JP4622609B2 - 伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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本発明は、Cを0.2〜0.7質量%含有する伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法に関する。
工具あるいは自動車部品(ギア、ミッション)等に使用される高炭素鋼板は、打抜き、成形後、焼入れ焼戻し等の熱処理が施される。これらの部品加工を行うユーザの要求の1つに、打抜き後の成形において、穴拡げ加工(バーリング)性の向上がある。この穴拡げ加工性は、プレス成形性としては伸びフランジ性で評価されている。そのため、伸びフランジ性の優れた材料が望まれている。
このような、高炭素鋼板の伸びフランジ性の向上については、いくつかの技術が検討されている。例えば、特許文献1には、Cを0.2〜0.7質量%含有する鋼に対し、熱間圧延後、120℃/秒超の冷却速度で冷却停止温度650℃以下まで冷却し、次いで巻取温度600℃以下として炭化物制御を行い、酸洗後、焼鈍を行うという技術が開示されている。
このような特許文献1の技術では、炭化物制御により、球状化焼鈍を強化し、打ち抜き加工時の球状化組織とフェライトの界面におけるボイド発生を抑制することにより、クラック発生を抑え、高い伸びフランジ性を確保している。
特開2003−13145号公報
最近では、従来にもまして、生産性向上の観点から伸びフランジ性とともに軟質化に対する要求も厳しくなっているが、上記特許文献1の技術では、熱間圧延後の冷却速度を120℃/秒超とし、かつ冷却停止温度を620℃以下としているため、フェライト粒径が微細となり、軟質化することが困難であり、結果的に加工時のプレス負荷を増大させてしまうという問題がある。特許文献1の技術でも、酸洗後の焼鈍を長時間化すること、または高温焼鈍することにより軟質化を達成できはするが、エネルギー経済性および生産性の観点から非現実的である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、長時間または高温での焼鈍を伴うことなく、容易に、高い伸びフランジ性を有しかつ軟質な高炭素熱延鋼板を製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Cを0.2〜0.7質量%含有する高炭素鋼に対し熱間圧延後急速冷却を実施して伸びフランジ性を向上させる技術において、容易に鋼の軟質化を図ることができる条件を得るべく、軟質化の要因について詳細に調査した。その結果、熱間圧延時の仕上圧延温度を制御すれば酸洗後の焼鈍の負荷を低減させることができ、容易に軟質化を図れることを見出した。
一般的に、仕上圧延後に120℃/秒超の急速冷却を実施するとベイナイトまたは微細なフェライト/パーライトを主体とする組織となり、この後焼鈍を施してもフェライトの粒径を粗大化させて鋼を軟質化することは困難であるとされていた。これに対して、本発明者らは、熱間圧延時の仕上温度を従来よりも高くすることにより、冷却中に生じるフェライトの粒径を粗大化させることができ、酸洗後の焼鈍の負荷を上昇させることなく容易に高い伸びフランジ性と軟質性を兼ね備えた鋼を得ることができることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、C0.2〜0.7質量%、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、sol.Al:0.08質量%以下、N:0.01質量%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度(Ar変態点+60℃)以上で熱間圧延した後、冷却速度120℃/秒超かつ冷却停止温度650℃以下で冷却し、次いで巻取温度600℃以下で巻取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac変態点以下、焼鈍時間30時間以下で焼鈍することを特徴とする伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法を提供する。
