JP5862761B2 - 縦結合共振子型弾性表面波フィルタ - Google Patents

縦結合共振子型弾性表面波フィルタ Download PDF

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Description

本発明は、縦結合共振子型弾性表面波フィルタに関し、特に、非平衡信号と平衡信号とを相互に変換する縦結合共振子型弾性表面波フィルタに関する。
近年、携帯電話を始めとする移動体通信機器の技術進歩に伴い、データ通信量の増加が著しい。このため、移動体通信機器に優先的に周波数帯域が割当てられている。また、データ通信速度の高速化のために、複数の周波数帯域に対応するマルチバンド化が進んでいる。
移動体通信機器に用いられる周波数フィルタは、上記の様々な周波数帯域に対応するため、その使用数が増加している。そのため、小型の周波数フィルタの需要が高まっており、小型であることを特徴の一つとする弾性表面波フィルタが広く利用されている。弾性表面波フィルタには、さらなる小型化とともに、減衰特性の向上が求められている。
特表2006―527516号公報 WO2005/031971号公報 WO2006/009021号公報
減衰特性を向上するためには、特表2006―527516号公報(特許文献1)に開示されているように、縦結合共振子型弾性表面波フィルタを用いることが一般的である。縦結合共振子型弾性表面波フィルタでは、弾性表面波の伝搬方向と直交する方向に2つの弾性表面波フィルタが縦続接続(カスケード接続)される。
図4は、平衡―平衡フィルタである従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を模式的に示す回路図である。
図4に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4は、平衡信号を伝える平衡―平衡フィルタである。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4は、1対の平衡端子20および1対の平衡端子21を備える。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4は、圧電基板(図示しない)の主面上に形成される。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4は、縦続接続の1段目である第1弾性表面波フィルタ部41と、2段目である第2弾性表面波フィルタ部42とをさらに備える。第1弾性表面波フィルタ部41と第2弾性表面波フィルタ部42とが縦続接続されることで、通過帯域外の減衰量を大きくすることができる。
第1弾性表面波フィルタ部41は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向と直交する中心軸x上に配置された第1中央IDT(Inter Digital Transducer)411と、第1中央IDT411の左右両側に配置された1対の第1両側IDT412と、第1両側IDT412を挟込むように配置された第1反射器413とを含む。
第1中央IDT411は、1対の平衡端子21と接続されるために、平衡端子21に近い側の櫛歯形電極が中心軸xに沿って分割された、1対の第1中央分割櫛歯形電極411aを有する。また、第1中央IDT411は、平衡端子21から遠い側には、第1中央浮き櫛歯形電極411bを有する。
同様に、第2弾性表面波フィルタ部42は、圧電基板上に第1中央IDT411と互いに対面するように中心軸x上に配置された第2中央IDT421と、第2中央IDT421の左右両側に配置した1対の第2両側IDT422と、第2両側IDT422を挟込むように配置した第2反射器423とを含む。
第2中央IDT421も、1対の平衡端子20と接続されるために、平衡端子20に近い側の櫛歯形電極が中心軸xに沿って分割された、1対の第2中央分割櫛歯形電極421aを有する。また、第2中央IDT421は、平衡端子20から遠い側には、第2中央浮き櫛歯形電極421bを有する。
第1両側IDT412および第2両側IDT422は、中心軸xに沿って互いに対面する側の櫛歯形電極を、左右それぞれ接続されている。
平衡―平衡フィルタでは、互いに逆位相である平衡信号(差動信号)が1対の平衡端子に伝えられる。そのため、平衡端子21と接続する第1中央IDT411、および平衡端子20と接続する第2中央IDT421の各々は、平衡端子から遠い側の櫛歯形電極で基準電位に接続されている必要がない。したがって、第1中央浮き櫛歯形電極411bおよび第2中央浮き櫛歯形電極421bは、基準電位となる接地電位(GND)に接続されるための接地配線を省略できる。よって、平衡―平衡フィルタである縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4は、配線面積を低減して小型化するのに適している。
