JP4529517B2 - 高炭素鋼板の製造方法および製造設備 - Google Patents

高炭素鋼板の製造方法および製造設備 Download PDF

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本発明は、熱間圧延された高炭素鋼板の製造方法および製造設備に関するものである。
一般に、熱延鋼板は、加熱炉においてスラブを所定の温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定の厚みに圧延して粗バーとし、ついでこの粗バーを複数基のスタンドからなる仕上圧延機において仕上圧延して所定の厚みの熱延鋼板とし、この熱延鋼板をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、コイラーで巻取ることにより製造される。仕上圧延後、熱延鋼板が冷却される際には、通常、鋼板の上面は円管上のパイプラミナーにより冷却し、鋼板の下面は搬送ロール間に設置したスプレーにて冷却される。このような冷却方法では、冷却速度は50℃/秒程度である。こうして製造された熱延鋼板の組織は、実質的にフェライトとパーライトの混相組織となっている。
工具あるいは自動車部品(ギア、ミッション)等に使用される高炭素鋼板は、打ち抜き、成形後、焼き入れ焼き戻し等の熱処理が施される。これらの部品加工を行うユーザーの要求の1つに、打ち抜き後の成形において穴広げ加工(バーリング)性の向上がある。この穴広げ加工性は、プレス成形性としては伸びフランジ性で評価されている。そのため、伸びフランジ性の優れた材料が望まれている。
このような、高炭素鋼板の伸びフランジ性の向上については、いくつかの技術が検討されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
特許文献1および特許文献2には、冷間圧延を経たプロセスにおいて伸びフランジ性に優れた中・高炭素鋼板を製造する方法が提案されている。この技術は、C:0.1〜0.8質量%を含有する鋼からなり、金属組織が実質的にフェライトおよびパーライト組織であり、必要に応じて初析フェライトの面積率がC(質量%)により決まる所定の値以上で且つ、パーライトラメラの間隔が0.1μm以上の熱延鋼板に、15%以上の冷間圧延を施し、ついで3段階または2段階の温度範囲で長時間保持する3段階または2段階焼鈍を施すというものである。
さらに、伸びフランジ性に優れた高炭素鋼板の製造方法に関して、熱延段階での組織の造り込みに関する技術が検討されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許文献3には、冷却速度120℃/秒以上で冷却し、冷却停止温度を650℃以下として巻取り温度を600℃以下とするか、または冷却停止温度を600℃以下として巻取り温度を500℃以下とする方法が示されている。
特開平11−269552号公報 特開平11−269553号公報 特開2003―13144号公報
しかしながら、上記した従来技術には次のような問題がある。
特許文献1および2に示された技術では、フェライト組織が初析フェライトからなり、炭化物を含まないため柔らかく延性に優れているが、伸びフランジ性は必ずしも良好ではない。それは、打ち抜き加工時に打ち抜き端面の近傍で初析フェライトの部分が大きく変形するため、初析フェライトと球状化炭化物を含むフェライトでは変化量が大きく異なる。その結果、これら変形量が大きく異なる粒の粒界付近に応力が集中し、球状化組織とフェライト界面にボイドが発生する。これがクラックに成長するため、結果的には伸びフランジ性を劣化させると考えられる。また、一般に熱延段階での冷却装置では、冷却速度が50℃/秒程度と低いために、フェライトへの変態を回避することは不可能である。
また、特許文献3に示された技術を用いることにより、従来に比べ、初析フェライトの発生の少ない、伸びフランジ性に優れた高炭素鋼板の製造は可能となる。しかし、高炭素鋼板を製造する際には急速冷却停止後の変態発熱が顕著となり、上記の温度範囲に温度を制御することは非常に困難である。また、冷却速度120℃/秒で冷却後から巻取りまでの変態発熱を考慮した温度の制御方法については何ら記載されていない。
すなわち、特許文献3に示された技術を実機に適用しようとすると図12に示すような高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図(板厚3mm)が得られる。
図12において、aは冷却曲線、bはフェライト変態開始線、cはパーライト変態終了線、dはパーライト変態開始線、eはマルテンサイト変態開始線、fはベイナイト変態開始線、gはベイナイト変態終了線である。また、冷却曲線aにおいて強冷却停止から変態開始するまでの時間を変態開始までの遅延時間と定義する。冷却曲線aにおいて約50℃の変態発熱が生じることが判った。その結果、鋼板の組織はパーライトへ変態し、パーライトのラメラ間隔の粗大化が促進してしまうため伸びフランジ性が劣化した。
