JP4876044B2 - 酸化物超電導線材の熱処理装置及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の熱処理装置及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、熱処理装置に係り、特に超電導ケーブルや超電導電力貯蔵のような電力機器及びモーターなどの動力機器への使用に適したテープ状の希土類系酸化物超電導線材の製造に適した酸化物超電導線材の熱処理装置に関する。
酸化物超電導線材のうち、YBaCu7−x(YBCO)超電導線材は、一般に、金属基板上に2軸配向した無機材料薄膜を1層あるいは複数層形成し、その上に超電導膜および安定化層を順次形成した構造を有する。この線材は結晶が2軸配向しているため、ビスマス系の銀シース線材に比べて臨界電流値(Ic)が高く、液体窒素温度での磁場特性に優れているため、この線材を用いることにより、現在、液体ヘリウム温度近傍の低温で使用されている超電導機器が高温状態で使用できる利点を有する。
このYBCO超電導体の特性は、その結晶の配向性に大きく影響され、従って、この下層を構成する中間層及び基板の結晶の配向性や表面平滑性によって大きく影響される。
即ち、YBCO超電導体の結晶系は斜方晶であり、このため、通電特性において材料の特性を発揮させるためには、結晶のCuO面を揃えるだけでなく、面内の結晶方位をも揃えることが要求される。その理由は、僅かな方位のずれが双晶粒界を発生させ、通電特性を低下させることによる。
YBCO超電導線材は、現在、種々の成膜方法で検討が行われ、これに用いらるテープ状金属基板の上に面内配向した中間層を形成した2軸配向金属基板の製造技術として、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法やRABiTS(商標:Rolling Assisted Biaxially Textured Substrate)法が知られており、無配向また配向金属テープ上に面内配向度と方位を向上させた中間層を形成したYBCO超電導線材が多く報告され、例えば、基板として、強圧延加工後の熱処理により配向集合組織を有するNi又はNi基合金からなる基板を用い、この表面上にNi酸化物の薄層、CeO等のMOD法により形成された酸化物中間層及びYBCO超電導層を順次形成した希土類系テープ状酸化物超電導体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この内、最も高特性が得られているのはIBAD基板を用いた方法である。この方法は、非磁性で高強度のテープ状Ni系基板(ハステロイ等)上に、このNi系基板に対して斜め方向からイオンを照射しながら、ターゲットから発生した粒子をレーザー蒸着法で堆積させて形成した高配向性を有し超電導体を構成する元素との反応を抑制する中間層(CeO、Y、YSZ等)または2層構造の中間層(YSZまたはGdZr/CeOまたはY等)を成膜し、その上にCeOをPLD法で成膜した後、更にYBCO層をPLD法で成膜するものである(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この方法は、全ての層が気相法による真空プロセスで作られるため、緻密で平滑な中間層膜を得ることができるという利点を有するが、成膜速度が遅い上、設備コストが高いため線材価格が上昇するなどの問題点があり、このIBAD法の他にもいくつかの気相法を使った成膜方法が検討されているが、コスト及び製造速度の問題を解決する有効な手段は報告されていない。
一方、化学蒸着法(CVD)は、他の気相プロセスに比べて製造速度が速いが、高いIc値を得るために膜厚を増大させることが困難であるという問題がある。
低コストを実現するために最も有効な方法は、金属有機酸塩あるいは有機金属化合物を原料として用い、塗布後に熱処理を施すことによってYBCO超電導層を形成するMOD法(Metal Organic Deposition Processes:金属有機酸塩堆積法)である。
このプロセスは、真空プロセスを使用しないため、設備コストおよびメンテナンスコストがかからないという利点を有しており、低価格の超電導体を提供できることが期待されているプロセスである。この場合、中間層、即ち拡散防止層や格子整合層等もMOD法で成膜することができれば、更にコストを下げることが可能である。
