JP4954932B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、粗圧延鋼材を複数スタンドからなる仕上圧延機で仕上圧延する熱延鋼板の製造方法に関するものであり、特に、仕上圧延機後段のスタンド間で被圧延鋼材を水冷却する方法に関するものである。
熱延鋼板の製造方法においては、連続鋳造機などで製造された鋳片(スラブ)を加熱炉で加熱し、粗圧延機で粗圧延鋼材とし、次いで仕上圧延機で仕上圧延を行い、所定の板厚とし、さらに所定の冷却パターンで鋼板を冷却して熱延鋼板とする。仕上圧延機では、複数の仕上圧延スタンドが複数直列に並んでおり、粗圧延鋼材はこれら複数のスタンドを順次通過することによって仕上圧延される。
仕上圧延終了直後において鋼板を急冷することにより、鋼板結晶粒の粒径を細粒化することができ、機械特性に優れた熱延鋼板を製造できることが知られている。例えば特許文献1においては、TiやNbを極低炭素鋼に添加し、鋼中のCやNを析出物の形で固定し、固溶の侵入型元素の存在しないIF鋼(Interstitial atom free steel)を用いて深絞り用冷延鋼板を製造する方法として、Ar3変態点以上で仕上圧延を終了し、圧延直後からAr3変態点−50℃までの平均冷速50℃/秒以上で急冷却する方法が記載されている。これにより、熱延鋼板の結晶微細化が十分達成でき、最終製品の深絞り性を達成することができる。圧延直後からの急冷却は、仕上圧延を終了した鋼板の両面に水を噴射する水冷却によって行うことができる。
仕上圧延機出口付近の下流側には、鋼板の厚さ計、幅計及び温度計が設置されており、これら計測器によって圧延された鋼板の板厚及び板幅などの寸法と鋼板温度とを制御し、品質管理を行う。これらの計測器は、厚さ計がX線、幅計が光学式、温度計が赤外線をそれぞれ用いたものである。
前記仕上圧延直後からの鋼板の急冷却を行おうとすると、仕上圧延機の出口直後において鋼板の両面に水を噴射する水冷却を行うことが必要となる。ところが、仕上圧延機の出口の下流側には、前述のごとく鋼板の厚さ計、幅計及び温度計が設置されており、鋼板上に水が存在する環境ではいずれの計測器も計測が不可能となる。そのため、仕上圧延機の出口下流側で鋼板の水冷却を行うことは困難であった。
特許文献2においては、仕上圧延機の最下流スタンドとその1つ上流側のスタンドの間に、急冷装置を設置して鋼板を急冷する方法が記載されている。急冷に伴う大量の冷却水は最下流スタンドによって遮られて、計測器が設置された地点には流れ込まないため、従来同様に鋼板の寸法及び温度を正確に計測することができる。一方、鋼板を急冷した後に最下流スタンドで通常の圧延を施すと、鋼板の粒径が再び粗大化する等の不具合が生じる。そこで、特許文献2に記載の方法では、最下流スタンドでの圧下を非常に軽くし、その圧下率を例えば5%以下にして、仕上圧延をその1つ上流側のスタンドまでで実質的に終了している。最下流スタンドは実質的な圧延を行わない水切り用スタンドとして用いる。
特開平6−17140号公報 特開2003−305502号公報
特許文献2に記載の熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延後の鋼板を急冷却した後にさらに最下流スタンドで圧下率を5%以下にして軽圧下を加えている。ところが、圧下率が5%以下程度では、鋼板の最表層の結晶組織は粗大化し、鋼板の伸び特性の低下につながってしまう。また、圧下率を5%以下とするためには、圧下力を130トン以下まで低減することが必要であるが、これでは圧延が安定せず、最下流スタンド出側で鋼板がばたつき、形状も中伸び形状になるという問題が生じてしまう。安定して軽圧下を行うためには、圧下力を500トン以上とする必要があり、これでは圧下率が20%程度となってしまう。
また、最下流スタンド前で鋼板を急冷却しているので、鋼板の長手方向の変形抵抗が急変し、これを最下流スタンドで圧延すると、軽圧下といえども、圧延時の後進率が大きく変化するために鋼板のマスフローが大きく変化し、通板性が安定化しない。特許文献2においては、急冷却を行うスタンド間の上流側のスタンドの圧延ロール駆動モーターを、速度制御のカットオフ周波数が35rad/s以上である高速応答性能を有するものにすることによりこの問題を解決するとしているが、モータの改造という多大な投資を伴うものである。
さらに、上下ロールギャップを開限まで開放して圧下率をゼロとすると、鋼板とロールとの間の水の漏洩を防止することができず、最下流スタンド下流側に配置された計測器による計測が不可能になってしまう。
