JP2009231233A - RE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法及びそれに用いるプラズマ処理装置 - Google Patents

RE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法及びそれに用いるプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】REBaCu系(RE123系)超電導体の前駆体膜の形成に要する加熱処理時間を大幅に短縮することができるとともに、出発原料の金属有機酸塩がフッ素を含むと否とにかかわらず、厚みが2μmを超える厚膜で、かつ、高い臨界電流を有するRE123系超電導テープ線材が得られること。
【解決手段】テープ状基板上に、REBaCu系超電導体を構成する各金属元素を所定の組成比で含む金属有機酸塩を混合してなる原料溶液を塗布し、原料塗布テープ状基板を作製する第1工程と、グロー放電プラズマ中を前記原料塗布テープ状基板を通過させることにより、前記超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板を得る第2工程と、前記前駆体膜形成テープ状基板に前記超電導体を生成させる熱処理を施す第3工程とを備えたRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法である。
【選択図】図2

Description

酸化物超電導テープ線材であって、YBaCu系に代表されるREBaCu系超電導テープ線材は、超電導磁石、超電導モータなどの各種超電導応用機器への利用を図る研究が盛んになっている。本発明は、RE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法、及びそれに用いるプラズマ処理装置に関するものである。
テープ状の希土類系酸化物超電導体、すなわち、YBaCu系に代表されるREBaCu(以下、RE123と記す。REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoのうち少なくとも1種の元素、6.4≦y≦7.0)系超電導体の製造にあたり、MOD法(金属有機酸塩堆積法:Metal Organic Deposition Process)が知られている。
このMOD法は、金属有機酸塩が均一に溶解した原料溶液を基板上に塗布した後、これを加熱して熱分解させることにより、基板上に成膜を行う方法である。このMOD法は、非真空プロセスであるため、真空中でガスを導入して行う他のプロセスに比べて、低コストで高速成膜が可能という特長があり、長尺のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造に適するものである。
ここで、RE123系超電導体膜は、その超電導特性が超電導相結晶の結晶方位に強く依存することから、基板表面に垂直な方向に結晶のc軸を配向させるだけでなく、基板面に平行な方向にも、超電導相結晶のa軸やb軸を揃えて二軸配向させる必要がある。そのために、基板材料として、超電導相結晶の結晶格子定数に近い格子定数を有する材料を選択し、その基板材料も二軸配向させる必要がある。
そして、MOD法においては、出発原料である金属有機酸塩を熱分解させると、通常はBaの炭酸塩が生成する。一度このBaの炭酸塩が生じると、RE123系超電導膜を生成させるには、このBa炭酸塩を分解させなければいけないため、800℃以上の高温で熱処理を行う必要がある。ところが、800℃以上の高温で熱処理を行うと、基板の結晶性の影響が弱くなった条件で成長するため、得られるRE123系超電導膜の結晶の面内配向性に乱れが生じる可能性が高くなることとなる。
そこで、前記Ba炭酸塩を経由せずに、800℃以下の温度での熱処理によりRE123系超電導膜を生成するために、フッ素を含む有機酸塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)を出発原料として、水蒸気雰囲気中で熱処理を行い、フッ化物を経由してRE123系超電導膜を生成させるプロセスの開発が近年精力的に行われている。
ところが、MOD法においてフッ素を含む有機酸塩を水蒸気雰囲気中で処理する場合には、フッ化水素が発生する。フッ化水素は有毒であるため、その排気のために処理設備が必要となる。さらに、塗布膜に供給する水蒸気ガスのフロー状態によって、RE123系超電導膜の生成が強く影響されるため、水蒸気ガスフローの状態を細かく制御する必要がある。一方、フッ素を含む有機酸塩を含まない場合は、発生するフッ化水素の排気処理設備は必要ないし、水蒸気ガスのフローによって、RE123系超電導膜の生成が影響されることもない。
また、MOD法においてフッ素を含む金属有機酸塩を出発原料とする場合、金属有機酸塩の分解速度に影響する仮焼処理中の昇温速度が速いと、金属有機酸塩の熱分解が不充分であり、仮焼後に得られる、RE123系超電導体の前駆体膜の膜中に、溶媒やフッ化物の有機鎖が残存する傾向がある。そのため、RE123系超電導膜の生成のための、その後の熱処理(本焼)の昇温中に、残存している溶媒やフッ化物の有機鎖が急激に分解して、膜中にクラックやボイドが多数発生する。これらのクラックやボイドのため、RE123系超電導膜の超電導特性が著しく低下することとなる。
