JP2013235766A - 酸化物超電導薄膜とその形成方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜とその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】FF−MOD法を用いて製造され、JcやIcが充分に高い酸化物超電導薄膜とその形成方法を提供する。
【解決手段】フッ素を含まないRE(希土類元素)およびBa、Cuの各有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、塗膜に含有される有機成分を熱分解、除去して、仮焼膜を形成する仮焼熱処理工程と、仮焼膜を結晶化させて、本焼膜を形成する本焼熱処理工程とを備え、本焼熱処理工程が、仮焼熱処理工程において生成された炭酸バリウムを酸化物超電導体結晶を形成しない雰囲気下において分解する炭酸バリウム分解ステップと、炭酸バリウム分解ステップにより炭酸バリウムが分解された中間熱処理膜を酸化物超電導体結晶が形成される雰囲気下において酸化物超電導体結晶を成長させて酸化物超電導層を形成させる酸化物超電導層形成ステップとを備えている酸化物超電導薄膜の形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、臨界電流密度Jcや臨界電流値Icが高い酸化物超電導薄膜とその形成方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、金属基板上に酸化物超電導薄膜を形成させた酸化物超電導薄膜線材が注目されている。
このような酸化物超電導薄膜の形成方法の1つに、塗布熱分解法(MOD法:Metal Organic Deposition)がある(特許文献1)。このMOD法は、RE(希土類元素)、Ba(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を溶媒に溶解して製造された原料溶液(MOD溶液)を金属基板に塗布して塗膜を形成した後、例えば、500℃付近で仮焼熱処理して、有機金属化合物を熱分解させて酸化物超電導体の前駆体である仮焼膜を作製し、作製した仮焼膜をさらに高温(例えば750〜800℃付近)で本焼熱処理することにより結晶化を行って、REBaCu7−Xで表されるREBCO系酸化物超電導薄膜を形成させて酸化物超電導線材を製造する方法であり、主に真空中で製造される気相法(蒸着法、スパッタ法、パルスレーザ蒸着法等)に比較して製造設備が簡単で済み、また大面積や複雑な形状への対応が容易である等の特徴を有しているため、広く用いられている。
前記MOD法としては、原料溶液にフッ素を含む有機金属化合物を用いるTFA−MOD法(Metal Organic Deposition using TriFluoroAcetates)とフッ素を含まない有機金属化合物を用いるフッ素フリーMOD法(FF−MOD法)とがある。
TFA−MOD法を用いると、面内配向性に優れた酸化物超電導薄膜を得ることができる。しかし、この方法では、仮焼時にフッ化物であるBaF(フッ化バリウム)が生成され、このBaFが本焼時に分解して危険なフッ化水素ガスを発生する。このため、フッ化水素ガスを処理する装置、設備が必要となる。
これに対して、FF−MOD法は、フッ化水素ガスのような危険なガスを発生することがないため、環境にやさしく、また処理設備が不要であるという利点を有している。
特開2007−165153号公報
しかし、従来のFF−MOD法を用いて、例えば、YBCO系酸化物超電導薄膜を製造した場合、所定の組成で調製したMOD溶液を使用しているにも拘わらず、得られた酸化物超電導薄膜において超電導臨界電流密度Jcが充分に高くならず、臨界電流値Icも充分に高くならないという問題があった。
本発明は、FF−MOD法を用いて製造され、JcやIcが充分に高い酸化物超電導薄膜とその形成方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記した課題の解決について検討する中で、従来のFF−MOD法を用いて作製された酸化物超電導層においては、Jcの向上に必要な微細な異相(磁束ピン)が充分に形成されていないことが分かった。
即ち、従来のFF−MOD法を用いた酸化物超電導層の形成の場合、YBCOを例に挙げて説明すると、まず、有機金属化合物を熱分解させる仮焼熱処理において、Y、Ba、Cuの酸化物(YやCuOなど)や炭酸塩(BaCOなど)が生成される。そして、これらの酸化物や炭酸塩が、その後の本焼熱処理工程において反応して、以下に示す順序でYBCOが生成される。
最初に、680℃程度で仮焼膜を加熱することにより、BaCOが分解される(中間熱処理)。
2Y+8BaCO+12CuO+O
→2Y+8BaO+12CuO+O+8CO
そして、BaCOの分解と同時に多結晶のYBaCu6.5が生成される(結晶化熱処理)。
2Y+8BaO+12CuO+O+8CO
→4YBaCu6.5+O+8CO
その後、YBaCu6.5への酸素導入(酸素アニール)が行われ、YBCOが生成される(結晶成長処理)。
4YBaCu6.5+O+8CO
→4YBaCu+8CO
このように、従来のFF−MOD法においては、BaCOを分解する中間熱処理とYBaCu6.5のようなYBaCu7−xの微結晶を生成する結晶化熱処理とが並行して進行していくため、図3に示すように、BaCOが分解されると同時に、YBaCu6.5のようなYBaCu7−xの微結晶が生成される。このYBaCu7−xの微結晶は、その後、基板面から単結晶へと成長していく。