また、本発明は、C0.2〜0.7質量%、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、sol.Al:0.08質量%以下、N:0.01質量%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度(Ar変態点+60℃)以上で熱間圧延した後、冷却速度120℃/秒超かつ冷却停止温度650℃以下で冷却し、次いで巻取温度600℃以下で巻取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac変態点以下、焼鈍時間30時間以下で焼鈍し、炭化物平均粒径を0.1μm以上1.2μm未満、炭化物を含まないフェライト粒の体積率を10%以下に制御することを特徴とする伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法を提供する。
これら発明において、前記鋼は、さらに、B:0.005質量%以下、Cr:1.5質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、Mo:0.5質量%以下、Ti:0.5質量%以下、Nb:0.5質量%以下、W:0.5質量%以下、V:0.5質量%以下、Zr:0.5質量%以下の1種または2種以上を含有してもよい。
本発明によれば、Cを0.2〜0.7質量%含有する高炭素鋼に対し熱間圧延後急速冷却を実施して伸びフランジ性を向上させる技術において、酸洗後の焼鈍の負荷を上昇させることなく容易に高い伸びフランジ性と軟質性を兼ね備えた鋼を得ることができる。したがって、ギアに代表される変速機部品等に適用した場合に、加工において加工度を高く、金型寿命を長くすることができ、製造工程を簡略化して低コストで部品等を製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る高炭素熱延鋼板の製造方法は、Cを0.2〜0.7質量%含有する鋼を、仕上温度(Ar変態点+60℃)以上で熱間圧延した後、冷却速度120℃/秒超かつ冷却停止温度650℃以下で冷却し、次いで巻取温度600℃以下で巻取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac変態点以下で焼鈍するものである。以下、構成要件毎に説明する。
C含有量:0.2〜0.7質量%
Cは、炭化物を形成し、焼入後の硬度を付与する重要な元素である。C含有量が0.2質量%未満では、熱延後の組織において初析フェライトの生成が顕著となり、炭化物の分布が不均一となる。さらにその場合、焼入後も、機械構造用部品として十分な強度が得られない。一方、C含有量が0.7質量%を超えると、焼鈍後でも十分な加工性が得られない。また、その場合、熱延後の鋼板の硬度が高く脆いため取扱いに不便であり、焼入後の強度も飽和する。したがって、C含有量を0.2〜0.7質量%に規定する。
仕上温度:(Ar変態点+60℃)以上
上記特許文献1では、熱間圧延の仕上温度を(Ar変態点−20℃)未満では、一部でフェライト変態が進行するため炭化物を含まないフェライト粒が増加し、伸びフランジ性が劣化するとして、(Ar変態点−20℃)以上の仕上温度で仕上圧延しており、これにより、組織の均一化を図り、伸びフランジ性の向上を図っている。しかし、本発明者らの検討結果により、(Ar変態点−20℃)以上であっても、特許文献1の実施例に存在する上限である(Ar変態点+40℃)まででは酸洗後の焼鈍の負荷を上昇させることなく軟質化することは困難であることが判明した。
これに対して、仕上温度を(Ar変態点+60℃)以上とした場合、仕上圧延直後のオーステナイト粒の粗大化が進行し、その結果、圧延後の冷却中にフェライト変態した際の初期フェライト粒径が大きくなり酸洗後の焼鈍の負荷を上昇させることなく容易に軟質化を図ることができる。したがって、仕上温度を(Ar変態点+60℃)以上とする。
このことを実験結果に基づいて説明する。
質量%で、C=0.036%、Si=0.19%、Mn=0.77%、P=0.014%、S=0.002%の鋼を用い、熱間圧延の仕上温度を(Ar変態点+10℃)〜(Ar変態点+100℃)の間で変化させ、熱間圧延後の冷却において冷却速度200℃/秒、冷却停止温度580℃とし、次いで巻取温度530℃で巻取り、酸洗後、680℃×20時間の焼鈍を行った。図1に、このようにして得られたサンプルの仕上温度と硬度との関係を示す。図1の横軸は、仕上温度:(Ar+X)(℃)のXの値である。この図に示すように、Xが60℃以上、つまり仕上温度が(Ar変態点+60℃)以上の場合には、焼鈍負荷を軽減しても容易に軟質化を達成していることがわかる。
