JP4333523B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4333523B2
JP4333523B2 JP2004245384A JP2004245384A JP4333523B2 JP 4333523 B2 JP4333523 B2 JP 4333523B2 JP 2004245384 A JP2004245384 A JP 2004245384A JP 2004245384 A JP2004245384 A JP 2004245384A JP 4333523 B2 JP4333523 B2 JP 4333523B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
hot
cooling rate
rolled steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004245384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006063367A (ja
Inventor
純 杉本
光 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2004245384A priority Critical patent/JP4333523B2/ja
Publication of JP2006063367A publication Critical patent/JP2006063367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4333523B2 publication Critical patent/JP4333523B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法に関し、例えば、表面性状の優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
熱間圧延後、酸洗を行われた熱延鋼板の表面には、白スジ模様と呼ばれる表面欠陥が発生することがある。この白スジ模様は、白い部分が他の部分よりも表面粗さが大きいために、肉眼で圧延方向へスジ状に伸びた白い模様と認識される表面欠陥である。この粗さの差は、微小な領域での差であるため、高倍率の粗さ計を用いて計測される。例えば、SEMを用いて熱延鋼板の表面粗さを計測した結果では、基地部の表面粗さがRaで0.29μm程度であるのに対し、白スジ模様部の表面粗さはRaで0.63μm程度である。
この白スジ模様の発生を抑制するために、特許文献1には、デスケーリングを終了した時から仕上圧延を開始するまでの時間を長くする発明、あるいは粗圧延から仕上圧延までの間において被圧延材を再加熱する発明が提案されている。
特開2003−326301号公報
しかし、デスケーリングから仕上圧延を開始するまでの時間を長くすると、この間にスケールが再生成してしまい、他のスケール疵を誘発するという問題がある。また、粗圧延機から仕上圧延機までの間で被圧延材を再加熱するには、新たに再加熱装置を導入する必要があるとともに、再加熱を行うには相応のエネルギが必要となるためにできるだけ再加熱量を小さくしたいという要望が生じる。
本発明の目的は、酸洗後の熱延鋼板の表面における白スジ模様の発生を、大幅に抑制することができる熱延鋼板の製造方法を提供することである。
本発明は、粗圧延された粗バーを昇温量Ts(℃)で加熱してから仕上圧延を行い、その後、冷却装置の使用バンクを調整することによって、750℃から650℃までの平均冷却速度Vt(℃/sec)がこの昇温量Ts(℃)との間に、Vt≧24−0.3×(Ts−20)により規定される関係を満足するようにして、冷却を行うことにより、C:0.01%以上0.15%以下(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする)、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有するとともに表層部のC/Fe強度比が0.3以下である熱延鋼板を製造することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
この本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、粗圧延を終了した後に加熱を行わないことも可能であり、この場合には上述した本発明に係る熱延鋼板の製造方法において、Ts(℃)を零と設定すればよい。すなわち、粗圧延された粗バーを加熱せずに仕上圧延を行い、その後、冷却装置の使用バンクを調整することによって、750℃から650℃までの平均冷却速度を30℃/sec以上として冷却を行うことにより、質量%で、C:0.01%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有するとともに表層部のC/Fe強度比が0.3以下である熱延鋼板を製造することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
また、別の観点からは、本発明は、粗圧延された粗バーの全幅を所定の昇温量で加熱してから仕上圧延を行い、その後、冷却装置で冷却して熱延鋼板を製造する方法において、この冷却装置の使用バンクを調整することによって、冷却装置による750℃から650℃までの平均冷却速度が前記の昇温量に応じて予め求めてある白スジ模様を生じさせない冷却速度となるように、平均冷却速度を制御することを特徴とする、質量%で、C:0.01%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有するとともに表層部のC/Fe強度比が0.3以下である熱延鋼板の製造方法である。
本発明によれば、酸洗後の熱延鋼板の表面における白スジ模様の発生を、事実上解消したのと同程度に大幅に抑制することができる。
以下、本発明に係る熱延鋼板の製造方法を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本実施の形態において製造される熱延鋼板は、C:0.01%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を必須元素として含有し、任意添加元素として、例えば、Ti:0.15%以下、Nb:0.06%以下、N:0.0040%以下、Cr:0.6%以下、V:0.06%以下、Ca:0.01%以下、B:0.01%以下を含有する。これら以外は、残部Fe及び不可避的不純物である。以下、本実施の形態により製造される熱延鋼板の組成を限定する理由を説明する。
C:0.01%以上0.15%以下
C含有量が0.01%未満であれば、スケールの部分的な膨れ部であるブリスタが発生しない。このブリスタとは、粗バーの表面にスケールが成長する際に、スケールが体積膨張するために内部に圧縮応力が加わり、その圧力によって部分的に膨れ上がるものである。このため、後述する部分的な脱炭が発生せず、白スジ模様は発生しない。一方、C含有量が0.15%を超えるとブリスタは全面的に発生するため、C濃度のむらが発生しないのでそもそも白スジ模様の問題が発生しない。そこで、本発明では、C含有量は0.01%以上0.15%以下と限定する。
Si:0.01%以上0.5%以下
Si量が0.5%を超えると、酸化速度は抑制されてブリスタが発生しなくなるため、白スジ模様は発生しない。一方、Si含有量が0.01%を下回るには、相応の処理コストを要する。そこで、本発明では、Si含有量は0.01%以上0.5%以下と限定する。
Mn:0.6%以下
Mnはスケール中に固溶し、スケールの硬さを変える元素である。Mn含有量が0.6%を超えるとスケールの硬さにバラツキが生じ、デスケーリングの際にスケールの除去にムラができる。そのため、脱炭挙動が変化し、白スジを助長させる。そこで、本発明ではMn含有量は0.6%以下と限定する。
P:0.05%以下
Pはスケールの生成速度を変化させる元素である。P含有量が0.05%を超えるとスケールの生成挙動のばらつきが大きくなり、スケール厚みを均一に保つことができない。そのため、デスケーリングの際にスケールの除去にムラができ、脱炭挙動が変化し、白スジを助長させる。そこで、本発明では、P含有量は0.05%以下と限定する。
S:0.05%以下
Sはスケールと鋼板との密着性を変化させる元素である。S含有量が0.05%を超えるとスケール密着性のばらつきが大きくなり、デスケーリングの際にスケールの除去にムラができる。そのため、脱炭挙動が変化し、白スジを助長させる。そこで、本発明では、S含有量は0.05%以下と限定する。
Ti、Nb、N、Cr、V、Ca及びBの各元素の含有量は、白スジ模様の発生の有無により決定されるのではなく、鋼板の機械特性値を満足するとともに製造コストを勘案することにより、決定される。
Ti:0.15%以下
Tiは析出強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有する。その効果は、0.15%で飽和し、0.15%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、Ti含有量は0.15%以下と限定することが好ましい。
Nb:0.06%以下
Nbは、Tiと同様に析出強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有する。その効果は0。06%で飽和し、0.06%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、Nb含有量は0.06%以下と限定することが望ましい。
N:0.0040%以下
Nは、TiやNb、V、B等の元素と結合し、窒化物を形成する。過度の窒化物の形成は鋼板の延性を劣化させる。N含有量を0.0040%以下とすることにより窒化物の形成を抑制することができる。そのため、N含有量は0.0040%以下と限定することが好ましい。
Cr:0.6%以下