しかし、このような結晶成長の場合、非超電導酸化物(例えば、YやCuOなど)などの異相は形成されるYBCO膜の内部に分散して存在することができず、膜表面に押出されて異物として析出したり、膜内部で凝集して大きな析出相として残ったりしてしまう。このため、膜内部に充分な磁束ピンが形成されず、JcやIcの向上を図ることができない。
本発明者は、上記の知見に基づき、BaCOが分解される中間熱処理と、YBaCu7−xを生成する結晶化熱処理とが並行して進行しないように制御して、BaCOが分解された時点で同時にYBaCu7−xの生成が行われないようにすることができれば、異相が膜表面に押出されて異物として析出したり、膜内部で凝集して大きな析出相として残ったりすることがなく、YBCO膜の内部に分散して存在し、YBCO膜内に充分な磁束ピンを形成させることができると考え、中間熱処理条件について検討を行った。
その結果、中間熱処理温度を、従来の680℃程度から600℃程度に低くし、また、雰囲気酸素濃度を20〜100%として処理した場合、処理後の中間熱処理膜においては、YおよびBa−Cu−O相のみが残っており、BaCOの分解は行われるものの、YBaCu7−xは生成されていないことが分かった。
そして、このYおよびBa−Cu−O相を、所定の条件下、具体的には、YBaCu7−xが安定して生成される温度(約800℃)、酸素分圧領域(10〜200ppm)下、所定時間熱処理することにより、これらを反応させて、YBaCu7−x膜を形成することができる。このとき、異相が膜表面に押出されて異物として析出したり、膜内部で凝集して大きな析出相として残ったりすることがないため、YBCO膜内に充分な磁束ピンを形成させることができる。
なお、このとき、MOD溶液中のYを化学当量比よりも多くすると、YBaCu7−xを形成すると共に、余剰のYによりYが形成される。形成されたYの大きさは数十ナノメートル程度であり、前記異相と共にYBaCu7−x膜内に閉じこめられるため、磁束ピンとして好ましく、より充分に磁束ピンが形成されることにより、JcやIcをさらに向上させることができる。
本発明は、以上の知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明は、
フッ素を含まないRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を原料とし、塗布熱分解法により酸化物超電導層を形成する酸化物超電導薄膜の形成方法であって、
前記有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜に含有される有機成分を熱分解、除去して、仮焼膜を形成する仮焼熱処理工程と、
前記仮焼膜を結晶化させて、本焼膜を形成する本焼熱処理工程とを備え、
前記本焼熱処理工程が、
前記仮焼熱処理工程において生成された炭酸バリウムを、酸化物超電導体結晶を形成しない雰囲気下において分解する炭酸バリウム分解ステップと、
前記炭酸バリウム分解ステップにより炭酸バリウムが分解された中間熱処理膜を、酸化物超電導体結晶が形成される雰囲気下において、酸化物超電導体結晶を成長させて、酸化物超電導層を形成させる酸化物超電導層形成ステップと
を備えている
ことを特徴とする酸化物超電導薄膜の形成方法である。
酸化物超電導体結晶を形成しない雰囲気下で炭酸バリウムを分解させているため、従来のFF−MOD法と異なり、BaCOの分解と同時にYBaCu7−xの生成が起こらない。そして、炭酸バリウムが分解された後の中間熱処理膜から酸化物超電導体結晶を成長させているため、酸化物超電導体結晶の成長に際して、異相が膜表面に押出されて異物として析出したり、膜内部で凝集して大きな析出相として残ったりすることがない。この結果、酸化物超電導薄膜内に充分な磁束ピンを形成させることができ、JcやIcが向上した酸化物超電導薄膜を製造することができる。
請求項2に記載の発明は、
前記炭酸バリウム分解ステップにおける温度が580〜620℃であると共に、雰囲気酸素濃度が20〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法である。
前記したように、温度580〜620℃、酸素濃度20〜100%の雰囲気下では、炭酸バリウムは分解されるものの、REBCOの結晶は形成されないため、異相が膜表面に押出されて異物として析出したり、膜内部で凝集して大きな析出相として残ったりすることがない。
請求項3に記載の発明は、
前記酸化物超電導層形成ステップにおける温度が750〜850℃であると共に、雰囲気酸素濃度が10〜200ppmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法である。
温度750〜850℃、酸素濃度10〜200ppmの雰囲気下で、熱処理することにより、炭酸バリウムが分解された後の中間熱処理膜からREBCO層を適切に形成することができる。
請求項4に記載の発明は、
前記原料溶液におけるREの比率が、前記酸化物超電導層における化学当量比よりも多いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法である。
原料溶液におけるRE(Yなど)の比率を、酸化物超電導層における化学当量比よりも多くすることにより、充分な量のRE(Yなど)を酸化物超電導層内に閉じこめることができ、JcやIcをより向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法を用いて作製されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜である。
