JPH1110078A - 連続塗装ラインにおける塗装鋼板の焼付方法 - Google Patents

連続塗装ラインにおける塗装鋼板の焼付方法

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JPH1110078A
JPH1110078A JP18178697A JP18178697A JPH1110078A JP H1110078 A JPH1110078 A JP H1110078A JP 18178697 A JP18178697 A JP 18178697A JP 18178697 A JP18178697 A JP 18178697A JP H1110078 A JPH1110078 A JP H1110078A
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baking
furnace
coating
steel sheet
solvent
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JP18178697A
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Hiroyuki Kato
博之 加藤
Yasuhisa Tajiri
泰久 田尻
Keiji Yoshida
啓二 吉田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜焼付時間の大幅な短縮化と塗膜性能の向
上を図り、優れた品質の塗装鋼板を高い生産性で且つエ
ネルギー原単位を低く抑えつつ製造する。 【解決手段】 連続塗装ラインで厚膜塗装を行うに際
し、塗料の塗布後、間隙を設けて配設された複数の加熱
用コイルを有する誘導加熱炉で、溶剤希釈用ガスの流通
下“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”内で100℃
以上170℃以下の温度まで急速加熱した後、引き続き
熱風焼付炉で焼付処理し、且つ、前記誘導加熱炉から排
出された溶剤希釈用ガス中の溶剤成分を燃焼させ、該燃
焼排ガスの顕熱を熱風焼付炉の熱源として利用すること
を特徴とし、これにより表面外観、塗膜硬度等の諸特性
に優れた高品質、高性能のコイル状塗装鋼板を高い生産
性で、且つエネルギー原単位を低く抑えつつ製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は連続塗装ラインにお
ける塗装鋼板の焼付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コイル状やシート状の鋼板或いは
めっき鋼板に予め塗装が施され、出荷後ユーザーにて製
品に加工される、いわゆるプレコート鋼板が家電製品等
の分野において広く用いられるようになり、このような
塗装鋼板の塗膜に対しても、表面外観や色調、塗膜硬
度、加工性、塗膜表面の耐汚染性等の諸性能に関して優
れた品質特性が要求されている。
【0003】上記のようなプレコート鋼板の製造におい
て、従来から行われている熱風焼付炉での熱風焼付によ
る塗膜の硬化仕上げ方法は、それ自体、塗装鋼板の焼付
法として確立された技術であり、これにより得られる塗
膜は外観やその他の諸性能についてもほぼ満足し得るも
のである。しかし、この従来法の問題は生産性に劣る点
にあり、その焼付工程に比較的長時間(通常で約60秒
前後)を要するとともに、鋼板サイズ(鋼板の厚みや大
きさ)や塗膜の厚み等によっては焼付時間がさらに長時
間化し、このため生産性に劣る。
【0004】熱風焼付方式による塗膜への熱伝達機構で
は、熱が鋼板外側から塗膜に伝わる。このため急速に焼
付を行うと塗膜硬化が塗膜表面から進行してしまい、塗
膜中に溶剤が残留することになるため、特に加工性が劣
化しやすい。また、溶剤蒸発を促進する目的で熱風の吹
き付け速度を過剰に大きくすると、塗膜の表面にワキが
発生し、表面外観が著しく悪化してしまう。また、加熱
中に蒸発した溶剤は炉内に充満すると爆発の危険があ
