JP5871023B2 - 直線形鋼矢板、該直線形鋼矢板を用いた構造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

直線形鋼矢板、該直線形鋼矢板を用いた構造物の補強構造及び補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、直線形鋼矢板、該直線形鋼矢板を用いた構造物の補強構造及び補強方法に関する。
通常、直線形鋼矢板は、両端の継手を嵌合させ円形もしくは楕円形状に繋げられ、閉じた壁構造として構造物の補強構造に用いられる。
構造物の補強工法の一例として、既存構造物を取り巻くように、周囲に直線形鋼矢板を打設して外壁を形成し、直線形鋼矢板と既存構造物との隙間に充填コンクリートを流し込み、一体化させて強化する「巻き立て補強工法」がある(特許文献1参照)。
また、補強に用いられる直線形鋼矢板の形状としては、FL型、FXL型がある(非特許文献1参照)。
特開2007-297826号公報
鋼管杭協会:鋼矢板 設計から施工まで、pp.337-338、2007
発明が解決しようとする課題を説明するのに先立って、一般的な直線形鋼矢板の継手部の形状を図5に基づいて説明する。
図5に示す通り、直線形鋼矢板50は、主爪部51aと副爪部51bからなる継手部51と、継手部51同士を繋ぐウェブ部52とを有している。本明細書においては、ウェブ部52の中心(中心位置を図5中に一点鎖線で示す)から副爪部51bの最外縁までの距離を有効高さhと呼ぶ。
次に、図6〜図8に基づいて本発明が解決しようとする課題について説明する。なお、図6〜図8は、特許文献1において開示された図である。
図6において、53は既存構造物(特許文献1中では橋脚)、55はフーチング、57は地面、図7及び図8において59は充填コンクリート(特許文献1中では固化材)、61は補強鉄筋(61aが主鉄筋、61bが帯鉄筋)を示している。
前述の「巻き立て補強工法」(図6参照)では、既存構造物53と鋼矢板壁(直線形鋼矢板50で形成される鋼矢板壁)を極力近接させることで、施工敷地面積を小さくすることを志向している。
しかし、図7に示すように、既存構造物53と鋼矢板壁の間において、さらに補強鉄筋61を配置する場合があり、この場合、直線形鋼矢板50の継手箇所と補強鉄筋61との隙間が狭いことから、隙間に充填コンクリート59を流し込む際、コンクリート骨材(最大径20mm程度)が引っ掛かり、コンクリートが回り込まず空隙(弱点箇所)が生じることが懸念される。
この点について、以下に図8に基づいて具体的に説明する。
特許文献1においては、既存構造物53と鋼矢板壁との近接距離(近接距離B)は200mm程度とされている。
さらに、道路橋示方書などによれば、品質確保のため、補強鉄筋61までの被り厚kは70mm以上必要とされている。従って、既存構造物53から補強鉄筋61までの距離は最小で70mmとなる。また、同様に品質確保の面から主鉄筋径d1は最小で16mm、帯鉄筋径d2は最小で13mmと規定されている。
一方、現状の直線形鋼矢板50の形状において、現状、用いられる直線形鋼矢板50の形状としては、FL型、FXL型であり(非特許文献1参照)、有効高さhは、それぞれ44.5mm、47.0mmである。鋼矢板の全高さ(h×2)は、例えばFL型では89mmである。
従って、FL型を用いた補強構造においては、直線形鋼矢板50から補強鉄筋61までの隙間(最小部)SはS=B-k-d1-d2-(h×2)=200-70-16-13-89=12mmとなる。このように、継手部51の有効高さhが最も小さいFL型を用いても、隙間Sは通常のコンクリート最大骨材径20mmよりも小さい。
以上のことから、コンクリート骨材が引っ掛かることが懸念されるのである。
上記の問題に対し、鋼矢板の継手形状(高さ)を小さくすることができれば、直線形鋼矢板の継手箇所と補強鉄筋との隙間を広げることができ、コンクリート骨材の引っ掛かりの問題が解消される。
