JP7210354B2 - 鉄筋コンクリート製梁構造 - Google Patents

鉄筋コンクリート製梁構造 Download PDF

Info

Publication number
JP7210354B2
JP7210354B2 JP2019059885A JP2019059885A JP7210354B2 JP 7210354 B2 JP7210354 B2 JP 7210354B2 JP 2019059885 A JP2019059885 A JP 2019059885A JP 2019059885 A JP2019059885 A JP 2019059885A JP 7210354 B2 JP7210354 B2 JP 7210354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
small
reinforcing
reinforcing bar
reinforcing bars
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019059885A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020159068A (ja
Inventor
博 細矢
剛 岸本
彰文 武田
敏和 山口
靖知 小妻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okumura Corp
Original Assignee
Okumura Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okumura Corp filed Critical Okumura Corp
Priority to JP2019059885A priority Critical patent/JP7210354B2/ja
Publication of JP2020159068A publication Critical patent/JP2020159068A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7210354B2 publication Critical patent/JP7210354B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rod-Shaped Construction Members (AREA)
  • Reinforcement Elements For Buildings (AREA)

Description

本発明は、孔径Hが、梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)の開孔部を有する鉄筋コンクリート製の梁に、当該開孔部に隣接して小開孔部を形成可能な鉄筋コンクリート製梁構造に関する。
鉄筋コンクリート製の梁に、梁幅方向に開孔部を形成する場合の梁構造については、例えば特許文献1や特許文献2が知られている。
特許文献1の「地中梁における人通孔回りの補強構造」は、地中梁に形成される人通孔の両側に2本1組でX字状に配筋され、人通孔側の端部が梁主筋にフックで緊結され、他端部がコンクリートに定着され、且つ、梁幅方向に間隔を隔てて対向配置される4組の斜め補強筋と、人通孔の両側で且つせん断補強の有効な範囲に上下の梁主筋群にわたって巻掛け配筋される孔周囲せん断補強筋とを備える孔周囲補強筋と、人通孔の上部および下部に梁主筋と平行に配筋される複数本の軸方向補強筋と最外側の梁主筋とにわたって巻掛け配筋される孔上下部あばら筋とを備える上下一対の孔部補強筋をコンクリートに埋設するようにしている。
特許文献2の「RC造梁における開口部補強構造」は、補強材が梁幅方向で過密とならないように開口部を補強でき、梁せいを高くすることなく大きな開口部を形成することができる基礎梁等のRC造梁における開口部補強構造を提供することを課題とし、RC造梁は、上端筋、下端筋、およびあばら筋がコンクリート内に埋め込まれ、前後面に貫通した開口部を有する。台形状の一対の閉鎖型補強筋を互いに上下対称として、それぞれ開口部を囲む位置に配置し、コンクリート内に埋め込む。閉鎖型補強筋は、三角形状であっても良いというものである。
特開2013-87504号公報 特開2015-172299号公報
基礎梁を含め、柱間に構築される鉄筋コンクリート製の梁に、人通孔程度の大径の開孔部を形成した場合に、この開孔部に隣接させて、当該開孔部の径よりも孔径の小さな小開孔部を形成することが望まれる場合がある。
しかしながら、従来にあっては、大径の開孔部に対し、隣接する小開孔部を形成することが可能な基準は見出されていなかった。
殊に、大径の開孔部の孔径Hが、梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)である場合に、当該大径の開孔部に対し、梁せいや柱面からの距離も見込んで、隣接位置に形成することが可能な小開孔部の孔径や形成範囲を得ることができれば、鉄筋コンクリート製の梁を利用する設備配置等を効率よく行えるため、そのような基準の案出が望まれていた。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、孔径Hが、梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)の開孔部を有する鉄筋コンクリート製の梁に、当該開孔部に隣接して小開孔部を形成可能な鉄筋コンクリート製梁構造を提供することを目的とする。
