JP5028342B2 - 液晶性化合物を包含する有機無機複合体 - Google Patents

液晶性化合物を包含する有機無機複合体 Download PDF

Info

Publication number
JP5028342B2
JP5028342B2 JP2008160329A JP2008160329A JP5028342B2 JP 5028342 B2 JP5028342 B2 JP 5028342B2 JP 2008160329 A JP2008160329 A JP 2008160329A JP 2008160329 A JP2008160329 A JP 2008160329A JP 5028342 B2 JP5028342 B2 JP 5028342B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
polymer
organic
temperature
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008160329A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010001353A (ja
Inventor
一高 村田
和敏 原口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawamura Institute of Chemical Research filed Critical Kawamura Institute of Chemical Research
Priority to JP2008160329A priority Critical patent/JP5028342B2/ja
Publication of JP2010001353A publication Critical patent/JP2010001353A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5028342B2 publication Critical patent/JP5028342B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、液晶性化合物を包含する柔軟性に富んだ有機無機複合体に関し、光透過性を制御して用いる表示素子、センサー、シャッター等の用途に適した材料に関するものである。
液晶は構造異方性と流動性といった結晶と液体の両方の性質を有する機能性材料であり、表示素子や光学材料として広く利用されている。液晶は一般的に低温度側から、結晶相、液晶相、等方相が現れ、これら相間の転移は熱力学的な相転移点であることが知られている。そのため、非常に狭い温度域で状態変化が生じ、昇降温過程においてもその温度域に大きな違いは見られない。相転移を利用した技術は多く知られている。液晶においても、各相での状態の違いを利用する方法が知られている。例えば、液晶相と等方相での透明性や物質の透過速度の違いを利用する方法などが知られている。しかし、相転移現象を利用したシステムはいずれも2つの相での状態の違いを利用したものであり、熱力学的な臨界点である相転移点自身を直接的に検知或いは利用するシステムは知られていない。液晶は、ブレンドなどによって相転移温度を変化させることが可能であり、目的とする温度を検知する素子・システムを容易に提供することが可能となる。(例えば、非特許文献1など)
高分子マトリックス中に液晶性化合物を分散させた高分子と液晶複合体は良く知られており、多くの報告がある(例えば、特許文献1、2、3など)。これら高分子/液晶複合体は、温度変化により、液晶性化合物の相転移現象を利用して透明性を変化させることが可能である。しかし、この場合も液晶相と等方相での透明性の違いを利用する方法で特定温度でのみ大きな信号を発生するものではない。我々が調べたところ、これらの高分子/液晶複合体の場合も、液晶−等方相の転移点で本発明のような光透過性を示すことが確認された。しかし、転移点前後のコントラストが非常に低いものであった。これらの高分子/液晶複合体の場合、いずれも重合性モノマーと液晶性化合物と溶媒の混合液中で重合性モノマーを重合させたものであるために、重合誘発相分離によって、液晶分子が大きなドメインを作って液晶相と高分子相に相分離した構造を形成しているため、最も明るくなるはずの温度での透明性が低くなり、転移温度前後で良好なコントラストが得られないものと推測される。一方、重合性モノマーを重合させた後、液晶を含浸させる方法が考えられるが、重合性モノマーの架橋物に液晶を含浸させることが困難であったり、含浸させることが可能なほど架橋密度を低下させたものは非常に弱く、1mm以下の膜厚の薄膜を自立膜として取り扱うことは困難であった。
高分子ゲルのゲル溶液として液晶性化合物を使用する方法も知られている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、一般によく知られているアクリルアミド誘導体などのゲルは十分な強度と延伸性とを併せ持つものは無く、液晶性化合物を溶液とした場合も同様であった。そのため、発明の効果良好に発揮させることが可能な1mm以下の膜厚の複合体を得ることが困難であった。
特開2006−276558号広報 特開昭63−271233号広報 特表昭61−502128号広報 中田一郎、堀文一、向尾昭夫、「液晶入門」、幸書房、(1992) Kenji Urayama, Macromolecules, Vol. 40, No. 7, page 2277-2288, (2007).
