JP5881059B2 - ゴム又はプラスチック用補強剤、ゴム組成物及びプラスチック組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム又はプラスチック用補強剤、ゴム組成物及びプラスチック組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、ゴム組成物やプラスチック組成物に配合される補強剤、及びその製造方法に関するものである。本発明は、また、該補強剤を配合したゴム組成物及びプラスチック組成物に関するものである。
従来、ゴム組成物やプラスチック組成物においては、補強剤(補強性充填剤とも称される。)を配合することが知られている。例えば、タイヤ用ゴム組成物においては、低燃費性能の要求の高まりから、低発熱性のゴム組成物の開発が求められており、これを満足する配合手法の一つとして、補強剤としてシリカが配合されている。しかしながら、シリカの粒子表面は極性が高いため、タイヤ用ゴム組成物においてゴム成分として用いられるジエン系ゴムとは相互作用が低く、カーボンブラックと比較して補強性が低い。シリカの補強性を改善することを目的としてシランカップリング剤が使用されているが、満足が行くものとはなっていない。これに対し、下記特許文献1では、シリカにビニルモノマーを含浸させた後、ラジカル重合によりシリカをポリマーによって被覆する方法が開示されているが、シリカとポリマーは物理結合によるものであるため、性能は必ずしも満足するものではない。
また、シリカ以外の微粒子や微小繊維を補強剤として用いる場合についても、ゴムマトリックスやプラスチックマトリックスに対する分散性を向上したり、補強性を高めたりするために、補強剤としての固体物質の表面を改質することが求められる場合がある。
なお、下記特許文献2〜4及び非特許文献1には、固体物質の表面からリビングラジカル重合によりポリマーをグラフトすることが開示されている。これらの文献では、重合開始剤として(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシヘキシルトリエトキシシラン(BHE)を用い、予め固体物質の粒子表面にBHEを固定化した後、モノマーをリビングラジカル重合により粒子表面に生成させている。しかしながら、これらの文献は、ゴム又はプラスチック用補強剤としての使用を示唆するものではない。
特開2006−213661号公報 WO2005/108451 特開2006−213661号公報 特開2007−008859号公報
本発明は、表面を改質することでゴム組成物やプラスチック組成物の特性を改良することができるゴム又はプラスチック用補強剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法は、下記一般式(1)で表されるケイ素化合物を固体物質表面に固着させ、そのリビングラジカル重合開始基を重合開始点としてラジカル重合可能なモノマーをリビングラジカル重合するものである。
Figure 0005881059
(1)中、Aは一般式(2)又は(3)で表されるリビングラジカル重合開始基であり、Z1及びZ2はそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。nは1〜3の整数である。式(2)中、R 3 、R 4 及びR 5 はそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造であり、R 3 、R 4 及びR 5 のうち少なくとも1つはハロゲンである。式(3)中、R 6 は炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。
本発明の第2の態様に係るゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法は、記固体物質表面のポリマーグラフト鎖の量が、前記固体物質100質量部に対して5〜1000質量部であることを特徴とする
本発明の第3の態様に係るゴム組成物の製造方法は、ゴム成分100質量部に対して、上記製造方法により得られた補強剤を1〜200質量部配合するものである。
本発明の第4の態様に係るプラスチック組成物の製造方法は、プラスチック成分100質量部に対して、上記製造方法により得られた補強剤を1〜200質量部配合するものである。
本発明によれば、固体物質表面に固着させたケイ素化合物のリビングラジカル重合開始基を開始点として、モノマーをリビングラジカル重合することにより、固体物質表面にポリマーグラフト鎖を形成するので、ポリマーと固体物質との結合を強固にすることができる。そのため、ゴム組成物やプラスチック組成物のための補強剤として、ゴムマトリックスやプラスチックマトリックスへの分散性を向上して、それらの特性を改良することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム又はプラスチック用補強剤は、アルコキシシリル基とリビングラジカル重合開始基を有するケイ素化合物を固体物質表面に固着させ、前記リビングラジカル重合開始基を重合開始点としてラジカル重合可能なモノマーをリビングラジカル重合することにより得られるものである。
ケイ素化合物としては、分子内に、アルコキシシリル基と、リビングラジカル重合開始基(即ち、リビングラジカル重合能を有する基)を有する下記一般式(1)で表されるケイ素化合物を用いることができる。
Figure 0005881059
式(1)中、Aはリビングラジカル重合開始基であり、Z及びZはそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、nは1〜3の整数である。
式(1)のケイ素化合物は、構造中に有するチオエーテル基の硫黄原子に不対電子を有しているため、金属や無機物質、高分子物質との親和性が高く、それを有していない場合と比べて、固体物質表面への固着性が高く、またプラスチックやゴムといったマトリクスへの分散性が向上すると考えられる。
上記Aのリビングラジカル重合開始基について、リビングラジカル重合の反応様式としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、イニファータによる方法、可逆的連鎖移動触媒重合(RTCP)などが挙げられ、特に限定されない。
原子移動ラジカル重合開始能を有する基としては、例えば、ハロアルキル基、ハロエステル基、ハロアルキルフェニル基、ハロケトン基、ハロニトリル基、ハロゲン化スルホニル基、ジチオカルバメート基などが挙げられる。好ましくは、ハロエステル基、ハロアルキルフェニル基である。この場合、塩化銅/アミン錯体などの遷移金属錯体の存在下でラジカルが発生し、重合反応が進行する。可逆的付加開裂連鎖移動重合能を有する基としては、例えば、ジチオエステル基、トリチオカルボネート基、ザンテート基、ジチオカルボメート基などが挙げられる。この場合、アゾ化合物や有機過酸化物を重合触媒として使用する。イニファータの場合の例としては、ジチオカルバメート基が挙げられる。可逆的連鎖移動触媒重合(RTCP)の場合の例としては ヨウ化アルキル基があげられる。この場合、ラジカル発生剤とヨウ化物触媒の存在下でラジカルが発生し、重合反応が進行する。
ハロアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル、ブロモジクロロメチルなどが挙げられる。ハロアルキルフェニル基としては、例えば、クロロメチルフェニル、ブロモメチルフェニル、ヨードメチルフェニル、(1−クロロエチル)フェニル、(1−ブロモエチル)フェニル、(1−ヨードエチル)フェニルなどが挙げられる。ハロケトン基としては、例えば、トリクロロエタノイル、ジクロロエタノイルなどが挙げられる。ハロニトリル基としては、例えば、クロロシアノメチル、ブロモシアノメチル、ヨードシアノメチルなどが挙げられる。ハロゲン化スルホニル基としては、例えば、クロロスルホニルなどが挙げられる。