本発明は、上記のような変態発熱の挙動について詳細に研究を進めた結果なされたものであり、その目的は、上述した従来技術の問題点を解決し、伸びフランジ性に優れた高炭素鋼板の製造に関して、熱延段階にて、変態発熱に伴う温度上昇による組織変化を抑えて、初析フェライトを発生させることなく打ち抜き端面の割れが発生しにくい伸びフランジ性に優れた高炭素鋼板の製造方法および製造設備を提供することにある。
このような目的を達成するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)Cを0.2〜0.7質量%含有する鋼を、仕上温度(Ar変態点−20℃)以上で熱間圧延後、冷却速度150℃/秒以上且つ冷却停止温度570℃以下で強冷却し、強冷却停止後、あらかじめ求めておいた変態発熱が開始するまでの遅延時間は空冷し、前記遅延時間経過後からさらに冷却を行うことにより、強冷却停止から巻取りまでの温度を450〜570℃且つパーライトへ変態しない温度の範囲で保持することを特徴とする高炭素鋼板の製造方法。
)強冷却停止後、さらに行う冷却を、あらかじめ求めておいた変態発熱温度および変態発熱時間に応じてその変態発熱する温度分を冷却するように冷却量を設定して行うことを特徴とする上記(1)に記載の高炭素鋼板の製造方法。
)強冷却停止後にさらに行う冷却を、鋼のC含有量、強冷却停止温度に応じて変態発熱が開始するまでの遅延時間、変態発熱温度および変態発熱時間を求めた後、変態発熱の進行について変態進行モデルを用いて算出し、搬送速度に応じて使用する冷却バンクと冷却量を決定し、冷却を施すことにより制御することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高炭素鋼板の製造方法。
)板厚が4mm以上の鋼板について、強冷却停止後にさらに行う冷却を、変態が進行する時間帯に水冷と空冷とを交互に行うように冷却バンクを間欠的に使用することによって、板厚方向すべての部位の温度を450〜570℃且つパーライトへ変態しない温度の範囲に保持することを特徴とする上記()及至()のいずれかに記載の高炭素鋼板の製造方法。
)強冷却停止から巻取りまでの温度を、変態開始時点での鋼板の組織が変化しない範囲で保持することを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の高炭素鋼板の製造方法。
)鋼のC含有量ごとにあらかじめ変態開始時点での鋼板の組織が変化する境界温度を求めておき、強冷却停止から巻取りまでの温度を、450℃〜前記境界温度の範囲か、または前記境界温度〜570℃の範囲で保持することを特徴とする上記()に記載の高炭素鋼板の製造方法。
)鋼板の熱間圧延設備であって、仕上圧延機の後に150℃/秒以上の強冷却を行うことが可能な第1の冷却装置と、該第1の冷却装置の下流側に緩冷却を行うことが可能な第2の冷却装置と、該第2の冷却装置の中間に鋼板の表面温度を測定する温度計とを備え、第1の冷却装置と第2の冷却装置との間隔が3m以内であることを特徴とする高炭素鋼板の製造設備。
以下に本発明の構成要素について説明する。
[C含有量:0.2〜0.7質量%]
Cは、炭化物を形成し、焼き入れ後の硬度を付与する重要な元素である。C含有量が0.2質量%未満では、熱延後の組織において、初析フェライトの生成が顕著となり炭化物の分布が不均一となる。さらにその場合、焼き入れ後も機械構造用部品として充分な強度を得られない。C含有量が0.7質量%を超えると、焼鈍後でも充分な加工性が得られない。また、その場合、熱延後の鋼板の硬度が高く脆いため、取り扱いに不便であり焼き入れ後の強度も飽和する。従って、C含有量を0.2〜0.7質量%に規定する。
[仕上温度:(Ar3変態点−20℃)以上]
熱間圧延の仕上温度が(Ar3変態点−20℃)未満では、一部でフェライト変態が進行するため炭化物を含まないフェライト粒が増加し、伸びフランジ性が劣化する。そこで(Ar3変態点−20℃)以上の仕上温度で仕上圧延する。これにより、組織の均一化を図ることができ伸びフランジ性の向上が図れる。
[仕上圧延後の冷却条件:冷却速度150℃/秒以上]
仕上圧延後に徐冷であった場合、オーステナイトの過冷度が小さく初析フェライトが生成する。冷却速度が150℃/秒未満の場合、初析フェライトの生成が顕著となり伸びフランジ性が劣化する。従って、仕上圧延後の冷却速度を150℃/秒以上とする。
[強冷却停止温度:570℃以下]
仕上圧延後の強冷却の冷却停止温度が高い場合、巻取りまでの冷却中にフェライトが生成するとともに、パーライトのラメラ間隔が粗大化する。そのため、焼鈍後に微細炭化物が得られなくなり伸びフランジ性が劣化する。強冷却停止温度が570℃超えの場合、フェライト生成およびパーライトのラメラ間隔の粗大化が顕著となり伸びフランジ性が劣化する。570℃以下の場合、フェライトの生成を抑制することが可能であり、且つパーライトのラメラ粗大化の抑制も可能となる。
