JP4305156B2 - 鋼板の熱処理方法 - Google Patents

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Description

この発明は、圧延後または加速冷却後の鋼板を加熱して熱処理する際に、残留応力を低減し、条切りキャンバーに代表される鋼板の変形による不具合を許容値内とするのに好適な熱処理方法に関するものである。
熱間圧延鋼板は、素材となるスラブ等の鋼片を加熱炉で再加熱した後、高圧水によるデスケーリングでスケールを除去しながら圧延機により熱間圧延され、所望の板厚、板幅、長さとなる。その後、必要に応じて加速冷却が行われ、さらに冷却床にて冷却された後、所定の寸法に切断されて製品となる。
このような鋼板の製造プロセスにおいて、板幅方向の鋼板温度は、鋼板側面からも冷却を受けることから、一般に板幅端部において温度が低い分布を持っている。
また、近年、制御圧延後に鋼板を強水冷することにより高強度、高靭性鋼板を得る加速冷却技術が広く行われるようになってきている。加速冷却は、従来の添加元素成分を低減して製造コストを大幅に削減できるのみならず、溶接性にも優れた鋼板を製造することが可能となる。加速冷却においては、高温の鋼板表面に冷却ノズルより冷却水を噴射し、鋼板表面の対流沸騰熱伝達現象により自然放冷の数百倍の高冷却速度を達成させ、より微細な結晶構造を有する鋼板、すなわち、高強度、高靭性の鋼板を製造することが可能となる。
しかし、加速冷却は、その高冷却性ゆえに特に板端部近傍においては鋼板が冷えやすいため、板幅端部の温度降下を助長する傾向がある。このような板幅方向の温度分布が発生すると、耳伸びや腹伸びなどの形状不良や残留応力による条切り時の横曲がり、すなわち、条切りキャンバーが発生するという問題が生じる。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、板の幅方向温度分布を計測して加熱、冷却により鋼板の板幅方向温度分布を均一にすることが示されている。
この方法では、鋼板の加熱は板エッジ部の局部加熱によって行うものであるが、このような局部加熱装置以外にも、加熱装置としては鋼板を全周覆ったコイルの中を通過させながら鋼板の加熱を行うソノレイド型の誘導加熱装置がある。ソノレイド型誘導加熱装置では鋼板全周の表面が加熱されるが、板幅端部は側面からの発熱があるため、板厚平均温度を見ると、板幅方向では板端部近傍で特に温度上昇が大きく、圧延後や加速冷却後の板幅端部の温度降下を補償することが可能である。ところが、特許文献1の技術では、このようなソノレイド型誘導加熱装置を用いてどのように鋼板の加熱条件を決定すればよいかが開示されていなかった。
また、本出願人による特許文献2には、ソノレイド型誘導加熱装置を用いて鋼板を加熱する場合に、板端部の温度が板幅中央部に比べて高くなり、板幅方向端部の過加熱が問題となることが示され、その対策として加熱中または加熱直後に鋼板の板側端部を冷却する技術が開示されている。
特開2001−239312号公報 特開2002−317227号公報
前述の通り、特許文献1には、板エッジの局部加熱を行う方法が記載されているものの、鋼板全周を加熱するソノレイド型誘導加熱装置については、温度制御方法が開示されていなかった。
また、特許文献2には、ソノレイド型誘導加熱装置による板幅端部の過加熱が問題とされているものの、その制御方法として板幅端部の冷却を行うものであり、板幅方向の温度差を最小化する場合には最適な方法ではない場合があった。
従って、この発明の目的は、ソノレイド型誘導加熱装置を用いて、鋼板の幅方向の温度分布を最小化し、これにより鋼板に発生する残留応力を低減し、条切りキャンバーに代表される鋼板の変形不具合を防止する熱処理時の加熱方法を提供することにあり、製造ラインの能率を阻害せず、また板幅端部の水冷を使用しない鋼板の加熱方法である。
