JP5887272B2 - 細胞培養基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養基材の製造方法に関する。さらに詳しくは、再生しようとする組織の形状に対応した形状を有する細胞を再生する際に好適に使用することができる細胞培養基材の製造方法に関する。
近年、各種細胞の分化や誘導を目的とした胚幹細胞(ES細胞)、間様系細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、前駆体細胞などを用いた細胞の培養による再生医療に期待が高まっている。細胞を培養する際には、一般に、平板状基板からなる培地が用いられている。この培地に好適に使用することができる生体適合性に優れた材料として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインを含有するモノマー組成物を重合させることによって得られるポリマーブラシを基板表面に有する医療用材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記医療用材料は、タンパク質、血球などの生体成分との相互作用が小さく、生体適合性に優れているものである。しかし、前記医療用材料上で細胞を任意形状で容易に培養させることができれば、再生医療などに大きく貢献することが期待されるが、前記医療用材料上で細胞を任意形状で培養させることができる細胞培養基材を容易に製造することができる方法が確立されていないため、当該方法の開発が急務となっている。
特開2010−57745号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、細胞を任意形状で培養させることができる細胞培養基材を容易に製造することができる栽培用基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 基材の表面上に重合体の被覆層が形成された細胞培養基材の製造方法であって、前記重合体が式(I):
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜6のアルキレン基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜4のアルキレン基、Yは酸素原子または−NH−基を示す)
で表わされる窒素原子含有単量体を含有する単量体成分を重合させてなる重合体であり、前記重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射することによって当該イオンビームが照射された重合体の被覆層を除去することを特徴とする細胞培養基材の製造方法、
(2) 単量体成分が、さらに、アルキル(メタ)アクリルアミド系単量体、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート系単量体、糖骨格含有単量体、ホスホベタイン系単量体およびスルホベタイン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の共重合性単量体を含有する前記(1)に記載の細胞培養基材の製造方法、
(3) 基材の表面上で単量体成分を重合させることによって重合体の被覆層を形成する前記(1)または(2)に記載の細胞培養基材の製造方法、ならびに
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養基材の製造方法によって得られた細胞培養基材
に関する。
本発明の細胞培養基材の製造方法によれば、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材を容易に製造することができる。
本発明の細胞培養基材の製造方法は、前記したように、基材の表面上に重合体の被覆層が形成された細胞培養基材の製造方法であり、前記重合体が式(I):
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜6のアルキレン基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜4のアルキレン基、Yは酸素原子または−NH−基を示す)
で表わされる窒素原子含有単量体を含有する単量体成分を重合させることによって得られる重合体であり、前記重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射することによって当該イオンビームが照射された重合体の被覆層を除去することを特徴とする。
本発明においては、重合体として、窒素原子含有単量体を含有する単量体成分を重合させることによって得られる重合体を用い、さらに当該重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射する点に1つの大きな特徴がある。このように、前記重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射した場合には、イオンビームが照射された箇所の重合体が除去されるので、所定形状の被覆パターンを有する細胞培養基材が得られる。この細胞培養基材を用いて細胞を培養したとき、イオンビームが照射された箇所では前記重合体が存在していないので細胞が培養されるが、イオンビームが照射されずに前記重合体が存在している箇所では細胞が培養されないことから、所定形状で細胞を培養することができる。
式(I)で表わされる窒素原子含有単量体において、R1は、水素原子またはメチル基である。
2は、炭素数1〜6のアルキレン基であるが、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、より好ましくは炭素数が1または2のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数が2のアルキレン基である。R2の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1〜6のアルキレン基のなかでは、メチレン基およびエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
3およびR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜4のアルキル基のなかでは、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
5は、炭素数1〜4のアルキレン基である。炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜4のアルキレン基のなかでは、メチレン基およびエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
Yは、酸素原子または−NH−基である。
式(I)で表わされる窒素原子含有単量体は、水和物を含む概念のものである。したがって、式(I)で表わされる窒素原子含有単量体の概念には、当該式(I)で表わされる窒素原子含有単量体のみならず、その一水和物などの水和物が含まれる。
