに対して所定の距離の隙間Sをあけて、回転方向ωの上流側Du側から下流側Ddに沿って配置されている。
第2の成膜ユニット40bにおいて、ドラム26の表面26aと放電ユニット42b、42cとの隙間SがプラズマPの発生空間となる。
第2の成膜ユニット40bの第2の電源部44bは、第1の電源部44aと同様に、パルス電源を用いることができる。この第2の電源部44bは、第1の電源部44aと同様に、矩形波状に電圧を周期的発生するとともに、電圧値を調節する機能を有する。この第2の電源部44bによる電圧発生時間は、常に1周期の半分、すなわち、デューティー比50%である。
この第2の電源部44b(パルス電源)により、所定負の電圧が、1周期のうち、一方の放電ユニット42bの金属ターゲット52に半分印加(デューティー比50%)され、他方の放電ユニット42cの金属ターゲット52に半分印加(デューティー比50%)される。このように、放電ユニット42b、42c(カソード(電極板50、金属ターゲット52))に負の電圧を交互に常に1周期の半分ずつ印加することにより、隣接する放電ユニット42b、42cが、交互にカソード、アノードとして作用する。
なお、この第2の電源部44b(パルス電源)には、例えば、公知のDCパルススパッタリング装置または公知のデュアルマグネトロンスパッタリング装置で利用されているパルス電源が用いられる。
また、第2の電源部44bは、パルス電源に限定されるものではなく、例えば、公知のRFスパッタリング装置で利用されている高周波電源を用いることもできる。
また、本実施形態の第2の成膜ユニット40bにおいては、放電ユニット42b、42cの組の数は、1つに限定されるものではなく、複数あってもよい。この場合、各放電ユニットに第2の電源部が設けられる。
また、本実施形態の第2の成膜ユニット40bにおいては、放電ユニット42b、42cの数も、2つに限定されるものではなく、2つ以上あることが好ましい。
スパッタガス供給部48は、配管48a、48bを介して、各放電ユニット42a〜42cとドラム26の表面26aとの隙間Sに、アルゴンガス等のスパッタガスを供給するものである。このスパッタガス供給部48は、アルゴンガスなどのスパッタガスが充填されたボンベ(図示せず)、およびマスフローコントローラ(図示せず)、または流量調節用バルブ(図示せず)などを有するものであり、配管48a、48bに、例えば、マスフローコントローラ、または流量調節用バルブを介してボンベが接続されている。
反応ガス供給部49は、配管49a、49bを介して、各放電ユニット42a〜42cとドラム26の表面26aとの隙間Sに、形成する膜の組成に応じた反応ガスを供給するものであり、無機膜として、酸化膜を形成する場合には、酸素ガスを供給し、無機膜として、窒化膜を形成する場合には、窒素ガスを供給する。この反応ガス供給部49は、酸素ガス、または窒素ガスなどの反応ガスが充填されたボンベ(図示せず)、およびマスフローコントローラ(図示せず)、または流量調節用バルブ(図示せず)などを有するものであり、配管49a、49bに、例えば、マスフローコントローラ、または流量調節用バルブを介してボンベが接続されている。
なお、本実施形態においては、第1の成膜ユニット40aよりも、第2の成膜ユニット40bの方が、真空度が高い状態、すなわち、圧力が低い状態で成膜するが、これは、第2の成膜ユニット40bに供給するプロセスガス(スパッタガスまたは反応ガス)の量を調節することによりなされる。
本実施形態において、圧力が低い状態で成膜すると、スパッタされた粒子が雰囲気中のプロセスガスと衝突しにくいため、エネルギーロスが少なく、緻密な膜が形成される。
本実施形態において、例えば、基板100の表面100aに、Al膜を形成する場合、金属ターゲット52に、アルミニウム製のものを用い、反応ガスに酸素ガスを用いる。アルミニウム原子が金属ターゲット52から飛び出し、酸素ガスと反応して、Al原子となり、Al膜が形成される。
また、SiO膜を形成する場合、金属ターゲット52に、シリコン製のものを用い、反応ガスに酸素ガスを用いる。シリコン原子が金属ターゲット52から飛び出し、酸素ガスと反応して、SiO原子となり、SiO膜が形成される。
さらには、SiN膜を形成する場合、金属ターゲット52に、シリコン製のものを用い、反応ガスに窒素ガスを用いる。シリコン原子が金属ターゲット52から飛び出し、窒素ガスと反応して、SiN原子となり、SiN膜が形成される。
さらにまた、TiO膜を形成する場合、金属ターゲット52に、チタン製のものを用、反応ガスに酸素ガスを用いる。チタン原子が金属ターゲット52から飛び出し、酸素ガスと反応して、TiO原子となり、TiO膜が形成される。