上記Aのラジカル重合開始基としては、下記一般式(2)で表されるα−ハロエステル基が好ましい。
Figure 0005881059
式(2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造であり、R、R及びRのうち少なくとも1つはハロゲンである。ハロゲンとしては、塩素、臭素またはヨウ素が好ましく、より好ましくは臭素である。R、R及びRは、基本的には、それぞれ、水素、炭化水素基またはハロゲンであるが、ラジカル重合開始能を損なわない限り、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。好ましくは、Rがハロゲンであり、R及びRが、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基であり、但しR及びRがともに水素であることはない。アルキル基は、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。アリール基は、より好ましくはフェニル基およびメチルフェニル基である。アリールアルキル基は、より好ましくはベンジル基およびフェネチル基である。R及びRの特に好ましい例はメチル基である。
上記Aのラジカル重合開始基としては、下記一般式(3)で表されるチオカルボニルチオ基であることも好ましい態様である。
Figure 0005881059
式(3)中、Rは炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。ここで、Rが、炭化水素基の場合が、ジチオエステル基である。Rが、R−S−の場合(但し、Rは炭化水素である。)が、トリチオカルボネート基である。Rが、R−O−の場合(但し、Rは炭化水素である。)が、ザンテート基である。Rが、R1011N−の場合(但し、R10およびR11はそれぞれ独立して水素または炭化水素基である。)が、ジチオカルバメート基である。これらのチオカルボニルチオ基は、ラジカル重合開始能を損なわない限り、酸素、窒素及びハロゲンからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。より好ましくは、ジチオエステル基の場合、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基であり、特に好ましくはフェニル基である。トリチオカルボネート基及びザンテート基の場合、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。ジチオカルバメート基の場合、R10およびR11は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、より好ましくはR10がアルキル基、R11がアリール基である。また、R10とR11は互いに結合してNとともに環を形成してもよい。
式(1)において、Zは、上記Aのラジカル重合開始基と−S−で表されるチオエーテル基とを結合する2価の基であり、好ましくは、炭素数が1〜20である2価の有機基であり、該有機基は、エーテル結合を含んでもよく、また酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。より好ましくは、Zは、炭素数3〜11のアルキレン基である。
式(1)において、Zは、チオエーテル基と−Si(0R(R3−nで表されるアルコキシシリル基とを結合する2価の基であり、好ましくは、炭素数が1〜20である2価の有機基であり、該有機基は、エーテル結合を含んでもよく、また酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。より好ましくは、Zは、炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(1)において、Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは、メチル基またはエチル基である。Rは、1分子中に複数有する場合、同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは、メチル基またはエチル基である。Rは、1分子中に複数有する場合、同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜3の整数であり、好ましくはn=3である。すなわち、−Si(0R(R3−nで表されるアルコキシシリル基は、トリアルコキシシリル基であることが好ましく、より好ましくはトリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基である。
本実施形態で用いるケイ素化合物としては、下記一般式(4)で表されるものが特に好ましい。これはラジカル重合開始基としてα−ハロエステル基を有するものである。
Figure 0005881059
式(4)中、Xは、ハロゲンであり、塩素、臭素またはヨウ素が好ましく、より好ましくは臭素である。R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基である。R及びRは、それぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、ともに水素であることはない。R及びRは、好ましくはそれぞれメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはともにメチル基である。aは、3〜11の整数であり、mは、1〜3の整数である。nは、1〜3の整数であり、特に好ましくはn=3である。
以上のようなケイ素化合物は、分子内にリビングラジカル重合開始基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物と、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを反応させることにより合成することができる。詳細には、下記一般式(6)で表される化合物と下記一般式(7)で表される化合物を反応させることにより、下記一般式(5)で表されるケイ素化合物を製造することができる。式(5)で表されるケイ素化合物は、上記一般式(1)においてラジカル重合開始基として上記一般式(2)で表されるα−ハロエステル基を有するものであり、以下では、これについて製造方法を詳細に説明するが、ケイ素化合物の製造方法は、ラジカル重合開始基として、上記一般式(3)で表されるチオカルボニルチオ基を有する場合でも、更には、他のラジカル重合開始基を有する場合でも、同様に行うことができる。
Figure 0005881059
式(5)〜(7)中、R、R、Z、Z及びnは、上記式(1)と同じである。また、R、R及びRは、上記式(2)と同じである。Zは、炭素原子を含む2価の基であり、好ましくは炭素数が1〜18である2価の有機基であって、該有機基は、エーテル結合を含んでもよく、また酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。より好ましくは、Zは、炭素数1〜9のアルキレン基であり、Zよりも炭素数が2つ少ない基である。
式(6)で表される化合物が、分子内にラジカル重合開始基と二重結合を有する化合物であり、式(7)で表される化合物が、メルカプト基を有するシランカップリング剤である。この反応では、式(6)の化合物の二重結合に対し、式(7)の化合物のメルカプト基を、エン−チオール反応させることに結合するものである。
