JP4128358B2 - 酸化物超電導導体の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用MRI用マグネット、核融合炉用トロイダルマグネット、粒子加速機用マグネット、超電導発電機用マグネット、磁気浮上列車用マグネット等に利用される酸化物超電導導体の製造方法に係わり、特に、酸化熱処理によって酸化物超電導体となる長尺の酸化物超電導導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、常電導状態から超電導状態に遷移する臨界温度(Tc)が液体窒素温度以上の高い値を示す酸化物超電導体が発見されている。
このような酸化物超電導体を用いた長尺の酸化物超電導導体を製造するには、Y系酸化物超電導体の場合、図7に示すように、ハステロイ(商品名)テープなどの金属テープからなる基材51の上にスパッタリング法等の成膜法によりイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などの中間層52を形成する。ついで、この中間層52上にY−Ba−Cu系の酸化物超電導体からなる超電導体形成層あるいは熱処理によって酸化物超電導体となる超電導体形成層53を化学気相成長法あるいはスパッタリング法等の成膜法により形成する。
【0003】
ついで、この超電導体形成層53上にスパッタリング法あるいは蒸着法などの成膜法によりAg又はCu等からなる安定化層54を形成して超電導線材50を作製する。ここで安定化層54を形成したのは、超電導体はその使用条件によっては、超電導体の一部の領域に常電導の芽が発生して発熱を引き起こし、この領域が伝播して広がると、超電導体の全体が常伝導状態に移転するクエンチを引き起こす恐れがあるため、それを防止するために設けている。安定化層54の厚みは、約10μm程度の厚さ(酸化物超電導導体の厚みの約10倍程度の厚さ)としていた。
そして、臨界電流密度等の超電導特性の向上の目的から、大気雰囲気中又は酸素雰囲気中にて500℃程度で上記超電導線材50に熱処理を施して超電導体形成層53中に酸素を導入して超電導体形成層53をY1Ba2Cu37-x系の酸化物超電導層とすると、酸化物超電導導体が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、10〜100m程度の長尺の超電導線材50に上記のような目的で熱処理を施す際には、通常、一台のバッチ式熱処理炉を用い、この熱処理炉内に、超電導線材50をボビンに巻き付けたコイルを入れて、熱処理を施していた。また、超電導線材50をボビンに巻回する際には、線材50が重ならないようにスパイラル状に巻き付けていた。
しかしながら従来の酸化物超電導導体の製造方法においては、超電導線材50が長尺になる程、これを巻き付けるボビンも大型になり、これによって熱処理炉も大型のものが必要になり、その場合には、コスト高となるうえ、設置スペースが大きくなってしまう。
また、超電導線材50をボビンに緻密に重ね巻きして熱処理を行うと、隣り合う線材間隔が狭くなって酸素導入が妨げられるために、超電導体形成層53に供給されるはずの酸素が金属テープからなる基材51の酸化により剥奪され、超電導体形成層53に十分な酸素が供給されず、超電導特性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、酸化物超電導導体の製造方法において、長尺の超電導線材に熱処理を施す際に、熱処理炉を大型化することなく、超電導体形成層に効率良く酸素を供給でき、超電導特性が優れた長尺の酸化物超電導導体を製造できる技術の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、テープ状の基材上に成膜法により中間層を形成し、ついで該中間層上に酸化物超電導体からなる超電導体形成層あるいは熱処理によって酸化物超電導体となる超電導体形成層を形成して積層物とし、ついで該積層物の周囲に安定化層を形成して超電導線材とした後、この超電導線材をボビンに巻き付けた熱処理用コイルに大気雰囲気中又は酸素雰囲気中で熱処理を施す酸化物超電導導体の製造方法であって、前記ボビンとして、該ボビンの内部空間に空気又は酸素を導入するためのガス導入口が設けられ、該ボビンの外壁に、前記内部空間に連通し、該内部空間に導入された空気又は酸素を超電導線材に供給するためのガス吹き出し口が多数形成されたものを用い、前記熱処理用コイルに熱処理を施す際に前記ボビンのガス導入口からボビンの内部空間に空気又は酸素を供給するとともに前記ガス吹き出し口から空気又は酸素を吹き出すことを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法を上記課題の解決手段とした。