り、このためその濃度を爆発限界よりかなり希釈するた
めの大量の希釈ガス(フレッシュエアー)を供給する必
要があるが、この希釈ガスは炉内熱損失を防止するため
加熱してから供給する必要があり、この加熱のため大量
のエネルギーを必要とし、エネルギー原単位が悪い。し
たがって、熱風焼付方式においてライン速度を高速化さ
せるためには、溶剤蒸発のために熱風焼付炉長を長くす
る必要があり、設備スペースや消費エネルギーの面から
問題を生じる。
【0005】このような熱風焼付方式の問題点を解決す
るため、特開平6−114330号公報では誘導加熱炉
を用いて焼付を行う方法が提案されている。この焼付方
法は、塗装直後に誘導加熱炉内において塗膜硬化温度未
満の低温度の気流を吹き付けながら、“ワキの発生しな
い限界加熱温度”内で急速加熱して焼付処理を行うか、
或いは塗膜硬化温度未満の温度で予備加熱後、上記と同
様の急速加熱による焼付処理を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開平6
−114330号公報の焼付方法は、塗膜硬化温度範囲
において十分な硬化時間が得られないことから、塗膜表
面部分の硬化が熱風焼付により得られる塗膜に較べて不
十分となり、得られる塗膜は硬度や耐汚染性などの性能
が劣ったものとなる。また、塗料中に着色顔料を添加し
ている場合には、従来の熱風焼付方式と較べて塗膜中で
の顔料の分布状態が変化するため目的とする色調との間
に差が生じ、新たに色調整を行う必要が生じる。
【0007】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の問題を解決し、特に塗膜の焼付時間の大幅な短
縮化と塗膜性能の向上を図ることができ、優れた品質の
塗装鋼板を高い生産性で、しかもエネルギー原単位を低
く抑えつつ製造することができる塗装鋼板の焼付方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るための本発明法は、連続塗装ラインにて鋼板に厚膜塗
装を行うに際し、塗料の塗布後、間隙を設けて配設され
た複数の加熱用コイルを有する誘導加熱炉において、溶
剤希釈用ガスの流通下、“ワキの発生しない限界溶剤蒸
発速度”(但し、“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速
度”:厚膜塗装を行うに際して、塗料を塗布した後、誘
導加熱により室温から硬化剤の硬化温度直前まで昇温し
たときの、塗膜表面にワキの発生しない限界昇温速度)
内で、100℃以上170℃以下の温度まで急速加熱し
た後、引き続き熱風焼付炉において焼付処理する塗装鋼
板の焼付方法であって、前記誘導加熱炉から排出された
溶剤希釈用ガス中の溶剤成分を燃焼させ、該燃焼により
昇温した溶剤希釈用ガスを用いて前記熱風焼付炉に供給
する空気を加熱することを特徴とする連続塗装ラインに
おける塗装鋼板の焼付方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、家電製品等の用途
のプレコート鋼板において代表的な塗装鋼板であるポリ
エステル樹脂系塗料等を塗装した塗装鋼板を主たる対象
として、厚膜塗装した際の焼付方法について鋭意研究を
重ねた結果、次のような知見を得た。上述したように連
続塗装ラインにおける塗装鋼板の焼付方法には、誘導加
熱方式のように電気的に鋼板内部側から塗膜を加熱する
方法と、熱風焼付方式のように鋼板の外側から塗膜を加
熱する方法とがあるが、検討の結果、焼付処理の前段に
おいて誘導加熱炉による加熱を行うとともに、焼付処理
の後段において熱風焼付炉による加熱を行うという焼付
方式を採ることにより、焼付処理を短時間で行うことが
でき、しかも良好な塗膜性能が得られることを見い出し
た。
【0010】このような焼付方法では、まず、焼付工程
の前段で誘導加熱炉による加熱を行うことにより、塗膜
中の硬化剤が反応を開始するまでの予備加熱時間が短縮
されるとともに、短時間で溶剤蒸発が促進され、しかも
ワキなどの表面外観の異常発生も防止される。次いで、