そこで、従来、仮焼処理中の昇温速度を制御するようにした、テープ状酸化物超電導体の製造方法が提案されている(特開2003−300726号公報)。
しかしながら、この従来の製造方法では、残存している溶媒やフッ化物の有機鎖の急激な分解が抑制され、RE123系超電導膜の厚膜化は達成されるものの、RE123系超電導膜の厚みが2μm程度になると、クラックが発生するという問題があった。
また、特開2007−165153号公報には、厚膜テープ状RE系(123)超電導体の製造方法が提案されている。この製造方法は、前駆体を形成する熱処理(仮焼)と、超電導体生成の熱処理(本焼)との間に、超電導体生成の熱処理温度よりも低い温度で中間熱処理を施すことにより、厚膜条件でも溶媒やフッ化物の有機鎖を低減し、クラックの発生を防止して、高い臨界電流を有する厚みが2μmを超える厚膜(約2.5〜4μm)のテープ状RE系(123)超電導体を製造するようにしたものである。
しかしながら、この従来の製造方法では、前記中間熱処理の温度に上昇させるまでに200分程度の時間を要し、到達した中間熱処理温度で60〜120分の保持時間を必要としており、前記中間熱処理に相当の長い時間を要し、生産性が低いという問題があった。
特開2003−300726号公報 特開2007−165153号公報
そこで、本発明の課題は、REBaCu系(RE123系)超電導体の前駆体膜の形成に要する加熱処理時間を従来に比べて大幅に短縮することができるとともに、出発原料の金属有機酸塩がフッ素を含むものでも、フッ素を含まないものでも、いずれにおいても、厚みが2μmを超える厚膜で、かつ、高い臨界電流を有するRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材を得ることができる、RE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法、及びそれに用いるプラズマ処理装置を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明は、次の技術的手段を講じている。
請求項1の発明は、テープ状基板上に、REBaCu(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoのうち少なくとも1種の元素、6.4≦y≦7.0)系超電導体を構成する各金属元素を所定の組成比で含む金属有機酸塩を混合してなる原料溶液を塗布し、該原料溶液を乾燥して、原料塗布テープ状基板を作製する第1工程と、グロー放電プラズマ中を前記原料塗布テープ状基板を通過させることにより、前記超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板を得る第2工程と、得られた前記前駆体膜形成テープ状基板に前記超電導体を生成させる熱処理を施す第3工程とを備えたことを特徴とするRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法において、前記金属有機酸塩がフッ素を含むものであり、前記グロー放電プラズマのプラズマ生成ガスが水素を含むものであることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法において、前記第2工程において、円筒状外周面を有する回転電極に高周波電力又は直流電力を供給して前記グロー放電プラズマを発生させることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法において、前記第2工程において、前記原料塗布テープ状基板を加熱しながら、前記グロー放電プラズマ中を通過させることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4に記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法の製造方法における前記第2工程に用いられるプラズマ処理装置であって、グロー放電プラズマを発生させるための電極と、長尺の前記原料塗布テープ状基板を前記グロー放電プラズマ中を通過させ、該プラズマ中を通過させて得られた前記前駆体膜形成テープ状基板を引き取る搬送手段と、プラズマ生成ガスを導入するガス導入管を有するとともに、前記電極及び前記搬送手段を内部に収容する反応容器とを備えたことを特徴とするプラズマ処理装置である。
請求項6の発明は、請求項5記載のプラズマ処理装置において、前記電極は、回転駆動され、円筒状外周面を有するドラム状の回転電極であることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項5又は6記載のプラズマ処理装置において、前記反応容器内に、前記グロー放電プラズマへ搬送されている前記原料塗布テープ状基板を加熱する基板加熱手段を備えていることを特徴とするものである。