【0007】
また、上記ボビンの表面には、Ag又はアルミナがコーティングされていてもよい。
【0008】
また、本発明の酸化物超電導導体の製造方法においては、上記超電導線材をボビンに巻き付ける際に、上記超電導線材を重ね巻きし、その際、上層と下層の超電導線材間に多孔質のスペーサを介在することが好ましい。ここでの多孔質のスペーサとしては、セラミックスペーパー等を用いることができる。
上記超電導線材の安定化層の材質としては、Ag、Cu、Au又はそれらの合金のいずれかが用いられる。
また、本発明の酸化物超電導導体の製造方法においては、上記安定化層の合計の厚み(上記テープ状の基材側の安定化層の厚みと上記超電導体形成層側の厚みの合計)は上記超電導体形成層の厚みの10倍以上の厚みとすることが好ましい。例えば、超電導体形成層の厚みが5μmである場合、上記安定化層の合計の厚みは50μm以上の厚みとする。
また、本発明の酸化物超電導導体の製造方法においては、上記積層物の周囲に安定化層を形成する際、上記テープ状の基材側の安定化層の厚みを上記超電導体形成層側の安定化層の厚みより厚くすることが好ましい。例えば、上記超電導体形成層側の安定化層の厚みが1μmの場合、上記テープ状の基材側の安定化層の厚みが49μmであってもよく、また、上記超電導体形成層側の安定化層の厚みが5μmの場合、上記テープ状の基材側の安定化層の厚みが45μmであってもよく、また、上記超電導体形成層側の安定化層の厚みが10μm以下の場合、上記テープ状の基材側の安定化層の厚みが40μmであってもよい。上記超電導体形成層側の安定化層の厚みは10μm以下とすることが好ましい
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸化物超電導導体の製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の製造方法により得られた長尺の酸化物超電導導体を示す斜視図である。
この酸化物超電導導体1は、基材11上に中間層12が形成され、さらにこの中間層12上にY1Ba2Cu3xからなる酸化物超電導層13が形成された積層物10の周囲に安定化層14が形成されてなるものである。
基材11としては、熱膨張係数の低い耐熱性の金属テープが用いられ、例えば、ハステロイ(商品名)テープが好適に用いられる。
基材11の厚みは、50μm〜200μm程度である。
中間層12は、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、SrTiO3、MgO、Al23、LaAlO3 、GaAlO3、YAlO3、ZrO2のいずれかからなるものであってもよい。
中間層12の厚みは、1μm〜2μm程度である。
【0010】
酸化物超電導層13は、後述するように大気雰囲気中又は酸素雰囲気中で超電導体形成層13aに熱処理を施すことにより得られたものであり、例えば、Y1Ba2Cu37-xなる組成で代表されるY系の酸化物超電導層、Bi2Sr2Can-1Cun2n+2(nは自然数)なる組成で代表されるBi系の酸化物超電導層、Tl2Ba2Can-1Cun2n+2(nは自然数)なる組成で代表されるTl系の酸化物超電導層のいずれからなるものでも良い。
酸化物超電導層13の厚みTは、0.5μm〜10μm程度である。
【0011】
安定化層14は、Cu、Ag、Au、あるいはそれらの合金のいずれからなるものでも良いが、特に、Cu又はAgを用いるのがコストと酸化物超電導層13との低反応性の点で好ましい。
安定化層14の厚みの合計(積層体10の上側の安定化層14の厚みt2と下側の安定化層14の厚みt1の和、言い換えれば酸化物超電導層13側の安定化層14の厚みt2とテープ状の基材11側の安定化層14の厚みt1の和)は、酸化物超電導層13の厚みTの約10以上の厚さとされることが好ましい。
安定化層14の厚みの合計は、酸化物超電導層13の厚みTが0.5μm〜10μm程度の場合、5μm〜100μmが好ましく、より好ましくは10μm程度である。
