JPH08267653A - 耐熱食品汚染性および加工性に優れた塗装鋼板 - Google Patents

耐熱食品汚染性および加工性に優れた塗装鋼板

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JPH08267653A
JPH08267653A JP7366195A JP7366195A JPH08267653A JP H08267653 A JPH08267653 A JP H08267653A JP 7366195 A JP7366195 A JP 7366195A JP 7366195 A JP7366195 A JP 7366195A JP H08267653 A JPH08267653 A JP H08267653A
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JP
Japan
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resin
coating film
steel sheet
coated steel
weight
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JP7366195A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ogata
形 浩 行 尾
Hideo Ogishi
岸 英 夫 大
Yoshihiro Naruse
瀬 義 弘 成
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱食品汚染性および加工性に優れる塗装鋼
板、およびその塗装鋼板からなる電子オーブンレンジ用
壁材の提供。 【構成】化成処理を施した鋼板の表面に、エポキシ変性
ポリエステル樹脂を含む下塗り塗膜と、ポリフッ化ビニ
リデン樹脂とアクリル樹脂を、ポリフッ化ビニリデン樹
脂/アクリル樹脂の重量比が70/30〜40/60の
割合で含み、かつ結晶化度が20%である上塗り塗膜と
を有する、耐熱食品汚染性および加工性に優れた塗装鋼
板、およびその塗装鋼板からなる電子レンジオーブン用
壁材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装鋼板に関し、特
に、耐熱食品汚染性および加工性に優れる塗装鋼板に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子レンジ内のボックス状のオー
ブンは、オーブンを構成する天板、後板、胴板、前板の
形状に合わせて、それぞれプレス成形した基板を、スポ
ット溶接あるいはカール加工等の加工手段によって組立
てて製造され、その後、塗装の下塗りを行って粉体塗装
あるいは溶剤型塗装を行い、塗膜を成膜し、美装、耐食
性のあるオーブンとしていた。
【0003】近年、加工生産技術の進歩と、表面処理技
術の進歩により、すでに塗装仕上げされた鋼板(プレコ
ート鋼板)に、剪断、曲げ加工等の機械加工を施し、組
立てる技術が確立し、電子レンジのオーブン用壁材とし
て使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子レ
ンジには、特有の条件が要求され、その要求に必ずしも
応じることができなかった。すなわち、電子レンジのオ
ーブン壁材は、電波洩れ、耐食性、低温は勿論、高温で
の耐食品汚染性、耐熱性を必要とし、さらには直角曲
げ、密着曲げ等に対する曲げ加工性の良いプレコート鋼
板が要求される。しかし、従来、これらの要求に応える
材料がなかったため、実用に供されなかった。つまり、
従来の熱硬化型ポリエステル系塗膜では、直角曲げ、密
着曲げ等の曲げ加工性の良いプレコート鋼板が達成でき
るものの、架橋密度が不足し高温での耐食品汚染性に劣
る。逆に架橋密度を向上させた場合、高温での耐食品汚
染性は向上するも、加工性に劣り、曲げ加工性と高温で
の耐食品汚染性は両立しない。
【0005】そこで、これらの問題を解決するために、
化成処理を施した鋼板に、エポキシ樹脂系の塗料からな
る下塗り塗膜と、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル
樹脂を主成分とする上塗り塗料からなる上塗り塗膜を形
成する技術が提案されている(特公昭63−11950
号公報)。これらの技術においては、ポリフッ化ビニリ
デン樹脂との相溶性が良好なメチルメタクリレートを主
成分とするアクリル樹脂を上塗り塗料のビヒクルとして
用い、また、その上塗り塗料との接着性が良好なアクリ
ル樹脂またはエポキシ樹脂系の塗料を下塗り塗料として
用いることによって、素地密着性、層間密着性の改善を
図っている。しかし、メチルメタクリレートを主成分と
するアクリル樹脂、またはエポキシもしくはエポキシ変
性ポリエステル樹脂からなる塗料は、硬い塗膜を形成し
易く、加工性に劣り、加工時にクラックが生じやすい欠
点がある。
【0006】また、従来、亜鉛系めっき鋼板を素地鋼板
とするプレコート鋼板においては、端面における耐食性
を向上させるために、下塗り塗膜中に防錆顔料として、
ストロンチウムクロメート、ジンクロメート等のクロム
系顔料を含有させることが行われている。これらの防錆
顔料は、極めて優れた防錆力を示すが、有毒金属である
クロムを含有しているため、使用部位、環境等によって