本発明の目的は、液晶性化合物を包含し、柔軟性に富み、且つ力学的強度を有する有機無機複合体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該有機無機複合体を用いた、極めて狭い温度域で状態変化を引き起こす相転移点自身を直接的に検知することが可能な材料・素子を提供することにある。
本発明者らは、ラジカル重合性モノマーからなる重合体と粘土鉱物からなる3次元網目内に液晶性化合物を含有させることにより、非常に薄くても自立膜として取り扱い可能な薄膜が得られ、液晶相−等方相の相転移温度でのみ極めて強くコントラストの高い光透過性を非常に安定的に示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されている有機無機複合体を提供するものである。
また、本発明は、上記の有機無機複合体からなり、膜厚が1〜1000μmである自立フィルムを提供するものである。
また、本発明は、クロスニコル状態にした2枚の偏光板の間に上記の有機無機複合体を挟んだ有機無機複合体素子を提供するものである。
更に、本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に、水及び/又は有機溶媒が包含されているゲルを製造した後、液晶性化合物(C)を含浸させ、次いで、前記水及び/又は有機溶媒を除去することを特徴とする上記の有機無機複合体の製造方法を提供するものである。
本発明により得られる液晶性化合物を包含する有機無機複合体は、高分子材料と無機粘土鉱物と液晶性化合物を含むもので、数ミクロン〜数十ミクロンの厚さでも自立膜としての十分な強度を有する。また、柔軟性や伸縮性に富むために、屈曲した形状で使用することも可能である。更に、液晶相−等方相の相転移温度で極めて強い光透過性を非常に安定的に示すために、極めて精密な温度素子の材料として提供される。また、温度変化のみならず伸縮により光学異方性を大きく変化させることが可能であり、電気・電子デバイス、光デバイス、表示素子、シャッター、レンズなどとして、電子・電気分野、光学分野などの分野で利用される。
本発明の液晶性化合物を包含する有機無機複合体はラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されているものであり、含有する液晶性化合物の液晶相−等方相転移点付近で、特に、ネマチック液晶相と等方相の転移温度において、クロスニコル下でコントラストの高い光透過性を示す。
本発明の複合体における光透過率のコントラストについては、クロスニコル下で最も強い光透過率Amax(%)を示す温度Tmax(℃)に対して、Tmax−5℃〜Tmax−10℃及びTmax+5℃〜Tmax+10℃の温度域、好ましくはTmax−3℃〜Tmax−10℃及びTmax+3℃〜Tmax+10℃の温度域、特に好ましくはTmax−2℃〜Tmax−10℃及びTmax+2℃〜Tmax+10℃の温度域でのクロスニコル下での光透過率の最大値Bmax(%)において、Amax−Bmaxが5%以上であるか、若しくはAmax/Bmaxが5以上である光透過性を示すものである。
尚、クロスニコル下での光透過率は通常の分光光度計や濁度計などの光透過率測定装置を用いて測定される。本発明のクロスニコル下での光透過率は、2枚の偏光板を最も光の透過する方向で重ね併せた状態での光透過率を100%として計算される。つまり、通常の分光光度計においては、2枚の偏光板を最も光の透過する方向で重ね併せた状態で吸光度をゼロ(光透過率=100%)として測定する。また、光透過率は単色光であっても、白色光であっても構わなく、単色光の場合は、400〜800nmの可視光範囲の波長が選択される。
本発明で使用するラジカル重合性モノマー(A)は、単官能有機モノマーであり、溶媒、好ましくは水、又は水を含む有機溶媒に溶解する性質を示すもので、重合後において粘土鉱物(B)と相互作用し、液晶分子との相互作用が悪くなく、粘土鉱物(B)と三次元網目を形成するものが用いられる。好ましくは、粘土鉱物(B)と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有する有機高分子が得られるラジカル重合性モノマー用いられ、アミド基(CONH)、エステル基、アミノ基、カルボニル基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基、アルコキシ基などを有するラジカル重合性モノマーが挙げられ、なかでもアミド基、エステル基、アミノ基、水酸基やアルコキシ基を有するラジカル重合性モノマーが好ましく用いられ、これらを混合して用いることが可能である。なお、ここで言う水を含む有機溶媒とは、水を含み水に混和する有機溶媒を意味する。水と混和する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
アミド基を有するラジカル重合性モノマーとしては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、または、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類の中から選択される一つ又は複数を重合して得られる有機高分子が例として挙げられる。具体例としては、例えば、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリロイルモルフォリン)、ポリ(メタク40リルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ(アクリルアミド)等が例示される。ここでアルキル基としては炭素数が1〜4のものが特に好ましく選択される。
水酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレートを挙げることができ、アルコキシ基を有するものとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレートやエトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ(メタ)アクリレートを挙げることができる。アルコキシ基を有するラジカル重合性モノマーは重合前には親水性の性質を持ち、水に対して可溶であるため、親水性の粘土鉱物と良好な相互作用を示すと考えられる。一方、重合後、疎水性が強くなり、一般に疎水性の液晶との相互作用が強くなるため好ましく用いられる。また、アルコキシ基を有するラジカル重合性モノマーと上述したアミド基を有するラジカル重合性モノマーとの混合物を使用する方法は特に好ましい。
