JP5450122B2 - 有機無機複合体 - Google Patents

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本発明は、強度、延伸性、柔軟性などの力学的性質に優れ、更に、表面エネルギー、表面平滑性、表面滑り性、吸着特性などの表面特性が制御された有機無機複合体に関するものである。
ポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)などに代表される側鎖にアルキレン基とアルコキシ基とを有するポリアクリル酸エステルは靱性付与のための高分子改質剤として広く利用されている。近年、これらポリアクリル酸エステルが生体適合性や血液適合性に優れていることが見出され、インプラント用材料などとして医療・バイオ分野への応用が期待されている(非特許文献1参照)。しかし、これらアクリル酸エステルはガラス転移温度が低く(例えば、PMEAの場合、−30℃以下である)、室温では低強度で非常に柔らかく、単独では強度不足のため実用化できないという問題があった。基材に塗布するなど方法が考えられるが、使用が大きく制限されるのが現状である。
PMEAなどのポリアクリル酸エステルを水膨潤性の粘土鉱物と複合化することにより、高強度で伸縮性に優れたPMEA複合体が得られることが開示されている(特許文献1)。しかし、この方法で得られた複合体は非常に高い延伸性を有するものの、強度的にはまだ十分なものでは無く、用途分野が制限されるという問題があった。
更に、PMEAなどのポリアクリル酸エステルは疎水性高分子であるため、上記公知文献中に開示されている水中でのin-situ重合法で複合体を調製した場合、PMEAと粘土鉱物の微粒子状の複合体が形成され易く、この微粒子状複合体が目的とした形状の複合体表面に付着し表面平滑性を損ない、同時に表面特性をも損なうという問題があった。具体的には、PMEAなどのポリアクリル酸エステルは低いタンパク吸着性を示し、細胞と癒着し難い性質を有するが、表面の平滑性が損なわれているとその部分で表面特性が発揮し難くなり細胞と癒着し易くなるという問題があった。
特開2005−232402号公報
M. Tanaka, A. Mochizuki, N. Ishii, T. Motomura, T. Hatakeyama, Biomacromolecules, Vol. 3, page 36-41 (2002).
本発明の目的は、強度、伸張性、柔軟性などの優れた力学特性を有しながら、特に、表面平滑性に優れたポリアクリル酸エステル系の有機無機複合体を得ることである。
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意研究した結果、特定構造のラジカル重合性モノマーの共重合体と粘土鉱物との複合体の場合、伸張性、柔軟性に加え、優れた強度を有し、更に、表面平滑性に優れたポリアクリル酸エステル系の有機無機複合体が得られることを見出した。
即ち、本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成してなる有機無機複合体(C)であって、
前記重合体が、下記構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)と、構造式(2)〜(4)で表されるモノマーから選択される1種以上のラジカル重合性モノマー(A2)とを含有するラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる重合体であることを特徴とする有機無機複合体であり、
前記ラジカル重合性モノマー(A)全体に対して、前記ラジカル重合性モノマー(A1)を99〜40モル%、前記ラジカル重合性モノマー(A2)を1〜60モル%使用することを特徴とする有機無機複合体を提供する。
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1〜5の整数、Rは分岐しても良い炭素数2〜3のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表すが、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であるときは、nは1又は2である。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、mは8〜30の整数、kは0〜17の整数を表す。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数2〜6のアルキレン基である。)
本発明の有機無機複合体は透明で強度、伸張性、柔軟性などの優れた力学的性質を有し、且つ、表面平滑性に優れたもので、タンパク吸着性、表面滑り性、吸着特性などの複合体が元来有する特徴ある表面特性を有効に発揮することを可能とする。
本発明で使用するラジカル重合性モノマー(A)は、下記構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)と、下記構造式(2)〜(4)で表されるラジカル重合性モノマー(A2)を併用して用いる。構造式(2)〜(4)のモノマーは併用しても構わない。
構造式(1)のモノマーとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートを好ましいものとして挙げることができるが、中でも特にメトキシエチルアクリレートが好ましく用いられる。
構造式(2)のモノマーとしては、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレートが好ましく用いられる。
構造式(3)のモノマーとしては、mが10〜25の整数、kが0〜15の整数のモノマーが好ましく用いられる。
構造式(4)のモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく用いられる。