本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造は、孔径Hが梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)である開孔部が梁の幅方向に貫通形成され、柱間に架設される鉄筋コンクリート製梁構造であって、上記梁内部には、全長にわたって梁上端主筋及び梁下端主筋と、これら梁上端主筋及び梁下端主筋に掛け回されて、該梁の長さ方向に所定のピッチで、環状のあばら筋とが配筋されると共に、該梁の長さ方向へ、該梁の上面に沿う上辺、該梁の下面に沿う下辺、並びにこれら上辺及び下辺を連結する一対の斜辺から、上記開孔部を包囲する閉鎖型に形成された2つの同一寸法の平行四辺形斜め補強筋を、該開孔部の直上及び直下で該上辺同士及び該下辺同士が所定寸法で重なり合うように、かつ該斜辺同士がそれらの中央付近で互いに交差するように、重ね合わせて構成した複数の補強鉄筋ユニットが梁幅方向に配列して配筋され、上記梁の上記開孔部周辺には、上記補強鉄筋ユニットが、上記梁上端主筋と上記梁下端主筋との間に配筋され、該補強鉄筋ユニットの上記上辺及び上記下辺それぞれの近隣にこれらに沿わせて、該開孔部の両側へ達する直線状の上軸方向補強筋及び下軸方向補強筋が配筋され、該開孔部の上方で、該補強鉄筋ユニットの該上辺を包囲するように該上軸方向補強筋と該梁上端主筋とに掛け回されて、該開孔部の下方で、該補強鉄筋ユニットの該下辺を包囲するように該下軸方向補強筋と該梁下端主筋とに掛け回されて、該梁の長さ方向に上記あばら筋よりも狭いピッチで環状の開孔部あばら筋が配筋され、該開孔部の中心を通過する上記斜辺と平行な直線が、該梁上端主筋に交わる位置と該梁下端主筋に交わる位置との間の範囲で、該開孔部の両側に、該補強鉄筋ユニット及び該上・下軸方向補強筋を包囲するように該梁上端主筋と該梁下端主筋とに掛け回されて、該梁の長さ方向に該あばら筋よりも狭いピッチで環状の開孔際あばら筋が配筋され、上記上・下軸方向補強筋の長さ方向両端は、上記開孔部両側の上記開孔際あばら筋の配筋範囲から突出され、上記開孔部に隣接して上記梁の幅方向に貫通形成される小開孔部は、孔径hが上記梁せいDの1/6以下(h≦D/6)であり、該開孔部と当該小開孔部の中心間距離Lhが、これら開孔部及び小開孔部の孔径H,hの相加平均値の3倍から(3倍+100mm)である(3×(H+h)/2≦Lh≦3×(H+h)/2+100)ことを満たし、上記柱の面から該小開孔部の中心までの距離が、該梁せいDの1/2以上、かつ、該小開孔部が該梁の上面及び下面それぞれから該梁せいDの1/4以上離れた範囲内に納まるように形成されることを特徴とする。
前記小開孔部には、該小開孔部周りに沿って小開孔部補強筋が配筋される一方、前記梁のあばら筋は、該小開孔部の上下に配筋されないことを特徴とする。
本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造にあっては、孔径Hが、梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)の開孔部を有する鉄筋コンクリート製の梁に、当該開孔部に隣接して小開孔部を形成することができる。
本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造が適用される、基準となる梁の一例(基準試験体)を側方から見た説明図である。 図1に示した梁の一例を上方から見下ろした説明図である。 図1に示した梁の横断面を説明する図であって、図3(A)は図2中、A-A線矢視断面図、図3(B)は図2中、B-B線矢視断面図、図3(C)は図2中、C-C線矢視断面図である。 図1に示した梁に適用される補強鉄筋ユニットを説明する説明図である。 本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造が適用される、小開孔部付きの梁の一例(供試試験体)を側方から見た説明図である。 図5に示した梁の一例を上方から見下ろした説明図である。 図5に示した梁の横断面を説明する図であって、図7(F)は図6中、F-F線矢視断面図、図7(G)は図6中、G-G線矢視断面図、図7(I)は図6中、I-I線矢視断面図、図7(J)は図6中、J-J線矢視断面図である。 本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造による小開孔部の形成可能範囲を説明する説明図である。 図1及び図5に示した基準試験体及び供試試験体の諸元を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、ひび割れ発生荷重及び短期許容せん断力時のひび割れ幅と残留ひび割れ幅を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、せん断終局強度時(実験値)のひび割れ幅を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、正加力時における一般部あばら筋、開孔際あばら筋ひずみ分布の比較を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、正加力時における平行四辺形斜め補強筋のひずみ履歴分布を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、正加力時における試験体各部のせん断変形角分布を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に対する実験概要であって、Qg-R関係の正側加力時の包絡線の比較を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に基づく有限要素法(FEM)による解析的検討であって、模擬モデルを説明する説明図である。 図16に示した模擬モデルにおける荷重変形関係を説明する説明図である。 図16に示した模擬モデルにおける最大耐力の比較を説明する説明図である。 図16に示した供試試験体の模擬モデルを補正した修正模擬モデルの荷重変形関係を説明する説明図である。 図19に示した修正模擬モデルの最大耐力の比較を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に基づく有限要素法(FEM)による解析的検討であって、他の各種模擬モデルを説明する説明図である。 図21に示した各種模擬モデルにおける荷重変形関係を説明する説明図である。 図21に示した各種模擬モデルにおける最大耐力の比較を説明する説明図である。 基準試験体及び供試試験体に基づく有限要素法(FEM)による解析的検討であって、梁端部を避けた位置に小開孔部が形成される場合の各種模擬モデルを説明する説明図である。 図24に示した各種模擬モデルにおける荷重変形関係を説明する説明図である。 図24に示した各種模擬モデルにおける最大耐力の比較を説明する説明図である。