本発明で使用する粘土鉱物(B)は、層状粘土鉱物である。層間が膨潤し易い膨潤性層状粘土鉱物である。該層状粘土鉱物としては水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物や有機化合物で処理され、有機溶媒中で分散可能な膨潤性層状粘土鉱物が挙げられる。本発明では、良好な力学的特性が得られ易いなどの理由から、水に均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物であり、特に好ましくは水中で分子レベル、すなわち単一層、若しくはそれに近いレベルで剥離し均一分散可能な水膨潤性層状粘土鉱物が好ましく用いられる。該水膨潤性層状粘土鉱物としては、具体的には、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などの膨潤性粘土鉱物が挙げられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
膨潤性層状粘土鉱物は前記有機モノマーを含有する溶液中で微細かつ均一に分散することが必要で、特に該溶液中に溶解することが望ましい。ここで溶解とは、粘土鉱物の沈殿を生じるような大きな凝集体が無い状態を意味する。より好ましくは1〜10層程度のナノメーターレベルの厚みで分散しているもの、特に好ましくは1〜2層程度の厚みで分散しているものである。
ラジカル重合性モノマー(A)の質量(Wmono)と粘土鉱物(B)の質量(Wclay)の比(Wclay/Wmono)は0.01〜10であることが好ましく、より好ましくは0.03〜2,特に好ましくは0.05〜1である。かかる重量比はかかる範囲であるならば、本発明の目的とする柔軟性や伸縮性を好ましく得ることができる。尚、ラジカル重合性モノマー(A)の質量(Wmono)と粘土鉱物(B)の質量(Wclay)の和は液晶性化合物を含有しないラジカル重合性モノマーの重合物と粘度鉱物と溶媒からなるゲルの乾燥重量から得ることもできる。
本発明で使用する液晶性化合物(C)は、150℃以下、より好ましく120℃以下、特に好ましくは100℃以下で液晶状態を示す液晶性化合物、及び混合物であり、ネマチック、スメクチック、コレステリック液晶性化合物が挙げられる。150℃を越える温度で液晶状態を示す液晶性化合物を使用した場合、ラジカル重合性モノマーの重合体の安定性が損なわれる場合がある。本発明では、高い光透過率は、ネマチック相と等方相の間が最も大きく現れる。
これら液晶性化合物としては、公知の液晶性化合物が使用可能であり、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾ系化合物、アゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、コレステロール誘導体、及びピリミジン系化合物などが挙げられ、中でも、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルシクロヘキシル系化合物、アゾメチン系化合物、アゾ系化合物、アゾオキシ系化合物、スチルベン系化合物、ビシクロヘキシル系化合物、及びピリミジン系化合物などを挙げることができる。これらの液晶性化合物は用途目的により選択される。これら液晶性化合物は単独で用いることもできるが、2種以上を混合したものを用いることも可能である。特に、混合液晶を用いることにより、高い光透過性を示す液晶転移温度がコントロール可能な場合があり好ましい。
また、ネマチック液晶性化合物などに光学活性なキラル化剤を添加してコレステリック液晶とすることも好ましい。キラル化剤はネマチック液晶性化合物に添加することにより、液晶性が損なわれることなく、コレステリック構造が形成される公知の光学活性な有機化合物が使用可能であり、特に制限されない。添加量も液晶性化合物構造が損なわれない範囲で使用可能であり、特に制限されないが、通常、液晶性化合物性化合物100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部が用いられる。
ラジカル重合性モノマー(A)の重合体の質量(Wmono)と粘土鉱物(B)の質量(Wclay)の合計重量に対する液晶性化合物(C)の質量(WLC)の重量比[WLC/(Wmono+Wclay)]は、0.05〜50であることが好ましく、より好ましくは0.1〜40、特に好ましくは0.2〜30である。
本発明は、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されているものである。つまり、粘土鉱物(B)が架橋点となってラジカル重合性モノマー(A)の重合体の三次元網目構造を形成しているものであり、その中に上述した液晶性化合物(C)が含有されているものである。ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して三次元網目を形成していることは、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)との複合体がゲルを形成する能力があることにより確認するができる。
本発明の有機無機複合体の製造法については、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目構造体を形成させた後、液晶性化合物(C)を含浸させる方法が挙げられる。具体的には、ラジカル重合性モノマー(A)と粘土鉱物(B)との均質溶液を調製した後、ラジカル重合性モノマー(A)を重合させて、ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化した三次元網目構造体を形成させる。次いで、有機溶媒と混合した液晶性化合物(C)を含浸させた後、有機溶媒を除去する方法などにより液晶性化合物を含浸させる方法を挙げることができる。
ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが形成する三次元網目構造体中に、液晶性化合物(C)を含浸させる方法としては、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが形成するゲルに、必要に応じて有機溶媒に浸漬するなどの方法でゲル中の溶液を有機溶媒に置換した後、液晶性化合物或いは液晶性化合物と有機溶媒との混合溶液に接触或いは浸漬させるなどの方法でゲル中に液晶性化合物を導入する方法や、或いは、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが形成するゲルを乾燥させた後、液晶性化合物と有機溶媒との混合溶液に接触或いは浸漬させるなどの方法でゲル中に液晶性化合物を導入する方法などの方法を挙げることができる。
更に、粘土鉱物と液晶性化合物との相互作用を強くすることなどを目的として、液晶性化合物を導入する前に、界面活性剤の溶液と接触させるなどの方法で界面活性剤を添加することも可能である。
上述したラジカル重合性モノマー(A)を重合させる重合反応は、例えば、過酸化物の存在、加熱又は紫外線照射などの慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることができる。ラジカル重合開始剤及び触媒としては、慣用のラジカル重合開始剤及び触媒のうちから適宜選択して用いることができる。好ましくは、水に分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが用いられる。特に好ましくは層状に剥離した粘土鉱物と強い相互作用を有するカチオン系ラジカル重合開始剤である。
具体的には、重合開始剤としては、水溶性の過酸化物、例えば、ペルオキソ二硫化カリウムやペルオキソ二硫化アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えば、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501、VA−057などが好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性のラジカル開始剤なども用いられる。
また触媒として、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。重合温度は用いる水溶性有機高分子、重合触媒及び開始剤の種類などに合わせて0℃〜100℃の範囲で設定する。重合時間も触媒、開始剤、重合温度、重合溶液量などの重合条件により異なり、一概には規定できないが、一般に数十秒〜数十時間の間で行う。
ラジカル重合性モノマー(A)の重合後、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが複合物が三次元網目構造体であるかどうかは、得られる複合体がゲル化していることで容易に確認できる。
ラジカル重合性モノマー(A)と粘土鉱物(B)との均質溶液に使用する溶媒は、水、及び水と水に均質に混合する有機溶媒との混合水溶液が好ましく使用される。例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムや塩化メチレンなどのハロゲン系溶媒などが挙げられる。溶媒の量は特に規定されないが、通常、ラジカル重合性モノマーと粘土鉱物の合計重量に対する溶媒の量は重量比で1〜50の範囲が用いられる。
本発明の有機無機複合体は、繊維状、ロット状、フィルム状、塗膜状、袋状、球状など任意の形状が可能であるが、フィルム状として用いるのが特に好ましい。フィルム状とする場合、より膜厚の薄いフィルムを得るためなどを目的として、ラジカル重合性モノマー(A)を重合後、ラジカル重合性モノマーの重合体と粘土鉱物とが複合化したゲルに液晶を導入する前に1軸或いは2軸に延伸或いはプレス成形する方法や、液晶を導入した後、1軸或いは2軸に延伸或いはプレス成形する方法は可能である。フィルムの厚みは目的により異なるが、通常、1ミクロン〜1000ミクロン、好ましくは2ミクロン〜500ミクロンの範囲が用いられる。1ミクロン未満や1000ミクロンを越える場合、光透過のコントラストが低下する場合がある。
本発明の有機無機複合体は、クロスニコル状態にある2枚の偏光板の間に上述した液晶性化合物を含包する有機無機複合体を挟みこんで使用することが可能であり、液晶相と等方相との転移温度に対応する特定の温度で非常にコントラストの高い光透過性を示す。偏光板は市販の直線偏光板が用いられ、材質はガラス、プラスチックなど制限はない。特定の温度でのみ高い光透過率を示すため、特定温度でのみ中身を見ることができたり、バックライトなどを用いることで、特定温度でのみ光を点灯させることが可能である。或いは、シャッターなどとして利用することが可能である。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(合成例1)
重合モノマーとして、ジメチルアクリルアミド(DMAA:興人株式会社製)を使用した。粘土鉱物は水膨潤性の合成ヘクトライト(商品名 ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)を120℃で2時間真空乾燥させて用いた。溶媒は18Ωの超純水を用い、水は使用前に予め3時間以上窒素でバブリングさせて含有酸素を除去してから使用した。
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに純水48g入れたものに、撹拌下で1.2gの合成ヘクトライトと5gのDMAAを入れ、35℃で撹拌し透明な均質溶液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間ゆっくりと撹拌した後、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)32μLを加え、次いで、予め調製した純水10gとペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液2mLを撹拌下で加えた。厚さ2mm、幅10mmのシリコンゴムをスペーサとし、15cm2のガラス板2枚を用いてゲル調製容器を作成した。溶液を窒素雰囲気下でゲル調製容器中に入れた。尚、ゲル調製容器内への溶液の導入は窒素雰囲気としたグローブボックス内で行った。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。得られたゲル1は無色透明であり、十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