このMOD法によるYBCO超電導層の成膜プロセスの中で重要な点は、焼成時の雰囲気調整、特に、仮焼膜表面に均一なガス流が吹き付けられるような焼成方法を確立することである。
従来、MOD法によるYBCO超電導線材の焼成手段として、線材送り出し機構及び巻き取り機構をトンネル式の炉の両端に備え、所定の温度勾配の炉内を一定速度で移動させることによって焼成を行う(RTR:Reel to Reel)方式が多く採用されている。例えば、管状炉の軸方向に安定した雰囲気を形成することを目的として、炉心管を二重構造にし、外管と内管の間に4枚の仕切板を設け2組のガス供給流路とガス排出流路を形成し、ガス供給流路に複数箇所のガス流出孔を、ガス排出流路に複数箇所のガス流入孔を設けた構造の雰囲気制御型熱処理炉が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
以上のRTR方式は、トンネル炉方式であるため、炉内の雰囲気コントロールが困難であり、また、製造速度が遅いなどの欠点がある。
以上の問題を解決するために、本出願人等は、仮焼膜表面に均一なガス流が吹き付けられ、これにより焼成時の雰囲気調整を容易にし、製造速度の大きな酸化物超電導線材の熱処理装置を開発した。この熱処理装置は、外側にヒータを備えた炉芯管と、この炉芯管の内部に水平方向の回転軸に対して回転可能に配置された被熱処理物を巻回するための円筒状の回転体とからなり、この回転体は、多数の貫通孔が形成された円筒体と、この円筒体の一端側を密封する蓋体と、他端側に円筒体内部のガスを熱処理炉外へ排出するためのガス排出管が接続された蓋体とを備えるとともに、円筒体の外表面に離間して回転軸に対して対称に配置され、多数のガス噴出孔が形成された複数のガス供給管と、ガス供給管に接続され、熱処理炉外からガス供給管に雰囲気ガスを送給するための接続管とを備えるもので(特願2006−5830号参照)、YBCO超電導層の成膜プロセスをバッチ型の電気炉で実施する場合に、雰囲気ガスの炉内流通を十分に行うことにより、ガス導入および排気を適正化させ、長尺の線材を一括で焼成することができるという利点を有する。
この装置は、更に図3及び図4に示すように改良された。図3(a)は炉芯軸に垂直な概略断面図、同図(b)はその炉芯管の断面図、図4は炉芯軸に平行な概略断面図である。
即ち、熱処理装置20は、外部にヒータ21(図3では省略)を備えた炉芯管22と、炉芯軸に対して回転可能に配置された被熱処理物を巻回するための多数の貫通孔23aが形成された円筒状の回転体23と、炉芯管22と回転体23との間に炉芯軸に垂直な断面内で炉芯軸に対して対称に配置された被熱処理物へ雰囲気ガスを供給するための多数の貫通孔24aが形成された複数のガス供給管24と、雰囲気ガスを回転体内部から排出するための多数の貫通孔25aが形成された円筒状のガス排出管25とから構成されている。
特開2004−171841号公報 特開平4−329867号公報 特開2003−121076号公報
以上のバッチ式の熱処理装置は、線材を試料ドラムに巻きつけて熱処理を実施するため、炉内温度及び雰囲気コントロールが容易であり、結果として安定した線材の製造が可能となり、また、線材を一括に処理できるため、Reel to Reelプロセスに比べて製造速度を大きくすることができるという利点がある。しかしながら、以上のバッチ式の熱処理装置又はそれ以前の従来のバッチ式炉は炉内空間が広いため、反応ガスや水蒸気ガスが炉内の余剰空間に滞留し易いという欠点を有しており、この滞留ガスの影響を低減するためには効率よく滞留ガスを炉外に排出する必要があるという問題があった。この滞留ガスを炉外に効率よく排出するには、大量のガスを流し、このガス流に巻き込んで有害なガスを炉外に排出する方法が採用されている。この手法は、大量のガスをキャリアガスとして流す必要があり、現在採用しているアルゴンや酸素など、雰囲気ガスに要するコストが高くなるとともに、環境への影響が懸念されるという問題があった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、酸化物超電導線材を製造するためのバッチ式熱処理装置において、炉芯管内部の余剰な空間を削除することにより、炉芯管内部での雰囲気ガス(反応ガス)の滞留をなくすとともに、排気効率を向上させ、同時にキャリアガスの使用量を削減することことにより環境への影響を抑制することをその目的としている。本発明の他の目的は、長さ方向に均一な特性を有し、かつ優れたIcを有するテープ状のYBCO超電導線材を製造することが可能な酸化物超電導線材の熱処理装置を提供することにある。
