JP2011096593A - 酸化物超電導薄膜の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたJc(臨界電流密度)やIc(臨界電流値)を有する高温超電導線材を製造することができる酸化物超電導薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】配向金属基板上1に、中間層2および超電導層3が形成されている酸化物超電導薄膜の製造方法であって、配向金属基板を、真空雰囲気あるいは還元雰囲気に設けた熱処理室22内で、配向金属基板上に形成された酸化層を還元除去する温度で加熱し、その後、100℃以下まで冷却する熱処理工程と、熱処理工程後の配向金属基板を、熱処理室より取り出して大気中に曝露する曝露工程と、成膜室23内で、曝露工程後の配向金属基板上に、酸化物薄膜層を形成させる中間層形成工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導薄膜の製造方法に関し、詳しくは、超電導線材の製造に用いる臨界電流密度および臨界電流値の高い酸化物超電導薄膜の製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、REBaCu7−δ(REは希土類元素を示す。)などの酸化物超電導体を薄膜化した薄膜超電導線材が注目されている。このような薄膜超電導線材において、優れた臨界電流密度Jcや臨界電流値Icを有する高温超電導線材を得るためには、配向性の高い酸化物超電導体薄膜を形成する必要がある。
このような高温超電導線材は、一般に、長尺の線材の基板として、例えばNiなどの金属原子が2軸配向した長尺の配向金属基板を用い、この配向金属基板の上に、中間層として、酸化物薄膜をエピタキシャル成長させ、さらに、この中間層の上に、酸化物超電導体をエピタキシャル成長させて超電導層を形成することにより製造される。
しかし、このような配向金属基板を用いても、表面が酸化されて酸化層が形成されている場合には、配向金属基板表面の平滑性が悪化すると共に、2軸配向性が損なわれ、エピタキシャルな中間層を形成することが困難となるため、超電導に適した配向を有する超電導層を形成することが困難となり、優れたJcやIcを有する高温超電導線材を得ることができない。
そこで、このような問題を解決するために、予め、配向金属基板を真空もしくは還元雰囲気下で熱処理して表面の酸化層を除去して平滑化した後、中間層、超電導層を形成することが提案され、図3に示すような中間層製造装置が示されている(特許文献1)。
図3に示す製造装置は、連結された供給室21、熱処理室22、成膜室23および巻き取り室24の4室で構成され、供給室21、巻き取り室24には、それぞれ、供給ロール31、巻き取りロール34が設けられている。また、熱処理室22にはヒータ42および還元性ガス供給装置62が設けられており、成膜室23にはヒータ43、中間層形成用の材料からなるターゲット53およびガス排気装置63が設けられている。
供給ロール31から供給された配向金属基板1は、熱処理室22において、還元性ガス供給装置62から供給される還元性ガス雰囲気下でヒータ42から供給される熱によって加熱されて、配向金属基板1の表面に形成されていた酸化層が除去され、表面が平滑化されると共に表面の配向性が向上する(熱処理工程)。次いで、配向金属基板1は成膜室23に送られ、ターゲット53から放出される中間層形成用材料によって、中間層2が形成される(中間層形成工程)。そして、中間層2が形成された配向金属基板1は、巻き取りロール34により巻き取られる。
その後、さらに酸化物超電導体薄膜層を形成することにより高温超電導線材を製造することができる。
特開2005−1935号公報
しかし、このように配向金属基板表面の酸化層を除去しているにもかかわらず、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を得ることができていなかった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を製造することができる酸化物超電導薄膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、まず、配向金属基板表面の酸化層を除去しているにもかかわらず、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を製造することができない原因につき、種々の実験を行い検討した。その結果、上記の方法により形成された酸化物超電導体薄膜層の表面には荒れが生じており、この荒れにより、JcやIcを充分に発揮させられないことが分かった。
