JP5887115B2 - インナーフィン - Google Patents
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Description
シェル2の長手方向両端には、それぞれ入口ヘッダー5と出口ヘッダー6とが取り付けられ、排気ガスは入口ヘッダー5から多数のチューブ3へ分岐して流れ、出口ヘッダー6から排出される。
また、シェル2の下面部に冷却水入口パイプ7が取り付けられるとともに、シェル2の上面部には冷却水出口パイプ8が取り付けられ、冷却水は冷却水入口パイプ7から冷却水出口パイプ8へとシェル2内を通過する。
インナーフィンとしては、図5に示すように、板材を幅方向に凹凸を繰り返す矩形波状の波板状にプレス加工するとともに、この繰り返しをガス流れ方向の所定長さごとに交互に左右にずらしたオフセット形状のインナーフィン9が使用されていた。
しかし、フィンピッチを細かくしすぎた場合には、放熱性能が向上する代わりに、チューブ3の断面積においてインナーフィン9が占める割合が大きくなり、チューブ3の通気抵抗が大きくなるという問題があった。
また、チューブ3の断面積においてインナーフィン9の占める割合が大きくなるため、排気ガスに含まれる煤、PM(パティキュレートマター)等が堆積しやすくなり、チューブに詰まりが発生し、熱交換器としての機能を失ってしまうおそれがあった。
さらに、フィンピッチを細かくすると、インナーフィン9の展開長が長くなり、材料が増えるため、材料コストが増加してしまった。
しかし、このような突起はガス流れ方向(前後方向)に方向性を持つ形状に形成されたものが多く、製造時にインナーフィンをチューブに対して前後逆に組み付けてしまうと、所定の性能を発揮することができなかった。
また、一つ一つの突起が乱流促進のために直立しているため、長期の使用に伴って排気ガスに含まれる煤やPMが突起に堆積しやすく、乱流促進機能の低下や熱伝達率の低下が生じるおそれがあった。
第1の発明は、排気ガスを冷却するEGRクーラに内装され、排気ガスを通過させる扁平なチューブに用いられるインナーフィンであって、板材を、幅方向に凹凸を繰り返す形状に形成するとともにこの繰り返しをガス流れ方向の所定長さごとに交互に左右にずらしたオフセット形状に形成し、一対の左右側壁で囲まれたセグメントごとに、上面部または下面部のいずれか一方を切り起こして、ガス流れ方向上流側に傾斜させた第一突起と、この第一突起の下流側に配置され、第一突起の傾斜角と等しい角度でガス流れ方向下流側に傾斜させた第二突起とを形成したことを特徴とする。
なお、第一突起が「ガス流れ方向上流側に傾斜している」とは、上流方向から左右のいずれかに90度未満の大きさで傾いている場合を含み、第二突起が「ガス流れ方向下流側に傾斜している」とは、下流方向から左右のいずれかに90度未満の大きさで傾いている場合を含むものとする。
また、EGRクーラの使用に伴って、排気ガスに含まれる煤が、上流側に傾斜した第一突起の上流側に溜まっても、下流側に傾斜した第二突起にはほとんど堆積しないため、チューブの放熱性能の低下を抑え、製品寿命を長期化することができる。
このインナーフィン1が用いられるEGRクーラは、図1に示すように、一対の断面コ字状のSUS(ステンレス鋼)製の部材を組み合わせてなる大径筒状のシェル2の内部に、多数の扁平なSUS製のチューブ3を所定の間隔を設けて積層し、コア部4を形成している。
また、シェル2の入口側下面部には冷却水を供給する冷却水入口パイプ7が接続され、シェルの出口側上面部には冷却水を導出する冷却水出口パイプ8が接続されている。
このEGRクーラのコア部4では、排気ガスが多数のチューブ3に分岐して通過するとともに、冷却水がチューブ3とシェル2との間の冷却水流路を流れて、排気ガスが冷却水と熱交換によって冷却される。
このチューブ3では、チューブインナーおよびチューブアウターの長手方向両端において、平板部を厚さ方向に膨出させた膨出部を形成している。このため、多数のチューブ3を積層すると、この膨出部が他のチューブ3に当接することによって、チューブ2相互の間に冷却水流路となる所定の間隙が設けられる。
インナーフィン1は、チューブインナーおよびチューブアウターを組み立てる際に両者の間に配置され、上面部および下面部でチューブインナーおよびチューブアウターの平板部にろう付けされる。
これにより、インナーフィンには、一対の左右側壁で囲まれるセグメント10が長手方向および幅方向に多数設けられる。