本発明のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法は、原料塗布テープ状基板を、グロー放電プラズマ中を通過させることにより、RE123系超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板(前駆体膜形成テープ線材)を得るようにした工程を備えている。これにより、RE123系超電導体の前駆体膜の形成に要する加熱処理時間を従来に比べて大幅に短縮することができ、さらに、良質な前駆体膜を得ることができるので、厚みが2μmを超える厚膜で、かつ、高い臨界電流を有するRE123系超電導テープ線材を得ることができる。
さらに、出発原料にフッ素を含まない金属有機酸塩を用いたものでも、大気圧、あるいは大気圧付近の圧力下で発生させたグロー放電プラズマを用いることによって、RE123系超電導体の良質な前駆体膜を得ることができるので、フッ素を含む金属有機酸塩を用いたものと同等の超電導特性を有するRE123系超電導テープ線材を製造することができる。
また、本発明のプラズマ処理装置は、長尺の前駆体膜形成テープ状基板を生産性良く作製することができる。
以下、本発明について、実施例を含めてより詳しく説明する。
本発明の製造方法では、原料塗布テープ状基板を加熱処理して、テープ状基板表面にRE123系超電導体の前駆体膜をするに際し、電気炉などの加熱炉を用いる従来方法とは違って、グロー放電プラズマを用いるようにしている(第2工程)。
このようなグロー放電プラズマ中には、プラズマ生成ガス元素のイオンやラジカルなどの活性種が高い密度で存在する。本発明者らは、このようなグロー放電プラズマにさらされた塗布膜では、熱エネルギーのみによる熱分解とは異なり、金属有機酸塩の化学結合がほぼ同時に切断され、分解が5分未満の短時間の間に進行し、かつ、いわゆる仮焼前駆体として、分子レベルでより均一分散された良質な前駆体膜が得られることを見出したものである。
本発明の方法では、塗布膜中にフッ素を含む金属有機酸塩が含まれる場合、第2工程において、プラズマ生成ガスとして水素を含有させたガスを用いることにより、塗布膜中に存在するフッ素は水素と反応してフッ化水素として除去できる。この場合、グロー放電プラズマ中の水素分圧を0.5Torr(0.5×133.3Pa)以上にすれば、塗布膜中のフッ素を十分に除去する効果が期待できる。また、1.0Torr(1.0×133.3Pa)以上の酸素を含有させることにより、塗布膜中に存在する炭素を酸素と反応させて炭酸ガスとして効果的に排除することができる。
一方、塗布膜中にフッ素を含む金属有機酸塩を含まない場合、加熱炉による通常の熱分解ではBa炭酸塩が生成するが、本発明の方法では、グロー放電プラズマを用いることにより、Ba炭酸塩が生成せず、さらに、Y、Ba、Cuの各金属有機酸塩がミクロに均一分散された良質な前駆体膜が得られる。
これにより、第3工程における熱処理の温度が800℃未満(例えば、780℃)の温度でも、二軸配向したRE123系超電導体膜の生成が可能である。フッ素を含む金属有機酸塩を処理する場合に発生するフッ化水素は有毒であるため、その排気のために処理設備が必要となるが、塗布膜中にフッ素を含む有機酸塩を含まない場合は、そのような設備は必要ない。また、1.0Torr(1.0×133.3Pa)以上の酸素を含有させることにより、塗布膜中に存在する炭素を酸素と反応させて炭酸ガスとして効果的に排除することができる。
本発明の方法では、第2工程においては、塗布膜中にフッ素が存在する場合にも存在しない場合にも、水素分圧が30Torr(30×133.3Pa)より大きく、又は、酸素分圧が60Torr(60×133.3Pa)より大きいとグロー放電プラズマの発生が困難となる。これらの適正な範囲の水素分圧、酸素分圧を有するグロー放電プラズマを生成するために、ヘリウムガスを混合して全圧力が100〜1500Torr(100×133.3Pa〜1500×133.3Pa)の範囲を満たすようにすることがよい。より好ましくは、水素分圧は2〜15Torr(2×133.3Pa〜15×133.3Pa)の範囲、酸素分圧は4〜30Torr(4×133.3Pa〜30×133.3Pa)の範囲、そのときの全圧力は400〜900Torr(400×133.3Pa〜900×133.3Pa)の範囲である。
本発明の方法では、第2工程において原料塗布テープ状基板をグロー放電プラズマ中を通過させるに際し、基板加熱手段によって原料塗布テープ状基板を加熱することがよい。原料塗布テープ状基板を加熱すると、加熱しない場合に比べて、プラズマ処理時間を短縮できるという効果がある。これは、加熱によって塗布膜中の炭素を効果的に蒸発させることができるためであり、炭素を除去するに要する時間分だけプラズマ処理の時間を短くすることができる。なお、原料塗布テープ状基板の温度は、500℃以下となるようにすることがよい。500℃を超えると、得られる前駆体膜中にYがリッチ(rich)の非超電導酸化物が生成し、後の熱処理工程(第3工程)においてRE123系超電導体膜の良好な生成(良好な結晶成長)が阻害される。
本発明の方法の第2工程の実施に用いるプラズマ処理装置としては、反応容器内に平行平板型の電極、あるいは、ドラム状の回転電極を備えたプラズマ処理装置を用いることができる。ドラム状回転電極を備えたプラズマ処理装置は、電界の集中がないためアーク放電が起き難いなどの利点がある。