は、その使用が制限される問題がある。例えば、電子レ
ンジ、調理器等の構成部材には、使用が制限されるおそ
れがある。これらのクロム系の防錆顔料を使用しなくて
も、所期の耐食性を発揮する塗膜を有する塗装鋼板が望
まれている。
【0007】そこで本発明の第1の目的は、耐熱食品汚
染性および加工性に優れる塗装鋼板を提供することにあ
る。
【0008】また、本発明の第2の目的は、耐熱食品汚
染性、加工性および密着性に優れる塗装鋼板を提供する
ことにある。
【0009】さらに、本発明の第3の目的は、耐熱食品
汚染性、加工性、密着性および衛生性に優れる塗装鋼板
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、第1の目的を達成するために、化成処理
を施した鋼板の表面に下塗り塗膜および上塗り塗膜を有
し、前記下塗り塗膜がエポキシ変性ポリエステル樹脂を
主成分とする樹脂塗膜であり、前記上塗り塗膜がポリフ
ッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を主成分とし、ポリ
フッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂を重量比で70/
30〜40/60の割合で含み、かつ結晶化度が20%
以下である樹脂塗膜である、耐熱食品汚染性および加工
性に優れた塗装鋼板を提供するものである。
【0011】また、本発明は、第2の目的を達成するた
めに、化成処理を施した鋼板の表面に下塗り塗膜および
上塗り塗膜を有し、前記下塗り塗膜がアクリル変性ポリ
エステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が−10〜
50℃、数平均分子量が5000〜30000であるア
クリル樹脂を、ポリエステル樹脂/アクリル樹脂の重量
比が90/10〜50/50の割合で含有し、かつ全樹
脂成分中のメチルメタクリレート含有率が10〜50重
量%である樹脂塗膜であり、前記上塗り塗膜がポリフッ
化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を主成分とし、ポリフ
ッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂を重量比で70/3
0〜40/60の割合で含み、かつ結晶化度が20%以
下である樹脂塗膜である、耐熱食品汚染性、加工性およ
び密着性に優れた塗装鋼板を提供するものである。
【0012】さらに、本発明は、前記第3の目的を達成
するために、化成処理を施した鋼板の表面に下塗り塗膜
および上塗り塗膜を有し、前記下塗り塗膜が非クロム系
防錆顔料を含むアクリル変性ポリエステル樹脂を主成分
とし、ガラス転移温度が−10〜50℃、数平均分子量
が5000〜30000であるアクリル樹脂を、ポリエ
ステル樹脂/アクリル樹脂の重量比が90/10〜50
/50の割合で含有し、かつ全樹脂成分中のメチルメタ
クリレート含有率が10〜50重量%である樹脂塗膜で
あり、前記上塗り塗膜がポリフッ化ビニリデン樹脂とア
クリル樹脂を主成分とし、ポリフッ化ビニリデン樹脂/
アクリル樹脂を重量比で70/30〜40/60の割合
で含み、かつ結晶化度が20%以下である塗膜である、
耐熱食品汚染性、加工性、密着性および衛生性に優れた
塗装鋼板をも提供するものである。
【0013】以下、本発明の塗装鋼板について詳細に説
明する。
【0014】本発明の塗装鋼板の素材であるめっき鋼板
は、通常の塗装鋼板に用いられるものであればよく、特
に制限されない。例えば、電気亜鉛、合金化電気亜鉛、
溶融亜鉛、合金化溶融亜鉛等のZn系めっき鋼板などが
挙げられる。本発明の塗装鋼板は、めっき鋼板の素地と
後記の下塗り塗膜の密着性を向上させるために化成処理
が施される。この化成処理は、特に制限されず、例え
ば、りん酸亜鉛、りん酸鉄等のりん酸塩系の処理、ある
いは電解クロメート、塗布型クロメート等のクロメート
系の処理など、常用されるものでよい。
【0015】本発明の塗装鋼板は、前記の化成処理され
ためっき鋼板上に、下塗り塗膜と上塗り塗膜の少なくと
も2種の塗膜を有するものである。
【0016】本発明の塗装鋼板における下塗り塗膜は、
上塗り塗膜との密着性に優れ、かつ加工性に優れた下塗
り塗膜を有する塗装鋼板が得られる点で、エポキシ変性
ポリエステル樹脂またはアクリル変性ポリエステル樹脂
を主成分として含む樹脂塗膜である。
【0017】下塗り塗膜の主成分として用いられるエポ
キシ変性ポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂のグリシジ
ル基とポリエステル樹脂の水酸基を反応させてなるもの
である。このエポキシ変性ポリエステル樹脂におけるグ
リシジル基/水酸基の含有割合は、通常、4〜2程度で
ある。
【0018】また、このエポキシ変性ポリエステル樹脂
の数平均分子量は、通常、10000〜30000程度
であり、粘度、塗装性の観点から、好ましくは1500
0〜20000程度である。
【0019】このエポキシ変性ポリエステル樹脂の具体
例としては、油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピ
コート1004,1007,1009で代表されるエポ
キシ樹脂と、日本合成化学工業(株)製、商品名ポリエ
スターTP−290等のポリエステル樹脂とを反応させ
たものが一般的である。