反応に際しては、ラジカル発生剤を反応触媒として用いる。ラジカル発生剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物などが挙げられ、熱によりラジカルが発生するものや光照射によりラジカルが発生するものが含まれる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)などが挙げられる。有機化酸化物の例としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどが挙げられる。このようなラジカル発生剤を用いる場合、一般的に考えれば、式(6)の化合物がそのビニル結合により重合すると考えられるが、実際にはエン−チオール反応の方が優先的に進行し、式(5)で表されるケイ素化合物が生成されることが判明した。該反応は、より詳細には、式(6)で表される化合物と、式(7)で表される化合物と、ラジカル発生剤を、トルエンなどの有機溶剤とともに混合し、ラジカルが発生する条件に保持することにより行うことができる。
なお、式(6)で表される化合物の合成方法は特に限定されず、上記特許文献3,4に開示された方法により合成することができる。すなわち、例えば、分子鎖の一端に水酸基を有しかつ他端に付加重合性二重結合を有する化合物に対し、α位の炭素にハロゲンが結合している酸ハロゲン化物を、トリエチルアミンの存在下で反応させればよい。一方、式(7)で表される化合物についても特に限定されないが、メルカプト基を有するシランカップリング剤が市販されているので、それを用いればよい。もちろん公知の方法で合成してもよい。
本実施形態において、上記式(4)で表されるケイ素化合物を製造するためには、下記一般式(8)で表される化合物と下記一般式(9)で表される化合物を反応させればよい。
Figure 0005881059
式(8)及び(9)において、X、R、R、R、R、a、m及びnは、上記式(4)と同じである。
上記ケイ素化合物を固着させる固体物質としては、ゴムマトリックスやプラスチックマトリックス中に分散してそれらを補強するために、微粒子や微小繊維であることが好ましい。固体物質の材質としては、金属、金属化合物、無機物質(無機化合物を含む)、高分子化合物からなるものが挙げられ、好ましくは表面に水酸基を有するものである。上記ケイ素化合物は、分子内にアルコキシシリル基を有するため、アルコキシ基の加水分解等により固体物質表面の水酸基と反応することで、より強固な固着を実現しやすいからである。
固体物質としての微粒子の平均粒子径は、0.1nm〜1mmの範囲にあり、好ましくは1nm〜100μmであり、より好ましくは1nm〜1μmである。ここで微粒子の粒子径としてはレーザー回折・散乱法から求められる平均粒子径(50%積算値の粒径)である。また、微粒子の1次粒子径が上記範囲にあるものの、アグリゲートなど凝集構造の形態をとる場合、BET法(JIS K6217−7)により比表面積を評価する。この場合、BET比表面積が20〜1000m/gの範囲にあり、好ましくは40〜250m/gにある。微小繊維としては、平均繊維径が0.1nm〜100μm、平均繊維長さが100nm〜10mmの範囲にあり、好ましくは、平均繊維径が1nm〜10μm、平均繊維長さが100nm〜1mmの範囲にあり、より好ましくは平均繊維径が1nm〜1μm、平均繊維長さが100nm〜100μmの範囲にある。ここで、平均繊維径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)像より、フィブリル化繊維を10個無作為に抽出し、短径を測定してその相加平均を平均繊維径とする。平均繊維長は、カジャーニ(KAJAANI)社の繊維長測定機(FS−200)を用い、JIS P8121により測定される。
固体物質として、より好ましくは、シリカ微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子及びチタン酸バリウム微粒子などの粒子表面に水酸基を持つ無機微粒子が挙げられ、アルコキシ基を持つ上記ケイ素化合物と良好な化学結合を形成しやすく、ラジカル重合鎖が強固に結合した複合微粒子を得ることができる。固体物質として、特に好ましくはシリカである。シリカ表面からグラフト重合を行うことでポリマー相が形成されたポリマーグラフトシリカは、ゴム組成物に配合した場合、ポリマー相の存在によりゴムマトリックスへの分散性が向上し、またポリマー鎖がシリカと直接結合することで、ゴムとの混合後においても硬い樹脂相が形成され、補強性が増大するものと考えられる。そのため、発熱の上昇を抑えながら、高弾性化を図ることも可能となる。
固体物質表面に上記ケイ素化合物を固着させる方法は、特に限定されず、例えばシランカップリング剤について通常用いられている表面処理方法を適用することができる。例えば、該ケイ素化合物をそのまま又は適当な溶媒に溶かしたものを固体物質にスプレーし混合する乾式処理でもよく、また、固体物質に水などを加えてスラリーを調製し、これにケイ素化合物を加えて攪拌する湿式処理でもよい。
ここで、固着とは、ケイ素化合物がアルコキシ基の加水分解等により固体物質表面と化学結合していてもよく、水素結合などの物理結合でもよく、固体表面の細孔内にトラップされていてもよい。固着されているか否かの確認方法としては、固着処理後、有機溶媒等により洗浄した後、固着処理表面にケイ素化合物中の元素が存在するかを、エネルギー分散型X線分光法(EDX)やX線電子分光分析法(XPS)などを用いて測定することができる。
ケイ素化合物が固着した固体物質を用いて、該ケイ素化合物からモノマーをリビングラジカル重合させる。該ケイ素化合物は、上記のように分子内にリビングラジカル重合開始基を有するため、該重合開始基を重合開始点としてラジカル重合可能なモノマーをリビングラジカル重合することができる。これにより、ポリマーと固体物質との複合体、すなわち固体物質表面にポリマーグラフト鎖が形成された複合体としての補強剤(以下、ポリマーグラフト補強剤ということがある。)が得られる。
ラジカル重合可能なモノマーとしては、ビニルモノマーやジエンモノマーが挙げられ、ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、アクリルアミド系モノマー、スチレン系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられる。
アクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ソジウムアクリレート、イソボルニルアクリレート、プロパルギルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソデシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、トリメチルシリルアクリレート、2,2,2―トリフルオロエチルアクリレート、4−tert―ブチルシクロヘキシルアクリレート、フルオロセイン 0−アクリレート、9−アントラセンメチルアクリレートなどが挙げられる。
メタクリル酸系モノマーとしては、例えば、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、11−[4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノエイチルエーテルメタクリレート、エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、1H,1H,5H−パーフルオロペンチルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、N−スクシンイミドメタクリレート、3−スルホプロピルカリウムメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルメタクリレートなどが挙げられる。
アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、6−アクリルアミドヘキサン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、trans−3−フェニルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−エチル−N−(4−ピリジルメチル)−2−フェニルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、4−アミノスチレン、4−ブロモ−β,β−ジフルオロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−(クロロメチル)スチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、4−イソプロペニルトルエン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、4−ニトロスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロビニルスチレン、α−(トリメチルシリルオキシ)スチレン、β−スチレンスルホン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルスチレン、ビニルベンジルシアニド、2−アセトキシスチレン、4−アセトキシスチレンなどが挙げられる。
ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。
以上例示したモノマーは、いずれか1種類で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記リビングラジカル重合に際し、例えば、リビングラジカル重合開始基が原子移動ラジカル重合開始能を有するものでは、遷移金属錯体を触媒として用いる。このような遷移金属錯体としては、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体が好ましく、より好ましくは、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケル錯体であり、特には1価の銅錯体が好ましく、アミン/イミン系の多座配位子を有する銅(I)錯体、例えば、塩化銅/アミン錯体が好ましく用いられる。また、例えば、リビングラジカル重合開始基が可逆的付加開裂連鎖移動重合能を有するものでは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)などのアゾ化合物、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどの有機過酸化物を、重合触媒として用いる。
このようにして得られたポリマーグラフト補強剤においては、上記モノマーのリビングラジカル重合により形成された固体物質表面のポリマーグラフト鎖の量が、固体物質100質量部に対して5〜1000質量部であることが好ましい。ポリマーグラフト鎖の量は、より好ましくは固体物質100質量部に対して30〜500質量部であり、更に好ましくは50〜300質量部である。
また、該ポリマーグラフト補強剤において、ポリマーグラフト鎖のガラス転移温度(Tg)は特に限定されず、例えば−100℃〜150℃の範囲内で適宜設定することができる。例えば、ゴム組成物に配合する場合、ポリマーグラフト鎖のTgが10〜70℃付近にあれば、60℃付近のtanδを効果的に高めることができ、そのため、高グリップ性が要求されるトレッドゴム用や、防振ゴムなどのエネルギー吸収ゴムに好適である。また、ポリマーグラフト鎖のTgが80℃以上の高温領域にある場合、弾性率を上昇させつつ、室温付近のtanδの上昇を抑えることができ、そのため、低燃費タイヤ用ゴム等に好適である。また、ポリマーグラフト鎖のTgが−10℃以下の低温領域にある場合、0℃付近での弾性率の上昇を抑制しつつ、tanδを上昇させることができ、そのため、高グリップ性のタイヤ用ゴムや、冬用タイヤ用ゴム等として好適である。これらのポリマーグラフト鎖のTgは、ポリマーグラフト鎖を構成するモノマーの種類によって設定可能である。
該ポリマーグラフト補強剤は、ゴム成分やプラスチック成分に添加して、ゴム組成物やプラスチック組成物を補強するために用いられる。該ポリマーグラフト補強剤を配合することにより、ゴムマトリックスやプラスチックマトリックスへの補強剤(固体物質)の分散性を向上して、ゴム組成物やプラスチック組成物の特性を改良することができる。また、ポリマーグラフト補強剤では、固体物質表面にグラフトポリマー鎖が固着しているため、ゴムマトリックスやプラスチックマトリックスとの混合後においてもポリマーグラフト鎖を保持することができ、高弾性化の効果が発揮されやすい。
本実施形態に係るゴム組成物によれば、ゴム成分100質量部に対して、該ポリマーグラフト補強剤が1〜200質量部にて配合される。ポリマーグラフト補強剤の配合量は、より好ましくは10〜150質量部であり、更に好ましくは20〜100質量部である。
該ゴム組成物におけるゴム成分の例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などが挙げられ、これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。ゴム成分として、好ましくはジエン系ゴムを用いることである。
該ゴム組成物には、上記ポリマーグラフト補強剤の他に、未処理のシリカやカーボンブラックなどの補強性充填剤、シランカップリング剤、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
加硫剤としては、硫黄、及び硫黄含有化合物(例えば、塩化硫黄、二塩化硫黄、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、及びアルキルフェノールジスルフィド等)が挙げられ、これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤を用いることができ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。このようにして得られるゴム組成物の用途は、特に限定されないが、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができ、常法に従い、例えば140〜200℃で加硫成形することにより、各種ゴム成形体を得ることができる。
本実施形態に係るプラスチック組成物によれば、プラスチック成分100質量部に対して、該ポリマーグラフト補強剤が1〜200質量部にて配合される。ポリマーグラフト補強剤の配合量は、より好ましくは10〜150質量部であり、更に好ましくは20〜100質量部である。
該プラスチック組成物におけるプラスチック成分の例としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられ、これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
該プラスチック組成物には、上記ポリマーグラフト補強剤の他に、酸化防止剤、可塑剤、架橋剤、無機粒子、ガラス繊維、有機繊維など、プラスチック組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