以下に、本発明にかかる鉄筋コンクリート製梁構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1~図3には、基礎梁を含め、人通孔程度の大径の開孔部が形成された鉄筋コンクリート製の梁構造の一例が示されていて、後述する基準試験体#1として採用される。
図示するように、鉄筋コンクリート製の梁1は、従来周知のように、環状配列で、隣接する柱2間に設置される梁1の全長にわたって配筋される複数本の梁主筋(梁上端主筋3a及び梁下端主筋3b)と、梁1の長さ方向に所定のピッチで、これら梁上端主筋3a及び梁下端主筋3bに掛け回して配筋される複数の環状のあばら筋4とが梁コンクリートE中(梁1の内部)に埋設されて構築される。
梁1の長さ方向の途中に、設備配管を通すための貫通孔や人通孔として、梁幅方向に貫通する円形の開孔部5が形成され、当該開孔部5周辺を補強するために、補強用鉄筋が梁1の内部に配筋される。
補強用鉄筋としては、従来周知のどのようなものであってもよい。図示例は、梁1の内部に、開孔部5を包囲して、補強鉄筋ユニット6を配筋した場合を示している。この例の補強鉄筋ユニット6は、図4にも示すように、2つの同一寸法の平行四辺形斜め補強筋7を組み合わせて構成したものである。
平行四辺形斜め補強筋7は、梁1の長さ方向へ、梁1の上面1aに沿って当該上面1aと並行に配置される上辺7aと、梁1の下面1bに沿って当該下面1bと並行に配置される下辺7bと、これら上辺7a及び下辺7bを連結する一対の斜辺7cとを備えて構成される。
平行四辺形斜め補強筋7は、1本の異形鉄筋を平行四辺形状に曲げ加工し、曲げ加工した当該異形鉄筋の長さ方向両端を溶接接合することによって、閉鎖型に形成される。平行四辺形斜め補強筋7は、開孔部5を包囲する寸法で形成される。平行四辺形斜め補強筋7は、上辺7a及び下辺7bに対する斜辺7cの傾斜角が例えば、45°で形成される。
補強鉄筋ユニット6は、図4に示すように、2つの平行四辺形斜め補強筋7の斜辺7c同士が、それら斜辺7cの中央付近で互いに交差するように重ね合わせることで構成される。
すなわち、斜辺7cの傾斜方向を異ならせた2つの平行四辺形斜め補強筋7は、一方の上辺7aの終端と他方の下辺7bの終端とが梁せい方向に揃い、開孔部5の直上及び直下で、上辺7a同士及び下辺7b同士が所定寸法で重なり合うように組み合わされ、これにより補強鉄筋ユニット6が構成される。
補強鉄筋ユニット6は、いずれも梁幅方向に貫通形成された開孔部5を包囲するようにして、梁幅方向に配列して複数配筋される。これら補強鉄筋ユニット6は、梁せい方向に、ほぼ同じ高さに揃えて配筋される。
補強鉄筋ユニット6は、梁1の横断面(梁幅方向の断面)で見て、梁1の中央と、梁1の両側面1c側それぞれへ寄せて、3つが配筋される(図3(A)参照)。補強鉄筋ユニット6は、梁幅方向に等ピッチで配列される。
この補強鉄筋ユニット6を組み込んだコンクリート製梁構造にあっては、複数の梁上端主筋3a及び梁下端主筋3bに、複数のあばら筋4を掛け回して構成された一般の梁鉄筋組に対し、梁1の開孔部5周辺では、補強鉄筋ユニット6が設けられる。補強鉄筋ユニット6は、開孔部5を包囲するようにして、梁上端主筋3aと梁下端主筋3bとの間に配筋される。
補強鉄筋ユニット6は、梁幅方向では、梁1の中央縦断面に関し、線対称な位置関係で、等ピッチで3つ配列される。3つの補強鉄筋ユニット6は、梁せい方向では、梁上端主筋3a及び梁下端主筋3bから等しい距離を隔てて、同じ高さ位置に配設される。
補強鉄筋ユニット6を構成する平行四辺形斜め補強筋7の上辺7a及び下辺7bそれぞれの近隣には、これらに沿わせて梁1の長さ方向に、補強鉄筋ユニット6の配設範囲から突出して開孔部5の両側へ達する直線状の上軸方向補強筋8及び下軸方向補強筋9が複数配筋される。図示例では、上・下軸方向補強筋8,9はそれぞれ、梁側面側の2つの補強鉄筋ユニット6に対応させて、梁幅方向に4本ずつ、計8本設けられている。
これら上・下軸方向補強筋8,9は、後述する開孔部あばら筋10を受けるように、これに外接するように配筋される。
上軸方向補強鉄筋8は、開孔部あばら筋10及び後述する開孔際あばら筋11内方に補強鉄筋ユニット6の上辺7aが納まるように、補強鉄筋ユニット6の上辺7aよりも僅かに下方へ寄せて設けられる。下軸方向補強鉄筋9も、開孔部あばら筋10及び開孔際あばら筋11内方に補強鉄筋ユニット6の下辺7bが納まるように、補強鉄筋ユニット6の下辺7bよりも僅かに上方へ寄せて設けられる。
環状の開孔部あばら筋10は、開孔部5を、梁せい方向の上下両側から挟む配置で複数配筋される。開孔部あばら筋10は、開孔部5の上方では、補強鉄筋ユニット6の上辺7aを包囲するように、上軸方向補強鉄筋8と梁上端主筋3aとに掛け回されて配筋される。
また、開孔部あばら筋10は、開孔部5の下方では、補強鉄筋ユニット6の下辺7bを包囲するように、下軸方向補強鉄筋9と梁下端主筋3bとに掛け回されて配筋される。
開孔部あばら筋10は、開孔部5の上方及び下方のいずれでも、梁1の長さ方向に、あばら筋4よりも狭いピッチで、すなわち開孔部5以外の梁部分よりも多くの鉄筋量となるように配筋される。
図示例では、上下の開孔部あばら筋10はいずれも、大小異なる大きさのもの(10a,10b)が配筋されている。
具体的には、梁幅方向に3つの補強鉄筋ユニット6すべてを包囲する大きな寸法の開孔部あばら筋10aと、梁幅方向の中央に配置される1つの補強鉄筋ユニット6だけを包囲する小さな寸法の開孔部あばら筋10bとが重ね合わせて配筋されている。