【0020】また、本発明の鋼板において、下塗り塗膜
の主成分として用いられるアクリル変性ポリエステル樹
脂は、アクリル樹脂とポリエステル樹脂とをブレンドさ
せてなるものである。このアクリル樹脂とポリエステル
樹脂とをブレンドさせてなるアクリル変性ポリエステル
樹脂を使用することにより、両樹脂の硬度と伸びに関す
る特徴を発現させ、良好な機械的性能を有する下塗り塗
膜を得ることができる。ここで、ポリエステル樹脂の具
体例としては、前記のものを用い、アクリル樹脂とし
て、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナールBR−
79等を用いたものが一般的である。
【0021】このアクリル変性ポリエステル樹脂は、ガ
ラス転移温度(Tg)が−10〜50℃、好ましくは1
0〜30℃であるものである。ガラス転移温度(Tg)
が−10℃未満のアクリル変性ポリエステル樹脂を使用
すると、粘着性が大きくなり、また、塗膜を形成しても
十分な硬度の塗膜を得ることができず、ガラス転移温度
(Tg)が50℃を超えるアクリル変性ポリエステル樹
脂を使用すると、良好な加工性を有する塗装鋼板を得る
ことができない。
【0022】また、このアクリル変性ポリエステル樹脂
は、数平均分子量(Mn)が5000〜30000、好
ましくは10000〜20000の範囲のものである。
数平均分子量(Mn)が5000未満のアクリル変性ポ
リエステル樹脂を使用すると、良好な加工性を有する塗
装鋼板を得ることができず、数平均分子量(Mn)が3
0000を超えると、粘度が高くなるため流動性が不良
となり、塗膜の形成作業が困難となる。
【0023】さらに、このアクリル変性ポリエステル樹
脂において、ポリエステル樹脂/アクリル樹脂の含有割
合は、所要の層間密着性および加工性を有する塗装鋼板
が得られる点で、90/10〜50/50であり、好ま
しくは80/20〜60/40である。
【0024】さらにまた、このアクリル変性ポリエステ
ル樹脂中のメチルメタクリレート(MMA)の含有量
は、10〜50重量%、好ましくは15〜40%であ
る。MMAの含有量が10%未満であると、上塗り塗膜
と下塗り塗膜の層間密着性が悪化し、50%を超えると
十分な加工性を有する塗装鋼板を得ることができない。
【0025】本発明の塗装鋼板において、耐熱食品汚染
性、加工性および密着性に加えて、特に、衛生性を要求
される場合は、下塗り塗膜中に非クロム系防錆顔料を含
有させると、好ましい。本発明において、この非クロム
系防錆顔料は、りん酸塩系顔料と、シリカとからなるも
のである。りん酸塩系顔料としては、例えば、りん酸亜
鉛、りん酸カルシウム、りん酸アルミニウム等が挙げら
れ、特に、高い耐食性が望まれる場合には、りん酸亜鉛
を使用することが好ましい。また、シリカとしては、例
えば、湿式シリカ、気相シリカ、コロイダルシリカ等が
挙げられ、耐食性の持続性に優れる点で、湿式シリカが
好ましい。
【0026】下塗り塗膜が、非クロム系防錆顔料を含有
する場合、りん酸塩系顔料およびシリカの含有割合は、
下塗り塗膜の樹脂成分100重量部に対して、それぞれ
5〜100重量部、1〜60重量部の割合であり、合計
で120重量部以下となる割合であることが好ましい。
りん酸塩系顔料の含有割合が、下塗り塗膜の樹脂成分1
00重量部に対して、5重量部未満であると、シリカを
可能な限り大量に含有させても、塗膜の耐食性に劣り、
また、100重量部を超えると、上塗り塗膜の表面の外
観、下塗り塗膜と上塗り塗膜の間の密着性、塗装鋼板の
加工性の点で望ましくない。またシリカの含有割合が、
下塗り塗膜の樹脂成分100重量部に対して1重量部未
満であると、耐食性の持続性に劣り、60重量部を超え
ると、上塗り塗膜の表面の外観不良を招くおそれがあ
る。また、りん酸塩系顔料とシリカの合計の含有割合
が、下塗り塗膜の樹脂成分100重量部に対して、12
0重量部を超えると、塗装性の悪化を招くおそれがあ
る。
【0027】本発明の塗装鋼板において、下塗り塗膜
は、通常、前記化成処理を施しためっき鋼板に、前記成
分を含有する下塗り塗装液を、塗膜の膜厚が2〜18μ
m程度になるように、塗布され、焼付乾燥して形成する
ことができる。塗膜の膜厚が厚過ぎると、いわゆるワキ
を生ずるため、好ましくない。
【0028】この下塗り塗膜は、前記化成処理を施した
めっき鋼板に、エポキシ変性ポリエステル樹脂またはア
クリル変性ポリエステル樹脂、および必要に応じて用い
られる他の配合剤を含む下塗り塗装液を、カーテンフロ
ーコート、ロールコート等の常用の方法で塗装した後、
焼付乾燥して硬化塗膜を形成して得ることができる。こ
の下塗り塗装液の調製は、通常、実施される方法、例え
ば、サンドミルによって顔料を分散し、必要に応じて粘
度調整を行う等の方法にしたがって行うことができる。
【0029】また、本発明の塗装鋼板は、前記下塗り塗
膜の上にさらに上塗り塗膜を有するものである。この上
塗り塗膜は、優れた硬度と加工性のバランス、および耐
熱食品汚染性に優れ、かつ短い長さのC−F結合のため
緻密な構造となり、透湿率等の透過物質しゃへい性に優
れ、またアクリル樹脂との相溶性に優れ、融点低下に効
果があるポリフッ化ビニリデン樹脂と、アクリル樹脂を
主成分とするものである。
【0030】ポリフッ化ビニリデン樹脂としては、重量
平均分子量が400,000以上、融点が150〜18
0℃のものが好ましい。例えば、日本ペンウォルト
