JP2003013134A - 鋼板の製造方法およびその設備 - Google Patents

鋼板の製造方法およびその設備

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JP2003013134A
JP2003013134A JP2001200374A JP2001200374A JP2003013134A JP 2003013134 A JP2003013134 A JP 2003013134A JP 2001200374 A JP2001200374 A JP 2001200374A JP 2001200374 A JP2001200374 A JP 2001200374A JP 2003013134 A JP2003013134 A JP 2003013134A
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steel
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Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Yoshimichi Hino
善道 日野
Akira Takane
章 多賀根
Hiroshi Sekine
宏 関根
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • Y02P10/25Process efficiency

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率よく鋼板を熱処理するとともに、鋼板全
体が均質な材料となるような鋼板の製造方法およびその
製造設備を提供する。 【解決手段】 間隔を離して設置した複数の誘導加熱装
置7−1〜7−6と、鋼板2を各誘導加熱装置の中を通
過させる搬送ローラ13と、鋼板の板幅方向の温度分布
を測定する温度計14とを備え、鋼板の加熱後にサイド
シャー11により板側端部を、またクロップシャー12
により先後端部を切り落とす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱装置を用
いた鋼板の熱処理に係る製造方法およびその設備に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼材は、一般に焼入れおよびその後の焼
戻し処理により、高強度・高靱性を得るプロセスが熱処
理として行われている。特に、焼戻し処理は、ガス等の
燃焼をエネルギー源とした炉による熱処理が一般的であ
る。最近、熱処理能率を上げる工夫が提案されており、
例えば、特開平9−256053号公報には、温度パタ
ーンを工夫して能率を上げる技術が提案されている。こ
の技術では、炉内で鋼材を連続的に搬送して熱処理する
場合において、鋼材の進行方法に向かって炉の設定温度
を変化させ、炉の入側を高温に、出側を低温に設定す
る。さらにこの技術では、炉の入側を目的とする熱処理
温度より200℃以上高く設定し、炉の出側に向かって
段階的に設定炉温を低下させ、炉の出口前での炉の設定
温度を目的とする熱処理温度±20℃以内にするという
ものである。
【0003】また、特開平4−358022号公報記載
の技術のように温度上昇速度を大きくとることで能率を
上げる方法もある。この技術は、焼戻し中の昇温速度を
1℃/秒以上とすることにより、昇温中における転位の
回復、組織・析出物の粗大化、固溶炭素原子の析出を防
止し、強度、靱性を高めることができるというものであ
る。しかし、実製造における設備構成、加熱方法につい
ては何ら具体的開示はない。
【0004】一方、誘導加熱を用いる加熱方法も、熱延
鋼板の加熱方法としては提案されている。例えば、特開
平9−225517号公報では、熱延鋼板の製造プロセ
スにおいて、仕上圧延機入側で、粗圧延された粗バーを
誘導加熱で加熱する方法が提案されている。この技術
は、一定速度で通過する粗バーの温度が、長手方向で一
様になるように、加熱するものである。しかし、厚鋼板
の熱処理を対象とするものではなく、厚鋼板の場合、粗
バー加熱とは加熱条件が異なる。
【0005】また、特開昭51−148611号公報に
は、誘導加熱による鋼材の熱処理方法が提案されてい
る。この技術は、鋼管の熱処理に用いられている高周波
焼入れ装置を焼戻しにも適用し、鋼管の焼入れにより生
じた表面硬化層に対して、高温で焼戻すことにより軟化
を図るというものである。しかし、鋼管と鋼板では形状
が異なり、鋼板では端部に非定常部が生じるため特別な
対応が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した特開平9−2
