次に、本発明に係る熱交換器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
(熱交換器の構成)
まず、本実施形態に係る熱交換器1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る熱交換器1を示す図である。本実施形態に係る熱交換器1は、排気再循環装置としてのEGRクーラであるものとする。
図1及び図2に示すように、熱交換器1は、外装ケース10と、この外装ケース10内に収容された複数のチューブ20と、複数のチューブ20の両端部に配置された一対のタンク30,40とを備えている。これら部品は、例えば耐熱性、耐腐食性に優れた材料(例えばステンレス材)より形成されている。また、これら各部材は、互いの当接箇所をろう付けによって固定されている。
外装ケース10には、冷却液体としての冷却水の冷却水入口部11と冷却水出口部12が設けられている。外装ケース10内には、隣り合うチューブ20の隙間、及び、両端位置のチューブ20と外装ケース10の内面の隙間によって液体通路としての冷却水通路13が形成されている。
チューブ20は、複数が積層されることによって、気体としての排気ガスが流れる気体通路としての排気通路20Aと、上述した冷却水通路13とが交互に設けられる。なお、チューブ20の詳細については、後述する。
一対のタンク30,40内には、全てのチューブ20の両端が開口している。一方のタンク30には、排気ガスが導入される入口31aが形成された入口ヘッダー31が取り付けられ、他方のタンク40には、排気ガスが排出される出口41aが形成された出口ヘッダー41が取り付けられている。
(チューブの構成)
次に、上述したチューブ20の構成について、図面を参照しながら説明する。図3〜図5は、本実施形態に係るチューブ20を示す図である。
図2に示すように、チューブ20は、2つの偏平部材(不図示)より形成されている。この偏平部材の長手方向両端には、膨出部(不図示)が形成されている。この膨出部は、各チューブ20が積層された状態で、他のチューブ20に当接することによって、各チューブ20の相互間に上述した冷却水通路13となる隙間が形成される。
チューブ20の内部には、上述したように、排気通路(気体通路)20Aが形成されている。排気通路20Aは、図3〜図5に示すように、下記するようにフィン21によって複数のセグメント(小通路)22に分割されている。フィン21は、チューブ20の排気通路20Aに収容されている。フィン21は、図4に示すように、チューブ20の内面(すなわち、冷却水通路13)に密接した面となる水平壁23と、排気通路20Aを複数のセグメント22に分割する垂直壁24とが交互に配置された矩形の波形形状に形成されている。又、フィン21は、排気流れ方向SDの所定間隔毎に、垂直壁24の位置が1/2セグメント幅ずれた位置に形成されている。つまり、排気通路20Aには、排気流れ方向(気体流れ方向)SDの直交方向CDに仕切られた複数のセグメント22が形成され、複数のセグメント22は、気体流れ方向SDの所定長さ毎に気体流れ方向SDの直交方向CDに交互にずれたオフセット配置とされている。これにより、上流の各セグメント22は、下流の隣り合う2つのセグメント22に連通されている。
セグメント22は、図3及び図4に示すように、排気流れ方向SD及びチューブ積層方向PDの直交方向CDに凹凸状を繰り返すとともに、排気流れ方向SDに沿って所定長さ毎に交互にずらしたオフセット形状に形成されることによって、排気流れ方向SD及び直交方向CDに複数配置されている。
このセグメント22は、排気流れ方向SDに沿った複数の内面(チューブ20の1面とフィン21の3面とを合わせた計4面)によって形成されている。各セグメント22を構成する水平壁23は、排気流れ方向SDに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板25が切り起こしによって形成されている。
突出板25は、排気通路20A内の排気流れを遮る方向に突出している。具体的には、突出板25は、図11(a)に示すように、1つのセグメント22内において、排気流れ方向SDの上流側に前倒れ状態となる前傾角度(α1)で配置された第1突出板25Aと、第1突出板25Aの下流に配置され、排気流れ方向SDの上流側に前倒れ状態となる前傾角度(α2)で配置された第2突出板25Bとを有している。
(第1突出板)
第1突出板25Aは、図6,図8(a),図11(a)に示すように、底辺26Aと、左右一対の側辺27A,28Aと、底辺26Aから最も離れた頂辺29Aから成る台形によって形成されている。
底辺26Aは、直交方向CDに対し斜め向きとなる設置角度(β1)で配置されている。一方の側辺27Aは、他方の側辺28Aよりも排気流れ方向SDの下流側に位置している。一方の側辺27Aは、他方の側辺28Aよりも長い。言い換えると、他方の側辺28Aは、一方の側辺27Aよりも短い。
一方の側辺27Aの底辺26Aに対する角度aは、他方の側辺28Aの底辺26Aに対する角度bよりも小さい。具体的には、一方の側辺27Aの底辺26Aに対する角度aは、90度より小さく、他方の側辺28Aの底辺26Aに対する角度bは、90度以上に設定されている。
頂辺29Aは、チューブ積層方向PDからの正面視(図8(a)参照)において他方の側辺28A側が低くなるように底辺26Aに対して傾斜し、底辺26Aと平行にならないように設定されている。このように底辺26Aに対して頂辺29Aを平行としないことにより、排気流れ方向SDからの正面視(図8(a)参照)において、頂辺29Aが一方の側辺27A側が高くなるように、底辺26Aに対して傾斜されると共に、頂辺29Aが排気流れ方向SDに対して略直交した状態となる。