そして、この荒れが、各室が連結された製造装置を用いて、連続した工程により中間層を形成していることに起因することが分かった。
即ち、成膜室において中間層形成用材料である酸化物から生成されたOが、配向金属基板を熱処理室から成膜室に搬送するために設けられた通路から熱処理室側に漏れ、この漏れたOが高温で配向金属基板に触れることにより、酸化層が除去された配向金属基板表面を再び酸化させて平滑性を悪化させ、表面に荒れを生じさせていた。
この表面の荒れがその後の中間層や超電導層の形成に引き継がれて、表面粗さRaが大きな中間層、超電導層が形成されると、設計通りの優れたJcやIcを有する高温超電導線材を得ることができない。
そこで、本発明者は、熱処理室と成膜室との連結を解消し、熱処理工程および中間層形成工程を連続した工程ではなく、独立した工程とすることにより(バッチ方式)、中間層形成工程において発生したOの影響を取り除くことを検討した。
しかし、このバッチ方式については、熱処理工程後の配向金属基板を熱処理室から一旦大気中に取り出す必要があり、その際に、配向金属基板が空気に触れて酸化されて、一旦除去された酸化層が再び形成される恐れがあるため、従来は、バッチ方式を採用することは無理と一般的に考えられていた。
そこで、本発明者は、さらに種々の実験と検討を行い、従来の方法のように、熱処理工程後の配向金属基板を、熱処理後短時間の内に熱処理室から大気中に取り出すのではなく、熱処理室内で100℃以下まで冷却した後に取り出し、さらにそのまま大気曝露した場合には、配向金属基板表面の平滑性が保持されて、配向金属基板の表面に荒れが生じないことを確認した。
このように表面に荒れが生じていない配向金属基板上であれば、配向性の高い中間層および超電導層を形成することができるため、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を得ることができる。
さらに、従来の方法においては、処理スピードが遅く2.3m/h以上に線速を上げることができない熱処理工程と、処理スピードが速く20m/h程度と速い線速での処理が可能な中間層形成処理工程とを連続して行っているため、全体としての処理スピードを遅い熱処理工程の方に合わせる必要があったが、本方式においては、それぞれの処理スピードの相違を考慮することなく、それぞれの処理を最適な処理スピードで行うことができる。
そして、熱処理工程後の配向金属基板は、大気中にストックしておくことが可能であるため、熱処理工程後の配向金属基板を予め充分に準備しておけば、速い処理スピードで中間層形成処理に対応することができる。このため、効率的な生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
本発明は、上記した各知見に基づくものであり、
請求項1に記載の発明は、
配向金属基板上に、中間層および超電導層が形成されている酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
前記配向金属基板を、真空雰囲気あるいは還元雰囲気に設けた熱処理室内で、配向金属基板上に形成された酸化層を還元除去する温度で加熱し、その後、100℃以下まで冷却する熱処理工程と、
熱処理工程後の前記配向金属基板を、前記熱処理室より取り出して大気中に曝露する曝露工程と、
成膜室内で、曝露工程後の前記配向金属基板上に、酸化物薄膜層を形成させる中間層形成工程と
を備えていることを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法である。
上記した通り、本請求項の発明によれば、表面に荒れが生じていない配向金属基板の上に中間層を形成させることができるため、配向性の高い中間層および超電導層を形成することができ、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を製造することができる。
また、熱処理工程後の配向金属基板を大気中にストックしておくことができると共に、熱処理工程と中間層形成処理工程における処理スピードの相違を考慮する必要がないため、効率的な生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
なお、中間層形成処理工程においては、中間層形成用材料として、CeOやYなどの酸化物が用いられるが、この1層に限定されることはない。例えば、中間層形成処理工程において、配向金属基板上に、CeOやYなどの酸化物層をバッファ層(種膜)として形成し、その後、YSZなどの酸化物層をバリア層(元素の拡散を防止する)、およびCeOやYなどのキャップ層(超電導層とバリア間の格子整合を再調整する)を形成させた3層構造の中間層であっても良い。
