JP6741136B2 - ハット形鋼矢板の製造方法及び設計方法 - Google Patents

ハット形鋼矢板の製造方法及び設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷間加工により成形され、地中に打設されて壁を構成するハット形鋼矢板(冷間ハット形鋼矢板)に関し、その製造方法及びその設計方法に関するものである。
熱間圧延により成形されるハット形鋼矢板は、工場設備などの制約上、型式の数や鋼矢板幅など鋼矢板のサイズが限られる。このため、各施工現場で必要とされる構造性能に対し、必ずしも最適で合理的な断面形状になっていない。つまり、熱間圧延によって形成されるハット形鋼矢板の場合、既存のサイズの中から、必要とされる構造性能により近いものを選択することが行われている。
ハット形鋼矢板には、冷間加工(曲げ加工)で成形されるものもあり(例えば、特許文献1参照)、このような鋼矢板は、そのサイズを調整する自由度が比較的高く、施工現場ごとに必要とされる構造性能に対し、最適に近い断面を提供することが可能である。
実開平4−108619号公報
冷間加工(曲げ加工)により製造されるハット形鋼矢板の断面性能向上、製造能率向上を達成するためには、板厚を薄くして断面形状を大きくすることが有効である。
しかしながら、冷間加工(曲げ加工)で成形される鋼矢板は、その製法上から、ウェブ、フランジ、アームのいずれの部位においても、ほぼ同一の板厚となるため、板厚を薄くした場合、以下のような問題が生ずる。
ハット形鋼矢板を地中に打設して壁構造を構成する際、壁体には土圧および水圧により発生する曲げモーメントが卓越して作用する。
壁体に曲げモーメントが作用した場合、ハット形鋼矢板において最も大きな応力が作用する箇所は、最外縁および最内縁に位置するウェブおよびアームである。
ウェブとアームを比較すると、アームはその先端部に継手が設けられていることから、ウェブに比べて断面剛性が大きくなるため早期の座屈は生じにくく、比較的弱点にはなりにくい。
これに対して、ウェブは断面剛性が小さく、板厚を薄くした場合、全ての部位でほぼ同一の板厚になる冷間加工で形成されるハット形鋼矢板では、最も弱点箇所になる。このため、曲げモーメントによる圧縮応力が作用した場合、早期に座屈が生じ、期待される降伏耐力(降伏モーメント)または全塑性モーメントよりも小さい荷重レベル(曲げモーメント)で壁体が崩壊する危険性がある(変形性能の低下)。
なお、特許文献1の図1を見るとウェブの中央にU字状又はV字状に屈曲した屈曲部があるが、これは冷間矢板の製造工程において、板中心の目印のために形成されるものであり、ごくわずかな凹みであって後述する本願発明における突起形状部に比較するとその大きさが格段に小さいものであり、その目的作用は本願発明の突起形状部とは全く異なるものである。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ハット形鋼矢板のウェブ部における早期座屈を防止し、変形性能を高めることで、薄肉大断面形状のハット形鋼矢板の断面性能を向上し、経済性、製造能率に優れたハット形鋼矢板の製造方法及び設計方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係るハット形鋼矢板の製造方法は、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(2)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするものである。
(2)また、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(3)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするものである。
(3)また、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(4)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするものである。
(4)本発明に係るハット形鋼矢板の設計方法は、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(2)を満足するように設計することを特徴とするものである。
(5)また、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(3)を満足するように設計することを特徴とするものである。
(6)また、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(4)を満足するように設計することを特徴とするものである。
本発明のハット形鋼矢板の製造方法及び設計方法においては、ウェブ部に所定の突起形状部を設けるようにしたことで、最適な鋼矢板断面性能(変形性能)が得られ、経済性、製造能率に優れた板厚の薄いハット形鋼矢板を製造及び設計できる。