前記した酸化物超電導薄膜の各形成方法を用いることにより、JcやIcが向上した酸化物超電導薄膜を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、
フッ素を含まないRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液を用いて、塗布熱分解法により形成された酸化物超電導薄膜であって、膜内に、微細なREおよびCuOが含まれていることを特徴とする酸化物超電導薄膜である。
膜内に含まれている微細なREやCuOは、磁束ピンとして働き、JcやIcが向上した酸化物超電導薄膜を提供することができる。
本発明によれば、FF−MOD法を用いて製造され、JcやIcが充分に高い酸化物超電導薄膜とその形成方法を提供することができる。
実施例1の仮焼膜の炭酸バリウム分解ステップ前後のX線回折図である。 実施例3の仮焼膜の炭酸バリウム分解ステップ前後のX線回折図である。 YBCO仮焼膜を熱処理した際のBaCOの分解状況とYBCOの生成状況を説明する図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(酸化物超電導薄膜の形成方法)
本実施の形態において、酸化物超電導薄膜は以下の手順に従って製造される。
1.原料溶液(MOD溶液)の調製
まず、MOD溶液を調整する。MOD溶液は、フッ素を含まないRE、Ba、Cuの各有機化合物、例えば、アセチルアセトナート塩などを溶媒に溶解することにより調製される。
REとしては、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)等を用いることができる。
溶媒としては有機溶媒が用いられるが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの各種アルコールが、溶解度が高く高濃度溶液を作製しやすいという観点から好ましい。
このとき、MOD溶液におけるRE:Ba:Cuのモル比を、REBCOにおけるモル比1:2:3ではなく、REの比率を大きくしておくことが好ましい。これにより、前記したようにより充分な量のREを酸化物超電導層内に閉じ込めることができるため好ましい。好ましいREの比率は、1.1〜1.5程度である。
2.塗膜の形成
次に、MOD溶液を、配向金属基板上に所定量塗布した後、乾燥して所定厚みの塗膜を形成する。
配向金属基板としては、c軸に2軸配向した配向金属基板が好ましく、例えば、Ni/Cu/SUSからなるクラッドタイプの金属基材等を用いることができる。また、配向金属基板上には、例えば、CeO/YSZ/Yなどの中間層を設けることが好ましい。
3.仮焼熱処理
次に、この塗膜に対して、500℃程度の温度で、120分間程度保持する仮焼熱処理を施して、金属有機化合物から有機成分を分解、除去して、REおよびCuの酸化物やBaの炭酸塩を含む仮焼膜を形成させる。
4.本焼熱処理
(1)炭酸バリウム分解ステップ
次に、この仮焼膜に対して、酸素濃度20〜100%の雰囲気下、580〜620℃の温度で膜厚に応じ、10〜120分間程度の熱処理を施して、Baの炭酸塩(BaCO)の分解を行う。
しかし、上記の温度は、REBCOの結晶が生成される温度よりも低いため、BaCOが分解された後の中間熱処理膜には、REBCOが生成されず、REおよびBa−Cu−O相のみが残る。
(2)酸化物超電導層形成ステップ
その後、この中間熱処理膜に対して、酸素濃度が10〜200ppmの雰囲気下、750〜850℃の温度で膜厚に応じ、10〜180分間程度の熱処理を施して、REとBa−Cu−O相とを反応させることにより、酸化物超電導体結晶を生成、成長させ、本焼膜(酸化物超電導層)を形成させる。このとき、余剰のREが酸化物超電導層内に残って磁束ピンとなるため、充分なJcやIcの酸化物超電導層を得ることができる。
次に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例においては、酸化物超電導薄膜としてYBCO酸化物超電導薄膜を作製した。
A.酸化物超電導薄膜の形成
実施例1〜3および比較例の酸化物超電導薄膜を以下の手順により形成した。
(実施例1)
1.配向金属基板の準備
最初に、幅30mm、厚み0.1μmのクラッド基板上に、RFスパッタ法を用いて、Y(厚み200nm)、YSZ(厚み200nm)、CeO(厚み50nm)の3層からなる総厚450nmの中間層を形成させ、配向金属基板とした。
2.塗膜の形成
(1)MOD溶液の調製
並行して、Y、Ba、Cuの各アセチルアセトナート錯体を、Y:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように調製して溶媒(アルコール)に溶解させてMOD溶液を作製した。なお、MOD溶液のY3+、Ba2+、Cu2+を合わせた総カチオン濃度を薄塗りに適した0.75mol/Lとした。
(2)塗膜の形成
次に、調製したMOD溶液を配向金属基板表面に塗布した後、乾燥し、塗膜を形成した。
3.仮焼熱処理
次に、大気雰囲気下で500℃まで昇温して、60分間保持後、冷却し、厚み170nmの仮焼膜を形成した。
そして、この仮焼膜について、CuKα線を用いてX線回折測定を行った。
4.本焼熱処理
(1)炭酸バリウムの分解ステップ
次に、酸素濃度20%の雰囲気下、600℃で90分間熱処理して、BaCOを分解させた。
BaCOの分解完了後、前記と同様にして、この熱処理膜についてX線回折測定を行った。
