JP5854177B1 - 高炭素鋼の熱間圧延方法 - Google Patents

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Abstract

高炭素鋼の熱間圧延において、仕上圧延後の冷却過程における鋼板割れの発生を防止できる熱間圧延方法を提供する。高炭素鋼のシートバーを、仕上圧延機の入側に設置したシートバーヒータで加熱したのち、前記仕上圧延機で仕上げ圧延する高炭素鋼の熱間圧延方法であって、シートバーの尾端での昇温量が、予め定めた上限値以下となるように、シートバーヒータでの加熱を行う高炭素鋼の熱間圧延方法;ここで、シートバーの尾端での昇温量とは、仕上圧延機入側直前のシートバーの尾端における、シートバーヒータで加熱する場合の温度と、シートバーヒータで加熱しない場合の温度の差である。

Description

本発明は、高炭素鋼の熱間圧延方法に関する。特に、高炭素鋼のシートバーを仕上圧延機の入側に設置した加熱装置(以下、シートバーヒータという)で加熱し仕上圧延する熱間圧延方法に関するものである。なお、本明細書でいう高炭素鋼とは、JISG4051、JISG4053、JISG4401、JISG4404に規定するものを指し、特にCを0.2質量%以上1.0質量%以下含有する鋼を指すものとする。
熱間圧延ラインは、例えば図1に示すように、一般に、加熱炉1、複数の粗圧延機2、複数の仕上圧延機3、冷却ゾーン4、巻取装置5などから構成される。なお、図1に示す熱間圧延ラインは、鋼を熱間圧延して板形状の鋼(熱延鋼板)とする際に使用される熱間圧延ラインである。また、図1において、粗圧延機の数は3であり、仕上圧延機の数は7である。
鋼を熱間圧延するに際しては、熱間圧延の素材(鋼素材)である鋼スラブを加熱炉1で所定の温度になるまで加熱し、その後、粗圧延機2で粗圧延を施してシートバーとした後、仕上圧延機3にて所定の厚みとなるように圧延する。ここで、仕上圧延機3に被圧延材であるシートバーが噛み込むまでの時間は、シートバー尾端では先端と比べて長くなる。このため、加熱炉1において鋼スラブを均一に加熱しても、仕上圧延機3にシートバーが噛み込む時の温度、すなわち仕上圧延機入側温度計11(図1では矢印にて示す)で測定される温度は、シートバーの先端よりも尾端のほうが一般的には低くなる。特にシートバーの尾端部の圧延に際しては、このように温度が低下することにより生じる仕上圧延荷重の増加により、圧延が不安定になり、仕上圧延機3内で被圧延材が破断したり、被圧延材に絞りが発生するといった不具合が発生する。なお、ここでシートバーの先端とは、シートバーの長手方向(圧延方向)先端をいう。また、シートバーの尾端とは、シートバーの長手方向(圧延方向)後端をいう。
このようなシートバーの長手方向の温度低下を補償するため、シートバーの尾端側を仕上圧延機に噛み込む前に加熱すること(以下、補償加熱とも称する。)を目的とし、図1に示すように、粗圧延機2と仕上圧延機3との間にシートバーヒータ10が設置される。シートバーヒータ10が設置された熱間圧延ラインでは、仕上圧延機3でシートバーが仕上げ圧延される前に、シートバーヒータ10を用いて加熱し、シートバーの尾端の温度を高くすることで圧延荷重を低下させ、安定的に圧延できるようにする。なお、熱間圧延ラインでは、スラブの幅方向の圧下を実施して、スラブの幅を調整するため、加熱炉1と粗圧延機2の間にサイジングプレスを設置したり、シートバーの幅方向の温度低下を補償するため、粗圧延機2と仕上圧延機3との間にエッジヒータを設置することもある。
シートバーヒータ10やエッジヒータは、特に圧延荷重が大きい、いわゆる難圧延材において一般に使用されており、被圧延材であるシートバーを一律に加熱するだけでなく、所定の搬送位置におけるシートバーの目標温度を予め定めておき、前記目標温度以上となるように前記シートバーの補償加熱を行うことも行われている。