本実施形態において、第1の成膜ユニット40aは、有機物を含む基板100の表面100aに第1の無機層104を形成するものである。第1の成膜ユニット40aにおいては、放電ユニット42aの両側付近にアノード43a、43bを設けているため、金属ターゲット52は付近のアノード43a、43bと放電を維持するため、プラズマの広がりが小さい。このため、イオンボンバード効果が小さく、有機物を含む基板100へのダメージが小さい。これにより、有機物を含む基板100の表面が粗面化されることもなく、また、基板100を構成する有機物が分解されることも抑制される。なお、アノード43a、43bの配置を設計することで、これらの有機物を含む基板100の表面100aの粗面化、および基板100の有機物の分解について、更に抑制することができる。
このように、基板100に含まれる有機物に悪影響を与えることなく、第1の無機層104を基板100の表面100aに平滑に形成することができる。
本実施形態においては、第1の無機層104は、例えば、厚さ3nmに形成する。
一方、第2の成膜ユニット40bにおいては、放電ユニット42bと放電ユニット42cとが交互に、アノードとカソードに入れ換わる。このため、放電ユニット42bと放電ユニット42cとにおける金属ターゲット52のチャージアップが抑制され、高電力投入時の異常放電抑制効果が大きく、長時間安定性にも適する。また、隣接する2つの放電ユニット42bと放電ユニット42cとの間でプラズマを形成するため、プラズマの広がりが大きく、基板に到達するプラズマ成分が多いため、高電力にする程、形成する第2の無機層106について、イオンボンバード等の効果により、層の密度を高くし、より緻密な絶縁膜とすることができ、緻密化を図ることができる。
また、第2の無機層106は、第1の無機層104上に形成するため、有機物を含む基板100にダメージを与えることも抑制される。
しかしながら、第2の成膜ユニット40bにおいては、第1の成膜ユニット40aに比して、プラズマの広がりが大きく、基板に到達するプラズマも多いため、有機物を含む基板100の表面100aに成膜する場合、プラズマによる有機物に与える影響(温度上昇、エッチング作用)が激しくなり、有機物を含む基板100の表面100aが粗面化されたり、基板100を構成する有機物に含まれる炭素等の分解が生じる。このため、第2の成膜ユニット40bにおいて、有機物を含む基板100の表面100a上に成膜する場合には、プラズマによる基板100に含まれる有機物に与える影響を小さくするために、印加電圧を小さくする必要があり、これにより、成膜速度が抑制される。
本発明においては、有機物に与える影響が、無機膜を形成するに際して、金属ターゲットと、アノードとの配置状態に大きく関係していることを見出した。そこで、本実施形態の成膜装置10のように、金属ターゲット52の両側にアノード43a、43bを設けた第1の成膜ユニット40aを、2つの金属ターゲット52を組にしてアノードとカソードとが交互に入れ換わる第2の成膜ユニット40bよりも上流側Duに設ける構成とした。
このように、第1の成膜ユニット40aを第2の成膜ユニット40bよりも上流側Duに設けることにより、有機物を含む基板100へのダメージを抑制しつつ、第1の無機層104を形成し、次に、第2の成膜ユニット40bにより、第1の無機層104上に第2の無機層106を形成する。このようにして、無機膜102を形成することができる。
本願発明者は、更に、有機物を含む基板100の表面100aが僅な無機膜で覆われれば、基板100の表面100aへのダメージが抑制されることを見出し、第1の無機層104は、厚さが5nm未満であっても、基板100の表面100aへのダメージを抑制する効果があることも見出している。このため、第1の無機層104の厚さは、5nm未満であってもよく、その下限値としては、2nmである。
このように、有機膜109へのダメージを抑制する第1の無機層104は、ごく薄く形成すればよいことから、第1の無機層104の成膜速度を速くでき、ひいては、無機膜102の成膜速度を速くすることができる。
本実施形態においては、第1の成膜ユニット40aは、第2の成膜ユニット40bよりも成膜速度を早くしても、プラズマにより成膜対象に与える影響が小さい。
一方、第2の成膜ユニット40bにおいては、成膜速度を早くするには、高電力を投入する必要があり、これによりイオンボンバード効果が大きくなり、プラズマによる成膜対象に与える影響が大きい。
このため、本実施形態においては、第1の成膜ユニット40aと第2の成膜ユニット40bとの順番を入れ換えると、平滑かつ緻密な無機膜102を形成することができない。
