以下において、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態に共通する車両構成]
図1は、本実施の形態の車両の駆動制御装置を備える車両の構成を示す図である。
図1を参照して、車両100は、バッテリB1と、接続部40と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン4と、動力分配機構3と、車輪2と、制御装置30と、漏電検出器42とを含む。
動力分配機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分配機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。たとえば、モータジェネレータMG1の回転シャフトを中空にし、その中をエンジン4の動力シャフトを貫通させることでモータジェネレータMG2、動力分配機構3、モータジェネレータMG1、エンジン4を直線上に配置することができる。
なおモータジェネレータMG2の回転軸は図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分配機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。
モータジェネレータMG1は、エンジン4により駆動される発電機として用いられるとともに、エンジン4を始動することが可能な電動機としても用いられる。モータジェネレータMG1が発電することにより得られる電力は、たとえばモータジェネレータMG2の駆動に用いられる。モータジェネレータMG2は、主として車両100の駆動輪(車輪2)を駆動する電動機として用いられる。
接続部40は、バッテリB1の負極に接続されるシステムメインリレーSMRGと、バッテリB1の負極と接地ラインSLとの間に電気的に接続される抵抗R1と、バッテリB1の負極と接地ラインSLとの間に抵抗R1と直列に接続されるシステムメインリレーSMRPと、バッテリB1の正極に接続されるシステムメインリレーSMRBとを含む。システムメインリレーSMRG,SMRP,SMRBは、制御装置30から与えられる信号SEG,SEP,SEBにそれぞれ応じてオン/オフ状態が制御される。具体的にはシステムメインリレーSMRG,SMRP,SMRBは、それぞれ、H(論理ハイ)の信号SEG,SEP,SEBによってオン状態に設定され、L(論理ロー)の信号SEG,SEP,SEBによってオフ状態に設定される。
車両100は、さらに、サービスプラグSPと、フューズFと、電圧センサ10と、電流センサ11とを含む。
サービスプラグSPとフューズFとは、バッテリB1に直列に接続される。サービスカバー(図示せず)が開いた状態ではサービスプラグSPにより高電圧が遮断される。電圧センサ10は、バッテリB1の端子間の電圧VBを測定する。電流センサ11は、バッテリB1に流れる電流IBを検知する。
なおバッテリB1としてはたとえばニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池、あるいは燃料電池などを用いることができる。
漏電検出器42は、システムメインリレーSMRGよりもバッテリB1側において接地ラインSLに接続される。後に図3、図6で説明するように、漏電検出器42は漏電の有無を示す波高値Vkを制御装置30に対して出力する。
車両100は、さらに、電源ラインPL1と接地ラインSL間に接続される平滑コンデンサC1と、平滑コンデンサC1の両端間の電圧VLを検知して制御装置30に対して出力する電圧センサ21と、PCU(パワーコントロールユニット)5とを含む。
PCU5は、平滑コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する昇圧コンバータ12と、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する平滑コンデンサC2と、平滑コンデンサC2の端子間電圧(電圧VH)を検知して制御装置30に出力する電圧センサ13と、インバータ14,22とを含む。
昇圧コンバータ12は、一方端が電源ラインPL1に接続されるリアクトルL1と、電源ラインPL2と接地ラインSL間に直列に接続されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
インバータ14は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジン4を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン4から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。
