JP5332072B2 - 厚鋼板の熱処理方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱装置を用いた鋼板の熱処理方法およびその装置に関する。
鋼材は、一般に焼入れおよびその後の焼戻し処理により、高強度・高靱性を得るプロセスが熱処理として行われている。特に、焼戻し処理は、ガス等の燃焼をエネルギー源とした炉による熱処理が一般的である。
最近、熱処理能率を上げる工夫が提案されており、例えば、特開平9−256053号公報には、温度パターンを工夫して能率を上げる技術が提案されている。この技術では、炉内で鋼材を連続的に搬送して熱処理する場合において、鋼材の進行方法に向かって炉の設定温度を変化させ、炉の入側を高温に、出側を低温に設定する。さらにこの技術では、炉の入側を目的とする熱処理温度より200℃以上高く設定し、炉の出側に向かって段階的に設定炉温を底下させ、炉の出口前での炉の設定温度を目的とする熱処理温度±20℃以内にするというものである。
また、特開平4−358022号公報記載の技術のように温度上昇速度を大きくとることで能率を上げる方法もある。この技術は、焼戻し中の昇温速度を1℃/秒以上とすることにより、昇温中における転位の回復、組織・析出物の粗大化、固溶炭素原子の析出を防止し、強度、靱性を高めることができるというものである。
一方、誘導加熱を用いる加熱方法も、熱延鋼板の加熱方法としては提案されている。例えば、特開平9−225517号公報では、熱延鋼板の製造プロセスにおいて、仕上圧延機入側で、粗圧延された粗バーを誘導加熱で加熱する方法が提案されている。この技術は、一定速度で通過する粗バーの温度が、長手方向で一様になるように、加熱するものである。
また、特開昭51−148611号公報には、誘導加熱による鋼材の熱処理方法が提案されている。この技術は、鋼管の熱処理に用いられている高周波焼入れ装置を焼戻しにも適用し、鋼管の焼入れにより生じた表面硬化層に対して、高温で焼戻すことにより軟化を図るというものである。
発明が解決しようとする課題
前述した特開平9−256053号公報記載の技術のように、ガス燃焼による加熱方式では、ガス燃焼炉による鋼材の熱処理において、熱の伝達は輻射や対流によるため、急速な加熱はできなかった。また、ガス燃焼炉では現実的に表層部のみの加熱は困難であり、表層部と板厚中央部の温度は、板厚50mm以下の厚鋼板ではほとんど差がないまま、温度が上昇していた。
一方、鋼板を全周覆ったコイルの中を通過させながら鋼板の加熱を行うソレノイド型誘導加熱方式では、鋼板先端が誘導加熱装置に入る際にそのコイル内に被加熱物である鋼板が十分に入るまで、すなわちコイル内に被加熱物が充満するまで、および、コイル内に鋼板の後端部が到達し、コイル内に被加熱物が充満しなくなるとコイルに流れる電流が減小して、パワーが下がる問題がある。その関係を図6、図7に示す。図6は、テーブルローラ8上を搬送される鋼板1がソレノイド型誘導加熱装置5を通過する際の位置関係を示し、図7はその時の投入電力量の変化を模式的に示している。
図6(a)は鋼板先端が誘導加熱装置5に入る前を示すが、この時は、投入パワーは、図7のAで示すように、まだコイル損失分程度の低い負荷状態である。そして、図6(b)のように鋼板先端が誘導加熱装置5のコイル6入口端に到達すると、図7のBのようにパワーが徐々に増加し、図6(c)のようにコイル6内に鋼板1が充満されるにつれて図7のCのようにその投入電力が増え、図6(d)のように鋼板先端が誘導加熱装置5のコイル6出口端に到達すると、投入電力がフルパワー(図7のD)となって以降、図6(e)のように鋼板中央部分には定常的な電力供給が行われ、その結果温度の上昇は一定となる(図7のE)。
