JP3213784B2 - 加工性の経時変化のない塗装金属板及びその製造法 - Google Patents

加工性の経時変化のない塗装金属板及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性の経時変化のな
い家電、器物、建材、自動車用等に用いられる塗装金属
板及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】十分管理された環境で塗装・焼き付けす
ることによって製造される塗装金属板は、蒸発溶剤によ
る大気汚染や廃棄塗料・溶剤等による水質汚染の心配が
なく、公害問題や労働者の作業環境問題を解決する一つ
の選択肢として近年急速にその需要が拡大している。塗
装金属板はすでに塗装されている金属板をプレスやロー
ルフォーミング等によって加工することが前提であるた
め、高度の加工性が要求されることが多く、最近特に冬
場の加工を考慮して低温での加工性を要求されることが
増加している。このような状況の中で、加工性を改善す
るために樹脂や塗料配合の開発が進められており、たと
えば特開昭61−32351号公報や特開昭62−54
67号公報に示されるように樹脂組成を工夫したり、又
は特開平2−269168号公報に示されるように塗料
配合を工夫する試みが種々なされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】塗装金属板は製造され
てから使用されるまでの時間が一定でなく、場合によっ
ては半年又は1年以上の長期にわたって保管された後に
使用されることがあり、保管中の変質問題が従来からあ
った。たとえば、耐食性不足による保管中の発錆や塗膜
の膨れ、加工性の劣化などが知られている。最近製造さ
れる塗装金属板はプライマー層を有する2コート2ベー
ク型が一般的であり、前者の耐食性の問題は最近では見
られなくなっているが、後者の加工性の経時変化は散見
され、いまだ問題を生じているのが現状である。
【0004】本発明は経時で加工性が変化する問題を解
決し、長期保管によっても加工性が劣化しない又は加工
性の劣化が極めて少ない塗装金属板及びその製造法を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の塗装金属板は、
有機系樹脂を成分とする塗膜が形成された塗装金属板に
おいて、樹脂のガラス転移点より高い温度に放置した後
にガラス転移点より低い温度に放置することを繰り返し
た後に示差熱分析してガラス転移点を測定したときにガ
ラス転移領域に吸熱ピークを示さず、かつガラス転移点
がその樹脂の製造直後より高くならない樹脂を塗膜中に
含有される架橋剤を除いた樹脂全体の95重量%以上含
有することを特徴とする加工性の経時変化のない塗装金
属板である。塗膜のガラス転移点が40℃以下であるこ
と、塗装原板が片面のめっき付着量が40g/m2 を越
える亜鉛系めっき鋼板であることは好ましい。また、本
発明の塗装金属板の製造法は、有機系樹脂を成分とする
塗膜を形成する塗装金属板の製造法において、樹脂のガ
ラス転移点より高い温度に放置した後にガラス転移点よ
り低い温度に放置することを繰り返した後に示差熱分析
してガラス転移点を測定したときにガラス転移領域に吸
熱ピークを示さず、かつガラス転移点がその樹脂の製造
直後より高くならない樹脂を塗膜中に含有される架橋剤
を除いた樹脂全体の95重量%以上含有する塗料を金属
板上に塗布し、硬化乾燥することを特徴とする加工性の
経時変化のない塗装金属板の製造法である。塗料が焼き
付け硬化型塗料であり、焼き付け直後に金属板温度を焼
き付け後塗膜のガラス転移点より30℃高い温度以下に
急冷することは好ましい。
【0006】
【作用】加工性が経時変化した塗装金属板を調査した結
果、加工性劣化の主な原因は樹脂の結晶化であることを
見いだした。しかし、加工性が経時で劣化していなくて
も樹脂の結晶化が進行しているものがあることがわか
り、結晶化しても必ずしも加工性が経時変化するとは限
らないことを突きとめた。更に検討を進めた結果、塗膜
を形成する樹脂をひとつひとつある条件下に置き、その
条件下で結晶化が進まないものが結果として加工性の経
時変化を起こさないことを見出し、本発明を完成した。
【0007】塗装金属板には有機系あるいは無機系のバ