U相アーム15は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
インバータ22は車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
車両100は、さらに、インバータ26と、車輪27と、モータジェネレータMGRと、電流センサ28とを含む。
モータジェネレータMGRは車輪27を駆動する。なおモータジェネレータMGRの回転軸は図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪27に結合されている。インバータ26はモータジェネレータMGRに対してバッテリB1の直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ26は、回生制動に伴い、モータジェネレータMGRにおいて発電された電力をバッテリB1に戻す。インバータ26は、車輪2を駆動するためのインバータ14,22とは異なり、PCUとは離隔したPCUの外部に設けられている。
インバータ26の構成はインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。電流センサ28は、モータジェネレータMGRに流れる電流をモータ電流値MCRT3として検出し、モータ電流値MCRT3を制御装置30へ出力する。
ここで車輪2,27は、典型的には、それぞれ車両100の前輪および後輪である。ただし車輪2,27はそれぞれ車両100の後輪および前輪であってもよい。なお、煩雑化するのを防ぐため、図1では2つの前輪を簡略化して1つの車輪(車輪2,27の一方)で示すとともに、2つの後輪を簡略化して1つの車輪(車輪2,27の他方)で示す。
車両100は、さらに、モータMAを有するエアコン52と、モータMAを駆動するためのインバータ50とを含む。具体的にはモータMAはコンプレッサ用モータである。インバータ50は電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の直流電圧を三相交流に変換して出力する。なお、モータMAの出力は、モータジェネレータMG1,MR2,MGRのいずれに対しても小さい。このためモータMAに入力される電流の許容量は、モータジェネレータMG1,MR2,MGRのいずれに入力される電流の許容量よりも小さい。
制御装置30は、トルク指令値TR1〜TR3と、モータ回転数MRN1〜MRN3と、電圧VB,VL,VHの各値と、電流IBの値と、モータ電流値MCRT1〜MCRT3と、起動指示IGとを受ける。たとえば車両100の起動時に運転者がイグニッションスイッチをオンすることにより起動指示IGがオフ状態からオン状態に切換わり、車両100の動作停止時に運転者がイグニッションスイッチをオフすることにより起動指示IGがオン状態からオフ状態に切換わる。
制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU1,降圧指示を行なう制御信号PWD1および動作禁止を指示する信号CSDNを出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して、昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ26に対して直流電圧をモータジェネレータMGRを駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI3と、モータジェネレータMGRで発電された交流電圧を直流電圧に変換してバッテリB1側に戻す回生指示PWMC3とを出力する。
制御装置30は、インバータ50に対して直流電圧をモータMAを駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWAを出力する。また、制御装置30は、インバータ50に対して動作禁止を指示する信号STPを出力する。
制御装置30は、起動指示IGがオン状態からオフ状態に切換ると、漏電検出器42から受ける波高値Vkに基づいて、漏電の有無を検知する。さらに制御装置30は、システムメインリレーSMRB,SMRG、昇圧コンバータ12、インバータ14,22,26,50等を制御することにより漏電部位、すなわち絶縁抵抗の低下が生じている部位を特定する。
制御装置30は、絶縁抵抗の低下が生じている部位が存在する場合には、その部位に応じた車両100の動作モードを決定する。起動指示IGがオフ状態からオン状態に切換ると、制御装置30は、決定した動作モードで車両100を動作させる。