本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を説明する説明図である。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、対象としたハット形鋼矢板の形状の説明図である。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、突起形状部の有り無しの変形性能に与える影響を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、有効な突起形状部高さの範囲を求めるのに用いた解析結果のグラフである。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明するのに用いた角型鋼管の断面図である。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、ハット形鋼矢板の形状に関する影響を見るための解析結果のグラフである。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、ウェブ幅Bと断面高さHの比による影響を見るための解析結果のグラフである。 本発明の実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状を規定する式の導出過程を説明する説明図であって、突起形状部の形状に関する影響を見るための解析結果のグラフである。 本実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状の他の態様を説明する説明図である(その1)。 本実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状の他の態様を説明する説明図である(その2)。 本実施の形態に係るハット形鋼矢板の形状の他の態様を説明する説明図である(その3)。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板1の製造方法は、図1に示すように、ウェブ部3の両端に一対のフランジ部5が形成され、各フランジ部5の端部に一対のアーム部7が形成されるとともに、各アーム部7の先端に一対の継手部9が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、ウェブ部3に、鋼矢板全長にわたると共に、ウェブ部3の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部11を、突起形状部11が以下の式(1)および式(2)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするものである。
ここで、式(1)は、本発明の効果を奏するのに必要な突起形状部11の高さを規定している。
また、式(2)は、鋼矢板断面の変形性能を規定するものであり、この値が1.0より小さい場合は、降伏モーメントに到達する前に、弾性座屈により崩壊するレベルとなる。
以下、式(1)及び式(2)を導出した経緯について説明する。
まず、図2(a)に示す突起形状部のないハット形鋼矢板13及びそのウェブ部3に突起形状部11を設けた図2(b)に示すハット形鋼矢板1の変形性能について、解析により検討した。但し、εy=0.0016である。
図3は解析結果をグラフに表したものであり、縦軸が(作用荷重/降伏荷重)で横軸が変形性能を示している。図3において、降伏荷重と同じ作用荷重のときに降伏する場合を変形性能1.0として表現している。
図3より、突起形状部のないハット形鋼矢板13である図2(a)のケースでは、変形性能0.79(1.0未満、弾性座屈)であるのに対し、ウェブ中央に高さ27mmの突起形状部11を設けた図2(b)のケースでは、変形性能が1.67に向上し、最大荷重は降伏荷重レベルを上回っていることが分かる。
この場合の変形性能の増分率は、1.67/0.79−1=1.11と表すことができる。
このように、ウェブ部3に突起形状部11を設けることで変形性能を増加させることができると判明したので、次に効果的な突起形状部11の高さについて検討した。
具体的には、(突起形状部の高さV)/(ウェブ幅B)を、0.02から0.135まで変えたときの、変形性能の増分について調査した。
図4はこの検討結果を示すものであり、横軸が(突起形状部の高さV)/(ウェブ幅B)で、縦軸が変形性能の増分率を示す。
(突起形状部の高さV)/(ウェブ幅B)が大きくなるほど、変形性能の増分率が大きくなる傾向にあるが、(突起形状部の高さV)/(ウェブ幅B)が1/16未満の場合、変形性能の増分率は微小(0.3以下)となっており、十分な変形性能の向上が果たされない。そこで、本発明においては、必要な突起形状部11の高さを式(1)とした。
V≧B/16 ・・・・(1)
次に、解析結果より、鋼矢板断面形状及び突起形状部11の形状と、ハット形鋼矢板1の変形性能の関係式を導くための検討を行った。
本発明の対象であるハット形鋼矢板1において、弱点箇所になるウェブ部3は直線状であり、その両端が曲げられフランジ部5へと続く形状になっている。
この形状に類似する形状を有する構造体として、図5に示すような四角形断面を有する角型鋼管が挙げられる。すなわち角型鋼管における一辺に着目すると、その両端が90°に曲げられて、四角形が形成されており、直線状の板要素の両端を曲げられて形成されている点でハット形と類似している。
そこで、例えば文献「桑村仁「鋼構造の性能と設計」(2002年、共同出版)」などで既往の知見として示されている下記に示す角形鋼管(幅B、高さB、板厚t、降伏ひずみεy、等辺形状)の変形性能μの評価式(5)を参照し、本式をもとに、ハット形鋼矢板断面形状(突起形状部を考慮)の場合の変形性能評価式を導くこととした。