従って、梁幅方向の3つの補強鉄筋ユニット6のうち、中央の1つの補強鉄筋ユニット6は、すべての開孔部あばら筋10で包囲され、梁1の側面1c側に位置する他の2つの補強鉄筋ユニット6は、小さな寸法の開孔部あばら筋10bに外接する配置で、大きな寸法の開孔部あばら筋10aだけに包囲されるようになっている。
環状の開孔際あばら筋11は、開孔部5を、梁1の長さ方向両側から挟む配置で配筋される。開孔際あばら筋11は、平行四辺形斜め補強筋7の斜辺7c同士が互いに交差する箇所を含んで、補強鉄筋ユニット6及び上・下軸方向補強筋8,9を包囲するように、梁上端主筋3aと梁下端主筋3bとに掛け回されて配筋される。
開孔際あばら筋11も、梁1の長さ方向に、あばら筋4よりも狭いピッチで、すなわち開孔部5周辺以外の梁部分よりも多くの鉄筋量となるように配筋される。
図示例では、開孔際あばら筋11も、大小異なる大きさのもの(11a,11b)が配筋されている。
具体的には、梁幅方向に3つの補強鉄筋ユニット6すべてを包囲する大きな寸法の開孔際あばら筋11aと、梁幅方向の中央に配置される1つの補強鉄筋ユニット6だけを包囲する小さな寸法の開孔際あばら筋11bとが重ね合わせて配筋されている。
従って、梁幅方向の3つの補強鉄筋ユニット6のうち、中央の1つの補強鉄筋ユニット6は、すべての開孔際あばら筋11で包囲され、梁1の側面1c側に位置する他の2つの補強鉄筋ユニット6は、小さな寸法の開孔際あばら筋11bに外接する配置で、大きな寸法の開孔際あばら筋11aだけに包囲されるようになっている。
環状の開孔際あばら筋11、開孔部あばら筋10、あばら筋4の形成については、閉鎖型形式やキャップタイ形式など、どのような形式であってもよい。
そして、上述した上・下軸方向補強筋8,9は、開孔際あばら筋11との関係では、それらの長さ方向両端が開孔部5両側の開孔際あばら筋11の配筋領域を超えて、梁1の長さ方向に突出されるように構成される。
図5~7には、上述した大径の開孔部5を有する鉄筋コンクリート製の梁1(基準試験体#1)に、当該開孔部5に隣接させて円形の小開孔部12を形成した鉄筋コンクリート製の梁1(供試試験体#2)が示されている。
小開孔部12は、開孔部5を補強する補強鉄筋ユニット6の配筋領域の外側に位置させて、梁幅方向に貫通形成される。供試試験体#2である図示例では、小開孔部12は、補強鉄筋ユニット6を挟む配置で2つ形成されている。
これら小開孔部12は、その周囲が小開孔際あばら筋15の配筋に加えて、従来周知のダイヤレン(登録商標)やZ-Mダイヤレン13、コ型補強筋16が施工されることで補強される。ウェブレン(登録商標)であってもよい。図示例では、Z-Mダイヤレン13が採用されている。開孔部5と小開孔部12の直径比は1:3である。
なお、上記のように既製品(ダイヤレン、Z-Mダイヤレン、ウェブレン等)を使用する場合は、小開孔際あばら筋15やコ型補強筋16の必要配筋量は、メーカーの指定する方法で求める。
上述した基準試験体#1に対する供試試験体#2に関し、下記に説明する実験と解析を行った結果、図8に示すように、孔径Hが梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)である開孔部5が梁1の幅方向に貫通形成され、柱2間に架設される鉄筋コンクリート製梁構造である場合に、当該開孔部5に隣接して梁1の幅方向に貫通形成可能な小開孔部12の基準が、次のように得られた。
すなわち、当該小開孔部12は、孔径hが梁せいDの1/6以下(h≦D/6)であり、開孔部5と小開孔部12の中心間距離Lhが、これら開孔部5及び小開孔部12の孔径H,hの相加平均値の3倍から(3倍+100mm)である(3×(H+h)/2≦Lh≦3×(H+h)/2+100)ことを満たし、柱2の面2aから小開孔部12の中心までの距離が、梁せいDの1/2以上、かつ、小開孔部12が梁1の上面1a及び下面1bそれぞれから梁せいDの1/4以上離れた範囲Z内に納まるように形成される。
この範囲Zの基準が満たされることで、隣接する小開孔部12を形成しても、上記梁構造の安全性を確保することができる。この基準は、臨界的な意義を示すものではなく、許容範囲としての意義を有するものである。
また、小開孔部12には、小開孔部12周りに沿って小開孔部補強筋(例えば、Z-Mダイヤレン13や小開孔際あばら筋15、コ型補強筋16)が配筋される一方、梁1のあばら筋4は、小開孔部12の上下には配筋されなくてもよい。
孔径h1が梁せいDの1/3以下(h1≦D/3)の追加の開孔部14が、梁1の上面1a及び下面1bそれぞれから梁せいDの1/4以上離れた範囲内に形成されてもよい。
《実験及び解析の概要》
小開孔部12の孔径hがD/6であって、開孔部5と小開孔部12の中心間距離Lhが、これら開孔部5及び小開孔部12の孔径H,hの相加平均値の3倍である場合に、この小開孔部12が開孔部5に及ぼす影響について、下記実験及び有限要素解析により、検討を行った。
A.実験概要
試験体は、単一の開孔部5を有する基準試験体#1(図1~図3参照)と、基準試験体#1に対し小開孔部12(孔径h=100mm)を加えた供試試験体#2(図5~図7参照)であって、ともに1/2縮小試験体を用いた。
小開孔部12は、L/D(1,800mm/600mm)=3であるため、小開孔部12の中心が柱面2aからD/2(=300mm)の距離を隔てた位置に形成している。小開孔部12の補強は、既往のZ-Mダイヤレン工法によった。
これら試験体#1,#2のパラメータは、コンクリート強度、開孔補強筋量、開孔数、開孔径比(H/D=300mm/600mm=1/2)とした。試験体断面は、梁幅B=350mm、梁せいD=600mm、開孔直径H=300mm、梁の内法スパンは、1800mmである。コンクリートの設計基準強度Fcは、30N/mm2である。
試験体#1,#2は、開孔周囲のせん断破壊先行となるように設計した。曲げ降伏が先行することを防止するため、梁主筋には一般的な基礎梁で想定されるよりも高強度のSD490(D22)を使用した。