この発明は、上述の目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、圧延または加速冷却後の鋼板を、圧延ライン上に配置した誘導加熱装置を用いて加熱する鋼板の熱処理方法において、前記誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、前記先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が前記誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒としたときに、前記先の鋼板の前記誘導加熱装置での加熱時間が0.7×T1秒以上となるように、前記誘導加熱装置を通過する前記先の鋼板の通板速度を決定し、前記誘導加熱装置の加熱出力は、前記通板速度において前記先の鋼板の表面温度が許容温度を超えない電力投入パワーとなるよう決定することに特徴を有するものである。
請求項2記載の発明は、圧延または加速冷却後の鋼板を、圧延ライン上に配置した誘導加熱装置を用いて加熱した後、ホットレベラにより熱間矯正する、鋼板の熱処理方法において、前記誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、前記先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が前記誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒とし、T秒から前記ホットレベラを通過するのに必要な時間を差し引いた時間をT2秒としたときに、前記先の鋼板の前記誘導加熱装置での加熱時間が0.7×T2秒以上となるように、前記誘導加熱装置を通過する前記先の鋼板の通板速度を決定し、前記誘導加熱装置の加熱出力は、前記通板速度において前記先の鋼板の表面温度が許容温度を超えない電力投入パワーとなるよう決定することに特徴を有するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、誘導加熱装置は、ソレノイド型であることに特徴を有するものである。
この発明によれば、圧延後または加速冷却後の鋼板の幅方向温度分布を効率的に低減できるため、鋼板の残留応力が小さくなり、条切りキャンバーに代表される鋼板の変形不具合を低減することが可能となる。
この発明の、鋼板の熱処理方法の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明を適用する厚板鋼板の製造ラインの一例を示す概略斜視図である。
図1において、1は、圧延機、2は、加速冷却装置、3は、ホットレベラ、4は、ソノレイド型誘導加熱装置、そして、5は、加速冷却装置2、ホットレベラ3および誘導加熱装置4のそれぞれの鋼板出側に設置された温度計である。
圧延機1で圧延された鋼板は、加速冷却装置2により水冷されるか、またはそのまま水冷なしで加速冷却装置2を通過する。続いて、ホットレベラ3で熱間矯正された後、ソノレイド型誘導加熱装置4で加熱される。また、鋼板の板幅方向温度分布は各温度計5によって測定される。
圧延または加熱冷却後の鋼板は、板幅方向に温度分布を生じており、図2に示すように板幅端部の温度降下が特に大きい。このような温度分布を最小化するため、本発明者等は、ソノレイド型誘導加熱装置を圧延ラインに設置して鋼板を加熱することを検討した。
鋼板は、圧延後や加速冷却後に誘導加熱装置を通過する時点では、キュリー点以下の温度まで冷却されている場合が多い。このとき、鋼板は強磁性体であるため、ソノレイド型での誘導加熱は鋼板の表面に作用し、表層近傍の薄い部分が加熱されることになる。この特性を利用すると、板幅端部の温度を優先的に上昇させる加熱が可能である。すなわち、鋼板の表面は上下面のみならず側面があるため、板幅端部では側面の加熱作用によって加熱時の温度上昇量が大きい。
図3は、解析により求めたソノレイド型誘導加熱装置による加熱前後の板幅方向温度分布であり、加熱により板幅端部の温度上昇が大きいことが分かる。鋼板の残留応力を低減するためには、板幅方向の温度分布を小さくすることが有効であり、この発明は、鋼板の板幅方向温度分布を最小化することが可能な誘導加熱方法である。