[強冷却停止から巻取りまでの温度:450〜570℃保持]
高炭素鋼板では、変態開始から終了までの変態発熱が顕著であり、例えば強冷却停止温度を550℃とした場合でも、巻取りまでの間に50℃程度変態発熱してしまう。変態発熱による温度上昇を抑制せず、570℃超えとなってしまった場合、パーライトのラメラ間隔の粗大化を促進してしまうため伸びフランジ性が劣化する。また、強冷却停止から巻取りまでの間で温度を450℃未満にすると鋼板の形状が劣化してしまう。以上より、強冷却停止から巻取りまでの温度を450〜570℃の範囲で保持する。
本発明によれば次のような効果を得ることができる。すなわち、高炭素鋼板にて、初析フェライトを発生させない冷却速度で冷却を停止し、また巻取りまで変態発熱による温度上昇を抑制した温度制御を行い、組織の造り込みを行うことにより、焼鈍後に伸びフランジ性に優れた鋼板を製造することが可能となる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の高炭素鋼板の製造設備の一例を示す側面図である。
図1に示す製造設備は、仕上圧延機1と、仕上圧延機1の出側に冷却速度が150℃/秒以上の強冷却が可能な冷却装置9(第1の冷却装置)と、冷却装置9の下流側に設置された、巻取りまでの間に変態発熱による温度上昇を抑制して所定の温度にまで冷却するための冷却装置2(第2の冷却装置)と、仕上圧延機出側の鋼板の表面温度を測定する温度計6と、冷却装置2の中間位置での鋼板の表面温度を測定する温度計7と、コイラー5により鋼帯を巻取るときのコイラー巻取り温度を測定するための温度計8とを備えている。
前記冷却装置9は製造する高炭素鋼板の全ての板厚に対して冷却速度が150℃/秒以上の能力を有する。これは、高炭素鋼板の代表例であるSC材(機械構造用炭素鋼)において初析のフェライトを析出させないためには、例えば図2に示すSC材の等温変態線図より、時間的に最短でフェライトへの変態開始が始まるのは、冷却開始から2.5秒であり、初析フェライトの析出を回避するには、2.5秒以内に570℃以下にする必要がある。2.5秒以内に570℃まで冷却するためには、冷却速度が150℃/秒以上の能力を有する冷却装置が必要となる。
図2は、板厚3mmの高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図であって、aは冷却曲線、bはフェライト変態開始線、cはパーライト変態終了線、dはパーライト変態開始線、eはマルテンサイト変態開始線、fはベイナイト変態開始線、gはベイナイト変態終了線である。図2においては、冷却曲線aから判るように冷却開始から2秒で570℃まで冷却された。
前記冷却装置2は、緩冷却を行うことが可能な冷却装置で、通常冷却速度が100℃/秒以下の能力を有する。
本発明の高炭素鋼板の製造方法を実施する場合には、150℃/秒以上で強冷却した後に、遅延時間、変態発熱量、変態発熱時間に応じて、変態発熱する温度分を冷却するように冷却量を設定することにより、下流の冷却装置2により変態発熱による温度上昇の抑制を行う。
仕上圧延後、150℃/秒以上の強冷却停止後に巻取りまでの間で一切冷却を行わないとすると、SC材では変態の進行とともに変態発熱が顕著となり、例えば強冷却停止温度が550℃のときに、巻取りまでに50℃程度発熱する。変態発熱により、鋼板の組織はパーライトへ変化し、パーライトのラメラ間隔の粗大化が顕著となり伸びフランジ性が劣化する。パーライトへの変態を抑制するためには、冷却速度150℃/秒以上の強冷却停止後に、変態発熱による温度上昇を抑制し、鋼板温度を450〜570℃で保持するように冷却を制御する。
但し、強冷却停止から巻取りまでの間は、強冷却停止から変態が開始した時点での鋼板の組織を保持する温度範囲で制御することが好ましい。
表1は、SC材であるS35Cの強冷却停止温度、巻取りまでの間の保持温度、巻取り温度を変化させて造り込みを行った場合の熱延段階での組織を示している。表1に示すように、強冷却停止温度から巻取り温度までの全てが500〜570℃の範囲の場合(No.1〜3)では上部ベイナイトの組織となり、強冷却停止温度から巻取り温度までの全てが450〜500℃の範囲の場合(No.6、7)では下部ベイナイトの組織となる。つまり、S35Cの上部ベイナイトと下部ベイナイトの境界温度は約500℃である。
また、表1によると、強冷却停止温度を上部ベイナイト域で停止させ、温度保持の間に下部ベイナイト域の温度になった場合(No.4)、および、強冷却停止温度を下部ベイナイト域で停止させ、温度保持の間に上部ベイナイト域の温度になった場合(No.5)には上部ベイナイトと下部ベイナイトの混相組織となった。熱延段階で上部ベイナイトに造り込んだ場合と、下部ベイナイトで造り込んだ場合とでは、焼鈍後の材質特性が異なってしまうため均一な組織での造り込みが必要である。