焼付工程の後段で熱風焼付炉による加熱を行うことによ
り塗膜の硬化が表面から行われ、これにより塗膜の硬度
や加工性等の諸性能も確保でき、また色調も従来の熱風
焼付方式により得られる塗膜と同等のものが得られる。
したがって、本発明法では連続塗装ラインでの厚膜塗装
の焼付において、塗料の塗布後行われる焼付工程の前段
では誘導加熱により急速加熱を行い、焼付工程の後段で
は熱風加熱炉での焼付を行うことを基本とする。
【0011】次に、本発明者らは焼付工程前段で行われ
る誘導加熱の適正な加熱昇温条件を調べるため、各種塗
料及び硬化剤を用いた場合の塗膜厚及び加熱昇温速度と
表面外観との関係について調査を行った。その結果、塗
膜厚に関しては、焼付工程前段で誘導加熱した後、焼付
工程後段で熱風加熱を行った場合においても、従来から
言われているように乾燥塗膜厚が略10μm未満の場合
には昇温速度に関係なくワキなどの表面外観異常は生じ
なかった。しかし、家電製品などのプレコート鋼板の塗
膜厚は塗膜の耐久性を考慮して約10〜30μm程度と
するのが一般的であり、このような厚膜塗装では昇温速
度によってはワキなどの表面外観異常を生じ、図1に示
すような“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”が存在
することが判った。
【0012】図1は、クロメート処理を施した亜鉛めっ
き鋼板に白色のポリエステル樹脂/メラミン樹脂(硬化
剤)系の塗料をロールコーターで塗布した後、誘導加熱
炉にて硬化剤の硬化温度未満(直前)まで昇温し、引き
続き熱風焼付炉にて焼付を行った場合において、誘導加
熱炉で昇温加熱した際のワキの発生による塗膜表面外観
の悪化の有無を調べ、これを塗膜の乾燥塗膜厚と加熱昇
温速度との関係で示したものである。これによれば、乾
燥塗膜厚が約10〜30μmの範囲ではワキが発生しな
い加熱昇温速度に上限があることが判る。
【0013】そこで本発明では、厚膜塗装(乾燥塗膜
厚:約10〜30μm)を行うに際し、塗料を塗布した
後、誘導加熱炉において室温から硬化剤の硬化温度直前
まで昇温したときの、塗膜表面にワキの発生しない限界
加熱昇温速度を“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”
と定義し、焼付工程前段の誘導加熱では、塗料が塗布さ
れた鋼板を“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”内で
急速加熱することを条件とする。
【0014】上記“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速
度”は塗料の種類、溶剤の種類や配合量、さらには塗膜
厚等によって異なるが、実験により容易に把握すること
が可能である。例えば、ポリエステル樹脂/メラミン樹
脂(硬化剤)系塗料の“ワキの発生しない限界溶剤蒸発
速度”は55℃/secであり、また、ポリエステル樹
脂/イソシアネート(硬化剤)系塗料の“ワキの発生し
ない限界溶剤蒸発速度”は70℃/secである。ま
た、誘導加熱による急速加熱の加熱速度は20℃/se
c以上とすることが好ましい。また、特に上記ポリエス
テル樹脂/イソシアネート(硬化剤)系塗料の場合のよ
り好しい加熱速度は35℃/sec以上である。
【0015】次に、図2および図3は、クロメート処理
を施した亜鉛めっき鋼板に白色のポリエステル樹脂/メ
ラミン樹脂(硬化剤)系の塗料をロールコーターで塗布
した後、誘導加熱炉にて“ワキの発生しない限界溶剤蒸
発速度”内で昇温加熱し、引き続き熱風焼付炉にて焼付
を行った場合において、誘導加熱における到達温度(板
温)とワキ発生状況および塗膜硬度との関係を調べ、そ
の結果を示したものである。
【0016】これによれば、焼付工程の前段において誘
導加熱により“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”内
で昇温を行っても、例えば硬化剤であるメラミン樹脂の
硬化反応開始温度が130〜150℃程度、ブロックイ