圧延後の冷却における冷却速度:120℃/秒超
本発明では、変態後のフェライト粒の体積率の低減を図るため、圧延後に急冷(冷却)を行う。冷却方法が徐冷であると、オーステナイトの過冷度が小さく初析フェライトが生成する。具体的には、冷却速度が120℃/秒以下の場合、初析フェライトの生成が顕著となり、炭化物を含まないフェライト粒が10%超となり、伸びフランジ性が劣化する。したがって、圧延後の冷却の冷却速度を120℃/秒超とする。
なお、仕上圧延後、0.1秒を超え1.0秒未満の時間内で冷却を開始することが望ましい。この場合には、変態後のフェライト結晶粒やパーライト等の析出物をより微細化でき、加工性をより一層向上させることができる。
圧延後の冷却における冷却停止温度:650℃以下
圧延後の冷却の冷却停止温度が高い場合、巻取までの冷却中にフェライトが生成するとともに、パーライトのラメラ間隔が粗大化する。そのため、焼鈍後に微細炭化物が得られなくなり、伸びフランジ性が劣化する。具体的には、冷却停止温度が650℃より高い場合、炭化物を含まないフェライト粒が10%超となり、伸びフランジ性が劣化する。したがって、圧延後の冷却の冷却停止温度を650℃以下とする。さらに、炭化物を含まないフェライト粒を5%以下とする場合は、冷却停止温度を600℃以下とする。
巻取温度:600℃以下
冷却後は鋼板を巻き取るが、巻取温度が高いほどパーライトのラメラ間隔が大きくなる。そのため、焼鈍後の炭化物が粗大化し、巻取温度が600℃を超えると伸びフランジ性が劣化する。したがって、巻取温度を600℃以下とする。さらに、巻取温度を500℃以下とすることにより、炭化物の分散状態が一層均一化し、極めて優れた伸びフランジ性が得られる。なお、巻取温度の下限は特に規定しないが、低温になるほど鋼板の形状が劣化するため、200℃以上とすることが好ましい。
焼鈍温度:640℃以上Ac変態点以下
熱延鋼板を酸洗した後、炭化物を球状化するために焼鈍を行う。焼鈍温度が640℃未満の場合、炭化物の球状化が不十分あるいは炭化物平均粒径が0.1μm未満となり、伸びフランジ性が劣化する。一方、焼鈍温度がAc1変態点を超える場合、一部がオーステナイト化し、冷却中に再度パーライトを生成するため、やはり、伸びフランジ性が劣化する。なお、優れた伸びフランジ性を得るには、焼鈍温度を680℃以上とすることが好ましい。
なお、本発明においては、上述のように焼鈍温度を極端に高くすることなく鋼の軟質化を図ることができるが、焼鈍時間についても極端に長い時間は不要であり、30時間以下、例えば20時間で十分である。この点において、本発明は軟質化のために長時間または高温焼鈍が必要な上記特許文献1の技術よりも有利である。ただし、焼鈍時間が5時間未満では十分な軟質化を達成することは困難であるため、5時間以上とすることが望ましい。
以上のような方法により、炭化物平均粒径を0.1μm以上1.2μm未満、炭化物を含まないフェライト粒の体積率を10%以下に制御することができる。
炭化物平均粒径:0.1μm以上かつ1.2μm未満
炭化物粒径は、加工性一般、および穴拡げ加工におけるボイドの発生に大きく影響する。炭化物が微細になるとボイドの発生は抑制できるが、炭化物平均粒径が0.1μm未満になると、硬度の上昇に伴い延性が低下し、そのため伸びフランジ性も低下する。炭化物平均粒径の増加に伴い加工性一般は向上するが、1.2μm以上になると、穴拡げ加工におけるボイドの発生により伸びフランジ性が低下する。したがって、炭化物平均粒径を0.1μm以上かつ1.2μm未満に制御する。なお、炭化物平均粒径は上記製造条件、特に冷却停止温度、巻取温度、および焼鈍温度により制御することができる。
炭化物の分散状態: 炭化物を含まないフェライト粒の体積率が10%以下
炭化物の分散状態を均一とすることにより、前述のように、穴拡げ加工の際の打抜き端面における応力集中が緩和され、ボイドの発生を抑制することができる。炭化物を含まないフェライト粒を、体積率にして10%以下にすることにより、炭化物の分散状態が均一化され、伸びフランジ性が著しく向上する。したがって、炭化物を含まないフェライト粒の体積率を10%以下とする。さらに、炭化物を含まないフェライト粒を、体積率にして5%以下にすることで、炭化物の分散状態を一層均一化し、極めて優れた伸びフランジ性が得られる。
以上の説明において、炭化物を含まないというのは、通常の金属組織観察(光学顕微鏡)では炭化物が検出されないという意味である。このようなフェライト粒は、熱延後に初析フェライトとして生成した部分であり、焼鈍後の状態でも粒内の炭化物が実質的に見られない。また、炭化物を含まないフェライト粒の体積率が10%以下であれば、機械的性質(硬度)への影響も無視できる。なお、炭化物の分散状態は前述のように製造条件、特に仕上温度、圧延後の冷却の冷却速度、冷却停止温度、および巻取温度により制御することができる。
本発明において、鋼の成分組成は、基本的に、C:0.2〜0.7質量%の他、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、sol.Al:0.08質量%以下、N:0.01質量%以下含有する。金属組織が前述の炭化物平均粒径および炭化物の分散状態を満たしさえすれば、原理的に他の成分は特に規定する必要はない。
以下、これらについて説明する。まず、Siについては、炭化物を黒鉛化し、焼入性を阻害する傾向があるので、2質量%以下とするのが望ましい。Mnについては、過剰の添加は延性の低下を引き起こす傾向があるので、2質量%以下とするのが望ましい。P,Sについては、過剰に含有すると延性が低下し、またクラックも生成しやすくなるのでともに0.03質量%以下であることが望ましい。また、Alについては、過剰に添加するとAlNが多量に析出し焼入性を低下させるので、sol.Alとして0.08質量%以下とするのが望ましい。Nについても、過剰に含有している場合は延性の低下をもたらすため、0.01%以下であることが望ましい。
さらに、目的に応じて、通常添加される範囲でB,Cr,Cu,Ni,Mo,Ti,Nb,W,V,Zr等の各種元素を必要に応じて添加してもよい。これらの元素は、本発明の効果には特に影響を及ぼさずに所望の効果を得ることができる。具体的には、上記組成にさらに、B:0.005質量%以下、Cr:1.5質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、Mo:0.5質量%以下、Ti:0.5質量%以下、Nb:0.5質量%以下、W:0.5質量%以下、V:0.5質量%以下、Zr:0.5質量%以下の1種または2種以上を含有してもよい。B,Cr,Cu,Ni,Mo,Ti,Nb,Wについては、添加することにより熱延冷却時の初析フェライト生成の抑制、焼入れ性の向上を図ることができるが、上記含有量を超えると効果が飽和し、コスト増となる。また、V,Zrについては、添加することにより強度強化を図ることができるが、上記含有量を超えると効果が飽和し、コスト増となる。
これら元素および残部のFeの他、製造過程でSn,Pb等の各種不純物元素が混入するが、このような不可避的な不純物元素は本発明の効果に特に影響を及ぼすものではなく、許容される。
本発明の高炭素鋼の成分調製には、転炉あるいは電気炉のどちらでも使用可能である。また、熱間圧延時に粗圧延を省略して仕上圧延を行ってもよく、連続鋳造スラブをそのまま、または温度低下を抑制する目的で保熱しつつ圧延する直送圧延を行ってもよい。
このように成分調製された高炭素鋼を、造塊−分塊圧延または連続鋳造によりスラブとする。このスラブについて熱間圧延を行うが、その際、スラブ加熱温度は、スケール発生による表面状態の劣化を避けるため1280℃以下とすることが好ましい。
なお、仕上温度確保のため、熱間圧延中にバーヒータ等の加熱手段により圧延材の加熱を行ってもよい。また、球状化促進あるいは硬度低減のため、巻取後にコイルを徐冷カバー等の手段で保温してもよい。
熱間圧延後の焼鈍については、箱焼鈍、連続焼鈍のいずれでもよい。その後、必要に応じて調質圧延を行う。この調質圧延については焼入れ性には影響を及ぼさないことから、その条件に対して特に制限はない。
表1に示す化学成分を有する鋼の連続鋳造スラブを1250℃に加熱し、表2に示す条件にて熱間圧延および焼鈍を行い、板厚5.0mmの鋼板を製造した。ここで、鋼板No.1〜5、7〜12、14〜16は製造条件が本発明範囲内の本発明例であり、鋼板No.6、13、17は参考例であり、鋼板No.18〜27は製造条件が本発明範囲から外れる比較例である。
これらの鋼板からサンプルを採取し、炭化物平均粒径ならびに炭化物の分散状態の測定、硬度測定、および伸びフランジ性測定を行った。それぞれの試験・測定の方法および条件について以下に示す。
(1)炭化物平均粒径およびその分散状態
サンプルの板厚断面を研磨・腐食後、走査型電子顕微鏡にてミクロ組織を撮影し、0.01mmの範囲で炭化物粒径およびその分散状態(炭化物を含まないフェライト粒の体積率)の測定を行った。