よって本発明では、鋼のC含有量ごとにあらかじめ上部ベイナイトと下部ベイナイトの境界温度を求めておき、強冷却停止から巻取りまでの温度制御は、変態が開始する時点での組織を保持する温度範囲にて行うことが好ましい。すなわち、強冷却停止から巻取りまでの温度を、450℃〜境界温度の範囲か、または境界温度〜570℃の範囲で保持する。
Figure 0004529517
図3は、板厚3mm、C含有量が0.35質量%、0.45質量%、0.55質量%の高炭素鋼板について、強冷却停止温度を550℃一定として冷却速度を変化させた場合の変態開始時間の変化の一例を示すグラフである。変態開始時間とは、冷却を開始してから変態が始まるまでの時間である。図3では強冷却停止温度550℃で、冷却速度がそれぞれ150〜700℃/秒の時の変態開始時間の変化を示している。図3に示すように冷却速度の増加に伴い変態開始時間が短時間側へシフトしていることが判る。また、C含有量が増加するにつれて、変態開始時間が長時間側へシフトしている。さらに、図3は強冷却停止温度を550℃一定とした場合であるが、この強冷却停止温度を変化させると変態開始時間も変化することが別に求められている。つまり、変態開始時間は冷却速度、強冷却停止温度、C含有量により変化する。
次に図4は板厚3mm、C含有量が0.35質量%、0.45質量%、0.55質量%の高炭素鋼板について強冷却停止温度と遅延時間との関係の一例を示すグラフである。遅延時間とは、強冷却停止から変態発熱開始までの時間である。図4によれば、強冷却停止温度が高くなるほど遅延時間は短くなることが判る。また、C含有量が大きくなるにつれ、遅延時間が長時間側へシフトしている。遅延時間はこのように強冷却停止温度、C含有量により変化するが、別の調査によれば冷却速度には依らずほぼ一定となる。
また、図5は、強冷却停止温度と変態発熱による温度上昇量との関係の一例を示すグラフである。図5によれば、強冷却停止温度ごとに変態発熱による温度上昇量が異なるが、強冷却停止温度450〜570℃の範囲では、巻取りまでの間に変態発熱により45〜85℃程度温度上昇してしまい、これに伴い熱延の組織もパーライト組織へと変態してしまう。
さらに、図6は板厚3mm、C含有量が0.35質量%、0.45質量%、0.55質量%の高炭素鋼板について強冷却停止温度と変態発熱の持続時間との関係の一例を示すグラフである。図6によれば、強冷却停止温度が高くなるほど変態発熱時間は短くなることが判る。また、C含有量が大きくなるにつれ変態発熱時間が長くなることが判る。
以上の知見より、本発明のCを0.2〜0.7質量%含有する高炭素鋼板においては、あらかじめC含有量ごとの等温変態線図を求め、フェライト変態が開始する最短の時間を求め、フェライト変態が最短で開始する時間以内に570℃以下となる冷却速度を求める。次に、強冷却停止温度および冷却速度から変態開始時間を求め、さらに、強冷却停止温度に応じて変態発熱が開始するまでの遅延時間、変態発熱温度、変態発熱時間を求める。そして、強冷却停止から遅延時間後に変態発熱分の冷却を開始して変態発熱時間分冷却を続ける。変態発熱遅延時間が求められれば、鋼板の板厚、搬送速度が変化した場合でも、強冷却停止後、次に冷却を開始する位置が決まるので、目的の温度域に鋼板の温度を制御することが可能となる。
本発明では、150℃/秒以上の強冷却を行うことが可能な冷却装置9と、この冷却装置9の下流側に緩冷却を行うことが可能な冷却装置2との間隔は、強冷却停止後、遅延時間が経過した時点で直ちに緩冷却を開始できるように設定する必要がある。図4より、遅延時間が最も短いのは、強冷却停止温度570℃の時の0.83秒であるので、通常製造される最大板厚範囲6mmにおいて、最小搬送速度(220mpm)でも強冷却後0.83秒後に冷却可能な位置となるようにするために、強冷却を行うことが可能な冷却装置9と緩冷却を行うことが可能な冷却装置2との間隔は3m以内とするのが好ましい。さらに板厚が厚い鋼板について製造する際には、強冷却が可能な冷却装置と第2の緩冷却が可能な冷却装置との間隔を近接化させることが望ましい。
また、冷却装置2の中間位置に設ける鋼板の表面温度を測定する温度計7の設置位置で変態発熱分の冷却が終了していることが好ましい。温度計7により変態発熱の終了を確認できるからである。もし、温度計7の設置位置で変態発熱分の冷却が終了していない場合は、温度計7の設置位置以降の冷却バンクを用いればよい。温度計7の設置位置で変態発熱が終了しているためには、温度計7は冷却装置2の入口から30〜60mの範囲に設置するのが好ましい。
本発明に用いる鋼は、C含有量を0.2〜0.7質量%とする他は特に規定せず、Mn、Si、P、S、Al、Nなどの元素が通常の範囲で含有されていても問題はない。
(第2の実施形態)
次に本発明の他の実施形態を説明する。なお、強冷却停止後にさらに行う冷却における温度制御以外については第1の実施形態と同様であるので、その詳細説明は省略する。