安定化層14の合計の厚みが酸化物超電導層13の厚みTの10倍以下であると、安定化層14の合計の厚みが薄くなりクエンチを防止する効果が小さい。
また、酸化物超電導層13側の安定化層14の厚みt2は、テープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1より薄いことが好ましく、例えば、10μm以下とすることが好ましい。
また、テープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1は、酸化物超電導層13側の安定化層14の厚みt2より厚いことが好ましくは、例えば、10μmより厚いことが好ましい。
【0012】
次に、図1に示した酸化物超電導導体1の製造方法の実施形態を図2〜図6を用いて説明する。
まず、図2に示すように長さ50m〜100m程度のテープ状の基材11上にスパッタリング法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、熱化学気相成長法等の成膜法により中間層12を形成する。ここで中間層12を形成する際、中間層12を構成する結晶粒の配向方向を揃えるために、イオンビームアシストスパッタリング法により形成することが好ましい。また、基材11は長尺のものであるので、使用する成膜装置の成膜室の内部に基材11の送出装置と巻取装置を設け、上記送出装置から送り出した基材11を上記成膜室の内部で連続的に所定の速度で移動させながら上記巻取装置で巻き取り、移動中の基材11に連続成膜処理を行う。
ついで、中間層12上に酸化物超電導体からなる超電導体形成層あるいは熱処理によって酸化物超電導体となる超電導体形成層13aを真空蒸着法、スパッタリング法、レーザ蒸着法、熱化学気相成長法等の成膜法により形成することにより長尺の積層物10を作製する。ここで超電導体形成層13aを形成する際にも中間層12を形成する場合とほぼ同様ににして成膜装置の成膜室内に中間層12を形成した基材11を連続的に所定の速度で移動させながら連続成膜処理を行う。
【0013】
ついで図3に示すようにこの積層物10の周囲にスパッタリング法あるいは蒸着法などの成膜法又はめっき法により安定化層14を形成して長尺の超電導線材1aを作製する。ここで安定化層14を成膜法により形成する際は、中間層12や超電導体形成層13aを形成する場合とほぼ同様ににして成膜装置の成膜室内に、超電導体形成層13aと中間層12を形成した基材11、即ち、積層物10を連続的に所定の速度で移動させながら連続成膜処理を行う。
安定化層14の厚みの合計(積層体10の上側の安定化層14の厚みt2と下側の安定化層14の厚みt1の和、言い換えれば超電導体形成層13a側の安定化層14の厚みt2とテープ状の基材11側の安定化層14の厚みt1の和)は、超電導体形成層13aの厚みTの約10以上の厚さとされることが好ましい。安定化層14の厚みの合計は、超電導体形成層13aの厚みTが0.5μm〜10μm程度の場合、5μm〜100μmが好ましく、より好ましくは10μm程度である。
安定化層14の合計の厚みが超電導体形成層13aの厚みTの10倍未満であると、安定化層14の合計の厚みが薄くなりクエンチを防止する効果が小さい。積層物10の周囲に安定化層14を形成する際、超電導体形成層13a側の安定化層14の厚みt2は10μm以下とすることが好ましい。
超電導体形成層13側の安定化層14の厚みt2が10μmより厚くなると(超電導体形成層13側の安定化層14の厚みt2がテープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1より厚くなると)、厚すぎて酸素の透過性が低下し、超電導体形成層13aに酸素が供給されにくくなってしまう。
また、積層物10の周囲に安定化層14を形成する際、テープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1を超電導体形成層13側の安定化層14の厚みt2より厚くすることが好ましい。
テープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1は、超電導体形成層13a側の安定化層14の厚みt2が10μm以下である場合、10μmより厚くすることが好ましい。