第一突起11および第二突起12はともに台形状に切り起こされ、ガス流れ方向上流側に配置される第一突起11は上流側へ傾斜し、ガス流れ方向下流側に配置される第二突起12は第一突起の反対方向、すなわち下流側へ傾斜している。図3(a)に示すように、第一突起11と第二突起12とは、反対方向に同じ大きさの角度で切り起こしているため、側面視で逆さハの字状に配置されている。
また、図2(b)に示すように、第一突起11は、ガス流れ方向(前後方向)に対して左右のいずれかに傾斜しており、その下流側の第二突起12は、この第一突起11と左右の反対方向に同じ角度で傾斜している。
他方、上記特定のセグメント10aの上流側または下流側に隣接するセグメント10c、10dでは、第一突起11が上流右側へ傾斜し、第二突起12が下流左側へ傾斜している。なお、上記特定のセグメント10aの第一突起11がガス流れ方向に対して左側へ傾斜する角度の大きさと、その上流側または下流側に隣接するセグメント10c、10dの第一突起11がガス流れ方向に対して右側へ傾斜する角度の大きさは等しく、上記特定のセグメント10aの第二突起12がガス流れ方向に対して右側へ傾斜する角度の大きさと、その上流側または下流側に隣接するセグメント10c、10dの第二突起12がガス流れ方向に対して左側へ傾斜する角度の大きさも等しい。
第一突起11および第二突起12の左右への傾きの角度および高さ方向の切り起こしの角度は、使用されるEGRクーラの通気抵抗や排気ガスの単位時間あたりの流量に応じて、最適となるように調整する。
第一突起11は、ガス流れ方向上流側に傾斜しており、セグメント10に流入する排気ガスに積極的に乱流を起こす形状になっている。
第二突起12は、ガス流れ方向下流側に傾斜しているため、第一突起11で乱流化を促進された排気ガスを下流側の左右2つのセグメント10へ拡散して円滑に流すようになっている。
LcをLhの1.5倍より大きくすると、第一突起11と第二突起12とが相乗的に機能せず、第一突起11で乱流化を促進された排気ガスを第二突起12で円滑に拡散するという効果が得られなくなってしまう。
また、LcをLhの0.5倍よりも小さくすると、インナーフィン1に第一突起11および第二突起12を形成する際に、金型強度の影響により成形できなくなるおそれがある。
Lhの0.5〜1.5倍の範囲内でLcを小さく設定するほどチューブ3の放熱性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るインナーフィン(実施例)を収容したチューブと、図5のように第一突起も第二突起も設けないインナーフィン(比較例1)を収容したチューブと、各セグメントに第一突起のみを設けて第二突起を設けないインナーフィン(比較例2)を収容したチューブとについて、排気ガスを流速15m/sで流した場合の流体解析を行い、放熱性能を比較したところ、図4のような結果となった。
したがって、第一突起11および第二突起12を設けた実施例では、第一突起および第二突起を設けない比較例1に対し放熱性能が21.9%向上し、第一突起のみを設けた比較例2に対しても、放熱性能が約3.8%向上することがわかった。
2 シェル
3 チューブ
4 コア部
5 入口ヘッダー
6 出口ヘッダー
7 冷却水入口パイプ
8 冷却水出口パイプ
9 (従来の)インナーフィン
10(10a、10b、10c、10d) セグメント
11 第一突起
12 第二突起
13 煤
Claims (3)
- 排気ガスを冷却するEGRクーラに内装され、排気ガスを通過させる扁平なチューブに用いられるインナーフィンであって、
板材を、幅方向に凹凸を繰り返す形状に形成するとともにこの繰り返しをガス流れ方向の所定長さごとに交互に左右にずらしたオフセット形状に形成し、
一対の左右側壁で囲まれたセグメントごとに、上面部または下面部のいずれか一方を切り起こして、先端部が基端部よりガス流れ方向上流側に位置するように傾斜させた第一突起と、この第一突起の下流側に配置され、第一突起の傾斜角と等しい角度で先端部が基端部よりガス流れ方向下流側に位置するように傾斜させた第二突起とを形成したことを特徴とするインナーフィン。 - 上記第一突起と上記第二突起との距離Lcが、上記第一突起および上記第二突起の高さLhの0.5倍以上1.5倍以下であることを特徴とする請求項1記載のインナーフィン。
- 上記セグメントを平面視した平面において、上記セグメントの中心位置に対し、上記第一突起と上記第二突起とが点対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載のインナーフィン。
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