このような第1突出板25Aは、図3〜図5に示すように、直交方向CDに隣接した各セグメント22において、対称に突設されている。具体的には、直交方向CDに隣接する一方のセグメント22には、第1突出板25Aが冷却水通路13と接する水平壁23から切り起こして配置され、直交方向CDに隣接する他方のセグメント22には、第1突出板25Aが冷却水通路13と接する水平壁23から切り起こして配置され、チューブ積層方向PDに対して頂辺29A同士が向かい合うように配置されている。この直交方向CDに隣接した各セグメント22に配置された第1突出板25Aは、底辺26Aの設置角度(β1)が同一に設定され、底辺26Aが直交方向CDに対して同一向きに傾斜して配置されている。
一方、第1突出板25Aは、排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22において、直交方向CDに対して線対称に配置されている。具体的には、排気流れ方向SDに隣接する一方のセグメント22に配置された第1突出板25Aの底辺26Aと、排気流れ方向SDに隣接する他方のセグメント22に配置された第1突出板25Aの底辺26Aとが、直交方向CDに対して線対称に配置されている。この排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22に底辺26Aが直交方向CDに対して線対称に配置された第1突出板25Aは、底辺26Aの設置角度(β1)が同一に設定されている。
(第2突出板)
第2突出板25Bは、排気流れ方向SD及びチューブ積層方向PDの直交方向CDに対して第1突出板25Aと線対称に配置されている。つまり、第2突出板25Bは、図6,図11(a)に示すように、底辺26Bと、左右一対の側辺27B,28Bと、頂辺29Bから成る台形によって形成されている。
底辺26Bは、直交方向CDに対し斜め向きとなる設置角度(β2)で配置されている。この底辺26Bは、上述した第1突出板25Aの底辺26Aと直交方向CDに対して線対称に設けられている。一方の側辺27Bは、他方の側辺28Bよりも排気流れ方向SDの下流側に位置している。一方の側辺27Bは、他方の側辺28Bよりも長い。言い換えると、他方の側辺28Bは、一方の側辺27Bよりも短い。
一方の側辺27Bの底辺26Bに対する角度a’は、他方の側辺28Bの底辺26Bに対する角度b’よりも小さい。具体的には、一方の側辺27Bの底辺26Bに対する角度a’は、90度より小さく、他方の側辺28Bの底辺26Bに対する角度b’は、90度以上に設定されている。
頂辺29Bは、チューブ積層方向PDからの正面視(図8(a)参照)において他方の側辺28B側が低くなるように底辺26Bに対して傾斜し、底辺26Bと平行にならないように設定されている。このように底辺26Bに対して頂辺29Bを平行としないことにより、排気流れ方向SDからの正面視(図8(a)参照)において、頂辺29Bが一方の側辺27B側が高くなるように、底辺26Bに対して傾斜している。この傾斜方向は、気体流れ方向SDからの正面視で、第1突出板25Aの頂辺29Aの傾斜とは逆向きである。つまり、第1突出板25Aの頂辺29Aと第2突出板25Bの頂辺29Bは、気体流れ方向からの正面視において、各底辺26A、26Bに対して互いに異なる方向に傾斜している(図5(b)、図8(a)参照)。
このような第2突出板25Bは、図3〜図5に示すように、直交方向CDに隣接した各セグメント22において、対称に突設されている。具体的には、直交方向CDに隣接する一方のセグメント22には、第2突出板25Bが冷却水通路13と接する水平壁23から切り起こして配置され、直交方向CDに隣接する他方のセグメント22には、第2突出板25Bが冷却水通路13と接する水平壁23から切り起こして配置され、チューブ積層方向PDに対して頂辺29B同士が向かい合うように配置されている。この直交方向CDに隣接した各セグメント22に配置された第2突出板25Bは、底辺26Bの設置角度(β1)が同一に設定され、底辺26Bが直交方向CDに対して同一向きに傾斜して配置されている。
一方、第2突出板25Bは、排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22において、直交方向CDに対して線対称に配置されている。具体的には、排気流れ方向SDに隣接する一方のセグメント22に配置された第2突出板25Bの底辺26Bと、排気流れ方向SDに隣接する他方のセグメント22に配置された第2突出板25Bの底辺26Bとが、直交方向CDに対して線対称に配置されている。この排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22に底辺26Bが直交方向CDに対して線対称に配置された第2突出板25Bは、底辺26Bの設置角度(β1)が同一に設定されている。
気体流れ方向の隣り合う前記各セグメント22では、第1突出板25Aと第2突出板25Bの気体流れ方向SDの直交方向CDに対する設置向きが逆向きに設定されて、上流の各セグメント22の第2突出板25Bとその下流の各セグメント22の第1突出板25Aの気体流れ方向SDの直交方向CDに対する設置向きが同じとなっている。
(熱交換の促進作用)
次に、本実施形態に係る熱交換器1の熱交換の促進作用について、図面を参照しながら説明する。図6〜図8は、本実施形態に係る熱交換器1を示す図である。なお、図6〜図8では、図6の左上のセグメント22を「セグメント22A」とし、図6の左下のセグメント22を「セグメント22B」とし、図6の右上のセグメント22を「セグメント22C」とし、図6の右下のセグメント22を「セグメント22D」とする。
ここで、「横渦流」とは、図9(a)に示すように、排気流れ方向SD(及びチューブ積層方向PD)の直交方向CDを回転軸とし、排気流れ方向SDに進む渦流を示すものとする。一方、「縦渦流」とは、図9(b)に示すように、排気流れ方向SDを回転軸とし、排気流れ方向SDに進む渦流を示すものとする。
横渦流は、渦流の周囲の流体に対して大きな剪断速度をもつため、流体摩擦による圧力損失が大きくなり、渦流が早期に減衰する。一方、縦渦流は、渦流の周囲の流体と大きな剪断速度を有しないため、渦流が長期に亘って存在する。