本発明者等は、図3に示す解析や誘導加熱装置を用いた実験を行って、板幅方向温度分布をできるだけ小さくすることができる加熱方法を検討した。
この発明によれば、鋼板は、圧延ラインに設置したソノレイド型誘導加熱装置によって加熱され、その後、空冷される。第1発明の加熱方法は、図4のフローチャートに示す通りであり、以下にその内容を説明する。
鋼板の加熱において、加熱後の鋼板が変態点以上の温度になると、組織が変化して板厚方向に不均一となるため、誘導加熱装置の出力は、鋼板の表面が変態点以上の温度にならないという制約を設ける必要がある。この条件下で板幅方向の温度分布を最小化する加熱条件を求めなければならない。
板幅方向の温度差を評価するため、板幅端部から50mmの位置と板幅中央部との温度差が加熱条件と経過時間によりどのように変化するかを調べた。このとき用いた鋼板の寸法は、板厚20mm、板幅2500mmであった。この結果を図5に示す。なお、ここで板幅端部の温度の代表点を端部から50mmとした理由は、図3から分かるように、誘導加熱後の温度が最小となるのがこの位置であるためである。図5はコイル内を通過する時間を変化させた3条件で解析を行ったものであり、それぞれの加熱時間で鋼板表面温度が変態点(例えば720℃)を超えないよう、加熱装置の出力を調整している。その結果、加熱時間が長いほど、温度差が小さくなっていることが分かる。また、加熱直後よりも時間が経過するほど温度差が小さくなっており、ある時間以上経過するとまた温度差が徐々に広がることが分かる。以上のことから、ソノレイド型誘導加熱装置を用いて板幅方向の温度分布を低減させるためには、低出力の誘導加熱で時間をかけて加熱することが有効であることが分かった。なお、板幅方向温度差は、10℃以下とすることが望ましい。
ところが、実際の鋼板の製造では、複数枚の鋼板が続けて次々に圧延されるため、加熱時間には制限があり、次の鋼板が加熱装置に到達するまでに加熱を終了しなければならない。先の鋼板の加熱開始時点から、先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒とすると、T1は、例えば150秒程度であり、この時間T1秒内に鋼板の加熱を終了させる必要がある。そこで、この発明では板幅方向温度差を10℃以下とする加熱条件として、先の鋼板の加熱開始時点から、次の鋼板が加熱装置に到達するまでの時間T1を求め、この時間T1内で最も長時間の加熱が可能な通板速度を算出することとした。図6は、20mm×2500mm×25000mmの寸法の鋼板について、時間T1を180秒としたときに、誘導加熱での加熱時間と幅方向温度差との関係を調べた結果である。図6から加熱時間が126秒以上、すなわち、0.7×T1秒以上であれば、幅方向温度差が10℃以下となっている。従って、第1発明では、前記時間T1の中で、先の鋼板の加熱時間が0.7×T1秒以上となるように加熱装置を通過する先の鋼板の通板速度を決定する。ここで、鋼板は、その全長に亘ってソレノイド型誘導加熱装置を通過しながら、先端から後端まで順次加熱されるため、通板速度は、鋼板の鋼板長さの影響をも考慮して決定される。なお、時間T1が短い場合には、0.7×T1秒で加熱しても幅方向温度差が10℃以下にならない場合もあり、時間T1内で最も長時間の加熱となるように時間設定する必要があるが、少なくとも0.7×T1秒以上であれば、幅方向温度差は許容範囲に縮小される。
鋼板の通板速度は、全長にわたって一定速度とする方法が最も容易であるが、図7に示すように鋼板速度を加速または減速させることも可能である。図7では鋼板の加減速は緩やかな変化としているが、より急峻な変化を持たせることも可能であり、加減速を組合わせることもできる。