56053号公報記載の技術のように、ガス燃焼による
加熱方式では、ガス燃焼炉による鋼材の熱処理におい
て、熱の伝達は輻射や対流によるため、急速な加熱はで
きなかった。また、ガス燃焼炉では現実的に表層部のみ
の加熱は困難であり、表層部と板厚中央部の温度は、板
厚50mm以下の厚鋼板ではほとんど差がないまま、温
度が上昇していた。
【0007】一方、鋼板を全周覆ったコイルの中を通過
させながら鋼板の加熱を行うソレノイド型誘導加熱方式
では、周波数を変更することで表層部のみを加熱するこ
とは可能であるが、鋼板の表層部に電流が流れて発熱す
るために、電流が集中する鋼板の側端部は、鋼板の幅方
向中央部付近に比べて温度が高くなる。その様相を模式
的に図4、図5に示す。搬送ロール3上を送られてソレ
ノイド型誘導加熱装置1を通過した厚鋼板2の幅方向の
温度分布(図5中A−A’の表面温度分布)は図5のよ
うに板端部の温度が板幅中央部に比べて高くなってお
り、板幅方向端部の過加熱が問題となっていた。この過
加熱は、板端部の材質異常を引き起こし、均質な材料を
得る際の問題であった。あるいは、鋼板に熱処理後の冷
却中や冷却後に熱歪が発生する問題があった。
【0008】また、鋼板先端が誘導加熱装置に入る際に
そのコイル内に被加熱物である鋼板が十分に入るまで、
すなわちコイル内に被加熱物が充満するまで、および、
コイル内に鋼板の後端部が到達し、コイル内に被加熱物
が充満しなくなるとコイルに流れる電流が減少して、パ
ワーが低下する問題がある。そのためにどうしても鋼板
の先端部と後端部は非定常な加熱となって加熱が十分で
ない問題があった。したがって、鋼板の先端部と後端部
は中央部分に比べて加熱不足になり温度が不均一になっ
て、均質な材料を得ることが難しかった。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、効率よく鋼板を熱処理するとともに、鋼
板全体が均質な材料となるような鋼板の製造方法および
その製造設備を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の鋼板の製造方法は、鋼板を誘導加熱装置により加熱し
た後に鋼板の両側端部および/または先後端部を切り落
とすことを特徴とする。
【0011】この第1の発明では、誘導加熱装置により
鋼板を加熱した後に、鋼板の両側端部および/または先
後端部を切り落とすことにしているので、過加熱部分と
なる板側端部および/または非定常部の先後端部が除去
される結果、製品として使用する鋼板全体は均質な材料
となる。また、条切しても変形が少なく高品質の鋼板を
安定して製造することができる。なお、誘導加熱装置に
はトランスバース型とソレノイド型があるが、いずれの
形式でも本発明を適用することができる。
【0012】本発明の請求項2に記載の鋼板の製造方法
は、鋼板を誘導加熱装置により加熱した後に冷却あるい
は放冷し、その後に鋼板の両側端部および/または先後
端部を切り落とすことを特徴とする。
【0013】第2の発明では、鋼板を加熱後に冷却ある
いは放冷するものであり、その後に第1の発明と同様に
鋼板の両側端部および/または先後端部を切り落とすの
で、第1の発明と同様の効果がある。
【0014】また、本発明においては、間隔を離して設
置した複数の誘導加熱装置により鋼板を加熱することを
特徴とする。
【0015】複数の誘導加熱装置を間隔を離して設置す
ることにより、鋼板の先端部と後端部の非定常部の長さ
を短くでき、かつ、温度のモニターをしながら加熱でき
るので制御性が優れ、加熱後の温度を目標の加熱温度へ
近づける制御がしやすいものとなる。
【0016】また、本発明においては、鋼板の両側端部
の切り落とし量は板厚に応じて決定し、鋼板の先後端部
の切り落とし量はコイル長に応じて決定することを特徴
とする。
【0017】誘導加熱により加熱したときの板側端部の
過加熱部分の幅は板厚により変化し、また先後端部の非
定常部の長さは誘導加熱装置のコイル長によって変化す
るので、板側端部の切り落とし量、先後端部の切り落と
し量はそれぞれ板厚、コイル長によって決定するもので
ある。
【0018】本発明の鋼板の製造設備は、間隔を離して
設置した複数の誘導加熱装置と、鋼板の板幅方向の温度
分布を測定する温度計と、鋼板を各誘導加熱装置の中を
通過させる搬送手段と、鋼板の板幅方向の温度分布を測
定する温度計と、鋼板の両側端部および/または先後端
部を切断する切断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】このような設備構成とすることによって、
前述した本発明の熱処理方法を効率よく実施することが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は本発明による鋼板の製造ライ