このように横渦流と縦渦流とでは、渦流の寿命に差が生じるため、縦渦流を生成できれば、周囲の壁面(ここではセグメント22の壁面)に対して流体の混合を促進でき、熱伝達を促進することができる。以下、本実施形態に係る熱交換器1の熱交換の促進作用について説明する。
まず、上述した熱交換器1では、各チューブ20内の排気通路20Aには、内燃機関から排出される排気が流れる。外装ケース10内の冷却水通路13には、冷却水が流れる。排気と冷却水は、チューブ20及びフィン21を介して熱交換する。この熱交換に際して、フィン21の第1突出板25A及び第2突出板25Bは、排気の流れを乱し、熱交換を促進している。
具体的には、図6に示すように、各セグメント22A〜D内では、排気通路20Aを流れる排気ガスが第1突出板25Aに突き当たると、排気ガスが直進することができないため、第1突出板25Aの直ぐ下流には低圧領域が形成される。つまり、第1突出板25Aは台形(4角形以上の多角形)であることから、排気ガスの気体流の堰き止め領域が大きいため、第1突出板25Aの直ぐ下流には三角形の場合に較べて十分に低い低圧領域が形成される。
この第1突出板25Aは、排気流れ方向SDの上流側に前倒れ状態で配置されているため、第1突出板25Aの頂辺29Aを超えて進む排気ガスの気流は、後傾斜とした場合のように気体流れがスムーズに上方に流れを変えて進むことができないため、第1突出板25Aの下流の低圧領域に引き込まれ易い。第1突出板25Aの頂辺29Aを超えて進む気流の引き込み方向は、底辺26Aが接する周面に向かう方向であるため、第1突出板25Aの下流には、第1突出板25Aの頂辺29Aを超えて進む気流によって強い横渦流R(図7のセグメント22A参照)が形成される。
この横渦流Rは、第1突出板25Aの底辺26Aと頂辺29Aとが平行でなく、他方の側辺28Aより長い一方の側辺27Aが排気流れ方向SDの下流側に配置されているため、頂辺29Aが排気流れ方向SDに対して略直交して配置されることになり、より効率的に生成される。
一方、第1突出板25Aの一対の側辺27A,28Aを回り込んで進む気流は、横渦流Rと同様に、第1突出板25Aの下流の低圧領域に引き込まれる。第1突出板25Aの下流の低圧領域は、他方の側辺28Aの位置よりも一方の側辺27Aの位置でより低い低圧となるため、引き込まれ易い。
その上、一方の側辺27Aが他方の側辺28Aより長く、一方の側辺27Aの底辺26Aに対する角度aが他方の側辺28Aの底辺26Aに対する角度bよりも小さく90度未満(鋭角)に設定されているため、セグメント22の内壁(ここでは垂直壁24)と一方の側辺27Aとの間に一様の間隔をもつ隙間を構成でき、一方の側辺27Aの底辺26A側から頂辺29A側にかけて強さの似た多くの気流Sが回り込まれる。
従って、一方の側辺27A側から他方の側辺28Aより強い気流Sが第1突出板25Aの下流に引き込まれ、横渦流Rを旋回させている。この引き込み方向は、上記した頂辺29Aを超える気流と異なる向きであり、上記した横渦流Rの旋回方向を変えさせることになる。
以上より、第1突出板25Aの頂辺29Aを超えて進む気流によって形成された強い横渦流Rは、一方の側辺28Aを回り込んで進入してきた気流Sによって強い縦渦流T1に変換される。縦渦流T1は、横渦流Rのように早期に減衰せずに、長期に亘って存在する渦であり、図8(a)に示すように右回転である。
一方、各セグメント22A〜D内では、直交方向CDに対して線対称に配置された第2突出板25Bによって、上述した第1突出板25Aと同様のメカニズムにより、第2突出板25Bの頂辺29Bを超えて進む気流によって形成された強い横渦流Rは、一方の側辺28Bを回り込んで進入してきた気流Sによって強い縦渦流U1に変換される。この縦渦流U1は、図8(a)に示すように、第1突出板25Aによって生成される縦渦流T1とは逆回転である左回転である。
この第1突出板25A及び第2突出板25Bによって生成された縦渦流T1及び縦渦流U1は、排気通路20Aを構成する周面近傍に形成される境界層(チューブ20の内面やフィン21の水平壁23などの排気停滞層)を乱しつつ流れるため、熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる。
加えて、縦渦流T1と縦渦流U1とは、逆回転であるため、図8(a)に示すように、縦渦流T1及び縦渦流U1の境界領域(排気通路20Aの幅方向の中央部分に示す一点鎖線内)で同一方向となり、互いの回転を強める方向に働き、排気通路20Aを構成する周面近傍に形成される境界層の撹拌が増進され、熱伝達をさらに大きく促進させることができる。
このように1つのセグメント22内において、第1突出板25A及び第2突出板25Bによって生成された縦渦流T1及び縦渦流U1は、排気流れ方向SDの下流側にオフセット配置された2つのセグメント22にそれぞれ流出される。
具体的には、図6,図8(b)に示すように、セグメント22Aから流出された縦渦流T1は、セグメント22Cに流入され、セグメント22Aから流出された縦渦流U1は、セグメント22Dに流入される。このとき、セグメント22C及びセグメント22Dは、セグメント22Aに対して直交方向CDにオフセット配置されているため、セグメント22Cとセグメント22Dとを区画する垂直壁24に縦渦流T1及び縦渦流U1が突き当たり垂直壁24近傍の境界層を撹拌でき、熱伝達をさらに大きく促進させることができる。
縦渦流T1が流入されたセグメント22Cでは、図6,図8(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bによって上述したメカニズムにより、2つの回転が異なる縦渦流T2及び縦渦流U2が生成される。ここで、排気流れ方向SDに隣り合うセグメント22Aとセグメント22Cとでは、第1突出板25Aが直交方向CDに対して線対称に配置されているため、セグメント22Aで生成された縦渦流T1が同じ回転方向である縦渦流T2側に流入される。このため、図8(b)に示すように、縦渦流T1が縦渦流T2の発生を誘起すると共に、縦渦流T1と縦渦流T2との相互作用によりセグメント22C内でより強い縦渦流T2を生成することができる。