(2)酸化物超電導層の形成ステップ
次に、酸素濃度100ppmのO/Ar雰囲気下、800℃で90分間熱処理後、520℃まで約3時間で降温しつつ、酸素濃度を100%に切り替え、この酸素濃度を保ちつつ、さらに5時間かけて室温まで冷却し、厚み130nmの酸化物超電導層を形成した。
(実施例2)
MOD溶液の調製に際してY:Ba:Cuのモル比が1.3:2:3となるように調製し、Y3+、Ba2+、Cu2+を合わせた総カチオン濃度を厚塗りに適した1mol/Lとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み350nmの酸化物超電導層を形成した。
(実施例3)
MOD溶液の調製に際してY:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように調製したこと以外は、実施例2と同じ方法で厚み350nmの酸化物超電導層を形成した。
(比較例)
本焼熱処理に際して、炭酸バリウムの分解ステップを行わなかったこと以外は、実施例3と同じ方法で酸化物超電導層を形成した。
B.X線回折測定結果
実施例1および実施例3の炭酸バリウム分解ステップ前後のX線回折測定をそれぞれ図1および図2に示す。図1および図2において500℃は炭酸バリウム分解前の測定結果であり、600℃が分解後の測定結果である。
図1および図2より、いずれの場合も、炭酸バリウム分解後には、炭酸バリウムが充分に少なくなり、Y、BaCuO(Ba−Cu−O相)およびCuOが残っている一方、YBaCu1−xが生成されていないことが分かる。
C.超電導特性の評価
実施例1〜3および比較例について、所定の方法を用いて酸化物超電導薄膜の表面にAg安定化層を形成後、誘導法を用いて77.3KにおけるIcを測定した。また、Icの測定結果からJcを求めた。結果を表1に示す。
Figure 2013235766
表1より、焼熱処理工程に炭酸バリウム分解ステップを設けた実施例1〜3の場合、炭酸バリウム分解ステップを設けなかった比較例に比べてIc、Jcが高いことが分かる。また、Yの比率を化学当量比よりも多くした実施例2はJcと共にIcも特に高いことが分かる。
この結果より、Yが酸化物超電導薄膜中に閉じ込められることにより、磁束ピンとして機能して、高いIc、Jcを示すことが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。

Claims (6)

  1. フッ素を含まないRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を原料とし、塗布熱分解法により酸化物超電導層を形成する酸化物超電導薄膜の形成方法であって、
    前記有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜に含有される有機成分を熱分解、除去して、仮焼膜を形成する仮焼熱処理工程と、
    前記仮焼膜を結晶化させて、本焼膜を形成する本焼熱処理工程とを備え、
    前記本焼熱処理工程が、
    前記仮焼熱処理工程において生成された炭酸バリウムを、酸化物超電導体結晶を形成しない雰囲気下において分解する炭酸バリウム分解ステップと、
    前記炭酸バリウム分解ステップにより炭酸バリウムが分解された中間熱処理膜を、酸化物超電導体結晶が形成される雰囲気下において、酸化物超電導体結晶を成長させて、酸化物超電導層を形成させる酸化物超電導層形成ステップと
    を備えている
    ことを特徴とする酸化物超電導薄膜の形成方法。
  2. 前記炭酸バリウム分解ステップにおける温度が580〜620℃であると共に、雰囲気酸素濃度が20〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法。
  3. 前記酸化物超電導層形成ステップにおける温度が750〜850℃であると共に、雰囲気酸素濃度が10〜200ppmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法。
  4. 前記原料溶液におけるREの比率が、前記酸化物超電導層における化学当量比よりも多いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導薄膜の形成方法を用いて作製されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜。
  6. フッ素を含まないRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を溶媒に溶解して調製された原料溶液を用いて、塗布熱分解法により形成された酸化物超電導薄膜であって、膜内に、微細なREおよびCuOが含まれていることを特徴とする酸化物超電導薄膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015532630A (ja) * 2012-08-06 2015-11-12 エスエヌユー アールアンドディービー ファウンデイション 超伝導体及び超伝導体の形成方法
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WO2021241282A1 (ja) * 2020-05-25 2021-12-02 国立研究開発法人産業技術総合研究所 超電導体およびその製造方法

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