また、誘導加熱装置の投入パワーは、前述のように決定した通板速度で、鋼板表面温度が変態点を超えないという条件で求めることとした。具体的には、例えば、予め投入パワーと加熱時間に対する温度上昇量を求めておき、加熱前の鋼板温度を逆変態しない上限温度から引いた温度差よりも温度上昇量が小さくなるよう、投入パワーを決定する。ただし、温度分布を最小化するためには、鋼板の表面が逆変態する温度未満のできるだけ高い温度とすることが望ましく、加熱温度は逆変態に到達しない制約内で最も高い温度とすべきである。以上の方法によれば、圧延の生産性を阻害することなく、板幅方向の温度分布を最小化することが可能となる。
投入パワーは、鋼板の全長にわたって一定とする方法が最も容易であるが、図8に示すように鋼板の通過位置によって変化させることも可能である。また、鋼板の通板速度が変化する場合には、これに合わせて例えば加速時には投入パワーも大きくするなどの調整をする必要がある。また、図8に示すパターン以外にも、投入パワーにより急峻な変化を持たせることも可能であり、パワーの増減を組合わせることもできる。
なお、通板速度の決定方法としては、各鋼板の次材との時間余裕に基づいてそれぞれ最大加熱時間を算出して別々の通板速度を決定してもよく、また、次材との時間余裕を複数の鋼板の中で最小のものに合わせて求め、これをもとに最大加熱時間を算出して共通の通板時間を決定してもよい。
第2発明は、ソノレイド型誘導加熱装置による鋼板の加熱後に、鋼板をホットレベラにより矯正することにより、加熱により鋼板に発生した熱応力を除去し、空冷後の鋼板に内在する残留応力をさらに低減させる技術である。図9に、第2発明の加熱方法のフローチャートを示し、以下にその内容を説明する。
図1の圧延ラインで、第2発明を実施する場合、鋼板は誘導加熱装置を通過後、ホットレベラ前まで一旦逆送され、その後ホットレベラを正方向に通板されて繰り返し曲げの矯正を受ける。ただし、圧延ラインの構成は図1に示す形態に限定されるものではなく、例えば、誘導加熱装置の後に新たなホットレベラを設置した設備を使用してもよく、また、ホットレベラが誘導加熱装置に近接配置されていれば、正方向、逆方向の搬送を組み合わせることにより、この発明の方法が適用できる。
第2発明では、鋼板は、圧延ラインに設置したソノレイド型誘導加熱装置によって加熱され、さらにホットレベラで矯正された後に空冷される。第1発明で説明した通り、ソノレイド型誘導加熱装置を用いて板幅方向の温度分布を低減させるためには、低出力の誘導加熱で時間をかけて加熱することが有効である。また、図5より加熱後200秒程度までであれば、加熱後の時間が長いほど、板幅端部50mmの位置と板幅中央部との温度差が小さくなる傾向にある。矯正により残留応力を除去するためには、鋼板幅方向の温度差が小さいことが必要であるため、加熱後200秒以内に矯正することが望ましい。
以上のことから、誘導加熱後にホットレベラ矯正を行う場合であっても、第1発明と同様に、誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、次の鋼板が加熱装置に到達するまでの時間の中で、できるだけ長い時間をかけて加熱することが、板幅方向の温度分布低減のために最善であることが分かった。このとき、第1発明と異なりホットレベラ通過のための時間が必要となることから、これから加熱しようとする鋼板の加熱開始時点から、次の鋼板が加熱装置に到達するまでの時間から、加熱後にホットレベラを通過する時間を差し引いた時間が加熱を行うための最大時間ということになる。
すなわち、第2発明では、誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒とし、T1秒からホットレベラを通過するのに必要な時間を差し引いた時間をT2秒としたときに、先の鋼板の加熱時間が0.7×T2秒以上となるように、誘導加熱装置を通過する先の鋼板の通板速度を決定する。加熱時間を0.7×T2秒以上としたのは、第1発明と同様に、加熱時間が0.7×T2秒未満では、板幅方向温度差が許容範囲まで低減されないからである。
図1の圧延ラインを用いて具体的に説明すると、鋼板はホットレベラから正方向に通板されて誘導加熱装置に進入して加熱され、加熱後に逆方向に搬送されてホットレベラ前まで戻され、さらに正方向にホットレベラを通過して矯正される。従って、加熱後の逆方向、正方向の通板に要する時間がホットレベラ通過のために必要な時間となる。