図1は本発明の方法の実施に用いるプラズマ処理装置の構成を概略的に示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置は、箱状をなす反応容器(チャンバー)11を備えており、反応容器11内には、グロー放電プラズマを発生させるための平行平板型電極として、上部電極18と下部電極19との二つの平板状電極が所定距離を隔てて対向配置されている。グロー放電プラズマの安定化を図るため、電極18,19それぞれの表面には、ガラス板からなる誘電体板20が固着されている。上部電極18は、整合器15を介して高周波電源14に接続されている。下部電極19は接地されている。
下部電極19の内部には、後述する送り出しロール16からの原料塗布テープ状基板1を加熱する基板加熱手段としての加熱用ヒータ21が設けられており、原料塗布テープ状基板1の温度を調節できるようになっている。反応容器11には、ガス成分ごとに所定圧力に調整されたプラズマ生成ガスを導入する複数のガス導入管12(1つだけ図示)が接続され、また、ガスの排気管13が接続されている。
また、反応容器11内には、送り出しロール16と巻き取りロール17が設けられている。送り出しロール16に巻回された長尺の原料塗布テープ状基板1は、巻き取りロール17が駆動モータ(図示せず)によって回転されることで、送り出しロール16から連続的に引き出されてプラズマ発生領域Pへ導かれる。そして、プラズマ発生領域Pを通過して得られた前駆体膜形成テープ状基板1’は、巻き取りロール17に連続的に巻き取られるようになっている。送り出しロール16及び巻き取りロール17は、搬送手段を構成している。
図2は本発明の方法の実施に用いる別のプラズマ処理装置の構成を概略的に示す図である。ここで、前記図1に示すプラズマ処理装置と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
図2に示すように、反応容器11内には、ドラム状の対向ロール23が回転自在に設けられており、この対向ロール23の上方に、これと所定距離を隔てて対向するように、ドラム状回転電極22が設けられている。グロー放電プラズマを発生させるためのドラム状回転電極22は、グロー放電プラズマの安定化を図るため、その円筒状外周面にアルミナ(誘電体)が溶射されている。
このドラム状回転電極22の両側の回転軸は、それぞれ、軸受によって電気的に絶縁された状態で軸支されている。そして、ドラム状回転電極22の一方側の回転軸は、反応容器11の外側面に取り付けられた回転電極用駆動モータの駆動軸に電気的に絶縁された状態で連結されており、他方側の回転軸は、整合器15を介して高周波電源14に電気的に接続されている。接地されている前記対向ロール23は、電極を兼用しており、その円筒状外周面にアルミナ(誘電体)が溶射されている。グロー放電プラズマは、ドラム状回転電極22と対向ロール23の間に発生する。
そして、長尺の原料塗布テープ状基板1は、巻き取りロール17が駆動モータ(図示せず)によって回転されることで、送り出しロール16から送り出されてプラズマ発生領域Pへ導かれる。そして、プラズマ発生領域Pを通過して得られた前駆体膜形成テープ状基板1’は、巻き取りロール17に巻き取られるようになっている。なお、送り出しロール16から対向ロール23に至る搬送ラインの近傍には、送り出しロール16からの原料塗布テープ状基板1を加熱する基板加熱手段としての加熱用ランプ24が設けられている。
以下、本発明の実施例について、比較例を含めて説明する。
まず、比較例1について説明する。
基板として、厚み0.050mm、幅10mmのハステロイ基板上にGdZr及びCeOを順次形成した複合基板を用いた。また、Y及びBaのトリフルオロ酢酸塩(フッ素を含む金属有機酸塩)とCuのナフテン酸塩をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように2−オクタノン中に金属含有量が1.5mol/Lの濃度に溶解し、これを原料溶液とした。そして、前記基板上に前記原料溶液を塗布し、これを120℃で乾燥させた。この塗布と乾燥のサイクルをさらに2回繰り返して表面に塗布膜が形成された原料塗布テープ状基板を作製した。
次いで、電気炉を使用し、圧力1atm(1.01×10Pa)であって、水蒸気濃度2.1%、酸素ガス濃度97.9%というガス雰囲気中において、前記原料塗布テープ状基板に、温度勾配2℃/minで室温から500℃まで加熱する処理(仮焼)を施すことにより(加熱処理時間:240分)、YBaCu(以下、Y123と記す)超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板を作製した。このとき、加熱処理中に発生したフッ化水素ガスは、水に溶かした後、強アルカリと中和反応させることによって処理した。