しかしながら、ただ単に鋼矢板の継手形状を小さくすると継手嵌合部の強度が低下するという問題がある。
直線形鋼矢板を用いた補強構造では、主として鋼矢板壁の周面拘束力により構造耐力が向上することとなる。そして、鋼矢板壁の周面拘束力を生み出す重要部位は鋼矢板の継手部であり、継手嵌合部の引張り耐力が低下すれば、鋼矢板壁の周面拘束力も同時に低下することになる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、鋼矢板の継手形状(高さ)を極力小さくして、充填コンクリート打設時の施工性および構造信頼性を向上させるとともに、継手嵌合部の引張り耐力が低下しない直線形鋼矢板、該直線形鋼矢板を用いた補強構造及び補強方法を得ることを目的としている。
(1)本発明に係る直線形鋼矢板は、両端に主爪と副爪からなる継手部を有する直線形鋼矢板であって、
継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、ウェブ部の中心位置から副爪部の最外縁までの距離h1(有効高さ)が40mm以下であることを特徴とするものである。
(2)また、本発明に係る直線形鋼矢板は、両端に主爪と副爪からなる継手部を有する直線形鋼矢板であって、
継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、ウェブ部の中心位置から副爪部の最外縁までの距離h1(有効高さ)が37mm以下であることを特徴とするものである。
(3)また、本発明に係る構造物の補強構造は、直線形鋼矢板により構造物の周辺を囲んで補強する構造物の補強構造であって、前記構造物と直線形鋼矢板壁との近接距離が200mm以下となるように前記構造物の周辺を囲んだ上記(1)又は(2)の直線形鋼矢板と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との隙間に配置した補強鉄筋と、前記隙間に充填した固化材とを備えてなることを特徴とするものである。
(4)また、本発明に係る構造物の補強方法は、直線形鋼矢板により構造物の周辺を囲んで補強する構造物の補強方法であって、上記(1)又は(2)に記載の直線形鋼矢板により、前記構造物と前記直線形鋼矢板壁との近接距離が200mm以下となるように前記構造物の周辺を囲む工程と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との間の土砂を除去する工程と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との隙間に固化材を充填する工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明に係る直線形鋼矢板は、継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、有効高さhが40mm以下であることにより、継手嵌合部の強度および施工性を維持しつつ、継手形状を小さくできたことから、経済性を向上させることができる。
また、継手部の有効高さhが40mm以下であることから、直線形鋼矢板から鉄筋までの隙間S(図2参照)が広がり、コンクリート骨材の引っ掛かりを解消することができる。
本発明の実施の形態に係る直線形鋼矢板の継手部の形状の説明図である。 本発明の実施の形態に係る直線形鋼矢板の継手部を用いた補強構造の説明図である。 本発明の実施の形態に係る直線形鋼矢板の継手嵌合部の荷重伝達機構についての説明図である。 本発明の実施例1に係る実験方法に用いた解析モデルの説明図である。 一般的な直線形鋼矢板の継手部の説明図である。 従来の直線形鋼矢板の継手部を用いた補強構造の斜視図である。 従来の直線形鋼矢板の継手部を用いた補強構造の平面図である。 従来の直線形鋼矢板の継手部を用いた補強構造の説明図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る直線形鋼矢板1の形状について図1に基づいて説明する。