以上のようにして加熱に使用できる時間T2を求め、板幅方向温度差が最小化する0.7×T2秒以上の加熱時間で鋼板が加熱装置を通過する搬送速度を加熱時の搬送速度として設定する。さらに、鋼板を加熱するための誘導加熱装置の電力投入パワーは、決定した鋼板の搬送速度において、鋼板の表面が逆変態する温度以下となるよう決定する。ただし、温度分布を最小化するためには、鋼板の表面が逆変態する温度未満のできるだけ高い温度とすることが望ましく、加熱温度は逆変態に到達しない制約内で最も高い温度とすべきである。以上の方法によれば、圧延の生産性を阻害することなく、鋼板の幅方向温度差を最小化することが可能となる。
この発明の実施例として、ソノレイド型誘導加熱装置を用いて板幅方向での温度差を最小化する具体例を説明する。
図1に示す設備を用いて第1発明の方法を実施した。すなわち、圧延機1により圧延後、加速冷却装置2で冷却した、寸法20mm×2500mm×25000mmの鋼板をホットレベラ3で熱間矯正し、この後、ソノレイド型誘導加熱装置4で加熱した。ここで、誘導加熱装置による先の鋼板の加熱開始時点から、次の鋼板が加熱装置に到達するまでの時間は120秒であった。加熱前の鋼板の板幅方向での温度分布は、板幅端部から50mmの位置の温度が板幅中央部に対し31℃低かった。また、この鋼板の長さは25mであり、誘導加熱装置4の長さは5mであることから、加熱開始から終了まで、鋼板は30m移動する必要があった。以上のことから鋼板の誘導加熱装置通板速度を約21.4m/分の一定速度とし、84秒(120秒×0.7)で鋼板の先端から尾端までの加熱が終了するようにした。加熱装置の電力投入パワーは約12MWで一定とし、鋼板の表裏面が逆変態を開始する温度である720℃を超えず、約710℃となるよう決定した。なお、鋼板の端部は後工程で切り捨てられることから、720℃を超えても問題はなく、温度上限の規制は鋼板表裏面に限定した。
以上の条件で加熱を行った結果、板幅端部から50mmの位置と板幅中央部の温度差は加熱後120秒の時点で9℃まで小さくなった。この鋼板を冷却後、幅150mmで条切りした結果、長さ10mでの条材のキャンバーは5mmと小さな値であった。
これに対し、比較例として同じ寸法と温度分布の鋼板を、加熱時間を短縮する目的で通板速度を60m/分の一定速度として誘導加熱装置で加熱した。通過時間は30秒であった。加熱装置の電力投入パワーは、この場合にも鋼板表面が710℃となるように決定し、22MWとした。このとき、加熱後120秒の時点で板幅端部から50mmの位置と板幅中央部の温度差は21℃と加熱の効果が少なく、温度分布低減が不十分であった。また、この鋼板を冷却後、幅150mmで条切りした結果、長さ10mでの条材のキャンバーは12mmであり、本発明の場合に比べ、2倍以上のキャンバーが発生した。
次に、誘導加熱装置とホットレベラを用いて鋼板の残留応力を低減させる第2発明の実施例を説明する。
図1に示す設備を用いて第2発明の方法を実施した。圧延機1により圧延後、加速冷却装置2で冷却した、寸法20mm×2500mm×25000mmの鋼板をホットレベラ3で熱間矯正し、この後、ソノレイド型誘導加熱装置4で加熱した。加熱後、ホットレベラ3の前まで鋼板を逆方向に搬送した後、ホットレベラ3で矯正を行った。ここで、誘導加熱装置4による先の鋼板の加熱開始時点から、次の鋼板が加熱装置に到達するまでの時間は150秒であった。加熱前の鋼板の板幅方向での温度分布は、板幅端部から50mmの位置の温度が板幅中央部に対し31℃低かった。また、この鋼板の長さは25mであり、誘導加熱装置4の長さは5mであることから、加熱開始から終了まで、鋼板は30m移動する必要があった。また、ホットレベラ入口と加熱装置入口の距離は15mであった。鋼板のホットレベラ通過時間は、通板速度が通常90m/分であることから、逆送の1パスと正方向の1パスの2パスで合計60秒の時間が必要であった。従って、可能な加熱時間は90秒であった。以上のことから、鋼板の誘導加熱装置通板速度を約28.6m/分の一定速度とし、63秒(90秒×0.7)で鋼板の先端から尾端までの加熱終了するようにした。加熱装置の電力投入パワーは15MWで一定とし、鋼板の表裏面が逆変態を開始する温度である720℃を超えず、約710℃となるよう決定した。