(合成例2)
内部を窒素置換した100mLの丸底フラスコに純水48g入れたものに、撹拌下で4.0gの合成ヘクトライトと5gのDMAAを入れ、撹拌機(シンキー株式会社製の撹拌機AR−250)で撹拌し透明な均質液を得た。この溶液を氷浴に入れ、10分間冷却した後、TEMED32μLを加え、30秒間撹拌し、次いで、KPS水溶液2mLを加え、1分間撹拌した。重合液を窒素雰囲気下でゲル調製容器中に入れた。20℃で24時間保持することで重合を進行させた。得られたゲル2は無色透明であり、十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
(合成例3)
DMAAの代わりに、N,N−プロピルアクリルアミド(NIPA:興人株式会社製)5.65g、合成ヘクトライト0.8gを用いて、実施例1と同じ方法でゲル3を得た。得られたゲル3は無色透明であり、十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
(合成例4)
DMAAの代わりに、NIPA5.65gを用いて、実施例1と同じ方法でゲル3を得た。得られたゲル4は無色透明であり、十分な強度と伸縮性を有するゲルであった。
(合成例5)
重合モノマーとして、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)(アクリックス C−1:東和合成株式会社製)とNIPAの混合物を使用した。
0.8gの合成ヘクトライトと5.2gのMEA、1.13gのNIPAを入れ(MEA/NIPA=8/2 モル/モル)を用いて、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル5のフィルムを得た。得られたゲル5は白濁していた。
(合成例6)
合成ヘクトライト量を0.8g、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、共栄社化学株式会社製 ライトエステルHOP−A)5.2g、DMAA1.0gを用いて、合成例1と同様な方法で、合成例1と同じ条件で重合液を調製し、同様な方法で2mm厚のゲル6のフィルムを得た。得られたゲル6は白濁していた。
(合成例7)
DMAAの代わりに、NIPA5.65g、粘土鉱物の代わりに有機架橋剤としてN,N−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬株式会社製)77mg(0.01モル/水1L)を使用、合成例1と同じように有機架橋ゲル1を調製した。
Figure 0005028342
尚、Wclayはクレイの質量、Wmonoはモノマーの全質量、Wwaterは水の質量を表す。
(実施例1)
合成例1で得られたゲル1(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル(5CB、和光純薬工業株式会社製)10g、メタノール10g、アセトン1gの5CB溶液を用意し、メタノール置換したゲル1をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、フィルムを縦横それぞれ約1.5倍に延伸し、延伸させた状態で、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム1を得た。膜厚は約100ミクロンであった。
熱質量分析(TGA)(セイコー電子製)より求めた高分子/液晶複合体1中の5CB量は、5CB/乾燥重量=約8であった。ゲルの乾燥質量は合成例1における仕込値(モノマー質量と粘度質量の和)より算出した。TGA測定における灰分をクレイ量とし、合成例1における仕込値(クレイ量とモノマー量の比)からポリマー量を算出、TGAでの質量減少量をポリマー量と液晶量の和として、液晶含有量を算出した。高分子/液晶複合体1は柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、25−45℃の温度域で1℃/3分間の速度で昇降温しながら、光透過率を測定した。昇温時には36.0℃で、降温時には35.2℃で光透過率の極大(16%)が見られた。この温度域は5CBのネマチック液晶相−等方相の転移温度に対応している。また、25〜34℃の光透過率は1.3%、37〜45℃は0.1%であった。非常にゆっくりと昇温したところ、最大値は35.4℃で現れ、35.4℃で60分間保持させたところ、光透過率は60分間16%の値を示した。
光透過率は日本分光株式会社製の紫外−可視分光光度計(V−530)を用いて測定した。測定波長は600nmとし、温度調節は同装置の付属のベルチェ式温度制御装置(EHC−477T)を用いた。尚、2枚の偏光板を同じ偏光状態にして重ね合わせた状態で分光光度計の吸光度のゼロ点(=光透過率100%)とした。
(実施例2)
合成例2で得られたゲル2(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。5CB 10g、メタノール10g、アセトン1gの5CB溶液を用意し、メタノール置換した薄膜フィルムをこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、フィルムを縦横それぞれ約1.5倍に延伸し、延伸させた状態で、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム2を得た。膜厚は約0.1mmであった。
TGAより求めた高分子/液晶複合体フィルム2中の5CB量は、5CB/乾燥重量=2.3であった。高分子/液晶複合体フィルム2は柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、34℃から37℃までの昇降温を1℃/3分の速度で5回続けた。図1に結果を示している。昇温時には35.7℃で、降温時には35.3℃で光透過率の極大(16−20%)が見られた。この温度域は5CBのネマチック液晶相−等方相の転移温度に対応している。また、34〜34.5℃の光透過率は2%、36〜37℃は0%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。図2では、降温過程での35.5℃、35.3℃(最大)、34.5℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示している。0.2℃異なるだけで、光透過性が著しく異なることが判る。
