JP5881953B2 - テープ状酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

テープ状酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、テープ状酸化物超電導線材の製造方法に関し、特に中間層が形成された金属基材上に、MOD(Metal-organic Deposition)法を用いて超電導層を形成する技術に関する。
従来、YBaCu7−X(YBCO)系のテープ状酸化物超電導線材の製造方法として、中間層が形成された金属基材上に、有機金属塩塗布熱分解(MOD:Metal-organic Deposition)法を用いて超電導層を形成することが知られている(特許文献1,2,3参照)。
このMOD法は、先ず、酸化物中間層が形成されたテープ状の基材を、超電導体を構成する各金属元素を所定のモル比で含むトリフルオロ酢酸塩(TFA塩)を始めとするオクチル酸塩、ナフテン酸塩等の金属有機酸塩の混合溶液である超電導原料溶液に浸す。次いで、この基材を超電導原料溶液から引き上げること(いわゆるディップコート法)により、基材の表面に混合溶液を塗布する。次に、仮焼成及び本焼成を行うことにより、酸化物超電導層を形成する。
MOD法は、非真空中でも長尺の基材に連続的に酸化物超電導層を形成できるので、PLD(Pulse Laser Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相法よりも、プロセスが簡単で低コスト化が可能であることから、注目されている。
特許文献1,2には、表面に超電導原料溶液が付着された基材を熱処理する、バッチ方式の熱処理装置が開示されている。バッチ方式の熱処理装置は、特許文献3に示すようなreel-to-reel方式の熱処理装置と比較して、炉内の雰囲気をコントロールし易いため、安定した超電導層を形成できるといった利点がある。また、バッチ方式の熱処理装置は、reel-to-reel方式の熱処理装置と比較して、小型の装置で、短時間で焼成を完了できるといった利点がある。因みに、reel-to-reel方式の熱処理装置は、線材送り出し機構及び巻き取り機構をトンネル形状の炉芯管の両端に設置し、線材を一定速度で炉内を移動させることによって焼成を行うものである。
特許文献1,2に開示された熱処理装置の構成を簡単に説明する。この熱処理装置は、表面に超電導原料が付着された基材を円筒状の回転体に巻回する。基材が巻回された円筒状の回転体は、回転駆動機構によって回転駆動される。回転体には、多数の貫通孔が形成されている。基材は、回転体に巻回された状態において、基材の表面方向に設けられたヒータによって加熱される。また、基材の表面方向からは不活性ガス、酸素ガス及び水蒸気などからなる雰囲気ガスが基材に向けて噴出され、この雰囲気ガスは円筒体に形成された貫通孔を介して排出される。
特許第4468901号公報 特開2009−48817号公報 特許第4401992号公報
特許文献1,2に開示された熱処理装置を用いて、トリフルオロ酢酸塩などを含む混合溶液が塗布された基材を仮焼成した超電導前駆体であって、フッ素(F)を含有した前駆体を中間層上に成膜した後、これに本焼成を施してYBCO膜を形成する方法(TFA−MOD法)においては、本焼時に、前駆体膜に供給する雰囲気ガス(反応性ガス)として水蒸気を使用する。
このときのYBCO生成反応式は、
1/2YCu+2BaF+2CuO+2HO→YBCO+4HF
となる。
このように本焼時では、水蒸気を雰囲気ガスとして使用して前駆体膜に対して熱処理を行うため、HFが発生し、この反応後にHFガスが発生する。
TFA−MOD法では、フッ素化合物(BaF)を分解する際のフッ素の除去速度がYBCO生成の反応律速となる。よって、反応後に発生するHFガスの影響によって、焼成されるYBCO膜の超電導特性が低下するという問題がある。
特に、臨界電流密度(Jc)が2.0以上、臨界電流値(Ic)が300A以上の特性を有する長尺のテープ状線材を得るためには、超電導層を1.5μm以上の膜厚に成膜する必要がある。上記膜厚にすると、フッ素ガスの完全除去がますます困難となり、上記特性を得ることができない。
このため、YBCO膜の超電導特性を向上させるためには、本焼成において前駆体に含まれるフッ素をいかに除去するかが重要となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、TFA−MOD法において、超電導特性の向上が図られたテープ状酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のテープ状酸化物超電導線材の製造方法は、円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管と、前記熱処理空間内部の炉芯軸に対して回転可能に配置され、且つ、多数の貫通孔が形成された表面に、超電導前駆体の膜体が形成されたテープ状線材が巻回される円筒状の回転体