インバータ14,22,26はパワー素子を含む。パワー素子は、電力用半導体素子とも呼ばれ、整流ダイオード、パワートランジスタ(パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアックなどである。
たとえば、ダイオードの場合、素子の温度が所定値よりも高いと、逆バイアス電圧印加時のリーク電流が増大するので、インピーダンスが低下していると判定されてしまう。このためインバータ14,22,26にはそれぞれ温度センサ37,38,39が別々に設けられ、温度T1,T2,T3が検出されている。
車両100は、さらに、警告ランプ60を含む。制御装置30は、後述する複数の検査エリアの少なくとも1つにおいて絶縁抵抗の低下が生じていると判定した場合には、信号EMGを生成して警告ランプ60へ出力する。警告ランプ60は信号EMGに応じて点灯する。これにより、運転者は車両100を起動させたときに車両100の走行モードが退避走行モードに設定されていることが分かる。
これにより、たとえば車両100の修理を早期に行なうよう運転者に促すことが可能になるので、より大きな異常が生じる前に車両100を修理することが可能になる。また、車両100の退避走行時には、運転者がアクセルペダルを操作しても車両100の応答性が通常より悪くなることが起こり得る。しかしながら警告ランプ60を点灯させることで車両100が退避走行を行なっていることを運転者に知らせることができるので、運転者の違和感を生じにくくすることができる。
図2は、図1に示す制御装置30の機能ブロック図である。なお、この制御装置30は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
図1および図2を参照して、制御装置30は、昇圧コンバータ12を制御する昇圧コンバータ制御部31と、モータジェネレータMG1,MG2,MGRを制御するMG用インバータ制御部32と、接続部40を制御するリレー制御部33と、車両100の次回起動時における車両100の動作モードを設定する動作モード設定部34と、モータMAの動作を制御するためのエアコン制御部35とを含む。
昇圧コンバータ制御部31は、昇圧指示PWU、降圧指示PWDを図1の昇圧コンバータ12に出力する。また、MG用インバータ制御部32は、トルク指令値TR1とモータ回転数MRN1とに基づいて、インバータ14に対して駆動指示PWMI1、回生指示PWMC1を出力する。同様に、MG用インバータ制御部32は、トルク指令値TR2とモータ回転数MRN2とに基づいて、インバータ22に対して駆動指示PWMI2、回生指示PWMC2を出力し、トルク指令値TR3とモータ回転数MRN3とに基づいて、インバータ22に対して駆動指示PWMI3、回生指示PWMC3を出力する。
リレー制御部33は、システムメインリレーSMRB,SMRP,SMRGに信号SEB,SEP,SEGをそれぞれ出力する。なお車両100の起動時には、リレー制御部33はシステムメインリレーSMRB,SMRPを導通させて平滑コンデンサC1,C2のプリチャージを行ない、プリチャージが完了するとシステムメインリレーSMRGを導通させてからシステムメインリレーSMRPを開く。このとき、接続部40は、モータジェネレータMG1,MR2,MGRにバッテリB1からの電流を供給可能な状態となる。
エアコン制御部35は、駆動指示PWAを出力したり、信号STPを出力したりする。
動作モード設定部34は、起動指示IGがオン状態からオフ状態に変化すると、昇圧コンバータ制御部31と、MG用インバータ制御部32と、リレー制御部33と、エアコン制御部35との各々を動作させたり停止させたりしながら、そのときの波高値Vkに基づいて車両100(図1)において絶縁抵抗の低下が生じている部位を特定する。次に、動作モード設定部34は、絶縁抵抗の低下が生じている部位に応じた動作モードを決定する。ここまでの処理が車両100の動作停止時における処理である。
たとえば、インバータ26に絶縁抵抗の低下が発生していることが特定されたら、モータジェネレータMGRを使用しないような動作モードが選択される。また、インバータ50に絶縁抵抗の低下が発生していることが特定されたら、エアコン52を使用しないような動作モードが選択される。
続いて、起動指示IGがオフ状態からオン状態に変化すると、動作モード設定部34は、決定した動作モードに応じて昇圧コンバータ制御部31と、MG用インバータ制御部32と、リレー制御部33と、エアコン制御部35とに対して、制御動作を行なうよう指示したり、制御動作を禁止したりする。これにより車両100の次回起動時には、決定した動作モードに従って車両100が動作する。
図3は、図1に示す漏電検出器42の構成図である。