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1〜5の整数、Rは分岐しても良い炭素数2〜3のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表すが、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であるときは、nは1又は2である。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、mは8〜30の整数、kは0〜17の整数を表す。)
Figure 0005450122
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数2〜6のアルキレン基である。)
化学構造式(1)のラジカル重合性モノマー(A1)と化学構造式(2)〜(4)のラジカル重合性モノマー(A2)との混合の割合は使用するモノマーの種類や使用目的などにより異なり一概には規定できないが、通常、ラジカル重合性モノマー(A1)99〜40モル%、ラジカル重合性モノマー(A2)1〜60モル%、好ましくはラジカル重合性モノマー(A1)98〜50モル%、ラジカル重合性モノマー(A2)2〜50モル%である。ラジカル重合性モノマー(A1)を上記範囲で用いた場合、高強度で柔軟な有機無機複合体を得ることができる。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常、全モノマー中の20モル%以下の範囲、好ましくは10モル%以下の範囲で、その他のラジカル重合性モノマーを使用することは可能である。
本発明で使用する水膨潤性粘土鉱物(B)は、層状粘土鉱物であり、層間が水で膨潤し易い水膨潤性層状粘土鉱物である。水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物が好ましく用いられる。特に好ましくは水中で分子レベル、すなわち単一層、若しくはそれに近いレベルで剥離し均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物である。層状粘土鉱物としては、具体的には、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などの膨潤性粘土鉱物が用いられ、これらを用いることにより高い力学的性質が付与される。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。これら水膨潤性粘土鉱物は混合して用いても構わない。
上記水膨潤性粘土鉱物は前記ラジカル重合性モノマーを含有する溶液中で微細かつ均一に分散するものが好ましく、特に該溶液中に溶解するものが望ましい。ここで溶解とは、粘土鉱物の沈殿を生じるような大きな凝集体が無い状態を意味する。より好ましくは1〜10層程度のナノメーターレベルの厚みで分散しているもの、特に好ましくは1〜2層程度の厚みで分散しているものである。
ラジカル重合性モノマー(A)に対する水膨潤性粘土鉱物(B)の(水膨潤性粘土鉱物の質量/ラジカル重合性モノマーの質量)質量比は0.01〜2であることが好ましく、より好ましくは0.02〜1.5、特に好ましくは0.03〜1である。かかる質量比はかかる範囲であるならば、本発明の目的とする力学的性質などを好ましく得ることができる。
本発明の有機無機複合体は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と水膨潤性粘土鉱物(B)とが相互作用して三次元網目構造を形成してなる複合体であり、水膨潤性粘土鉱物(B)が架橋点となってラジカル重合性モノマー(A)の重合体が三次元網目構造を形成しているものである。相互作用は、効果的な三次元網目が形成できれば、イオン結合、水素結合、疎水相互作用、配位結合、共有結合、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用などのいずれか一つまたは複数であっても良い。
本発明では、架橋剤として通常使用される多官能のラジカル重合性モノマーなどの有機架橋剤を使用する必要はない。しかし、本発明の目的とする効果に影響が無い範囲内で使用することは可能である。使用可能な量は使用する有機架橋剤の種類などにより異なるが通常、ラジカル重合性モノマー(A)1モルに対して0.001〜10モル%、好ましくは0.002〜5モル%、特に好ましくは0.005〜1モル%の範囲である。通常、10モル%を越えると得られる複合体の靱性が損なわれる場合がある。有機架橋剤は、公知の有機架橋剤が使用可能で、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどの多官能アクリルアミドや、ジエチレングリコール(メタ)アクリレートやジポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。使用する条件で重合溶液に可溶なものが用いられ、水溶性の有機架橋剤が好ましく用いられる。これら有機架橋剤は、通常、ラジカル重合性モノマー(A)と一緒に添加され、使用される。
本発明の有機無機複合体の製造法は、例えば、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と水膨潤性粘土鉱物(B)を直接混練する方法や、ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)とが均一に混合した溶液中でラジカル重合性モノマー(A)を重合させる方法などが挙げられる。ラジカル重合性モノマーと粘土鉱物を含む均質分散液中でラジカル重合性モノマーを重合させる方法は高い分散混合性が実現され易く、高強度の複合体が得られ易いため特に好ましい。具体的には、ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)とを水媒体に入れ、撹拌などの方法で均質混合溶液を調製した後、公知の重合開始剤と必要に応じて触媒を添加し、モノマーが重合を開始する温度で保持することによりラジカル重合性モノマー(A)を重合させて、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と水膨潤性粘土鉱物(B)とからなる三次元網目構造体中に水が含まれるゲル状の有機無機複合体を形成させる。次いで、乾燥などの方法により水を除去し有機無機複合体を得る方法を挙げることができる。