なお、本実施形態においては、ドラム26は、フローティング電位であることが好ましい。ドラム26をフローティング電位とすることにより、プラズマ電位と同電位となるため、プラズマ成分がドラム側、すなわち、基板100の表面100a側に到達しにくくなる。これにより、より一層、基板100の表面100aへのダメージを抑制することができる。このため、第1の成膜ユニット40aで形成される第1の無機層104が、より一層平滑になる。
このようにして、本実施形態の成膜装置10は、成膜速度を維持しつつ、すなわち、生産性を維持しつつ、基板100の表面100aに無機膜102を形成することができる。
さらには、本実施形態においては、第1の成膜ユニット40aよりも、第2の成膜ユニット40bの方が成膜時の圧力が低い状態で成膜する。これにより、第1の無機層104は、高い圧力で形成されるため、基板100の表面100aへのダメージをより一層小さく形成することができる。一方、第2の成膜ユニット40bにおいては、低い圧力で第2の無機層106を成膜することにより、より一層緻密な膜を形成することができる。このように、第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bとを分離することにより、最終的には、欠陥がなく、平滑かつ緻密な無機膜102を形成することができる。
なお、本実施形態においては、第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bとは、1つのドラムに設ける構成としたが、本発明は、これに限定されるものではなく、第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bとで、成膜室を分けるようにしてもよい。この場合、例えば、成膜装置において、各成膜室にドラムを設け、各ドラムに、それぞれ第1の成膜ユニット40aと、第2の成膜ユニット40bとを設ける構成としてもよい。
また、本実施形態の成膜装置10においては、各放電ユニット42a〜42cとドラム26の表面26aとの隙間Sに、出入り自在にシャッター(図示せず)を設けることが好ましい。このシャッターは、ドラム26の表面26aおよび基板100の表面100aに膜が形成されないようにするためのものであり、各放電ユニット42a〜42cの金属ターゲット52から飛び出す金属原子を遮蔽する。シャッターは、例えば、各放電ユニット42a〜42cの全域を覆うように構成され、成膜時には、隙間Sから退避している。
なお、シャッターには、金属原子が付着するため、その付着した金属原子を、例えば、プラズマ、薬品、研磨などを用いて取り除くことが可能な除去機構を有することがより好ましい。
次に、本実施形態の成膜装置10の成膜方法について説明する。
成膜装置10は、供給室12から成膜室14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、供給室12から巻取り室16まで長尺な基板100を通して搬送しつつ、成膜室14において、基板100に無機膜102を形成し、機能性フィルム110を形成するものである。
成膜装置10においては、長尺な基板100が、例えば、反時計回り巻回された基板ロール20からガイドローラ21を経て、成膜室14に搬送される。成膜室14においては、ガイドローラ24、ドラム26、ガイドローラ28を経て、巻取り室16に搬送される。巻取り室16においては、ガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、長尺な基板100が巻き取られる。長尺な基板100を、この搬送経路で通した後、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部を真空排気部32により、所定の真空度(所定の圧力)に保つ。
成膜部40においては、成膜条件に基づいて、制御部36により、第1の成膜ユニット40aの第1の電源部44aから放電ユニット42aに印加する印加電圧、およびこの印加電圧を印加する時間(デューティー比)も決定されている。
また、第2の成膜ユニット40bの第2の電源部44bから放電ユニット42b、42c(電極板50、金属ターゲット52)に印加する印加電圧が決定されている。また、成膜時に、放電ユニット42b、42cの組には、デューティー比50%で、印加電圧−Vが交互に印加される。
次に、スパッタガス供給部48から配管48a、48bを介して、スパッタガスとして、アルゴンガスを所定の量を供給するとともに、反応ガス供給部49から配管49a、49bを介して、隙間Sに反応ガス(酸素ガス、窒素ガス等)を所定の量供給する。この場合、設定された成膜条件に基づいて、真空排気部32により、成膜室14内は、例えば、1Pa以下の成膜圧力に保持される。