Crは、固溶強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有する。その効果は、0.6%で飽和し、0.6%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、Cr含有量は0.6%以下と限定することが好ましい。
V:0.06%以下
Vは、Ti、Nbと同様に析出強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有する。その効果は0.06%で飽和し、0.06%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、V含有量は0.06%以下と限定することが好ましい。
Ca:0.01%以下
Caは、MnSを微細に球状化させ、鋼板の延性を向上させる効果を奏する。この効果は0.01%で飽和し、0.01%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、Ca含有量は0.01%以下と限定することが好ましい。
B:0.01%以下
Bは、固溶強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有する。その効果は0.01%で飽和し、0.01%を超えて含有させてもコストが嵩むばかりである。そのため、B含有量は0.01%以下と限定することが好ましい。
これらの元素以外は、Fe及び不可避的不純物である。
本実施の形態では、このような組成を有するスラブに、上流から下流に向けて、加熱炉、粗圧延機、粗バー加熱装置、デスケーリング装置、仕上圧延機及び水冷装置をこの順に備える熱間圧延設備を用いて、熱間圧延を行う。
加熱炉は、仕上圧延の終了温度を800℃以上に維持できるのであれば、何ら限定を要さない。例えば、この加熱炉によりスラブを1150℃以上に加熱することが例示される。
加熱炉によりこのように加熱されたスラブは、粗圧延機に送られて粗圧延されることにより、30〜40mm程度の厚さの被圧延材である粗バーとされる。このような粗圧延機は周知慣用の粗圧延機であれば良く、例えば、6基の粗圧延スタンドを有する粗圧延機を用いることができる。
粗圧延機により粗圧延を行われた粗バーは、粗バー加熱装置に送られて、その全幅が長手方向の全域又は一部で所定の温度に加熱される。
この際、粗バーの昇温量Ts(℃)と後述する水冷装置による750℃から650℃までの冷却速度Vt(℃/sec)との関係が下記(1)式を満足することにより、白スジ模様の発生を抑制することができる。
Vt≧24−0.3×(Ts−20) ・・・・・・・(1)
粗バー加熱装置には、誘導加熱方式、通電加熱方式あるいはバーナー加熱方式等の公知の各種加熱装置を用いることが可能であるが、加熱のむらが少ない等の理由により誘導加熱方式の加熱装置を用いることが望ましい。
このようにして、粗バー加熱装置により加熱された粗バーは、デスケーリング装置に送られて、表面に存在するスケールが除去される。デスケリーング装置は、公知のデスケーリング装置であればよく、例えば、粗バーの幅方向へ粗バーの表面へ高圧水を高圧水吐出圧:14MPa以上、30MPa以下、及び粗バー単位幅当たり流量:O.01m3/秒/m以上004m3/秒/m以下の条件で噴射するための噴射用ノズルを複数個配置されたデスケーリング装置を用いることができる。なお、スケール除去時の粗バーの移動速度はO.5m/秒以上1.8m/秒以下程度とされる。また、仕上圧延前にデスケーリングを行う際の粗バーの温度も特に限定を要さない。
デスケーリングされた粗バーは、仕上圧延機に送られて仕上圧延を行われることにより所定の板厚を有する熱延鋼板とされる。この仕上圧延機としては、周知慣用の仕上圧延機を用いればよく、例えば、タンデムに配置された5〜7基の圧延スタンドを有する公知の仕上圧延機を用いることができる。
次いで、仕上圧延を終了した熱延鋼板は、仕上圧延機の下流に配置された周知慣用の冷却装置により所定の温度に冷却されて、最終製品である熱延鋼板とされる。この冷却装置による冷却は、粗バーの昇温量Ts(℃)と、水冷装置による750℃から650℃までの平均冷却速度Vt(℃/sec)との関係が上記(1)式を充足することにより、白スジ模様の発生が事実上解消される程度に顕著に抑制される。以下、この理由を説明する。
上述した特許文献1にも開示されているように、酸洗後の熱延鋼板の表面における白スジ模様の白く見える部分は、他の正常部分に比較すると、表層のC濃度が低下している。すなわち、表層のC濃度が異なるため、塩酸による酸洗によってスケール(酸化物)を除去する際に、白く見える部分及び他の正常部分それぞれにおける母材の溶解速度が異なってしまい、表面粗さに差を生じるために、色ムラである白スジ模様を生じる。
この白く見える部分が発生する位置は、仕上圧延機の入側における粗バーの表面に観察されるブリスタが発生する位置と対応する。すなわち、ブリスタが発生すると、スケールと鋼板との界面に空間が形成され、鋼板の表層におけるCがCO2ガスとなるため、鋼板の表層が脱炭される。この脱炭の影響が仕上圧延及び冷却の後にも残り、上述した白スジ模様における白く見える部分の生成につながる。