ンの説明図である。熱間圧延機4によって熱間圧延され
た厚鋼板2に対して、水冷装置5による焼入れ処理を施
す。その後、矯正装置6で歪みを矯正して、誘導加熱装
置7によってオンライン熱処理を行う。図1において、
10は冷却床、11はサイドシャー、12はクロップシ
ャーである。なお、本発明はオンライン熱処理に限定さ
れるものではなく、オフラインに誘導加熱装置を設置し
てもよい。誘導加熱装置7としては、トランスバース型
とソレノイド型があり、ここでは、ソレノイド型の誘導
加熱装置を用いているが、トランスバース型においても
本発明の効果は同様に得られる。トランスバース型は、
図6(a)に示すように、上下一対のコイル8を鋼板2
の表面および裏面にほぼ平行に配置したものであり、ソ
レノイド型は、図6(b)に示すように、コイル8を鋼
板2の板幅方向の全周を包囲するように巻回してなるも
のである。図中、9は電源である。ソレノイド型は、表
層部から加熱されるため、表層部と内部は温度差があ
る。トランスバース型は、板厚方向の温度分布が均一な
状態で温度上昇する特徴がある。両者は、用途、目的、
コスト等を考慮して選択され、あるいは組み合わせて使
用される。
【0021】この誘導加熱装置7は、図2に示すよう
に、例えば、6つのソレノイド型誘導加熱装置7−1〜
7−6の中を被加熱物である厚鋼板2が通過するような
装置構成となっている。1段目のソレノイド型誘導加熱
装置7−1の前および最終段のソレノイド型誘導加熱装
置7−6の後と各ソレノイド型誘導加熱装置の間には、
被加熱物の搬送をサポートするローラ13が配置され、
これらのローラ13によりローラテーブルを構成してい
る。このローラテーブルの各ローラ13は、ローラ回転
数を細かく制御できるので、被加熱物である鋼板2の板
幅、板厚、処理量に応じて、各ソレノイド型誘導加熱装
置7−1〜7−6の投入電力や鋼板2が通過する時間
を、細かく制御することによって、細かい温度制御が可
能である。14は温度計である。
【0022】ここで誘導加熱装置を分割して多段の加熱
装置にしている理由は、3つある。その第1は、誘導加
熱装置を分割すると本実施例のように加熱途中で板幅方
向の温度分布をモニターすることが可能であるので、過
加熱の具合をみながら以降のソレノイド型誘導加熱装置
の出力を調整することが可能である。結果としてより過
加熱を少なくすることが可能となるからである。第2
は、鋼板の先後端部の非定常加熱部分が少なくなるから
である。すなわち、1つのコイルで昇温量を多くすると
そのコイルを通過する時間が長くなる。そのため、コイ
ルの中に鋼板先端が入り、コイル内を充満するまで負荷
変動が大きくなり、鋼板先端部の温度の上昇が定常部す
なわちコイル内に鋼板が充満している状態の定常部の温
度上昇に比べて小さくなる。したがって、コイル長は短
い方が負荷変動を受ける鋼板先端部長さと鋼板後端部長
さが短くなる。第3は、鋼板の板側端部は、端部からの
放熱があるので板中央部に比べて、自然放冷されやす
い。したがって、ある温度まで加熱する場合、同じ投入
電力で加熱することを想定しても、コイルを複数に分け
て、コイル間に隙間を開け、間欠的に昇温させたほう
が、すなわち時間をかけて昇熱したほうが、板側端部の
過加熱は小さくなるからである。
【0023】各ソレノイド型誘導加熱装置の間には、被
加熱物の幅方向温度分布を計測する温度計14を設置
し、板幅中央部付近の測温結果に基づき誘導加熱装置7
−1から7−6の出力を調整し、あるいは被加熱物の通
過(または搬送)速度を調整するなどの制御を行うこと
もできる。特に、厚鋼板の熱処理においては、品質上の
観点から表面の温度の推移を正確に把握する必要があ
る。そのためには、温度計14は必要で、板側端部の過
加熱の度合いを知る上で板幅方向の温度分布を計測可能
な走査型温度計や多点温度計が望ましい。
【0024】一方、鋼板の先端部と後端部の非定常加熱
部は、各コイルの長さ分だけ生じる。したがって、誘導
加熱装置を出た段階の鋼板長手方向の温度分布は、先端
部・後端部で温度が下がった温度分布となっており、こ
の部分の焼戻し効果が十分ではない。そこで、図1に示
すように、誘導加熱装置7の後に冷却床10を設けて、
鋼板全体の温度を冷やした後に、板側端部を切り落とす
サイドシャー11と、鋼板の先・後端部を切り落とすク
ロップシャー12を設け、冷却床10を出た鋼板に対し
て、板側端部および先後端部を切り落とすことにしてい
る。
【0025】ここで、板側端部の切り落とし量は板厚に
応じて決定する。すなわち、おおまかに板側端部から板
厚に相当する幅を切り落とす。しかしながら、エッジ部
を冷却する場合にはこの切り落とし量は少なくするが、
その場合でもほぼ板厚に比例してその切り落とし量を決