高炭素鋼の熱間圧延においても、特許文献1に開示されているような熱間圧延方法が提案されている。特許文献1には、高炭素鋼のシートバーを、仕上圧延機の入側に設置したシートバーヒータで加熱したのち、前記仕上圧延機で仕上げ圧延する高炭素鋼の熱間圧延方法であって、前記シートバーの所定の搬送位置における目標温度を予め定めておき、前記目標温度以上となるように前記シートバーの補償加熱を行うようにしたことを特徴とする高炭素鋼の熱間圧延方法が記載されており、圧延温度が低すぎることに起因する仕上げ圧延中の鋼板割れを防止して、良好な品質の高炭素鋼を製造できるという効果が示されている。
特開2003−275805号公報
しかしながら、前記したような従来の熱間圧延方法で鋼を熱間圧延した場合、圧延素材である鋼が高炭素鋼である場合においては、シートバーヒータによってシートバーを加熱すると、仕上圧延機3の圧延方向下流側に設置される冷却ゾーン4において、仕上げ圧延後の被圧延材である鋼板が割れるといった不具合(以下、鋼板割れとも称する。)が発生する場合があった。
このような、仕上げ圧延後の鋼板が割れるといった問題に対応するため、高炭素鋼については、シートバーヒータを使用せず、加熱炉での加熱温度(以下、加熱炉抽出温度ともいう)を高くして尾端の圧延荷重を低減させることを検討した。しかしながら、高炭素鋼の場合、加熱温度を高くすると、表面欠陥である赤スケールが発生しやすくなる。その制約から高炭素鋼の加熱温度を高くできないという問題があり、品質と通板性を両立させることが困難であった。
本発明は、上記の点に鑑み、高炭素鋼の熱間圧延において、仕上げ圧延後の冷却過程における鋼板割れの発生を防止できる熱間圧延方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記したような高炭素鋼を圧延素材とした場合に鋼板が割れる原因について調査した結果、高炭素鋼においては、シートバーヒータでの加熱により結晶粒の粗大化が進み、冷却ゾーンでの冷却時に鋼板割れが発生することを知見した。特に高周波誘導加熱方式のシートバーヒータにより加熱した場合に、このような不具合が発生することが多く、シートバーの表面と中心で温度差が生じる結果、表層部と中心部で結晶粒径に大きな差が生じ、上記不具合の原因となることが考えられた。
そこで、このような問題を解決するべく種々検討した結果、仕上圧延機入側におけるシートバーヒータで加熱することによるシートバーの昇温量が、ある温度量以上に達したときに、冷却ゾーンでの鋼板割れが発生することを知見した。そして、高炭素鋼に熱間圧延を行うに際し、シートバーヒータでの昇温量に上限を設ければ、冷却ゾーンでの鋼板割れが発生することなく、かつ加熱炉抽出温度を上げることを要しないので赤スケールなどの品質不具合も発生せずに高炭素鋼を製造できることを見出した。
上記シートバーの昇温量を制御するにあたり、シートバー尾端での昇温量を制御することが有効である。そして、予めシートバー尾端での昇温量を種々変更して、仕上圧延機の下流側に設けた冷却ゾーンでの鋼板割れの発生の有無を調べ、割れが発生しないシートバー尾端での昇温量を上限とすることが有効である。また、通常の操業で鋼板割れが発生した場合に、同時に熱延した同一鋼種のスラブで割れなかったもののシートバー尾端での昇温量を、シートバー尾端での昇温量の上限とすることも有効である。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]高炭素鋼のシートバーを、仕上圧延機の入側に設置したシートバーヒータで加熱したのち、前記仕上圧延機で仕上げ圧延する高炭素鋼の熱間圧延方法であって、シートバーの尾端での昇温量が、予め定めた上限値以下となるように、シートバーヒータでの加熱を行う高炭素鋼の熱間圧延方法;ここで、シートバーの尾端での昇温量とは、仕上圧延機入側直前のシートバーの尾端における、シートバーヒータで加熱する場合の温度と、シートバーヒータで加熱しない場合の温度の差である。
本発明によれば、シートバーヒータを用いて高炭素鋼を熱間圧延するに際し、仕上げ圧延後の冷却過程における鋼板割れの発生を防止できるようになった。これにより、加熱炉抽出温度の高温化を抑制して、赤スケール発生といった品質面での不具合の問題を引き起こすことなく、良好な品質の高炭素鋼板を安定的に製造することができる。