式(I)で表わされる窒素原子含有単量体としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルアミノエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および/または「メタクリロイル」を意味する。
なお、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインは、例えば、特開平9−95474号公報、特開平9−95586号公報、特開平11−222470号公報などに記載されている方法により、高純度で容易に調製することができる。
単量体成分は、式(I)で表わされる窒素原子含有単量体のみで構成されていてもよく、当該窒素原子含有単量体と共重合可能な単量体(以下、「共重合性単量体」という)を含有していてもよい。
共重合性単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリルアミド系単量体、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート系単量体、糖骨格含有単量体、ホスホベタイン系単量体、スルホベタイン系単量体などが挙げられ、これらの共重合性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分にアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体を含有させた場合、得られる重合体の耐加水分解性を向上させることができるという利点がある。アルキル(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体のなかでは、N−プロピル(メタ)アクリルアミドおよびN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましく、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドがより好ましく、N−イソプロピルアクリルアミドがさらに好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド」および/または「メタクリルアミド」を意味する。
ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート系単量体は、得られる重合体に細胞が付着することを抑制するという性質を有する。ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリオキシエチレン(メタ)アクリレート系単量体;2−メトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味する。
糖骨格含有単量体は、得られる重合体に細胞が付着することを抑制するという性質を有する。糖骨格含有単量体としては、例えば、グルコシルエチル(メタ)アクリレート、グルコシルウレアエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの糖骨格含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホスホベタイン系単量体は、得られる重合体に細胞が付着することを抑制するという性質を有する。ホスホベタイン系単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホコリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのホスホベタイン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スルホベタイン系単量体は、得られる重合体に細胞が付着することを補助するという性質を有する。スルホベタイン系単量体としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタインなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホベタイン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体と共重合性単量体とを併用する場合、窒素原子含有単量体と共重合性単量体との比〔窒素原子含有単量体/共重合性単量体(質量比)〕は、生体適合性を向上させる観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは3/97以上、さらに好ましくは5/95以上、特に好ましくは10/90以上であり、当該共重合性単量体による性質を十分に付与する観点から、好ましくは99/1以下、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。なお、本明細書にいう「生体適合性」とは、タンパク質が吸着されがたい性質のことを意味する。
本発明に用いられる単量体成分は、窒素原子含有単量体および必要により共重合性単量体を含有するが、本発明の目的が阻害されない範囲内で、窒素原子含有単量体および共重合性単量体と共重合可能な単量体を含有していてもよい。窒素原子含有単量体および共重合性単量体と共重合可能な単量体の代表例としては、炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体などが挙げられる。
炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、スチレン系単量体、カルボン酸エステル系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの共重合可能な単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分にスチレン系単量体を含有させた場合、得られる重合体の耐熱性を向上させることができるという利点がある。スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスチレン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分にカルボン酸エステル系単量体を含有させた場合、得られる重合体の親油性を向上させることができるという利点がある。カルボン酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステルなどをはじめ、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボン酸エステル系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、例えば、(11−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)ウンデシルトリクロロシラン、(4−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)ブチルトリクロロシラン、(6−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)ヘキシルトリクロロシラン、(8−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)オクチルトリクロロシランなどの有機シラン系重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、有機シラン系重合開始剤が好ましい。