そして、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜である。
本請求項の発明によれば、表面に荒れが生じていない配向金属基板の上に、配向性の高い中間層および超電導層が形成されているため、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を提供することができる。
本発明によれば、設計通りの充分に優れたJcやIcを有する高温超電導線材を製造することができる。また、効率的な生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態の酸化物超電導薄膜の製造に用いられる基板の熱処理装置および酸化物薄膜の成膜装置を概念的に示す図である。 本発明の一実施の形態の酸化物超電導薄膜の製造方法を説明する図である。 従来の酸化物薄膜製造装置を概念的に示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1.熱処理装置および成膜装置
はじめに、本実施の形態の酸化物超電導薄膜の製造に用いられる基板の熱処理装置および酸化物薄膜からなる中間層の成膜装置について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の酸化物超電導薄膜の製造に用いられる基板の熱処理装置および酸化物薄膜の成膜装置を概念的に示す図である。図1に示すように本実施の形態の熱処理装置と成膜装置は別になっており、図1(a)、図1(b)はそれぞれ熱処理装置、成膜装置を示す。
(1)熱処理装置
図1(a)に示すように熱処理装置Aは、供給室21、熱処理室22および巻き取り室24の3室を有し、供給室21には供給ロール31が、巻き取り室24には巻き取りロール34が設けられている。熱処理室22には、ヒータ42、還元性ガス供給装置62およびガス排気装置63が設けられている。
(2)成膜装置
図1(b)に示すように成膜装置Bは、供給室21a、成膜室23および巻き取り室24aの3室を有し、供給室21aには供給ロール31aが、巻き取り室24aには巻き取りロール34aが設けられている。成膜室23には、ヒータ43、中間層形成用の材料からなるターゲット53、成膜ガス供給装置62aおよびガス排気装置63aが設けられている。
2.酸化物超電導薄膜の製造方法
次に、図1に示した熱処理装置および成膜装置を用いる酸化物超電導薄膜の製造方法について説明する。図2は本発明の一実施の形態の酸化物超電導薄膜の製造方法を説明する図であって、各工程における薄膜の断面構造を模式的に示す図である。図2において、1は配向金属基板であり、2は中間層であり、3は超電導層であり、4は保護層である。
従来の製造方法では、前記したように配向金属基板1の熱処理と中間層2の形成を連続的に実施しているが、本実施の形態では、配向金属基板1の熱処理と中間層2の形成を連続方式ではなく、バッチ方式で実施する。以下、図1および図2を参照して各工程について説明する。
(1)熱処理工程
図2(a)に示すように熱処理する前の配向金属基板1の金属層1a表面には一般的に酸化層1bが存在する。まず、熱処理工程において、配向金属基板1を真空または還元性雰囲気で熱処理し、図2(b)に示すように表面の酸化層1bを取除き、配向金属基板1の表面を清浄かつ平滑な(酸化層がない)表面にする。
具体的には、図1(a)に示した熱処理装置Aを用いて圧力が1×10−4Pa以下の真空またはHガスなどの還元性ガスが存在する雰囲気下で熱処理を行う。図1(a)において供給ロール31から供給された配向金属基板1は、熱処理室22において、ガス排気装置63による真空雰囲気下あるいは還元性ガス供給装置62から供給される還元性ガス雰囲気下でヒータ42から供給される熱によって熱処理する。熱処理した前記配向金属基板1は、大気に触れさせることなく、例えば巻き取り室24内で前記した真空または還元雰囲気下において配向金属基板1の温度が100℃以下に低下するまで冷却する。
なお、還元性雰囲気で熱処理を行う場合、熱処理雰囲気ガス中のHガスのモル%は大きいほど還元性が高くなるので好ましく、たとえば、還元性ガスとしてHガスとArガスとを併用する場合は、Hガスは1モル%以上が好ましく、より好ましくは3モル%以上である。
熱処理温度は、配向金属基板の融点未満であれば特に制限はないが、熱処理温度が850℃未満であると配向金属基板表面に形成される酸化層の除去、および配向金属基板表面の平滑化が不十分となり、1000℃を超えると配向金属基板の配向性を低下させる場合がある。このため、熱処理温度は、850℃〜1000℃が好ましい。
熱処理時間は、特に制限はないが、熱処理時間が15分間未満であると配向金属基板表面に形成される酸化層の除去、および配向金属基板表面の平滑化が不十分となる。このため、熱処理時間は15分間以上であることが好ましい。