定する。また、板先後端部の切り落とし量は、ほぼコイ
ル長分とする。しかしながら、材料先端がコイルに入る
際および材料後端がコイルを抜け出る際にコイルに投入
するパワーを定常部より増やす操作を行えば、その切り
落とし量は、コイル長より短くてすむ。ただし、コイル
長に応じて切り落とし量を、具体的にはほぼコイル長に
ほぼ比例して切り落とし量を決定すればよい。
【0026】
【実施例】本発明の実施例として、前述のソレノイド型
の誘導加熱装置を厚鋼板の製造ラインに適用した例につ
いて説明する。なお、6台のソレノイド型誘導加熱装置
7−1〜7−6のコイル長(鋼板の長手方向に対応する
寸法)は80cmである。通過可能な板幅は最大460
0mm、板厚は最大100mmである。
【0027】この誘導加熱装置に、熱間圧延を施した板
厚25mm、板幅3000mm、長さ20mの厚鋼板
を、水冷により30℃まで加速冷却する焼入れ処理を行
い、続いて、水冷中に発生した歪みを矯正機で除去して
平坦にした。その後、6台のソレノイド型誘導加熱装置
7−1〜7−6を通して、焼戻し温度である650℃ま
で板中央部の温度が昇熱されるように熱処理を施した。
このとき、ソレノイド型誘導加熱装置7−1〜7−6の
投入電力、厚鋼板の通板速度を、表1に示すように設定
した。なお、各ソレノイド型誘導加熱装置の周波数は1
000Hz一定で、鋼板は誘導加熱装置を一定速度で通
過させた。
【0028】
【表1】
【0029】本実施例の板長手方向中央部(鋼板先端か
ら10m)で、鋼板幅方向中央部の表面と板厚中心
および板側端部の角と板厚方向中心部の4点の温度
履歴を図3に示す。鋼板幅方向中央部の表面は、ソレ
ノイド型誘導加熱装置を通過する毎に温度が上昇する
が、コイル間(誘導加熱装置間)では板厚方向に熱が拡
散して温度は下がる。一方、鋼板幅方向中央部の板厚中
心は表面からの熱が拡散するに従って誘導加熱コイル
内およびコイル間で温度は上昇し、最終コイルを通過
後、約650℃に昇温された。
【0030】一方、板長手方向中央部(鋼板先端から1
0m)で、板側端部の角と板厚方向中心部の温度履
歴は、それぞれ鋼板幅方向中央部の表面と板厚中心
と比べて温度が約80〜100℃上がる。これが板側端
部の過加熱となる。その結果、板側端部の到達温度が所
定の焼戻し温度650℃より100℃程度高くなったの
で、この部分の鋼板では、再度変態が生じ、焼入れ効果
が消失した。したがって、この過加熱部分は当初想定し
ていた製品の品質とはならなかった。なお、この幅は幅
方向の温度計の計測結果から、両側端部から25mmの
幅であったので切り落とし量は25mmとした。
【0031】この過加熱された範囲は、誘導加熱装置を
出た時点では、15〜20mmであたが、製品である鋼
板の幅方向の硬度分布を計測した結果、材質が異常とな
っている部分は両端部から25mmの幅の領域であっ
た。これは、誘導加熱後に板側端部の熱が拡散し、20
mmよりも広い範囲に過加熱の領域が広がったためと考
えられる。よって、誘導加熱後に冷却することで確実に
過加熱領域を切断可能となる。
【0032】また、誘導加熱装置通過後に鋼板の先後端
部の温度が下がっている部分は、各コイルの長さ、すな
わち先端部80cmと後端部80cmが板長手方向中心
部、幅方向中心部の表面温度に比べて約50℃温度が降
下していた。そこで、この部分をクロップシャーで切り
落とした。その後、この鋼板を両端部から幅150mm
に条切したが条切キャンバーは発生しなかった。これは
鋼板内の残留応力が少ないことを意味する。
【0033】[比較例]比較例として、前記実施例で、
鋼板の4周部を切断しなかった場合と、切断したがその
切断代が実施例よりも短かった場合について説明する。
まず、鋼板側端部を切断しなかった場合は、側端部の硬
度が不足していた。この部分のミクロ組織観察を行った
ところ変態によって粗大化した結晶粒が観察された。ま
た、側端部の切り落とし量が25mm未満の場合には、
側端部の硬度が不足していた。この部分のミクロ組織観
察を行ったところ変態によって粗大化した結晶粒が観察
された。また、側端部を切り落とさなかった場合と切り
落とし量が25mm未満であった材料を、両側端部から
幅150mmに条切したところ、10m当たり15〜2
5mmの条切キャンバーが発生した。これは、誘導加熱
によって板側端部が過加熱された際に側端部が熱膨張量
の違いから塑性変形を起こし、その後、常温まで冷却さ
れた段階で、側端部と鋼板中央部分とで応力が残留して
おり、条切したことでその応力が解放され、条切歪みと
してキャンバーが発生したものである。
【0034】次に、鋼板先端部と後端部を切り落とさな
かった場合と、切り落とし量がコイル長である80cm
より短い場合の鋼板の特性を述べる。まず、鋼板先端部