図1は、熱間圧延ラインを示す模式図である。 図2は、シートバーヒータで加熱しない場合のシートバーの長手方向位置と仕上圧延機入側温度の関係を示す図である。 図3は、シートバーの長手方向位置と仕上圧延機入側温度の関係を示す図である。
本発明の好適な実施形態について、図1に示す熱間圧延ラインで、粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延をする場合を例に説明する。連続鋳造などで得られた高炭素鋼のスラブは、加熱炉1にて加熱した後、粗圧延機2で粗圧延して高炭素鋼のシートバーとされる。粗圧延機2にて得られたシートバーは、仕上圧延機入側での温度低下を補償するため、シートバーヒータ10にて加熱(補償加熱)される。
図2に、シートバーヒータ10による加熱を行わない場合の仕上圧延機入側(最も粗圧延機に近い側の仕上圧延機の入側)直前における、シートバーの長手方向の温度の模式図を示す。前記のように、シートバーの尾端は先端にくらべ、仕上圧延機入側の温度が低くなる。なお、温度測定が行われるシートバーの尾端及び先端は、製造条件や装置等を勘案して適宜決定できる。
従来のシートバーヒータ10を用いた熱間圧延においては、シートバーヒータ10により、シートバーの長手方向の補償加熱を行い、シートバーの温度を昇温している。シートバーヒータ10で昇温する量は、安定して仕上げ圧延が行えるよう、シートバーの全長が所望の温度範囲内となるように、適宜決定されている。ここで、図2に示すように、シートバーの尾端での温度低下がシートバーの中で最も大きくなるため、シートバーの尾端での補償加熱量が、シートバーにおいて最大となる。
本発明においては、このような従来のシートバーヒータ10による補償加熱を行うに際し、昇温量がシートバーにおいて最大となる位置である、シートバーの尾端での昇温量が、予め定めた上限値以下となるようにする。
図3に、本発明の熱間圧延方法の一例として、シートバーの長手方向において、シートバーの長手方向位置Lxからシートバー尾端までの部分を、シートバーヒータ10により加熱して、シートバー尾端の温度をTa(℃)とした場合の、仕上圧延機入側(最も粗圧延機に近い側の仕上圧延機の入側)直前における、シートバーの長手方向の温度の模式図を示す。ここで、シートバーヒータ10によるシートバーの加熱量としては、シートバーの尾端での温度がTa(℃)となるように、Lxをシートバー長さの1/2の位置とし、シートバーの長手方向の中央部から、傾斜配分をしており、Lxから尾端までのシートバーの温度は、Ta(℃)でほぼ一定となるようにしている。なお、図3には、シートバーヒータで加熱しない場合についても示している。この場合、シートバーの尾端での温度はTn(℃)である。
本発明では、シートバーヒータ10でシートバーを加熱するに際し、シートバーの尾端での昇温量が予め定めた上限値以下となるように、シートバーヒータ10による加熱(補償加熱)を行う。
図3に模式的に示すように、シートバー尾端での昇温量は、シートバーヒータ10で加熱しない場合のシートバーの尾端の温度Tn(℃)と、シートバーヒータ10で加熱する場合のシートバーの尾端の温度Ta(℃)との差ΔT(℃)(ΔT=Ta−Tn)である。
なお、シートバー尾端での、シートバーヒータ10により加熱しない場合の温度Tn、加熱する場合の温度Taは、シートバーヒータ10の出側位置でのシートバーの温度およびシートバーのサイズや仕上圧延機までの距離、気温等に基づき、求めることができる。
通常、Ta(℃)は仕上圧延機入側温度計11で測定した温度である。
また、通常、Tn(℃)はシートバーを加熱しなかった場合に仕上圧延機入側温度計11で測定した温度である。Tn(℃)は該測定温度に各種操業条件や気温等を考慮して補正した値としてもよい。また、Tn(℃)は製造条件や設備等を勘案して計算により求めてもよい。