(株)から商品名カイナー500(重量平均分子量65
0,000、融点160〜165℃)で上市されている
ものなどが挙げられる。
【0031】また、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル類から選ばれる少なくとも1種を主
成分とする重合体、あるいは共重合体である。(メタ)
アクリル酸アルキルエステル類としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられ
る。本発明において、このアクリル樹脂は、重量平均分
子量が50,000〜200,000、Tgが20〜6
0℃のものであれば特に制限はない。
【0032】上塗り塗膜において、上記ポリフッ化ビニ
リデン樹脂/アクリル樹脂の含有割合は、70/30〜
40/60(重量比)であり、好ましくは60/40〜
50/50である。ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリ
ル樹脂の含有割合が、70/30未満、すなわちポリフ
ッ化ビニリデン樹脂の含有割合が多すぎる場合、上塗り
塗膜の結晶化速度が大きすぎて加熱後の冷却状態にばら
つきが多く、塗膜の破断伸度が低い値を示し、所定の曲
げ加工性が得られず、工業的な生産が困難である。ま
た、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の含有割
合が40/60未満、すなわちポリフッ化ビニリデンの
含有割合が少なすぎる場合、耐熱食品汚染性の低下が著
しく、また前記と同様に塗膜の破断深度が低い値を示
し、曲げ加工性が低下し、不適当である。
【0033】さらに、本発明において、上塗り塗膜は、
曲げ加工性と高温での耐食品汚染性の両立を図るため
に、結晶化度を20%以下、好ましくは10%以下に抑
える必要がある。結晶化度が20%未満の場合には所定
の曲げ加工性が得られない。上塗り塗膜の結晶化度は、
ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂の比率、およ
び塗膜焼付後の冷却速度を制御することにより調整する
ことができる。
【0034】また、上塗り塗膜は、必要に応じて着色顔
料を配合して着色することができる。用いられる着色顔
料としては、特に制限されず、例えば、酸化チタン、カ
ーボンブラック、焼成顔料(コバルトブルー、グリー
ン)等の種々のものが挙げられる。この着色顔料は、上
塗り塗膜中に20〜60重量%の割合で配合することが
できる。着色顔料が20重量%未満の場合は下地の色が
すけて見え、いわゆるインペイ性が不足するおそれがあ
る。60重量%を超える場合は、チキソトロピック性が
高く塗装面にローピング模様が出て、商品価値が不足す
るおそれがある。
【0035】この上塗り塗膜の膜厚は、通常、10〜3
0μm程度であり、好ましくは15〜20μm程度であ
る。上塗り塗膜の膜厚が10μm未満の場合、隠蔽性に
劣り、30μmを超える場合、ワキの発生量が増加して
外観が不良となるおそれがある。
【0036】この上塗り塗膜の形成は、ロールコート、
カーテンフローコート等の通常実施されているコーティ
ング方法にしたがって行うことができる。
【0037】本発明において、下塗り塗膜がエポキシ変
性ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂塗膜であり、上
塗り塗膜がポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を
主成分とし、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂
を重量比で70/30〜40/60の割合で含み、かつ
結晶化度が20%以下である樹脂塗膜である塗装鋼板
は、耐熱食品汚染性および加工性に優れる塗装鋼板とし
て有用である。
【0038】また、本発明において、前記下塗り塗膜が
アクリル変性ポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転
移温度が−10〜50℃、数平均分子量が5000〜3
0000であるアクリル樹脂を、ポリエステル樹脂/ア
クリル樹脂の重量比が90/10〜50/50の割合で
含有し、かつ全樹脂成分中のメチルメタクリレート含有
率が10〜50重量%である樹脂塗膜であり、上塗り塗
膜がポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を主成分
とし、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂を重量
比で70/30〜40/60の割合で含み、かつ結晶化
度が20%以下である樹脂塗膜である塗装鋼板は、耐熱
食品汚染性、加工性および密着性に優れた塗装鋼板とし
て有用である。
【0039】さらに、本発明において、下塗り塗膜が非
クロム系防錆顔料を含むアクリル変性ポリエステル樹脂
を主成分とし、ガラス転移温度が−10〜50℃、数平
均分子量が5000〜30000であるアクリル樹脂
を、ポリエステル樹脂/アクリル樹脂の重量比が90/
10〜50/50の割合で含有し、かつ全樹脂成分中の
メチルメタクリレート含有率が10〜50重量%である
樹脂塗膜であり、上塗り塗膜がポリフッ化ビニリデン樹
脂とアクリル樹脂を主成分とし、ポリフッ化ビニリデン
樹脂/アクリル樹脂を重量比で70/30〜40/60