しかしながら、移動体通信機器に用いられる周波数フィルタの需要としては、平衡―平衡フィルタよりも非平衡―平衡フィルタの方が高い。非平衡―平衡フィルタは、端子の一方を非平衡端子とし、端子の他方を平衡端子とする。非平衡―平衡フィルタとは、非平衡信号と平衡信号とを相互に変換する周波数フィルタである。WO2005/031971号公報(特許文献2)に、非平衡―平衡フィルタである従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタが開示されている。
図5は、非平衡―平衡フィルタである従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を模式的に示す回路図である。
図5に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ5は、1対の平衡端子21の代わりに1つの非平衡端子10を備える点が、図4に示した縦結合共振子型弾性表面波フィルタ4と異なる。
第1弾性表面波フィルタ部51は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向と直交する中心軸x上に配置された第1中央IDT511と、第1中央IDT511の左右両側に配置された1対の第1両側IDT512と、第1両側IDT512を挟込むように配置された第1反射器513とを含む。
第1中央IDT511の櫛歯形電極は、図4で示した第1中央IDT411と異なり分割されていない。
同様に、第2弾性表面波フィルタ部52は、圧電基板上に第1中央IDT511と互いに対面するように中心軸x上に配置された第2中央IDT521と、第2中央IDT521の左右両側に配置された1対の第2両側IDT522と、第2両側IDT522を挟込むように配置された第2反射器523とを含む。
第2中央IDT521は、平衡端子20に近い側の櫛歯形電極が中心軸xに沿って分割された、1対の第2中央分割櫛歯形電極521aを有する。また、平衡端子20から遠い側の第2中央浮き櫛歯形電極521bは接地電位に接続されておらず、浮き電位である。
第1両側IDT512および第2両側IDT522では、中心軸xに沿って互いに対面する側の櫛歯形電極が、左右それぞれ接続されている。
非平衡端子には非平衡信号が伝えられる。このため、非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極は、基準電位に接続されていなければならない。したがって、非平衡端子10と接続される第1中央511では、非平衡端子10から遠い側の櫛歯形電極が接地電位に接続されている。
このとき、第1弾性表面波フィルタ部51と第2弾性表面波フィルタ部52とを左右それぞれ接続する1対の段間配線の内側に接地配線が形成される。このため、段間配線と接地配線とが交差してしまう。このような場合、WO2006/009021号公報(特許文献3)に開示されているように、段間配線と接地配線とを立体的に交差させる。
図6は、図5に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ5において、圧電基板500の主面上に形成したIDTおよび配線のレイアウトを示す平面図である。図6では、端子の電極パッドおよび配線が形成される配線層を模式的に表す。IDTの位置が破線で示され、図5と対応する符号が付されている。
第1弾性表面波フィルタ部51(図示しない)では、中心軸x上に第1中央IDT511が配置されている。その左右両側に1対の第1両側IDT512が配置されている。
第2弾性表面波フィルタ部52(図示しない)では、中心軸xに沿って分割した第2中央IDT521が配置されている。その左右両側に1対の第2両側IDT522が配置されている。また、浮き電極パッド50eが、第2中央IDT521の平衡端子電極パッド20eから遠い側に形成されている。浮き電極パッド50eは、接地電位に接続されておらず、浮き電位である。第2中央浮き櫛歯形電極521bは、浮き電極パッド50eと接続されている。
非平衡信号配線10fは、1つの非平衡端子電極パッド10eと、非平衡端子電極パッド10eに近い側の第1中央IDT511とを接続するように形成されている。