該プラスチック組成物は、通常に用いられるミキサーやニーダー等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。このようにして得られるプラスチック組成物の用途は、特に限定されないが、フィルム、容器、コーティング剤、接着剤、自動車部品、断熱材の各種プラスチック組成物に用いることができ、常法に従い、射出成形、圧縮成形などにより、各種プラスチック成形体を得ることができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ケイ素化合物の合成>
[合成例1]
・6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネートの合成:
5−ヘキセン−1−オール(42.6g)とトリエチルアミン(45.8g)とテトラヒドロフラン(0.8L)を混合後、氷冷し、2−ブロモイソブチリルブロミド(100g)を滴下した。その後、反応液を4℃、3時間攪拌し、室温で15時間攪拌した。反応液をろ過し、エボポレーターで濃縮後、ジエチルエーテル(300mL)に溶解させ、それを1Nの塩酸溶液(2×300mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×300mL)、及び蒸留水(2×300mL)の順で洗浄した。その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、エバポレーターにて濃縮させ、シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=15/1)により精製し、濃縮後、下記化学式で表される5−ヘキセニル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物1)を74.2g得た。
Figure 0005881059
次に、化合物1(10.1g)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(9.58g:東京化成工業(株)製「3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン」)、AIBN(0.194g)、及びトルエン(20g)を混合し、窒素ガスで30分バブリングした後、反応溶液を70℃、3時間保持し、エバポレーターにて濃縮後、下記化学式で表される6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物2)を17.2g得た(収率:88%)。
以下のNMR結果から、生成物が下記化学式で表される化合物であることを同定した。1H-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):1.93(s, 6H, (CH)BrC-)、4.17(t, 2H, -(O=C)-O-CH2-)、1.70(m, 2H, -(O=C)-O-CH2-CH 2-) 、1.43(t, 4H, -(O=C)-O-CH2-CH2-CH 2-CH 2-) 、1.60(t, 2H, O=C-O-CH2-CH2-CH2-CH2-CH 2-) 、2.5(t, 2H, -CH 2-S-CH2-) 、2.53(t, 2H, -CH2-S-CH 2-) 、1.69(m, 2H, -CH2-S-CH2-CH 2-)、0.74(t, 2H, -CH 2-Si-(O-CH2-CH3)3、3.82(q, 6H, -CH2-Si-(O-CH 2-CH3)3、1..23(t, 9H, -CH2-Si-(O-CH2-CH 3)3.
13C-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):30.9(()BrC-)、55.9((CH)Br-)、171.5(-(O=C)-O-CH2-)、65.9(-(O=C)-O-CH2-) 、28.3(-(O=C)-O-CH2-CH2-) 、25.9(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-) 、28.4(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-CH2-) 、29.6(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2--CH2-CH2-) 、32.0(-CH2-S-CH2-) 、35.3(-CH2-S-CH2-) 、23.2(-CH2-S-CH2-CH2-)、10.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、58.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、18.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3.
Figure 0005881059
[合成例2]
・3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル 2―ブロモ−2−メチルプロパネート:
2−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオン酸アリル(1.5g:シグマアルドリッチ社製)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(1.73g)、AIBN(0.036g)、及びトルエン(20g)を混合し、窒素ガスで30分バブリングした後、反応溶液を70℃、3時間保持し、エバポレーターにて濃縮後、下記化学式で表される3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物3)を2.95g得た(収率:91%)。得られた化合物3は、化合物2と同様に、リビングラジカル重合可能な重合開始剤であり、またシリカ表面のシラノール基と反応可能なトリエトキシシリル基を有するものであり、グラフトシリカ補強剤の製造に使用可能なものであった。
以下のNMR結果から、生成物が下記化学式で表される化合物であることを同定した。1H-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):1.93(s, 6H, (CH)BrC-)、4.27(t, 2H, -(O=C)-O-CH2-)、1.97(m, 2H, -(O=C)-O-CH2-CH 2-) 、2.61(t, 2H, -CH 2-S-CH2-) 、2.55(t, 2H, -CH2-S-CH 2-) 、1.71(m, 2H, -CH2-S-CH2-CH 2-)、0.74(t, 2H, -CH 2-Si-(O-CH2-CH3)3、3.82(q, 6H, -CH2-Si-(O-CH 2-CH3)3、1..23(t, 9H, -CH2-Si-(O-CH2-CH 3)3.
13C-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):30.8(()BrC-)、55.9((CH)Br-)、171.5(-(O=C)-O-CH2-)、64.6(-(O=C)-O-CH2-) 、28.6(-(O=C)-O-CH2-CH2-) 、28.3(-CH2-S-CH2-) 、35.2(-CH2-S-CH2-) 、23.2(-CH2-S-CH2-CH2-)、9.94(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、58.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、18.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3.