なお、重合開始剤として、有機シラン系重合開始剤を用いる場合、当該有機シラン系重合開始剤をあらかじめ基材に付着させておいてもよい。このように有機シラン系重合開始剤をあらかじめ基材に付着させておいた場合には、形成される重合体の被覆層を強固に基材の表面上で固着させることができるという利点がある。
重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100モルあたり0.001〜10モルであることが好ましく、0.01〜5モルであることがより好ましい。
また、本発明においては、単量体成分を重合させる際には、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は、通常、単量体成分と混合することによって用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100質量部あたり0.01〜10質量部程度であればよい。
単量体成分を重合させる方法としては、例えば、溶液重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、単量体成分を重合させる際には、基材の表面上で単量体成分を重合させることにより、基材の表面上に被覆層を形成させることができる。単量体成分を溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、単量体成分および重合開始剤を溶媒に溶解させ、得られた溶液中に基材を浸漬させて単量体成分を重合させることにより、基材の表面上に重合体の被覆層を形成させることができる。また、表面上に重合体の被覆層を有する基材は、単量体成分を基材表面上に塗布し、光を照射したり、加熱したりすることにより、単量体成分を重合させ、重合体の被膜を基材表面上に形成させることによって製造することもできる。
溶媒としては、例えば、水をはじめ、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、有機溶媒は、単量体成分の重合反応を円滑に進行させる観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであらかじめ脱気しておくことが好ましい。
溶媒の量は、通常、単量体成分を溶媒に溶解させることによって得られる溶液における単量体成分の濃度が10〜80質量%程度となるように調整することが好ましい。
また、単量体成分を重合させる際には、臭化銅、塩化銅などの1価の銅塩、ビピリジル、トリスアミノジエチルアミンなどの多価塩基、エチル−2−ブロモイソブチレートなどの遊離性重合開始剤などを共存させてもよい。
単量体成分を重合させる際の重合温度、重合時間などの重合条件は、その単量体成分の組成、重合開始剤の種類およびその量などに応じて適宜調整することが好ましい。
単量体成分を重合させるときの雰囲気は、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
重合反応の終了や反応系内における未反応単量体の有無は、例えば、ガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析方法で確認することができる。
以上のようにして単量体成分を重合させることによって得られた重合体の重量平均分子量は、重合体のレオロジー特性や重合体の親水性と疎水性のバランスを考慮して、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上であり、溶媒に対する溶解性を高める観点から、好ましくは1000000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下である。なお、重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定することができる。
なお、基材の材質としては、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンに代表されるポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、シリコーン樹脂、セラミック、金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの材質からなる基材のなかでは、重合体を強固に基材に固定する観点から、その表面上に水酸基が存在する基材が好ましく、ガラス板などのガラス基材がより好ましい。基材としてガラス基材を用いる場合には、重合体の固着性を向上させる観点から、あらかじめガラス基材に紫外線処理やオゾン処理などの処理を施しておくことが好ましい。
表面上に水酸基が存在していない基材を用いる場合には、本発明の細胞培養基材を基材に強固に固定させる観点から、その表面上に水酸基が存在するように表面を親水化させることが好ましい。なお、例えば、ガラスなどからなる基材のように、その表面に水酸基が十分に存在している場合には、その表面上に水酸基が存在するように表面を親水化させなくてもよいことは言うまでもない。
基材の形状は、細胞培養基材の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、その用途などに応じて適宜決定することが好ましい。基材の形状としては、例えば、フィルム、シート、プレート、ロッド、所定形状に成形された成形体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
基材の表面上に重合体の被覆層を形成させた後は、重合体の被覆層が形成された基材をエタノール、水などで洗浄し、窒素ガスなどの不活性ガスを用いて乾燥させることが好ましい。
材料表面上に形成される重合体の被膜の厚さ(乾燥後の厚さ)は、細胞培養基材の用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、10nm〜10μm程度であることが好ましい。
次に、表面上に重合体の被覆層が形成された基材の被覆層の所定位置にイオンビームを照射することによって当該イオンビームが照射された重合体の被覆層を除去する。重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射したとき、イオンビームが照射された箇所の重合体が除去されるので、所定の重合体の被覆パターンを有する細胞培養基材が得られる。
イオンビームに用いられるイオンの種類としては、例えば、H+、Na+、C+、N+、N2 +、O2 +、Gd+、He+、Ne+、Ar+、Kr+などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
イオンビームによるイオンの照射量は、所定の重合体の被覆パターンを有する細胞培養基材を製造する観点から、1×1013〜1×1016個/cm2であることが好ましく、1×1013〜1×1015個/cm2であることがより好ましい。イオンビームによる加速電圧は、通常、50〜200kV程度であることが好ましい。また、イオンビームの電流密度は、通常、0.5μA/cm2以下であることが好ましい。