以上説明したように、鋼板先端部はその最先端から誘導加熱装置5のコイルの長さ分までは、昇温量がそれ以降の中央部分に比べて少なくなる。同様に、鋼板1の後端部が誘導加熱装置5から抜ける際にも同様の非定常的な加熱が起こる。その結果、鋼板の先端部と後端部は非定常な加熱となって加熱が十分でない問題があった。したがって、鋼板の先端部と後端部は中央部分に比べて加熱不足になり温度が不均一になって、均質な材料を得ることが難しかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、誘導加熱装置により加熱する場合において、鋼板の先端部および後端部の非定常部分が少なくなるようにして、鋼板全体が均質な材料となるような熱処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る厚鋼板の熱処理方法は、間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置の中を1枚の厚鋼板を通過させて加熱する厚鋼板の熱処理方法において、該1枚の厚鋼板の前および後に、それぞれダミー材を配置し、該厚鋼板と該ダミー材との間隔を所定の間隔に保ちながら厚鋼板を連続的に加熱するに当たり、該所定の間隔を5cm以上、前記誘導加熱装置のコイルの長さの2/3以下とすることを特徴とする。
第1の発明では、先行鋼板の後端と後行鋼板の先端とを近接させることにより、誘導加熱装置のコイル内を常に被加熱物である鋼板が充満した状態で移動することになるため、鋼板の先端部および後端部に非定常部分が発生せず、鋼板全体を一様な温度に熱処理することが可能となる。なお、誘導加熱装置にはトランスバース型とソレノイド型があるが、いずれの形式でも本発明を適用することができる。また、1枚の厚鋼板を熱処理する場合、ダミー材をその厚鋼板の前および/または後に近接配置して連続的に加熱するものである。これにより、その厚鋼板の先端部および/または後端部の非定常部分を少なくすることができ、1枚の厚鋼板をほぼ均一に熱処理することが可能である。ダミー材は被加熱物の厚鋼板と同じ大きさである必要はないが、材質、特に電磁特性は同等のものが望ましい
(2)本発明に係る厚鋼板の熱処理方法は、間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置の中を複数の厚鋼板を通過させて加熱する厚鋼板の熱処理方法において、先頭鋼板の前および最後尾鋼板の後に、それぞれダミー材を配置し、該先頭鋼板および該最後尾鋼板と該ダミー材との間隔と、中間の鋼板同士の間隔とをそれぞれ所定の間隔に保ちながら厚鋼板を連続的に加熱するに当たり、該所定の間隔を5cm以上、前記誘導加熱装置のコイルの長さの2/3以下とすることを特徴とする
第1の発明においては、先頭鋼板の前や最後尾鋼板の後には被加熱物がないため、誘導加熱装置により加熱後に、先頭鋼板の先端部や最後尾鋼板の後端部に非定常部分が発生する場合がある。これを防止するために、第の発明では、先頭鋼板の前および/または最後尾鋼板の後に、ダミー材を近接させて配置するものである。また、中間の鋼板同士は第1の発明と同様、相互に近接させて搬送し連続的に加熱する。
(3)また、本発明に係る厚鋼板の熱処理方法は、前記(2)において、先行鋼板の後端が最終段誘導加熱装置のコイル出口に到達した段階で、出側ローラ群の搬送速度を上げて、加熱処理の終了した先行鋼板を速やかに次工程へ搬送することを特徴とする。
そして、このような搬送を繰り返すことで連続的な鋼板の加熱を行うことが可能である。
(4)本発明の厚鋼板の熱処理装置は、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の厚鋼板の熱処理方法に用いる熱処理装置であって、間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置と、厚鋼板を搬送する搬送ローラ群とを備え、第1段の誘導加熱装置上流側の入側ローラ群と、各誘導加熱装置間の中間ローラ群と、最終段の誘導加熱装置下流側の出側ローラ群とが、それぞれ独立に搬送速度が変更可能に構成されていることを特徴とする。