一方、縦渦流U1が流入されたセグメント22Dでは、図6,図8(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bによって上述したメカニズムにより、2つの回転が異なる縦渦流T2及び縦渦流U2が生成される。ここで、直交方向CDに隣り合うセグメント22Cとセグメント22Dとでは、第1突出板25Aが直交方向CDに対して同一方向に配置されているため、セグメント22Aで生成された縦渦流U1が同じ回転方向である縦渦流U2側に流入される。このため、図8(b)に示すように、縦渦流U1が縦渦流U2の発生を誘起すると共に、縦渦流U1と縦渦流U2との相互作用によりセグメント22D内でより強い縦渦流U2を生成することができる。
このように1つのセグメント22内では、第1突出板25A及び第2突出板25Bによって回転の異なる縦渦流T及び縦渦流Uを生成でき、縦渦流T及び縦渦流Uの境界領域で互いの回転を強め、互いの渦の長い寿命を実現できる。その上、排気流れ方向SDに隣り合うセグメント22では、下流側のセグメントを流通するにつれて、同じ回転方向の縦渦流T及び縦渦流Uが合流し、互いの相互作用によりさらに渦の長い寿命を実現できる。
(作用・効果)
以上説明した本実施形態では、1つのセグメント22に設けられた第1突出板25Aと第2突出板25Bとによって、セグメント22内に流入された気体を排気流れ方向SDを回転軸とする縦渦流T及び縦渦流Uとしてセグメント22から流出させる。この縦渦流T及び縦渦流Uは、排気流れ方向SDの直交方向CDを回転軸とする横渦流のように早期に減衰せず、長期に亘って存在する。
このような縦渦流T及び縦渦流Uは、第1突出板25Aと第2突出板25Bとによってそれぞれ回転が異なって生成される。このため、セグメント22内では、回転の異なる縦渦流T及び縦渦流Uの境界領域で、互いの回転を強める方向に働き、排気通路20Aを構成する周面近傍に形成される境界層(排気停滞層)の流体の混合を促進でき、熱伝達を大きく促進させることができる。
従って、本実施形態では、セグメント22に配置された第1突出板25Aと第2突出板25Bとで回転の異なる縦渦流Tと縦渦流Uとを生成できるため、フィン21の突出板25による渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる。
気体流れ方向の隣り合う前記各セグメント22では、第1突出板25Aと第2突出板25Bの気体流れ方向SDの直交方向CDに対する設置向きが逆向きに設定されて、上流の各セグメント22の第2突出板25Bとその下流の各セグメント22の第1突出板25Aの気体流れ方向SDの直交方向CDに対する設置向きが同じである。従って、上流の各セグメント22の第2突出板25Bにより生成する渦流と、下流の各セグメント22の第1突出板25Aにより生成する渦流の向きが同じであるため(図8(b)のT1渦流とT2渦流が同じ回転向き、U1渦流とU2渦流が同じ回転向き)、上流の各セグメント22の第2突出板25Bと下流の各セグメント22の第1突出板25Aの相乗効果によって、回転方向の異なる2つの縦渦流の内で、少なくとも一つの回転方向について強い縦渦流を生成できる。
本実施形態では、排気流れ方向SD及び直交方向CDに配置された各セグメント22に、第1突出板25A及び第2突出板25Bが設けられるため、縦渦流T及び縦渦流Uが上述した境界層(排気停滞層)に加えてセグメント22の垂直壁24にも当たり、縦渦流T及び縦渦流Uが熱伝達を大きく促進させることができる。
本実施形態では、第1突出板25A及び第2突出板25Bが台形であり、排気流れ方向SDの上流側に対して前倒れ状態となる前傾角度(α1,α2)でセグメント22に配置され、底辺26A,26Bの直交方向CDに対し斜め向きとなる設置角度(β1,β2)が直交方向CDに対して線対称に配置され、一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’が他方の側辺28A,28Bの底辺26A,26Bに対する角度b,b’よりも小さく、頂辺29A,29Bが排気流れ方向SDからの正面視において、一方の側辺27A,28B側が高くなるように、底辺26A,26Bに対して傾斜されている。
これにより、第1突出板25A及び第2突出板25Bの頂辺29A,29Bを超えて進む気流によって形成された強い横渦流Rは、一方の側辺27A,27Bを回り込んで進入してきた気流Sによって強い縦渦流T及び縦渦流Uに変換することができる。また、第1突出板25Aと第2突出板25Bの底辺26A,26Bの設置角度(β1,β2)を直交方向CDに対して線対称とすることにより、縦渦流Tと縦渦流Uとの回転方向を異ならせることができる。
本実施形態では、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27Bが他方の側辺28A,28Bよりも長いため、より強い気流Sを発生させることができ、頂辺29A,29Bから発生する横渦流Rをより効率的に縦渦流T及び縦渦流Uに変換することができる。
本実施形態では、第1突出板25A及び第2突出板25Bの頂辺29A,29Bが底辺26A,26Bに対して傾斜され、頂辺29A,29Bが底辺26A,26Bと平行でないため、頂辺29A,29Bを排気流れ方向SDに対してより直交方向に設定することができ、より強い横渦流Rを発生させることができる。
本実施形態では、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27Bが他方の側辺28A,28Bよりも下流側に位置され、一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’が鋭角に設定されているため、排気通路20Aの壁面と一方の側辺27A,27Bとの間隔が略一定になり、一方の側辺27A,27Bから発生する気流Sをより強くすることができる。