本発明は、粗圧延鋼材を複数スタンドからなる仕上圧延機で仕上圧延する熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延直後から鋼板の急冷却を行い、急冷却後に軽圧下圧延を行わず、仕上圧延機下流側の計測器群に悪影響を及ぼすことのない方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)粗圧延鋼材を複数スタンドからなる仕上圧延機で仕上圧延する熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機後段の1又は2以上のスタンド間で被圧延鋼材を水冷却し、前記水冷却を実施する位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールを開放し、当該圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に7mmを加えた値以下とし、仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、最下流スタンドから漏出した板上水を除去することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(2)仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、複数の水噴射ノズルから板上に水を噴射し、当該噴射水の噴射方向は上方から下方に向かう成分Vz及び圧延方向と反対方向に向かう成分Vxを有し、当該水噴射によって最下流スタンドから漏出した板上水を除去することを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板の製造方法。
本発明は、粗圧延鋼材を複数スタンドからなる仕上圧延機で仕上圧延する熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機後段の1又は2以上のスタンド間で被圧延鋼材を水冷却し、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールを開放する。このため、圧延直後の急冷却を行った後の軽圧下がないので、軽圧下の悪影響が発生することなく、仕上圧延直後の鋼板急冷却によって鋼板の機械的特性を向上することができる。また、当該圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に7mmを加えた値以下として漏出する板上水の量を制限し、仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、当該最下流スタンドから漏出した板上水を除去するので、軽圧下を行わないにもかかわらず、仕上圧延機下流側の計測器群に悪影響を及ぼすことがない。
加熱炉で加熱されたスラブは、粗圧延機で圧延されて粗圧延鋼材となり、次いで仕上圧延機で圧延される。仕上圧延機は通常、4重式圧延機による仕上圧延スタンドが5〜7スタンド直列に並んでおり、粗圧延鋼材はこれらのスタンドを順次通過することによって仕上圧延される。図1に示す例では、F1からF7までの7台のスタンド2が配列されており、F7が最下流スタンド2eとなる。仕上圧延を完了した鋼板は、ホットランテーブルを経て、コイラによって巻き取られる。仕上圧延機の出口下流側には、鋼板の厚さ計、幅計及び温度計が設置されており、これら計測器によって圧延された鋼板の板厚及び板幅などの寸法と鋼板温度とを制御し、品質管理を行う。これらの計測器は、厚さ計がX線、幅計が光学式、温度計が赤外線をそれぞれ用いたものである。ホットランテーブルには、鋼板を冷却するためのホットラン冷却装置が設置されている。
本発明においては、仕上圧延終了直後において鋼板を急冷することにより、鋼板結晶粒の粒径を細粒化し、これによって機械特性に優れた熱延鋼板を製造する。仕上圧延終了直後の鋼板急冷却は、仕上圧延機の出口を出た以降に行うのではなく、仕上圧延機後段のスタンド間3で被圧延鋼材1を水冷却することによって行う。図1(a)に示す例では、1のスタンド間3で水冷却を行う場合であり、最下流から一つ手前のスタンドと最下流スタンド2eとの間(以下「最下流のスタンド間3e」という。)で水冷却を行う。図1(b)に示す例では、2のスタンド間で水冷却を行う場合であり、最下流のスタンド間3eに加え、さらに最下流から二つ手前のスタンドと一つ手前のスタンドとのスタンド間3aでの水冷却を追加して行う。
仕上圧延機スタンド間での水冷却は、スタンド間3において、被圧延鋼材の上面と下面の一方又は両方に水をかけることによって行う。被圧延鋼材の上面への水冷却については、圧力水をノズルから噴出させるスプレー方式と、低圧水の層流棒状水を出すラミナ方式のいずれを用いても良い。下面への水冷却については、スプレー方式が用いられる。図1に示す例では、上冷却装置11によって被圧延鋼材1の上面にスプレー水を噴射し、下冷却装置12によって被圧延鋼材1の下面にスプレー水を噴射している。