図3を参照して、漏電検出器42は、交流電源61と、抵抗62と、コンデンサ63と、バンドパスフィルタ64と、ピークホールド回路65とを含む。なお、説明の便宜上、図1に示すサービスプラグSPおよびフューズFは図3に示していない。
交流電源61および抵抗62は、ノードN1と接地ノードGND(車両のシャーシ)との間に直列に接続される。コンデンサ63は、ノードN1とバッテリB1の負極との間に接続される。なお、図1においてバッテリB1に接続される回路の全体を図7では回路系70として示す。
漏電検出器42において、交流電源61は、低周波数の交流信号、たとえば、2.5Hzの交流信号を出力する。そして、バンドパスフィルタ64は、ノードN1上の交流信号を受け、その受けた交流信号から所定周波数(たとえば2.5Hz)の成分だけを抽出してピークホールド回路65へ出力する。ピークホールド回路65は、バンドパスフィルタ64から受けた2.5Hzの交流信号のピークをホールドし、そのホールドした波高値Vkを制御装置30へ出力する。後述するように、波高値Vkは漏電の有無(たとえばバッテリB1の負極が接地ノードと短絡したか否か等)に応じて変化する。
図1に示す車両100の駆動装置の漏電を検出する際には、駆動装置は複数の領域に分割され、各領域について絶縁抵抗の低下が生じていないかどうか(漏電していないかどうか)が判定される。このように駆動装置を複数の領域に分割して絶縁抵抗の低下を検査することで、ある領域において絶縁抵抗の低下が生じていても、次回起動時にはその領域に含まれる回路を動作させないように車両100の動作を制御することが可能になる。よって、次回起動時に車両100を退避走行させることが可能になる。
図4は、図1の車両100における駆動装置を説明するための模式図である。
図4および図1を参照して、車両の駆動装置DRVは領域AR1〜AR7に分割される。このうち領域AR1,AR5,AR7を含む部分が駆動部DR1に含まれる。なお図4において斜線にて示す範囲は高電圧回路を含む範囲である。
領域AR1は、バッテリB1および漏電検出器42を含む領域である。領域AR2,AR3,AR4は、それぞれモータジェネレータMG1,MG2,MGRを含む領域である。
領域AR5は、昇圧コンバータ12と、インバータ(図中「INV」と示す)14,22,50とを含む領域である。領域AR5は、さらに、バッテリB1の直流電圧(たとえばDC200V)を補機で使用する所定の大きさの直流電圧(たとえばDC12V)に変換するためのDC/DCコンバータ54と、バッテリB1の直流電圧をAC100Vに変換するためのインバータ56とを含む。領域AR5は本発明における「電力変換部」に対応する部分である。
領域AR7は、インバータ14,22とは離隔してPCU外部に設けられたインバータ26を含む領域である。
なお図4において接続部40は領域AR1と領域AR5との境界上に位置する。領域AR6は、モータMAを含む。
[実施の形態1]
図5は、図1に示す制御装置30で実行される絶縁抵抗異常部位の特定に関する処理を説明するフローチャートである。
図1および図5を参照して、まず制御装置30は、漏電検出器42の出力に基づいて、絶縁抵抗低下の異常の有無を検出する(ステップS1)。ここで、漏電検出器42における漏電の検出方法について、波形等を用いて説明する。
図6は、漏電検出器42による漏電の検出方法を説明するための図である。
図3、図6を参照して、交流信号VN1は、バンドパスフィルタ64が出力する交流信号である。交流信号VN1は、回路系70あるいはバッテリB1において漏電が発生していないとき波形WV3となる。
一方、交流信号VN1は、回路系70およびバッテリB1のいずれかにおいて漏電が発生しているときには波形WV1となる。
ピークホールド回路65は、波形WV1に基づいて波高値Vk1を出力し、波形WV3に基づいて波高値Vk3を出力する。
図7は、絶縁抵抗値と波高値の関係を示した図である。図7を参照して、絶縁抵抗値が正常時(抵抗値=R3)である場合には、波高値Vk=Vk3である。
絶縁抵抗値が異常時(抵抗値=R1)である場合には、波高値Vk=Vk1である。
このような波形の波高値を観測することによって、電気系統に漏電が発生していることが検出できる。
図5のステップS1においては、ピークホールド回路65で得られた波高値Vkと所定のしきい値とを比較し、正常であれば波形WV3のような振幅(波高値Vk3)を有する波形が、波形WV1のように振幅が小さくなっていないか判断される。この際に波高値Vkの判定に用いられるしきい値は、システム全体として絶縁抵抗値が正常であることを保証する値に設定されている。システム全体とは、図4の斜線のハッチングで示した部分すべて(領域AR1〜AR7)を含む。このしきい値は、たとえば、図7の縦軸上に示したしきい値Vkthのように、厳しめの値に設定されている。