次いで、電気炉を使用し、濃度13.5%の水蒸気と濃度0.09%の酸素とが混合された圧力1atm(1.01×10Pa)のアルゴンガス雰囲気中において、前記の前駆体膜形成テープ状基板を、温度勾配3℃/minで500℃から760℃まで昇温し、760℃にて90分保持することにより、結晶格子が正方晶のY123超電導膜が形成されたY123超電導テープ線材を得た(中間熱処理なし)。その後、400℃まで冷却し、圧力1atm(1.01×10Pa)の純酸素雰囲気において温度400℃にて30分保持することにより、正方晶から斜方晶へ相変態させて、斜方晶の結晶格子を持つY123超電導膜とした。Y123超電導膜の厚みは、2.8μmであった。
このようにして得られた比較例1のY123超電導テープ線材について、その所定寸法の切断片を温度77.3Kの液体窒素に浸漬して、自己磁場中で1.0μV/cmの電界基準を用いて、単位幅当たりの臨界電流Icを測定した。
その結果、臨界電流Icは、120A/cmという低い値にとどまった。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックが多数観察された。
次に、比較例2について説明する。
基板として、厚み0.050mm,幅10mmのハステロイ基板上にGdZr及びCeOを順次形成した複合基板を用いた。また、Y及びBaのイソノナン酸塩とCuのプロピオン酸塩(ともにフッ素を含まない金属有機酸塩)をY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように酢酸n-ブチル中に金属含有量が1.5mol/Lの濃度に溶解し、これを原料溶液とした。そして、前記基板上に前記原料溶液を塗布し、これを120℃で乾燥させた。この塗布と乾燥のサイクルをさらに2回繰り返して表面に塗布膜が形成された原料塗布テープ状基板を作製した。
次いで、電気炉を使用し、圧力1atm(1.01×10Pa)で酸素ガス雰囲気中において、前記原料塗布テープ状基板に、温度勾配2℃/minで室温から500℃まで加熱する処理(仮焼)を施すことにより、Y123超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板を作製した。
次いで、電気炉を使用し、濃度0.09%の酸素が混合された圧力1atm(1.01×10Pa)のアルゴン雰囲気中において、前記の前駆体膜形成テープ状基板を、温度勾配3℃/minで500℃から780℃まで昇温し、780℃にて90分保持することにより、結晶格子が正方晶のY123超電導膜が形成されたY123超電導テープ線材を得た(中間熱処理なし)。その後、400℃まで冷却し、圧力1atm(1.01×10Pa)で純酸素雰囲気において温度400℃にて30分保持することにより、正方晶から斜方晶へ相変態させて、斜方晶の結晶格子を持つY123超電導膜とした。Y123超電導膜の厚みは、2.8μmであった。
このようにして得られた比較例2のY123超電導テープ線材について、その所定寸法の切断片を温度77.3Kの液体窒素に浸漬して、自己磁場中で1.0μV/cmの電界基準を用いて、単位幅当たりの臨界電流Icを測定した。
その結果、臨界電流Icは、126A/cmという低い値にとどまった。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックが多数観察された。
次に、実施例1について説明する。
第1工程について説明する。前記比較例1と同様に、厚み0.050mm,幅10mm,長さ10mの複合基板上に塗布膜(フッ素を含む)が形成された原料塗布テープ状基板1を2本作製した。
次に、第2工程について説明する。第2工程は前述した図1に示すプラズマ処理装置を用いて実施した。反応容器11の概略寸法は、高さ400mm×奥行き500mm×長さ1000mmである。電極18,19はステンレス鋼製であり、電極18,19間の距離は15mmである。
前記2本のうち、まず、1本の前記原料塗布テープ状基板1を使用し、原料塗布テープ状基板1が巻回された送り出しロール16から引き出されたテープ状基板先端部を、電極18,19間を経て巻き取りロール17に固定して、プラズマ処理装置に原料塗布テープ状基板1をセットした。
反応容器11内にHガスとHeガスを導入して、Hガス分圧:7Torr(7×133.3Pa)、Heガス分圧:693Torr(693×133.3Pa)となるように各ガス流量を調整した。この導入ガスによる700Torr(700×133.3Pa)の圧力下、電極18,19間に周波数13.56MHz,電圧350Vの高周波電力を供給して、グロー放電プラズマを発生させた。また、ヒータ21により、原料塗布テープ状基板1の温度が200℃になるように原料塗布テープ状基板1を加熱するようにした。
そして、プラズマ発生領域Pを原料塗布テープ状基板1を通過させることで加熱処理することにより、前駆体膜形成テープ状基板(前駆体膜形成テープ線材)1’を作製した。この場合、原料塗布テープ状基板1の走行速度を変えることにより、プラズマ中で加熱処理される時間(プラズマ発生領域Pに原料塗布テープ状基板1が進入し退出するまでの時間)を変化させて、それぞれの条件で前駆体膜形成テープ状基板1’を作製した。なお、処理中に発生したフッ化水素ガスは、水に溶かした後、強アルカリと中和反応させることにより処理した。
続いて、前記2本のうち、他の1本の原料塗布テープ状基板1については、これをヒータ21による加熱なし(室温)とした点以外は、前記と同様にして前駆体膜形成テープ状基板1’を作製した。