このとき、第2の隔壁板41bに囲まれた放電ユニット42b、42cの周囲の圧力は、アルゴンガスの供給量および反応ガス(酸素ガス、窒素ガス等)の供給量が調節されて、第1の隔壁板41aに囲まれた第1の成膜ユニット40aの圧力よりも低く保たれている。
次に、図2(a)に示すように、第1の電源部44aから放電ユニット42aの電極板50を介して金属ターゲット52に、例えば、1周期のうち、所定の負の電圧を、所定の時間間隔で所定時間印加し、プラズマPを生成させる。このプラズマPによりイオン化したアルゴンガスが金属ターゲット52の表面52aに衝突し、金属ターゲット52から金属原子(スパッタ粒子)が飛び出す。この金属原子が反応ガスと反応して、酸化物または窒化物などの無機物となり、基板100の表面100aに付着して、第1の無機層104が形成される。このとき、アノード43a、43bは、接地電位に保たれている。
次に、ドラム26により第2の成膜ユニット40bに搬送される。この第2の成膜ユニット40bにおいては、図2(b)に示すように、第2の電源部44bから、負の電圧(−V)を各電極板50(金属ターゲット52)に印加し、プラズマPを生成させる。このプラズマPによりイオン化したアルゴンガスが金属ターゲット52の表面52aに衝突し、金属ターゲット52から金属原子が飛び出す。この金属原子が反応ガスと反応して、酸化物または窒化物などの無機物となり、基板100の表面100aに形成された第1の無機層104の表面104aに付着し、第2の無機層106が形成される。これにより、無機膜102が形成され、機能性フィルム110が得られる。
そして、順次、長尺な基板100が反時計回り巻回された基板ロール20をモータにより時計回りに回転させて、長尺な基板100を連続的に送り出し、ドラム26を所定の速度で回転させつつ、長尺な基板100の表面100aに、第1の成膜ユニット40aおよび第2の成膜ユニット40b成膜部40により連続的に、第1の無機層104、その上に第2の無機層106を形成して、無機膜102を形成する。これにより、表面100aに無機膜102が形成された基板100、すなわち、機能性フィルム110が製造される。この機能性フィルム110が、ガイドローラ28、およびガイドローラ31を経て、巻取りロール30に巻き取られる。
このようにして、本実施形態の成膜装置10の成膜方法においては、表面100aに無機膜102が形成された基板100、すなわち、図3(a)に示す第1の無機層104と第2の無機層106とかなる無機膜102が形成された機能性フィルム110を製造することができる。
本実施形態においては、有機膜の表面の粗面化、および有機膜の分解が抑制されるため、無機膜を構成する第1の無機層104は平滑に形成される。このため、その後、第2の無機層106が形成されても、得られる無機膜102は、ピンホール、クラック等の欠陥がない。これにより、最終的に得られる機能性フィルム110は、その用途に応じた性能を有する。
本発明において、基板100は、有機物を含むものに限定されるものではない。例えば、図3(b)に示すように、長尺のベースフィルム(基材)108の表面に有機膜109が形成されたものも、有機物を含む基板100という。この場合、ベースフィルム108は、有機物を含むPETフィルム、PENフィルム等の各種の樹脂フィルムであっても、アルミニウムシートなどの各種の金属シート等であってもよい。
成膜装置10を用いて、有機膜109を有する基板100の表面100aに、上述のように、無機膜102(図3(b)参照)を形成して、例えば、光学フィルムまたはガスバリアフィルム等の機能性フィルム110a(図3(b)参照)を製造する。
本実施形態の成膜装置10においては、上述のように、第1の成膜ユニット40aを第2の成膜ユニット40bよりも上流側Duに設けて、基板100の有機物へのダメージを抑制している。基板100が有機膜109を有するものである場合、有機物を含む基板100よりも、基板全体での有機物の量が多く、プラズマによる影響が大きい。このため、基板100が有機膜109を有する場合には、特に、ダメージを抑制することができるため、好ましい。
さらには、有機膜109を有する基板100においても、有機膜表面が僅な無機膜で覆われれば、有機膜へのダメージが抑制されることを見出しており、第1の無機層104の厚さが5nm未満であっても、有機膜109へのダメージを抑制する効果があることも見出している。このため、第1の無機層104の厚さは、5nm未満であってもよく、その下限値としては、2nmである。