を切断しなかった場合は、先端部の硬度が高かった。こ
の部分のミクロ組織観察を行ったところ焼入れままの組
織が観察された。次に、後端部の切り落とし量が80c
m未満の場合にも、後端部の硬度が高かった。この部分
のミクロ組織観察を行ったところ焼入れままの組織が観
察された。このように、先端部と後端部の切り落とし量
が少ない場合には、先端部と後端部に焼き戻し効果が不
十分な領域が存在し、所要の品質が得られなかった。
【0035】この板側端部の過加熱は、熱処理パターン
や通過速度を変更することで多少軽減するが、極端に速
度を落としてゆっくり加熱するか、投入パワーを下げて
加熱するしか方法がなく、能率よく熱処理を施すことは
できない。また板先端部、後端部の加熱不足は、先端部
と後端部の通過速度を遅くする、あるいはコイル中に止
める等の対策で多少改善するが、先端部から中央部にか
けて、あるいは後端部から中央部にかけて広い鋼板領域
の加熱が非定常な加熱となるので、望ましい方法ではな
い。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、鋼板を
誘導加熱装置により加熱するものにおいて、鋼板の加熱
後にその鋼板の板側端部および/または先後端部を切り
落とすものであるから、過加熱部分を除去することがで
き、鋼板全体を均一な材料に製造することができる。ま
た、条切しても変形が少なく高品質の鋼板が安定して製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鋼板の製造ラインの概要図であ
る。
【図2】本発明の熱処理装置の概要図である。
【図3】実施例における鋼板各部位の温度履歴図であ
る。
【図4】従来のソレノイド型誘導加熱装置による熱処理
装置の概要図である。
【図5】図4のソレノイド型誘導加熱装置で鋼板を熱処
理した場合の板幅方向の温度分布を示す図である。
【図6】誘導加熱装置のトランスバース型とソレノイド
型の説明図である。
【符号の説明】
1 ソレノイド型誘導加熱装置 2 鋼板 3 搬送ロール 4 熱間圧延機 5 水冷装置 6 矯正機 7 誘導加熱装置 7−1〜7−6 ソレノイド型誘導加熱装置 8 コイル 9 電源 10 冷却床 11 サイドシャー 12 クロップシャー 13 搬送ローラ 14 温度計
フロントページの続き (72)発明者 多賀根 章 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 関根 宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 3K059 AB09 AB19 AD03 AD05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を誘導加熱装置により加熱した後に
    鋼板の両側端部および/または先後端部を切り落とすこ
    とを特徴とする鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼板を誘導加熱装置により加熱した後に
    冷却あるいは放冷し、その後に鋼板の両側端部および/
    または先後端部を切り落とすことを特徴とする鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 間隔を離して設置した複数の誘導加熱装
    置により鋼板を加熱することを特徴とする請求項1また
    2記載の鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼板の両側端部の切り落とし量は板厚に
    応じて決定し、鋼板の先後端部の切り落とし量はコイル
    長に応じて決定することを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 間隔を離して設置した複数の誘導加熱装
    置と、 鋼板を各誘導加熱装置の中を通過させる搬送手段と、 鋼板の板幅方向の温度分布を測定する温度計と、 鋼板の両側端部および/または先後端部を切断する切断
    手段と、を備えたことを特徴とする鋼板の製造設備。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101789515B1 (ko) 2017-05-31 2017-10-25 대홍코스텍 주식회사 코일강판 연속열처리설비의 담금질 가열장치
WO2023106047A1 (ja) * 2021-12-09 2023-06-15 Jfeスチール株式会社 鋼板の製造方法及び鋼板の製造設備列

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