平衡信号配線20fは、1対の平衡端子電極パッド20eと、平衡端子電極パッド20eに近い側の第2中央IDT521とを左右それぞれ接続するように形成されている。
段間配線30fは、互いに対面する側の第1両側IDT512および第2両側IDT522を左右それぞれ接続するように形成されている。
接地配線40fは、IDTの外側の領域において、接地端子電極パッド40eと、非平衡端子電極パッド10eに近い側の第1両側IDT512および平衡端子電極パッド20eに近い側の第2両側IDT522とを左右それぞれ接続するように形成されている。
また、第1弾性表面波フィルタ部51と第2弾性表面波フィルタ部52との段間の領域において、接地配線41fが、接地端子電極パッド40eと、非平衡端子電極パッド10eから遠い側の第1中央IDT511とを左右それぞれ接続するように形成されている。
縦結合共振子型弾性表面波フィルタ5では、段間配線30fと接地配線41fとが交差してしまう。そのため、段間配線30fと接地配線41fとを立体交差させる立体交差部60が設けられている。立体交差部60では、上層の段間配線30fと下層の接地配線41fとが電気的に短絡しないように、上層と下層との間に絶縁層(図示しない)が形成されている。
絶縁層は、段間配線30fと接地配線41fとが交差する領域よりも十分広く形成されていなければならない。このため、立体交差部60では配線を高密度にレイアウトして配線面積を低減することができない。したがって、立体交差部60を設けることは、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ5の小型化の妨げになってしまう。
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、配線面積を低減した小型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタは、非平衡信号を伝える1つの非平衡端子と、平衡信号を伝える1対の平衡端子と、圧電基板と、第1弾性表面波フィルタ部と、第2弾性表面波フィルタ部と、非平衡信号配線と、1対の平衡信号配線と、1対の段間配線と、接地配線とを備える。第1弾性表面波フィルタ部は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向と直交する中心軸上に配置された第1IDTと、第1IDTの伝搬方向の両側に配置された第2IDTおよび第3IDTと、第2IDTおよび第3IDTを第1IDTの弾性表面波の伝搬方向で挟込むように配置された第1反射器および第2反射器とを含む。第2弾性表面波フィルタ部は、第2弾性表面波フィルタ部と、圧電基板上に第1IDTと中心軸が伸びる方向で所定の距離を離して配置された第4IDTと、第4IDTの弾性表面波の伝搬方向の両側に配置された第5IDTおよび第6IDTと、第5IDTおよび第6IDTを第4IDTの弾性表面波の伝搬方向で挟込むように配置された第3反射器および第4反射器とを含む。非平衡信号配線は、非平衡端子から分岐して、第2IDTおよび第3IDTの非平衡端子に近い側の櫛歯形電極にそれぞれ接続される。1対の平衡信号配線は、平衡端子と第2弾性表面波フィルタ部とを接続する。1対の段間配線は、第1弾性表面波フィルタ部と第2弾性表面波フィルタ部とを接続する。接地配線は、第1弾性表面波フィルタ部および第2弾性表面波フィルタ部の接地電位にそれぞれ接続する。第1IDTは、非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極が中心軸に沿って分割された1対の第1分割櫛歯形電極を有する。1対の第1分割櫛歯形電極は、第2弾性表面波フィルタ部に段間配線でそれぞれ接続される。第2IDTおよび第3IDTの非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極は、中心軸を起点に段間配線の外側に配線された接地配線にそれぞれ接続される。
好ましくは、第4IDTは、平衡端子に近い側の櫛歯形電極が中心軸に沿って分割された1対の第2分割櫛歯形電極を有する。1対の第2分割櫛歯形電極は、平衡端子にそれぞれ接続される。1対の第1分割櫛歯形電極は、第5IDTおよび第6IDTの平衡端子から遠い側の櫛歯形電極に、段間配線でそれぞれ接続される。接地配線は、第5IDTおよび第6IDTの平衡端子に近い側の櫛歯形電極に接続される。
好ましくは、第4IDTは、平衡端子から遠い側の櫛歯形電極が中心軸に沿って分割された1対の第2分割櫛歯形電極を有する。1対の第2分割櫛歯形電極は、1対の第1分割櫛歯形電極に、段間配線でそれぞれ接続される。第5IDTおよび第6IDTの平衡端子に近い側の櫛歯形電極は、平衡端子にそれぞれ接続される。接地配線は、第5IDTおよび第6IDTの平衡端子から遠い側の櫛歯形電極に接続される。