未反応モノマーやオリゴマー或いは重合開始剤などを除去する目的で得られたゲル状の有機無機複合体や乾燥させた有機無機複合体を必要に応じて、水や熱水、有機溶媒、或いは水蒸気などを用いて洗浄することも可能である。
ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)との良好な均質溶液を調製することを目的として、水と均質に混合する有機溶媒を混合して使用することも可能である。水に均質に混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。溶媒の量は特に規定されないが、通常、重合に使用する全溶媒中の60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えて使用する場合、水膨潤性粘土鉱物(B)の分散性を損なう場合がある。また、重合によっては酸素の存在を嫌うものもあり、使用する水又は水溶液は真空脱気処理や或いは窒素やアルゴンなどで溶存酸素を置換する方法は好ましい。
重合を行う際の水又は水溶液の使用量は使用するモノマーや粘土鉱物の種類や量、ゲルの使用目的などにより異なるため一概には規定できないが、通常、モノマー(A)と粘土鉱物(B)の合計質量100質量部に対して、水又は水溶液量は200〜10000質量部、好ましくは250〜5000質量部が使用される。10000質量部を越えるとゲル化が困難になる場合があり、200質量部未満では重合溶液の調製が難しくなる場合がある。
上述したラジカル重合性モノマー(A)を重合させる重合反応は、例えば、過酸化物の存在、加熱又は紫外線照射などの慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることができる。ラジカル重合開始剤及び触媒としては、慣用のラジカル重合開始剤及び触媒のうちから適宜選択して用いることができる。特に好ましいものとして、粘土鉱物と強い相互作用を有するカチオン系ラジカル重合開始剤を挙げることができる。
具体的には、重合開始剤としては、過酸化物、例えば、ペルオキソ二硫化カリウムやペルオキソ二硫化アンモニウム、アゾ化合物、例えば、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501、VA−057などが好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有するラジカル開始剤なども用いられる。
また触媒として、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。
重合温度は用いる重合溶液やラジカル重合性モノマー、重合触媒及び開始剤の種類などに合わせて設定される。通常、0〜100℃の範囲が用いられる。重合時間も触媒、開始剤、重合温度、重合溶液量などの重合条件により異なり、一概には規定できないが、一般に数十秒〜数十時間の間で行う。また、重合の雰囲気も窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うことは好ましい。
ゲル状の有機無機複合体から、水媒体を除去する方法は、特に制限は無く、乾燥などの公知の方法が可能である。ゲル状の有機無機複合体を網目状の金属やプラステックス、或いはフィルターや不織布などに挟みこんだり、金属板やプラステックスシートなどの上に載せたり、或いは、金属やプラステックスの枠に挟みこみなどの方法でゲル状の有機無機複合体を固定して、加熱或いは風乾、減圧などの公知の方法で水を除去する方法が挙げられる。
また、本発明の有機無機複合体は一端乾燥させると、水或いは生理食塩水に浸漬させたり、高湿度の雰囲気に保持させても水、或いは生理食塩水で大きく膨潤しないものが好ましい。本発明の有機無機複合体を37℃の生理食塩水に1〜7日間浸漬させた場合の膨潤度(WW/WD)(WWは生理食塩水を含み膨潤した有機無機複合体の総質量と、浸漬前の有機無機複合体の質量の差)、WDは有機無機複合体の質量である)は0.005〜5、特に0.01〜3のものが好ましい。
本発明の有機無機複合体は、柔軟性に優れ、強度、延伸性などの力学的性質に優れている。本発明における柔軟性とはフィルムやロットなど折り曲げ可能な形状の場合、90°、特に好ましくは180°折り曲げても、フィルムにクラックが生じたり、破壊したりすることのないことである。尚、折り曲げる際のフィルム厚は0.05〜1mmの範囲である。
また、本発明の有機無機複合体は柔軟性と共に、十分な強度と延伸性を有している。引張破壊試験を行った際の破断伸度は50%以上、好ましくは100%以上であり、最大強度は0.5MPa以上、好ましくは1MPa以上、特に好ましくは2MPa以上である。破断伸度と強度の上限は特に限定されないが、通常、破断伸度は5000%以下、強度は500MPa以下である。
本発明の有機無機複合体は表面平滑性に優れている。化学構造式(1)のラジカル重合モノマー(A1)単独から得られる重合体は疎水性が強く、水溶液中で重合すると沈殿を起こしやすい。そのため、重合後には微粒子状のラジカル重合モノマー(A1)の重合体と粘土鉱物との複合体が形成され易く、それが本発明の複合体の表面に付着され易い。具体的には、上記方法でラジカル重合モノマー(A1)と粘土鉱物からなる複合体を重合すると、重合後、ゲル状の複合体と同時に白濁した溶液が析出する。白濁した溶液は微粒子状の複合体でこれが複合体表面に付着する。その結果、複合体表面の平滑性や光沢が失われることとなる。一方、本発明の有機無機複合体の場合、親水性が多少改良されるとともに、粘土との相互作用も改善される。そのため、微粒子状の複合体が形成され難く、表面平滑性が大きく改善される。具体的には重合後、溶液が析出した場合でも、その溶液は透明となる。表面平滑性は目視でも確認できるが、公知の表面平滑性の測定法により知ることができる。例えば、接触式の表面粗さ計、共焦点レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の表面粗さ計、更には光沢計などを用いて光沢度を測定する方法などを挙げることができる。