なお、ハット形鋼矢板1と角形鋼管とで異なる点としては、ウェブ部3(板状要素)の端部での折り曲げ角度であり、角型鋼管は90°で曲げられているのに対し、ハット形鋼矢板1は折り曲げ角度は90°より小さくなっている。また、角型鋼管は正方形を基本としており断面幅と断面高さは等価であるが、ハット形鋼矢板1では、ウェブ部3の長さと鋼矢板の高さは異なるケースも想定する必要がある。
そこで、このような形状の違いの影響を見るため、ウェブ部3に突起形状部11を設けず、ハット形鋼矢板1のウェブ幅Bと断面高さHの比(H/B)を0.71、1.00、1.57とし、板厚を6〜18mmの間で設定して、解析した場合の、一般化幅厚比β(=B/t×ε 0.5)と変形性能μの関係を図6に示す。
図6を見ると、ハット形鋼矢板1の変形性能μの解析値は、式(5)の角形鋼管の変形性能評価式をやや下回る傾向にあることが分かる。そこで、ハット形鋼矢板1の変形性能μの評価式として、式(5)の右辺の分子の値5を解析結果に基づいて修正すると以下の式(6)となる。
また、同じ一般化幅厚比βでも、H/Bが小さいほど変形性能は大きくなっており、ハット形鋼矢板1の場合にはウェブ幅Bと断面高さHの比による影響があることがわかった。
そこで、図6の横軸の一般化幅厚比βに(H/B)0.1を乗じて、ウェブ幅の補正を行った。補正幅厚比β2(=B/t×ε 0.5×(H/B)0.1)と変形性能μの関係を図7に示す。補正幅厚比β2を用いた下記に示す変形性能評価式(7)と解析結果はよく一致した。
次に、ハット形鋼矢板1のウェブ部3に設けた突起形状部11の形状に関する影響を評価した。
ウェブ部3に突起形状部を設けることにより、ウェブ部3の断面剛性が増大することから、ハット形鋼矢板1の変形性能向上がもたらされる。この効果について、変形性能評価式(7)においては、板厚tを見かけ上、増大させることで表現できる。そこで、突起形状部を設けることによるウェブ板厚増大効果分をΔtとすると、変形性能評価式は式(8)となる。
ここで、Δtに寄与する因子としては、突起形状部の高さV、突起形状部付け根の幅W、突起形状部の数n、鋼矢板ウェブ幅(ウェブ幅Bに(H/B)0.1を乗じて補正)が考えられる。
これらを考慮して、解析結果との比較を行った結果、Δtを式(9)で評価すれば、近似できることがわかった。
また、式(8)に式(9)を代入すると、ウェブ部3に設けた突起形状部11を考慮した変形性能評価式(10)が導かれる。
変形性能評価式(10)と解析結果の比較を図8に示す。
なお、ウェブ中央に突起形状部11を1つ設けたケースの他、図9に示すように、突起形状部11を2箇所設けたケースや、図10に示すように突起形状部11を3箇所設けたケースについても検討した。
次に、式(10)で規定された変形性能μの上下限値について検討した。
ハット形鋼矢板1を用いた壁体構造は、仮設壁と本設壁(永久構造)とに大別される。一般に仮設壁においては、鋼矢板は弾性範囲内(降伏荷重レベル以下)での挙動を想定して設計される(弾性設計という)。
一方、本設壁(永久構造)では、供用期間が長いことから、大地震を受けた場合の設計が行われることもあり、その際は、降伏荷重到達以降の塑性域での挙動を想定して設計される(塑性設計という)。
そこで、本実施の形態では、仮設壁に供用される場合(弾性設計への適用)の変形性能μの上下限値について検討した。
弾性設計においては、想定される作用力は降伏荷重以下であることから、図3に示す、作用荷重/降伏荷重と変形性能の関係を例にとると、変形性能μ=1.0(降伏荷重到達時)までの鋼矢板の性能を保証すれば良いこととなる。
しかし、鋼矢板の品質、形状のバラツキや、施工における誤差(傾き、回転、ずれなど)による、作用荷重の増加の可能性があり、降伏荷重を超えてすぐに構造物が崩壊するリスクもある。これらを考慮すると、弾性設計においても、鋼矢板の変形性能μは1.5を確保すべきである。
一方、鋼矢板の剛性を高めて変形性能を高めていくと、大きな塑性変形が生じても鋼矢板の耐荷力は保持できるが、今度は地盤の主働崩壊など別の要因で壁構造が壊れる可能性がある。一般に鋼矢板の降伏時の変形は、回転角1/50程度であるが、鋼矢板の変形性能が10であれば、回転角は1/50×10=1/5となり、これ以上の変形が生じると地盤の主働崩壊が生じるレベルとなる。したがって、地盤の主働崩壊を避けるという観点から変形性能μは、10以下であることが好ましい。
よって、弾性設計を想定する場合は、ハット形鋼矢板1の変形性能μが1.5≦μ≦10となるようにすることが好ましい。
以上から、式(2)(および式(1))を満足するよう、ウェブ部3に突起形状部11を設けることとした。
以上のように、本実施の形態によって製造されるハット形鋼矢板は、式(1)及び式(2)を満たす突起形状部11をウェブ部3に設けたことにより、変形性能に優れるので、仮設壁に供用した場合において降伏荷重を超えても崩壊することなく、また地盤の主働崩壊を生ずることもない。
なお、上記の説明は、本発明のハット形鋼矢板の製造方法の実施形態としての説明であったが、本発明のハット形鋼矢板の設計方法の実施の形態も上記の説明と同様であり、この点は、後述する実施の形態2,3についても同様である。
[実施の形態2]
上記の実施の形態1では、ハット形鋼矢板1を仮設壁として適用する場合であったが、本実施の形態では、本設壁(永久構造)として適用する場合(塑性設計への適用)の変形性能μの値について検討した。
塑性設計において、鋼矢板に必要とされる変形性能のレベルは、構造物や環境しだいで様々であるが、鋼矢板の全塑性モーメント荷重に耐える性能は必須となる。そして、一般に変形性能μが2以上であれば、全塑性モーメント荷重レベルに達する。そのため、塑性設計を想定する場合は、ハット形鋼矢板1の変形性能μが2.0≦μ≦10となるよう、式(3)(および式(1))を満足するよう、ウェブ部3に突起形状部11を設けるようにすればよい。