インダー樹脂に必要に応じて顔料などを加えた塗膜が形
成されているが、本発明は有機系樹脂をバインダーとす
る塗装金属板に関するものである。
【0008】有機系のバインダー樹脂としては、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂などや、ポリエーテ
ルスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポ
リイミド樹脂などが挙げられ、これらの1種類又は混合
物が用いられる。更に必要に応じてメラミン樹脂、イソ
シアネート樹脂、エポキシ樹脂など前述の樹脂の官能基
と反応する官能基を有する樹脂が架橋剤として用いられ
る。
【0009】これらの樹脂に必要に応じて顔料、骨材、
添加剤等を加えて塗膜が形成されている。たとえば、酸
化チタン、弁柄、硫酸バリウム、シリカ、シアニンブル
ーなどの着色顔料や体質顔料、樹脂ビーズ、アルミフレ
ーク、マイカなどの添加物、消泡剤、レベリング剤など
の添加剤などである。
【0010】これらの樹脂はガラス転移点を有してお
り、ガラス転移点は熱機械分析法、示差熱分析(以下、
DSC法という)、動的粘弾性の測定などによって求め
ることができる。本発明では、DSC法により昇温速度
20℃で測定した熱分析曲線の変曲点をガラス転移点と
する。このガラス転移点の求め方を図1に示す。また、
本発明において樹脂の製造直後のガラス転移点とは、樹
脂を合成した後24時間以内に測定されたものを指す。
【0011】本発明では、塗膜中に含有する樹脂の適否
を判定するため、まず、塗膜中に含有する樹脂をガラス
転移点より高い温度に放置する。ガラス転移点より高い
温度とはガラス転移点より5〜20℃高い温度であり、
放置時間は特に限定されないが、1〜24時間が望まし
い。次いで、この樹脂をガラス転移点より低い温度に放
置する。ガラス転移点より低い温度とはガラス転移点よ
り10〜40℃低い温度であり、放置時間は特に限定さ
れないが、1〜24時間が望ましい。これを3回以上繰
り返した後、DSC法によってこの樹脂のガラス転移点
を測定する。ガラス転移点の測定は、当該樹脂の製造直
後のガラス転移点より低い温度に放置した後に行うこと
になる。このとき、熱分析曲線で、製造直後のガラス転
移点付近に吸熱ピークを生じるかどうか、更にガラス転
移点が製造直後より高くなっていないかどうかを調べ
る。吸熱ピークが認められず、かつガラス転移点に変化
のない樹脂は、経時で加工性の劣化がない。なお、吸熱
ピークは、図2に示すように、温度の高い領域の曲線を
ガラス転移点付近から低温領域に向かって外装したとき
に、外装線より吸熱ピークがでているかどうかで判断す
る。
【0012】ガラス転移点より高い温度に放置すると
き、ガラス転移点より20℃を越える温度まで高くなる
と経時での加工性の劣化を的確に捕らえられなくなる。
これは結晶化した部分が再溶解するためと考えられる。
逆にガラス転移点より5℃未満しか高くない場合にも、
経時での加工性の劣化を的確に捉えられない。これは結
晶化の促進が不十分になるためと思われる。また、ガラ
ス転移点より低い温度で放置するとき、ガラス転移点よ
り10℃未満低い場合と40℃を越えて低い場合には経
時での加工性劣化を的確に捉えられない。これは結晶化
の促進が不十分になるためと思われる。
【0013】ガラス転移点より高い温度、及び低い温度
での放置時間は特に限定されないが、1時間より短いと
十分促進されず、長すぎると判定に時間がかかり工業的
でない。また、ガラス転移点の変化は、ガラス転移点よ
り高い温度での放置とガラス転移点より低い温度での放
置を繰り返すときに、何回かおきに変化を追うと調べや
すい。
【0014】このようにして樹脂のガラス転移点より高
い温度に放置した後にガラス転移点より低い温度に放置
することを繰り返し、DSC法でガラス転移点を測定し
たときにガラス転移領域に吸熱ピークを示さず、かつガ
ラス転移点がその樹脂の製造直後より高くならない樹脂
の量が、塗膜中に含有される架橋剤を除いた樹脂全体の
95重量%未満の場合には、加工性が経時で劣化するこ
とがある。逆に樹脂が上述の方法で吸熱ピークを示し、
またガラス転移点の上昇が認められる場合でも、その樹
脂の塗膜中の全樹脂に占める樹脂量割合が5%未満であ
れば経時での加工性劣化は認められない。
【0015】さらに、樹脂がポリエステル樹脂であり、