平行四辺形斜め補強筋比Pwd=0.34%、開孔際あばら筋比Pws=0.44%、開孔部あばら筋比Pwc=0.91%である。詳細は、図9に示されている。
・ひび割れ状況の比較
図10の表に、開孔部5周囲のせん断ひび割れ発生荷重及び短期許容せん断力時のひび割れ幅(mm)と残留ひび割れ幅(mm)が示され、図11の表に、せん断終局強度(実験値)時のひび割れ幅(mm)が示されている。
せん断ひび割れ発生荷重は、1985年10月の日本建築学会大会学術講演梗概集における津村らの発表による”孔部せん断ひび割れ強度の推定”から求める。短期許容せん断力は、日本建築学会発行の「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説」による”孔周囲の損傷制御を目的とする短期許容せん断力”の算定式を基にして、孔周囲の鉄筋として、開孔際あばら筋と平行四辺形斜め補強筋の2種類があることから、開孔際あばら筋の鉄筋強度を基準として、平行四辺形斜め補強筋の断面積を、鉄筋強度の比で補正して求める。
供試試験体#2のひび割れ発生荷重及び短期許容せん断力時のひび割れ幅は、基準試験体#1と大差はなく、せん断終局強度時についてはひび割れ幅が大きいことが分かる。また、最大耐力時においては、開孔部5と小開孔部12を結ぶひび割れは見られなかったが、開孔部5周囲に生じるひび割れは、供試試験体#2で多い傾向が見られた。
・鉄筋ひずみ等の比較
図12には、短期許容せん断力時と最大耐力時における一般部あばら筋及び開孔際あばら筋のひずみ(εsi)分布について、基準試験体#1と供試試験体#2の比較が示されている。
短期許容せん断力時では、開孔部5周りの応力状態に差は見られないが、最大耐力時では、降伏ひずみ以下の値ではあるが、基準試験体#1よりも供試試験体#2の方が、開孔際あばら筋及び一般部あばら筋のひずみεsiが大きくなっている。
図13には、正加力時の平行四辺形斜め補強筋のひずみ(εHi)の推移が示されている。基準試験体#1及び供試試験体#2両者ともに、短期許容せん断力時には降伏相当のひずみεHiが生じており、明確な差は見られない。
図14には、正加力時のせん断変形角(γio)の分布が示されている。短期許容せん断力時までは両者に差は見られないが、短期許容せん断力時以降は、供試試験体#2の方が基準試験体#1よりも開孔部5近傍のせん断変形角γioが大きいが、小開孔部近傍の領域でのせん断変形は小さい。
これは、コ型補強筋により、小開孔部12周りの変形が拘束され、開孔部5近傍に変形が集中したと考えられる。
図15には、基準試験体#1及び供試試験体#2について、Qg―R関係における正側加力時の包絡線の比較が示されている。供試試験体#2の最大荷重が基準試験体#1に比べ、低くなっている。
これは、小開孔部12を複数とした影響と考えられる。しかし、小開孔部12が複数であっても、開孔周囲のせん断終局強度で評価すれば、実験値に対する余裕度を1.2確保できることを確認している。
開孔周囲のせん断終局強度は、日本建築学会発行の「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説」による”孔周囲の大地震に対する安全性の確保を目的とした検討”の算定式を基にして、開孔補強筋比は0.004を上限とすると共に、孔径が梁せいの1/2.4より大きく、コンクリート強度が30N/mm2未満の場合に、コンクリート強度に応じて強度を低減して求める。
開孔部5と小開孔部12の中心間距離Lhを、開孔部5及び小開孔部12の孔径H,hの相加平均値の3倍確保した位置に、小開孔部12を設けた上記実験結果から、
(1)短期許容せん断力時までは、小開孔部12の有無による影響は小さい、
(2)短期許容せん断力時以降は、小開孔部12があることにより、開孔部5周りのひび割れ幅が大きくなることや開孔部5近傍のせん断変形が大きくなる、
ことが分かった。
B.有限要素法(FEM)による解析的検討
a.実験のシミュレーション解析
供試試験体#2の実験結果と、供試試験体#2を模擬した解析用の模擬モデルに対する解析結果とを比較し、解析の妥当性を検証した。まず、供試試験体#2の実験結果を模擬できるか確認するため、基準試験体#1に対しても、同様に解析を行った。
図16には、基準試験体#1及び供試試験体#2の模擬モデル#1S,#2Sの表及び供試試験体の模擬モデル((1)コンクリート、(2)鉄筋)#2Sが示されている。試験体と模擬モデルとで、配筋及び断面寸法は同一である。小開孔部12周りの補強筋であるスーパーダイヤレン及びコ型補強筋、開孔際補強筋についても、モデル化を行った。材料強度は、実強度とした。
図17には、解析結果の荷重変形関係が示されている。図18には、解析の最大せん断耐力Qmax及び実験における最大耐力Qmax、実強度によるせん断終局強度の計算値Qsuoが示されている。
実験結果では供試試験体#2の最大耐力は基準試験体#1に対し10%程度小さくなったが、解析では、2%程度しか小さくなっておらず、実験結果に対し解析は過大評価となった。
これは、載荷方法の違いが原因と考えられる。すなわち、実験は正負繰り返し載荷であるのに対し、解析は一方向の単調載荷であるため、解析では、実験で観察された短期せん断耐力時以降の剛性低下(開孔部5周りのひび割れ幅の増大、せん断変形の増大)に伴う最大耐力の低下を再現できていない。
実験で生じた短期せん断耐力時以降の剛性低下を解析で再現するため、コンクリートのせん断剛性を調整した。
基準試験体#1を模擬した模擬モデル#1Sでは、コンクリートのせん断剛性について、ひび割れ発生後の割線剛性を模擬するために、せん断弾性定数(せん断剛性)に低減率β(0.1)を乗じた値で評価しているが、供試試験体#2を模擬した模擬モデル#2Sについては、この低減率βをさらに0.75倍(低減率β=0.075)として評価し、修正模擬モデル#2SXとした。
図19には、修正模擬モデル#2SXの解析結果として、荷重変形関係及び最大せん断耐力が、基準試験体#1及びその模擬モデル#1Sと比較して示されている。