の割合で含み、かつ結晶化度が20%以下である塗膜で
ある塗装鋼板は、耐熱食品汚染性、加工性、密着性およ
び衛生性に優れた塗装鋼板として有用である。
【0040】
【実施例】次に実施例および比較例により本発明を具体
的に説明する。
【0041】なお、以下の実施例、比較例における上塗
り塗膜の結晶化度および塗装鋼板の性能は以下の方法で
測定または評価した。
【0042】結晶化度:上塗り樹脂のみをブリキ板に塗
布、焼付け、冷却を各実施例、比較例と同一条件で実施
した後、水銀アマルガム法により単独塗膜のサンプルを
得、これをDSCに供し、DSCチャートを測定し、下
記式にしたがって結晶化度を求めた。 結晶化度=(S−S′/S)×100(%) ここで、SおよびS′は図1に示すDSCチャートにお
いて、下記に示す値である。 S……示差走査熱量計(DSC)を用い、結晶化速度の
最も速い温度(80℃)で充分に熱処理したポリフッ化
ビニリデン樹脂塗膜のDSCチャートと、塗布焼付後急
冷(5℃冷水浸漬)した塗膜のDSCチャートとの発熱
量の差(チャート面積S) S′…示差走査熱量計(DSC)を用い、結晶化速度の
最も速い温度(80℃)で十分に熱処理したポリフッ化
ビニリデン樹脂塗膜のDSCチャートと実施例、比較例
の塗膜焼付後の塗膜のDSCチャートとの発熱量の差
(チャート面積S′)
【0043】(1)鉛筆硬度:三菱鉛筆社製の鉛筆(商
品名:三菱ユニ)の芯先で塗膜を突いて、塗膜に傷が付
かない中で、最も固い鉛筆の硬度を示した。
【0044】(2)曲げ加工性:供試材と同じ厚さの鋼
板をn枚挟んで、25℃で180度折り曲げを行い、ク
ラックを生ぜずに折り曲げることができる枚数を曲げ加
工性の指標とした。
【0045】(3)密着性:(2)における曲げ加工
後、曲げ加工部をセロハン粘着テープを貼り付けた後、
剥離し、塗膜の剥離面積を測定し、下記の基準で評価す
る。 ○………剥離面積5%以下 △………剥離面積5〜10% ×………剥離面積10%以上
【0046】(4)耐熱食品汚染性:ウスターソース/
醤油/塩/砂糖/トマトケチャップ/小麦粉の混合割合
が1/1/1/1/1/2(重量比)である混合食品試
料を調製し、この混合食品試料約5gを塗装鋼板の表面
に塗布する。次に、オーブン中で100℃で1時間加熱
した後、温水中で塗膜上の焼付乾燥物を除去する。この
とき、除去前後の塗膜のΔEを色差計で測定した。
【0047】(5)外観:○……目視で凹凸がない ×……目視で凹凸が目立つ
【0048】(6)隠蔽性:○……目視で下塗り塗膜色
が判別できない ×……目視で下塗り塗膜色が判別できる
【0049】(7)耐食性:JIS H8502に準拠
して塩水噴霧試験を100時間行った後、端面の赤錆面
積(%)、平均ふくれ長さ(mm)を測定し、下記の基
準で評価した。
【0050】
【0051】(8)衛生性:○……クロム系顔料を含ま
ない ×……クロム系顔料を含む
【0052】(実施例1)溶融亜鉛めっき鋼板(両面、
目付量:60g/m2 、以下、「GI60/60」とい
う)に、りん酸亜鉛処理を行った後、エポキシ樹脂(油
化シェルエポキシ(株)製エピコート1007)と、ポ
リエステル樹脂(日本合成化学工業(株)製ポリエスタ
ーTP−290)とからなるエポキシ変性ポリエステル
系樹脂を塗布、乾燥して、厚さ7μmの下塗り塗膜を形
成した。次に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(日本ペンウ
ォルト(株)製、カイナー500)と、アクリル樹脂
(三菱レイヨン(株)製、ダイヤナールBR−79)と
の混合樹脂(ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂
=50/50(重量比))を塗布、乾燥して、厚さ18
μm、結晶化度17%の上塗り塗膜を形成して塗装鋼板
を製造した。得られた塗装鋼板の性能を測定および評価
した。結果を表1および表2に示す。
【0053】(実施例2〜4)各例において、GI60
/60の代わりに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(両面、
目付量:45g/m2 、以下、「GA45/45」とい
う)、電気亜鉛めっき鋼板(両面、目付量:30g/m
2 、以下、「EG30」という)、または電気Zn−N
iめっき鋼板(両面、目付量:30g/m2 、以下、
「ZnNi30」という)を、それぞれ用いる以外は、
実施例1と同様にして塗装鋼板を製造し、その性能を測
定および評価した。結果を表1および表2に示す。
【0054】(実施例5)GI60/60のめっき鋼板
にりん酸亜鉛処理を行った後、ポリフッ化ビニリデン樹
脂/アクリル樹脂の混合割合が70/30(重量比)で
ある上塗り塗装液を塗布、乾燥して、結晶化度19%の
上塗り塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして塗
装鋼板を製造し、その性能を測定および評価した。結果
を表1および表2に示す。
【0055】(実施例6)GI60/60のめっき鋼板
にりん酸亜鉛処理を行った後、ポリフッ化ビニリデン樹
脂/アクリル樹脂の混合割合が40/60(重量比)で
ある上塗り塗装液を塗布、乾燥して結晶化度15%の上
塗り塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして塗装
鋼板を製造し、その性能を測定および評価した。結果を