次に、第3工程について説明する。電気炉を使用し、濃度0.09%の酸素が混合された圧力1atmのアルゴン雰囲気中において、前記のようにして得られた各前駆体膜形成テープ状基板1’を、温度勾配5℃/minで200℃から760℃まで昇温し、760℃にて90分保持することにより、結晶格子が正方晶のY123超電導膜が形成されたY123超電導テープ線材を得た。その後、400℃まで冷却し、圧力1atm(1.01×10Pa)で純酸素雰囲気において温度400℃にて30分保持することにより、正方晶から斜方晶へ相変態させて、斜方晶の結晶格子を持つY123超電導膜とした。Y123超電導膜の厚みは、2.8μmであった。
そして、このようにして得られた実施例1のY123超電導テープ線材について、比較例1と同様にして、その所定寸法の切断片を温度77.3Kの液体窒素に浸漬して、自己磁場中で1.0μV/cmの電界基準を用いて、単位幅当たりの臨界電流Icを測定した。その結果を図3に示す。図3は、実施例1で作製したY123超電導テープ線材についてのプラズマ処理時間と単位幅当たりの臨界電流との関係を示すグラフ図である。
図3に示すように、原料塗布テープ状基板1のプラズマによる加熱処理に際し、ヒータ21によって原料塗布テープ状基板1を200℃に加熱したもの(図3において黒い四角印で示す)では、プラズマ処理時間が3分間のときに臨界電流Icが最大値に達して501A/cmが得られており、比較例1に比べて4倍以上という高い臨界電流Icが得られた。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックは全く観察されなかった。
また、図3に示すようにヒータ21による原料塗布テープ状基板1の加熱を行わないもの(図3において黒い菱形印で示す)でも、原料塗布テープ状基板1を200℃に加熱したもの比べて、同じ値の臨界電流を得るために必要な時間が長くなるものの、5分間のプラズマ処理にて368A/cmという臨界電流Icが得られ、比較例1に比べて3倍以上という高い臨界電流Icが得られた。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックは全く観察されなかった。
次に、実施例2について説明する。
第1工程について説明する。前記比較例1と同様に、厚み0.050mm,幅10mm,長さ10mの複合基板上に塗布膜(フッ素を含む)が形成された原料塗布テープ状基板1を作製した。
次に、第2工程について説明する。第2工程は、前記図3の、ドラム状回転電極22を備えたプラズマ処理装置を用いて実施した。反応容器11の概略寸法は、高さ400mm×奥行き500mm×長さ1000mmである。ドラム状回転電極22及び対向ロール23は、ステンレス鋼製である。ドラム状回転電極22の直径(外径)は、150mmである。
原料塗布テープ状基板1が巻回された送り出しロール16から引き出されたテープ状基板先端部を、対向ロール23を経て巻き取りロール17に固定して、プラズマ処理装置に原料塗布テープ状基板1をセットした。
反応容器11内にHガスとHeガスを導入して、Hガス分圧:7Torr(7×133.3Pa)、Heガス分圧:693Torr(693×133.3Pa)となるように各ガス流量を調整した。この導入ガスによる700Torr(700×133.3Pa)の圧力下、ドラム状回転電極22に周波数13.56MHz,電圧350Vの高周波電力を供給するとともに、ドラム状回転電極22を1500回/分の速度で回転させて、ドラム状回転電極22と対向ロール23間にグロー放電プラズマを発生させた。また、加熱用ランプ24により、原料塗布テープ状基板1の温度が200℃になるように原料塗布テープ状基板1を加熱するようにした。
そして、プラズマ発生領域Pを原料塗布テープ状基板1を通過させることで加熱処理することにより、前駆体膜形成テープ状基板(前駆体膜形成テープ線材)1’を作製した。この場合、プラズマ中で加熱処理される時間(プラズマ発生領域Pに原料塗布テープ状基板1が進入し退出するまでの時間)が3分となるように、原料塗布テープ状基板1の走行速度を調節した。なお、処理中に発生したフッ化水素ガスは、水に溶かした後、強アルカリと中和反応させることにより処理した。
次に、第3工程について説明する。電気炉を使用し、濃度0.09%の酸素が混合された圧力1atm(1.01×10Pa)のアルゴン雰囲気中において、前記のようにして得られた前駆体膜形成テープ状基板1’を、温度勾配5℃/minで200℃から760℃まで昇温し、760℃にて90分保持することにより、結晶格子が正方晶のY123超電導膜が形成されたY123超電導テープ線材を得た。その後、400℃まで冷却し、圧力1atm(1.01×10Pa)で純酸素雰囲気において温度400℃にて30分保持することにより、正方晶から斜方晶へ相変態させて、斜方晶の結晶格子を持つY123超電導膜とした。Y123超電導膜の厚みは、2.8μmであった。
そして、このようにして得られた実施例1のY123超電導テープ線材について、比較例1と同様にして、その所定寸法の切断片を温度77.3Kの液体窒素に浸漬して、自己磁場中で1.0μV/cmの電界基準を用いて、単位幅当たりの臨界電流Icを測定した。