修正模擬モデル#2SXの最大耐力は、修正前の模擬モデル#2Sよりも低下し、基準試験体#1の模擬モデル#1Sに対して、8%程度の耐力低下となった。また、修正模擬モデル#2SXによる解析の場合と供試試験体#2の実験の場合とで、最大耐力の比は1.07となり、解析は実験をおおむね再現できた。図20には、最大耐力時の変形が示されている。
b.小開孔部12の各種補強筋及び小開孔部12の鉛直方向偏心(梁せい方向への位置ずれ)が最大耐力に与える影響
小開孔部12周りの各種補強筋及び小開孔部12の鉛直方向への偏心が最大耐力に与える影響を解析により確認するため、図21に示したような模擬モデルを設定した。
模擬モデル#4Sは、小開孔部12の開孔補強筋を高強度鉄筋(ダイヤレンNS/2組―S6KSS785)とし、コ型補強筋を除いたものである。
模擬モデル#4S,#5Sは、小開孔部12のへりあきをD/4に設定して偏心したもので、加力方向による影響について確認するため、正・負加力2つのモデルを設定した。
すべての模擬モデルについて、供試試験体#2の実験結果のシミュレーション結果を反映して、せん断剛性の低減(低減率β1=0.075)を考慮した。
図22には、解析結果の荷重変形関係が、図23には、解析の最大せん断耐力Qmax及びせん断終局強度計算値Qsuoが示されている。
小開孔部12の開孔補強筋に高強度のものを用い、かつコ型補強筋を配置していない模擬モデル#3Sでは、耐力低下は1%未満であるが、剛性低下が見られた。これは、コ型補強筋を除いた影響と考えられる。模擬モデル#4S,#5Sでは、最大耐力の低下は見られなかった。
模擬モデル#4Sの剛性が高い原因は、解析上鉄筋は埋め込みモデル(完全付着)としており、偏心で小開孔部12の補強筋であるダイヤレンの鉄筋がコンクリートの曲げ引張部に位置することで、コンクリートの曲げひび割れに伴う剛性低下が抑制されたためと考えられる。
また、小開孔部12周りのひずみについては、各模擬モデル相互で若干差が見られるものの、開孔部5周りについては同様のひずみ分布となっていることが見受けられた。
c.小開孔部12が梁端部に位置しない場合の解析
梁端部(柱面2aから1D(=600mm)の範囲)を避けた位置に小開孔部12が位置する場合を想定し、L/D(=3,600mm/600mm)=6とした。
図24には、模擬モデルの一覧が示されている。小開孔部12の直径hは、D/6(=100mm)とし、小開孔部12と開孔部5の孔の中心間距離は、これら開孔部5、12の直径H,hの相加平均値の3倍としている。
模擬モデル#4Sは、基準試験体#1をベースとして、上記条件で小開孔部12が無いもの、模擬モデル#5Sは、模擬モデル#4Sに対し、小開孔部12を普通鉄筋で補強したもの、模擬モデル#6Sは、模擬モデル#4Sに対し、小開孔部12を高強度鉄筋で補強したもの、模擬モデル#7Sは、模擬モデル#4Sに対し、小開孔部12を高強度鉄筋で補強し、小開孔部12を偏心させ、正加力したもの、模擬モデル#8Sは、模擬モデル#4Sに対し、小開孔部12を高強度鉄筋で補強し、小開孔部12を偏心させ、負加力したものである。
模擬モデル#6~8Sでは、小開孔部12の開孔補強は、供試試験体#2よりも、ひび割れに対して不利な条件となるように、既往の高強度鉄筋を用いた開孔補強の既製品(ダイヤレンNS:2組-S6KSS785)とし、小開孔部12の補強設計は、採用した製品の設計指針に基づき小開孔部12のせん断終局強度が一般部のせん断強度を上回るように設定した。
小開孔部12の周辺にコ型補強筋は配置していない。小開孔部12を梁せい方向に偏心させた模擬モデル#7S,#8Sについては、小開孔部12のへりあきを125mm(=D/4.8)とし、さらに不利な条件となるように設定した。
模擬モデルの配筋及び断面寸法は、基準試験体#1と同一であるが、せん断破壊先行型の破壊モードとなるように、主筋径をD29に変更した。小開孔部12を設けた模擬モデルについては、実験結果のシミュレーション解析を反映して、せん断剛性の低減を考慮した。
図25には、解析結果の荷重変形関係が示され、図26には、各模擬モデルの最大せん断耐力Qmax及び規格強度によるせん断終局強度計算値Qsuoが示されている。
小開孔部12の有無及び小開孔部12の鉛直移動による耐力低下は、最大でも5%程度であり、また計算値に対する余裕度も十分確保できている。小開孔部12が梁端部に位置する場合は8%程度の耐力低下となっているが、小開孔部12が梁端部に位置しない場合には、耐力低下が小さくなることが確認できた。
小開孔部12の開孔補強筋に高強度鉄筋を使用した場合や、小開孔部12が梁せい方向に偏心した場合でも、最大耐力に与える影響は見られない。
模擬モデル#6S~#8Sでは、小開孔部12の開孔補強筋に高強度鉄筋を用いているが、開孔部5周りの応力分布に明確な差は見られなかった。小開孔部12と開孔部5をつなぐようなひずみが集中する傾向は見られなかった。
以上のことから、
(1)小開孔部12が梁端部に位置しない場合には、耐力低下は、小開孔部12の鉛直方向への偏心を考慮しても、5%程度で、小開孔部12が梁端部に位置する場合に比べ、耐力低下が小さく、計算値に対する余裕度も、十分確保できる、
(2)小開孔部12の開孔補強筋を高強度鉄筋としたことや、小開孔部12が梁せい方向に偏心したことによっても、最大耐力の低下は見られず、開孔部5周りの応力分布にも明確な差は見られない、
ことが分かった。
《まとめ》
孔径Hが梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)である開孔部が梁の幅方向に貫通形成され、柱間に架設される鉄筋コンクリート製梁構造であって、開孔部に隣接して梁の幅方向に貫通形成される小開孔部は、孔径hが梁せいDの1/6以下(h≦D/6)であり、開孔部と当該小開孔部の中心間距離Lhが、これら開孔部及び小開孔部の孔径H,hの相加平均値の3倍であることを確保し、柱の面から小開孔部の中心までの距離が、梁せいDの1/2以上、かつ、小開孔部が梁の上面及び下面それぞれから梁せいDの1/4以上離れた範囲内に納まるように形成した供試試験体に対する実験結果及び有限要素解析結果から、以下の結論が得られた。