表1および表2に示す。
【0056】(実施例7)GI60/60のめっき鋼板
にりん酸亜鉛処理を行った後、ポリフッ化ビニリデン樹
脂/アクリル樹脂の混合割合が70/30(重量比)で
あり、顔料を含有していない上塗り塗装液を塗布、乾燥
して、結晶化度19%の上塗り塗膜を形成した以外は、
実施例1と同様にして塗装鋼板を製造し、その性能を測
定および評価した。結果を表1および表2に示す。
【0057】(比較例1)GI60/60のめっき鋼板
に、りん酸亜鉛処理を行った後、ポリエステル樹脂を用
いて下塗り塗膜を形成し、さらにポリフッ化ビニリデン
樹脂/アクリル樹脂の混合割合が50/50である上塗
り塗装液を塗布、乾燥して結晶化度17%の上塗り塗膜
を形成した以外は、実施例1と同様にして塗装鋼板を製
造し、その性能を測定および評価した。結果を表1およ
び表2に示す。
【0058】(比較例2)GI60/60のめっき鋼板
に、りん酸亜鉛処理を行った後、エポキシ変性ポリエス
テル樹脂を用いて下塗り塗膜を形成し、さらにポリフッ
化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の混合割合が80/2
0である上塗り塗装液を塗布、乾燥して結晶化度19%
の上塗り塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして
塗装鋼板を製造し、その性能を測定および評価した。結
果を表1および表2に示す。
【0059】(比較例3)GI60/60のめっき鋼板
に、りん酸亜鉛処理を行った後、エポキシ変性ポリエス
テル樹脂を用いて下塗り塗膜を形成し、さらにポリフッ
化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の混合割合が30/7
0である上塗り塗装液を塗布、乾燥して結晶化度14%
の上塗り塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして
塗装鋼板を製造し、その性能を測定および評価した。結
果を表1および表2に示す。
【0060】(比較例4)GI60/60のめっき鋼板
に、りん酸亜鉛処理を行った後、エポキシ変性ポリエス
テル樹脂を用いて下塗り塗膜を形成し、さらにポリフッ
化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の混合割合が70/3
0である上塗り塗装液を塗布、乾燥して結晶化度24%
の上塗り塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして
塗装鋼板を製造し、その性能を測定および評価した。結
果を表1および表2に示す。
【0061】(比較例5)比較例と同様にして結晶化度
38%の上塗り塗膜を形成し、その性能を比較した。
【0062】(比較例6)実施例5と同様で着色顔料の
含有量が70重量%の場合の性能を比較した。
【0063】(比較例7)実施例5と同様で着色顔料の
含有量が18重量%の場合の性能を比較した。
【0064】
【表1】
【0065】
【0066】
【0067】(実施例8)溶融亜鉛めっき鋼板(両面め
っき、めっき付着量:片面当り60g/m2 )に、りん
酸亜鉛化成処理を(付着量:0.8g/m2 )を施し
た。次に、下塗り塗料として、ガラス転移温度(以下、
「Tg」という):20℃、数平均分子量(以下、「M
n」という)20000、メチルメタクリレート(以
下、MMA」という)含有率25重量%のアクリル樹脂
と、ポリエステル樹脂とを、ポリエステル樹脂/アクリ
ル樹脂の重量比で70/30の比率で反応させてなるア
クリル変性ポリエステル樹脂からなる塗料を、乾燥膜厚
7μmとなるように塗布した。次いで、最高到達板温2
00±10℃、焼付時間45秒で焼付処理後、常温まで
冷却して、下塗り塗膜を形成した。さらに、上塗り塗料
として、重量平均分子量(以下、「Mw」という)70
000、Tgが55℃のアクリル樹脂と、Mw6500
00、融点162℃のポリフッ化ビニリデン樹脂とを、
アクリル樹脂/ポリフッ化ビニリデン樹脂の重量比で5
0/50の割合で含有し、顔料としてTiO 2 を50重
量%含有する塗料を、乾燥膜厚で18μmとなるように
塗布した。次いで、最高到達板温260℃±10℃、焼
付時間60秒で焼付処理した。さらに2秒以内に板温が
40℃以下となるように急冷却し、結晶化度17%とな
るように調整し、上塗り塗膜を形成して、塗装鋼板を得
た。この塗装鋼板の性能を測定および評価した。結果を
表4に示す。
【0068】(実施例9〜11)各例において、溶融亜
鉛めっき鋼板の代わりに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(GA)(両面めっき、めっき付着量:片面当り45g
/m2 )、電気亜鉛めっき鋼板(EG)(両面めっき、
めっき付着量:片面当り30g/m2 )、または電気Z
n−Niめっき鋼板(Zn−Ni)(両面めっき、めっ
き付着量:片面当り30g/m2 )を用いた以外は、実
施例8と同様にして塗装鋼板を製造し、得られた塗装鋼
板の性能を測定および評価した。結果を表4に示す。
【0069】(実施例12)りん酸亜鉛化成処理の代わ
りに、塗布型クロメート処理を行った以外は、実施例8
と同様にして塗装鋼板を製造し、得られた塗装鋼板の性
能を測定および評価した。結果を表4に示す。
【0070】(実施例13〜21)下塗り塗料として、