以上のようにして基材の被覆層の所定位置にイオンビームを照射することによって当該イオンビームが照射された重合体の被覆層が除去された細胞培養基材を用いて細胞を培養したとき、イオンビームが照射された箇所では前記重合体が存在していないので細胞が培養されるが、イオンビームが照射されずに前記重合体が存在している箇所では細胞が培養されないことから、所定形状で細胞を培養することができる。
したがって、本発明の細胞培養基材の製造方法によれば、ヒトなどの動物の再生しようとする組織の形状に対応した形状を有する細胞を再生することができる細胞培養基材が得られる。この細胞培養基材を用いれば、細胞を任意形状に培養させることができるので、再生医療などの医療現場で当該細胞培養基材を用いて細胞を所定形状(パターン)で培養させることができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(11−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)ウンデシルトリクロロシラン1.82g(4mmol)をトルエン15mLに溶解させ、重合開始剤溶液を調製した。
両面にそれぞれ1時間ずつ紫外線およびオゾンを照射することによって洗浄したガラス板(縦:24mm、横:12mm、厚さ:1mm)を100mL容のサンプル瓶に入れ、前記で得られた重合開始剤溶液をサンプル瓶内にガラス板が完全に浸るように添加した。サンプル瓶の開口部に蓋をし、室温中で18時間静置した後、サンプル瓶からガラス板を取り出し、このガラス板をトルエンで洗浄し、窒素ガスで乾燥させた。
100mL容のサンプル瓶に、臭化銅30.9mg(0.2143mmol)、2,2’−ビピリジル67.0mg(0.4286mmol)、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)および遊離性重合開始剤としてエチル−2−ブロモイソブチレート32μL(0.2143mmol)を添加した後、アルゴンガスで脱気したメタノール10mLおよび前記ガラス板を入れた。
次に、このサンプル瓶内にアルゴンガスを導入することによって空気を追い出した後、サンプル瓶の開口部に蓋をして重合反応を開始させた。室温中で6時間静置することにより重合反応を行なった後、蓋を取り除き、サンプル瓶内に空気を導入することにより、重合反応を終了させた。その後、サンプル瓶からガラス板を取り出し、エタノールおよび水で順次洗浄し、窒素ガスで乾燥させることにより、重合体の被覆層が形成されたガラス板を得た。
なお、前記で得られた重合体の重量平均分子量は、以下の方法に基づいて求めた。すなわち、100mL容のサンプル瓶に、臭化銅30.9mg(0.2143mmol)、2,2’−ビピリジル67.0mg(0.4286mmol)、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)および遊離性重合開始剤としてエチル−2−ブロモイソブチレート32μL(0.2143mmol)を添加した後、アルゴンガスで脱気したメタノール10mLを入れた。次に、このサンプル瓶内にアルゴンガスを導入することによって空気を追い出した後、サンプル瓶の開口部に蓋をして重合反応を開始させた。室温中で6時間静置することによって重合反応を行なった後、蓋を取り除き、サンプル瓶内に空気を導入することにより、重合反応を終了させた。得られた重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定したところ、15600であった。
前記で得られた重合体の被覆層が形成されたガラス板に、イオンビームを縦200μm、横200μmのハート形状で照射した。なお、イオンビームとして、Gd+を加速電圧50kVで1×1014個/cm2で照射した。このイオンビームが照射されたガラス板を直径35mmのシャーレに入れた後、このシャーレ内で5×105個のHEK−293細胞を、1%抗生物質を配合した、ウシ胎児血清で調整した培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium with FBS)にて、5体積%二酸化炭素の37℃の雰囲気中で、70%のコンフルエンシーとなるまで培養した。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
以上の結果から、実施例1によれば、式(I)で表わされる窒素原子含有単量体を含有する単量体成分を重合させることによって得られた重合体をガラス板に被覆し、前記重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることがわかる。
実施例2
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)の代わりに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン0.5035g(2.159mmol)およびN−イソプロピルアクリルアミド0.2440g(2.159mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
このことから、重合体として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインとN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体を用い、実施例1と同様にして被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された共重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることができることがわかる。
実施例3
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)の代わりに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン0.5035g(2.159mmol)および2−メトキシエチルメタクリレート0.2807g(2.159mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
このことから、重合体として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと2−メトキシエチルメタクリレートとの共重合体を用い、実施例1と同様にして被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された共重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることができることがわかる。
実施例4
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)の代わりに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン0.5035g(2.159mmol)およびグルコシルエチルメタクリレート0.7211g(2.159mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