・短期許容せん断時までは、小開孔部12の有無による影響は小さい。
・短期許容せん断時以降は、小開孔部12が剛性・耐力に影響を与えることが確認された。ただし、せん断終局強度の計算値に対する、実験値の余裕度は1.2を確保できている。
・小開孔部12の開孔補強に高強度鉄筋を用いても、最大耐力に与える影響は小さい。
・小開孔部12が梁せい方向に偏心していても、最大耐力に与える影響は小さい。
・小開孔部12が梁端部(1D)に位置しない場合は、梁端部に位置する場合に比べ、小開孔部12が最大耐力に与える影響が小さくなる。
小開孔部12が梁端部(1D)に位置する場合には、実験で確認した配筋と同じ仕様とするため、開孔補強筋として使用する鉄筋は普通鉄筋とし、梁主筋の座屈防止のためのコ型補強筋を設けると共に、小開孔部12の梁せい方向の位置は、上下にへりあきをD/4以上確保した位置にする。
小開孔部12が梁端部(1D)に位置しない場合には、実験では小開孔部12の開孔補強筋に高強度補強筋を用いておらず、解析では実際のひび割れ性状を完全には再現できていないと考えられるため、開孔補強筋として使用する鉄筋は普通鉄筋とし、梁主筋の座屈防止のためのコ型補強筋は設けないと共に、小開孔部12の梁せい方向の位置は、上下にへりあきをD/4以上確保した位置にする。
以上の検討から、鉄筋コンクリート製梁構造として、小開孔部12には、小開孔部12周りに沿って小開孔部補強筋が配筋される一方、梁のあばら筋4は、小開孔部12の上下に配筋されない構造が採用できる。
また、鉄筋コンクリート製梁構造として、孔径h1が梁せいDの1/3以下(h1≦D/3)の追加の開孔部14を、梁1の上面1a及び下面1bそれぞれから梁せいDの1/4以上離れた範囲内に形成するようにしてもよい。
1 梁
1a 梁の上面
1b 梁の下面
2 柱
2a 柱の面
4 梁のあばら筋
5 開孔部
12 小開孔部
14 追加の開孔部
Z 範囲

Claims (2)

  1. 孔径Hが梁せいDの1/3よりも大きく1/2以下(D/3<H≦D/2)である開孔部が梁の幅方向に貫通形成され、柱間に架設される鉄筋コンクリート製梁構造であって、
    上記梁内部には、全長にわたって梁上端主筋及び梁下端主筋と、これら梁上端主筋及び梁下端主筋に掛け回されて、該梁の長さ方向に所定のピッチで、環状のあばら筋とが配筋されると共に、該梁の長さ方向へ、該梁の上面に沿う上辺、該梁の下面に沿う下辺、並びにこれら上辺及び下辺を連結する一対の斜辺から、上記開孔部を包囲する閉鎖型に形成された2つの同一寸法の平行四辺形斜め補強筋を、該開孔部の直上及び直下で該上辺同士及び該下辺同士が所定寸法で重なり合うように、かつ該斜辺同士がそれらの中央付近で互いに交差するように、重ね合わせて構成した複数の補強鉄筋ユニットが梁幅方向に配列して配筋され、
    上記梁の上記開孔部周辺には、上記補強鉄筋ユニットが、上記梁上端主筋と上記梁下端主筋との間に配筋され、該補強鉄筋ユニットの上記上辺及び上記下辺それぞれの近隣にこれらに沿わせて、該開孔部の両側へ達する直線状の上軸方向補強筋及び下軸方向補強筋が配筋され、該開孔部の上方で、該補強鉄筋ユニットの該上辺を包囲するように該上軸方向補強筋と該梁上端主筋とに掛け回されて、該開孔部の下方で、該補強鉄筋ユニットの該下辺を包囲するように該下軸方向補強筋と該梁下端主筋とに掛け回されて、該梁の長さ方向に上記あばら筋よりも狭いピッチで環状の開孔部あばら筋が配筋され、該開孔部の中心を通過する上記斜辺と平行な直線が、該梁上端主筋に交わる位置と該梁下端主筋に交わる位置との間の範囲で、該開孔部の両側に、該補強鉄筋ユニット及び該上・下軸方向補強筋を包囲するように該梁上端主筋と該梁下端主筋とに掛け回されて、該梁の長さ方向に該あばら筋よりも狭いピッチで環状の開孔際あばら筋が配筋され、
    上記上・下軸方向補強筋の長さ方向両端は、上記開孔部両側の上記開孔際あばら筋の配筋範囲から突出され、
    上記開孔部に隣接して上記梁の幅方向に貫通形成される小開孔部は、孔径hが上記梁せいDの1/6以下(h≦D/6)であり、該開孔部と当該小開孔部の中心間距離Lhが、これら開孔部及び小開孔部の孔径H,hの相加平均値の3倍から(3倍+100mm)である(3×(H+h)/2≦Lh≦3×(H+h)/2+100)ことを満たし、上記柱の面から該小開孔部の中心までの距離が、該梁せいDの1/2以上、かつ、該小開孔部が該梁の上面及び下面それぞれから該梁せいDの1/4以上離れた範囲内に納まるように形成されることを特徴とする鉄筋コンクリート製梁構造。
  2. 前記小開孔部には、該小開孔部周りに沿って小開孔部補強筋が配筋される一方、前記梁のあばら筋は、該小開孔部の上下に配筋されないことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート製梁構造。
JP2019059885A 2019-03-27 2019-03-27 鉄筋コンクリート製梁構造 Active JP7210354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019059885A JP7210354B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 鉄筋コンクリート製梁構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019059885A JP7210354B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 鉄筋コンクリート製梁構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020159068A JP2020159068A (ja) 2020-10-01
JP7210354B2 true JP7210354B2 (ja) 2023-01-23

Family