Tg、MnおよびMMA含有率のアクリル樹脂、ならび
にポリエステル樹脂/アクリル樹脂の重量比が表3に示
すとおりである塗料を用い、表3に示す膜厚で下塗り塗
膜を形成した以外は、実施例8と同様にして塗装鋼板を
製造し、得られた塗装鋼板の性能を測定および評価し
た。結果を表4に示す。
【0071】(比較例8〜21)下塗り塗料のアクリル
樹脂のTg、MnおよびMMA含有率、ならびにポリエ
ステル樹脂/アクリル樹脂の重量比、上塗り塗料のポリ
フッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂の重量比、顔料の
含有量、および上塗り塗膜の結晶化度が、表3に示すと
おりである以外は、実施例8と同様にして塗装鋼板を製
造し、得られた塗装鋼板の性能を測定および評価した。
結果を表4に示す。
【0072】(比較例22〜24)各例において、下塗
り塗料として、従来のエポキシ系樹脂塗料、アクリル系
樹脂塗料、またはポリエステル系樹脂塗料を用いた以外
は、実施例8と同様にして塗装鋼板を製造し、得られた
塗装鋼板の性能を測定および評価した。結果を表4に示
す。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】(実施例22)溶融亜鉛めっき鋼板(G
I)(両面めっき、めっき付着量:片面当り60g/m
2 )に、りん酸亜鉛処理(付着量:0.8g/m2 )を
施した。次に、下塗り塗料として、Tg:20℃、M
n:20000、MMA含有率25重量%のアクリル樹
脂と、ポリエステル樹脂とを、ポリエステル樹脂/アク
リル樹脂の重量比で70/30の比率で反応させてなる
アクリル変性ポリエステル樹脂100重量部に対して、
りん酸亜鉛80重量部および湿式シリカ30重量部を含
有させた塗料を、塗布した。次いで、最高到達板温20
0±10℃、焼付時間45秒で焼付処理後、常温まで冷
却して、下塗り塗膜を形成した。さらに、上塗り塗料と
して、Mw:70000、Tg:55℃のアクリル樹脂
と、Mw:650000、融点:162℃のポリフッ化
ビニリデン樹脂とを、アクリル樹脂/ポリフッ化ビニリ
デン樹脂の重量比で50/50の割合で含有し、顔料と
してTiO2 を50重量%含有する塗料を、乾燥膜厚で
18μmとなるように塗布した。次いで、最高到達板温
260℃±10℃、焼付時間60秒で焼付処理した。さ
らに2秒以内に板温が40℃以下となるように急冷却
し、結晶化度17%となるように調整し、上塗り塗膜を
形成して、塗装鋼板を得た。この塗装鋼板の性能を測定
および評価した。結果を表6に示す。
【0080】(実施例23〜25)各例において、溶融
亜鉛めっき鋼板の代わりに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(GA)(両面めっき、めっき付着量:片面当り45g
/m2 )、電気亜鉛めっき鋼板(EG)(両面めっき、
めっき付着量:片面当り30g/m2 )、または電気Z
n−Niめっき鋼板(Zn−Ni)(両面めっき、めっ
き付着量:片面当り30g/m2 )を用いた以外は、実
施例22と同様にして塗装鋼板を製造し、得られた塗装
鋼板の性能を測定および評価した。結果を表6に示す。
【0081】(実施例26)りん酸亜鉛化成処理の代わ
りに、塗布型クロメート処理を行った以外は、実施例2
2と同様にして塗装鋼板を製造し、得られた塗装鋼板の
性能を測定および評価した。結果を表6に示す。
【0082】(実施例27〜35)下塗り塗料として、
Tg、MnおよびMMA含有率のアクリル樹脂、ならび
にポリエステル樹脂/アクリル樹脂の重量比が表5に示
すとおりである塗料を用い、表5に示す膜厚で下塗り塗
膜を形成した以外は、実施例22と同様にして塗装鋼板
を製造し、得られた塗装鋼板の性能を測定および評価し
た。結果を表6に示す。
【0083】(実施例36、37)各例において、りん
酸亜鉛の代わりに、りん酸カルシウム(実施例36)ま
たはりん酸アルミニウム(実施例37)を用いた以外
は、実施例22と同様にして塗装鋼板を製造し、得られ
た塗装鋼板の性能を測定および評価した。結果を表6に
示す。
【0084】(比較例25〜38)各例において、下塗
り塗料のアクリル樹脂のTg、MnおよびMMA含有
率、ならびにポリエステル樹脂/アクリル樹脂の重量
比、上塗り塗料のポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル
樹脂の重量比、顔料の含有量、および上塗り塗膜の結晶
化度が、表5に示すとおりである以外は、実施例22と
同様にして塗装鋼板を製造し、得られた塗装鋼板の性能
を測定および評価した。結果を表6に示す。
【0085】(比較例39〜41)各例において、下塗
り塗料として、従来のエポキシ系樹脂塗料、アクリル系
樹脂塗料、またはポリエステル系樹脂塗料を用いた以外
は、実施例22と同様にして塗装鋼板を製造し、得られ
た塗装鋼板の性能を測定および評価した。結果を表4に
示す。
【0086】(比較例42〜45)各例において、りん
酸亜鉛および湿式シリカの含有量を表5に示す量とした
下塗り塗料を用いた以外は、実施例22とと同様にして
塗装鋼板を製造し、得られた塗装鋼板の性能を測定およ
び評価した。結果を表6に示す。
【0087】(比較例46〜48)各例において、下塗
り塗料として、りん酸亜鉛および湿式シリカの代わり
に、ストロンチウムクロメートを、20重量%含有させ