このことから、重合体として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインとグルコシルエチルメタクリレートとの共重合体を用い、実施例1と同様にして被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された共重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることができることがわかる。
実施例5
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)の代わりに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン0.5035g(2.159mmol)および2−メタクリロリルオキシエチルホスホコリン0.5095g(2.159mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
このことから、重合体として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと2−メタクリロリルオキシエチルホスホコリンとの共重合体を用い、実施例1と同様にして被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された共重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることができることがわかる。
実施例6
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン1.007g(4.317mmol)の代わりに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン0.5035g(2.159mmol)およびN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタイン0.462g(2.159mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分にのみHEK−293細胞の成長が見られた。
このことから、重合体として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインとN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタインとの共重合体を用い、実施例1と同様にして被覆層の所定位置にイオンビームを照射し、当該イオンビームが照射された共重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長されることができるので、細胞を任意形状に培養させることができる細胞培養基材が得られることができることがわかる。
比較例1
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた1L容のコルベンに、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−503〕100gおよびエチルアルコール400gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻した。
次に、アゾビスイソブチロニトリル10gをコルベン内に添加し、コルベンの内容物の温度を80℃に保持しながら10時間熟成させた後、水浴にて30℃に冷却することにより、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は14000であった。このポリマー溶液を細胞培養基材用樹脂組成物として用いた。
次に、ガラス基板(縦:38mm、横:26mm、厚さ:1mm)を水、メタノールおよびアセトンを順に用いて洗浄した後、その両面に1時間ずつ紫外線の照射とオゾン洗浄を行なった。
前記で得られた細胞培養基材用樹脂組成物をエチルアルコールで希釈し、その濃度が1容量%となるように調整した溶液を用意し、この溶液中に前記基板を浸漬し、室温中にてそのままの状態で10分間放置し、基板表面に細胞培養基材用樹脂組成物からなる被膜を形成させることにより、細胞培養基材を作製した。
得られた細胞培養基材を前記溶液から取り出し、エチルアルコールおよび精製水で洗浄した後、窒素ガスで乾燥させることにより、重合体の被覆層が形成されたガラス板を得た。
前記で得られた重合体の被覆層が形成されたガラス板に、実施例1と同様にしてイオンビームをハート形状で照射しHEK−293細胞を培養した。その結果、イオンビームを照射することによって被覆層が除去された部分のみならず、重合体が被覆されている部分においてもHEK−293細胞の成長が見られた。
以上の結果から、比較例1によれば、イオンビームが照射された重合体の被覆層を除去することにより、被覆層が除去された部分にのみ細胞を成長させることができないことがわかる。
本発明の細胞培養基材の製造方法によれば、再生しようとする組織の形状に対応した形状を有する細胞を再生することができる細胞培養基材が提供される。この細胞培養基材を用いれば、細胞を任意形状に培養させることができるので、当該細胞培養基材は、胚幹細胞(ES細胞)、間様系細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、前駆体細胞などを所定形状で培養する際に使用することが期待されるものである。

Claims (3)

  1. 細胞を培養するための基材の表面上に重合体の被覆層が形成された細胞培養基材の製造方法であって、前記基材として表面上に水酸基が存在する基材を用い、当該基材上に式(I):
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜6のアルキレン基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜4のアルキレン基、Yは酸素原子または−NH−基を示す)
    で表わされる窒素原子含有単量体を含有する単量体成分を重合させてなる重合体の被複層を形成させ当該重合体の被覆層の所定位置にイオンビームを照射することによって当該イオンビームが照射された重合体の被覆層を当該基材から除去することを特徴とする細胞培養基材の製造方法。
  2. 単量体成分が、さらに、アルキル(メタ)アクリルアミド系単量体、ポリエチレングリコール系単量体、ポリプロピレングリコール系単量体、糖骨格含有単量体、ホスホベタイン系単量体およびスルホベタイン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の共重合性単量体を含有する請求項1に記載の細胞培養基材の製造方法。
  3. 基材の表面上で単量体成分を重合させることによって重合体の被覆層を形成する請求項1または2に記載の細胞培養基材の製造方法。
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