ソシアネートの硬化反応開始温度が140〜160℃程
度であることから、誘導加熱による到達温度が170℃
より高い場合には塗膜の硬化が塗膜内部から相当程度に
進行してしまい、このため塗膜硬度が不十分となる(図
3参照)。
【0017】一方、誘導加熱の到達温度が100℃未満
の場合には、塗料中の溶剤蒸発が不十分な状態で熱風焼
付が行われるため、誘導加熱における昇温を“ワキの発
生しない限界溶剤蒸発速度”内で行っても、熱風焼付の
際にワキなどの表面外観異常が発生してしまう(図2参
照)。したがって、本発明では誘導加熱により100℃
以上170℃以下の温度まで急速加熱を行い、しかる
後、熱風焼付炉に導入して塗装焼付することを条件とす
る。
【0018】本発明法では、上述した焼付工程前段での
誘導加熱を、間隙を設けて配設された複数の加熱用コイ
ルを有する誘導加熱炉を用い、溶剤希釈用ガスの流通下
において行う。このように複数の加熱用コイル間に間隙
が形成された誘導加熱炉を用いて焼付処理を行うことに
より、加熱用コイル内からの蒸発溶剤の排出を極めて円
滑に行わせることができ、これにより溶剤蒸発をより促
進させ、且つ溶剤希釈用ガスで希釈された蒸発溶剤を速
やかに炉外に排出することができる。従来行なわれてい
る誘導加熱炉のみを用いた塗装鋼板の焼付では、上記の
ように加熱用コイル間に間隙を設けると焼付の均一性が
確保できないという問題があるが、本発明で行う誘導加
熱は塗膜中の溶剤を蒸発させることだけを目的としてい
るため、焼付の均一性確保という点は何ら考慮する必要
はない。
【0019】また、本発明法では誘導加熱炉から排出さ
れた溶剤希釈用ガス中の溶剤成分を燃焼させ、この燃焼
により昇温した溶剤希釈用ガスを用いて前記熱風焼付炉
に供給する空気を加熱する。このように誘導加熱炉から
排出された蒸発溶剤を燃焼させ、その燃焼排ガスの顕熱
を熱風焼付炉の熱源として利用することによりエネルギ
ー原単位の低減を図ることができる。
【0020】以上のような塗装焼付を行うことにより、
焼付工程前段の誘導加熱では塗膜がその内側(鋼板側)
から加熱されるため溶剤が効率的に蒸発し、このため短
時間のうちに溶剤が蒸発し、また続く焼付工程後段の熱
風焼付では溶剤蒸発に対する配慮がほとんど必要でない
ため、塗料硬化温度への急速且つ十分な加熱が可能であ
り、以上の結果、従来の熱風焼付方式に較べて高速で短
時間の焼付処理が可能となる。また、従来の誘導加熱方
式と較べ良好な表面外観及び塗膜性能を得ることができ
る。また本発明法は、例えば既設の乾燥炉が誘導加熱炉
である場合にはその出側に熱風焼付炉を設置することに
より、また、既設の乾燥炉が熱風焼付炉である場合には
その入側に誘導加熱炉を配置することにより、それぞれ
既設の設備を利用して容易に実施することができ、これ
により生産性を大きく高めることができる。
【0021】厚膜塗装(乾燥膜厚:約10〜30μm程
度)を前提とする本発明法は、一般に厚膜塗装が行われ
る鋼板の上塗り塗装に好適な焼付方法である。通常、こ
のような上塗り塗装が施される塗装鋼板は、まず下地鋼
板(冷延鋼板、各種めっき鋼板等)の少なくとも片面側
にクロメート処理等の化成処理を施し、次いでこの化成
処理面に下塗り塗装を施し、焼付処理することによって
下塗り塗膜を形成し、しかる後、この下塗り塗膜の上層
に上記した上塗り塗膜を塗装焼付することにより製造さ
れる。但し、下塗り塗膜や3コート材の中塗り塗膜につ
いても、これらを厚膜塗装(乾燥膜厚:約10〜30μ
m程度)する場合には、本発明の焼付方法を適用できる
ことは言うまでもない。
【0022】図4および図5は本発明の実施に供される
連続塗装ラインの一実施形態を示すもので、1は鋼板表
面塗装用の塗装ロール、2は鋼板裏面塗装用の塗装ロー
ル、3は焼付装置を構成する誘導加熱炉、4は同じく熱
風焼付炉、5はバックアップロール、6,7は焼付装置
の入側および出側にそれぞれ設けられたサポートロール
である。鋼板Sはバックアップロール5に巻き付けられ
た位置で、塗装ロール1によりまず表面側が塗装され、
次いでカテナリー曲線Xを形成する一方のサポートロー