好ましくは、1対の第1分割櫛歯形電極は、互いの信号が逆位相になるように分割されている。
好ましくは、1対の第2分割櫛歯形電極は、互いの信号が逆位相になるように分割されている。
好ましくは、1対の第1分割櫛歯形電極の各々は、電極指を有する。電極指の本数は、1対の第1分割櫛歯形電極の間で互いに等しい。
好ましくは、1対の第2分割櫛歯形電極の各々は、電極指を有する。電極指の本数は、1対の第2分割櫛歯形電極の間で互いに等しい。
好ましくは、非平衡信号配線に挟まれた1対の第1の分割櫛歯形電極は、非平衡信号配線と、段間配線と、接地配線とのいずれにも接続されていない。
好ましくは、段間配線に挟まれた1対の第2分割櫛歯形電極は、非平衡信号配線と、段間配線と、接地配線とのいずれにも接続されていない。
本発明に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタによれば、1つの非平衡端子からの非平衡信号配線を分岐して第2IDTおよび第3IDTの非平衡端子に近い側の櫛歯形電極にそれぞれ接続するため、接地配線が第2IDTおよび第3IDTの非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極からそれぞれ形成される。それに伴い、第1弾性表面波フィルタ部と第2弾性表面波フィルタ部とをそれぞれ接続する1対の段間配線は、第1IDTの櫛歯形電極から形成されることになる。したがって、第1弾性表面波フィルタ部の接地配線を、上記1対の段間配線の外側に設けることができる。よって、段間配線と接地配線とが交差せず、立体交差部を設けなくてよくなるため、配線面積を低減した小型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタを実現できる。
本発明の実施の形態1に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を模式的に示す回路図である。 図1に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタにおいて、圧電基板の主面上に形成されたIDTおよび配線のレイアウトを示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を模式的に示す回路図である。 平衡―平衡フィルタである縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を模式的に示す回路図である。 非平衡―平衡フィルタである従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を示す回路図である。 図5に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタにおいて、圧電基板の主面上に形成したIDTおよび配線のレイアウトを示す平面図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1および図2を参照しながら説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明を繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態1に係る弾性表面波フィルタの電極構成と接続とを模式的に示す回路図である。
図1に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1は、1つの非平衡端子10および1対の平衡端子20を備える非平衡―平衡フィルタである。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1は、圧電基板(図示しない)の主面上に形成されている。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1は、第1弾性表面波フィルタ部11および第2弾性表面波フィルタ部12をさらに備える。第1弾性表面波フィルタ部11と第2弾性表面波フィルタ部12とを縦続接続することで、通過帯域外の減衰量を大きくしている。