本発明の酸化物超電導線材の熱処理装置は、外筒と内筒により形成された円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管と、この炉芯管の外周に配置されたヒータと、熱処理空間内部に炉芯軸に対して回転可能に配置された被熱処理物を巻回するための多数の貫通孔が形成された円筒状の回転体と、外筒と回転体との間に配置された被熱処理物へ雰囲気ガスを供給するためのガス供給管と、雰囲気ガスを回転体と内筒との間から排出するためのガス排出路とを備えるようにしたものである。
上記の外筒と回転体との間に配置されたガス供給管は、回転体に対して雰囲気ガスを噴出するための多数のガス噴出孔を備え、炉芯軸に平行に配置された複数の管状体を炉芯軸に垂直な断面において対称に配置することが好ましい。
また、ガス排出路は、雰囲気ガスを吸入するための多数のガス吸入孔を備えた外側円筒体とこの内部に同心状に配置された内側円筒体により形成された円筒状のガス排出路を有するガス排出管により構成することが好ましい。
本発明によれば、炉芯管を外筒と内筒により構成し、熱処理空間を円筒状に形成したことにより、外筒と回転体との間に配置されたガス供給管から雰囲気ガスが被熱処理物である仮焼膜表面に均一なガス流として吹き付けられ、このガスは回転体と内筒との間のガス排出路から熱処理炉外へ排出されるため、炉芯管内部での雰囲気ガス(反応ガス)の滞留をなくし、排気効率を向上させることができるとともに、仮焼膜表面の雰囲気調整が容易となり、製造速度を大きくして酸化物超電導線材を製造することができ、また、その構造も簡単であるという利点を有する。
また、ガス供給管を、回転体に対して雰囲気ガスを噴出するための多数のガス噴出孔を備え、炉芯軸に平行に配置された複数の管状体を炉芯軸に垂直な断面において対称に配置し、ガス排出路を、雰囲気ガスを吸入するための多数のガス吸入孔を備えた外側円筒体とこの内部に同心状に配置された内側円筒体により形成された円筒状のガス排出路を有するガス排出管により構成することにより、ガス供給管から供給される雰囲気ガスを炉内に滞留させることなく効率よく排出することができるとともに、排気効率の向上により、キャリアガスの流量を削減することが可能となり、結果として製造コストの低減と環境への影響を抑制することができる。
図5は、MOD法によるYBCO超電導線材30の概略断面を示したもので、YBCO超電導線材30は、2軸配向性を有するNi基板31上に、テンプレートとしてIBAD法によりGdZr中間層32を成膜し、さらに、この上にPLD法によりCeO中間層33を成膜した複合基板34上に、(a)Y−トリフルオロ酢酸塩、Ba−トリフルオロ酢酸塩およびCu−ナフテン酸塩を有機溶媒中にY:Ba:Cu=1:2:3の比率で溶解した混合溶液をディップコート法により塗布した後、(b)仮焼し、この塗布および仮焼工程を所定回数繰り返した後、(c)結晶化熱処理、即ち、YBCO超電導体生成の熱処理を施してYBCO層35を成膜し、次いで、(d)スパッタ法によりAg安定化層36を施した後、(e)後熱処理を施して製造される。
本発明の熱処理装置は、上記の(c)の結晶化熱処理に用いられるものであるが、上記の中間層の形成にも適用可能である。
上記のNi基板は2軸配向性を有するものであるが、無配向あるいは2軸配向性の金属基板の上に2軸配向性を有する中間層を1層又は複数層成膜したものも用いることもできる。
また、YBCO原料の塗布方法としては、上記のディップコート法以外にインクジェット法、スプレー法などを用いることも可能であるが、基本的には、連続して混合溶液を複合基板上に塗布できるプロセスであればこの例によって制約されない。1回に塗布する膜厚は、0.01〜3.0μm、好ましくは0.1〜1.0μmである。
ここで用いるMOD原料は、Y、Ba、Cuを所定のモル比で含んだ金属有機酸塩または有機金属化合物である。モル数はY:Ba:Cu=1:(2+a):(3+b)とし、−1.0<a<0.3、−0.5<b<0.5とすることが好ましい。この範囲以外のモル数にした場合、超電導層が生成されないか、あるいは多数の不純物が生成するなどの問題点が生じる。また、金属有機酸塩としては、各元素のオクチル酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩、三弗化酢酸塩などが挙げられるが、1種類あるいは2種類以上の有機溶媒に均一に溶解し、複合基板上に塗布できるものであれば用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