(実施例3)
実施例2の高分子/液晶複合体2を90℃でプレス成形し、約0.05mmの均質な高分子/液晶複合体2の薄膜フィルムを得た。
TGAより求めたフィルム中の5CB量は、5CB/乾燥重量=2.3であった。高分子/液晶複合体2の薄膜フィルムは柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、3分間で1℃の速度で昇温しながら、25−45℃の温度域で光透過率を測定した。昇温時には35.6℃で、降温時には35.2℃で光透過率の極大(10%)が見られた。また、25〜34℃の光透過率は2%、37〜45℃は0%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。実施例2と同じ結果が得られた。
(実施例4)
合成例3で得られたゲル3(50×30mm)を500mLのテトラヒドロフラン(THF)に1日間浸漬させた。途中THFを2度交換した。5CB 10g、THF10gの5CB溶液を用意し、THF置換したゲル3をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、フィルムを縦横それぞれ約1.5倍に延伸し、延伸させた状態で、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム3を得た。膜厚は約0.1mmであった。
TGAより求めた高分子/液晶複合体フィルム3中の5CB量は、5CB/乾燥重量=3.5であった。高分子/液晶複合体フィルム3は柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、30℃から40℃までの昇降温を1℃/3分の速度で昇温した。昇温時には35℃で光透過率の極大(15%)が見られた。この温度域は5CBのネマチック液晶相−等方相の転移温度に対応している。また、30〜33℃の光透過率は3%、37〜40℃は2%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。図3では、降温過程での33℃、35℃(最大)、37℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示している。2℃異なるだけで、光透過性が著しく異なることが判る。
(実施例5)
合成例4で得られたゲル4(20×30mm)を500mLのテトラヒドロフラン(THF)に1日間浸漬させた。途中THFを2度交換した。スメクチック液晶性化合物の4‘−オクチル−4−ビフェニルカルボニトリル(8CB、アルドリッチ株式会社製) 5g、THF5gの8CB溶液を用意し、THF置換したゲル4をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。8CB溶液から取り出した後、フィルムを縦横それぞれ約1.5倍に延伸し、延伸させた状態で、室温で1日間風乾させた。更に、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム4を得た。膜厚は約0.1mmであった。
TGAより求めた高分子/液晶複合体フィルム4中の8CB量は、8CB/乾燥重量=2.5であった。高分子/液晶複合体フィルム4は柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、35℃から45℃までの昇降温を1℃/3分の速度で昇温した。昇温時には41℃で光透過率の極大(13%)が見られた。この温度域は8CBのネマチック液晶相−等方相の転移温度に対応している。また、35〜39℃の光透過率は1%、43〜45℃は0.5%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。図4では、降温過程での39℃、41℃(最大)、43℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示している。2℃異なるだけで、光透過性が著しく異なることが確認できる。
(実施例6)
合成例4で得られたゲル4(20×30mm)を500mLのテトラヒドロフラン(THF)に1日間浸漬させた。途中THFを2度交換した。ネマチック液晶性化合物のN−4−メトキシベンジリデン−4−ブチルアラニン(MBBA、アルドリッチ株式会社製) 10g、THF10gのMBBA溶液を用意し、THF置換したゲル4をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。MBBA溶液から取り出した後、フィルムを縦横それぞれ約1.5倍に延伸し、延伸させた状態で、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム5を得た。膜厚は約0.1mmであった。
TGAより求めた高分子/液晶複合体フィルム5中のMBBA量は、MBBA/乾燥重量=5.0であった。高分子/液晶複合体フィルム5は柔軟性に富んでいた。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、25℃から40℃までの昇降温を1℃/3分の速度で昇温した。昇温時には32℃で、降温時には29℃で光透過率の極大(20%)が見られた。また、昇温時、25〜30℃の光透過率は1%、34〜40℃は0%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。図5では、昇温過程での29℃、32℃(最大)、35℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示している。光透過性が著しく異なることが確認できる。
(実施例7)
合成例5で得たゲル5を乾燥させて、乾燥フィルムを得た。ネマチック性の混合液晶3323(大日本インキ化学工業株式会社製)10g、THF10gの液晶溶液をし、ゲル5の乾燥物をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。液晶溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム6を得た。膜厚は0.3mmであった。