また、本発明の有機無機複合体は、タンパク吸着性や表面滑り性などの特徴ある表面特性を有する。本発明の有機無機複合体は平滑性に優れているため、これらの表面特性を有効に発揮させることが可能となる。
例えば、構造式(2)若しくは(3)のラジカル重合性モノマーを用いた複合体の場合、タンパク吸着性が低く、生体適合性に優れた複合体が得られる。良好な生体適合性表面を有していても表面平滑に劣る場合、平滑性に劣る部分では生体組織と癒着し易くなることが知られている。
また、構造式(4)のラジカル重合性モノマーを用いた複合体の場合、摩擦係数の低い、表面滑り性に優れた複合体が得られる。低い摩擦係数の表面を利用する上で平滑な表面であることは特に有用である。
上述したように本発明の有機無機複合体は良好な表面平滑性を有するために、複合体が有する特徴ある表面特性を有効に生かすことが可能となる。
本発明の有機無機複合体は、重合溶液を任意の形状の容器に注入したりすることなどにより、重合後、任意の形状として得ることが可能であり、例えば、塊状、ロット状、フィルム状、塗膜状、袋状、球状、粒子状など任意の形状の有機無機複合体を得ることが可能である。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
ラジカル重合性モノマーとして、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)(アクリックス C−1:東和合成株式会社製)とヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)(ライトエステルHOP−A:共栄社化学株式会社製)を使用した。粘土鉱物は水膨潤性の合成ヘクトライト(商品名 ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)を120℃で2時間真空乾燥させて用いた。水は18Ωの超純水を用い、水は使用前に予め3時間以上窒素でバブリングさせて含有酸素を除去してから使用した。
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに純水48g入れたものに、撹拌下で0.8gの合成ヘクトライトと4.6gのMEA、2.0gのHPAを入れ(MEA/HPA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.09)、35℃で撹拌し透明な均質溶液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間ゆっくりと撹拌した後、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)32μLを加え、次いで、予め調製した純水10gとペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液2mLを撹拌下で加えた。厚さ3mm、幅10mmのシリコンゴムをスペーサとし、15cm2のガラス板2枚を用いてゲル調製容器を作成した。重合溶液を窒素雰囲気下でゲル調製容器中に入れた。尚、ゲル調製容器内への重合溶液の導入は窒素雰囲気としたグローブボックス内で行った。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。ゲルを過剰な水の中に浸漬し、50℃で2日間保持し洗浄を行った。約12時間ごとに水を入れ替えた。洗浄後、ゲルをポリプロピレン製のシートの上に載せて、40℃で乾燥させた。フィルム状の透明な複合体1(膜厚約0.4mm)が得られた。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。光沢計(東洋精機製作所製のマイクロトリグロス)で求めた20°グロスは60であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表1にまとめている。
引張試験器を用いて、複合体の強度を調べた。結果は表1にまとめている。強度3.7MPa、弾性率は36MPa、伸びは1200%であり、力学特性に優れたものであった。
複合体1を生理食塩水に浸漬させ、37℃で3日間保持した。浸漬前後の重量から、膨潤度を求めたところ、膨潤度(W/W)は0.35であった。
尚、引張破断試験は、島津製作所製の引張試験器(オートグラフAGS−H)を用いて測定した。幅5mm、厚み2mm、長さ60mmの試験片を用いて、試験長30mm、引張速度毎分100mmで測定を行った。
(比較例1)
HPAを用いないで、MEAを6.5gとして、MEA単独の複合体2を実施例1と同じ方法で調製した。重合後、白濁したゲルが得られ、真っ白い水が析出していた。真っ白い水はMEAの重合体と粘土の微粒子状のゲルであった。ゲルは伸張性が無く、柔らかく強度的にも弱いものであった。実施例1と同じ方法でゲルを洗浄し、乾燥させてフィルム状の透明な複合体2(膜厚0.5mm)を得た。フィルムには光沢が無かった。20°グロスは22であった。実施例1に比べかなり低いことが判る。顕微鏡でフィルム表面を観察すると表面に多くの微粒子が付着していた。重合後に析出した真っ白い微粒子状のゲルと思われる。一方、実施例1の場合は析出した水は透明であり、表面を荒らす原因となった微粒子状のゲルは形成されなかった。フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、複合体2は柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量、引張破壊試験の結果、及び水膨潤度を表1にまとめている。伸びは1500%と優れていたが、強度は1.7MPa、弾性率は19MPaと実施例1に比べ小さいものであった。
ガラスに対する動摩擦係数を求めた。複合体2を純水に30分間浸漬させた。約6%の重量増加が見られた。複合体2の表面を純水で濡らした状態で摩擦係数を測定した。摩擦係数は0.2であり、かなり小さな値である。
摩擦係数は20×20mmのガラス板を複合体2の表面を滑らせて求めた。摩擦力は引張試験機を用いて求めた。荷重は7.6〜107.6gの間で変化させた。
(実施例2)