以下、図1および2を用いて本発明の構成について説明する。図1(a)は、本発明による酸化物超電導線材の熱処理装置の一実施例の構造を示す炉芯軸に垂直な概略断面図、同図(b)はその炉芯管の断面図、図2は本発明の酸化物超電導線材の熱処理装置の他の実施例の構造を示す炉芯軸に平行な概略断面図である。尚、図1及び図2の同一部分は同符号で示した。
図1及び図2において、酸化物超電導線材の熱処理装置1は、外筒2と内筒3により形成された円筒状の熱処理空間4を備えた炉芯管と、この炉芯管の外周に配置されたヒータ5(図1では省略)と、熱処理空間4内部に炉芯軸に対して回転可能に配置された被熱処理物を巻回するための円筒状の回転体6と、外筒2と回転体6との間に配置されたガス供給管7と、雰囲気ガスを回転体6と内筒3との間から排出するためのガス排出路8とを備えている。熱処理空間4は、炉内の減圧雰囲気又は真空が保持できるように構成されており、また、不活性ガス、酸素ガス、水蒸気を供給するガス系統に接続され(図示せず)、熱処理パターンに合わせて雰囲気ガスを変化させる機構を有する。内筒3の一端又は両端は大気中に開放されている。
被熱処理物、即ち、基板上に1層あるいは複数層の2軸配向性を持つ無機材料薄膜層からなる中間層を形成した複合基板の上に、YBCO超電導層を構成する金属元素を含む金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液を塗布後仮焼したテープ状線材又は基板上に中間層を構成する金属元素を含む金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液を塗布後仮焼したテープ状線材が円筒状の回転体6に巻きつけられる。
円筒状の回転体6には、多数の貫通孔6aが形成されており、この貫通孔6aの径は、テープ状線材のテープ幅と同等とすることが好ましい。また、その開孔率は50〜95%とし、特に89〜91%の範囲の開孔率が好適する。回転体6は熱処理中に一定速度で回転する機構を備え、その材質は、石英ガラス、アルミナなどのセラミックス又はハステロイ、インコネル等の金属等のような高温に耐え、酸化しにくい材質により構成される。
ガス供給管7は、回転体6に対して雰囲気ガスを噴出するための多数のガス噴出孔7aを備え、炉芯軸に平行に配置され、かつ複数のガス供給管7が炉芯軸に垂直な断面において対称に配置されている。雰囲気ガスは、炉体の一端あるいは両端から供給される。ガス供給管7の長さは、回転体6の長さよりも長くすることが好ましい。これにより円筒状の回転体6に巻きつけられテープ状線材の全長に亘って均一な反応を行わせることが可能になる。
ガス排出路8は、図1においては、内筒3と回転体6の間に配置された円筒体9と内筒3との間の円筒状空間10によって形成されているが、図2においては、内筒3と回転体6の間に配置された外側円筒体11とこの内部に同心状に配置された内側円筒体12により形成された円筒状のガス排出路13を有するガス排出管14により形成されている。
上記のガス供給管7及びガス排出管14は、石英ガラス、アルミナなどのセラミックス又はハステロイ、インコネル等の金属等のような高温に耐え、酸化しにくい材質により構成される。
上記の円筒体9及び外側円筒体11には、ガス供給管7の多数のガス噴出孔7aに対応して、即ち、ガス噴出孔7と対向する位置に雰囲気ガスを吸入するための多数のガス吸入孔9a、11aが形成されている。排気ガス(反応ガス)は、炉体の一端あるいは両端から排気される。いずれの場合もガス噴出孔7及びガス吸入孔9a、11aの位置、径及び数は、ガス流量が均一になるように形成されている必要がある。
以上の熱処理装置1において、テープ状線材が円筒状の回転体6に巻きつけられ、回転体6を一定速度で回転させる。雰囲気ガス供給装置(図示せず)から供給された雰囲気ガスがガス供給管7の多数のガス噴出孔7aからテープ状線材の線材表面に対して均等に吹き付けられ、このガスは、円筒体9又は外側円筒体11形成された多数のガス吸入孔9a、11aからガス排出路8を経由して炉外へ排出される。
以下、本発明の酸化物超電導線材の熱処理装置を用いてYBCO超電導線材を製造した具体例について説明する。
具体例