図1は、直線形鋼矢板1の立設状態を平面視したときの継手部3を拡大して図示したものである。図1に示す通り、直線形鋼矢板1は、主爪部3aと副爪部3bからなる継手部3と、継手部3同士を繋ぐウェブ部5とを有している。
図1において、gが主爪高、f1がウェブ部板厚、f2が副爪厚、f3が主爪厚、cが継手開口高さ、hが有効高さをそれぞれ表している。
なお、主爪高gは、主爪部3aにおける爪深さが高さ方向に最も深くなった部位(主爪最深部)における爪高さをいう。
また、副爪厚f2は、副爪部3bにおける爪深さが高さ方向に最も深くなった部位(副爪最深部)における厚みであって、より詳細には副爪最深部と副爪部最外縁の距離をいう。
また、主爪厚f3は、主爪部3aの主爪最深部における厚みであって、より詳細には主爪最深部から直線形鋼矢板1の軸線に直交する直線を引いたときに、該直線が主爪の外縁と交差する点と主爪最深部までの距離をいう。
本実施の形態の直線形鋼矢板1は、継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、有効高さhが40mm以下又は37mm以下であることを特徴とするものである。
直線形鋼矢板1の形状は、下記に示す検討の結果得られた以下の知見(i)〜(vi)に基づいたものである。
検討は、コンクリート骨材の引っ掛かりを解消するための要件、及び直線形鋼矢板1の継手嵌合部の強度を維持するための要件について行った。
まず、コンクリート骨材の引っ掛かりを解消するための要件についの検討で得られた知見について図2に基づいて説明する。
図2は、直線形鋼矢板1を用いた既存構造物53の補強構造7(以下、単に「補強構造7」という)の一部を図示したものである。図2において、図8と同様のものには同一の符号を付しており、その説明を省略する。なお、図2に示す補強構造7は近接距離Bが200mm以下であることを前提としており、被り厚k、主鉄筋径d1及び帯鉄筋径d2は図8の場合と同様である。なお、補強構造7の詳細については実施の形態2で説明する。
発明者らは、コンクリート骨材の引っ掛かりを解消するために、コンクリート最大骨材径と同程度(あるいはそれ以上)の隙間Sを確保可能なように継手形状について検討したところ、鋼矢板の全高さ(h1×2)が81mm(=B-k-d1-d2-S=200-70-16-13-20)以下となることが望ましく、従って、継手部の有効高さhが40mm以下となることが好適となるとの知見を得た(知見(i))。
また、道路橋示方書などによれば、コンクリート最大骨材径に対し、4/3倍以上の隙間が必要である場合もあり、最大骨材径20mmでは20×4/3=26mm以上の隙間が必要となる。したがって、この場合には継手部の有効高さhが37mm以下となることが好適となる(知見(ii))。
現在存在する直線形鋼矢板において、継手部の有効高さhが最も小さいものは、FL型であり、h=44.5mmであるが、知見(i)(ii)に示すように、継手部の有効高さhとしては、これよりも小さい40mm以下、場合によっては37mm以下となる必要がある。なお、有効高さhは、継手嵌合部の強度を確保する観点から、30mmより大きいことが望ましい。
次に、直線形鋼矢板1の継手嵌合部の強度を維持するための要件について検討した結果、得られた知見について説明する。
直線形鋼矢板1の継手嵌合部の引張り強度については、直線形鋼矢板1のウェブ部5の引張り強度と同程度とすることが最も合理的である。
発明者らは、実験および解析による検討から、直線形鋼矢板1の継手嵌合部の引張り強度に関して、継手の主爪高g、副爪厚f2、主爪厚f3およびウェブ部板厚f1が主として寄与するという知見を得た。また、継手部の嵌合施工性の点からは継手開口高さcが重要となる。以下、この点を図3に基づいて詳細に説明する。
図3は、継手嵌合部における荷重伝達機構を示すとともに、応力分布をコンター表示したものである。なお、図3において、図1と同様のものには同一の符号を付している。また、図3において、概略、色の薄い部分ほど応力が高いことを示している。