このような装置構成とすることによって、前述した本発明の熱処理方法を効率よく実施することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明による鋼板の製造ラインの説明図である。熱間圧延機2によって熱間圧延された厚鋼板1に対して、水冷装置3による焼入れ処理を施す。その後、矯正装置4で歪みを矯正して、誘導加熱装置5によってオンライン熱処理を行う。図1において、10は冷却床である。なお、本発明はオンライン熱処理に限定されるものではなく、オフラインに誘導加熱装置を設置してもよい。
誘導加熱装置5としては、トランスバース型とソレノイド型があり、ここでは、ソレノイド型の誘導加熱装置を用いているが、トランスバース型においても本発明の効果は同様に得られる。トランスバース型は、図5(a)に示すように、上下一対のコイル6を鋼板1の表面および裏面にほぼ平行に配置したものであり、ソレノイド型は、図5(b)に示すように、コイル6を鋼板1の板幅方向の全周を包囲するように巻回してなるものである。図中、7は電源である。ソレノイド型は、表層部から加熱されるため、表層部と内部は温度差がある。トランスバース型は、板厚方向の温度分布が均一な状態で温度上昇する特徴がある。両者は、用途、目的、コスト等を考慮して選択され、あるいは組み合わせて使用される。
この誘導加熱装置5は、図2に示すように、例えば、6つのソレノイド型誘導加熱装置5−1〜5−6の中を被加熱物である厚鋼板1が通過するような装置構成となっている。1段目のソレノイド型誘導加熱装置5−1の上流側および最終段のソレノイド型誘導加熱装置5−6の下流側と各ソレノイド型誘導加熱装置の間には、被加熱物の搬送をサポートする搬送ローラ群8a、8b、8cが配置され、それぞれ独立に搬送速度を変更可能なローラテーブル(搬送テーブル)を構成している。各搬送テーブルのローラ群は、搬送テーブル別にローラ回転数を細かく制御できる。これにより、被加熱物である鋼板1の板幅、板厚、処理量に応じて、各ソレノイド型誘導加熱装置5−1〜5−6の投入電力や鋼板1が通過する時間を、細かく制御し、細かい温度制御を可能としている。以下、1段目のソレノイド型誘導加熱装置5−1の上流側ローラ群8aを「入側ローラ群8a」、各ソレノイド型誘導加熱装置の間のローラ群8bを「中間ローラ群8b」、最終段のソレノイド型誘導加熱装置5−6の下流側ローラ群8cを「出側ローラ群8c」と記す。また、中間ローラ群8bの中には、1段目のソレノイド型誘導加熱装置5−1の直前の1、2本のローラおよび最終段のソレノイド型誘導加熱装置5−6の直後の1、2本のローラを含めるようにしてもよい。12は各ソレノイド型誘導加熱装置の間および最初の入側と最後の出側に配置された温度計である。
ここで誘導加熱装置を分割して多段の加熱装置にしている理由は、2つある。その第1は、誘導加熱装置を分割すると本実施例のように加熱途中で鋼板の長手方向の温度分布をモニターすることが可能であるので、加熱の具合をみながら以降のソレノイド型誘導加熱装置の出力を調整することが可能であるからである。結果として、より加熱不足や過加熱を少なくすることが可能となる。第2は、鋼板の先後端部の非定常加熱部分が少なくなるからである。すなわち、図6、図7で説明したように、誘導加熱が非定常となるのは鋼板の先端および後端からコイル長分の領域である。したがって、コイル長は短い方が負荷変動を受ける鋼板先端部長さと鋼板後端部長さが短くなる。すなわち、誘導加熱装置は、1つのコイル長さが短い複数の独立した制御が可能な誘導加熱装置に分割した方が、鋼板先端部と鋼板後端部の非定常部が短いということになる。
以上の設備構成において、以下に本発明の誘導加熱方法を説明する。熱間圧延機2では通常リバース圧延によって、厚鋼板を圧延することが多く、1〜2分ピッチで1枚の厚鋼板が圧延される。圧延された厚鋼板1は、通過型の水冷装置3で水冷された後に矯正機4で形状を矯正する。この段階では、矯正を終了した厚鋼板は、1枚1枚単独で圧延ラインを搬送されてくる。厚鋼板1の動きとソレノイド型誘導加熱装置5の位置関係を図3で模式的に説明する。ここで、誘導加熱装置5で加熱するに際しては、誘導加熱装置5−1の入側の入側ローラ群8aと誘導加熱装置間の中間ローラ群8bおよび誘導加熱装置出側の出側ローラ群8cは、ローラ回転速度を独立に変更することが可能である。