高分子/液晶複合体フィルム6の質量より見積もった複合体中の液晶性化合物量は約1.4であった。高分子/液晶複合体フィルム6は柔軟性と伸縮性に富むものであった。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、90℃から120℃までの昇降温を1℃/3分の速度で昇温しながら、顕微鏡観察を行った。昇温時には110℃で、降温時には109℃光透過率が最大となった。また、約109℃での光透過率は18%、約105℃の光透過率は2%、約113℃は1%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。光透過率はフィルムをスライドガラスに挟んだ状態で、目的とする温度に加熱した後、分光光度計で600nmでの光透過率を測定した。
(実施例8)
合成例6で得たゲル6を乾燥させて、乾燥フィルムを得た。MBBA10g、THF10gの液晶溶液をし、ゲル6の乾燥物をこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。液晶溶液から取り出した後、室温で1日間風乾させた後、80℃で1日間乾燥させて、高分子/液晶複合体フィルム7を得た。膜厚は0.3mmであった。
高分子/液晶複合体フィルム7の質量より見積もった複合体中の液晶性化合物量は約2.0であった。高分子/液晶複合体フィルム7は柔軟性に富むものであった。このフィルムを2枚のクロスニコル状態にした偏光板の間に挟みこみ、25℃から40℃までの昇降温を1℃/3分の速度で昇温した。昇温時には31℃で、降温時には30℃で光透過率の極大(18%)が見られた。また、昇温時、25〜29℃の光透過率は2%、33〜40℃は1%であり、光透過性のコントラストは非常に高いものであった。
(参考例1)
合成例7で得られた有機架橋ゲル(50×30mm)を500mLのメタノールに1日間浸漬させた。途中メタノールを2度交換した。5CB 10g、メタノール10gの5CB溶液を用意し、メタノール置換した有機架橋ゲルをこの中に浸漬させて、室温で1日間保持させた。5CB溶液から取り出した後、実施例と同じように延伸によりフィルムを調製しようとしたが、ゲルに伸張性が無く延伸することができなかった。また、実施例3と同じように、プレス成形によりフィルムを作成しようとしたがプレスするとゲルがバラバラになりフィルム化することができなかった。厚み約2mmの有機架橋ゲル/液晶複合体を厚さ約0.5mmにカットし、偏光顕微鏡下で観察した。30℃から40℃まで昇温した。30℃付近から光の透過性は良かった。35℃付近で明るくなり、35℃を越えると暗くなった。図6に31℃、35℃、38℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示す。38℃では暗くなるが、31℃でも明るく、実施例に比べて、コントラストが劣っているのが確認できる。
図1は、実施例2において、クロスニコル状態にした2枚の偏光板の間に挟みこんだ高分子/液晶複合体フィルム2を34℃と37℃の間で昇降温の温度変化を行った際の光透過率の変化を示しており、再現性良く、特定の温度でのみ高い光透過率を与えることを説明する図である。 図2は、実施例2における高分子/液晶複合体フィルム2を37℃から降温させた際の35.5℃、35.3℃、34.5℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示しており、35.1℃でのみ光が透過していることを説明する図である。 図3は、実施例4における高分子/液晶複合体フィルム3の降温時の33℃、35℃、37℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示しており、35℃でのみ光が透過していることを説明する図である。 図4は、実施例5における高分子/液晶複合体フィルム4の降温時の39℃、41℃、43℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示しており、41℃でのみ光が透過していることを説明する図である。 図5は、実施例6における高分子/液晶複合体フィルム5の降温時の29℃、32℃、35℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示しており、32℃でのみ光が透過していることを説明する図である。 図6は、参考例1における有機架橋ゲル/液晶複合体フィルムの31℃、35℃、38℃でのクロスニコル下での偏光顕微鏡写真を示しており、実施例に比べて、コントラストが劣っているようすを説明する図である。

Claims (4)

  1. ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に液晶性化合物(C)が包含されている有機無機複合体。
  2. 請求項1記載の有機無機複合体からなり、膜厚が1〜1000μmである自立フィルム。
  3. クロスニコル状態にした2枚の偏光板の間に請求項1記載の有機無機複合体を挟んだ有機無機複合体素子。
  4. ラジカル重合性モノマー(A)の重合体と粘土鉱物(B)とが複合化して形成された三次元網目の中に、水及び/又は有機溶媒が包含されているゲルを製造した後、液晶性化合物(C)を含浸させ、次いで、前記水及び/又は有機溶媒を除去することを特徴とする請求項1記載の有機無機複合体の製造方法。
JP2008160329A 2008-06-19 2008-06-19 液晶性化合物を包含する有機無機複合体 Expired - Fee Related JP5028342B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008160329A JP5028342B2 (ja) 2008-06-19 2008-06-19 液晶性化合物を包含する有機無機複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008160329A JP5028342B2 (ja) 2008-06-19 2008-06-19 液晶性化合物を包含する有機無機複合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010001353A JP2010001353A (ja) 2010-01-07