HPAの代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(ライトエステルHOA:共栄社化学株式会社製)を1.7g使用し(MEA/HEA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.13)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体3を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体3(膜厚約0.4mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは60であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成で使用したモノマー量、クレイ量を表1にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表1にまとめている。強度4MPa、弾性率は22MPa、伸びは700%であった。破断伸度は700%と非常に大きく、比較例1に比べ、強度と弾性率は優れたものであった。
ガラスに対する摩擦係数を求めた。複合体3を純水に10分間浸漬させた。約20%の重量増加が見られた。複合体3の表面を純水で濡らした状態で摩擦係数を測定した。摩擦係数は0.035であり、比較例1の複合体2に比べてもかなり小さな値である。非常に優れた表面滑り性を有することが判る。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.5であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例3)
HPAの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(ライトエステルHO:共栄社化学株式会社製)を2.0g使用し(MEA/HEMA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.09)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体4を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体4(膜厚約0.3mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは65であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表1にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表1にまとめている。強度4.8MPa、弾性率は30MPa、伸びは600%であった。破断伸度は600%で非常に大きく、強度と弾性率は、比較例1に比べ、優れたものであった。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.3であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例4)
実施例3において、合成ヘクトライトを2.0g使用した(MEA/HEMA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.30)。重合溶液にはTEMEDを使用しないで、KPSだけを添加した。重合温度を50℃として複合体5を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化していた。また、水の析出は見られなかった。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体5(膜厚約0.4mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは70であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表1にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表1にまとめている。強度11MPa、弾性率は260MPa、伸びは300%であった。伸びは300%と実施例3に比べ小さいが、300%の伸度は複合材料としては優れた延伸性である。更に、強度、伸度は極めて大きく、力学的性質に優れたものであった。
乾燥した状態での複合体5のガラスに対する動摩擦係数を求めた。摩擦係数は0.4であり、表面滑り性に優れていることが判る。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.3であった。大きく膨潤するものでは無い。
(比較例2)
比較例1において、合成ヘクトライトを2.0g使用した(MEA単独)。重合溶液にはTEMEDを使用しないで、KPSだけを添加した。重合温度を50℃として複合体6を得た。重合後、白濁したゲルが得られた。水の析出は見られなかった。ゲルは伸張性が無かったが、硬く強いものであった。乾燥により、フィルム状の透明な複合体6(膜厚0.3mm)が得られた。フィルムには光沢が見られなかった。20°グロスは30であった。フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、複合体6は柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表2にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表2にまとめている。強度3.1MPa、弾性率は100MPa、伸びは750%であった。実施例4に比べ、強度、弾性率が著しく劣っているのが判る。
乾燥した状態での複合体6のガラスに対する動摩擦係数を求めた。摩擦係数は1.2であった。複合体5に比べかなり大きいことが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.03であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例5)