その結果、前記実施例1よりもさらに高い545A/cmという臨界電流Icが得られた。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックは全く観察されなかった。
ここで、先の実施例1で用いたプラズマ処理装置の平行平板型の対向電極18,19では、プラズマ中のストリーマが電極18,19のある一部分に集中する傾向があって、それが原因でプラズマが空間的に不均一になり、原料塗布テープ状基板1がそのようなプラズマ発生領域を通過することで、形成されるY123前駆体膜が高エネルギーで微小なダメージを受けることになる。
これに対し、ドラム状回転電極22では、ストリーマが発生してもプラズマ発生電極としては常にフレッシュな面が提供されるので、そのストリーマが回転電極22のある一部分に集中することがなく、高エネルギーによるダメージの少ない良質なY123前駆体が形成されるためと考えられる。
次に、実施例3について説明する。
第1工程について説明する。前記比較例2と同様に、厚み0.050mm,幅10mm,長さ10mの複合基板上にフッ素を含まない塗布膜が形成された原料塗布テープ状基板1を2本作製した。
次に、第2工程について説明する。第2工程は、前記実施例2と同じプラズマ処理装置を用いて実施した。前記2本のうち、まず、1本の前記原料塗布テープ状基板1をプラズマ処理装置にセットした。
反応容器11内にHeガスを導入して、Heガスによる圧力が700Torr(700×133.3Pa)となるように流量を調整した。圧力700Torr(700×133.3Pa)のHeガス雰囲気下、ドラム状回転電極22に周波数13.56MHz,電圧350Vの高周波電力を供給するとともに、ドラム状回転電極22を1500回/分の速度で回転させて、ドラム状回転電極22と対向ロール23間にグロー放電プラズマを発生させた。また、加熱用ランプ24により、原料塗布テープ状基板1の温度が200℃になるように原料塗布テープ状基板1を加熱するようにした。
そして、プラズマ発生領域Pを原料塗布テープ状基板1を通過させることで加熱処理することにより、前駆体膜形成テープ状基板(前駆体膜形成テープ線材)1’を作製した。この場合、原料塗布テープ状基板1の走行速度を変えることにより、プラズマ中で加熱処理される時間(プラズマ発生領域Pに原料塗布テープ状基板1が進入し退出するまでの時間)を変化させて、それぞれの条件で前駆体膜形成テープ状基板1’を作製した。
続いて、前記2本のうち、他の1本の原料塗布テープ状基板1については、これを加熱用ランプ24よる加熱なし(室温)とした点以外は、前記と同様にして前駆体膜形成テープ状基板1’を作製した。
次に、第3工程について説明する。電気炉を使用し、濃度0.09%の酸素が混合された圧力1atm(1.01×10Pa)のアルゴン雰囲気中において、前記のようにして得られた各前駆体膜形成テープ状基板1’を、温度勾配5℃/minで200℃から780℃まで昇温し、780℃にて90分保持することにより、結晶格子が正方晶のY123超電導膜が形成されたY123超電導テープ線材を得た。その後、400℃まで冷却し、圧力1atm(1.01×10Pa)で純酸素雰囲気において温度400℃にて30分保持することにより、正方晶から斜方晶へ相変態させて、斜方晶の結晶格子を持つY123超電導膜とした。Y123超電導膜の厚みは、2.8μmであった。
そして、このようにして得られた実施例1のY123超電導テープ線材について、比較例1と同様にして、その所定寸法の切断片を温度77.3Kの液体窒素に浸漬して、自己磁場中で1.0μV/cmの電界基準を用いて、単位幅当たりの臨界電流Icを測定した。その結果を図4に示す。図4は、実施例3で作製したY123超電導テープ線材についてのプラズマ処理時間と単位幅当たりの臨界電流との関係を示すグラフ図である。
図4に示すように、原料塗布テープ状基板1のプラズマによる加熱処理に際し、加熱用ランプ24によって原料塗布テープ状基板1を200℃に加熱したもの(図4において黒い四角印で示す)では、プラズマ処理時間が1.5分間のときに臨界電流Icが最大値に達して480A/cmが得られており、比較例2に比べて3.8倍以上という高い臨界電流Icが得られた。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックは全く観察されなかった。
また、図4に示すように加熱用ランプ24による原料塗布テープ状基板1の加熱を行わないもの(図4において黒い菱形印で示す)でも、原料塗布テープ状基板1を200℃に加熱したもの比べて、同じ値の臨界電流を得るために必要な時間が長くなるものの、5分間のプラズマ処理にて474A/cmという臨界電流Icが得られ、比較例2に比べて3.7倍以上という高い臨界電流Icが得られた。また、Y123超電導膜には、その表面を電子顕微鏡で観察したところ、ボイドやクラックは全く観察されなかった。
なお、この実施例3ではプラズマ生成ガスとしてHeガスのみを用いたが、Oガスを用いるようにしても、Heガスの場合と同様に、高い臨界電流Icが得られる。プラズマ中に酸素を含めることにより、原料塗布テープ状基板1の塗布膜中に存在する炭素は酸素と反応して炭酸ガスとして効果的に排除でき、プラズマ処理時間を短縮できるという効果がある。