また、本発明に用いられる配向金属基板とは、基板を構成する金属原子が2軸配向している金属基板をいい、完全な2軸配向基板のみならず、結晶軸のずれ角が25°以下の基板が含まれる。また、配向の方向は、<100>軸が基板面に垂直な方向に、<010>軸が基板の長さ方向に配向していることが好ましい。
配向金属基板としては、前記のような2軸配向を有する基板であれば特に制限はないが、Ni、Cr、Mn、Co、Fe、Pd、Cu、Ag、Auまたはこれらのうち2以上の金属からなる合金が好ましく用いられる。また、前記の金属または合金の単体だけでなく、前記の金属または合金を他の金属または合金と積層することもできる。
上記の配向金属基板1、たとえば、<100>軸が基板面に垂直な方向に、<010>軸が基板の長さ方向に2軸配向している配向Ni基板上に、中間層(種膜)として例えばCeO薄膜をエピタキシャルに成長させると、<100>軸が基板面に垂直な方向に、<011>軸が基板の長さ方向に配向したCeO薄膜が形成され、2軸配向性の高いCeO薄膜が得られる。
(2)曝露工程
次に、冷却した配向金属基板1を熱処理装置Aから搬出し、大気に曝露する。大気に曝露した配向金属基板1の表面は、酸化され、図2(c)に示すように酸化層1cが形成される。なお、曝露時間は特に限定されず、例えば24時間以上の長時間曝露しても問題ない。
(3)中間層形成工程
イ.成膜装置への搬入
次に、大気に曝露した配向金属基板1を図1(b)に示す中間層形成用の成膜装置Bの供給室21a内に搬入し、供給ロール31aにセットする。ガス排気装置63aにより成膜装置内のガスを排気して1×10−4Pa以下の真空雰囲気または成膜ガス供給装置62aから還元性ガス(例えばH3モル%とAr97モル%の混合ガス)を供給して還元性雰囲気とする。
ロ.成膜
次に、供給ロール31aにより配向金属基板1を成膜室23に搬送し、ヒータ43により約800℃に加熱すると共にターゲット53からCeO等の酸化物薄膜形成材料を放出させて、配向金属基板1の表面に堆積させ、所定の厚さの中間層2を形成する。図2(d)は中間層2を形成後の薄膜の断面構造を示す図であり、図に示すように大気曝露によって形成された酸化層1c上に中間層2が形成されている。中間層2を形成後、巻き取り室24aに搬送して巻き取りロール34aに巻き取る。
本実施の形態における中間層は2軸配向性を有する酸化物薄膜の単層であってもよく、また多層、例えば3層でもよい。3層の場合は配向金属基板1に隣接する第1中間層(バッファ層)としては、パイロクロア型、螢石型、岩塩型またはペロブスカイト型の結晶構造をもつ、1種以上の金属元素を有する金属酸化物が好ましく用いられる。具体的には、CeO、Yなどの希土類元素酸化物、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、BZO(BaZrO)、STO(SrTiO)、Al、YAlO、MgO、Ln−M−O系化合物(Lnは1種以上のランタノイド元素、MはSr、ZrおよびGaの中から選ばれる1種以上の元素、Oは酸素)などが挙げられる。これらの酸化物は、結晶定数、結晶配向の観点から配向金属基板および超電導層の差を緩和するとともに配向金属基板から超電導層への金属原子の流出を防止する役割を果たす。また、第2層(バリア層)には、例えばYSZが好ましく用いられ、第3層(キャップ層あるいは最表層)には、2軸配向性に優れるCeOが好ましく用いられる。
中間層となる酸化物薄膜の形成方法としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、スパッタ法、EBD(電子線ビーム蒸着:Electron Beam Deposition)法、PLD(パルスレーザー蒸着:Pulse Laser Deposition)法、熱蒸着法などの方法が好ましく用いられる。
(4)超電導層の形成
次に、図2(e)に示すように中間層2の上に超電導層3を形成する。超電導層3としては、特に制限はないが、REBaCu7−δなどが好ましく用いられる。超電導層となる酸化物薄膜の形成方法としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、PLD法、MOD(有機金属成膜:Metal Organic Deposition)法、MOCVD(有機金属気相成長:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などの方法が好ましく用いられる。
(5)保護層の形成