第1弾性表面波フィルタ部11は、第1中央IDT(第1IDT)111と、1対の第1両側IDT(第2IDTおよび第3IDT)112と、第1反射器(第1反射器および第2反射器)113とを含む。第1中央IDT111は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向と直交する中心軸x上に配置される。1対の第1両側IDT112は、第1中央IDT111の左右(弾性表面波の伝搬方向)両側に配置される。第1反射器113は、第1両側IDT112を挟込むように配置される。
IDTは、互いに噛合うように配置されている櫛歯形電極を有する。櫛歯形電極は、帯状のバスバー、および電極指を有する。電極指は、バスバーの一方から直交する方向に延び、互いに平行である。
第1中央IDT111は、非平衡端子10から遠い側の櫛歯形電極が中心軸xに沿って分割された、1対の第1中央分割櫛歯形電極(第1分割櫛歯形電極)111aを有する。また、第1中央IDT111は、非平衡端子10に近い側には、第1中央浮き櫛歯形電極111bを有する。
第1両側IDTは、左右を比べると、弾性表面波の伝搬方向と直交する方向に沿った上下方向で逆向きに櫛歯形電極が配置されている。すなわち、左で非平衡端子10に近い側の櫛歯形電極が、右では非平衡端子10から遠い側に配置されている。左で非平衡端子10から遠い側の櫛歯形電極が、右では非平衡端子10に近い側に配置されている。これは、第1弾性表面波フィルタ部11と第2弾性表面波フィルタ部12とを左右それぞれ接続する段間配線において、伝送される信号を互いに逆位相にするためである。
第2弾性表面波フィルタ部12も、圧電基板上に第1中央IDT111と互いに対面するように中心軸x上に配置された第2中央IDT(第4IDT)121と、第2中央IDT121の左右両側に配置された1対の第2両側(第5IDTおよび第6IDT)IDT122と、第2両側IDT122を挟込むように配置された第2反射器(第3反射器および第4反射器)123とを含む。
第2中央IDT121は、平衡端子20に近い側の櫛歯形電極を、中心軸xに沿って分割する。この平衡端子20に近い側で分割された1対の第2中央分割櫛歯形電極(第2分割櫛歯形電極)121aは、互いに逆位相で同等の強度を持つ信号を有する。このとき、第2中央分割櫛歯形電極121aの1対の分割櫛歯形電極の電極指の本数は、互いに等しいことが好ましい。また、第2中央IDT121は、平衡端子20から遠い側には、第2中央IDT121の第2中央浮き櫛歯形電極121bを有する。第2中央分割櫛歯形電極の1対の電極の信号が互いに逆位相で同等の強度の信号を有する。このため、第2中央IDT121を形成する第2中央分割櫛歯形電極と対向する第2中央浮き櫛歯形電極121bでは、1対の第2中央分割櫛歯形電極の信号が互いに相殺され、接地電位に接続された状態と同等となる。
以上のように構成された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1の接続の仕方について、以下、説明する。
第1弾性表面波フィルタ部11では、1つの非平衡端子10からの非平衡信号配線が左右に分岐して、第1両側IDT112の非平衡端子10に近い側の櫛歯形電極に左右それぞれ接続される。非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極は、基準電位に接続されていなければならない。このため、第1両側IDT112の非平衡端子10から遠い側の櫛歯形電極は、基準電位となる接地電位(GND)に左右それぞれ接続される。
第1中央分割櫛歯形電極111aと、第2両側IDT122の平衡端子20から遠い側の櫛歯形電極とは、左右それぞれ接続される。第1中央浮き櫛歯形電極111bは、接地電位に接続されておらず、浮き電位である。第2両側IDT122では、平衡端子20に近い側の櫛歯形電極が接地電位に左右それぞれ接続される。
第2弾性表面波フィルタ部12では、1対の平衡端子20からの平衡信号配線が、第2中央分割櫛歯形電極121aに左右それぞれ接続される。平衡端子から遠い側の櫛歯形電極は、基準電位に接続されている必要がない。このため、第2中央浮き櫛歯形電極121bは、平衡信号配線と後述の段間配線と接地配線のいずれにも接続されておらず、浮き電位である。
以上のように接続された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1のIDTおよび配線のレイアウトについて、以下、図2を参照しながら説明する。
図2は、図1に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1において、圧電基板100の主面上に形成されたIDTおよび配線のレイアウトを示す平面図である。図2では、端子の電極パッドおよび配線が形成される配線層を模式的に表す。IDTの位置が破線で示され、図1と対応する符号が付されている。