ステップS1において、絶縁低下異常が検出されなければ、ステップS10に処理が進み、絶縁抵抗異常部位の特定に関する処理は終了となる。絶縁抵抗の低下がシステム全体において発生していないので部位の特定を行なう必要がないからである。
一方、ステップS1において、絶縁低下異常が検出された場合には、ステップS2に処理が進む。ステップS2では、絶縁抵抗異常部位の特定処理が実行可能か否かが判断される。ここで、絶縁抵抗異常部位の特定処理は、複数種類あることを説明する。
再び図4を参照して、システム全体(領域AR1〜AR7)のいずれかの部分に絶縁低下異常が検出された場合に、以下の複数の特定処理を行なうことによって異常部位が特定できる。
第1の特定処理は、領域AR6が異常部位か否かを特定する処理である。第1の特定処理では、インバータ50のパワー素子(IGBT素子など)のゲートを遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、領域AR6が絶縁抵抗異常部位であると特定される。この特定処理については、接続部40が導通状態であることが実行可能条件となる。以下、インバータのパワー素子のゲートを遮断することをインバータを遮断するとも呼ぶ。
第2の特定処理は、領域AR2が異常部位か否かを特定する処理である。第2の特定処理では、インバータ14を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、領域AR2が絶縁抵抗異常部位であると特定される。インバータ14が駆動するモータジェネレータMG1は車両の前輪駆動系に接続されているので、この特定処理については、接続部40が導通状態であることに加えて、車両が動かない状態となっていることが実行可能条件となる。たとえば、車両がパーキングレンジに設定されており、イグニッションキーがオフ状態に設定された場合、接続部40を遮断するまでの間が第2の特定処理が可能であると判断される。
第3の特定処理は、領域AR3が異常部位か否かを特定する処理である。第3の特定処理では、インバータ22を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、領域AR3が絶縁抵抗異常部位であると特定される。インバータ22が駆動するモータジェネレータMG2は車両の前輪駆動系に接続されているので、この特定処理については、接続部40が導通状態であることに加えて、車両が動かない状態となっていることが実行可能条件となる。たとえば、車両がパーキングレンジに設定されており、イグニッションキーがオフ状態に設定された場合、接続部40を遮断するまでの間が第3の特定処理が可能であると判断される。
第4の特定処理は、領域AR4が異常部位か否かを特定する処理である。第4の特定処理では、インバータ26を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、領域AR4が絶縁抵抗異常部位であると特定される。インバータ26が駆動するモータジェネレータMGRは車両の後輪駆動系に接続されているので、この特定処理については、接続部40が導通状態であることに加えて、車両が動かない状態となっていることが実行可能条件となる。たとえば、車両がパーキングレンジに設定されており、イグニッションキーがオフ状態に設定された場合、接続部40を遮断するまでの間が第4の特定処理が可能であると判断される。
第5の特定処理は、領域AR5が異常部位か否かを特定する処理である。第5の特定処理では、接続部40を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、領域AR5が絶縁抵抗異常部位であると特定される。接続部40を遮断すると車両システムが停止してしまうので、この特定処理については、接続部40が導通状態であることに加えて、接続部40を遮断する指令がユーザから与えられたこと実行可能条件となる。たとえば、車両がパーキングレンジに設定されており、イグニッションキーがオフ状態に設定された場合、第5の特定処理が可能であると判断される。
第1〜第5の特定処理の基本的な考え方は上記の通りであるが、インバータ14,22,26,50に用いられているパワー素子は、高温になるとIGBT素子などの遮断時のリーク電流またはダイオードの逆バイアス印加時のリーク電流が増大する。
したがって、インバータを遮断しても、パワー素子のリーク電流によって、漏電検出器42で検出する波高値が完全に元通りにならない場合もある。たとえば、絶縁抵抗低下を示す図6の波形WV1が漏電検出器42に検出されていた場合において絶縁異常発生領域が領域AR2だったとする。