JP5028342B2 true JP5028342B2 (ja) 2012-09-19

Family

ID=41583336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008160329A Expired - Fee Related JP5028342B2 (ja) 2008-06-19 2008-06-19 液晶性化合物を包含する有機無機複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5028342B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5450122B2 (ja) * 2010-01-21 2014-03-26 一般財団法人川村理化学研究所 有機無機複合体
JP2016095324A (ja) * 2013-02-25 2016-05-26 パナソニック株式会社 複合光学素子

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3915627B2 (ja) * 2001-08-29 2007-05-16 チッソ株式会社 高分子/液晶複合材料および表示素子
JP3914501B2 (ja) * 2003-02-17 2007-05-16 財団法人川村理化学研究所 高分子ゲル複合材及びその製造法
JP2006323031A (ja) * 2005-05-17 2006-11-30 Nec Corp 視野角切替型表示装置及び端末装置
JP5157443B2 (ja) * 2005-06-16 2013-03-06 日産自動車株式会社 液晶を用いた刺激変形体
JP4921852B2 (ja) * 2006-05-24 2012-04-25 一般財団法人川村理化学研究所 光学異方性の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010001353A (ja) 2010-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Haque et al. Rapid and reversible tuning of structural color of a hydrogel over the entire visible spectrum by mechanical stimulation
KR100853069B1 (ko) 표시 소자 및 표시 장치
EP2933676B1 (en) Liquid crystal element
JP5312482B2 (ja) 液晶配向膜組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、および液晶配向膜を含む光学フィルム
JP4215834B2 (ja) 液体ドメインを含有する粒子および液滴
TWI356246B (en) Retardation film having a homeotropic alignment li
US20160002457A1 (en) Tunable and responsive photonic hydrogels comprising nanocrystalline cellulose
US20030022002A1 (en) Stratified phase-separated composite having cross-linked polymeric layer
KR20060052660A (ko) 액정 표시 장치
JP5246854B2 (ja) 有機無機複合ゲル
Mujumdar et al. Introduction of pH‐sensitivity into mechanically strong nanoclay composite hydrogels based on N‐isopropylacrylamide
Chen et al. Confined self-assembly enables stabilization and patterning of nanostructures in liquid-crystalline block copolymers
KR100701992B1 (ko) 중합성 혼합물
Chen et al. Synthesis and characterization of polyhedral oligomeric silsesquioxane hybrid co‐crosslinked poly (N‐isopropylacrylamide‐co‐dimethylaminoethyl methacrylate) hydrogels
KR100917915B1 (ko) Spd 에멀젼 및 필름의 성질을 향상시키는 물질 및 방법
JP5028342B2 (ja) 液晶性化合物を包含する有機無機複合体
JP4921852B2 (ja) 光学異方性の制御方法
JP7155017B2 (ja) 光透過度調節フィルム及び光透過度調節フィルム組成物
KR101003857B1 (ko) 온도 안정성 고분자 분산형 액정 소자
EP4079772A1 (en) Production method for polymer composition
Tsutsui et al. All‐Polymer‐Gel Light Modulator Consisting of a “Gel‐in‐Gel” System
JP2010001354A (ja) 液晶性化合物を包含する有機無機複合体
JP3404433B2 (ja) 液晶オリゴマー重合体組成物フィルムとその製造方法および複合位相差板と液晶表示装置
JP2004085844A (ja) 光学的異方体
JP5435835B2 (ja) 高分子ゲルおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120607

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120625

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5028342

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees