JP6617592B2 - 鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、冷却する工程を有した鋼板の製造方法に関する。
鋼板を製造する際には、熱間で圧延した鋼板を冷却水で冷却する方法がとられている(特許文献1〜特許文献6参照)。これにより、所謂焼き入れが行われ、鋼板の強度が高められる。
特開2001−164323公報 特開平02−197380号公報 特開平03−207812号公報 特開平08−109413号公報 国際公開番号WO2010/143433 国際公開番号WO2011/096456
しかしながら、このような鋼板の製造方法にあっては、冷却過程において、不均一な冷却が行われると鋼板に温度斑が生ずる。すると、鋼板内で熱応力が発生し、平坦度が基準値を下回ることがある。
このような平坦度が基準値を下回る鋼板は、修正作業を行ってから倉庫へ搬送する一方、平坦度が基準値を満たしている鋼板は、直接倉庫へ搬送するので、工場内の物流が煩雑となり、生産管理上の課題となる。
平坦度の基準を満たす鋼板の合格率は「圧延巾/圧延厚」すなわち巾厚比と関係することが分かっており、巾厚比が大きくなると製造難易度が増すため、合格率が低くなる傾向にある。このため、巾厚比の大きな鋼板にあっては、合格率の低下が顕著となる。
本発明は、鋼板の平坦度の低下を抑制することができる鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一態様によれば、熱間で圧延された板厚が6mm以上であって、幅寸法を厚み寸法で除算した巾厚比が200以上の鋼板を、板厚方向での平均温度が680℃以上860℃以下の冷却開始温度から500℃以上650℃以下であって前記冷却開始温度との温度差が80℃以上である冷却終了温度まで冷却する際に、冷却中の鋼板の表面温度が常に480℃以上となるように冷却する冷却工程を備えた鋼板の製造方法が提供される。
本発明の第二態様によれば、第一態様において、前記冷却工程において鋼板の冷却開始から冷却終了までの板厚方向での平均温度の平均冷却速度は、板厚をt[mm]とすると13exp(−0.067t)℃/sec以上である鋼板の製造方法が提供される。
本発明により、鋼板の平坦度の低下を抑制できる技術が提供される。
本実施形態に係る冷却装置を示す側面図である。 比較方法で冷却した鋼板の巾厚比と平坦度合格率との関係を示す散布図である。 鋼板を冷却する際の水の沸騰状態を示す説明図である。 鋼板長手方向の平均温度と鋼板長手方向中央部での温度バラツキσの関係を示した散布図である。 前段強冷パターンを示す説明図であり、(A)は冷却装置の側面図及び冷却装置で冷却される鋼板の時間に対する鋼板表面温度を示す線図、(B)は冷却途中での鋼板の全長に対する鋼板表面温度を示す線図、(C)は復熱後の鋼板の長手方向での鋼板表面温度を示す線図である。 前段緩冷−後段急冷パターンを示す説明図であり、(A)は冷却装置の側面図及び冷却装置で冷却される鋼板の時間に対する鋼板表面温度を示す線図、(B)は冷却途中での鋼板の全長に対する鋼板表面温度を示す線図、(C)は復熱後の鋼板の長手方向での鋼板表面温度を示す線図である。 高温緩冷却パターンを示す説明図であり、(A)は冷却装置の側面図及び冷却装置で冷却される鋼板の時間に対する鋼板表面温度を示す線図、(B)は冷却途中での鋼板の全長に対する鋼板表面温度を示す線図、(C)は復熱後の鋼板の長手方向での鋼板表面温度を示す線図である。 860℃から500℃まで冷却する場合の板厚に対する板厚方向平均冷却速度範囲を示した線図である。 680℃から600℃まで冷却する場合の板厚に対する板厚方向平均冷却速度範囲を示した線図である。 本実施形態の冷却工程で冷却した鋼板及び比較方法で冷却した鋼板の巾厚比と平坦度合格率との関係を示す散布図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態に係る鋼板10の製造方法で冷却工程を実施する冷却装置20を示す図であり、この冷却装置20は、圧延工程で圧延された鋼板10を冷却するものである。なお、図中でUPが示す矢印の方向は上方を示す。