と、前記テープ状線材へ雰囲気ガスを供給するためのガス供給管と、前記雰囲気ガスを前記回転体内部から前記炉心管外部に排出するためのガス排出管と、を備えた熱処理装置を用いて、前記回転体に巻回された前記テープ状線材の前記膜体の膜面に対して上方に離間した位置から前記雰囲気ガスを供給する酸化物超電導線材の製造方法において、前記膜体は、Y、Ba、Cuを所定のモル比Y:Ba:Cu=1:a:3(Baモル比a<2の範囲内)の比率で含んだ金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液を、基板上に形成された中間層に塗布した後、仮焼成処理を施すことで形成され、前記回転体の表面と前記ガス供給管のガス噴出孔との離間距離が10mmから150mmであり、この離間距離で前記膜体に前記雰囲気ガスを供給して膜厚1.5μm以上の超電導層を形成するようにした。好ましくは、離間距離は、50mmから100mmである。
本発明によれば、TFA−MOD法において、超電導特性の向上が図られたテープ状酸化物超電導線材を製造することができる。
本発明の一実施の形態に係るテープ状酸化物超電導線材の製造方法における熱処理装置の要部構成を示す概略断面図 同熱処理装置の要部構成を示す概略正面図 同熱処理装置の回転体を示す概略図 同熱処理装置のガス供給管を示す概略断面図 MOD法によるYBCO超電導線材の製造方法を示す概略図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図5は、MOD法によるYBCO超電導層を備えるテープ状酸化物超電導線材(YBCO超電導線材)の製造方法の概略を示したものである。
まず、テープ状のNi合金基板(基材)上に、テンプレートとしてIBAD法によりGdZr中間層を成膜し、さらに、この上にスパッタリング法によりCeO中間層を成膜した複合基板上に、塗布工程(a)でY―TFA塩(トリフルオロ酢酸塩)、Ba―TFA塩およびCu―ナフテン酸塩を有機溶媒中にY:Ba:Cu=1:1.5:3の比率で溶解した混合溶液(超電導原料溶液)8をディップコート法により塗布する。混合溶液8を塗布した後、仮焼成工程(b)で仮焼成する。この塗布工程(a)および仮焼成工程(b)を所定回数繰り返してテープ状線材50における中間層上に超電導前駆体としての膜体を形成する。この後、本焼成工程(c)で、テープ状線材50における超電導前駆体の膜体の結晶化熱処理、即ち、YBCO超電導体生成のための熱処理を施す。次いで、工程(d)で、生成されたYBCO超電導体上にスパッタ法によりAg安定化層を施した後、工程(e)で、後熱処理を施してYBCO超電導線材を製造する。
本発明に係る実施の形態の熱処理装置は、工程(c)の結晶化熱処理に用いられるものであり、テープ状線材において形成された超電導体の前駆体に熱処理を施してYBCO超電導体を生成する。なお、熱処理装置は、中間層の形成にも適用してもよい。
Ni合金基板は2軸配向性を有するものでも配向性の無い金属基板の上に2軸配向性を有する中間層を成膜したものでもよい。また、中間層は、1層あるいは複数層形成される。塗布方法としては、上記のディップコート法以外にインクジェット法、スプレー法などを用いることも可能であるが、基本的には、連続して混合溶液を複合基板上に塗布できるプロセスであればこの例によって制約されない。1回に塗布する膜厚は、0.01μm〜2.0μm、好ましくは0.1μm〜1.0μmである。
なお、ここで用いる超電導原料溶液は、Y、Ba、Cuを所定のモル比で含んだ金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液である。モル数はY:Ba:Cu=1:a:3としたときに<2の範囲内のBaモル比の原料溶液を用いるようにしたものである。この場合、高いJc及びIc値を得るために、原料溶液中のBaモル比は1.0≦a≦1.8の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、原料溶液中のBaモル比は1.3≦a≦1.7の範囲である。これにより、Baの偏析を抑制することができ、その結果、結晶粒界でのBaベースの不純物の析出が抑制される。よって、クラックの発生が抑制されるとともに結晶粒間の電気的結合性が向上し、超電導膜をMOD法により形成することにより、高速で均一な厚膜を有する超電導特性に優れたテープ状酸化物超電導体を容易に製造できる。また、金属有機酸塩としては、各元素のオクチル酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩、三弗化酢酸塩などが挙げられるが、1種類以上の前記塩を有機溶媒に均一に溶解し、複合基板上に塗布できるものであれば用いることができる。
<熱処理装置の構成>
図1に示す熱処理装置10は、バッチ式でテープ状線材50における超電導前駆体の膜体として塗布された原料溶液(超電導原料溶液)の焼成を行うものである。熱処理装置10は、円筒状の熱処理空間11aを有する炉芯管11と、円筒状の回転体12と、ガス供給管13と、ガス排出管14と、を有する。