このとき、インバータ14のパワー素子のリーク電流が小さければインバータ14を遮断すれば漏電検出器42で観測される波形は正常時の波形WV3と同じになる。しかし、インバータ14のパワー素子のリーク電流が大きければインバータ14を遮断すれば漏電検出器42で観測される波形は波形WV2となる。波高値Vk2は、波高値Vk1よりも大きいが、波高値Vk3よりも小さくなる。
すなわちパワー素子のリーク電流が大きい時には、図7の縦軸に示したような厳しめのしきい値Vkthを設定していると、異常箇所の特定処理ができなくなってしまう。したがって、従来は、高温時などは異常箇所の特定処理を中止する場合があった。
本実施の形態では、図5のステップS3以降において、上記に説明した第1〜第5の特定処理において、「インバータ(またはリレー)を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗低下が検出されなくなれば、」という部分を「インバータ(またはリレー)を遮断して漏電検出器42において絶縁抵抗が増加する方向に変化すれば、」というように変更して適用する。
具体的には、ステップS2において、絶縁低下異常部位特定処理が可能であると判断された場合には、ステップS3においてパラメータα、βの算出が行なわれる。
ここで、パラメータαは、第1〜第5の特定処理に対応するインバータまたはシステムメインリレーを電力非遮断状態(導通状態または動作許可状態)から電力遮断状態に遷移させた場合の、状態遷移前後の絶縁パラメータの差分の絶対値(大きさ)である。この絶縁パラメータは、具体的には漏電検出器42で検出された波高値である。図6の波形WV1から波形WV2に波形が変化した場合には、パラメータαは、α=|Vk1−Vk2|である。
また、パラメータβは、第1〜第5の特定処理に対応するインバータまたはシステムメインリレーを電力遮断状態から電力非遮断状態(導通状態または動作許可状態)に遷移させた場合の、状態遷移前後の絶縁パラメータの差分の絶対値(大きさ)である。この絶縁パラメータは、具体的には漏電検出器42で検出された波高値である。図6の波形WV2から波形WV1に波形が変化した場合には、パラメータβは、β=|Vk2−Vk1|である。
すなわち、ステップS3において、図1の制御装置30は、インバータ14,22,26,50および接続部40のうちの異常特定対象箇所に対応する装置を電力遮断状態と電力非遮断状態との間で遷移させ、漏電検出器42で検出される波高値を取得し、波高値の差分を計算することによって、パラメータα,βを算出する。
続いて、ステップS4において、パラメータαがしきい値DV1以上であるか否かが判断される。ステップS4において、αがDV1以上であった場合には、ステップS5に処理が進み、αがDV1以上ではなかった場合には、ステップS9に処理が進む。
ステップS5では、パラメータβがしきい値DV2以上であるか否かが判断される。ステップS5において、βがDV2以上であった場合には、ステップS6に処理が進み、βがDV2以上ではなかった場合には、ステップS9に処理が進む。
なお、ステップS4およびステップS5で使用されるしきい値DV1,DV2は、切り分けの対象部位ごとに設定される。
ただし、しきい値DV1,DV2は対象部位ごとに別々な値に適合させることが好ましいが、DV1とDV2を同じ値にしたり、複数の対象部位に共通する値を設定したりしても良い。
また、ステップS4でパラメータαについて判定し、ステップS5でパラメータβについてさらに判定しているのは、誤検出を防止するためである。絶縁異常箇所の検出は、高いインピーダンスを判定するものであるのでノイズの影響を受けやすい。また絶縁不良の故障は不安定な故障であり、時間がたつと絶縁不良が検出されなくなるようなことも多い。したがって、二度の判定により誤検出を防止している。
ステップS6では、ステップS2〜S5で絶縁異常発生箇所であるか否かの切り分けの対象となった部位が異常であるとの判定が確定される。
ステップS6で判定が確定された後に、ステップS7に処理が進み、絶縁抵抗低下箇所の特定と記憶が実行される。
そしてステップS8において、次回車両起動時の動作モードが設定される。図2の動作モード設定部34は、絶縁抵抗の低下が生じている部位に応じた動作モードを決定する。
次回起動時に、起動指示IGがオフ状態からオン状態に変化すると、動作モード設定部34は、決定した動作モードに応じて昇圧コンバータ制御部31と、MG用インバータ制御部32と、リレー制御部33と、エアコン制御部35とに対して、制御動作を行なうよう指示したり、制御動作を禁止したりする。これにより車両100の次回起動時には、決定した動作モードに従って車両100が動作する。ステップS8の次にはステップS10において絶縁異常箇所の特定処理は終了となる。