(2)伸びフランジ性測定
サンプルを、ポンチ径d=10mm、ダイス径11mm(クリアランス20%)の打抜き工具を用いて打抜き後、穴拡げ試験を実施した。穴拡げ試験は、円筒平底ポンチ(50mmφ、5R)にて押し上げる方法で行い、穴縁に板厚貫通クラックが発生した時点での穴径dbを測定して、以下の(1)式で定義される穴拡げ率:λ(%)を求めた。
λ=100×(db-d)/d (1)
以上の測定結果より得られた、炭化物平均粒径、炭化物の分散状態、硬度および伸びフランジ性を表2に併記する。ここで、伸びフランジ性は上記(1)式の穴拡げ率λで評価した。
表2に示すように、本発明例である鋼板No.1〜5、7〜12、14〜16は、各C含有量に応じて十分軟化しており、かつ高い伸びフランジ性が得られることが確認された。これに対して比較例である鋼板No.18〜27では、各C含有量に対して、硬度が高いか、伸びフランジ性に劣っているかのいずれかであった。すなわち、鋼板No.18,20,22,24,26は、仕上温度が低いため、硬度HRBが高くなっている。一方、鋼板No.19,21,23,25,27については、鋼板No.19,23は冷却速度が小さいため、炭化物を含まないフェライト粒の体積率が10%超であり、鋼板No.21は、冷却終了温度が高いため、フェライト粒の体積率が10%超かつ炭化物平均粒径が1.2μm以上であり、鋼板No.25は巻取温度が600℃を超えているため、炭化物の平均粒径が1.2μm以上であり、鋼板No.27は、焼鈍温度が640℃未満であるため、炭化物の平均粒径が0.1μm未満であり、いずれも伸びフランジ性に劣っていた。
Figure 0004622609
Figure 0004622609
本発明は、高い伸びフランジ性を有しかつ軟質な高炭素熱延鋼板を製造することができる製造方法を提供するものであり、このようにして得られた鋼板は、工具あるいは自動車部品(ギア、ミッション)等に好適である。
仕上温度を変化させて作成したサンプルの仕上温度と硬度との関係を示す図。

Claims (3)

  1. 0.2〜0.7質量%、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、sol.Al:0.08質量%以下、N:0.01質量%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度(Ar変態点+60℃)以上で熱間圧延した後、冷却速度120℃/秒超かつ冷却停止温度650℃以下で冷却し、次いで巻取温度600℃以下で巻取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac変態点以下、焼鈍時間30時間以下で焼鈍することを特徴とする伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法。
  2. 0.2〜0.7質量%、Si:2質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、sol.Al:0.08質量%以下、N:0.01質量%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、仕上温度(Ar変態点+60℃)以上で熱間圧延した後、冷却速度120℃/秒超かつ冷却停止温度650℃以下で冷却し、次いで巻取温度600℃以下で巻取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac変態点以下、焼鈍時間30時間以下で焼鈍し、炭化物平均粒径を0.1μm以上1.2μm未満、炭化物を含まないフェライト粒の体積率を10%以下に制御することを特徴とする伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼は、さらに、B:0.005質量%以下、Cr:1.5質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、Mo:0.5質量%以下、Ti:0.5質量%以下、Nb:0.5質量%以下、W:0.5質量%以下、V:0.5質量%以下、Zr:0.5質量%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法。
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