冷却装置20は、鋼板10が送られて来る上流側より順にAバンク22とBバンク24とCバンク26とDバンク28とを備えている。各バンク22〜28には、搬送路30に沿って搬送される鋼板10に冷却水を噴出するノズル22A、24A、26A、28Aが搬送方向に沿って複数設けられており、各バンク22〜28のノズル22A〜28Aは、搬送路30の上側及び下側に設けられている。これにより、搬送路30上を搬送される鋼板10を、表裏から冷却水で冷却できるように構成されている。
Aバンク22に設けられたノズル22Aには、第1供給路32からの冷却水が供給されるように構成されている。Aバンク22の各ノズル22Aと第1供給路32との間には、それぞれ流量調整バルブ32Aが設けられており、搬送される鋼板10に噴出する水量をノズル32Aごとに調整できるように構成されている。これにより、Aバンク22では、鋼板10の搬送位置毎に噴水量を調整することで、鋼板10の冷却速度を微調整できるように構成されている。
Bバンク24からDバンク28に設けられたノズル24A、26A、28Aは、第2供給路34からの冷却水が供給されている。
また、搬送路30の上側に設けられたBバンク24のノズル24A及び第2供給路34間と、搬送路30の下側に設けられたBバンク24のノズル24A及び第2供給路34間とには、それぞれ一つの流量調整バルブ34Bが設けられている。搬送路30の上側に設けられたCバンク26のノズル26A及び第2供給路34間と、搬送路30の下側に設けられたCバンク26のノズル26A及び第2供給路34間とには、それぞれ一つの流量調整バルブ34Cが設けられている。搬送路30の上側に設けられたDバンク28のノズル28A及び第2供給路34間と、搬送路30の下側に設けられたDバンク28のノズル28A及び第2供給路34間とには、それぞれ一つの流量調整バルブ34Dが設けられている。
Aバンク22とBバンク24との間には、第1機内温度計36が設けられており、Bバンク24とCバンク26との間には、第2機内温度計38が設けられている。Cバンク26とDバンク28との間には、第3機内温度計40が設けられている。各機内温度計36〜40は、搬送路30に沿って搬送される鋼板10の表面全長の温度を非接触で計測できるように構成されている。これにより、各機内温度計36〜40を利用して図外の解析装置で解析することで、搬送路30上の冷却途中の鋼板10の表面の温度分布や鋼板10内部の温度分布を解析するとともに、表面温度の平均値や、幅方向中心部の温度や、板厚方向での平均温度を算出できるように構成されている。
図2は、このような冷却装置20を用いて後述する遷移沸騰領域での冷却を考慮に入れない比較方法により鋼板10を冷却した際の平坦度合格実績を示す図である。すなわち、熱間で圧延された鋼板10は、冷却後に平坦度が規定値にあるか否かが検査され、合否の判断が行われる。この検査において、鋼板10の幅寸法(圧延巾)を鋼板10の厚み寸法(圧延厚)で除算した巾厚比(圧延巾/圧延厚)毎の平坦度合格率が示されており、巾厚比が大きくなると製造難易度が増すため平坦度合格率が低下する傾向にあることがわかる。
熱間で圧延した鋼板10を冷却水12で冷却する際には水の沸騰が発生し、その沸騰状態を図3に示す。なお、図中でUPが示す矢印の方向は上方を示す。鋼板10の温度が高い状態では、鋼板10と冷却水12との間に蒸気膜14が形成され、蒸気膜14の熱伝導により伝熱される。この状態を膜沸騰状態とする。一方、鋼板10の温度が低い状態では、冷却水12の一部が蒸発してできた蒸気泡16が、直ぐに周りの冷却水12によって凝縮されて消滅するといった現象が生ずる。このため、鋼板表面10Aからの熱が直接冷却水12に伝達され、蒸気膜14の影響をほとんど受けない。この状態を核沸騰状態とする。そして、鋼板10の温度が前述した温度の中間にある場合、膜沸騰と核沸騰が混在する状態が生ずる。この状態を遷移沸騰状態とする。