はじめに、被加熱物である1枚の厚鋼板1−1を第1のソレノイド型誘導加熱装置5−1を通過させる(図3(a))。次に、この厚鋼板1−1の後端部が第1のソレノイド型誘導加熱装置5−1に到達した時点で2枚目の被加熱物の厚鋼板1−2を先行鋼板1−1の搬送速度よりも速い速度で誘導加熱装置5−1の入側へ搬送し(図3(b))、後行鋼板1−2の先端を先行鋼板1−1の後端に近接させて、先行鋼板1−1と連続的に通過させる(図3(c))。この時、各誘導加熱装置5−1〜5−6のコイルを通過中の先行鋼板1−1の後端と後行鋼板1−2の先端が近接しているため、誘導加熱装置のコイルには常に被加熱物である鋼板がコイル内に充満している状態でコイルに電力が投入される。通常このような誘導加熱装置は、コイル内を流れる電流が一定になるようにコイル端子の電圧を制御するが、例えば、鋼板が単独で独立して通過する場合には、鋼板の先端部が入る過程と鋼板の後端部が抜け出る過程ではコイル内に被加熱物が充満されない状態が生じる。この時、誘導加熱装置には、パワーが入らず、一定速度で送った場合、鋼板先端部と後端部の温度の上昇が定常部、すなわち、コイル内に常に被加熱物が充満した状態で加熱された部分に比べて、昇熱量が少なく温度が下がる。しかしながら、本発明のように、連続的に先行鋼板1−1の後端部と後行鋼板1−2の先端部を近接させて、コイルを通過させると、コイル内を常に被加熱物が充満した状態で電力が供給されるので、常に負荷が一定で先行鋼板1−1の後端部と後行鋼板1−2の先端部の加熱が定常的になされる。したがって、この方式では鋼板の長手方向にどの部分でも一定のパワーの供給がなされて、昇熱量が一定となる。よって、昇熱後の鋼板長手方向の温度分布が一様で均等な加熱がなされる。
先行鋼板1−1が最終段の誘導加熱装置5−6を抜けた段階で誘導加熱装置後の出側ローラ群8cのローラ回転速度を上げて先行鋼板1−1を速やかにコイルから遠ざける(図3(e))。このように、本発明の誘導加熱装置では連続的に鋼板を熱処理することが可能であって、誘導加熱装置内だけは鋼板を近接させながら通板することで効率的に熱処理することが可能である。誘導加熱装置の前後の入側ローラ群8a、中間ローラ群8b、出側ローラ群8cの各ローラの回転速度を独立に可変とすることで、先行する鋼板と後行する鋼板を任意に近接させたり、離したりすることが可能で、安定した誘導加熱を鋼板先端から後端まで施すことが可能である。
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例として、図2で示したソレノイド型誘導加熱装置を厚鋼板の製造ラインに適用した例について説明する。なお、6台のソレノイド型誘導加熱装置5−1〜5−6のコイル長(鋼板の長手方向に対応する寸法)は80cmで、各誘導加熱装置の間隔は1mである。通過可能な板幅は最大4600mm、板厚は最大100mmである。さらに各誘導加熱装置間には、鋼板の温度をモニターする目的で温度計12が設けられている。
この誘導加熱装置に、熱間圧延を施した板厚25mm、板幅3000mm、長さ10mの厚鋼板を、水冷により30℃まで加速冷却する焼入れ処理を行い、続いて、水冷中に発生した歪みを矯正機で除去して平坦にした。その後、6台のソレノイド型誘導加熱装置5−1〜5−6を通して、焼戻し温度である650℃まで板中央部の温度が昇熱されるように熱処理を施した。このとき、ソレノイド型誘導加熱装置5−1〜5−6の投入電力、厚鋼板の通板速度を、表1に示すように設定した。なお、各ソレノイド型誘導加熱装置の周波数は1000Hz一定で、鋼板は誘導加熱装置を一定速度で通過させた。
Figure 0005332072