炉芯管11の熱処理空間11aは、炉内の減圧雰囲気又は真空が保持できるように構成されている。炉芯管11は、周囲にヒータ15が配置されており、熱処理空間11aである内部をヒータ15によって加熱する。
炉芯管11内部には、炉芯管11の軸線である炉芯軸Cを中心に、回転体12が回転可能に配置されている。回転体12は、表面12aに、前駆体が形成されたテープ状線材50が巻回される円筒体12bを有する。なお、テープ状線材50は、上述したように混合溶液を塗布して仮焼を施すことによって、基材上に、YBCO超電導生成体の前駆体が形成されたものである。このテープ状線材50は、前駆体の膜面を露出させて、円筒体12bの表面12a(回転体12の表面)に螺旋状に巻回される。
図3に示すように、回転体12の円筒体12bには、多数の貫通孔17が形成されている。この貫通孔17の径は、テープ状線材50のテープ幅と同等とすることが好ましい。また、その開孔率は50〜95%とし、特に89〜91%の範囲の開孔率が好適する。回転体12は、図示しない回転機構により熱処理中に一定速度で回転する。回転体12は、石英ガラス、アルミナなどのセラミックス又はハステロイ、インコネル等の金属等のような高温に耐え、酸化しにくい材質により構成される。
円筒体12bの一端側は蓋体12cにより閉塞されている。円筒体12bの他端側は、蓋体12dにより閉塞されている。蓋体12dには、円筒体12b内部の雰囲気ガスを炉芯管11の外部へ排出するガス排出管14が挿通されている。
また、図1及び図2に示すように、炉芯管11内には、円筒体12bの表面12aから離間して、複数のガス供給管13が配置されている。複数のガス供給管13は、炉芯軸Cに平行に配置され、かつ、炉芯軸Cに垂直な断面において対称に配置されている。ここでは、炉芯管11内に4本のガス供給管13が、炉芯軸Cに対して対称で、且つ、互いに平行に配設されている。すなわち、炉芯管11内において複数のガス吸気管13は、炉芯軸Cを中心に周方向に90°のピッチで配置されている。
各ガス供給管13は、回転体12に対して雰囲気ガスを噴出する多数のガス噴出孔20を備える。
図4に示すようにガス供給管13におけるガス噴出孔20は、ガス供給管13の本体部分に長手方向に沿って一定間隔で一様に形成されている。各ガス噴出孔20は、円形の孔であり、雰囲気ガスを均一に噴出する。雰囲気ガスを均一に噴出し、かつフッ素ガスをより除去させるためには、雰囲気ガスを供給する際の流速、具体的には上記回転体に巻回された前記膜体の膜面に接触する流速が、200m/s以上500m/s以下であることが好ましい。200m/s未満であると、超電導前駆体に均一に雰囲気ガスを供給する事ができないだけでなく、前記膜体の膜面の表面に滞留する排気ガス(HFガス)を除去することができない。そのために所望の超電導特性を得ることができない。また、500m/s超であると、たしかに雰囲気ガスを均一に噴出することはできるものの結晶化の反応が急速に進むことからエピタキシャル成長速度の制御が困難となる。そのために所望の超電導特性を得ることができない。
図1、2及び図4に示すように、各ガス供給管13は、円筒体12bの表面12aに対して、垂直方向から雰囲気ガスを供給するように、ガス噴出孔20が円筒体12bの表面12aに対して上方に離間した位置に位置するように配置されている。
ガス供給管13は、炉芯管11内において、ガス噴出孔20と回転体12の表面12aとの離間距離Sが10mmから150mmとなるように設けられている。上記離間距離の好ましい範囲は、50mmから100mmである。上記範囲であると、雰囲気ガスを均一に超電導前駆体に対して噴出することができるため、フッ素ガスをより除去することができる。上記範囲未満であると、回転体12に巻回されたテープ状線材50の前記膜体の膜面の一部のみにしか噴出された雰囲気ガスが接触しないため、超電導線材の長手方向に均一な超電導特性を得ることができない。また、上記範囲を超えると、ガス流量が増加し生産コストが向上するだけでなく、結晶化の反応が急速に進むことからエピタキシャル成長速度の制御が困難となる。そのために所望の超電導特性を得ることができない。
したがって、1.5μm以上の厚膜を有する長尺のテープ状線材超電導層を得るためには、上記範囲の離間距離で雰囲気ガスを適切なガス流量にて超電導前駆体に対して噴出する必要があり、これにより膜厚臨界電流密度(Jc)が2.0以上、臨界電流値(Ic)が300A以上の特性を有する超電導線材を得ることができる。
ガス供給管13は、ガス噴出孔20から、各図中の矢印Dで示す方向に雰囲気ガスを噴出する。
これにより、ガス供給管13は、円筒体12bの表面12aに巻回されたテープ状線材50における前駆体の膜面に対して、上方に離間した位置から雰囲気ガスを垂直に供給する。ガス噴出孔20の径は、ガス圧およびガス流量が均一になるように設計されている必要がある。