実施例4において、HEMAの代わりに2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)(ライトエステルHOP:共栄社化学株式会社製)を2.2g使用し(MEA/HEMA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.30)、それ以外は実施例4と同じ方法で複合体7を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化していた。また、水の析出は見られなかった。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体7(膜厚約0.4mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは72であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表2にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表2にまとめている。強度8.0MPa、弾性率は200MPa、伸びは300%であった。伸びは300%と比較例2に比べ小さいが、300%の伸度は複合材料としては優れた延伸性である。強度、弾性率は比較例2に比べて優れていることが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.04であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例6)
MEAを3.9g、HPAの代わりにエトキシジエチレングリコールアクリレート(2EC)(ライトアクリレートEC−A:共栄社化学株式会社製)を3.8g、合成ヘクトライトを1.2g使用し(MEA/2EC=6/4 モル/モル、クレイ/モノマー=0.16)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体8を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体8(膜厚約0.3mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは65であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表2にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表2にまとめている。強度2.5MPa、弾性率は34MPa、伸びは1100%であった。1100%と非常に高い破断伸度を有し、強度、弾性率は比較例1に比べて優れていることが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.1であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例7)
MEAを5.9g、HPAを0.7g使用し(MEA/HPA=9/1 モル/モル、クレイ/モノマー=0.12)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体9を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体9(膜厚約0.4mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは55であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表2にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表2にまとめている。強度3.5MPa、弾性率は37MPa、伸びは1200%であった。1200%と非常に高い破断伸度を有し、強度、弾性率は比較例1に比べて優れていることが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.01であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例8)
MEAを6.2g、HPAの代わりにエチレンオキサイド変性ノリルフェノールアクリレート(177E)(ニューフロンティアN−177E:第一工業製薬株式会社製)をg使用し(MEA/177E=96/4 モル/モル、クレイ/モノマー=0.1)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体10を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体10(膜厚約0.3mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは53であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。合成に使用したモノマー量、クレイ量を表2にまとめている。
引張破壊試験を行った。結果は表3にまとめている。強度2.4MPa、弾性率は25MPa、伸びは900%であった。破断伸度は900%と非常に高く、強度、弾性率は比較例1に比べて優れていることが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.2であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例9)
合成ヘクトライトを4.0g使用(MEA/HEMA=7/3 モル/モル、クレイ/モノマー=0.45)した以外は実施例5と同様な条件で複合体11を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化していた。また、水の析出は見られなかった。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体11(膜厚約0.3mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは92であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.04であった。生理食塩水を含浸した状態で引張破壊試験を行った。強度は2.5MPa、弾性率61MPa、伸びは700%であった。優れた力学的性質であることが確認できた。