本実施形態では、直交方向CDに隣り合う各セグメント22において、第1突出板25A及び第2突出板25Bがセグメント22の水平壁23から上下対称に突設されるため、第1突出板25A及び第2突出板25Bによって生成される縦渦流T及び縦渦流Uが各セグメント22が積層されるチューブ積層方向PDの上下面の熱伝達を排気流れ方向SDに対して平均化することができる。
本実施形態では、第1突出板25A及び第2突出板25Bの底辺26A,26Bの設置角度(β1,β2)が、排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22において、直交方向CDに対して線対称に配置されるため、直交方向CDに隣り合う各セグメント22を仕切る垂直壁24の熱伝達をより効率的に行うことができる。
(比較評価)
次に、上述した突出板25(第1突出板25A及び第2突出板25B)の渦の強さの比較評価について、図面を参照しながら説明する。図10は、比較例及び実施例1,2に係る突出板25の渦の強さを示す図である。なお、渦の強さは、下記の数式によって算出した。
xは、突出板(渦発生部)の設置位置を原点とした流れ方向の座標である。hは、突出板(渦発生部)の設置高さである。IAは、ある流路断面における速度勾配の第2不変量Qの値が正の場合での単位面積当たりのQ値の大きさである。
ここで、比較例に係る突出板は、左右の側辺の角度が同じ台形によって形成されている。実施例1に係る突出板25は、一方の側辺27A,27Bが60度で他方の側辺28A,28Bが90度であり、頂辺29A,29Bが底辺26A,26Bと平行な台形によって形成されている。実施例2に係る突出板25は、上述した実施形態で説明したものである。
実施例1に係る突出板25による渦の強さを「1(基準値)」とし、その他の突出板による渦の強さを測定した。この結果、図10に示すように、実施例1,2に係る突出板25による渦の強さは、比較例に係る突出板による渦の強さと比較して、上述した渦生成のメカニズムによって強い渦流であることが実証された。
(突出板や小通路の規定)
次に、上述した突出板25やセグメント22の様々な規定について、図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、上述した実施例1に係る突出板25による渦の強さ(「1」)を基準に評価したものである。また、図中に示す「最適範囲」とは、渦の強さが1.25〜1.30以上の状態を意味する。
(規定1)
まず、突出板25の規定1について、図11を参照しながら説明する。図11(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図11(b)は、第1突出板25A及び第2突出板25Bの前傾角度(α1,α2)を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定1としては、設置角度(β1,β2)を45度、一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’を45度、他方の側辺28A,28Bの底辺26Aに対する角度b,b’を135度とし、第1突出板25A及び第2突出板25Bの前傾角度(α1,α2)を可変した。
図11(a)及び図11(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの前傾角度(α1,α2)が排気流れ方向SDに対して30〜90度であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦流を強くなることが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの前傾角度(α1,α2)が排気流れ方向SDに対して40〜50度であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定2)
次に、突出板25の規定2について、図12を参照しながら説明する。図12(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図12(b)は、第1突出板25A及び第2突出板25Bの設置角度(β1,β2)を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定2としては、前傾斜角度(α1,α2)を45度、一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’を45度、他方の側辺28A,28Bの底辺26A,26Bに対する角度b,b’を135度とし、第1突出板25A及び第2突出板25Bの設置角度(β1,β2)を可変した。
図12(a)及び図12(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの設置角度(β1,β2)が排気流れ方向SDに対して10〜70度であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦の強さが優れている(「1.1」以上となる)ことが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの設置角度(β1,β2)が排気流れ方向SDに対して33〜65度であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定3)
次に、突出板25の規定3について、図13を参照しながら説明する。図13(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図13(b)は、第1突出板25Aを示す正面図であり、図13(c)は、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27Bと頂辺29A,29Bとの角部R1,R2を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定3としては、前傾斜角度(α1,α2)を45度、設置角度(β1,β2)を45度、一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’を45度、他方の側辺28A,28Bの底辺26A,26Bに対する角度bを135度とし、セグメント22の底壁面から第1突出板25A及び第2突出板25Bの頂辺29A,29Bの最も高い頂点までの高さL15に対して、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27B及び他方の側辺28A,28Bと頂辺29Aとの角部R1,R2を可変した。