まず、第1の鋼板を誘導加熱装置5−1の入側まで入側ローラ群8aによって速やかに搬送した後に中間ローラ群8bを鋼板速度が所定の2.4mpmになるように回転し、鋼板を送入した。その後、同鋼板は誘導加熱装置5−1〜5−6を通過しながら加熱された。なお、各誘導加熱装置間に配置されている温度計12の出力によって以降の誘導加熱装置の出力は自動的に制御されて、誘導加熱装置を出た時点では、鋼板の中央部は所定の温度650℃まで昇温していた。(この場合、この鋼板については、その先端部に前の材料がなかったため、その先端部は非定常な加熱となり、650℃まで加熱されず50℃程度加熱不足となっていた。)
この鋼板の後端が誘導加熱装置5−1の入口に到達した段階で次の鋼板が入側ローラ群8aによって速やかに搬送され、先行する鋼板の後端と後行する鋼板の先端との距離が25cmとなったところで、先行鋼板と同じ速度すなわち2.4mpmで後行鋼板を誘導加熱装置に送入した。このとき、先行鋼板と後行鋼板の距離を本実施例では25cmとしたが、この距離は、近すぎると先行鋼板の先端と後行鋼板の後端との間にスパークによる放電が発生し、場合によっては溶けて溶着したり高温になったりする。ここでは5cm以上が望ましい。また、離しすぎるとコイル内に充満する鋼板量が少なくなってコイルの負荷電力が変化するので、コイル長の2/3以下、望ましくはコイル長の半分以下であり、本実施例の場合はコイル長が80cmであるので40cm以下が望ましい。
このように、先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を近接させた状態で、誘導加熱装置を通過させて、先行鋼板の後端が最終段誘導加熱装置のコイル出口に到達した段階で、出側ローラ群8cの搬送速度を上げて、加熱処理の終了した先行鋼板を速やかに次工程である冷却床へ搬送した。このような搬送を繰り返すことで連続的な鋼板の加熱を行うことが可能である。
加熱後の先行鋼板の後端部付近は、温度が中央部と同じ650℃まで加熱されていた。
(第2の実施例)
第2の実施例は、熱処理を施す鋼板の先端部および/または後端部に、図4に示すような長さがコイルの半分程度以上のダミー材14を近接させて通過させる場合である。なお、この実施例は連続的に加熱する場合の第1の鋼板の先端部分の温度が降下している部分を補完する効果が期待される。
第1の実施例と同じ設備構成で同じ鋼板を加熱処理する場合、鋼板1−1の前に、被加熱材と同じ幅3000mm、厚み25mm、長さ2mの鋼板のダミー材を置いて連続的に通過させてダミー材と鋼板1−1を連続的に加熱した。ダミー材と鋼板1−1を近接させた状態で、誘導加熱装置5を通過させて、ダミー材の後端が最終段誘導加熱装置5−6のコイル出口に到達した段階で、出側ローラ群8cの搬送速度を上げて、ダミー材を速やかに次工程である冷却床へ搬送した。加熱後の鋼板1−1の先端部付近は、温度が中央部と同じ650℃まで加熱されていて、先端部の加熱不足は解消されていた。
このダミー材の大きさは、板幅、板厚が被加熱材と同じであることが望ましいが、特に大きさをそろえる必要はない。またダミー材の長さはコイル長以上であればよく、また、搬送テーブルからの落下防止を考えると、ローラテーブル間隔の3倍以上は必要であるが、それ以上いくら長くても構わない。しかし、あまり長いと不要な電力を消費するので、可能な限り短くすることが望ましい。また、ダミー材の電磁特性は、被加熱鋼板と同じ特性を持つ材料であることが望ましい。図4においては、ダミー材14の長さを短くしているので、搬送テーブルからの落下防止のため、ダミー材14と同じ大きさ、同じ材質の鋼板をカウンターウエイト15として用い、両者をサポート材16で連結してフレーム状のダミー材として構成している。
(比較例)
比較例として、鋼板を一枚だけ表1に示した誘導加熱条件で熱処理した場合の鋼板の加熱状態を説明する。各誘導加熱装置出側の温度計12で連続的に当該鋼板の長手方向の温度を計測したところ、誘導加熱装置を通過した時点で当該鋼板の先後端部は、コイルの長さ、すなわち先端部80cmと後端部80cmが当該鋼板の長手方向中心部、幅方向中心部の表面温度に比べて約50℃温度が降下していた。この部分は通常の熱処理を施された部分に比較して、当初予定されていた熱処理効果が得られず、先端部と後端部は硬度が高くなっていた。また、この部分のミクロ組織観察を行ったところ、焼き入れままの組織が観察された。このように、先端部と後端部には焼戻し効果が不十分な領域が存在し、所要の品質が得られなかった。この場合は硬さが焼き入れ状態と変わらず、焼戻し効果が得られなかった。そのため、この鋼板の先端部100cmと後端部100cmを切断機で切り落とした。