端子の電極パッドおよびIDTは、圧電基板100の主面上を弾性表面波が伝搬する方向に直交する中心軸xについて、軸対称に配置される。また、配線も、等長配線になるように、中心軸xについて軸対称に形成される。
第1弾性表面波フィルタ部11(図示しない)では、中心軸xに沿って分割した第1中央IDT111が配置される。その左右両側に1対の第1両側IDT112が配置される。また、浮き電極パッド51cは、第1中央IDT111の非平衡端子電極パッド10cに近い側に形成される。浮き電極パッド51cは接地電位に接続しておらず、浮き電位である。第1中央浮き櫛歯形電極111bは、浮き電極パッド51cと接続される。
第2弾性表面波フィルタ部12(図示しない)でも、中心軸xに沿って分割した第2中央IDT121が配置される。その左右両側に1対の第2両側IDT122が配置される。また、浮き電極パッド50cが、平衡端子電極パッド20cから遠い側に形成される。浮き電極パッド50cも接地電位に接続されておらず、浮き電位である。第2中央浮き櫛歯形電極121bは、浮き電極パッド50cと接続される。
非平衡信号配線10dは、1つの非平衡端子電極パッド10cと、第1両側IDT112の非平衡端子電極パッド10cに近い側とが接続されるように左右に分岐して形成される。
平衡信号配線20dは、1対の平衡端子電極パッド20cと、分割した第2中央IDT121の平衡端子電極パッド20cに近い側とが左右それぞれ接続されるように形成される。
段間配線30は、第1中央IDT111の非平衡端子電極パッド10cから遠い側と、第2両側IDT122の平衡端子電極パッド20cから遠い側とが左右それぞれ接続されるように形成される。
接地配線40dは、IDTの外側の領域において、接地端子電極パッド40cと、第2両側IDT122の平衡端子電極パッド20cに近い側とが左右それぞれ接続されるように形成される。
また、第1弾性表面波フィルタ部11と第2弾性表面波フィルタ部12との段間の領域において、接地配線41dが、接地端子電極パッド40cと、第1両側IDT112の非平衡端子電極パッド10cから遠い側とが左右それぞれ接続されるように形成される。
以上のように、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1では、非平衡信号配線10dが左右に分岐して第1両側IDT112の非平衡端子電極パッド10cに近い側の櫛歯形電極に接続される。これにより、接地配線40dが、第1両側IDT112の非平衡端子電極パッド10cから遠い側の櫛歯形電極から左右それぞれに形成される。それに伴い、段間配線30dは、第1中央IDT111の櫛歯形電極から形成されることになる。したがって、段間の領域において、1対の段間配線30dの外側に接地配線41dを設けることができる。よって、段間配線30dと接地配線41dとが交差せず、立体交差部を設けなくてよい。このため、配線面積を低減した小型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタを実現できる。
なお、非平衡信号配線10dは、非平衡端子電極パッド10cから分岐して、第2IDTおよび第3IDT(第1両側IDT)112の非平衡端子電極パッド10cに近い側の櫛歯形電極にそれぞれ接続される。非平衡信号配線10dに囲まれた第1IDT(第1中央IDT)111の浮き電極パッド51cは、接地電位に接続されることなく仮想的に接地電位の働きを得られる。そのため、浮き電極パッド51cと接地電位とを配線で接続する必要がない。したがって、浮き電極パッド51cに接続される配線と、分岐された非平衡信号配線10dとを交差させる必要がない。このため、非平衡信号と平衡信号とを相互に変換できる小型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタが提供できる。
実際に、ダイサイズ600×800umの圧電基板を用いた場合、本発明の実施の形態1に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1は、従来と比べて、圧電基板の主面の面積を約10%低減することができた。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1以外にも、段間配線と接地配線との立体交差部を設けなくてよいようにIDTを構成し、配線をレイアウトすることができる。以下、本発明の実施の形態2について、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の実施の形態2に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタの電極構成および接続を示す回路図である。