本発明において、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドでは軽圧下を行わず、圧延ロールを開放する。これにより、軽圧下に起因する鋼板最表層の結晶組織粗大化を防止することができる。また、鋼板の変形抵抗急変による通板性の不安定化を防止することができる。
一方、水冷却で鋼板上面に供給した水は、板上水としてスタンド間の鋼板上面に滞留している。本発明では水冷却実施位置よりも下流側のスタンドで圧延ロールを開放するので、スタンド間に滞留した板上水は、水冷却を行ったスタンド間よりも下流側に漏出することとなる。
本発明においては、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に7mmを加えた値以下とすることにより、当該スタンドから下流側に漏出する板上水の量を制限し、さらに仕上圧延機の最下流側スタンド2eの出側において、最下流スタンド2eから漏出した板上水を除去する。図1に示す例では、最下流スタンド2eの出側であって、被圧延鋼材1の上面側に配置した板上水除去装置13を用いて板上水除去を行う。板上水除去装置13は、図示しない計測機器類よりも上流側に配置される。板上水除去装置13から被圧延鋼材1の上面に向かって水を噴射し、板上水を除去する。仕上圧延機の最下流側スタンド出側から漏出する板上水の量が十分に制限されているので、最下流側スタンドの出側において、漏出した板上水を十分に除去することが可能となる。その結果、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドで軽圧下を行っていないにもかかわらず、仕上圧延機出側に設けられた計測器による計測を阻害することがなくなる。水冷却実施位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に5mmを加えた値以下とするとより好ましい。
本発明において好ましくは、板上水除去装置13として複数の水噴射ノズル14を用いる。図2に示すように、仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、複数の水噴射ノズル14から板上に水を噴射し、当該噴射水の噴射方向は上方から下方に向かう成分Vz及び圧延方向と反対方向に向かう成分Vxを有し、噴射水は噴射領域21において被圧延鋼材1に衝突する。当該水噴射によって最下流スタンド2eから漏出した板上水を除去する。このように水噴射を行うことにより、噴射水の噴射方向は上方から下方に向かう成分Vzを有するので、噴射水を鋼板面上に衝突させることができ、また圧延方向と反対方向に向かう成分Vxを有するので、仕上圧延機最下流側スタンド2eから漏出した板上水をせき止め、噴射水の衝突位置よりも下流側に流れることを防止できる。せき止められた板上水は、鋼板の両側部から流下する。噴射水によってもせき止められなかった僅かな板上水の液滴は、鋼板が高温に熱せられているので、計測器に到達する前に蒸発し、計測に悪影響を及ぼすことがない。
板上水除去のための水噴射ノズル14の圧延方向に直角の方向(圧延ロール軸方向)位置は、被圧延鋼材1が走行する領域を側部側に外れた位置とする。これにより、走行する被圧延鋼材1の先後端部が浮上したとしても、水噴射ノズル14に衝突してノズルを破損することがない。圧延ロール軸方向で上記のような位置に設置し、そこから被圧延鋼材上に噴射水を噴射するため、噴射水の噴射方向は圧延ロール軸方向に向かう成分Vyも有することになる。そのため、板上水は、噴射水の圧延方向と反対方向に向かう成分Vxによってせき止められるとともに、噴射水の圧延ロール軸方向に向かう成分Vyによって鋼板上で側方に押し流され、水噴射ノズル14を設置したのと反対側の側方から鋼板外に流下することとなる。
水噴射ノズルからの噴射水は、鋼板の全幅において鋼板表面に衝突することが必要である。そのため、噴射水は鋼板の幅方向に広がりを有する噴射形状とするとともに、2以上の水噴射ノズルを設置し、各ノズルによって鋼板の幅方向に噴射領域を分担することとするとよい。図2に示す例では、2つの水噴射ノズル(14a、14b)はそれぞれ広い範囲を噴射領域21とするように噴射形状を選択し、噴射領域21aと噴射領域21bとで被圧延鋼材の幅方向全幅をカバーしている。
水噴射ノズル14から噴射する必要水量については、仕上圧延機の出側に水噴射ノズル14を設けた上で、実際に水噴射で板上水を除去する作業を行うことにより、板上水を十分に除去するに必要な噴射水量を容易に定めることができる。被圧延鋼材の幅が550〜1750mm程度であり、2つの水噴射ノズルを用いて板上水を除去しようとする場合、各水噴射ノズルの噴射水量が0.4m3/min〜0.7m3/minの範囲において、板上水を除去することのできる好適な噴射水量を見つけることができる。
以上のように、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールを開放するので、水冷却実施位置よりも下流側のスタンドでは仕上圧延は行われない。従って、水冷却実施位置よりも上流側の最下流のスタンドが最終圧延スタンド2pとなる。図1(a)に示す例では、1のスタンド間で水冷却を行うので、最下流スタンド2eから一つ手前のスタンド(F6)が最終圧延スタンド2pとなる。図1(b)に示す例では、2のスタンド間で水冷却を行うので、最下流スタンド2eから二つ手前のスタンド(F5)が最終圧延スタンド2pとなる。
本発明を用い、最終圧延スタンドを通過する鋼板温度、即ち圧延終了温度をAr3変態点温度以上とし、本発明の水冷却を行うスタンド間において鋼板温度をAr3変態温度−30℃以下まで冷却することができる。圧延終了温度をAr3変態点温度以上としたのは、これより低い温度であると加工粒あるいはフェライトの再結晶粒が生成し、十分な細粒化が達成できないからである。スタンド間で本発明の水冷却を行うので、圧延直後から鋼板を急冷却することができ、鋼板の細粒化を十分に達成することができる。スタンド間の水冷却で鋼板温度をAr3変態温度−30℃以下まで冷却すれば、この温度まで急冷却を継続することにより、鋼板の細粒化を十分に達成することができる。
本発明を用いる品種として、TiやNbを添加した極低炭素鋼を用いると好ましい。この品種について、圧延終了温度をAr3変態点温度以上とし、水冷却を行うスタンド間において鋼板温度をAr3変態温度−30℃以下まで冷却することにより、熱延鋼板の結晶微細化が十分達成でき、最終製品の深絞り性を達成することができるからである。鋼の成分としては、特許文献1に記載された成分を用いることができる。
本発明においてスタンド間で被圧延鋼材を水冷却するに際し、冷却水量密度を上面と下面合計でW(m3/m2・分)(鋼板平方m当たり毎分の水量)、図3に示すように、鋼板表面に冷却水を噴射する領域の圧延方向長さをL(m)、通板速度をU(m/秒)、通板板厚をt(mm)としたとき、板厚t=4.2mmの場合、W≧8.2m3/m2・分であれば鋼板の冷却速度を150℃/秒以上とすることができる。W=11.8m3/m2・分であれば鋼板の冷却速度を200℃/秒とすることができる。通板板厚tが2.8〜4.9mmの範囲であれば、板厚が厚くなるほど水量密度Wを調整することにより、冷却速度200℃/秒を十分に確保することができる。
冷却水領域の長さL=1.75m、通板速度U=10m/秒であれば、鋼板冷却速度が200℃/秒の時、鋼板の温度降下代は35℃となる。
圧延スタンド間は距離が短いので、スタンド間での水冷却可能領域の長さLを長くするには限界があり、Lは最大でもせいぜい1.8m程度である。従って、1のスタンド間での鋼板の温度降下代には限界があるので、仕上圧延終了後の急速冷却温度降下代の所要量が大きいときには、図3(b)に示すように、複数のスタンド間を用いて本発明の水冷却を行う必要がある。
4重式圧延機による仕上圧延スタンドが直列に並んだ通常の仕上圧延機において、圧下ロールの直径は650mm程度である。本発明においてスタンド間で被圧延鋼材を水冷却するに際し、最終圧延スタンドの圧延ポイントから500mm程度離れた位置から水冷却を開始することができる。この場合、通板速度U=10m/秒であれば、仕上圧延終了から0.05秒以内に水冷却を開始することが可能であり、仕上圧延終了後に結晶粒が粗大化を開始する前に急冷却を行うことが可能となる。
Ti添加極低炭素鋼の熱間圧延に際して本発明を適用した。F1〜F7の7スタンドを有する仕上圧延機を用い、図1(b)、図3(b)に示すように、F5を最終圧延スタンド2pとし、F5とF6のスタンド間3a及びF6とF7のスタンド間3eにおいて被圧延鋼材の水冷却を行った。それぞれのスタンド間に、上冷却装置11と下冷却装置12を設けた。最下流スタンド2eの出側に、図2に示すような2つの水噴射ノズル14を有する板上水除去装置13を設けた。被圧延鋼材の板幅は、最小550mmから最大1750mmまでの各種サイズが存在する。