一方、ステップS4またはステップS5からステップS9に処理が進んだ場合には、ステップS2〜ステップS5で絶縁異常発生箇所であるか否かの切り分けの対象となった部位が正常であるとの判定が確定される。この場合にはステップS7、S8の処理は実行されないで、ステップS10において絶縁異常箇所の特定処理は終了となる。
[しきい値DVの変形例]
図5のステップS4,S5で使用するしきい値DV1,DV2は、切り分けの対象部位ごとに設定されることが好ましいことは説明した。しかし、発生する絶縁低下不良の内容や、インバータのパワー素子のリークの度合いは変化するので、対象部位ごとに固定値に適合することは難しい。
一方、絶縁低下不良の内容やインバータのパワー素子のリークの度合いに応じて漏電検出器42の波高値は変化する。したがって、漏電検出器42で検出された波高値Vkに基づいてしきい値DV1,DV2を設定するとより好ましい。
図8は、波高値Vkに基づいてしきい値DV1またはDV2を決定するためのマップの一例である。
図8に示したマップの例では、検出された波高値Vkが大きいほどしきい値DV1またはDV2は小さく設定される。
たとえば、絶縁不良個所の抵抗値R1が変動する場合が考えられる。絶縁不良の原因はさまざまであるので、この原因に応じて抵抗値R1も異なる。この場合は、図7で説明した絶縁不良時の抵抗値R1が正常時の抵抗値R3に近いほど波高値Vk1も波高値Vk3に近づく。
インバータ遮断時の波高値Vk2は、Vk1とVk3の間にあるので、波高値Vk1が大きいほど、インバータ遮断前後の変化を示すα=|Vk1−Vk2|およびβ=|Vk2−Vk1|はともに小さくなる。
このα,βを有意な値として判定するには、α,βをそれぞれ判定するしきい値DV1DV2も波高値Vk1が大きいほど小さくする必要がある。したがって、インバータ動作許可時に観測される波高値Vk1に基づいて図8のマップからしきい値DV1またはDV2を得るようにしても良い。
なお、マップは図8の形に限定されない。たとえば、図7において、絶縁不良箇所の抵抗値R1は一定であると仮定する。このとき、インバータのパワー素子のリーク度合いが変動すると、抵抗値R2は変動する。インバータのパワー素子のリークが増えると抵抗値R2は抵抗値R1に近づくように変化する。すると、波高値Vk2が波高値Vk1に近づく。したがって、α=|Vk1−Vk2|およびβ=|Vk2−Vk1|はともに小さくなる。
このα,βを有意な値として判定するには、α,βをそれぞれ判定するしきい値DV1DV2も小さくする必要がある。したがって、波高値Vk2が小さくなるほどしきい値DV1またはDV2が小さくなるような、図8とは異なるマップを作成し、インバータ遮断時に観測される波高値Vk2とそのマップからしきい値DV1またはDV2を得るようにしても良い。
以下、実施の形態1について図を参照して総括する。図1を参照して、実施の形態1に開示される車両100の電気系統は、バッテリB1と負荷とを含む。車両の制御装置は、電気系統の絶縁抵抗の低下を検出するための漏電検出器42と、漏電検出器42の出力に応じて絶縁抵抗低下部位を特定するための特定制御を行なう制御装置30とを備える。制御装置30は、バッテリB1から負荷に至る電力経路に設置された電力遮断機能を有するインバータやリレーなどの電力制御装置を電力遮断状態と電力非遮断状態との間で状態遷移させ、状態遷移の前後に生じる漏電検出器42の出力の変化の大きさに基づいて絶縁抵抗の低下が発生した箇所を特定する。
好ましくは、負荷は、モータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRを含む。電力制御装置は、モータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRを駆動するインバータ50,14,22,26を含む。図5のステップS4,S5に示すように、制御装置30は、インバータ50,14,22,26のいずれかの動作許可状態から動作禁止状態への遷移時に、漏電検出器42の出力に生じる変化の大きさαが第1しきい値DV1以上であり、かつインバータ50,14,22,26のいずれかの動作禁止状態から動作許可状態への遷移時に、漏電検出器42の出力に生じる変化の大きさβが第2しきい値DV2以上である場合には、モータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRおよびモータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRからそれぞれインバータ50,14,22,26に至る電源経路のいずれかの部分が絶縁抵抗の低下が発生した箇所であると特定する。