(継手嵌合部の荷重伝達機構)
継手嵌合部の引張り強度がウェブ部5の引張り強度を下回ると、弱点箇所が生じ直線形鋼矢板1で形成される巻き立て構造(セル構造)が不安定なものとなる。
一方で、ウェブ部5の引張り強度に対して、継手嵌合部の引張り強度を必要以上に大きくしても無駄なものとなる。
上記事項を考慮して、直線形鋼矢板のJIS規格であるSY295の場合、継手嵌合部の基準引張り強度(長さ1mあたり)は、3.92MN/mとされている。
継手嵌合部の引張り強度は、上記の基準値を下回らないようにする必要がある。
図3に示すように、ウェブ部5の降伏引張り荷重(単位奥行あたり)をT1とすると、以下の式で表せる。
T1=f1×σy
但し、T1:ウェブ部5の降伏引張り荷重(単位奥行あたり)
f1:ウェブ部板厚
σy:直線形鋼矢板1の材料強度
継手嵌合部では、図3に示すようにP2、P3の2箇所の接触部があり、ウェブ部5に作用する引張り荷重を副爪部3bおよび主爪部3aの2つの分力により負担することになる。これを式で表わすと下式となる。
T1=T2+T3
但し、T2:副爪に作用する引張り荷重分力(単位奥行あたり)
T3:主爪に作用する引張り荷重分力(単位奥行あたり)
また、上式におけるそれぞれの分力の降伏強度は、以下の式で表現できる。
T2×X2=(f2)2/6×σy
T3×X3=(f3)2/6×σy
但し、X2:ウェブ部中心軸から副爪分力作用点までの距離
X3:ウェブ部中心軸から主爪分力作用点(平均)までの距離
f2:副爪厚
f3:主爪厚
図3からわかるように、ウェブ部中心軸からの各分力作用点(平均)までの距離を見ると、副爪のX2に比べて、主爪のX3の方が小さい。これは、副爪の分力T2に比べて、主爪の分力T3は、偶力の発生が小さく引張り荷重の伝達が効率的であることを示している。
従って、T1の分力(T2、T3)のうち、よりT3の割合を増やすことが断面形状(継手部の板厚)を小さくする点で有利となる。
T3は接触部P3における荷重伝達能力により決定されることから、この割合を増やすためには、接触部P3における荷重伝達能力を高めておく必要がある。荷重伝達能力は接触部における鋼材の支圧能力F(=T3)で決定され、支圧能力Fは鋼材の有効接触高さと材料強度の積で表現できる(下式参照)。有効接触高さは、主爪高gに、接触角度θの正弦sinθを乗じて評価できる(下式参照)。したがって、接触部P3における荷重伝達能力を高めるためには、継手の主爪高gの確保が重要となる。
F=g×σy×sinθ
但し、θ:ウェブ部中心軸と接触部P3における接線Lとのなす角度(接触角度)
ウェブ部板厚f1をFL型の標準である9.5mmとし、最小接触角度θを50°(荷重の増加とともに継手が変形して接触角度θは小さくなる)とすると、先述の式より、T1、F(=T3)は以下で表せる。
T1=f1×σy=9.5×σy
F=g×σy×sin50°=0.77×g×σy
接触部P3において少なくともT1の半分程度以上の荷重を伝達するためには、上式の関係より、主爪高gは6.0mm程度以上を確保する必要がある(知見(iii))。
また、主爪の荷重伝達能力(強度)を確保するためには、ウェブ部板厚f1に対し、主爪厚f3を所定厚以上確保する必要があると考えられる。
この点、解析などによる検討から、主爪部で早期の破断が生じ継手嵌合強度が所定値以下となることを防ぐためには、f3/f1が0.82以上となる必要があるとの知見を得た(知見(iv))。
一方、T3の割合を極端に増やすと、継手嵌合部は従来の2点接触構造から1点接触構造に近づき不安定構造となることから、副爪についてもバランス良く荷重伝達能力(強度)を確保する必要がある。すなわち、ウェブ部板厚f1に対し、副爪厚f2を所定値以上確保する必要があると考えられる。
この点、解析などによる検討から、副爪部で早期の塑性曲げ変形が生じ継手嵌合強度が所定値以下となることを防ぐためには、f2/f1が1.16以上となる必要があるとの知見を得た(知見(v))。
さらに継手嵌合の施工性を考慮すると、主爪厚f3に対し、継手開口高さcは適切な余裕度を持つ必要がある。