ル6の出側位置で塗装ロール2により裏面側が塗装され
る。そして、このような塗装後直ちに誘導加熱炉3に導
入されて加熱され、大部分の溶剤が蒸発せしめられる。
引き続き鋼板Sは熱風焼付炉4に導入され、塗料硬化温
度まで焼付される。
【0023】図5は前記誘導加熱炉3の詳細を示すもの
で、この誘導加熱炉3は、その炉体8内にライン方向で
間隙10を設けて配設された複数の加熱用コイル9を有
している。先に述べたように本発明で行う誘導加熱は塗
膜中の溶剤を蒸発させることだけを目的としているた
め、焼付の均一性確保という面は考慮する必要がなく、
このため加熱用コイル9間に間隙10を設けても何の問
題もない。逆に、このような間隙10を形成することに
より、加熱用コイル9内からの蒸発溶剤の排出を極めて
円滑に行わせることができ、誘導加熱による急速加熱に
よって塗膜中の溶剤を速かに蒸発させるという本発明が
狙いとする効果がより高められる。
【0024】誘導加熱炉3の炉体前面及び後面に設けら
れた鋼板導入部11及び鋼板導出部12にはそれぞれシ
ール13(ガスシール等)が設けられている。前記鋼板
導入部11が設けられた炉体8の前面には炉体内に溶剤
希釈用ガスを導入するためのガス導入管14が接続され
ている。また、ライン方向における炉体後部には溶剤希
釈用ガスの排出部15が形成され、この排出部15にガ
ス排出管16が接続される。
【0025】このような構造の誘導加熱炉3では、鋼板
導入部11から炉内に入った鋼板Sは複数の加熱用コイ
ル9により加熱された後、鋼板導出部12から炉外に出
される。また、炉体前部のガス導入管14から炉体内に
供給された溶剤希釈用ガスは炉体後部方向に流れ、蒸発
した溶剤を伴って炉体後半部に形成された排出部15か
らガス排出管16を通じて炉外へ排出される。炉体8内
の複数の加熱用コイル9はライン方向で間隙10を設け
て配設されているため、蒸発した溶剤はコイル内部に溜
まることなく、この間隙10を通じてコイル外へ流れ、
排出部15から速かに排出される。なお、このような焼
付工程前段の誘導加熱では、下地鋼板の種類や板厚に応
じて、磁界を鋼板の進行方向に発生させるLFX方式の
誘導加熱炉と磁界を鋼板の厚さ方向に発生させるTFX
方式の誘導加熱炉とを適宜選択して用いることが好まし
い。
【0026】誘導加熱炉3から排出された溶剤希釈用ガ
ス中の蒸発溶剤を燃焼させ、その燃焼排ガスの顕熱を熱
風焼付炉4の熱源として利用するため、ガス排出管16
の途中には溶剤燃焼炉17と熱交換器18が順に設けら
れている。誘導加熱炉3からガス排出管16に排出され
た蒸発溶剤を含む溶剤希釈用ガス(通常、ガス温度:2
00℃程度)は、吸引ブロワ19を介して溶剤燃焼炉1
7に導かれ、ここで助燃バーナ20によってガス中の蒸
発溶剤を燃焼させることにより、例えば750〜800
℃程度まで昇温する。次いで、この昇温した溶剤希釈用
ガスは熱交換器18に導入され、ここで熱風焼付炉4に
供給される空気と熱交換される。この熱交換により熱風
焼付用の空気は通常300〜350℃程度まで昇温し、
配管21及びブロワ22により熱風焼付炉4内に熱風と
して供給され、塗装鋼板Sを加熱する。熱交換された溶
剤希釈用ガスは、排気ブロワ23により熱風焼付炉4内
から排出されるガスとともに大気に放散される。
【0027】
【実施例】片面当りの亜鉛めっき量が30g/m2の溶
融亜鉛めっき鋼板(板厚0.6mm)の表面に塗布型ク
ロメート処理を施した下地鋼板に対して、乾燥膜厚5μ
mの下塗り塗料(関西ペイント(株)製 KP862
0)を塗装焼付し、次いで、連続塗装ラインにおいて、
下記上塗り塗料A〜Cを用いてそれぞれの乾燥塗膜厚に
なるように上塗り塗装を施した。 ・塗料A ポリエステル/メラミン(硬化剤)系塗料:分子量18
000,乾燥塗膜厚20μm,ワキの発生しない限界溶
剤蒸発速度37℃/sec ・塗料B ポリエステル/メラミン(硬化剤)系塗料:分子量12
000,乾燥塗膜厚18μm,ワキの発生しない限界溶
剤蒸発速度30℃/sec ・塗料C ポリエステル/イソシアネート(硬化剤)系塗料:分子
量8000,乾燥塗膜厚18μm,ワキの発生しない限