架橋剤成分も含む全樹脂を硬化、乾燥させて形成した塗
膜のガラス転移点が40℃以下であると、初期の低温加
工性と経時での加工性劣化が少なくなる。
【0016】本発明の塗装金属板は、塗装原板に必要に
応じて塗装前処理を施した後、各樹脂に前述の処理を施
して判定した結果、ガラス転移領域に吸熱ピークを示さ
ず、かつガラス転移点がその樹脂の製造直後より高くな
らない樹脂を塗膜中に含有される樹脂全体の95重量%
以上含有するように調整した塗料を塗装し、硬化乾燥さ
せて製造する。
【0017】塗装原板の例としては、溶融亜鉛めっき鋼
板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、
亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼
板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼
板、ニッケルめっき鋼板、銅めっき鋼板、クロムめっき
鋼板、アルミめっき鋼板等のめっき鋼板、ステンレス、
チタン、アルミ、銅等の板などが挙げられる。
【0018】塗装前処理としては、アルカリ系脱脂、珪
酸系脱脂、水洗、湯洗、クロメート処理、燐酸亜鉛処
理、燐酸鉄処理、複合酸化皮膜処理等が挙げられ、これ
らの一種又はいくつかの組み合わせで用いることができ
る。
【0019】有機系樹脂を成分とする塗膜は1層又は多
層に形成することができる。この中の少なくとも一層が
前述の処理によりガラス転移領域に吸熱ピークを示さ
ず、かつガラス転移点がその樹脂の製造直後より高くな
らないと判定された樹脂を塗膜中に含有される樹脂全体
の95重量%以上含有する塗膜であれば良いが、形成さ
れる塗膜すべてがこの条件に当てはまることが最も望ま
しい。
【0020】樹脂には、塗料とするためにシクロヘキサ
ノン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、キシレ
ン、ソルベッソ150等の溶剤を加えることができる。
そしてこの塗料はロールコート、カーテンコート、ロー
ラーカーテンコート、スプレー等で塗装し、必要に応じ
て、また使用する樹脂の種類に応じて、熱、近赤外線、
紫外線、電子線等のエネルギーを必要量与えて硬化、乾
燥する。
【0021】熱を与える場合には、熱風炉、誘導加熱炉
等を用いることができる。最高到達板温や焼き付けの時
間は、使用する塗料に応じて適宜選択すればよいが、ポ
リエステル系樹脂をメラミン樹脂で硬化させる場合に
は、最高到達板温150〜250℃、焼き付け時間20
〜120秒程度が一般的である。耐熱塗装など特殊な場
合には、板温が450℃程度必要なこともある。
【0022】焼き付け乾燥する場合には、焼き付け直後
に塗装された金属板を急冷することによって、経時での
加工性劣化をさらに少なくすることができる。この祭、
急冷によって金属板温度を塗膜のガラス転移点より30
℃高い温度以下にすると、加工性の劣化がより少なくな
る。急冷の方法は特に限定されないが、金属板を水に浸
漬する、水をシャワーする、水を噴霧する、水のミスト
をかけるなどの方法がある。水をより低温にコントロー
ルできれば更に良い。
【0023】膜厚や塗膜層の数は特に限定されず、必要
な性能に応じて選択すればよいが、一般的に、2コート
2ベーク又は3コート3ベークが多く用いられ、下塗り
層は1〜15μm、上塗り層、中塗り層は5〜30μm
程度である。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】ポリエステル樹脂A〜Gを合成し、製造1
2時間後にDSC法によりガラス転移点を測定し、測定
結果を表1に示した。樹脂A〜Gの表1に示すガラス転
移点より高い温度及び低い温度への放置を10回繰り返
した。放置時間はいずれも5時間とした。その後樹脂の
ガラス転移点をDSC法により測定し、ガラス転移領域
の吸熱ピークの有無を求めて表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】次いで、樹脂A〜Gを溶剤(シクロヘキサ
ノン/ソルベッソ150=1/1重量比、以後同様)で
希釈し、表2、表3に示す固形分重量比率で混合した
後、チタン白顔料(タイペークCR−95、石原産業