Figure 0005881059
[合成例3]
・11−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ウンデシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート:
合成例1の5−ヘキセン−1−オールの代わりに、10−ウンデセン−1−オールを用い、同様の手順で、下記化学式で表される10−ウンデセニル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物4)を得た。
Figure 0005881059
次いで、合成例1と同様の手順で10−ウンデセニル 2−ブロモ−2−メチルプロパネートと3−メルカプトプロピルトリエトキシシランを反応させることにより、下記化学式で表される11−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ウンデシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物5)を得た。得られた化合物5は、化合物2と同様に、リビングラジカル重合可能な重合開始剤であり、またシリカ表面のシラノール基と反応可能なトリエトキシシリル基を有するものであり、グラフトシリカ補強剤の製造に使用可能なものであった。
以下のNMR結果から、生成物が下記化学式で表される化合物であることを同定した。1H-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):1.92(s, 6H, (CH)BrC-)、4.16(t, 2H, -(O=C)-O-CH2-)、1.28〜1.38(m, 16H, -(O=C)-O-CH2-(CH 2)8-) 、1.56(m, 16H, -(O=C)-O-CH2-(CH2)8-CH 2-) 、2.5(t, 2H, -CH 2-S-CH2-) 、2.53(t, 2H, -CH2-S-CH 2-) 、1.70(m, 2H, -CH2-S-CH2-CH 2-)、0.73(t, 2H, -CH 2-Si-(O-CH2-CH3)3、3.82(q, 6H, -CH2-Si-(O-CH 2-CH3)3、1..23(t, 9H, -CH2-Si-(O-CH2-CH 3)3.
13C-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):30.8(()BrC-)、56.4((CH)Br-)、172.1(-(O=C)-O-CH2-)、66.2(-(O=C)-O-CH2-) 、29.0〜29.5(-(O=C)-O-CH2-(CH2)8-) 、29.8(-(O=C)-O-CH2-(CH2)8-CH2)、32.0(-CH2-S-CH2-) 、35.3(-CH2-S-CH2-) 、23.3(-CH2-S-CH2-CH2-)、9.7(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、58.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、18.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3.
Figure 0005881059
[合成例4]
・6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ヨード−2−メチルプロパネートの合成:
合成例1の操作により得られた6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(5g)とヨウ化ナトリウム(20g)とドライアセトン100mLを混合し、窒素雰囲気下にて75℃で10時間反応させた。反応後、抽出操作を行い、下記化学式で表される6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ヨード−2−メチルプロパネート(化合物6)を得た。得られた化合物6は、化合物2と同様に、リビングラジカル重合可能な重合開始剤であり、またシリカ表面のシラノール基と反応可能なトリエトキシシリル基を有するものであり、グラフトシリカ補強剤の製造に使用可能なものであった。
以下のNMR結果から、生成物が下記化学式で表される化合物であることを同定した。1H-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):2.2(s, 6H, (CH)IC-)、4.17(t, 2H, -(O=C)-O-CH2-)、1.70(m, 2H, -(O=C)-O-CH2-CH 2-) 、1.43(t, 4H, -(O=C)-O-CH2-CH2-CH 2-CH 2-) 、1.60(t, 2H, O=C-O-CH2-CH2-CH2-CH2-CH 2-) 、2.5(t, 2H, -CH 2-S-CH2-) 、2.53(t, 2H, -CH2-S-CH 2-) 、1.69(m, 2H, -CH2-S-CH2-CH 2-)、0.74(t, 2H, -CH 2-Si-(O-CH2-CH3)3、3.82(q, 6H, -CH2-Si-(O-CH 2-CH3)3、1..23(t, 9H, -CH2-Si-(O-CH2-CH 3)3.
13C-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):27.5(()IC-)、57.4((CH)Br-)、171.5(-(O=C)-O-CH2-)、65.9(-(O=C)-O-CH2-) 、28.3(-(O=C)-O-CH2-CH2-) 、25.9(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-) 、28.4(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-CH2-) 、29.6(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2--CH2-CH2-) 、32.0(-CH2-S-CH2-) 、35.3(-CH2-S-CH2-) 、23.2(-CH2-S-CH2-CH2-)、10.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、58.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3、18.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3.
Figure 0005881059
<ポリマーグラフト補強剤の合成>
[実施例1]
シリカ(35g:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」、BET比表面積=205m/g)、28質量%のアンモニア水(66g)、及びエタノール1000mLを混合し、1時間攪拌した後、化合物2:6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル2−ブロモ−2−メチルプロパネート(10g)を滴下し、室温で16時間攪拌した。得られた溶液から遠心分離機によりシリカを回収し、エタノールおよびアニソールにて洗浄することにより、化合物2が粒子表面に固着したシリカ(重合開始剤導入シリカ)28gを得た。
次に、得られた重合開始剤導入シリカ(22.9g)、ベンジルメタクリレート(200g)、2−ブロモ酪酸エチル(1.14g)、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(4.54g)、及びアニソール(300g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に塩化銅(I)(0.56g)を添加し、50℃で5時間保持した。得られた溶液を遠心分離により、固相を分離し、アニソールで洗浄、乾燥後、補強剤1としてポリマーグラフトシリカ(43g)を得た。