雰囲気ガスは、ガス供給管13に接続される図示しない接続管を介して、炉芯管11の外に配置される図示しない雰囲気ガス供給装置から供給される。因みに、ガス供給装置では、不活性ガス、酸素ガス又は水蒸気等からなる雰囲気ガスを生成し、ガス供給管13からはこの雰囲気ガスが噴出される。
また、ガス供給管13の長さは、回転体12の長さよりも長くすることが好ましい。すなわち、ガス供給管13の両端に位置するガス噴出孔20間の長さが、回転体12の長さよりも長い構成となる。これにより円筒状の回転体12に巻きつけられたテープ状線材50の全長に亘って均一な反応を行わせることが可能になる。
ガス排出管14は、円筒体12bの内部空間に連続するとともに、円筒体12bの他端側で接続されている。具体的には、円筒体12bの内部から蓋体12dを挿通して炉芯管11の外部に導出している。ガス排出管14は、円筒体内部の雰囲気ガスを炉芯管外部に排気する。ここでは、ガス排出管14は、円筒体12bの回転軸(炉芯軸Cに相当)上に形成されている。
ガス供給管13及びガス排出管14は、石英ガラス、アルミナなどのセラミックス又はハステロイ、インコネル等の金属等のような高温に耐え、酸化しにくい材質により構成される。
以上の熱処理装置10において、テープ状線材50を巻き付けた円筒状の回転体12を一定速度で回転させる。加えて、ヒータ15によって加熱雰囲気に保持された熱処理空間11a内に、ガス供給装置(図示せず)から供給された雰囲気ガスが、ガス供給管13の多数のガス噴出孔20を介して、テープ状線材50の膜面に対して均等に吹き付けられる。吹き付けられた雰囲気ガスは、膜面と反応した後、回転体12における円筒体12bの多数の貫通孔17を介して、円筒体12bの内部に入る。円筒体12bの内部における反応後のガスは、円筒体12bの他端側で接続されたガス排出管14を経由して炉外へ排出される。
熱処理装置10において、ガス供給管13を、長さ2m、内径20mmφで形成し、このガス供給管13に、ガス噴出孔20を、ガス供給管13の長手方向に30mmのピッチで、それぞれの径(ノズル径)を1.0mmφで形成した。このときの炉芯管11の炉内圧力、つまり熱処理空間11a内の圧力を50から200torr、ガス流量を250から1000L/min(常温・常圧での換算値)とした。そして、熱処理装置10におけるガス噴出孔20から噴出して回転体12の表面12aに供給される雰囲気ガスの流速(上記回転体に巻回された前記膜体の膜面に接触する流速)は、300m/sとし、ガス噴出孔20と、熱処理装置10内に配置された回転体12の表面12aとの離間距離Sを80mmとした。尚、回転体12に巻回されるテープ状線材50の膜体は、テープ状のNi合金基板(基材)上に、テンプレートとしてIBAD法によりGdZr中間層を成膜し、さらに、この上にスパッタリング法によりCeO中間層を成膜した複合基板上に、塗布工程でY―TFA塩(トリフルオロ酢酸塩)、Ba―TFA塩およびCu―ナフテン酸塩を有機溶媒中にY:Ba:Cu=1:1.5:3の比率で溶解した混合溶液(超電導原料溶液)をディップコート法により塗布した後、仮焼成工程で仮焼成した膜体である。前記膜体を炉内温度750℃にて本焼成工程による熱処理を行い、1.5μmの超電導層を得た。
このように離間距離Sを80mmとしたものを実施例1とし、実施例1の熱処理装置10の構成において離間距離Sのみ適宜変更した例を実施例2から実施例7とし、下記の表に示す。
実施例2は離間距離S=50mmとし、実施例3は離間距離S=100mmとし、実施例4は離間距離S=30mmとしたものである。また、実施例5は離間距離S=120mmとし、実施例6は離間距離S=10mmとし、実施例7は離間距離S=150mmとしたものである。
これら実施例1から実施例7の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性は次のようになった。実施例1の熱処理装置10により出来上がった超電導線材の特性はJc2.5、Ic370Aであり、実施例2の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.2、Ic330Aであった。実施例3の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.1、Ic315Aであり、実施例4の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.0、Ic300Aであった。実施例5の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.0、Ic300Aであり、実施例6の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.0、Ic300Aであった。実施例7の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性はJc2.0、Ic300Aであった。