製)を加えて分散補助用のガラスビーズを入れ、塗料分
散機で30分分散し、メチル化メラミン樹脂(サイメル
303、三井サイアナミド製)、硬化触媒(p−トルエ
ンスルフォン酸)、レベリング剤(BYK−354、ビ
ックケミー社製)、必要に応じて溶剤を加えて上塗り塗
料を調合した。ここで、ポリエステル樹脂とメチル化メ
ラミン樹脂の配合比率は固形分重量比で75/25、触
媒は樹脂固形分と顔料の重量の合計に1%添加し、顔料
はPWC50%となるように配合した。更に、樹脂Aと
樹脂Bを溶剤に溶解後、固形分重量比で50/50に混
合し、チタン白顔料とストロンチウムクロメートを加え
て分散補助用のガラスビーズを入れ、塗料分散機で15
分分散し、メチル化メラミン樹脂、硬化触媒を加えて下
塗り塗料を調合した。ポリエステル樹脂とメチル化メラ
ミン樹脂の配合比率、触媒の添加量は上塗り塗料の場合
と同様とした。また、樹脂A、Bを樹脂E、Fに置き換
えてもう一つの下塗り塗料を調合した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】目付量片面90g/m2 の溶融亜鉛めっき
鋼板GI90、又は目付量片面20g/m2 の電気亜鉛
めっき鋼板EG20に塗布型クロメート処理を施し、配
合した下塗り塗料をロールコーターで乾燥膜厚5μmと
なるように塗布後、誘導加熱炉又は熱風加熱炉で最高到
達板温220℃に35秒で到達する条件で焼き付けた
後、水を噴霧して急冷し、鋼板温度を40℃まで下げ
た。次いで、配合した上塗り塗料をロールコーターで乾
燥膜厚18μmとなるように塗布後、誘導加熱炉又は熱
風加熱炉で最高到達板温230℃に45秒で到達する条
件で焼き付けた後、水を噴霧して急冷し、鋼板温度を4
0℃まで下げた。ただし、本発明例No.11のみ、焼
き付け直後の冷却で鋼板温度を70℃とし、その後徐冷
した。
【0031】このように製造した塗装金属板について、
DSC法によりガラス転移点を測定した。また、加工性
をT折り曲げ試験によって20℃と0℃で評価した。加
工性は、塗装金属板を180度に折り曲げ、屈曲部に発
生するクラックを20倍のルーペで観察し、クラックの
入らない限界のTの数を表示した。例えば、2Tとは折
り曲げ部に同じ板厚の板を2枚挟んだ場合、0Tとは板
を挟まないで180度折り曲げた場合である。次いで、
製造した塗装金属板を屋外の倉庫に1年間保管した後、
DSC法によりガラス転移領域の吸熱ピークの有無を判
定し、20℃と0℃で加工性を評価し、初期の加工性と
比べた。
【0032】以上の評価結果をまとめて表2、表3に示
したが、本発明例No.1〜6では、1年経過後の加工
性は初期の加工性と変わらず、経時での加工性の劣化は
見られず、焼き付け炉を熱風炉に変えたNo.7でも同
様に経時での加工性劣化は見られなかった。また、N
o.4のように、1年後にDSC法で吸熱ピークが観測
されるにも関わらず、加工性の劣化がない例もあった。
No.4に使用した樹脂Dは、表1に示したようにガラ
ス転移点より高い温度と低い温度の放置の繰り返し後は
吸熱ピークが無く、ガラス転移点の上昇もなかった。本
発明によれば、経時での加工性劣化のない塗装金属板が
得られることがわかる。No.3のように、ガラス転移
点より高い温度と低い温度の放置の繰り返し後に吸熱ピ
ークを示す樹脂Eを使用しても、その使用量が塗膜の主
成分であるポリエステル樹脂全体の5%未満である場合
には、加工性の経時劣化は見られなかった。No.8の
ように、下塗り塗膜としてガラス転移点より高い温度と
低い温度の放置の繰り返し後に吸熱ピークを示し、かつ
ガラス転移点が高くなる樹脂EとFを用い、上塗り塗膜
としてガラス転移点より高い温度と低い温度の放置の繰
り返し後に吸熱ピークが無く、ガラス転移点の上昇もな
い樹脂A、Bを使用した例では、加工性の劣化は見られ
るものの、その程度はわずかであった。また、上塗り塗
膜のガラス転移点が40℃以下の場合に初期の加工性が
良好になり、1年後でも高度の加工性が確保でき、効果
が高いことがNo.1〜4とNo.5を比較することに
よってわかる。更に、塗膜の加工性が劣化する場合、塗
装原板のめっき付着量を変えたときに、めっき付着量が
40g/m2 を越えると加工性の劣化が著しくなること
が、比較例No.15、16、17の比較でわかる。本
発明例で塗装原板のめっき付着量を変化させたNo.