図3に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ3は、図1に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1と第1弾性表面波フィルタ部11は等しく、第2弾性表面波フィルタ部が異なる。なお、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ1と同等の構成要素については、同一の符号を付してその説明を繰返さない。
第2弾性表面波フィルタ部32は、第2中央IDT(第4IDT)321と、1対の第2両側IDT(第5IDTおよび第6IDT)322と、第2反射器(第3反射器および第4反射器)323とを含む。第2中央IDT321は、圧電基板上に第1中央IDT111と互いに対面するように中心軸x上に配置される。1対の第2両側IDT322は、第2中央IDT321の左右両側に配置される。第2反射器323は、第2両側IDT322を挟込むように配置される。
第2中央IDT321は、平衡端子20から遠い側の櫛歯形電極が中心軸xに沿って分割された1対の第2中央分割櫛歯形電極(第2分割櫛歯形電極)321aを有する。また、第2中央IDT321は、平衡端子20に近い側に、第2中央浮き櫛歯形電極321bを有する。第2中央浮き櫛歯形電極321bは、接地電位に接続されておらず、浮き電位である。
第1中央分割櫛歯形電極111aおよび第2中央分割櫛歯形電極321aは、左右それぞれ接続される。
第1両側IDT112および第2両側IDT322は、中心軸xに沿って互いに対面する側の櫛歯形電極が、左右それぞれ接地電位に接続される。
以上のように、実施の形態2でも、第1弾性表面波フィルタ部11の接地配線を、1対の段間配線の外側に設けることができる。このため、段間配線と接地配線とが交差せず、立体交差部を設けなくてよい。したがって、配線面積を低減した小型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタを実現できる。
なお、本発明の実施の形態1および実施の形態2では、両側IDTを1対だけ配置する場合について説明したが、これに限定されるものではない。2対以上の両側IDTを配置する場合でも、非平衡端子10から非平衡信号配線が左右に分岐して等長配線で形成されることで、本発明を適用できる。
また、図1および図3において、第1両側IDT111は左右で上下逆向きに配置されるとともに、第2両側IDT122および第2両側IDT322は左右で上下同じ向き配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。図2において、同位相の信号が左右に分岐した非平衡信号配線10dを流れ、互いに逆位相の信号が1対の平衡信号配線20dを流れるように、両側IDTの向きを適宜決定すればよい。たとえば、第1両側IDTは左右で上下同じ向きに配置され、左右の第2両側IDTは左右で上下逆向きに配置されてもよい。
さらに、信号配線に接続されない、端子から遠い側の櫛歯形電極について、すべて接地電位に接続した。しかし、その代わりに、第1弾性表面波フィルタ部および第2弾性表面波フィルタ部の櫛歯形電極を、左右それぞれ互いに接続するだけでも動作上の問題はない。
本発明の実施の形態1および実施の形態2として図示した櫛歯形電極の構成は、あくまで例示である。櫛歯形電極間の間隔、櫛歯形電極を構成する電極指の本数、間隔、交差幅などは、適宜調整することができる。また、第1反射器および第2反射器は、段間配線よび接地配線の形成の仕方に直接影響するものでないため、反射器の形状も適宜調整することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,3,4,5 縦結合共振子型弾性表面波フィルタ、11,41,51 第1弾性表面波フィルタ部、111,411,511 第1中央IDT、111a 第1中央分割櫛歯形電極、111b,311b,411b,511b 第1中央浮き櫛歯形電極、112,412,512 第1両側IDT、113,413,513 第1反射器、12,32,42,52 第2弾性表面波フィルタ部、121,321,421,521 第2中央IDT、121a,321a 第2中央分割櫛歯形電極、121b,321b,421b,521b 第2中央浮き櫛歯形電極、122,322,422,522 第2両側IDT、123,323,423,523 第2反射器、10 非平衡端子、10c,10e 非平衡端子電極パッド、10d,10f 非平衡信号配線、20,21 平衡端子、20c,20e 平衡端子電極パッド、20d,20f 平衡信号配線、30d,30f 段間配線、40c,40e 接地端子電極パッド、40d,40f,41d,41f 接地配線、50c,51c,50e 浮き電極パッド、60 立体交差部、100,500 圧電基板、x 中心軸。