このように、基板が有機膜109を有するものであっても、有機膜109へのダメージを抑制する第1の無機層104は、ごく薄く形成すればよいことから、第1の無機層104の成膜速度を速くでき、ひいては、無機膜102の成膜速度を速くすることができる。
本実施形態において、例えば、機能性フィルムとして、ガスバリアフィルム(水蒸気バリアフィルム)を製造する際には、ガスバリア膜として、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜等の無機膜を成膜する。
また、機能性フィルムとして、有機ELディスプレイおよび液晶ディスプレイのような表示装置などの各種のデバイスまたは装置の保護フィルムを製造する際には、膜として、酸化ケイ素膜等の無機膜を成膜する。
さらに、機能性フィルムとして、光反射防止フィルム、光反射フィルム、各種のフィルタ等の光学フィルムを製造する際には、膜として、目的とする光学特性を有する膜、または目的とする光学特性を発現する材料からなる膜を成膜する。
本実施形態において、成膜する膜は、特に限定されるものではなく、反応性スパッタリングによって成膜可能なものであれば、製造する機能性フィルムに応じて要求される機能を有するものが適宜形成することができる。また、膜の厚さにも、特に限定はなく、機能性フィルムに応じて要求される性能に応じて、必要な膜さを適宜決定すればよい。
さらに、成膜する膜は、単層に限定はされず、複数層であってもよい。膜を複数層形成する場合には、各層は、同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
以上、本発明の成膜装置および成膜方法ならびにガスバリアフィルムについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の成膜装置および成膜方法の実施例について具体的に説明する。
本実施例においては、図1に示す成膜装置10の第1の成膜ユニットおよび第2の成膜ユニットを有する第1の成膜装置(本発明の成膜装置に相当する)と、図1に示す成膜装置10の第2の成膜ユニットだけ有する第2の成膜装置とを用いた。
基板に、PETフィルムと、PENフィルムを用い、PETフィルムの表面、PENフィルムの表面に、それぞれ無機膜として、Al膜を形成して、ガスバリアフィルムを製造した。製造した各ガスバリアフィルムについて、その水蒸気バリア性を評価した。
本実施例の基板に用いたPETフィルムおよびPENフィルムは、厚さが100μmである。
本実施例の第1の成膜装置、第2の成膜装置は、基本的には、図1に示す成膜装置と同様の構成であり、以下のように、カソードの数とその配置が異なる。
第1の成膜装置においては、ドラム26に対して、回転方向ωに沿ってカソードが6個配列されている。この第1の成膜装置においては、6個のカソードのうち、2個が、第1の成膜ユニット40aと同様の構成であり、残りの4個については、第2の成膜ユニット40bと同様に2個で1組されている。
また、第2の成膜装置においても、ドラム26に対して、回転方向ωに沿ってカソードが6個配列されている。この第2の成膜装置においては、6個のカソードについて、第2の成膜ユニット40bと同様に2個で1組にされている。
本実施例の第1の成膜装置、第2の成膜装置において、成膜条件としては、ターゲットにAl金属ターゲットを用いた。ドラムの温度を20℃に保持するとともに、ドラムはフローティング電位とした。また、第1の成膜装置、第2の成膜装置のいずれも、成膜室内の圧力(到達真空度(背圧))を3.0×10−5Paとした。プロセスガス(スパッタガス、反応ガス)に、ArガスとOガスを用いた。成膜時の圧力は、第1の成膜ユニット40aを0.2Paとし、第2の成膜ユニット40bを0.03Paとした。以上の成膜条件で、Al膜を40nm形成した。
水蒸気バリア性については、Ca法(特開2005−283561号公報に記載されるカルシウム腐食法)を用いて水蒸気透過率を測定して、評価した。このCa法(カルシウム腐食法)の測定条件は、温度40℃、相対湿度90%とした。
本実施例において、第1の成膜装置により製造したガスバリアフィルム、および第2の成膜装置により製造したガスバリアフィルムについて、水蒸気透過率の測定した結果を下記表1に示す。
Figure 2010095735
上記表1に示すように、本発明に相当する第1の成膜装置で製造したガスバリアフィルムは、第2の成膜装置で製造したガスバリアフィルムに比して、水蒸気透過率が小さく、すなわち、水蒸気バリア性が大幅に高く、水蒸気バリア性能が優れていた。