外径660mmの外筒、外径300mmの内筒、長さ3400mmの円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管及び外径500mm、長さ1300mmの被熱処理物を巻回するための円筒状の回転体を有する熱処理装置を用いて、被熱処理物に熱処理を施した。
被熱処理物は、厚さ100μm、幅4.5mmのハステロイテープに、テンプレートとしてIBAD法によりGdZr中間層を約0.4μmの厚さに成膜し、さらに、この上にPLD法によりCeO中間層を約1μmの厚さに成膜した複合基板上に、Y−トリフルオロ酢酸塩、Ba−トリフルオロ酢酸塩およびCu−ナフテン酸塩を有機溶媒中にY:Ba:Cu=1:2:3の比率で溶解した混合溶液をディップコート法により塗布した後、最高温度450℃、水蒸気分圧5%の条件で仮焼し、この塗布および仮焼工程を所定回数繰り返して製造した長さ200mのYBCO前駆体膜を有するテープ状線材である。
熱処理は、炉内温度750℃、炉内圧力50torr、水蒸気分圧13%の炉内雰囲気中でガス供給管から酸素分圧1000ppmのAr−O混合ガスを200L/minのガス流量で供給した。
このようにしてYBCO層を成膜し、次いで、YBCO超電導層の上にスパッタ法によりAg安定化層を施してテープ状YBCO超電導線材を製造した。
以上の方法により製造したテープ状YBCO超電導線材の臨界電流値(Ic)をテープの長さ方向に沿って、77K、自己磁場中で測定した結果を図6(黒棒グラフ)に示す。
比較例
外径660mm、長さ3400mmの円柱状の熱処理空間を備えた炉芯管及び外径500mm、長さ1300mmの被熱処理物を巻回するための円筒状の回転体を有する熱処理装置を用いて、被熱処理物に熱処理を施した。
被熱処理物は、具体例と同一のものを用い、炉内雰囲気中も具体例と同一とした。
このようにしてYBCO層を成膜し、次いで、YBCO超電導層の上にスパッタ法によりAg安定化層を施してテープ状YBCO超電導線材を製造した。
以上の方法により製造したテープ状YBCO超電導線材のIcをテープの長さ方向に沿って、77K、自己磁場中で測定した結果を図6(白棒グラフ)に同時に示した。
また、この装置を用いて具体例と同等のIcを得るためにキャリアガスの流量を変化させて実験を行った結果、400L/minのガス流量を必要とした。
以上の具体例及び比較例の結果からも明らかなように、本発明による酸化物超電導線材の熱処理装置によれば、超電導特性に優れた長尺のテープ状の超電導線材を製造することが可能になるとともに、ガス導入・排気の効率が向上することは明らかである。
本発明による酸化物超電導線材の熱処理装置は、ケーブル、電力機器及び動力機器への利用が可能な希土類系テープ状酸化物超電導体に適用することができる。
本発明による酸化物超電導線材の熱処理装置の一実施例の構造を示す炉芯軸に垂直な概略断面図(a)及び炉芯管の断面図(b)である。 本発明による酸化物超電導線材の熱処理装置の他の実施例の構造を示す炉芯軸に平行な概略断面図である。 従来の酸化物超電導線材の熱処理装置の炉芯軸に垂直な概略断面図(a)及び炉芯管の断面図(b)である。 従来の酸化物超電導線材の熱処理装置の炉芯軸に平行な概略断面図である。 MOD法によるYBCO超電導線材の概略断面である。 本発明及び従来の酸化物超電導線材の熱処理装置を用いて製造したテープ状YBCO超電導線材の臨界電流値(Ic)をテープの長さ方向に沿って測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
1、20 酸化物超電導線材の熱処理装置
2 外筒
3 内筒
4 熱処理空間
6 回転体
7 ガス供給管
8、13 ガス排出路
9 円筒体
10 円筒状空間
11 外側円筒体
12 内側円筒体
14 ガス排出管
22 炉芯管
23 回転体
24 ガス供給管
25 ガス排出管
30 YBCO超電導線材
31 Ni基板
32 GdZr中間層
33 CeO中間層
34 複合基板
35 YBCO層
36 Ag安定化層

Claims (8)

  1. 外筒と内筒により形成された円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管と、この炉芯管の外周
    に配置されたヒータと、前記熱処理空間内部に炉芯軸に対して回転可能に配置されたテー
    プ状の被熱処理物を巻回するための多数の貫通孔が形成された円筒状の回転体と、前記外
    筒と前記回転体との間に配置された前記被熱処理物へ雰囲気ガスを供給するためのガス供