これに対し、仕上圧延終了〜巻取り開始の間における鋼板の冷却速度を変化させると、白スジ模様が変化し、白スジ模様の発生を大幅に抑制することができる。つまり、仕上圧延から巻取りまでの使用冷却バンクを変更する試験を行った結果、冷却速度、特に750〜650℃の温度領域での冷却速度を所定値以上に高く設定することにより、白スジ模様の色調差を小さくすることができる。
白スジ模様は、本来、仕上圧延機の入側での脱炭現象の結果であると考えられるにも関わらず、仕上圧延機の出側での冷却速度が影響する理由は、Cの拡散によるものと推定される。すなわち、一般にCの拡散速度は、温度が低下するほど遅くなるが、オーステナイト領域とフェライト領域とではフェライト領域のほうが速い。そのため、熱延鋼板の冷却中の温度では、圧延直後は拡散速度が遅く、その後変態が開始すると速くなり、また温度が低下すると拡散速度は低下する。この拡散速度の速い温度領域が、低炭素鋼では750℃以下650℃以上に相当する。
この温度領域では、Cは、鋼板表面の方が安定となるため、表面に向かって移動しようとする。したがって、750℃以下650℃以上における冷却速度が遅い場合、Cの表面濃化が進む。
そもそも、冷却前にコイルの場所によってC濃度分布が無ければ、Cが表面に濃化してきても場所による違いは無く、白スジ模様の発生には影響しない。しかし、仕上圧延機の入側でブリスタが生成すると、前述したように、ブリスタは脱炭してしまう。このブリスタによる脱炭は100μm以上の深さまで影響する。
このような、冷却前にコイル表面の位置によってC濃度に差がある場合、冷却中の表面へのC濃化が進行すると、表面への濃化差は拡大し、その影響が大きくなる。よって、冷却速度を高め、表面へのCの濃化進行を抑制したほうが白スジの濃淡が小さくなる。
このため、仕上圧延終了〜巻取り開始までの間における鋼板の750℃から650℃までの平均冷却速度Vt(℃/sec)が粗バーの昇温量Ts(℃)との間に上述した(1)式の関係を満足することにより、白スジ模様の発生を大幅に抑制することができる。
鋼板の冷却に用いる冷却装置は、周知慣用の冷却装置でよく、本実施の形態では、仕上圧延された熱延鋼板の上面側はラミナーノズルによるものであり、一方、下面側はフラットスプレーによるものである。ラミナーノズル及びフラットスプレーは、上下それぞれ14個のバンクに分割されており、それぞれが独立して制御可能に構成されている。冷却速度は、鋼板の搬送速度および使用する冷却バンクを変更することにより、制御される。
鋼板の温度及び冷却速度は、冷却装置の前後及び冷却装置内に設置された放射温度計の測定値と、1次元伝熱計算とにより求められる。
冷却後の鋼板は、周知慣用の巻取り装置により巻き取られる。巻き取られる際の鋼板温度は400℃から700℃であり、巻取り後は室温まで徐冷される。
なお、本実施の形態の熱間圧延設備は、粗バー加熱装置を備えるものである。しかし、本発明は、粗バー加熱装置を備えていない熱間圧延設備に対して適用することも可能であり、この場合、水冷装置による750℃から650℃までの冷却速度Vtを30℃/sec以上とすることにより白スジ模様の発生を抑制することができる。
このようにして、本実施の形態により、酸洗後の熱延鋼板の表面における白スジ模様の発生を大幅に抑制することができる。
本発明を実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
SPHC鋼からなる270mm厚のスラブを1150℃から1250℃に加熱し、6スタンドの粗圧延機で厚さが29〜31mmの粗バーまで圧延し、粗バーを昇温することなく、7スタンドの仕上圧延機で1.6〜2.0mmまで仕上圧延を行って仕上圧延後の鋼板温度を830〜900℃とし、その後、冷却装置の使用バンクを変化させることによって750℃から650℃までの平均冷却速度Vtを10〜60(℃/sec)の範囲で変化させて冷却し、600℃から520℃の温度範囲で巻き取る試験を行うことにより、750℃から650℃までの平均冷却速度Vtが白スジ模様へ影響することを調査した。
巻取りを行った後室温まで徐冷し、その後塩酸で表面のスケールを除去した後、白スジ模様の有無を目視判定した。また、GDS(高周波グロー放電発光分析装置)を用いて表層のC濃度分布を測定した。C濃化はC/Fe強度比で示した。C/Fe強度比の値が高いほどC濃化が進んでいることとなる。結果を図1にグラフにまとめて示す。
図1にグラフで示すように、750〜650℃での冷却速度の増加とともに、C/Fe強度比が小さくなり、冷却速度が30℃/sec以上となると、白スジの発生は実用上問題とならない程度である、C/Fe強度比:0.3以下となることがわかる。
なお、上述したように、仕上圧延機の入側での脱炭状態が均一な方が白スジの濃淡は小さくなる。したがって、粗圧延の終了後で仕上圧延開始前の鋼板に、適切な加熱昇温を与えることによって鋼板表面の全体におけるブリスタの生成を均一化し、鋼板の表面の全体の脱炭状態を均一化することは有効である。つまり、粗圧延を終了した後の鋼板を再加熱することにより、白スジ模様の発生を抑制する効果がある750〜650℃までの冷却速度の下限値を小さくすることができる。