F6とF7スタンドは圧延ロールを開放し、圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に5mmを加えた値とした。F5〜F7間の通板速度U=600mpm、板厚t=4.2mmであり、スタンド間3aとスタンド間3eのいずれも、上冷却装置11と下冷却装置12について、鋼板表面に冷却水を噴射する領域の圧延方向長さL=1.75m、冷却水量密度Wを上面と下面合計で11.8m3/m2・分とした。
水噴射ノズル14については、図2に示すように2つの噴射ノズル14a、14bを設けた。水噴射ノズルの噴射領域は、圧延方向に狭く、圧延方向と直角方向に広い噴射領域を有する。水噴射ノズル14から噴射領域21の中心部までの方向を示すベクトルを、噴射方向ベクトルVという。一方の水噴射ノズル14aは噴射水量が0.4m3/分、噴射方向ベクトルVの大きさを1と規格化したとき、噴射方向の圧延方向と反対方向に向かう成分Vxが0.54、噴射方向の圧延ロール軸方向に向かう成分Vyが0.82、噴射方向の上方から下方に向かう成分Vzが0.22となるように噴射方向を定め、噴射領域21aが被圧延鋼材1の最大幅(1750mm)の半分をカバーする。他方の水噴射ノズル14bは噴射水量が0.3m3/分、噴射方向ベクトルVの大きさを1と規格化したとき、Vxが0.54、Vyが0.82、Vzが0.22となるように噴射方向を定め、噴射領域21bが被圧延鋼材1の最大幅(1750mm)の残り半分をカバーする。
最終圧延スタンド2p(F5)における圧延終了温度が945℃の場合、スタンド間3aにおける水冷却で被圧延鋼材温度は900℃まで低下し、さらにスタンド間3eにおける水冷却で被圧延鋼材温度は860℃まで低下した。スタンド間3eの水冷却中に、被圧延鋼材はAr3温度(890℃)を冷却速度200℃/secで通過した。
最下流側スタンド2e(F7)のロール間から漏洩した板上水は、2つの水噴射ノズル(14a、14b)によってせき止められ、被圧延鋼材の側部から流れ落ち、水噴射ノズル設置位置よりも下流側に流れることはなかった。圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に7mmを加えた値に変更して圧延を実施した場合にも、板上水が水噴射ノズル設置位置よりも下流側に流れることはなかった。
圧延直後の急冷却を行った後の軽圧下がないので、軽圧下の悪影響が発生することなく、仕上圧延直後の鋼板急冷却によって鋼板の機械的特性を向上することができた。
また軽圧下を行わないことにより、鋼板最表層にも粗大粒を発生させることなく、冷却後の組織は約30μm程度の粒径とすることができた。
本発明を適用する仕上圧延機の一例を示す側面図であり、(a)は1のスタンド間で水冷却を行う場合、(b)は2のスタンド間で水冷却を行う場合である。 本発明の板上水除去装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)はB−B矢視図、(c)はC−C矢視図である。 本発明を適用する仕上圧延機の一例を示す部分側面図であり、(a)は1のスタンド間で水冷却を行う場合、(b)は2のスタンド間で水冷却を行う場合である。
符号の説明
1 被圧延鋼材
2 スタンド
2e 最下流側スタンド
2p 最終圧延スタンド
3 スタンド間
4 圧延ロール
11 上冷却装置
12 下冷却装置
13 板上水除去装置
14 水噴射ノズル
20 被圧延鋼材進行方向
21 噴射領域
F1〜F7 仕上圧延スタンド
Vx 噴射方向の圧延方向と反対方向に向かう成分
Vy 噴射方向の圧延ロール軸方向に向かう成分
Vz 噴射方向の上方から下方に向かう成分

Claims (2)

  1. 粗圧延鋼材を複数スタンドからなる仕上圧延機で仕上圧延する熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機後段の1又は2以上のスタンド間で被圧延鋼材を水冷却し、前記水冷却を実施する位置よりも下流側のスタンドの圧延ロールを開放し、当該圧延ロールのロールギャップを狙い板厚に7mmを加えた値以下とし、仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、当該最下流スタンドから漏出した板上水を除去することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 仕上圧延機の最下流側スタンドの出側において、複数の水噴射ノズルから板上に水を噴射し、当該噴射水の噴射方向は上方から下方に向かう成分及び圧延方向と反対方向に向かう成分を有し、当該水噴射によって前記最下流スタンドから漏出した板上水を除去することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
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