    給管と、前記雰囲気ガスを前記回転体と前記内筒との間から排出するためのガス排出路と
    を備えたことを特徴とする酸化物超電導線材の熱処理装置。
  2. 外筒と回転体との間に配置されたガス供給管は、前記回転体に対して雰囲気ガスを噴出
    するための多数のガス噴出孔を備え、炉芯軸に平行に配置された複数の管状体を炉芯軸に
    垂直な断面において対称に配置したことを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導線材の
    熱処理装置。
  3. ガス排出路は、雰囲気ガスを吸入するための多数のガス吸入孔を備えた外側円筒体とこ
    の内部に同心状に配置された内側円筒体により形成された円筒状のガス排出路を有するガ
    ス排出管からなることを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導線材の熱処理装置。
  4. 円筒状の回転体に形成された多数の貫通孔の径は、テープ状の被熱処理物のテープ幅と
    同等であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の酸化物超電導線材の熱処
    理装置。
  5. 外筒と内筒により形成された円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管と、この炉芯管の外周
    に配置されたヒータと、前記熱処理空間内部に炉芯軸に対して回転可能に配置され、酸化
    物超電導体の前駆体膜を有するテープ状の被熱処理物を巻回するための多数の貫通孔が形
    成された円筒状の回転体と、前記外筒と前記回転体との間に炉芯軸に平行に配置され、前
    記回転体に対して雰囲気ガスを噴出するための多数のガス噴出孔を備えた管状体の複数本
    を炉芯軸に垂直な断面において対称に配置し、前記被熱処理物へ雰囲気ガスを供給するた
    めのガス供給管と、前記雰囲気ガスを前記回転体と前記内筒との間から排出するための多
    数のガス吸入孔を備えた外側円筒体とこの内部に同心状に配置された内側円筒体により形
    成された円筒状のガス排出路を有するガス排出管とを備えたことを特徴とする酸化物超電
    導線材の熱処理装置。
  6. 請求項1乃至5いずれか1項記載の酸化物超電導線材の熱処理装置を用い、基板上に1層あるいは複数層の2軸配向性を持つ無機材料薄膜層からなる中間層を形成した複合基板の上に、Y系(123)超電導層を構成する金属元素を含む金属有機酸塩または有機金属化合物を有機溶媒中に溶解した混合溶液を塗布後仮焼したテープ状線材からなる被熱処理物を前記円筒状の回転体の外周に巻回し、前記ヒータを加熱しながら前記ガス供給管から雰囲気ガスを供給するととともに、前記雰囲気ガスを前記ガス排出路から排出させることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 混合溶液中の金属元素を含む金属有機酸塩は、オクチル酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカ
    ン酸塩または三弗化酢酸塩のいずれか1種よりなることを特徴とする請求項6記載の酸化
    物超電導線材の製造方法。
  8. 外筒と内筒により形成された円筒状の熱処理空間を備えた炉芯管の前記熱処理空間内部
    に、炉芯軸に対して回転可能に配置され、かつ多数の貫通孔が形成された円筒状の回転体
    の外周に酸化物超電導体の前駆体膜を有するテープ状の被熱処理物を巻回し、前記外筒と
    前記回転体との間に前記炉芯軸に平行に配置され、かつ前記炉芯軸に垂直な断面において
    対称に配置された多数のガス噴出孔を備えた複数本の管状体からなるガス供給管から前記
    回転体に対して雰囲気ガスを噴出させ、前記回転体と前記内筒との間に配置され、かつ多
    数のガス吸入孔を備えた外側円筒体とこの内部に同心状に配置された内側円筒体により形
    成された円筒状のガス排出路を有するガス排出管から前記雰囲気ガスを排出するとともに
    、前記炉芯管の外周に配置されたヒータを加熱することにより、前記被熱処理物を熱処理
    することを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
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