前述の鋼板10の平坦度の低下原因の一つは、不均一な冷却により発生する鋼板10内の熱応力であるが、不均一な冷却は、前述した遷移沸騰状態での冷却によって引き起こされることが分かった。
図4は、前述した冷却装置20において、熱間圧延された鋼板10を冷却するとともに、各バンク22〜28間に設置された各機内温度計36〜40を用いて冷却途中の鋼板10の表面温度のバラツキ解析を行った解析結果を示すものである。その際の温度測定としては、例えば鋼板10の幅方向中央部で行うことができる。この図には、各バンク22〜28間における鋼板10の長手方向の平均温度と、鋼板長手方向中央部での温度バラツキσとの関係(サンプル数N=3033)が示されている。
表面温度が480℃以上の範囲では、温度バラツキσが小さく、膜沸騰状態にある膜沸騰領域であることが推定される。また、表面温度が300℃超480℃未満の範囲では、温度低下に伴い温度バラツキσが拡大しており、遷移沸騰状態が発生する遷移沸騰領域であることが推定される。そして、表面温度が300℃以下になると、温度低下に伴い温度バラツキσが減少しており、核沸騰状態にある核沸騰領域であることが推定される。
これらの知見から、平坦度の合格率を上げるために、遷移沸騰領域での冷却を避ける冷却パターンとして、図5に示すような「前段強冷パターン」と、図6に示すような「前段緩冷−後段急冷パターン」とを考えることができる。
前段強冷パターンは、図5に示したように、冷却装置20の前段領域例えばAバンク22及びBバンク24において搬送される鋼板10を大水量で冷却し、表面温度を一気に下げることで、遷移沸騰領域を通過させる。そして、後段領域例えばCバンク26及びDバンク28において、鋼板10を中水量以下で緩やかに冷却する冷却方法である。
この前段強冷パターンでは、Aバンク22及びBバンク24間での鋼板10の表面温度が480℃を超えており(図5(A)参照)、鋼板10は膜沸騰領域で冷却される。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は小さく(図5(B)参照)、温度バラツキが小さい。しかし、Bバンク24及びCバンク26間での鋼板10の表面温度は480℃未満300℃超の範囲内にあり(図5(A)(B)参照)、鋼板10は遷移沸騰領域で冷却される。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は大きく(図5(B)参照)、温度バラツキが大きい。
また、Cバンク26及びDバンク28間での鋼板10の表面温度は300℃を下回り(図5(A)(B)参照)、鋼板10は核沸騰領域で冷却される。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は小さく(図5(B)参照)、温度バラツキは小さい。そして、図5(C)に示すように、復熱後においては、鋼板10の長手方向の表面温度の斑が大きくなる。
前段緩冷−後段急冷パターンは、図6に示したように、冷却装置20の前段領域例えばAバンク22及びBバンク24において搬送される鋼板10を小水量で冷却する。そして、後段領域例えばCバンク26及びDバンク28において鋼板10を大水量で冷却し、表面温度を一気に下げることで、遷移沸騰領域を通過させる冷却方法である。
この前段緩冷−後段急冷パターンでは、Aバンク22及びBバンク24間での鋼板10の表面温度と、Bバンク26及びCバンク28間での表面温度が480℃を超えており(図6(A)参照)、鋼板10は膜沸騰領域で冷却される。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は小さく(図6(B)参照)、温度バラツキは小さい。