本発明の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。 (a)は、図1に示す成膜装置の成膜部の第1の成膜ユニットの要部を示す模式図であり、(b)は、図1に示す成膜装置の成膜部の第2の成膜ユニットの要部を示す模式図である。 (a)は、本発明の実施形態に係る成膜装置により得られる機能性フィルムの一例を示す模式図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る成膜装置により得られる機能性フィルムの一例を示す模式図である。
符号の説明
10 成膜装置
12 供給室
14 成膜室
16 巻取り室
20 基板ロール
21,24,28,31 ガイドローラ
30 巻取りロール
32 真空排気部
36 制御部
40 成膜部
40a 第1の成膜ユニット
40b 第2の成膜ユニット
44a 第1の電源部
44b 第2の電源部
100 基板
102 無機膜
108 ベースフィルム(基材)
109 有機膜
110、110a ガスバリアフィルム
D 搬送方向
Z 基板

Claims (7)

  1. 成膜室内で、有機物を含む長尺の基板を所定の搬送方向に搬送しつつ、スパッタリングを行い前記基板の表面に所定の無機膜を形成する成膜装置であって、
    前記成膜室内を所定の真空度にする真空排気部と、
    前記基板の表面に対向して配置された第1のターゲット、前記第1のターゲットの周囲近傍に設けられたアノード部、および前記第1のターゲットに一定周期で電圧を印加する第1の電源部を備える第1の成膜ユニットと、
    前記第1の成膜ユニットよりも前記基板の搬送方向の下流側に設けられ、前記基板の表面に対向して配置された2つ以上のターゲット、および前記各ターゲットに交互に電圧を印加する第2の電源部を備える第2の成膜ユニットと、
    前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給するスパッタガス供給部とを有し、
    前記第1の成膜ユニットと前記第2の成膜ユニットにより前記無機膜を形成することを特徴とする成膜装置。
  2. さらに、前記無機膜の成膜時に、前記基板と前記第1のターゲットとの間および前記基板と前記各ターゲットとの間に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部を有する請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記基板は、ドラムに巻き掛けられて搬送されるものであり、前記ドラムの電位は、フローティング電位である請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 真空雰囲気中を、有機物を含む長尺の基板を所定の搬送方向に搬送しつつ、スパッタリングを行い前記基板の表面に所定の無機膜を形成する成膜方法であって、
    第1のターゲットと、前記第1のターゲットの周囲に設けられたアノード部と、前記第1のターゲットに一定周期で電圧を印加する第1の電源部とを備える第1の成膜ユニットの前記第1ターゲットに対向して、前記基板を搬送するとともに、
    前記第1の成膜ユニットよりも前記基板の搬送方向の下流側に設けられ、前記基板の表面に対向して配置された2つ以上のターゲットと、前記各ターゲットに交互に電圧を印加する第2の電源部とを備える第2の成膜ユニットの前記各ターゲットに対向して、前記基板を搬送するものであって、
    前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給する工程と、
    前記第1の成膜ユニットにおいて、第1のターゲットに負の電圧を所定の時間間隔で所定時間印加して、前記基板の表面に第1の無機層を形成する工程と、
    前記第2の成膜ユニットにおいて、前記各ターゲットに交互に電圧を印加して、前記第1の無機層の上に第2の無機層を形成して、前記無機膜を形成する工程とを有することを特徴とする成膜方法。
  5. 前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間にスパッタガスを供給する工程においては、さらに、前記基板と前記第1のターゲットとの間、および前記基板と前記各ターゲットとの間に反応性ガスを供給する請求項4に記載の成膜方法。
  6. 前記基板は、ドラムに巻き掛けられて搬送されるものであり、前記ドラムの電位は、フローティング電位である請求項4または5に記載の成膜方法。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の成膜方法により形成された無機膜を有することを特徴とするガスバリアフィルム。
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