この点、解析などによる検討から、施工時の鋼矢板弾性変形等に起因する継手嵌合抵抗増大を防ぐためには、c/f3が1.25以上となる必要があるとの知見を得た(知見(vi))。
本実施の形態においては、主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上とし、有効高さhが40mm以下又は37mm以下としたことにより、継手嵌合部の強度および施工性を維持しつつ、継手形状を小さくでき、このことから経済性を向上させることができる。なお、継手嵌合部の強度については実施例1で実証している。
また、継手部の有効高さhが40mm以下であることから、図2に示すように、直線形鋼矢板1を用いた補強構造7においては、直線形鋼矢板1から鉄筋までの隙間Sを従来のものよりも広げることができ、コンクリート骨材が引っ掛かることなく隙間Sに充填コンクリートを流し込むことができ、空隙(弱点箇所)が生じることがない。
補強構造7に関しては次の実施の形態2で説明する。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る既存構造物53の補強構造7は、図2に示すように、実施の形態1で示した直線形鋼矢板1により既存構造物53と鋼矢板壁との近接距離Bが200mm以下となるように既存構造物53の周辺を囲み、直線形鋼矢板1と既存構造物53との隙間に補強鉄筋61が配置されて固化材としての充填コンクリート59が充填されてなることを特徴とするものである。なお、図2において、充填コンクリート59の図示は省略している。
なお、直線形鋼矢板1を用いた補強構造の具体例を実施例2で説明する。
以上のように補強構造7は、実施の形態1の直線形鋼矢板1を用いたものであり、充填コンクリート打設時の施工性を向上させることができるとともに、継手嵌合部の引張り耐力が低下しないので、鋼矢板壁の周面拘束力も低下せず、構造信頼性を確保することができる。
なお、既存構造物53の補強構造7は以下に示す各工程を有する補強方法によって構築できる。
すなわち、直線形鋼矢板1により既存構造物53の周辺を囲む工程と、直線形鋼矢板1と既存構造物53との間の土砂を除去する工程と、直線形鋼矢板1と既存構造物53との隙間に固化材としての充填コンクリート59を充填する工程とを備えたことを特徴とする既存構造物53の補強方法。
本発明の直線形鋼矢板1の継手嵌合部の強度を確認する実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
実験は、FEMによる構造解析により、現状FL型及びその断面形状を変更した鋼矢板(本発明含む)について、継手嵌合の引張耐力を求めるというものである。
構造解析は、直線形鋼矢板1の継手引張試験(JIS A 5528、熱間圧延鋼矢板)を模擬したものであり、嵌合させた直線形鋼矢板1の継手をウェブ長手方向に引張り、継手が離脱あるいは計算が収束しなくなるまでを二次元弾塑性解析(平面ひずみ)でシミュレートした。図4に解析モデルを示す。図4において図1と同様のものには同一の符号を付している。
材料強度特性はヤング率205,000N/mm2のバイリニア型とし、材料降伏強度は295N/mm2、材料引張強度は450N/mm2とした(鋼矢板材質SY295の規定下限値)。
断面形状の変更は、継手部の有効高さh、継手の主爪高g、ウェブ部板厚f1、副爪厚f2、主爪厚f3、継手開口高さcを解析パラメータとして行った。
本発明例1〜本発明例4は、上記各解析パラメータを本発明の範囲内となるように設定した。具体的には、継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、かつ、有効高さhが40mm以下となるようにした。
また、比較のために、比較例1〜比較例3を、上記各解析パラメータのうちいずれかが本発明の範囲外となるように設定した。具体的には、比較例1は主爪高gが5.5mm(6.0mm以上でない)、比較例2はf3/f1が0.74(0.82以上でない)、比較例3はf2/f1が1.11(1.16以上でない)とした。