以上の条件で鋼板を加熱した結果、鋼板の板幅端部から50mmの位置と板幅中央の温度差はホットレベラ直前で15℃まで低減した。また、この鋼板をホットレベラで矯正した後、冷却し、幅150mmで条切りしたところ、長さ10mでの条材のキャンバーは3mmであり、非常に小さな値となった。
一方、比較例として同じ寸法と温度分布の鋼板を、加熱時間を短縮する目的で通板速度を60m/分の一定速度として誘導加熱装置で加熱した。通過時間は30秒であった。続いて、90m/分の通板速度で逆送した後、正方向に通板してホットレベラ3で矯正を行った。その結果、加熱後、ホットレベラを通過する直前の鋼板の温度分布は板幅端部から50mmと板幅中央での温度差が23℃であった。この鋼板をホットレベラで矯正後、冷却し、幅150mmで条切りしたところ、長さ10mでの条材のキャンバーは7mmであり、本発明の方法の遅い通板速度で加熱を行った場合に比べ、キャンバー量が大きく、効果が不十分であった。
この発明を適用する厚板鋼板の製造ラインの一例を示す概略斜視図である。 圧延または加速冷却後の鋼板の板幅方向での温度分布を示すグラフである。 誘導加熱装置による加熱前後の鋼板温度分布を示すグラフである。 第1発明による加熱方法を示すフローチャートである。 加熱開始からの経過時間と温度差との関係を示すグラフである。 加熱時間と板幅方向温度差との関係を示すグラフである。 通板時間と通板速度との関係を示すグラフである。 通板時間と投入パワーとの関係を示すグラフである。 第2発明による加熱方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1:圧延機
2:加速冷却装置
3:ホットレベラ
4:誘導加熱装置
5:温度計

Claims (3)

  1. 圧延または加速冷却後の鋼板を、圧延ライン上に配置した誘導加熱装置を用いて加熱する鋼板の熱処理方法において、
    前記誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、前記先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が前記誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒としたときに、前記先の鋼板の前記誘導加熱装置での加熱時間が0.7×T1秒以上となるように、前記誘導加熱装置を通過する前記先の鋼板の通板速度を決定し、前記誘導加熱装置の加熱出力は、前記通板速度において前記先の鋼板の表面温度が許容温度を超えない電力投入パワーとなるよう決定することを特徴とする、鋼板の熱処理方法。
  2. 圧延または加速冷却後の鋼板を、圧延ライン上に配置した誘導加熱装置を用いて加熱した後、ホットレベラにより熱間矯正する、鋼板の熱処理方法において、
    前記誘導加熱装置により熱処理される先の鋼板の加熱開始時点から、前記先の鋼板に続いて熱処理される次の鋼板が前記誘導加熱装置に到達するまでの時間をT1秒とし、T1秒から前記ホットレベラを通過するのに必要な時間を差し引いた時間をT2秒としたときに、前記先の鋼板の前記誘導加熱装置での加熱時間が0.7×T2秒以上となるように、前記誘導加熱装置を通過する前記先の鋼板の通板速度を決定し、前記誘導加熱装置の加熱出力は、前記通板速度において前記先の鋼板の表面温度が許容温度を超えない電力投入パワーとなるよう決定することを特徴とする、鋼板の熱処理方法。
  3. 前記誘導加熱装置は、ソレノイド型であることを特徴とする、請求項1または2記載の、鋼板の熱処理方法。
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