また、本発明では、基板として、ハステロイ基板上にGdZr及びCeOを順次形成した前記複合基板の他に、配向性Ni合金基板の上にCeO2、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、CeO2を順次形成した複合基板を用いるようにしてもよい。また、プラズマ処理装置の電極間に、高周波電力に代えて、直流電力をパルス状に供給する(例えばパルス幅1μs、周期100μs)ようにしてもよい。
また、前記実施例1〜3では、金属有機酸塩として、トリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、イソノナン酸塩、プロピオン酸塩を用い、溶媒として2−オクタノンや酢酸n−ブチルを用いたが、本発明の方法では、金属有機酸塩と溶媒との混合溶液として、トリフルオロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチルサン酸塩、ネオデカン酸塩、イソノナン酸塩、プロピオン酸塩、酢酸塩及びアセチルアセトナート系錯体のうちいずれか1種以上と、有機溶媒との混合溶液を用いても、実施例1〜3と同等の効果が得られる。
本発明の方法の実施に用いるプラズマ処理装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の方法の実施に用いる別のプラズマ処理装置の構成を概略的に示す図である。 実施例1で作製したY123超電導テープ線材についてのプラズマ処理時間と単位幅当たりの臨界電流との関係を示すグラフ図である。 実施例3で作製したY123超電導テープ線材についてのプラズマ処理時間と単位幅当たりの臨界電流との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1…原料塗布テープ状基板
1’…前駆体膜形成テープ状基板(前駆体膜形成テープ線材)
11…反応容器
12…ガス導入管
13…排気管
14…高周波電源
15…整合器
16…送り出しロール
17…巻き取りロール
18…上部電極
19…下部電極
20…誘電体板
21…ヒータ
22…ドラム状回転電極
23…対向ロール
24…加熱用ランプ

Claims (7)

  1. テープ状基板上に、REBaCu(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoのうち少なくとも1種の元素、6.4≦y≦7.0)系超電導体を構成する各金属元素を所定の組成比で含む金属有機酸塩を混合してなる原料溶液を塗布し、該原料溶液を乾燥して、原料塗布テープ状基板を作製する第1工程と、グロー放電プラズマ中を前記原料塗布テープ状基板を通過させることにより、前記超電導体の前駆体膜が形成された前駆体膜形成テープ状基板を得る第2工程と、得られた前記前駆体膜形成テープ状基板に前記超電導体を生成させる熱処理を施す第3工程とを備えたことを特徴とするRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法。
  2. 前記金属有機酸塩がフッ素を含むものであり、前記グロー放電プラズマのプラズマ生成ガスが水素を含むものであることを特徴とする請求項1記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法。
  3. 前記第2工程において、円筒状外周面を有する回転電極に高周波電力又は直流電力を供給して前記グロー放電プラズマを発生させることを特徴とする請求項1又は2記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法。
  4. 前記第2工程において、前記原料塗布テープ状基板を加熱しながら、前記グロー放電プラズマ中を通過させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法。
  5. 請求項1、2、3又は4に記載のRE−Ba−Cu−O系超電導テープ線材の製造方法の製造方法における前記第2工程に用いられるプラズマ処理装置であって、グロー放電プラズマを発生させるための電極と、長尺の前記原料塗布テープ状基板を前記グロー放電プラズマ中を通過させ、該プラズマ中を通過させて得られた前記前駆体膜形成テープ状基板を引き取る搬送手段と、プラズマ生成ガスを導入するガス導入管を有するとともに、前記電極及び前記搬送手段を内部に収容する反応容器とを備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 前記電極は、回転駆動され、円筒状外周面を有するドラム状の回転電極であることを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記反応容器内に、前記グロー放電プラズマへ搬送されている前記原料塗布テープ状基板を加熱する基板加熱手段を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のプラズマ処理装置。
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