図13(b)及び図13(c)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27B及び他方の側辺28A,28Bと頂辺29A,29Bとの角部R1,R2には、刃物の長寿命化のためにR形状が付けられる。この角部R1,R2は、第1突出板25A及び第2突出板25Bの底辺26A,26Bから頂辺29A,29Bの最も高い頂点までの高さH15に対して5〜42%の曲率形状(R形状)であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが1.25以上となることが分かる。
(規定4)
次に、突出板25の規定4について、図14を参照しながら説明する。図14(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図14(b)は、セグメント22の幅L1に対して、第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅L2を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定4としては、第1突出板25A及び第2突出板25Bの排気流れ方向SDの直交方向CDに沿った幅L2を可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図14(a)及び図14(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅L2がセグメント22(排気通路20A)の幅L1に対して40〜80%であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦の強さが優れている(「1.1」以上となる)ことが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅L2は、セグメント22の幅L1に対して46〜74%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定5)
次に、突出板25の規定5について、図15を参照しながら説明する。図15(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図15(b)は、セグメント22の高さL3に対して、第1突出板25A及び第2突出板25Bの高さL4(上述した規定3のL15と同様)を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定5としては、第1突出板25A及び第2突出板25Bの排気流れ方向SDの直交方向CDに沿った高さL4を可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図15(a)及び図15(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの高さL4がセグメント22(排気通路20A)の高さL3に対して25〜45%であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦流を強くなることが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの高さL4は、セグメント22(排気通路20A)の高さL3に対して32〜42%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定6)
次に、突出板25の規定6について、図16を参照しながら説明する。図16(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図16(b)は、セグメントの長さL5に対して、第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さL6を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定6としては、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,28Bの排気流れ方向SDに沿った長さL6を可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図16(a)及び図16(b)に示すように、第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さL6がセグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDに沿った長さL5に対して11〜30%であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦流を強くなることが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さL6は、セグメント22(排気通路20A)の長さL5に対して13〜26%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定7)