本発明では、予めシートバー尾端での昇温量:ΔTを種々変更して、仕上圧延機の下流側に設けた冷却ゾーン4での鋼板の割れの発生の有無を調べ、割れが発生しないΔTの上限値を決定する。そして、シートバーをシートバーヒータで加熱するに際しては、シートバーの尾端での昇温量が予め定めたΔTの上限値以下となるように、シートバーの加熱を行う。
上述の手法の他、通常の操業で鋼板割れが発生した場合に、同時に熱延した同一鋼種のスラブで割れなかったもののシートバー尾端での昇温量をΔTの上限値と決定できる。
一方、シートバーの尾端での昇温量の下限は製造条件や装置等を勘案して適宜決定できる。
このような本発明の熱間圧延方法とすることにより、シートバーヒータ10によりシートバーを補償加熱して、シートバー尾端部の温度を昇温し、仕上圧延機内での破断を抑制するとともに、冷却ゾーン4での鋼板割れを抑制することができる。
なお、図3では、シートバーの長手方向中央部から、シートバーヒータ10での加熱を開始したが、シートバーの加熱方法は、このような方法に限定されるものではない。シートバー全長において、シートバーヒータでの補償加熱が必要な場合は、シートバー尾端での昇温量がΔTの上限値以下となるように、シートバー全長において加熱してもよいし、シートバーの尾端部のみを、局部的に加熱するようにしてもよい。
また、本発明の方法では、シートバーの昇温量に上限を設けている。したがって、圧延条件やシートバーの種類によっては、仕上圧延機内での破断を抑制できる程度に充分に昇温できない場合も考えられる。このような場合、例えば、予め予測して定めたシートバーの昇温量の上限値が、仕上圧延機内での破断や、シートバーの長手方向の材質を確保する上で不足する場合は、粗圧延前のスラブ長さを短くして、シートバー自体の長さを短くし、仕上げ圧延前のシートバー尾端部の温度低下量を少なくして、対応することができる。
また、シートバーヒータ10の加熱方式としては、誘導加熱によるもの、バーナーによるもの等、各種のものが適用できるが、上記のように、昇温量を制御するうえでは、誘導加熱方式とすることが好ましい。
本発明において加熱炉におけるスラブ加熱温度は特に限定されず、製造条件や装置等を勘案して適宜決定できる。加熱炉抽出温度は、例えば、1050〜1150℃とすることができる。
表1に示す鋼記号Aの成分組成(質量%)の高炭素鋼(JISG4051に規定されるS45C)のスラブを用いて、図1に示す熱間圧延ラインにて、熱間圧延を行った。用いたスラブの厚さは260mm、幅は1150mmであり、スラブを加熱炉にて、表2に示す加熱炉抽出温度に加熱後、図示しないサイジングプレスで幅を1065mmとした上で、粗圧延を行って厚さ40mm、幅1065mmのシートバーとした。得られたシートバーは、本発明例(圧延番号1)においては、シートバーの尾端での昇温量の上限値を40℃として、シートバーヒータで加熱し、仕上げ圧延を行った。また、比較として、上記した上限値を超える昇温量で、シートバーヒータで加熱した場合(圧延番号2)、加熱炉抽出温度を高温化してシートバーヒータで加熱しない場合(圧延番号3)についても、仕上げ圧延を行った。なお、シートバーヒータで加熱する場合、図3に示すように、シートバーの長手方向中央部から尾端部にかけて、昇温量を傾斜配分して、シートバーの尾端における昇温量が表2の温度となるように加熱した。なお、シートバーヒータは、高周波誘導加熱方式のものとした。また、シートバーの尾端はシートバーの長手方向(圧延方向)後端から3mである(粗圧延後のシートバー全長は60m)。
表2に仕上圧延機出側温度計12(図1では矢印にて示す)で測定された鋼板の温度を示す。シートバーを仕上圧延機で熱延鋼板に圧延した後、冷却ゾーンで冷却して、巻取装置で巻き取った。なお、仕上圧延した鋼板の厚さは3.25mm、仕上圧延後の幅は1065mmであり、巻取温度は670℃であった。熱間圧延の結果を表2に示す。