ID=72642236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019059885A Active JP7210354B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 鉄筋コンクリート製梁構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7210354B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002266470A (ja) 2001-03-07 2002-09-18 Zenitaka Corp 開口部を有する鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート造梁、その開口部の補強方法および補強筋
JP2015172299A (ja) 2014-03-12 2015-10-01 大和ハウス工業株式会社 Rc造梁における開口部補強構造
JP2015200102A (ja) 2014-04-08 2015-11-12 戸田建設株式会社 梁の連続開孔間の補強構造とそのコンクリート構造物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01207551A (ja) * 1988-02-12 1989-08-21 T M Giken Kk 鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002266470A (ja) 2001-03-07 2002-09-18 Zenitaka Corp 開口部を有する鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリート造梁、その開口部の補強方法および補強筋
JP2015172299A (ja) 2014-03-12 2015-10-01 大和ハウス工業株式会社 Rc造梁における開口部補強構造
JP2015200102A (ja) 2014-04-08 2015-11-12 戸田建設株式会社 梁の連続開孔間の補強構造とそのコンクリート構造物

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「エコ基礎梁工法」の適用範囲を拡大-基礎梁のせいを開孔直径の2.5倍から2.0倍に低減-,2018年12月06日,https://www.ad-hzm.co.jp/info/2018/20181206.php
鈴木紀雄ほか,部材端開口を有する鉄筋コンクリート梁の補強法,コンクリート工学年次論文集,Vol.27,No.2,日本,2005年,p.355-360,https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10639561_po_ART0010181272.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020159068A (ja) 2020-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5071916B2 (ja) 鋳造構造接続具
JP2020200759A (ja) 床スラブ付鉄骨梁
JP7210354B2 (ja) 鉄筋コンクリート製梁構造
JP2018145790A (ja) 杭頭接合部の設計方法及び許容曲げモーメント算出方法
JP4851853B2 (ja) 鉄筋コンクリート体
JP6204027B2 (ja) 補強構造
JP7432479B2 (ja) 鉄筋コンクリート壁構造
JP7157401B2 (ja) 柱中柱組付型拘束の接合構造
JP6996544B2 (ja) 既存構造物の耐震改修方法
JP7048273B2 (ja) 杭頭接合部の設計方法、製造方法、及び、杭頭用定着筋の取付位置確認用装置
JP5178885B2 (ja) 鉄筋コンクリート体
JP6513754B2 (ja) 鉄筋コンクリート壁柱の補強構造
JP5939707B2 (ja) 柱梁接合部の補強構造
Builes-Mejia et al. Improving the stability of bridge column rebar cages during construction
Sabouri-Ghomi et al. Numerical modeling of links behavior in eccentric bracings with dual vertical links
JPH08246547A (ja) 柱梁接合構造
JP7351271B2 (ja) 鉄骨梁、柱梁接合構造およびこれを有する構造物
JP7314030B2 (ja) 開口を有する床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
Bozkurt Developing replaceable members for steel lateral load resisting systems
Ebrahimian et al. Guidelines for Circular Rebar Cage Assembly with U-bolt Connectors
JP6677510B2 (ja) 建築方法
Shen Seismic performance of steel moment-resisting frames with nonlinear replaceable links
JP7044343B2 (ja) 仕口部構造
JP6816512B2 (ja) 両側柱付き壁の設計方法及び両側柱付き壁
KR102088917B1 (ko) 보강 부재가 내부에 구비된 조립형 강관 및 이를 이용한 콘크리트 충전형 구조물의 시공 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7210354

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150