次に、突出板25の規定7について、図17を参照しながら説明する。図17(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図17(b)は、セグメント22の排気流れ方向SDの上流端から排気流れ方向SDに沿った第1突出板25Aの一方の側辺27Aの底辺26A側までの長さL7に対して、第1突出板25Aと第2突出板25Bとの最小間隔L8を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定7としては、第1突出板25Aと第2突出板25Bとの最小間隔L8を可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図17(a)及び図17(b)に示すように、第1突出板25Aと第2突出板25Bとの最小間隔L8がセグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDの上流端から排気流れ方向SDに沿った第1突出板25Aの一方の側辺27Aの底辺26A側までの長さL7に対して0〜70%であることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦の強さが優れている(「1.23」以上となる)ことが分かる。
特に、第1突出板25Aと第2突出板25Bとの最小間隔L8は、セグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDの上流端から排気流れ方向SDに沿った第1突出板25Aの一方の側辺27Aの底辺26A側までの長さL7に対して0〜50%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定8)
次に、突出板25の規定8について、図18を参照しながら説明する。図18(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図18(b)は、セグメント22の長さL9に対して、セグメント22の排気流れ方向SDの上流端から排気流れ方向SDに沿った第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さ中央点LPまでの長さL10を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定8としては、第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さ中央点LPを可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図18(a)及び図18(b)に示すように、長さ中央点LPは、第1突出板25Aの底辺26Aの中央位置を通過し直交方向CDに沿った補助線SL1と、第2突出板25Bの底辺26Bの中央位置を通過し直交方向CDに沿った補助線SL2との排気流れ方向SD間の中央位置となっている。
この第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さ中央点LPは、セグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDに沿った長さL9に対して、セグメント22(排気通路20A)の上流側から30〜70%の範囲内に設けられることによって、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦の強さが優れている(「1.21」以上となる)ことが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの長さ中央点LPは、セグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDに沿った長さL9に対して、セグメント22(排気通路20A)の上流側から35〜67%の範囲内に設けられることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定9)
次に、突出板25の規定9について、図19を参照しながら説明する。図19(a)は、突出板25を示す斜視図であり、図19(b)は、セグメント22の幅L11に対して、セグメント22の直交方向CDの一端から直交方向CDに沿った第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅中央点WPまでの長さL12を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定9としては、第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅中央点WPを可変したものである。なお、第1突出板25A及び第2突出板25Bのその他の条件は、上述した規定3と同様である。
図19(a)及び図19(b)に示すように、幅中央点WPは、第1突出板25Aの底辺26Aの中央位置を通過し排気流れ方向SDに沿った補助線SL3と、第2突出板25Bの底辺26Bの中央位置を通過し排気流れ方向SDに沿った補助線SL4との直交方向CD間の中央位置となっている。
この第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅中央点WPは、セグメント22(排気通路20A)の排気流れ方向SDの直交方向CDに沿った幅L11に対して、幅方向の中央を基準にして20〜70%の範囲内であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)よりも渦の強さが優れている(「1.05」以上となる)ことが分かる。
特に、第1突出板25A及び第2突出板25Bの幅中央点WPは、セグメント22(排気通路20A)の幅L11に対して幅方向の中央を基準にして26〜70%の範囲内であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定10)