(実施例10)
MEAを5.2g、HPAの代わりにメトキシジプロピレングリコールアクリレート(2PG)(ライトアクリレートDPM−A:共栄社化学株式会社製)を2.0g使用し(MEA/2PG=8/2 モル/モル、クレイ/モノマー=0.11)、それ以外は実施例1と同じ方法で複合体12を得た。また、重合後、得られたゲルは白濁化しており、少量ではあるが透明な水が析出していた。ゲルには伸張性はさほど無かったが、硬く強いものであった。複合体12(膜厚約0.5mm)は透明なフィルムであった。フィルムには光沢があり、フィルム表面は良好であった。20°グロスは54であった。また、フィルムを180°に折り曲げても破断したり、クラックが入る様子は全く無く、柔軟性に富んだものであった。
引張破壊試験を行った。結果は表3にまとめている。強度2.5MPa、弾性率は21MPa、伸びは1100%であった。破断伸度は1100%と非常に大きいものであり、強度、弾性率は比較例1に比べて優れていることが確認できる。
37℃の生理食塩水に対する膨潤度を測定した。膨潤度(W/W)は0.02であった。大きく膨潤するものでは無い。
(実施例11、12、13、比較例3、4)
複合体7(実施例11)、複合体8(実施例12)、複合体10(実施例13)、複合体2(比較例3)、複合体6(比較例4)を用いて、タンパクの吸着性を調べた。各複合体を1cmに切り、PBSリン酸緩衝液(pH7.4)に室温で15時間浸漬させた。マウスのムノグロブリン(IgG)をSTEバッファ(塩化ナトリウム100mmol/トリス塩酸(pH7.4)10mmol/エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)1mmol)に2μg/mLの濃度で溶解し、IgG溶液を調製した。複合体をPBSリン酸バッファから取り出し、複合体表面に500μLのIgG溶液を塗布した。室温で2時間静置した後、複合体をSTEバッファ溶液に浸漬し、洗浄した。複合体に500μLのTMB基質を塗布し、更に、1Nの塩酸500μLを塗布した。紫外可視吸光度計(V−530、日本分光株式会社製)で450nmの吸光度より、吸着したタンパク量を測定した。複合体8
(実施例12)が30(ng/cm2)、複合体10(実施例13)が1(ng/cm2)、複合体2(比較例3)が50(ng/cm2)、複合体6(比較例4)が45(ng/cm2)であり、実施例はいずれも比較例よりタンパク吸着性が低く、生体適合性に優れていることが確認できた。
一方、複合体7(実施例11)は95(ng/cm2)であり、高いタンパク吸着性を示す。なお、通常、細胞培養で用いられるティシュカルチャーポリスチレン(TCPS)のタンパク吸着量は約100(ng/cm2)であり、これに近い値であった。適度な親水性を有する疎水性高分子は高いタンパク吸着性を示すことが知られている。複合体7に用いた2−ヒドロキシプロピルメタクリレートはモノマーでは水と均質に混合し、重合すると疎水性となる。複合体7では2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを用いたことにより、高いタンパク吸着性を示す複合体が得られたものと考えられる。
Figure 0005450122
Figure 0005450122
Figure 0005450122

Claims (2)

  1. ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成してなる有機無機複合体(C)であって、
    前記重合体が、下記構造式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)と、構造式(2)〜(4)で表されるモノマーから選択される1種以上のラジカル重合性モノマー(A2)とを含有するラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる重合体である有機無機複合体であり、
    前記ラジカル重合性モノマー(A)全体に対して、前記ラジカル重合性モノマー(A1)を99〜40モル%、前記ラジカル重合性モノマー(A2)を1〜60モル%使用することを特徴とする有機無機複合体。
    Figure 0005450122
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
    Figure 0005450122
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、nは1〜5の整数、Rは分岐しても良い炭素数2〜3のアルキレン基、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表すが、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であるときは、nは1又は2である。)
    Figure 0005450122
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、mは8〜30の整数、kは0〜17の整数を表す。)
    Figure 0005450122
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは分岐していても良い炭素数2〜6のアルキレン基である。)
  2. 前記ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と水膨潤性粘土鉱物(B)との質量比(WB/WA)が0.01〜2の範囲にある請求項1記載の有機無機複合体。
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