界溶剤蒸発速度45℃/sec
【0028】このようにして得られた塗装鋼板につい
て、以下に示す方法および基準で表面外観、塗膜硬度、
加工性、耐汚染性、色調及び使用熱量の評価を行った。
その結果を、上塗り塗料の塗装焼付条件とともに表1に
示す。なお、表1中に示す加熱方式のうち、(1)は図4
および図5に示す連続塗装設備を用いた本発明による加
熱方式、(2)は焼付工程前段に誘導加熱炉、焼付工程後
段に熱風焼付炉を備えた設備であって、加熱用コイルに
図5に示すような間隙を設けず、且つ蒸発溶剤の燃焼排
ガスの顕熱を熱風焼付炉の熱源として利用するための機
構を有しない連続塗装設備を用いた加熱方式、(3)は従
来の熱風加熱のみによる加熱方式である。 (1) 表面外観 塗膜表面を目視で観察し、以下の基準で表面外観を評価
した。 ○:塗膜面にワキなどの表面外観異常なし(合格) ×:塗膜面にワキなどの表面外観異常あり(不合格)
【0029】(2) 塗膜硬度 塗膜表面の硬度をJIS K 5400による鉛筆硬度試
験法により測定した。測定された塗膜硬度は以下のよう
に評価される。 合格:塗膜硬度が、同じ塗料を用いた“従来例”と同等
かまたはそれ以上 不合格:塗膜硬度が、同じ塗料を用いた“従来例”より
も小さい (3) 加工性 JIS K 5400による折り曲げ加工試験法により塗
膜の加工性を測定し、下記により評価した。 ○:加工性が、同じ塗料を用いた“従来例”と同等かま
たはそれ以上(合格) ×:加工性が、同じ塗料を用いた“従来例”よりも加工
性が劣る(不合格)
【0030】(4) 耐汚染性 各供試材に対応して、同じ塗料および乾燥塗膜厚で塗装
されたものを従来の熱風焼付方式(熱風焼付炉のみを用
いた焼付方法)で焼き付けた“熱風焼付材”を作成し、
各供試材とこの“熱風焼付材”の塗膜表面を赤のマジッ
クインキ(内田洋行(株)製)で塗りつぶし、24時間
後、脱脂綿に石油ベンジン/エタノール=50/50溶
液を含ませてマジックを拭き取った後、ΔE(=[試験
後のL,a,b値]−[試験前のL,a,b値]の相乗
平均)を測定し、供試材のΔEが熱風焼付材のΔE±2
の範囲内にあるか否かにより、以下の基準で塗膜表面の
耐汚染性を評価した。 ○:供試材のΔEが熱風焼付材のΔE±2.0の範囲内
にある(合格) ×:供試材のΔEが熱風焼付材のΔE±2.0の範囲外
にある(不合格)
【0031】(5) 色調 各供試材に対応して、同じ塗料および乾燥塗膜厚で塗装
されたものを従来の熱風焼付方式(熱風焼付炉のみを用
いた焼付方法)で焼き付けた“熱風焼付材”を作成し、
各供試材とこの“熱風焼付材”との塗膜表面の色差ΔE
(=[本実施例の供試材の塗膜表面のL,a,b値]−
[“熱風焼付材”の塗膜表面のL,a,b値]の相乗平
均)を測定し、以下の基準で色調を評価した。 ○:ΔE±1.0の範囲内の色差(合格) ×:ΔE±1.0の範囲外の色差(不合格) (6) 使用熱量 各供試材(加熱方式(1),(2)で焼付処理した供試材)を
製造するための1時間当りの工場燃焼ガス(コークス炉
ガス)使用量を測定し、同じ塗料及び乾燥塗膜厚で塗装
されたものを加熱方式(3)で焼付けた場合と比較した熱
量の削減度合いを以下の基準で評価した。 ○:熱量削減量が100kcal以上の場合 ×:熱量削減量が100kcal未満或いは増加した場
【0032】表1によれば、本発明例であるNo.1〜
9は熱風焼付方式よりも短時間で塗装焼付を行うことが
でき、しかも熱風焼付方式で得られた従来材と同等の特
性が得られている。一方、比較例であるNo.10〜1
6の塗装鋼板は、熱風焼付方式よりも短時間で塗装焼付
を行うことができるものの、表面外観、塗膜硬度、加工
性、耐汚染性、色調、使用熱量のうちのいずれかが劣っ
ている。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上述べたように本発明の塗装鋼板の焼
付方法によれば、短時間で焼付処理を行うことができる
とともに、表面外観、塗膜硬度、加工性、耐汚染性、色
調等の諸性能についても従来の熱風焼付方式で得られる