一方、Cバンク26及びDバンク28間での鋼板10の表面温度は480℃未満300℃超の範囲内にあり(図6(A)(B)参照)、鋼板10は遷移沸騰領域で冷却される。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は大きく(図6(B)参照)、温度バラつきが大きい。そして、図6(C)に示すように、復熱後においては、鋼板10の長手方向での表面温度の斑が大きくなる。
このように、「前段強冷パターン」及び「前段緩冷−後段急冷パターン」のいずれの冷却パターンであっても、冷却途中に鋼板10の表面温度が480℃を下回るので、遷移沸騰領域での冷却が不可避となる。このため、冷却時に鋼板10の長手方向での温度斑が拡大し、鋼板10内に発生する局所的な熱応力により、形状不良が発生しやすいことが分かった。
そこで、本発明者は、遷移沸騰領域での冷却を完全回避する冷却方法として、冷却中の鋼板10の表面温度が常に480℃以上となるように維持して冷却する「高温緩冷却パターン」を発明するに至った。
本発明で扱う板厚が6mm以上の鋼板10、いわゆる厚鋼板は、一般に連続鋳造で製造した鋼片を加熱炉で加熱し、粗圧延機及び仕上圧延機を用いた熱間圧延を施し、加速冷却装置により冷却工程に付すことで製造される。本実施形態に係る冷却工程では、圧延工程において熱間で圧延された鋼板10を高温緩冷却パターンで冷却する。この高温緩冷却パターンを実施するための具体的な条件を以下に示す。
<圧延工程で圧延される鋼片の加熱温度>
熱間圧延される鋼片の加熱温度は特に規定しないが、変形抵抗を低下させるために、1000℃以上であることが好ましい。また、Nb、Crの炭化物を鋼中に固溶させるためには、1050℃以上に鋼片を加熱することがより好ましい。一方、加熱温度が1300℃を超えると、結晶粒が粗大になり、靭性が低下することがある。そのため、加熱温度を1300℃以下にすることが好ましい。これらから、本実施形態では、熱間圧延される鋼片の加熱温度を1000℃以上1300℃以下とすることが好ましい。
<圧延条件>
熱間圧延の最終段階で行われる仕上圧延の最終パスを750℃未満で行うと、圧延前にフェライトが生成され、圧延途中で加工フェライトが生成される。加工フェライトが生成されると、その後直ちに鋼板10に加速冷却(冷却水を用いて鋼板を冷却する方法)を施しても所要の機械的性能等を得ることができない可能性が高くなるため、熱間圧延の仕上圧延を750℃以上で行うことが望ましい。一方、強度及び靭性を向上させるために、未再結晶温度域で熱間圧延(熱間圧延の仕上圧延)を行った方が所要の機械的特性を確保しやすいので、仕上圧延の最終パスを870℃以下で行うことが好ましい。未再結晶温度域での圧下率を高くした方が、靱性等の機械的特性を改善し易いので、仕上圧延の最終パスを840℃以下とすることが好ましく、820℃以下とすることがより好ましい。さらに、800℃以下とすることがより一層好ましい。
<冷却する鋼板の厚み寸法(以下板厚)>
前述したように冷却後の鋼板10の平坦度合格率は巾厚比と関係し、巾厚比が大きくなると製造難易度が増すため平坦度合格率が低下する。このため、本発明で適用される鋼板10の巾厚比は150以上とすることが好ましく、200以上がより好ましい。また、巾厚比の上限は製造装置の製造スペックの関係から最大でも300とすることが好ましい。
また、冷却する鋼板10の板厚は、本実施形態による鋼板10の平坦度の低下抑制効果が顕著に表れる6mm以上とする。加えて、板厚6mm未満の鋼板に加速冷却を施すと冷却開始温度の確保が困難となる。板厚の下限は10mm以上であることが好ましく、板厚の上限は25mm以下であることが好ましい。
<冷却開始温度>
冷却装置20において、鋼板を680℃(Ar3変態点に相当)未満から冷却を開始すると、冷却開始前にフェライト析出が開始する。冷却開始前に析出したフェライトが存在すると、鋼板の強度や靱性などの機械的性能や耐サワー特性などの耐食性能が損なわれる可能性がある。したがって、熱間圧延後の冷却はAr3変態点に相当する680℃以上から開始する。