より好ましくは、図3で説明したように、漏電検出器42は、バッテリB1からインバータ等の回路系70に至る電源経路のいずれかの部分に一方端が接続されるコンデンサ63と、コンデンサ63の他方端に交流信号を与える信号源である交流電源61と、コンデンサの他方端の信号振幅を検出する検出回路であるピークホールド回路65とを含む。制御装置30は、インバータ50,14,22,26のいずれかを動作許可状態から動作禁止状態に遷移させた場合に、ピークホールド回路65で得られた信号振幅の波高値Vkが増大するときには、図4の模式図において、絶縁抵抗低下部位が存在する箇所をバッテリB1から見てインバータ50,14,22,26のうちの状態遷移させたものよりも遠い部分であると特定する。一方、制御装置30は、インバータ50,14,22,26のいずれかを動作許可状態から動作禁止状態に遷移させた場合に、ピークホールド回路65で得られた信号振幅の波高値が増大しないときには、絶縁抵抗低下部位が存在する箇所をバッテリB1から見てインバータ50,14,22,26のうちの状態遷移させたものよりも近い部分であると特定する。
より好ましくは、図8で説明したように、制御装置30は、漏電検出器42の出力信号の振幅である波高値Vkに基づいて、第1しきい値DV1および第2しきい値DV2を設定する。
好ましくは、図1、図4に示すように、負荷は、モータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRを含む。電力制御装置は、バッテリB1からモータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRに至る電力経路を遮断する接続部40を含む。制御装置30は、図5のステップS4,S5に示すように、接続部40の導通状態から遮断状態への遷移時に漏電検出器42の出力に生じる変化の大きさが第1所定値DV1以上であり、かつリレーの遮断状態から導通状態への遷移時に漏電検出器42の出力に生じる変化の大きさが第2所定値DV2以上である場合には、接続部40からモータMA、モータジェネレータMG1,MG2,MGRに至る電源経路のいずれかの部分が絶縁抵抗の低下が発生した箇所であると特定する。すなわち、図4の領域AR1以外の部分が絶縁抵抗の低下が発生した箇所であると特定する。
以上説明したように、実施の形態1では、ダイオード等のパワー素子が高温によりリーク電流が大きい状態でも誤判定をする可能性が減少し、絶縁低下部位を正しく特定する制御を実施することが可能となる。これにより、誤った部品を交換の発生率が低下し、修理工場などにおける適切な部品交換を行なうことが容易となり、一度の修理で故障が完治する可能性が高まる。
また、実施の形態1では、絶縁低下が発生したことを判定する処理とは異なる方法で絶縁低下箇所を切り分ける際の判定処理を行なっている。したがって、ダイオード等のパワー素子のリーク電流が多少大きくなっても、絶縁異常発生箇所の切り分け性能を確保できる。
また、ダイオード等のパワー素子のリーク電流が大きくなるのを許容することによって、電流容量が大きいパワー素子を使用することが可能となり損失が低減し燃費が向上する。さらに、規格上リーク電流が大きいダイオードも使用が可能となるので、コスト低減にも効果が期待できる。
[車両構成の変形例]
図9は、車両構成の変形例を示す図である。図1で説明した車両の構成では、インバータ26はバッテリB1の直流電圧を受けてモータジェネレータに交流電圧を供給した。しかし、図9に示すように、インバータ26が昇圧コンバータ12で昇圧された直流電圧を受けてモータジェネレータに交流電圧を供給するように構成を変形しても良い。
図10は、図9の車両における駆動装置を説明するための模式図である。図4では、バッテリB1の電圧がインバータ26に供給される構成となっていたが、図10では昇圧コンバータ12の昇圧後の電圧がインバータ26に供給される構成となっている。
図9、図10に示す変形例の構成では、インバータ26はモータジェネレータMGRに対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ26は、回生制動に伴い、モータジェネレータMGRにおいて発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。この変形例の他の部分については、図1および図4で説明した構成と同様であるので説明は繰返さない。
このような変形例の車両の構成であっても、図2、図3、図5〜図8で説明した絶縁抵抗異常部位の特定に関する処理を適用して漏電箇所の正確な特定が可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。