テープ状の基材1側の安定化層14の厚みt1が10μm以下であると(超電導体形成層13側の安定化層14の厚みt2より薄いと)、熱処理を行う際に酸素が基材11に酸化に消費され、即ち、超電導体形成層13aよりの基材11の方が優先酸化され、超電導体形成層13aを十分に酸化させることができず、目的とする超電導特性を付与できなくなってしまう。
本実施形態では上記のように安定化層14の合計の厚みが、超電導体形成層13の厚みTの約10倍程度の厚さであるので、クエンチを防止する効果は確保できる。
【0014】
ついで、長尺の超電導線材1aを図4に示すようなボビン20に巻き付けて図5に示すような熱処理用コイル30を作製する。図6は、図5のX−X線断面図である。
ここで用いるボビン20は、ステンレス鋼、ハステロイ(商品名)、インコロイ(商品名)等の金属からなるものである。このボビン20には、内部空間に空気又は酸素を導入するためのガス導入口21が設けられ、このガス導入口21に空気又は酸素の供給源(図示略)と接続されたガス供給管22が接続されている。また、このボビン20の外壁23に、上記内部空間に連通し、該内部空間に導入された空気又は酸素を超電導線材1aに供給するためのガス吹き出し口23aが多数形成されている。
また、このボビン23の外壁23aの表面には、Ag又はアルミナがコーティングされている。このように外壁23aの表面にAg又はアルミナがコーティングされていると、ボビン20の優先酸化による超電導線材1aの熱処理雰囲気中の酸欠防止に有効である。
【0015】
ここで超電導線材1aをボビン20に巻き付ける際に、超電導線材1aを重ね巻きし、その際、上層と下層の超電導線材1a、1a間に図6に示すような多孔質のスペーサ35を介在することが好ましい。ここでの多孔質のスペーサ35としては、セラミックスペーパー等を用いることができる。多孔質のスペーサ35の厚みとしては、1〜10mm程度、好ましくは5mm程度のものが用いられる。
このような多孔質のスペーサ35が上層と下層の超電導線材1a、1a間に介在されていると、後述の熱処理を施す際にボビン20のガス吹き出し口23aから吹き出した空気又は酸素がスペーサ35の孔を通過することができるので、超電導線材1aが重ね巻きされていても上層と下層の超電導線材1a、1aの両方に空気又は酸素が効率良く供給され、超電導体形成層13aが効率良く酸化されて超電導特性が優れた超電導体とすることができる点で有利である。
【0016】
ついで、熱処理用コイル30を電気炉等の熱処理炉(図示略)内に入れて450℃〜550℃程度、1〜10時間程度の熱処理を施す。ここでの熱処理を施す際、上記ガス供給源からガス供給管22を経てガス導入口21からボビン20の内部空間に空気又は酸素を供給するとともに上記ガス吹き出し口23aから空気又は酸素を吹き出しながら熱処理を行うと、超電導体形成層13aに十分酸素が供給され、超電導特性が優れた超電導体からなる酸化物超電導層13を有する酸化物超電導導体1が得られる。
ついで、上記熱処理炉内を徐冷後、熱処理用コイル30を取り出し、このコイル30から酸化物超電導導体1を外すと目的とする酸化物超電導導体1が得られる。この後、酸化物超電導導体1は必要に応じて他のボビンに巻き付ける等の加工が施されて製品とされる。
【0017】
本実施形態の酸化物超電導導体の製造方法では、熱処理を施す前に積層物10の周囲に安定化層14を形成することにより、超電導線材1aは最外層に安定化層14を有したものとなり、テープ状の基材11は表面に露出していない。このように超電導線材1aは基材11が露出していないので、この超電導線材1aをボビン20に巻き付けた熱処理用コイル30に空気雰囲気中又は酸素雰囲気中で熱処理を施しても、基材11の優先酸化を防止でき、超電導体形成層13aに効率良く酸素が供給されるので、超電導特性を向上した超電導体からなる酸化物超電導層13を形成でき、超電導特性が優れた長尺の酸化物超電導体を製造できる。
また、超電導体形成層13a側の安定化層14の厚みが10μm程度以下であれば、超電導線材1aをボビン20に重ね巻きしても熱処理時に超電導体形成層13aに効率良く酸素が供給され、超電導特性を向上した超電導体からなる酸化物超電導層13を形成できるので、熱処理炉を大型化することなく、臨界電流密度等の超電導特性が優れた長尺の酸化物超電導導体を製造できる。本実施形態の製造方法によれば、従来の製造方法で用いるものと同じ大きさの熱処理炉を用い、また、酸化物超電導導体の全体の厚みを同じ大きさとする場合、従来法で作製する場合よりも10倍以上の長さの酸化物超電導導体を製造することも可能である。