本実施例では、実施例1の結果を受けて、粗バーの昇温量と750〜650℃での冷却速度を変化させた試験を行い、白スジ模様への影響を調査した。本試験ではSPHC鋼を用いて、270mm厚のスラブを1150〜1250℃の範囲に加熱した後、6スタンドの粗圧延機で29〜31mmの厚さの粗バーまで圧延し、その後、7スタンドの仕上圧延機で1.6〜2.0mmまで圧延した。粗バーの昇温量は0〜50℃に変化させた。
仕上圧延後の鋼板温度は830〜900℃とし、冷却装置の使用バンクを変化させることにより、750から650℃までの冷却速度を20℃/secから50℃/secに変化させた後、600℃から520℃の温度範囲で巻き取った。巻取り後に室温まで徐冷し、その後、塩酸で表面のスケールを除去した後に白スジ模様の有無を目視判定した。
図2に、粗バー昇温量と750〜650℃の冷却速度を変化させた場合の白スジ発生挙動をグラフで示す。昇温を行わない場合であっても冷却速度が速ければ白スジは発生しないが、昇温量を大きくすると白スジ模様の発生が事実上解消される冷却速度の範囲が拡大されることがわかる。
加熱炉、粗圧延機、粗バー加熱装置、デスケーリング装置、仕上圧延機および冷却装置をこの順に備えた熱間圧延設備を用いて、下記の条件(i)〜(iv)で、かつ仕上圧延後の750℃〜650℃の冷却速度を種々変更して熱間圧延を行い、その後酸洗を行い、酸洗後の鋼板の表面に発生する白スジ模様を調査した。表1に、白スジ模様の発生状況と鋼板表層部のC/Fe強度比とを、750℃〜650℃の冷却速度および仕上入側温度とともに示す。
(i)対象材成分範囲
C:0.01〜0.15%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Si:0.01〜0.5%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物。
(ii)板厚
1.2〜2.0mm
(iii)仕上入側温度
1050〜1080℃
(iv)粗バー昇温量
0℃
表1に示すように、粗バー昇温量が0℃である場合、750℃〜650℃の冷却速度を30℃以上とすることにより鋼板表面の白スジ模様の発生を抑制できた。
Figure 0004333523
実施例4で用いた設備と同じ設備を用い、下記の条件(i)〜(iv)で仕上圧延後の750℃〜650℃の冷却速度と粗バー昇温量を種々変更して、実施例4と同様に白スジ模様の発生を調査した。表2に、白スジ模様の発生状況と鋼板表層部のC/Fe強度比とを、粗バー昇温量および冷却速度とともに示す。
(i)対象材成分範囲
C:0.01〜0.15%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Si:0.01〜0.5%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物。
(ii)板厚
1.2〜2.0mm
(iii)仕上入側温度
1020〜1080℃
(iv)粗バー昇温量
0〜50℃
表2に示すように、(1)式を充足する条件では、白スジ模様の発生が抑制された。粗バーを昇温加熱した条件では、昇温加熱しない条件に比べ、粗圧延終了後の鋼板表面の脱炭が促進されるため、鋼板表面の脱炭ムラがなくなることにより、同一の冷却速度でも白スジ模様の発生が緩和された。
Figure 0004333523
実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 粗圧延された粗バーの全幅を昇温量Ts(℃)で加熱してから仕上圧延を行い、その後、冷却装置の使用バンクを調整することによって、750℃から650℃までの平均冷却速度Vt(℃/sec)が前記昇温量Ts(℃)との間に下記(1)式により規定される関係を満足するようにして、冷却を行うことにより、質量%で、C:0.01%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有するとともに表層部のC/Fe強度比が0.3以下である熱延鋼板を製造することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
    Vt≧24−0.3×(Ts−20) ・・・・・・・(1)
  2. 粗圧延された粗バーの全幅を所定の昇温量で加熱してから仕上圧延を行い、その後、冷却装置で冷却して熱延鋼板を製造する方法において、前記冷却装置の使用バンクを調整することによって、前記冷却装置による750℃から650℃までの平均冷却速度が前記昇温量に応じて予め求めてある白スジ模様を生じさせない冷却速度となるように、該平均冷却速度を制御することを特徴とする、質量%で、C:0.01%以上0.15%以下、Si:0.01%以上0.5%以下、Mn:0.6%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有するとともに表層部のC/Fe強度比が0.3以下である熱延鋼板の製造方法。