6、9、10と比較すると、溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き付着量が40g/m2 を越えると本発明の効果が大き
くなることがわかる。また、No.11のように、焼き
付け後の急冷で、鋼板温度を塗膜のガラス転移点20℃
より50℃高い70℃に冷却した場合には、1年後に0
℃の加工性がわずかに低下しており、急冷によって鋼板
温度を塗膜のガラス転移点より30℃高い温度以下にし
たNo.1と比べるとやや劣った。
【0033】一方、ガラス転移点より高い温度と低い温
度の放置の繰り返し後に吸熱ピークを示し、かつガラス
転移点が高くなる樹脂Eを、塗膜の主成分であるポリエ
ステル樹脂全量の20%使用した比較例No.12で
は、加工性が1年後にはかなり劣化した。また、ガラス
転移点より高い温度と低い温度の放置の繰り返し後に吸
熱ピークを示すが、ガラス転移点は変わらない樹脂Gを
塗膜の主成分であるポリエステル樹脂全量の20%使用
した比較例No.13でも、加工性が1年後にはかなり
劣化した。さらに、ガラス転移点より高い温度と低い温
度の放置の繰り返し後に吸熱ピークを示し、かつガラス
転移点が高くなる樹脂Fのみを使用した比較例No.1
4では、加工性が1年後にはかなり劣化した。
【0034】
【発明の効果】本発明により、加工性が経時で変化しな
い塗装金属板が得られる。従って、長期保管後であって
も高度の加工に耐えられ、冬場の低温での加工にも対応
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DSC法によるガラス転移点の求め方を示す図
である。
【図2】DSC法によりガラス転移領域付近における吸
熱ピークの有無を判定する方法を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 清水 博之 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (72)発明者 小谷 英夫 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (72)発明者 稲田 賢治 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (72)発明者 小林 亮司 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (72)発明者 西岡 良二 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平3−119065(JP,A) 特開 平4−256469(JP,A) 特開 平4−110070(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 15/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機系樹脂を成分とする塗膜が形成され
    た塗装金属板において、樹脂のガラス転移点より高い温
    度に放置した後にガラス転移点より低い温度に放置する
    ことを繰り返した後に示差熱分析してガラス転移点を測
    定したときにガラス転移領域に吸熱ピークを示さず、か
    つガラス転移点がその樹脂の製造直後より高くならない
    樹脂を塗膜中に含有される架橋剤を除いた樹脂全体の9
    5重量%以上含有することを特徴とする加工性の経時変
    化のない塗装金属板。
  2. 【請求項2】 塗膜のガラス転移点が40℃以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の加工性の経時変化のな
    い塗装金属板。
  3. 【請求項3】 塗装原板が片面のめっき付着量が40g
    /m2 を越える亜鉛系めっき鋼板であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の経時変化のない塗装金属板。
  4. 【請求項4】 有機系樹脂を成分とする塗膜を形成する
    塗装金属板の製造法において、樹脂のガラス転移点より
    高い温度に放置した後にガラス転移点より低い温度に放
    置することを繰り返した後に示差熱分析してガラス転移
    点を測定したときにガラス転移領域に吸熱ピークを示さ
    ず、かつガラス転移点がその樹脂の製造直後より高くな
    らない樹脂を塗膜中に含有される架橋剤を除いた樹脂全
    体の95重量%以上含有する塗料を金属板上に塗布し、
    硬化乾燥することを特徴とする加工性の経時変化のない
    塗装金属板の製造法。
  5. 【請求項5】 塗料が焼き付け硬化型塗料であり、焼き
    付け直後に金属板温度を焼き付け後塗膜のガラス転移点
    より30℃高い温度以下に急冷することを特徴とする請
    求項4記載の加工性の経時変化のない塗装金属板の製造
    法。
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