解析パラメータ及び解析結果をまとめたものを表1に示す。
表1に示すように、本発明例1は、現状FL型と同程度の継手嵌合部引張耐力が得られている。
また、本発明例2、本発明例3及び本発明例4では、現状FL型の継手嵌合部引張耐力に比べてやや低いものの、継手嵌合部の基準引張り強度3.92MN/mを上回る強度が得られており、好適である。
一方、比較例1〜比較例3においては基準引張り強度を下回る結果となった。
以上のように、本発明に係る直線形鋼矢板1においては、継手形状が小さいものでありながら、継手嵌合部の強度が基準引張り強度よりも高いことが実証された。
本発明の補強構造7における、継手部の有効高さhと近接距離Bとの対応関係についてまとめたので、以下に図2を参照しながら説明する。
本実施例では、被り厚kを70mm、主鉄筋径d1を16mm、帯鉄筋径d2を13mmとした。
コンクリート最大骨材径が20mmの充填コンクリートを用いることを想定して、コンクリート骨材の詰りを避けるため、直線形鋼矢板1から鉄筋までの隙間Sを20mmとした。
上記条件で、継手部の有効高さhと近接距離Bとの対応関係についてまとめたものを表2に示す。
表2に示すように、有効高さhを40mm以下とした本発明例4〜本発明例7において、近接距離Bを200mm以下にすることができた。
次に、コンクリート最大骨材径が20mmの充填コンクリートを用い、コンクリート最大骨材径に対し4/3倍以上の隙間が必要である場合を想定して、隙間Sを26mmとしたものについて説明する。
他の条件は表2の場合と同様に、被り厚kを70mm、主鉄筋径d1を16mm、帯鉄筋径d2を13mmとした。
上記条件で、継手部の有効高さhと近接距離Bとの対応関係についてまとめたものを表3に示す。
この場合、表3に示すように、有効高さhを37mm以下とした本発明例8〜本発明例10において、近接距離Bを200mm以下にすることができた。
1 直線形鋼矢板
3 継手部
3a 主爪部
3b 副爪部
5 ウェブ部
7 補強構造
50 直線形鋼矢板(従来例)
51 継手部
51a 主爪部
51b 副爪部
52 ウェブ部
53 既存構造物(橋脚)
55 フーチング
57 地面
59 充填コンクリート
61 補強鉄筋
61a 主鉄筋
61b 帯鉄筋

Claims (3)

  1. 両端に主爪と副爪からなる継手部を有する直線形鋼矢板であって、
    継手の主爪高gが6.0mm以上、主爪厚f3とウェブ部板厚f1の比f3/f1が0.82以上、副爪厚f2とウェブ部板厚f1の比f2/f1が1.16以上、継手開口高さcと主爪厚f3との比c/f3が1.25以上であり、ウェブ部の中心位置から副爪部の最外縁までの距離h(有効高さ)が37mm以下であることを特徴とする直線形鋼矢板。
  2. 直線形鋼矢板により構造物の周辺を囲んで補強する構造物の補強構造であって、
    前記構造物と直線形鋼矢板壁との近接距離が200mm以下となるように前記構造物の周辺を囲んだ請求項1の直線形鋼矢板と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との隙間に配置した補強鉄筋と、前記隙間に充填した固化材とを備えてなることを特徴とする構造物の補強構造。
  3. 直線形鋼矢板により構造物の周辺を囲んで補強する構造物の補強方法であって、
    請求項1の直線形鋼矢板により、前記構造物と前記直線形鋼矢板壁との近接距離が200mm以下となるように前記構造物の周辺を囲む工程と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との間の土砂を除去する工程と、前記直線形鋼矢板と前記構造物との隙間に補強鉄筋を配置するとともに固化材を充填する工程とを備えたことを特徴とする構造物の補強方法。
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