ものに較べて遜色がなく、したがって、高品質、高性能
のコイル状塗装鋼板を高い生産性で安定して製造するこ
とができる。
【0035】また、熱風焼付炉では溶剤の蒸発がほとん
どないため炉内への溶剤希釈用ガスの導入がほとんど不
要であり、このため溶剤希釈用ガスを加熱するためのエ
ネルギーを削減でき、加えて、誘導加熱炉から排出され
た蒸発溶剤を燃焼させ、その燃焼排ガスの顕熱を熱風焼
付炉の熱源として利用することから、塗装鋼板の焼付工
程におけるエネルギー原単位の低減化を図ることができ
る。さらに、誘導加熱炉による加熱は溶剤蒸発だけを目
的として行われるものであるため、塗装焼付を誘導加熱
炉のみで行う場合のような加熱パターン選択等の煩雑な
問題もなく、また幅方向での温度分布の不均一等も考慮
する必要がないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗装した鋼板を誘導加熱炉にて硬化剤の硬化温
度直前まで昇温加熱した際のワキの発生による塗膜表面
外観の劣化の有無を、乾燥塗膜厚と加熱昇温速度との関
係で示したグラフ
【図2】塗装した鋼板を誘導加熱炉にて“ワキの発生し
ない限界溶剤蒸発速度”内で昇温加熱し、引き続き熱風
焼付炉で焼付処理した際のワキの発生による塗膜表面外
観の劣化の有無を、誘導加熱炉での到達温度と誘導加熱
時間との関係で示すグラフ
【図3】塗装した鋼板を誘導加熱炉にて“ワキの発生し
ない限界溶剤蒸発速度”内で昇温加熱し、引き続き熱風
焼付炉で焼付処理した際の塗膜硬度の劣化の有無を、誘
導加熱炉での到達温度と誘導加熱時間との関係で示すグ
ラフ
【図4】本発明の実施に供される連続塗装設備の一例を
概略的に示す説明図
【図5】図4の連続塗装設備における誘導加熱炉の構成
を概略的に示す説明図
【符号の説明】
1,2…塗装ロール、3…誘導加熱炉、4…熱風焼付
炉、5…バックアップロール、6,7…サポートロー
ル、8…炉体、9…加熱用コイル、10…間隙、11…
鋼板導入部、12…鋼板導出部、13…シール、14…
ガス導入管、15…排出部、16…ガス排出管、17…
溶剤燃焼炉、18…熱交換器、19…吸引ブロワ、20
…助燃バーナ、21…配管、22…ブロア、23…排気
ブロア、S…鋼板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続塗装ラインにて鋼板に厚膜塗装を行
    うに際し、塗料の塗布後、間隙を設けて配設された複数
    の加熱用コイルを有する誘導加熱炉において、溶剤希釈
    用ガスの流通下、“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速
    度”(但し、“ワキの発生しない限界溶剤蒸発速度”:
    厚膜塗装を行うに際して、塗料を塗布した後、誘導加熱
    により室温から硬化剤の硬化温度直前まで昇温したとき
    の、塗膜表面にワキの発生しない限界昇温速度)内で、
    100℃以上170℃以下の温度まで急速加熱した後、
    引き続き熱風焼付炉において焼付処理する塗装鋼板の焼
    付方法であって、前記誘導加熱炉から排出された溶剤希
    釈用ガス中の溶剤成分を燃焼させ、該燃焼により昇温し
    た溶剤希釈用ガスを用いて前記熱風焼付炉に供給する空
    気を加熱することを特徴とする連続塗装ラインにおける
    塗装鋼板の焼付方法。
JP18178697A 1997-06-23 1997-06-23 連続塗装ラインにおける塗装鋼板の焼付方法 Pending JPH1110078A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003073746A (ja) * 2001-09-04 2003-03-12 Nkk Corp 鋼板の熱処理方法およびその装置
JP2014530102A (ja) * 2011-10-17 2014-11-17 宝山鋼鉄股▲分▼有限公司 電磁鋼表面に極厚絶縁塗膜を製造する方法

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