また、実施例1の熱処理装置において、ガス噴出孔20と、熱処理装置10内に配置された回転体12の表面12aとの離間距離Sを200mmとした比較例1の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性は、Jc1.1、Ic165Aであった。また、実施例1の熱処理装置において、ガス噴出孔20と、熱処理装置10内に配置された回転体12の表面12aとの離間距離Sを5mmとした比較例2の熱処理装置により出来上がった超電導線材の特性は、Jc1.2、Ic180Aであった。
Figure 0005881953
実施例1から実施例7に示すように、回転体12の表面12aとガス供給管13のガス噴出孔20との離間距離Sが10mmから150mmである場合、「評価」欄の「○」、「◎」で示すように超電導特性に優れた超電導線材ができた。特に、離間距離Sが50mmから100mmである場合、「評価」欄の「◎」で示すように、特に優れた超電導特性の超電導線材ができた。また、回転体12の表面12aとガス供給管13のガス噴出孔20との離間距離Sが10mmから150mmの範囲にない場合、「評価」で「×」で示すように、出来上がる超電導線材の超電導特性は望む値ではなかった。
このように、実施例の熱処理装置を用いたテープ状酸化物超電導線材の製造方法は、比較例の熱処理装置を用いたテープ状酸化物超電導線材の製造方法よりも、フッ素の反応速度を速まり、製造されるテープ状酸化物超電導線材の超電導特性を高めることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、本焼時において、テープ状基材を巻回した回転体を炉芯管の熱処理空間内に収容し、熱処理空間を加熱しつつ、テープ状線材において超電導前駆体の膜面に対して垂直に、10mmから150mm離間した位置から供給する。これにより、フッ素の反応速度を速めてフッ素化合物(フッ化バリウム)の分解を早めて、超電導特性に優れたテープ状酸化物超電導線材を製造できる。
さらに、バッチ方式による焼成を行うので、reel-to-reel方式の焼成を行う場合と比較して、炉内の雰囲気をコントロールし易いので安定した超電導層を形成でき、かつ、短時間で酸化物超電導線材を製造できる。
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
本発明にかかるテープ状酸化物超電導線材の製造方法は、MOD法を用いてテープ状酸化物超電導線材を形成する場合に広く適用可能である。
10 熱処理装置
11 炉芯管
12 回転体
12a 表面
12b 円筒体
13 ガス供給管
14 ガス排出管
20 ガス噴出孔
50 テープ状線材
C 炉芯軸
S 離間距離

Claims (4)

  1. 円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管と、
    前記熱処理空間内部の炉芯軸に対して回転可能に配置され、且つ、多数の貫通孔が形成された表面に、超電導前駆体の膜体が形成されたテープ状線材が巻回される円筒状の回転体と、
    前記テープ状線材へ雰囲気ガスを供給するためのガス供給管と、
    前記雰囲気ガスを前記回転体内部から前記炉心管外部に排出するためのガス排出管と、
    を備えた熱処理装置を用いて、前記回転体に巻回された前記テープ状線材の前記膜体の膜面に対して上方に離間した位置から前記雰囲気ガスを供給する酸化物超電導線材の製造方法において、
    前記膜体は、Y、Ba、Cuを所定のモル比Y:Ba:Cu=1:a:3(Baモル比a<2の範囲内)の比率で含んだ金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液を、基板上に形成された中間層に塗布した後、仮焼成処理を施すことで形成され、
    前記回転体の表面と前記ガス供給管のガス噴出孔との離間距離が10mmから150mmであり、この離間距離で前記膜体に前記雰囲気ガスを供給して膜厚1.5μm以上の超電導層を形成する、
    テープ状酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記離間距離が50mmから100mmである、
    請求項1記載のテープ状酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記テープ状線材へ前記雰囲気ガスを供給する流速が200m/s以上500m/s以下である、
    請求項1又は2記載のテープ状酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記混合溶液中の金属元素を含む前記金属有機酸塩は、オクチル酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩または三弗化酢酸塩より選択された1種以上からなる、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のテープ状酸化物超電導線材の製造方法。
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