たものを用い、上塗り塗料中の着色顔料の含有量を表5
に示す量とした以外は、実施例22と同様にして塗装鋼
板を製造し、得られた塗装鋼板の性能を測定および評価
した。結果を表6に示す。
【0088】
【表8】
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
【0092】
【表12】
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
【発明の効果】本発明の塗装鋼板は、曲げ加工、耐熱食
品汚染外観、隠蔽性、密着性等、電子レンジ用の壁材等
の用途としての性能に優れた塗装鋼板(PCM)であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例および比較例における結晶化度の算出
法を説明するためのDSCチャート図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化成処理を施した鋼板の表面に下塗り塗膜
    および上塗り塗膜を有し、前記下塗り塗膜がエポキシ変
    性ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂塗膜であり、前
    記上塗り塗膜がポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹
    脂を主成分とし、ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル
    樹脂を重量比で70/30〜40/60の割合で含み、
    かつ結晶化度が20%以下である樹脂塗膜である、耐熱
    食品汚染性および加工性に優れた塗装鋼板。
  2. 【請求項2】化成処理を施した鋼板の表面に下塗り塗膜
    および上塗り塗膜を有し、前記下塗り塗膜がアクリル変
    性ポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が−
    10〜50℃、数平均分子量が5000〜30000で
    あるアクリル樹脂を、ポリエステル樹脂/アクリル樹脂
    の重量比が90/10〜50/50の割合で含有し、か
    つ全樹脂成分中のメチルメタクリレート含有率が10〜
    50重量%である樹脂塗膜であり、前記上塗り塗膜がポ
    リフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を主成分とし、
    ポリフッ化ビニリデン樹脂/アクリル樹脂を重量比で7
    0/30〜40/60の割合で含み、かつ結晶化度が2
    0%以下である樹脂塗膜である、耐熱食品汚染性、加工
    性および密着性に優れた塗装鋼板。
  3. 【請求項3】化成処理を施した鋼板の表面に下塗り塗膜
    および上塗り塗膜を有し、前記下塗り塗膜が非クロム系
    防錆顔料を含むアクリル変性ポリエステル樹脂を主成分
    とし、ガラス転移温度が−10〜50℃、数平均分子量
    が5000〜30000であるアクリル樹脂を、ポリエ
    ステル樹脂/アクリル樹脂の重量比が90/10〜50
    /50の割合で含有し、かつ全樹脂成分中のメチルメタ
    クリレート含有率が10〜50重量%である樹脂塗膜で
    あり、前記上塗り塗膜がポリフッ化ビニリデン樹脂とア
    クリル樹脂を主成分とし、ポリフッ化ビニリデン樹脂/
    アクリル樹脂を重量比で70/30〜40/60の割合
    で含み、かつ結晶化度が20%以下である塗膜である、
    耐熱食品汚染性、加工性、密着性および衛生性に優れた
    塗装鋼板。
  4. 【請求項4】前記下塗り塗膜の膜厚が2〜15μmであ
    り、前記上塗り塗膜の膜厚が5〜30μmである請求項
    1〜3のいずれかに記載の塗装鋼板。
  5. 【請求項5】前記非クロム系防錆顔料が、下塗り塗膜の
    樹脂成分100重量部に対して、りん酸亜鉛5〜100
    重量部と湿式シリカ1〜60重量部からなるものである
    請求項3に記載の塗装鋼板。
JP7366195A 1995-03-30 1995-03-30 耐熱食品汚染性および加工性に優れた塗装鋼板 Withdrawn JPH08267653A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012521088A (ja) * 2009-03-19 2012-09-10 エルジー・ケム・リミテッド フッ素系共重合体を含む太陽電池バックシート及びその製造方法
JP2020157246A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属板および塗装金属板の製造方法
JP2020157647A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012521088A (ja) * 2009-03-19 2012-09-10 エルジー・ケム・リミテッド フッ素系共重合体を含む太陽電池バックシート及びその製造方法
JP2020157246A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属板および塗装金属板の製造方法
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