Claims (3)

  1. 非平衡信号と平衡信号とを相互に変換する縦結合共振子型弾性表面波フィルタであって、
    前記非平衡信号を伝える1つの非平衡端子と、
    前記平衡信号を伝える1対の平衡端子と、
    圧電基板と、
    前記圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向と直交する中心軸上に配置された第1IDTと、前記第1IDTの前記伝搬方向の両側に配置された第2IDTおよび第3IDTと、前記第2IDTおよび第3IDTを前記第1IDTの前記伝搬方向で挟込むように配置された第1反射器および第2反射器とを含む第1弾性表面波フィルタ部と、
    前記圧電基板上に前記第1IDTと前記中心軸が伸びる方向で所定の距離を離して配置された第4IDTと、前記第4IDTの弾性表面波の伝搬方向の両側に配置された第5IDTおよび第6IDTと、前記第5IDTおよび第6IDTを前記第4IDTの弾性表面波の伝搬方向で挟込むように配置された第3反射器および第4反射器とを含む第2弾性表面波フィルタ部と、
    前記非平衡端子から分岐して、前記第2IDTおよび前記第3IDTの前記非平衡端子に近い側の櫛歯形電極にそれぞれ接続する非平衡信号配線と、
    前記平衡端子と前記第2弾性表面波フィルタ部とを接続する1対の平衡信号配線と、
    前記第1弾性表面波フィルタ部と前記第2弾性表面波フィルタ部とを接続する1対の段間配線と、
    前記第1弾性表面波フィルタ部および前記第2弾性表面波フィルタ部の各々を接地電位に接続する接地配線とを備え、
    前記第1IDTは、
    前記非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極が前記中心軸に沿って分割され、互いの信号が逆位相になるように配置された1対の第1分割櫛歯形電極と、
    前記非平衡端子に近い側に配置され、かつ前記非平衡信号配線、前記1対の段間配線、および前記接地配線のいずれにも接続されていない第1中央浮き櫛歯形電極とを有し、
    前記1対の第1分割櫛歯形電極は、前記第2弾性表面波フィルタ部に前記1対の段間配線でそれぞれ接続されており、
    前記第2IDTおよび前記第3IDTの前記非平衡端子から遠い側の櫛歯形電極は、前記中心軸を起点に前記1対の段間配線の外側に配線されている前記接地配線にそれぞれ接続されており、
    前記第4IDTは、
    前記平衡端子に近い側の櫛歯形電極が前記中心軸に沿って分割され、互いの信号が逆位相になるように配置された1対の第2分割櫛歯形電極と、
    前記1対の第2分割櫛歯形電極と対向するように配置され、かつ前記非平衡信号配線、前記1対の段間配線、および前記接地配線のいずれにも接続されていない第2中央浮き櫛歯形電極とを有し、
    前記1対の第2分割櫛歯形電極は、前記平衡端子にそれぞれ接続され、
    前記1対の第1分割櫛歯形電極は、前記第5IDTおよび前記第6IDTの前記平衡端子から遠い側の櫛歯形電極に、前記1対の段間配線でそれぞれ接続されており、
    前記接地配線は、前記第5IDTおよび前記第6IDTの前記平衡端子に近い側の櫛歯形電極に接続される、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ。
  2. 前記1対の第1分割櫛歯形電極の各々は、電極指を有し、
    前記電極指の本数は、前記1対の第1分割櫛歯形電極の間で互いに等しい、請求項1に記載の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ。
  3. 前記1対の第2分割櫛歯形電極の各々は、電極指を有し、
    前記電極指の本数は、前記1対の第2分割櫛歯形電極の間で互いに等しい、請求項に記載の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ。
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