以上のように、本実施の形態によって製造されるハット形鋼矢板は、式(1)及び式(3)を満たす突起形状部11をウェブ部3に設けたことにより、変形性能に優れるので、本設壁(永久構造)に供用した場合において降伏荷重を超えても崩壊することなく、また地盤の主働崩壊を生ずることもない。
[実施の形態3]
本実施の形態は、道路構造や港湾構造への適用に好適な鋼矢板に関するものである。
道路構造、港湾構造の本設構造では塑性設計が行われるが、一般に変形性能μ=4が要求性能の上限とされる。
したがって、道路構造や港湾構造に適用される場合には、ハット形鋼矢板1の変形性能μが2.0≦μ≦4.0となるよう、式(4)(および式(1))を満足するよう、ウェブ部3に突起形状部11を設けるようにすればよい。
以上のように、本実施の形態によって製造されるハット形鋼矢板は、式(1)及び式(4)を満たす突起形状部11をウェブ部3に設けたことにより、変形性能に優れるので、道路構造や港湾構造に供用した場合において降伏荷重を超えても崩壊することがなく、また道路構造や港湾構造に要求される変形性能の上限値を満たしている。
なお、突起形状部11は、その付け根の幅Wが突起高さVの5倍より小さくする(W<5×V)のが望ましい。W<5×Vとする理由は以下の通りである。
本発明では式(1)によってV≧B/16と規定しており、この式(1)にW=5×V(最大幅越え)を代入すると、W≧B×5/16となる。これは突起形状部の付け根の幅Wが、ウェブ幅Bに対して約1/3以上を占めることとなり、ウェブの中央に突起形状を配した場合、その両端のウェブ平行部の長さが付け根の幅Wを下回ることとなり、ウェブ部に作用する土水圧がウェブ全体にバランスよく伝わらなくなる懸念があるとともに、鋼矢板壁方向に沿って切梁、腹起しを設置する際、十分な荷重伝達ができなくなる可能性がある。そこで、これを避けるため、W<5×Vとするのが望ましい。
上記の実施の形態においては、突起形状部11の形状として図1、図8及び図9に示すようなV字状のものを示したが、本発明によって製造されるハット形鋼矢板おける突起形状部11の形状はこれに限定されず、例えば図11に示すように、円弧状の丸みを持たせてもよく、また台形状としてもよい。
また、複数の突起形状部11を設ける場合には、突起形状部11の高さは同じである必要はなく、異なる高さとしてもよい。
さらに、突起形状部11の張出し方向(突出方向)について、上記の説明では、ウェブ部3の内面側に張出す場合を例に挙げて説明したが、本発明においては突起形状部11の張出し方向はこれに限定されず、ウェブ部3の外面側に張出すようにしてもよい。
なお、本発明ではウェブ部3に突起形状部11を設けることが前提となっているが、これに加えて突起をアーム部7や、ウェブ部3とフランジ部5の隅角部、アームとフランジ部5の隅角部に設けてもよい。
鋼矢板断面高さが高い場合、突起をフランジ部に設けても良い。その場合は、フランジ中央付近につけてもよいし、フランジ付け根近傍もしくはアーム部7付け根近傍につけてもよい。
実施の形態1〜3に含まれる具体的な鋼矢板及び突起形状部11を設けていない比較例を下記の表に示す。
1 ハット形鋼矢板
3 ウェブ部
5 フランジ部
7 アーム部
9 継手部
11 突起形状部
13 ハット形鋼矢板(突起形状部のないもの)

Claims (6)

  1. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(2)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
  2. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(3)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
  3. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられたハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を、該突起形状部が以下の式(1)および式(4)を満足するように冷間加工によって成形することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
  4. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(2)を満足するように設計することを特徴とするハット形鋼矢板の設計方法。
  5. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(3)を満足するように設計することを特徴とするハット形鋼矢板の設計方法。
  6. ウェブ部の両端に一対のフランジ部が形成され、各フランジ部の端部に一対のアーム部が形成されるとともに、各アーム部の先端に一対の継手部が設けられ、冷間加工によって成形されたハット形鋼矢板の設計方法であって、
    前記ウェブ部に、鋼矢板全長にわたると共に、前記ウェブ部の内面側又は外面側に張り出すように屈曲形成された突起形状部を設け、該突起形状部が以下の式(1)および式(4)を満足するように設計することを特徴とするハット形鋼矢板の設計方法。
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