一方、冷却開始温度の上限は、仕上温度の上限温度により決定される。前述したように、未再結晶温度域で熱間圧延を完了させる都合上、仕上圧延の最終パスは870℃以下で行われることが好ましく、圧延完了から冷却開始までの鋼片搬送中に少なくとも10℃以上の温度低下が生ずるので、860℃以下から冷却開始する。このため、冷却開始温度は、680℃以上860℃以下とする。
また、前述したように、未再結晶温度域での圧下率を高くした方が、靱性等の機械的性能を改善し易い。このため、冷却開始温度は800℃以下とすることが好ましく、780℃以下とすることがより好ましい。さらに、760℃以下とすることがより一層好ましい。
この冷却開始温度は、熱間圧延された鋼板10を冷却装置20に挿入して冷却する際の鋼板10の表面温度で管理するものとする。図1には図示していないが、冷却装置の入側と出側には温度計が設置してあり、鋼板表面での冷却開始温度及び冷却終了温度を測定することができるなお、鋼板表面での冷却開始温度又は冷却終了温度の測定結果から、伝熱解析を行うことにより、冷却開始時の板厚方向での断面平均での冷却開始温度又は冷却終了温度や、板厚方向の断面平均での平均冷却速度を算出することができる。
<冷却停止温度>
「膜沸騰状態」は、前述したように鋼板10の表面温度が480℃以上の場合に生ずる現象であり、冷却途中の表面温度を常に480℃以上とすることで、遷移沸騰状態での冷却を完全回避することができる。ここで、冷却停止温度が500℃より小さい場合、冷却途中の鋼板10の表面温度が480℃未満まで低下するため、遷移沸騰状態での冷却を引き起こす虞がある。このため、冷却停止温度は500℃以上とする。また、冷却停止温度を600℃超えとした場合、強度や靱性の低下が生じるため冷却停止温度は650℃以下とする。このため、本実施形態では、冷却停止温度を、500℃以上650℃以下とした。なお、機械的性能の確保のためには、この冷却停止温度は、500℃以上600℃以下とすることが好ましい。
この冷却停止温度は、例えば搬送路30の長さや鋼板10の搬送速度に基づく鋼板10の各バンク22〜28の通過時間と、各バンク22〜28のノズルからの冷却水の噴水量や冷却水の温度等の冷却条件に基づいて定めるものとする。また、冷却停止温度は、鋼板10の板厚方向での断面平均温度により求めるものとする。この断面平均温度は、鋼板幅方向及び長さ方向の複数の箇所での板厚方向の断面平均温度の平均値であることが望ましいが、鋼板10の幅方向中心部での板厚方向での断面平均温度であってもよい。
所望とする機械特性を得るために、板厚方向の平均での冷却開始温度と冷却終了温度の差は80℃以上を必要とする。所謂加速冷却による強度の向上と靱性確保のためである。
そして、冷却中には冷却装置20の全領域において膜沸騰冷却を維持するため、冷却途中の鋼板10の表面温度が常に480℃以上となるように制御する。すなわち、各バンク22〜28のノズルからの冷却水の噴水量や冷却水の温度や鋼板10に噴射される冷却水の強さ等によって制御するものとする。
<冷却速度>
鋼板10を速い冷却速度で冷却した場合、冷却中の板厚方向の温度勾配が大きくなる。このため、所定の冷却速度以上になると表面温度が480℃未満まで低下する虞がある。また、板厚が厚くなるにつれ、冷却速度は熱伝導(鋼内部の熱移動)に律則されるため、板厚方向平均冷却速度は不可避的に小さくなる。このため、冷却速度を定める際には、板厚も考慮するべきである。
一方、遅い冷却速度で冷却した場合、所望とする機械特性が得られない、あるいは冷却に要する時間が長くなるため生産能率を阻害する等の生産課題が生じる。
図8は、鋼板10を860℃から500℃まで冷却する場合の板厚方向での平均冷却速度の範囲を示す図である。図8中の実線は、各板厚で冷却中の鋼板10の表面温度が480℃を下回らないようにするための最大の冷却速度を示し、図8中の破線は、冷却された鋼板10の強度や靱性などの特性を規定値内に収めるための最小の冷却速度を示している。この平均冷却速度Xの範囲を(式1)に示し、この平均冷却速度Xの範囲内で冷却を行うことが好ましい。なお、板厚方向での平均温度860℃以下500℃以上の範囲における板厚方向での平均冷却速度[℃/sec]をX、鋼板の板厚をt[mm]とする。