この板端部の非定常部は、熱処理パターンや通過速度を変更することで多少軽減される。例えば、板先端部、後端部の加熱不足は、先端部と後端部の通過速度を遅くする、あるいはコイル中に止める等の対策で多少改善はするが、先端部から中央部にかけて、あるいは後端部から中央部にかけての広い鋼板領域の加熱が非定常な加熱となるので、望ましい方法ではない。
発明の効果
以上のように、本発明によれば、誘導加熱装置により先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を近接させて連続的に加熱するので、鋼板の先端部および後端部における非定常部分を少なくすることができ、鋼板全体を均質な材料に熱処理することができる。
本発明による鋼板の製造ラインの概要図である。 本発明の熱処理装置の概要図である。 第1の実施例における先行鋼板と後行鋼板の動きを示す説明図である。 第2の実施例で使用したダミー材の構成図である。 誘導加熱装置のトランスバース型とソレノイド型の説明図である。 ソレノイド型誘導加熱装置で鋼板を通過させながら加熱する場合の様相を示した図である。 図6に示したソレノイド型誘導加熱装置内の各位置に鋼板が到達した段階でのコイルへの投入電力量の推移を示した図である。
1 鋼板(厚鋼板)
1−1 先行鋼板
1−2 後行鋼板
2 熱間圧延機
3 水冷装置
4 矯正機
5 誘導加熱装置
5−1〜5−6 ソレノイド型誘導加熱装置
6 コイル
8 搬送テーブル
8a 入側ローラ群
8b 中間ローラ群
8c 出側ローラ群
10 冷却床
12 温度計
14 ダミー材
15 カウンターウエイト
16 サポート材

Claims (4)

  1. 間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置の中を1枚の厚鋼板を通過させて加熱する厚鋼板の熱処理方法において、該1枚の厚鋼板の前および後に、それぞれダミー材を配置し、該厚鋼板と該ダミー材との間隔を所定の間隔に保ちながら厚鋼板を連続的に加熱するに当たり、該所定の間隔を5cm以上、前記誘導加熱装置のコイルの長さの2/3以下とすることを特徴とする厚鋼板の熱処理方法。
  2. 間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置の中を複数の厚鋼板を通過させて加熱する厚鋼板の熱処理方法において、先頭鋼板の前および最後尾鋼板の後に、それぞれダミー材を配置し、該先頭鋼板および該最後尾鋼板と該ダミー材との間隔と、中間の鋼板同士の間隔とをそれぞれ所定の間隔に保ちながら厚鋼板を連続的に加熱するに当たり、該所定の間隔を5cm以上、前記誘導加熱装置のコイルの長さの2/3以下とすることを特徴とする厚鋼板の熱処理方法。
  3. 先行鋼板の後端が最終段誘導加熱装置のコイル出口に到達した段階で、出側ローラ群の搬送速度を上げて、加熱処理の終了した先行鋼板を速やかに次工程へ搬送することを特徴とする、請求項2に記載の厚鋼板の熱処理方法
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板の熱処理方法に用いる熱処理装置であって、間隔を離して設置した複数の誘導加熱装置と、厚鋼板を搬送する搬送ローラ群とを備え、第1段の誘導加熱装置上流側の入側ローラ群と、各誘導加熱装置間の中間ローラ群と、最終段の誘導加熱装置下流側の出側ローラ群とが、それぞれ独立に搬送速度が変更可能に構成されていることを特徴とする厚鋼板の熱処理装置。
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