C含有量を0.2〜0.7質量%含有する高炭素鋼板において、強冷却停止後、さらに冷却を行う際の別形態として、変態発熱の進行について変態進行モデルを用いて算出し、巻取りまでの温度制御を行うことでより高精度な温度制御が可能となる。
図13は、この実施形態において用いる製造設備の一例である。冷却速度が150℃/秒以上の強冷却が可能な冷却装置9(第1の冷却装置)の下流側に、冷却速度が100℃/秒以下の緩冷却を行うための緩冷却帯11(第2の冷却装置)が設置されている。緩冷却帯11は、14個の冷却バンク(#1〜#14)を有しており、それらの冷却バンクは、緩冷却帯操業条件演算装置10の演算結果に基づいて制御される。
具体的には、まず、あらかじめC含有量ごとの等温変態線図を求め、フェライト変態が開始する最短の時間を求め、フェライト変態が最短で開始する時間以内に570℃以下となる冷却速度を求める。次に、強冷却停止温度および冷却速度から変態開始時間を求め、さらに、強冷却停止温度に応じて変態発熱が開始するまでの遅延時間、変態発熱温度、変態発熱時間を求める。 ここで、強冷却を停止する時刻を0とすると、変態が開始する時刻tsおよび変態が終了する時刻tfは以下のように表せる。
Figure 0004529517
但し、tinc:遅延時間、ttra:変態発熱時間〔s〕である。
第i番目のバンク出側を鋼板が通過する時刻tiは、
Figure 0004529517
但し、L:強冷却停止位置から第1番目のバンクまでの距離〔m〕、li:各冷却バンクの長さ〔m〕、v:鋼鈑の搬送速度〔m/s〕である。
緩冷却帯操業条件演算装置は、式(1)および(2)より変態が開始および終了する時刻と、搬送速度とから演算により緩冷却帯で使用する冷却バンクを決定する。
Figure 0004529517
すなわち、式(3)を満たすiを解として得る。なお、ti<tsおよびti>tfの範囲では空冷とする。
次に、変態発熱挙動から冷却温度量を決定する。変態の進行はJhonson−Mehl−Avramiの式を用いてモデル化でき、変態発熱温度履歴の近似式として
Figure 0004529517
を得る。但し、Tq:変態発熱温度〔℃〕、A:最終的な変態発熱温度〔℃〕、B:時定数、t:変態開始時刻からの変態発熱時間〔s〕である。定数AおよびBは、あらかじめC含有量と冷却終了温度別にテーブル値を設定しておく。
第i番目のバンク通過中の変態発熱温度量は
Figure 0004529517
となり、このΔT(i)を第i番目のバンクでの冷却温度量として緩冷却帯操業条件演算装置は計算を行う。
このようにして、使用する冷却バンク位置、冷却温度量などの冷却パターンが決定し、前記温度範囲での保持制御が可能となる。C含有量が増加すると、変態開始時刻および変態発熱時間は長くなることにより、使用する冷却バンク位置は下流側に遷移し使用バンク数は増加する。
以上の知見より、C含有量を0.2〜0.7質量%含有する高炭素鋼板において、強冷却終了後、さらに冷却を行う際に変態発熱モデルを用いることにより巻取りまでの温度制御の高精度化が実現する。上記のように強冷却終了後、さらに冷却を行う際の温度制御は、モデル計算により、使用冷却バンク、冷却量を決定するのが望ましいが、あらかじめ変態発熱量、変態発熱時間を求め、使用冷却バンク、冷却量をテーブル値として与えて温度制御を行っても良い。
(第3の実施形態)
次に本発明の他の実施形態を説明する。なお、板厚4mm以上について、強冷却停止後にさらに行う冷却における温度制御以外については第1の実施形態と同様であるので、その詳細説明は省略する。
板厚4mm以上の高炭素鋼板について強冷却停止後さらに冷却を行う際の冷却制御方法について以下に説明する。板厚5mmの高炭素鋼板について、強冷却停止後さらに冷却を行う際の冷却装置の水量密度と冷却速度の関係について調査を行った。図7に鋼板の板厚が5mmの場合について、緩冷却を行うことが可能な冷却装置2(第2の冷却装置)における水量密度と鋼板の表層部と板厚中央部の冷却速度との関係の一例を示す。冷却速度は、冷却前後の温度差と冷却時間より算出した。図7に示すように板厚の厚い鋼板を冷却する際には、表層部から冷却されるために、表層部と板厚中央部で冷却速度が大きく異なってしまい、例えば、冷却装置の水量密度を1000[l/min・m2]として冷却する場合には、表層部の冷却速度は129[℃/秒]であるのに対して、板厚中央部の冷却速度は19[℃/秒]となる。
このように表層部と板厚中央部で冷却速度が異なる場合に連続的に冷却した場合、冷却中の表層部と板厚中央部で温度差が拡大してしまう。図8に水量密度1000[l/min・m2]のときの鋼板の表層部と板厚中央部それぞれの冷却時間と冷却量の変化の一例を示すが、例えば1秒間、連続的に冷却した場合には、表層部と板厚中央部で110[℃]程度の温度差が発生してしまう。
強冷却停止後、さらに450℃〜570℃の範囲で板厚方向に均一に冷却するためには、例えば、冷却装置の水量密度を1000[l/min・m2]として連続的に冷却する場合、強冷却停止温度が560℃の場合に冷却中に鋼板の表層部の温度が450℃未満とならないためには、連続的に冷却する時間は1秒未満とする必要がある。
すなわち、強冷却終了後さらに冷却を行う際には、冷却中の表層最低温度が450℃未満とならないように、第2の冷却装置の水量密度から、表層部の冷却速度をあらかじめ求めておいて、表層部の温度が450℃となるまでの時間内で冷却を行い、その後は一旦冷却を停止し、鋼板の表層部の温度が復熱して板厚中央部との温度差が解消された後、さらに冷却を行う、間欠的な冷却を行う必要がある。
強冷却停止後に間欠的な冷却を行う場合、一旦冷却を停止し、さらに冷却をするまでの時間については、冷却後の表層部と板厚中央部で温度差が解消される時間を確保する必要がある。例えば、板厚5mm、冷却装置の水量密度が1000[l/min・m2]のときの冷却終了後の表層部と板厚中央部の温度差の変化を図9に示す。図9に示すように、表層部と板厚中央部の温度差が解消されるまでの時間は1秒程度である。したがって、板厚5mm材、水量密度1000[l/min・m2]の冷却装置を用いて間欠的な冷却を行う場合、一旦冷却を停止し、さらに冷却をするまでに1秒程度時間を空ける必要がある。このように冷却を間欠的に行う場合に、一旦冷却を停止し、さらに冷却するまでの時間は、鋼板の板厚、冷却装置の水量密度から、冷却後の表層部と板厚中央部の温度差が解消するまでの時間をあらかじめ求める必要がある。
以上の知見より、板厚4mm以上の鋼板についても、高炭素鋼板の強冷却終了後、さらに冷却を行う際に、冷却を間欠的に行うことで板厚方向全ての領域で450℃〜570℃の範囲の温度を確保することが実現可能となる。
なお、本実施形態の以上の説明では、板厚が4mm以上の場合に、強冷却停止後にさらに冷却を行う際、間欠的に行う必要があると述べたが、板厚方向で温度差が小さい水量密度の範囲で冷却する場合には、連続的な冷却を行っても良い。
[本発明例1]
図1に示す製造設備を用いて、Cを0.35質量%含有する板厚3mmの高炭素鋼板(SC材)を製造した。製造方法は、仕上温度850℃で熱間圧延後、強冷却を行ったが、その際に、まずCを0.35質量%含有する高炭素鋼板の場合、等温変態線図より、フェライトへの変態が開始するまでの最短時間は冷却開始から2.5秒であるので、冷却開始から2.5秒以内に560℃となるように200℃/秒の冷却速度にて強冷却を行い、初析フェライトの発生を抑えた。
強冷却停止後は、図4に示したように、強冷却停止温度が560℃の場合の変態開始までの遅延時間が約0.9秒であることがあらかじめ求められているので、0.9秒間は空冷し、強冷却停止後0.9秒より変態発熱分の冷却を開始した。ここで、図6より変態発熱時間は約5秒間継続で、図5より変態発熱量としては約50℃程度であることがあらかじめ求められているので、変態発熱開始点から5秒間、変態発熱する温度分を冷却するように冷却量を設定して冷却装置2により冷却することにより、変態発熱による温度上昇を抑制した温度制御を行った。また、S35Cの上部ベイナイトと下部ベイナイトの境界温度は約500℃であることがあらかじめ求められており、巻取りまでの温度制御範囲としては、本発明例では変態が開始する時点での組織が上部ベイナイトであるので、巻取りまで上部ベイナイトの組織を保持するために500〜570℃の温度を保持するように制御を行った。
その結果、フェライトの生成を抑制することができ且つ、パーライト変態を抑制することが可能となり炭化物を微細に且つ均一に分散させることが可能となった。この鋼板を酸洗後、焼鈍させたところ、鋼板の穴広げ率が75%程度と非常に伸びフランジ性の高い鋼板が得られた。
[比較例1]
図10に示す、従来の製造設備を用いてCを0.35質量%含有する板厚3mmの高炭素鋼板(SC材)を製造した。
図10に示す製造設備は、仕上圧延機1と、鋼板の上面は円管上のパイプラミナーにより冷却し、鋼板の下面は搬送ロール3間に設置したスプレー4にて冷却する緩冷却を行うことが可能な冷却装置2と、仕上圧延機1の出側の鋼板の表面温度を測定する温度計6と、冷却装置2の中間位置での鋼板の表面温度を測定する温度計7と、コイラー5により鋼帯を巻取るときのコイラー巻取り温度を測定するための温度計8とを備えている。
仕上圧延後、ランナウトテーブル上にて、鋼板の上面は円管上のパイプラミナーにより冷却され、鋼板の下面は搬送ロール3間に設置したスプレー4にて冷却された。
図11は、得られた高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図である。パイプラミナーによる冷却では、冷却速度が50℃/秒程度と低いために、冷却中にフェライトが析出し、その後パーライト変態が起こった。
図11において、aは冷却曲線、bはフェライト変態開始線、cはパーライト変態終了線、dはパーライト変態開始線、eはマルテンサイト変態開始線、fはベイナイト変態開始線、gはベイナイト変態終了線である。
このような鋼板においては、初析のフェライトの生成が顕著であり、酸洗、焼鈍後の鋼板の穴広げ率は、40%程度と低いものであった。
[比較例2]
図1に示す製造設備を用いて、Cを0.35質量%含有する板厚3mmの高炭素鋼板(SC材)を製造した。但し、緩冷却を行うことが可能な冷却装置2は使用しなかった。
このとき得られた板厚3mmの高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図を図12に示す。鋼板を仕上圧延後200℃/秒にて冷却した場合、フェライトの変態開始にかかることなく冷却を停止させることが可能であった。鋼板を冷却速度200℃/秒で強冷却停止温度が560℃となるように冷却後は、巻取りまで冷却しなかったので、変態発熱により鋼板の温度が50℃程度上昇してしまい、パーライトへの変態が顕著となった。
このような鋼板においては、パーライトのラメラ間隔の粗大化が顕著であり、酸洗の後、焼鈍した鋼板の穴広げ率は、45%程度と低いものであった。
表2に本発明例1および比較例1および2における冷却速度、強冷却停止温度、中間温度、巻取り温度、穴広げ率の比較を示す。
表2において、本発明例1では、冷却装置の中間位置に設けた温度計位置で変態発熱分の冷却が終了していた。そこでこの温度計設置以降は空冷により巻取り温度500℃となった。これに対して、比較例2では、冷却装置の中間位置に設けた温度計位置で変態発熱終了後の温度が605℃となって570℃を越えており、パーライトへの変態が顕著となった。
Figure 0004529517
[本発明例2]
図13に示す製造設備を用いて、表3に示す化学組成からなり、C含有量が異なる板厚3mmの高炭素鋼板(SC材)を製造した。製造方法は、仕上温度850℃で熱間圧延後、初析フェライトの発生を抑えるため冷却速度200℃/秒にて冷却装置9を用いて強冷却を行い、さらに強冷却終了から巻取りまでの、変態発熱による温度上昇を抑制するように緩冷却帯11を用いて緩冷却を行った。
強冷却終了後の変態発熱の挙動はC含有量により異なる。あらかじめ求めておいた上記鋼板の変態発熱の挙動を表4に示す。変態発熱による温度上昇量はC含有量によらず、50℃であった。しかし、遅延時間および変態発熱時間はC含有量ごとに異なり、C含有量の増加とともに増大することがわかる。そこで、この変態発熱の挙動から、緩冷却帯操業条件演算装置10により冷却パターンを決定し温度制御を行った。なお、本発明例2では、鋼板の搬送速度は330mpmであり、冷却装置9および緩冷却帯11の各冷却バンクの長さは6mとした。距離および時刻は、強冷却停止時刻を0とし、鋼板が各場所の出側に到達する時刻である。鋼板温度は、各場所の出側到達時刻の温度である。搬送速度と表4に示す変態におけるパラメータから、緩冷却帯11での冷却バンク位置および冷却バンク数を決定する。続いて、変態モデルの近似式で計算した、強冷却停止からの時間と鋼板温度との関係を図14に示す。この近似式から各冷却バンクでの変態発熱量を算出し、冷却量を求めた。本発明例2の温度制御により得られた鋼板中心の温度履歴を表5に示す。表5において、冷却量の欄に表示がある冷却バンクが、使用中の冷却バンクである。冷却区間をC含有量の増加と供に下流側に遷移させることで、変態発熱位置に応じた冷却を行い、変態発熱による温度上昇を抑制した。また、上部ベイナイトと下部ベイナイトの境界温度は約500℃であることがあらかじめ求められており、巻取りまでの温度制御範囲としては、本発明例2では変態が開始する時点での組織が上部ベイナイトであるので、巻取りまで上部ベイナイトの組織を保持するために500〜570℃の温度を保持するように制御を行った。
その結果、フェライトの生成を抑制することができ且つ、パーライト変態を抑制することが可能となり炭化物を微細に且つ均一に分散させることが可能となった。この鋼板を酸洗後、焼鈍させたところ、鋼板の穴広げ率が75%程度と非常に伸びフランジ性の高い鋼板が得られた。
Figure 0004529517
Figure 0004529517
Figure 0004529517
[本発明例3]
図13に示す製造設備を用いて、表3のS55Cの欄に示す化学組成からなるC含有量が0.55質量%である板厚5mmの高炭素鋼板を製造した。製造方法は、仕上温度850℃で熱間圧延後、初析フェライトの発生を抑えるため冷却速度250℃/秒にて冷却装置9を用いて強冷却を行い、さらに強冷却終了から巻取りまでの、変態発熱による温度上昇を抑制するように緩冷却帯11を用いて緩冷却を行った。鋼板表層と内部の冷却速度の差に起因する板厚方向の温度差を小さくするため、緩冷却を行う冷却バンクは間欠的に使用した。本発明例3の温度制御により得られた鋼板の温度履歴を表6に本発明例3として示す。
その結果、フェライトの生成を抑制することができ且つ、板厚方向のすべての部位でパーライト変態およびマルテンサイト変態を抑制することが可能となり炭化物を微細に且つ均一に分散させることが可能となった。この鋼板を酸洗後、焼鈍させたところ、鋼板の穴広げ率が75%程度と非常に伸びフランジ性の高い鋼板が得られた。