また、熱処理用コイル30に熱処理を施す際にボビン20のガス導入口21からボビン20の内部空間に空気又は酸素を供給するとともにガス吹き出し口23aから空気又は酸素を吹き出すようにすることで、超電導線材1aの周囲が十分な空気雰囲気又は酸素雰囲気になり、超電導体形成層13aに効率良く酸素が供給され、超電導特性を向上した超電導体からなる酸化物超電導層13を形成できる。
【0018】
【実施例】
(実験例1)
以下のように安定化層の厚みが異なる超電導線材を用いて長尺の酸化物超電導導体を作製したときの77K、0Tにおける臨界電流密度およびクエンチ防止効果について調べた。その結果を表1に示す。
イオンビームスパッタ装置を使用し、この装置の成膜室の内部を真空ポンプで真空引きして2×10-2Paに減圧した。テープ状の基材として幅10mm、厚さ0.1mm、長さ100mのハステロイC276(商品名)テープを使用した。ターゲットはYSZ製のものを用い、スパッタ電圧1200V、スパッタ電流700mAに設定し、イオンビーム源のビームの入射角度を55度に設定し、イオン源のアシスト電圧を200Vに、イオンビームの電流密度を100μA/cm 2 に設定して上記基材を成膜室内を移動させながらこの基材の上面上にスパッタリングと同時にイオン照射を行って6時間成膜処理することで厚さ1.0μmの中間層を形成した。
次いで、形成した中間層上にレーザ蒸着装置を用いて厚さ1μmの超電導体形成層を形成することにより長尺の積層物を作製した。ここではターゲットとしてY1Ba2Cu3.07-x なる組成から構成されたターゲットを用いた。蒸着処理室の内部を5×10-3Paに減圧した後、内部に酸素を導入し2×101Paとした後、レーザ蒸着を行った。ターゲット蒸発用のレーザとして波長248nmのKrFレーザを用いた。
【0019】
ついで作製した積層物の周囲に蒸着法により厚さ1〜20μmのAgからなる安定化層を形成して長尺の超電導線材を作製した。
ついで、作製した長尺の超電導線材を図4と同様のステンレス鋼製のボビンに重ね巻きして図5に示すような熱処理用コイルを作製した。ここで用いたボビンには外壁表面に、アルミナがコーティングされているものを使用した。
ついで、作製した熱処理用コイルを電気炉内に入れて500℃、1時間の熱処理を施し、酸化物超電導層を有する酸化物超電導導体を作製した。ここでの熱処理を施す際、ガス供給源からガス供給管を経てガス導入口から上記ボビンの内部空間に酸素を供給するとともに上記ガス吹き出し口から酸素を流量5リットル/分で吹き出しながら熱処理を行った。
ついで、上記電気炉内を徐冷後、熱処理用コイルを取り出し、このコイルから酸化物超電導導体を外して幅10mm、厚さ0.1mm、長さ100mの酸化物超電導導体を得た。
【0020】
Figure 0004128358
【0021】
なお、表1中の安定化層の厚みの欄の各数値は、長尺の積層物の周囲に安定化層を均一の厚みで形成したときの値であり、すなわち、積層物の上側および下側の安定化層の厚みを同じ厚みにしたときの片側の厚みの値である。
表1に示す結果から積層物の周囲に形成する安定化層の厚みを5μm未満にすると(安定化層の厚みの合計が10μm未満にすると、言い換えれば、超電導体形成層の厚みの10倍未満の厚みにすると)クエンチが生じ、安定化層としての役割が低下しており、10μmより厚いと酸素透過性が悪くなり、臨界電流密度が低下していることがわかる。
従って、積層物の周囲に形成する安定化層の厚みが5μm以上10μm以下の範囲であると、優れた臨界電流が得られ、クエンチも防止できることがわかる。なお、上記実験例では積層物の周囲に厚みが均一の安定化層を形成したが、超電導体形成層側とテープ状の基材側の安定化層の厚みは異なるものであってもよく、その場合、上記の実験結果より、超電導体形成層側の安定化層の厚みを5μm以上10μm以下とすれば優れた臨界電流が得られ、クエンチも防止でき、テープ状の基材側の安定化層の厚みを超電導体形成層側の安定化層の厚みより厚し、好ましくは5μmより厚くし、さらに好ましくは10μmより厚くすることで酸素透過性が悪くなるので、テープ状の基材の優先酸化を防止できることがわかる。なお、安定化層の合計の厚みが超電導体形成層の厚みの10倍以上とするならば、超電導体形成層側の安定化層の厚みは5μmよりも薄くてもよい。
【0022】