本発明例(圧延番号1)では、冷却ゾーンでの鋼板割れを発生させることなく熱間圧延を行うことができ、赤スケールの発生も無く、良好な品質の鋼板を製造することができた。一方、昇温量が本発明の範囲を超えて高すぎる比較例(圧延番号2)では、冷却ゾーンで鋼板割れが発生した。また、シートバーヒータでの加熱を行わず、加熱炉での加熱温度自体を高温化した比較例(圧延番号3)では、冷却ゾーンでの鋼板割れの発生は起こさなかったものの、赤スケールが発生した。
鋼板割れの発生の有無はリコイルラインで通板して目視検査を行って判断した。鋼板幅方向のエッジ部に長さ10mm以上の割れがあった場合を鋼板割れがあると、同エッジ部に長さ10mm以上の割れがなかった場合を鋼板割れがないと判断した。実施例2以降においても同様の基準により鋼板割れの有無を判断した。
Figure 0005854177
Figure 0005854177
上記実施例1の結果に基づき、シートバーの尾端での昇温量の上限値を40℃とした。鋼記号Aのスラブ6本に対して、シートバーの尾端での昇温量の上限値を40℃(繰返しの実施)、35℃に変更した点以外は上記実施例1と同様の条件で熱間圧延を行った(圧延番号4〜9)。結果を表3に示す。
その結果、いずれの場合でも、冷却ゾーンでの鋼板割れを発生させることなく熱間圧延を行うことができ、赤スケールの発生も無く、良好な品質の鋼板を製造することができた。以上より、シートバーの尾端での昇温量の上限値を予め定めておくことで、赤スケール発生といった品質面での不具合の問題を引き起こすことなく、良好な品質の高炭素鋼板を安定的に製造することができた。
Figure 0005854177
表4に示す鋼記号B〜Eの成分組成(質量%)の高炭素鋼(JISG4051に規定されるS45C)のスラブを用いて、シートバーの尾端での昇温量の上限値を50℃、40℃および35℃として、それ以外は上記実施例1と同様の条件で熱間圧延を行った。熱間圧延の結果を表5に示す。
シートバーの尾端での昇温量の上限値が40℃および35℃とした本発明例(圧延番号10〜14)では、冷却ゾーンでの鋼板割れを発生させることなく熱間圧延を行うことができ、赤スケールの発生も無く、良好な品質の鋼板を製造することができた。一方、昇温量が本発明の範囲を超えて高すぎる比較例(圧延番号15)では、冷却ゾーンで鋼板割れが発生した。
Figure 0005854177
Figure 0005854177
上記実施例1の結果に基づき、シートバーの尾端での昇温量を上限値である40℃とした。また、シートバーヒータによる加熱位置を、シートバーの長手方向1/3部から尾端部にかけて(圧延番号16)、シートバーの長手方向2/3部から尾端部にかけて(圧延番号17)、それぞれ傾斜配分して加熱するように変更した点以外は上記実施例1と同様の条件で熱間圧延を行った。
その結果、いずれの場合でも、冷却ゾーンでの鋼板割れを発生させることなく熱間圧延を行うことができ、赤スケールの発生も無く、良好な品質の鋼板を製造することができた。以上より、シートバーの尾端での昇温量の上限値を予め定めておくことで、赤スケール発生といった品質面での不具合の問題を引き起こすことなく、良好な品質の高炭素鋼板を安定的に製造することができた。
Figure 0005854177
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 冷却ゾーン
5 巻取装置
10 シートバーヒータ
11 仕上圧延機入側温度計
12 仕上圧延機出側温度計

Claims (1)

  1. 高炭素鋼のシートバーを、仕上圧延機の入側に設置したシートバーヒータで加熱したのち、前記仕上圧延機で仕上げ圧延する高炭素鋼の熱間圧延方法であって、加熱炉抽出温度を1050〜1150℃とし、シートバーの尾端での昇温量が、予め定めた上限値以下となるように、シートバーヒータでの加熱を行う高炭素鋼の熱間圧延方法;ここで、シートバーの尾端とは、シートバーの後端と後端から3mの間であり、シートバーの尾端での昇温量とは、仕上圧延機入側直前のシートバーの尾端における、シートバーヒータで加熱する場合の温度と、シートバーヒータで加熱しない場合の温度の差である。
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