次に、超電導層3を保護するため、必要に応じて、図2(f)に示すように超電導層3の上に保護層4を形成することもできる。保護層4としては、電導性の高いものであれば特に制限はないが、Ag、Au、Pt、Alまたはこれらの合金などが好ましく用いられる。保護層4の形成方法としては、特に制限はないが、スパッタ法、EBD法、PLD法、熱蒸着法、MOD法、MOCVD法、めっき法などの方法が好ましく用いられる。
次に、実施例により具体的に説明する。
1.配向金属基板の表面粗さと中間層(種膜)の配向性に関する調査実験
長さ40cm×幅1cm×厚さ100μmのNi−Fe合金(組成:Ni50モル%、Fe50モル%)の2軸配向金属基板(<100>軸が基板面に垂直な方向に、<010>軸が基板の長さ方向に2軸配向したもの)を配向金属基板に用いて表1に示す4種類のサンプルを作製し、配向金属基板の表面粗さ(Ra)と中間層(種膜)の配向性を調べた。中間層(種膜)としては、EBD法により厚さ0.1μmのCeOからなる酸化物薄膜を形成させた。なお、サンプル1は従来の製造方法によって作製したサンプルであり、サンプル4は本実施の形態の製造方法によって作製したサンプルである。またサンプル2、3は超電導線材の作製を意図したものでなく、熱処理の基板粗さに対する影響を調べるためのみの実験用サンプルとして作製したものである。実験結果を表1にまとめて示す。
Figure 2011096593
表1から熱処理後100℃以下に冷却した後に大気曝露した場合、大気曝露によって配向金属基板が酸化されてもその上に形成されたCeOからなる中間層(種膜)は、配向性を有していることが分った。
また、従来の製造方法によって作製したサンプル1は、表面粗さが26.9nmと大きいのに対して、本実施の形態の製造方法、即ちバッチ方式によって作製したサンプル4の表面粗さは、熱処理を実施してないサンプル2や熱処理後、大気に曝露せず、中間層を形成してないサンプル3の表面粗さに近い値であり、大気に曝露する際に酸化されているにも拘わらず表面粗さの増大が抑制されていることが分かった。
サンプル4の場合、このように配向金属基板1の表面粗さの増大が抑制されているのは、配向金属基板1は、熱処理中は酸化性雰囲気に曝されることがなく、大気に曝露する際に予め冷却しており、表面が平滑な状態で酸化され、大気曝露時の酸化による表面粗さの増大が最小限に抑えられているためである。また、中間層の形成前に基板の表面に酸化層を形成させているため、配向金属基板の耐酸化性が向上しており、中間層形成工程において発生するOの影響が抑制されるため、中間層形成後においても表面粗さの増大が抑制されたものと考えられる。
また、サンプル1の作製においては、熱処理と中間層(種膜)の成膜を1つの装置を用いて連続して行っており、熱処理時間の長さによって線材を送る速度(処理線速)が制約されるため、処理線速が2.3m/hと遅い速度であるが、サンプル4の場合は、バッチ方式により作製され、処理線速が熱処理時間による制約を受けないため、20m/hというサンプル4の約9倍の速度で処理することができる。本実施の形態によれば、作製に長時間を要する熱処理済みの配向金属基板を予め作製して、適切な量をストックしておくことにより生産性を向上させることができる。
そして、このように配向性の高い中間層を有する配向金属基板の上には、配向性の高い超電導層を形成することができ、JcやIcの優れた高温超電導線材を提供することができる。
1 配向金属基板
1a 金属層
1b、1c 酸化層
2 中間層
3 超電導層
4 保護層
A 熱処理装置
B 成膜装置
21、21a 供給室
22 熱処理室
23 成膜室
24、24a 巻き取り室
31、31a 供給ロール
34、34a 巻き取りロール
42、43 ヒータ
53 ターゲット
62 還元性ガス供給装置
62a 成膜ガス供給装置
63、63a ガス排気装置

Claims (2)

  1. 配向金属基板上に、中間層および超電導層が形成されている酸化物超電導薄膜の製造方法であって、
    前記配向金属基板を、真空雰囲気あるいは還元雰囲気に設けた熱処理室内で、配向金属基板上に形成された酸化層を還元除去する温度で加熱し、その後、100℃以下まで冷却する熱処理工程と、
    熱処理工程後の前記配向金属基板を、前記熱処理室より取り出して大気中に曝露する曝露工程と、
    成膜室内で、曝露工程後の前記配向金属基板上に、酸化物薄膜層を形成させる中間層形成工程と
    を備えていることを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載の酸化物超電導薄膜の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜。
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