なお、比較のために積層物の周囲でなく超電導体形成層の上面に厚さ10μmのAg安定化層を形成した超電導線材を用い、この超電導線材を通常のボビン(ガス吹き出し口やガス供給口が形成されていないもの)に重ならないように巻き付ける場合、最大10mの長さまでの超電導線材しか熱処理が行えなかった。これに対して本発明により熱処理をすると、100m以上の長さの超電導線材に熱処理を施すことができた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の酸化物超電導導体の製造方法によれば、長尺の超電導線材に熱処理を施す際に、熱処理炉を大型化することなく、超電導体形成層に効率良く酸素を供給でき、超電導特性が優れた長尺の酸化物超電導導体を製造できる。
また、本発明の酸化物超電導導体の製造方法においては、雰囲気中の酸素を薄い安定化層を介し効率良く超電導体形成層側に供給することができるとともに、厚い安定化層を基材側に配置して基材の酸化を少なくすることにより、基材が酸化物超電導層側から酸素を奪うことを抑制し、酸素不足の生じていない臨界電流密度の高い酸化物超電導導体を提供できる
前記安定化層において酸化物超電導体形成側の安定化層の厚みが10μm以下であることが、熱処理時の酸素透過性の面から必要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施形態の酸化物超電導導体の製造方法により製造した酸化物超電導導体を示す図である。
【図2】 図2は、本発明の実施形態の酸化物超電導導体の製造方法により製造した積層物を示す図である。
【図3】 図3は、本発明の実施形態の酸化物超電導導体の製造方法により製造した超電導線材を示す図である。
【図4】 図4は、本発明の実施形態の酸化物超電導導体の製造方法に用いるボビンを示す斜視図である。
【図5】 図5は、本発明の実施形態の酸化物超電導導体の製造方法に用いる熱処理用コイルを示す斜視図である。
【図6】 図5のX−X線断面図である。
【図7】 従来の長尺の酸化物超電導導体の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1・・・酸化物超電導導体、1a・・・超電導線材、10・・・積層物、11・・・テープ状の基材、12・・・中間層、13・・・酸化物超電導層、13a・・・超電導体形成層、14・・・安定化層、20・・・ボビン、21・・・ガス導入口、22・・・ガス供給管、23・・・外壁、23a・・・ガス吹き出し口、30・・・コイル、35・・・多孔質のスペーサ、tl、t2…厚み。

Claims (4)

  1. テープ状の基材上に成膜法により中間層を形成し、ついで該中間層上に酸化物超電導体からなる超電導体形成層あるいは熱処理によって酸化物超電導となる超電導体形成層を形成して積層物とし、ついで該積層物の周囲に安定化層を形成して超電導線材とした後、この超電導線材をボビンに巻き付けた熱処理用コイルに大気雰囲気中又は酸素雰囲気中で熱処理を施す酸化物超電導導体の製造方法であって、前記ボビンとして、該ボビンの内部空間に空気又は酸素を導入するためのガス導入口が設けられ、該ボビンの外壁に、前記内部空間に連通し、該内部空間に導入された空気又は酸素を超電導線材に供給するためのガス吹き出し口が多数形成されたものを用い、前記熱処理用コイルに熱処理を施す際に前記ボビンのガス導入口からボビンの内部空間に空気又は酸素を供給するとともに前記ガス吹き出し口から空気又は酸素を吹き出すことを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
  2. 前記超電導線材をボビンに巻き付ける際に、前記超電導線材を重ね巻きし、その際、上層と下層の超電導線材間に多孔質のスペーサを介在することを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導導体の製造方法。
  3. 前記積層物の周囲に安定化層を形成する際、前記テープ状の基材側の安定化層の厚みを前記超電導体形成層側の安定化層の厚みより厚くすることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導導体の製造方法。
  4. 前記超電導体形成層側の安定化層の厚みを10μm以下とすることを特徴とする請求項3記載の酸化物超電導導体の製造方法。
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