[比較例3]
図13に示す製造設備を用いて、表3のS55Cの欄に示す化学組成からなるC含有量が0.55質量%である板厚5mmの高炭素鋼板を製造した。製造方法は、250℃/秒で冷却装置9を用いて強冷却した後、強冷却終了から巻取りまでの緩冷却を緩冷却帯11を用いて連続的に行った。このとき得られた高炭素鋼板の温度履歴を表6に比較例3として示す。鋼板中心の温度履歴は、450℃〜570℃の範囲に制御されているが、鋼板表層部は、450℃未満となる場合があった。
その結果、鋼板の表層部で一部マルテンサイト組織がみられ、鋼板の形状は劣化し、また焼鈍した鋼板の穴広げ率は、45%程度と低いものであった。
Figure 0004529517
本発明の高炭素鋼板の製造設備の一例を示す側面図 本発明の板厚3mmの高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図を示すグラフ 冷却速度を変化させた場合の変態開始時間の変化の一例を示すグラフ 板厚3mmでの強冷却停止温度と遅延時間との関係の一例を示すグラフ 強冷却停止温度と変態発熱による温度上昇量との関係の一例を示すグラフ 強冷却停止温度と変態発熱の持続時間との関係の一例を示すグラフ 強冷却停止後の第2の冷却装置を用いた場合の鋼板表層部と板厚中央部の水量密度と冷却速度の関係の1例を示すグラフ 強冷却停止後の第2の冷却装置を用いた場合の水量密度1000[l/min・m2]の時の鋼板表層部と板厚中央部の冷却時間と冷却量の関係の1例を示すグラフ 強冷却停止後の第2の冷却装置を用いた場合の水量密度1000[l/min・m2]の時の冷却後の経過時間と鋼板表層部と板厚中央部の温度差の関係の1例を示すグラフ 従来の製造設備の側面図 比較例1の製造設備による板厚3mmの高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図を示すグラフ 比較例2の製造設備による板厚3mmの高炭素鋼板の冷却曲線および等温変態線図を示すグラフ 本発明の高炭素鋼板の製造設備の別形態の一例を示す側面図 強冷却停止からの時間と鋼板温度との関係を表すグラフ
符号の説明
1 仕上圧延機
2 冷却装置
3 搬送ローラーテーブル
4 スプレー
5 コイラー
6 温度計
7 温度計
8 温度計
9 冷却装置
10 緩冷却帯操業条件演算装置
11 緩冷却帯

Claims (7)

  1. Cを0.2〜0.7質量%含有する鋼を、仕上温度(Ar変態点−20℃)以上で熱間圧延後、冷却速度150℃/秒以上且つ冷却停止温度570℃以下で強冷却し、強冷却停止後、あらかじめ求めておいた変態発熱が開始するまでの遅延時間は空冷し、前記遅延時間経過後からさらに冷却を行うことにより、強冷却停止から巻取りまでの温度を450〜570℃且つパーライトへ変態しない温度の範囲で保持することを特徴とする高炭素鋼板の製造方法。
  2. 強冷却停止後、さらに行う冷却を、あらかじめ求めておいた変態発熱温度および変態発熱時間に応じてその変態発熱する温度分を冷却するように冷却量を設定して行うことを特徴とする請求項1に記載の高炭素鋼板の製造方法。
  3. 強冷却停止後にさらに行う冷却を、鋼のC含有量、強冷却停止温度に応じて変態発熱が開始するまでの遅延時間、変態発熱温度および変態発熱時間を求めた後、変態発熱の進行について変態進行モデルを用いて算出し、搬送速度に応じて使用する冷却バンクと冷却量を決定し、冷却を施すことにより制御することを特徴とする請求項1または2に記載の高炭素鋼板の製造方法。
  4. 板厚が4mm以上の鋼板について、強冷却停止後にさらに行う冷却を、変態が進行する時間帯に水冷と空冷とを交互に行うように冷却バンクを間欠的に使用することによって、板厚方向すべての部位の温度を450〜570℃且つパーライトへ変態しない温度の範囲に保持することを特徴とする請求項及至のいずれかに記載の高炭素鋼板の製造方法。
  5. 強冷却停止から巻取りまでの温度を、変態開始時点での鋼板の組織が変化しない範囲で保持することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の高炭素鋼板の製造方法。
  6. 鋼のC含有量ごとにあらかじめ変態開始時点での鋼板の組織が変化する境界温度を求めておき、強冷却停止から巻取りまでの温度を、450℃〜前記境界温度の範囲か、または前記境界温度〜570℃の範囲で保持することを特徴とする請求項に記載の高炭素鋼板の製造方法。
  7. 鋼板の熱間圧延設備であって、仕上圧延機の後に150℃/秒以上の強冷却を行うことが可能な第1の冷却装置と、該第1の冷却装置の下流側に緩冷却を行うことが可能な第2の冷却装置と、該第2の冷却装置の中間に鋼板の表面温度を測定する温度計とを備え、第1の冷却装置と第2の冷却装置との間隔が3m以内であることを特徴とする高炭素鋼板の製造設備。
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