次に、セグメント22の規定10について、図20を参照しながら説明する。図20(a)は、突出板25及びセグメント22を示す斜視図であり、図20(b)は、セグメント22を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定10としては、セグメント22のチューブ積層方向PDに沿った高さL13と、セグメント22の排気流れ方向SDに沿った長さL14とを可変したものである。なお、セグメント22の構成以外の突出板25の条件は、上述した規定3と同様である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、セグメント22の高さL13は、セグメント22の排気流れ方向SDに沿った長さL14に対して16〜38%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定11)
次に、セグメント22の規定11について、図21を参照しながら説明する。図21(a)は、突出板25及びセグメント22の一部を示す斜視図であり、図21(b)は、セグメント22を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定11としては、セグメント22の排気流れ方向SDに沿った長さL15と、排気流れ方向SDの直交方向CDに沿った幅L16を可変したものである。なお、セグメント22の構成以外の突出板25の条件は、上述した規定3と同様である。
図21(a)及び図21(b)に示すように、セグメント22の幅L16は、セグメント22の長さL15に対して12〜40%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定12)
次に、セグメント22の規定12について、図22を参照しながら説明する。図22(a)は、突出板25及びセグメント22を示す斜視図であり、図22(b)は、セグメント22を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定12としては、セグメント22のチューブ積層方向PDに沿った高さL17と、排気流れ方向SDの直交方向CDに沿った幅L18を可変したものである。なお、セグメント22の構成以外の突出板25の条件は、上述した規定3と同様である。
図22(a)及び図22(b)に示すように、セグメント22の幅L18は、セグメント22の高さL17に対して85〜110%であることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(規定13)
次に、セグメント22の規定13について、図23を参照しながら説明する。図23(a)は、突出板25及びセグメント22を示す斜視図であり、図23(b)は、セグメント22の排気流れ方向SDに隣り合うセグメント22とのずれ量を可変した場合の渦の強さを示す特性線図である。
この規定13としては、セグメント22の排気流れ方向SDに隣り合うセグメント22とのずれ量を可変したものである。なお、セグメント22の構成以外の突出板25の条件は、上述した規定3と同様である。
図23(a)及び図23(b)に示すように、各セグメント22のずれ量は、排気流れ方向SDに隣接したセグメント22のうち上流側に位置するセグメント22の幅L19に対して、上流側に位置するセグメント22の直交方向CDの一端から下流側に位置するセグメント22の直交方向CDの他端までの長さL20が28〜69%ずれて配置されることが好ましい。これにより、上述した実施例1(つまり、渦の強さが「1.00」)に対して渦の強さが「1.25」以上となることが分かる。
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、熱交換器1は、EGRクーラであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、気体と液体とを熱交換する熱交換器(例えば,水冷給気クーラ(水冷CACクーラ)や排熱回収器)及び気体と気体とを熱交換する熱交換器(例えば,空冷給気クーラ(空冷CACクーラ)であってもよい。
また、突出板25は、セグメント22の水平壁23に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、セグメント22の垂直壁24に形成されていてもよい。
また、第1突出板25A及び第2突出板25Bは、台形であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、排気通路20Aの周面に接する底辺と左右一対の側辺とを有する4角形以上の多角形であればよい。
また、第1突出板25A及び第2突出板25Bの頂辺29A,29Bは、底辺26A,26Bに対して傾斜するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、底辺26A,26Bと平行に設けられていてもよい。
また、第1突出板25A及び第2突出板25Bの一方の側辺27A,27Bの底辺26A,26Bに対する角度a,a’が90度より小さく、他方の側辺28A,28Bの底辺26A,26Bに対する角度b,b’が90度以上に設定されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、この角度a,a’が角度b,b’よりも小さければ何度に設定されていてもよい。
また、第1突出板25A及び第2突出板25Bは、直交方向CDに隣接した各セグメント22において同一向きに配置されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、直交方向CDに隣接した各セグメント22において線対称に配置されるものであってもよい。
また、第1突出板25A及び第2突出板25Bは、排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22において直交方向CDに対して線対称に配置されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、排気流れ方向SDに隣接した各セグメント22において同一向きに配置されるものであってもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。