[実施例2〜4]
重合開始剤に対するモノマー(ベンジルメタクリレート)の仕込み比(モル比)を、下記表1に示すように変更し、その他は実施例1と同様の手順により、補強剤2〜4をそれぞれ得た。
[実施例5]
モノマーの種類をベンジルメタクリレートからメチルメタクリレートに変更し、その他は、補強剤1の合成と同様の方法で補強剤5としてポリマーグラフトシリカを得た。
[実施例6]
モノマーの種類をベンジルメタクリレートからトリデシルメタクリレートに変更し、その他は、補強剤1の合成と同様の方法で補強剤6としてポリマーグラフトシリカを得た。
[補強剤のポリマーグラフト量の測定]
TGA(昇温速度5℃/分、温度範囲50℃〜500℃)による測定結果から、下記式(A)に基づき、表1の通りポリマーグラフト量を算出した。
式(A): P=(W初期−W500℃/0.9)/(W500℃/0.9)
P:シリカ単位質量当りのポリマーグラフト質量
W初期:TGA測定仕込み質量(mg)
W500℃:500℃における残渣の質量(mg)
[ポリマーグラフト鎖のガラス転移温度の測定]
補強剤を、−100℃〜150℃の範囲で、昇温速度20℃/分の条件で、DSC測定を行い、ポリマーグラフト鎖のガラス転移温度(Tg)を求めた。
Figure 0005881059
得られた補強剤のTGA測定より、グラフトポリマー鎖の存在が確認された。また、表1に示すように、モノマーの仕込み比とポリマーグラフト鎖の量は比例関係にあり、シリカ表面からリビング的に重合していることが示された。
[実施例7]
酸化亜鉛(100g:堺化学工業(株)製「FINEX−30」)、28質量%のアンモニア水(66g)、及びエタノール1000mLを混合し、1時間攪拌した後、化合物2:6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル2−ブロモ−2−メチルプロパネート(10g)を滴下し、室温で16時間攪拌した。得られた溶液から遠心分離機により酸化亜鉛を回収し、エタノールおよびアニソールにて洗浄することにより、化合物2が粒子表面に固着した酸化亜鉛(重合開始剤導入酸化亜鉛)82gを得た。
次に、得られた重合開始剤導入酸化亜鉛(62g)、ベンジルメタクリレート(200g)、2−ブロモ酪酸エチル(1.14g)、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(4.54g)、及びアニソール(300g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に塩化銅(I)(0.56g)を添加し、50℃で5時間保持した。得られた溶液を遠心分離により、固相を分離し、アニソールで洗浄、乾燥後、補強剤7としてポリマーグラフト酸化亜鉛(75.9g)を得た。得られた補強剤7について、上記補強剤1と同様にしてポリマーグラフト量を測定した。結果を下記表2に示す。
Figure 0005881059
[実施例8]
チタン酸バリウム(100g:堺化学工業(株)製「BT01」)、28質量%のアンモニア水(66g)、及びエタノール1000mLを混合し、1時間攪拌した後、化合物2:6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル2−ブロモ−2−メチルプロパネート(10g)を滴下し、室温で16時間攪拌した。得られた溶液から遠心分離機によりチタン酸バリウムを回収し、エタノールおよびアニソールにて洗浄することにより、化合物2が粒子表面に固着したチタン酸バリウム(重合開始剤導入チタン酸バリウム)85gを得た。
次に、得られた重合開始剤導入チタン酸バリウム(68g)、ベンジルメタクリレート(200g)、2−ブロモ酪酸エチル(1.14g)、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(4.54g)、及びアニソール(300g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に塩化銅(I)(0.56g)を添加し、50℃で5時間保持した。得られた溶液を遠心分離により、固相を分離し、アニソールで洗浄、乾燥後、補強剤8としてポリマーグラフトチタン酸バリウム(82g)を得た。得られた補強剤8について、上記補強剤1と同様にしてポリマーグラフト量を測定した。結果を下記表3に示す。
Figure 0005881059
<ゴム組成物の評価>
以下のゴム組成物の評価において、比較例のゴム組成物に配合するポリマーC1〜C3を次のようにして合成した。
[ポリマーC1の合成]
ベンジルメタクリレート(30g)、2−ブロモ酪酸エチル(0.66g)、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(1.4g)、及びアニソール(30g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に塩化銅(I)(0.17g)を添加し、50℃で5時間保持した。得られた溶液を、エタノールへ再沈生成後、ポリベンジルメタクリレート(ポリマーC1)を得た。
[ポリマーC2の合成]
モノマーの種類をベンジルメタクリレートからメチルメタクリレートに変更し、その他は、ポリマーC1と同様の方法で、ポリメチルメタクリレート(ポリマーC2)を得た。
[ポリマーC3の合成]
モノマーの種類をベンジルメタクリレートからトリデシルメタクリレートに変更し、その他は、ポリマーC1と同様の方法で、ポリトリデシルメタクリレート(ポリマーC3)を得た。
[実施例9,10及び比較例1,2]
バンバリーミキサーを使用し、下記表4に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。表4中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、JSR(株)製「SBR1502」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・2次加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
得られた各ゴム組成物について、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、25℃での動的弾性率E及びtanδ、60℃での動的弾性率E及びtanδを測定した。各測定方法は次の通りである。
・25℃動的弾性率E:UBM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度25℃の条件で動的弾性率を測定した。
・25℃tanδ:UBM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度25℃の条件で損失係数tanδを測定した。
・60℃動的弾性率E,60℃tanδ:温度を60℃に変え、その他は25℃動的弾性率E及び25℃tanδと同様にして測定した。
結果は表4に示す通りであり、コントロールである比較例1に対して、比較例2では樹脂(ポリマーC1)を添加することにより、動的弾性率およびtanδ値が上昇した。一方、ポリマーグラフトシリカである補強剤1を配合した実施例9では、比較例1に比べて、大幅に動的弾性率およびtanδ値が上昇した。また、補強性充填剤の全量をポリマーグラフトシリカである補強剤2とした実施例10では、実施例9よりさらに動的弾性率が上昇した。比較例2、実施例9および実施例10ではゴム配合中のシリカ成分とポリベンジルメタクリレート成分(補強剤1,2ではグラフトしているポリベンジルメタクリレート)はほぼ同量であるが、比較例2ではポリベンジルメタクリレートが孤立相として存在していると考えられるのに対し、実施例9と実施例10ではポリベンジルメタクリレートがすべてシリカに結合しているため、動的弾性率とtanδが効率的に上昇している。このような60℃付近に大きなエネルギーロスを示すゴムは高グリップ性が要求されるトレッドゴム配合や、エネルギー吸収ゴムに好適である。