25exp(−0.085t)≦X≦45exp(−0.082t)・・・(式1)
図9は、鋼板10を680℃から600℃まで冷却する場合の板厚方向での平均冷却速度の範囲を示す図である。図9中の実線は、各板厚で冷却中の鋼板10の表面温度が480℃を下回らないようにするための最大の冷却速度を示し、図9中の破線は、冷却された鋼板10の強度や靱性などの特性を規定値内に収めるための最小の冷却速度を示している。この平均冷却速度Yの範囲を式(2)に示し、この平均冷却速度Yの範囲内で冷却を行うことが好ましい。なお、板厚方向での平均温度680℃以下600℃以上の範囲における板厚方向での平均冷却速度[℃/sec]をY、鋼板の板厚をt[mm]とする。
13exp(−0.067t)≦Y≦20exp(−0.066t)・・・(式2)
前述した冷却開始温度、冷却停止温度の条件下で鋼板10を本実施形態に係る冷却工程で冷却すると、図7に示した高温緩冷却パターンによる冷却工程を実施することができる。
すなわち、冷却装置20の全領域つまりAバンク22からDバンク28において、搬送される鋼板10を前述の冷却開始温度から冷却終了温度まで小水量又は中水量で80℃以上冷却する。その際に、搬送される鋼板10の表面温度が、図7(A)(B)に示すように、常に480℃以上を維持するように、各バンク22〜28のノズルから噴出される冷却水の水温や水量を調整する。
ここで、鋼板10の表面全域における温度が480℃以上に維持されるように制御する
この高温緩冷却パターンで冷却された鋼板10は、Aバンク22及びBバンク24間での鋼板10の表面温度、Bバンク24及びCバンク26間での鋼板10の表面温度、Cバンク26及びDバンク28間での鋼板10の表面温度のすべてが480℃を超えている(図7(A)参照)。これにより、鋼板10は冷却装置20の全領域において、膜沸騰領域で均一に冷却され、表面温度の斑が拡大する遷移沸騰領域への移行を完全回避することができる。このため、鋼板10の長手方向での表面温度の変化は小さく(図7(B)参照)、温度バラツキが小さい。そして、図7(C)に示すように、復熱後において、鋼板10の長手方向での表面温度の斑が小さくなる。
図10には、本実施形態に係る冷却工程で冷却した鋼板10の平坦度合格率が四角で示されており、従前の方法である比較方法の冷却工程で冷却した場合の平坦度合格率が丸印で示されている。この図10から分かるように、本実施形態に係る冷却工程で冷却された鋼板10は、比較方法の冷却工程で冷却した鋼板10より平坦度合格率の割合が全体的に向上している。特に、比較方法の冷却工程では合格率が低下する傾向にあった巾厚比が150以上の鋼板10であっても平坦度合格率の向上を確認することができた。
このように本実施形態の冷却工程を経て製造された鋼板10は、比較方法の冷却工程で冷却した場合と比較して、平坦度合格率が向上する。このため、鋼板10の修正工程などを削減することができるので、製造工期短縮など生産性管理上のメリットを享受することができる。
10 鋼板
20 冷却装置

Claims (2)

  1. 熱間で圧延された板厚が6mm以上であって、幅寸法を厚み寸法で除算した巾厚比が200以上の鋼板を、板厚方向での平均温度が680℃以上860℃以下の冷却開始温度から500℃以上650℃以下であって前記冷却開始温度との温度差が80℃以上である冷却終了温度まで冷却する際に、冷却中の鋼板の表面温度が常に480℃以上となるように冷却する冷却工程を備えた鋼板の製造方法。
  2. 前記冷却工程において鋼板の冷却開始から冷却終了までの板厚方向での平均温度の平均冷却速度は、板厚をtとすると13exp(−0.067t)℃/sec以上である請求項1に記載の鋼板の製造方法。
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