JP2004245384A 2004-08-25 2004-08-25 熱延鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP4333523B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004245384A JP4333523B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 熱延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004245384A JP4333523B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 熱延鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006063367A JP2006063367A (ja) 2006-03-09
JP4333523B2 true JP4333523B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=36110112

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004245384A Expired - Lifetime JP4333523B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 熱延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4333523B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107287515A (zh) * 2017-06-09 2017-10-24 唐山不锈钢有限责任公司 耐低温冲击高延伸q345e热轧带钢及生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006063367A (ja) 2006-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101456765B1 (ko) 열연 강판의 제조 방법 및 제조 장치
KR101158333B1 (ko) 출발 재료의 열간 압연 방법 및 그를 위한 마감 압연트레인
JP4905615B2 (ja) ステンレス鋼ストリップの製造方法および統合圧延機ライン
CN109844143A (zh) 含Si热轧钢板的热轧板退火设备、热轧板退火方法及除氧化皮方法
JP3796133B2 (ja) 厚鋼板冷却方法およびその装置
JP4907587B2 (ja) 鋼板冷却設備及び鋼板冷却方法
JP4954932B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
EP2929949A1 (en) Device for cooling hot-rolled steel sheet
JP3551129B2 (ja) 熱延鋼帯の製造方法および製造設備
JP2006055884A (ja) 熱延鋼板の製造方法及び圧延制御装置
JP3642024B2 (ja) 熱延鋼帯の熱間圧延設備および圧延方法
JP4333523B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
KR20170056668A (ko) 중강판 제조 설비 및 제조 방법
JP4529517B2 (ja) 高炭素鋼板の製造方法および製造設備
JP2007245232A (ja) 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法
KR100829943B1 (ko) 표면 스케일 및 가공성이 우수한 열연 저 탄소강 제조방법
JP3882465B2 (ja) 表面性状の良好な熱延鋼板の製造方法
JP5673370B2 (ja) 熱延鋼板の冷却方法
JP4144567B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP2005296973A (ja) 熱延鋼板の製造方法とその装置
JP3582517B2 (ja) 熱延鋼帯の製造方法
JPH06269840A (ja) 表面性状の良い熱延鋼板の製造方法
JP2001321823A (ja) 熱間圧延設備
JP6518948B2 (ja) 鋼板の製造方法および製造設備
JP2022095311A (ja) 冷間圧延鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090602

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090615

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4333523

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350