Figure 0005881059
[実施例11及び比較例3]
バンバリーミキサーを使用し、下記表5に示す配合(質量部)に従って、実施例9と同様にしてゴム組成物を調製し、得られた各ゴム組成物から作製した試験片を用いて、25℃での動的弾性率E及びtanδを測定した。
結果は、表5に示す通りであり、コントロールである比較例1に対し、比較例3ではポリメチルメタクリレート(ポリマーC2)を配合することにより動的弾性率が上昇しているが、ポリマーグラフトシリカである補強剤5を配合した実施例11では、さらに動的弾性率が上昇した。一方、tanδ値は、ポリメチルメタクリレートのガラス転移温度が高温領域にあるため、室温付近のtanδ値の上昇は抑制されていた。そのため、実施例11のゴム組成物は、低燃費タイヤ用ゴム等に好適である。
Figure 0005881059
[実施例12及び比較例4]
バンバリーミキサーを使用し、下記表6に示す配合(質量部)に従って、実施例9と同様にしてゴム組成物を調製し、得られた各ゴム組成物から作製した試験片を用いて、0℃での動的弾性率E及びtanδ、25℃での動的弾性率E及びtanδを測定した。0℃での動的弾性率E及びtanδの測定方法は、温度を0℃に変え、その他は25℃動的弾性率E及び25℃tanδと同様にして測定した。
結果は表6に示す通りであり、コントロールである比較例1に対し、比較例4では、ポリトリデシルメタクリレート(ポリマーC3)を配合することにより、低温領域でのtanδ値が上昇するが、ポリマーグラフトシリカである補強剤6を配合した実施例12では、さらにtanδ値を上昇させることができた。また、ポリトリデシルメタクリレートのガラス転移温度が低温領域に存在するため、動的弾性率の上昇を抑制しつつ、低温領域でのtanδ値を上昇させることができた。そのため、実施例12のゴム組成物は、高グリップ性のタイヤ用ゴムや、冬用タイヤ用ゴム等に好適である
Figure 0005881059
以上の結果は、補強剤にグラフト形成させるポリマー(使用するモノマー)の選択により、ゴム組成物の動的粘弾性を効率的かつ任意に制御できることを示している。当然、グラフトポリマーは2つ以上の種類からなる共重合体やブロック共重合体でもよく、2つ以上の種類の補強剤をゴム成分に配合してもよい。
<プラスチック組成物の評価>
[実施例13及び比較例5,6]
2軸混練機(プラスチック工学研究所製)を使用して、表7に示す配合(質量部)に従って、溶融混練してペレット化した。得られたペレットを単軸押出機で幅350mm、厚み0.2mmのフィルムにTダイ成形した。表7中の成分の詳細は以下の通りである。
・ポリエステル:東洋紡製「ペルプレンP30B」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
得られた各フィルムについて、以下の方法により、空気透過係数を測定した。
・空気透過係数:JIS K7126−1に準拠して、株式会社東洋精機製作所製のガス透過率測定装置「BT−3」を用いて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて空気透過係数を測定し、比較例5のフィルムの空気透過係数を100とした指数で表示した。指数が小さいほど空気透過係数が小さく、ガスバリア性に優れる。
結果は表7に示す通りであり、ポリエステルにシリカとポリマーC1を混合した比較例6に対して、補強剤1を添加した実施例13では空気透過係数が低下した。これは、補強剤1ではシリカにポリマーがグラフトしているため、ポリエステルマトリクス中に高分散することで、空気分子の透過パスを効率的に長く効果によるものである。一方、単独でシリカを添加した比較例6では空気分子の透過パスを長くする効果があるものの、分散性が実施例13に及ばす、その効果が限定的になったものと考えられる。このようなプラスチック組成物は容器、包装材料等に応用できる。
Figure 0005881059

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるケイ素化合物を固体物質表面に固着させ、そのリビングラジカル重合開始基を重合開始点としてラジカル重合可能なモノマーをリビングラジカル重合することを特徴とするゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法。
    Figure 0005881059
    (式中、下記一般式(2)または一般式(3)で表されるリビングラジカル重合開始基であり、Z 1 及びZ 2 はそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基であり、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。nは1〜3の整数である。)
    Figure 0005881059
    (式中、R3、R4及びR5はそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造であり、R3、R4及びR5のうち少なくとも1つはハロゲンである。)
    Figure 0005881059
    (式中、R6は炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。)
  2. 記一般式(4)で表されるケイ素化合物を固体物質表面に固着させ、そのリビングラジカル重合開始基を重合開始点としてラジカル重合可能なモノマーをリビングラジカル重合することを特徴とするゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法。
    Figure 0005881059
    (式中、Xはハロゲンであり、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。R7及びR8はそれぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、ともに水素であることはない。aは3〜11の整数であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。)
  3. 記固体物質表面のポリマーグラフト鎖の量が、前記固体物質100質量部に対して5〜1000質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法
  4. 前記固体物質がシリカ微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子及びチタン酸バリウム微粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム又はプラスチック用補強剤の製造方法
  5. ゴム成分100質量部に対して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた補強剤を1〜200質量部配合することを特徴とするゴム組成物の製造方法
  6. プラスチック成分100質量部に対して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた補強剤を1〜200質量部配合することを特徴とするプラスチック組成物の製造方法
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