JP2010075977A - サイジングプレスによるスラブの成形方法 - Google Patents

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Abstract

【要 約】
【課 題】最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することと、長手方向全長にわたり幅が均一であるステンレス熱延鋼帯を得ることが両立できる、サイジングプレスにおけるステンレス鋼スラブの成形方法を提案する。
【解決手段】スラブの最先尾端部分の幅プレス量を、段差プレス法による幅広部の幅プレス量よりも大きくするに際し、最先尾端部分に対して下記式を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行う。

最先端部:0<パラメータA<1.3、A=(a1+5×b1)/t
最尾端部:0<パラメータA<1.3、A=(a2+5×b2)/t
ただし、t:スラブ厚み、最先尾端部分の逆段差量a1、a2:略矩形状の幅プレス前のスラブに対し、段差プレス法を適用して成形する幅広部の幅を基準とし、そこから測った片側あたりの幅差。逆段差部長さb1、b2:先尾端から測った逆段差部の端までの距離。
【選択図】図10

Description

本発明は、先端部および尾端部よりも先尾端に近い最先端および最尾端(以下、最先尾端という)におけるシーム疵回り込み量を低減することと、長手方向全長にわたり幅がほぼ均一であるステンレス熱延鋼帯を得ることが両立できる、サイジングプレスにおけるスラブの成形方法に関する。
熱間圧延ラインに配置されるサイジングプレスは、スラブの幅圧下を行う設備である。サイジングプレスでスラブの幅圧下を行うことにより、連続鋳造機で鋳造する鋼のスラブ幅寸法を集約でき、熱間圧延ラインにて熱延鋼帯の幅を作り分けすることができるから、熱延鋼帯のコストダウンが可能となる。
サイジングプレスが配置されている一例の熱間圧延ラインの構成を図1に示す。熱間圧延ラインには、上流側から、スラブ1を加熱する加熱炉11、スラブ1のスケールを除去するデスケーリング装置16、スラブ1の幅プレスを行うサイジングプレス12、粗圧延機列13、仕上げ圧延前に先尾端のクロップを切断して除去するクロップシャー17、仕上げ圧延機列14、冷却装置18、熱延鋼帯2を巻き取るコイラ15が配置されている。
粗圧延機列13は、幅圧下ロール13aを有する竪型圧延機と、水平圧延ロール13bを有する水平圧延機からなる粗圧延機を複数基備え、スラブ1に複数パスの幅圧延と厚み圧延を施しシートバーとする。
ところで、熱間圧延ラインで製造される熱延鋼帯2の一種であるステンレス熱延鋼帯には、図2に示すような、シーム疵3と呼ばれる表面欠陥が発生する。シーム疵3は幅エッジに沿って圧延方向に長く延びたもので、このような表面欠陥がステンレス熱延鋼帯2に生じると、その部分を切り捨てなければならない場合があり歩留りが低下するという問題がある。
シーム疵3の形成過程は図3(a)、(b)に示したとおりである。すなわち、粗圧延の初期において、水平圧延ロール13bで被圧延材10の厚み圧延を行う際、自由表面となっている被圧延材10の側面にしわ8が形成される(図3(a))。このしわ8が、引き続き実施される粗圧延機および仕上げ圧延機の水平圧延ロール14bでの厚み圧延によって生じるバルジ変形(樽型変形)により表裏面に回り込んでシーム疵3と呼ばれる表面欠陥9となる。ステンレス冷延鋼帯は、ステンレス熱延鋼帯2に焼鈍・酸洗を施し、さらに冷間圧延、仕上げ焼鈍・酸洗を施して製造されるが、シーム疵3がステンレス熱延鋼帯2に発生していると、それはステンレス冷延鋼帯の表裏面に残存する。このため、表面品質に厳しい向け先に対しては、シーム疵3が生じたシーム疵発生領域を耳切りして製品とする。一方、ステンレス熱延鋼帯2の幅は長手方向全長にわたり一定とする必要もあるから、シーム疵が幅方向に最も回り込んだ位置で、長手方向全長にわたり耳切りする耳切り代が決定される。
したがって、製品歩留りに大きい影響を与える、シーム疵回り込み量を低減する技術が望まれている。シーム疵回り込み量は、幅エッジから、最も幅方向内側に回り込んだシーム疵3までの距離で定義される。なお、シーム疵回り込み量は、先尾端近傍で大きくなりやすい。
従来から、熱間圧延における幅調整技術として以下の技術が公知である(特許文献1〜3)。
特開平10-52701号公報 特開2005-34875号公報 特開2000-15301号公報
従来技術の問題点について簡単に説明する。
特許文献1に記載のサイジングプレスによる幅調整技術は、シーム疵の発生領域をごく幅端に制限するため、押圧面に凸部を設けた一対のプレス用金型12aを用い、スラブの両側面に長手方向に続く凹部を形成するスラブの成形方法であるが、これには最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減するに関して言及がない。
特許文献2に記載の粗圧延機の幅圧下ロールによる幅調整技術は、シーム疵回り込み量が大きくなることを抑制するため、被圧延材の長手方向の幅変動に応じて幅圧下ロール13aの開度調整を行い、被圧延材の幅圧下量を一定にする方法である。
この方法では、ステンレス熱延鋼帯2の幅を長手方向全長にわたり一定にできない問題がある。また、その幅変動が著しい場合、シーム疵の発生位置が大きく変化してしまいシーム疵回り込み量を低減することができないという問題がある(図8参照)。
特許文献3に記載のサイジングプレスによる幅調整技術は、図9に示したように、テーパ状のスラブ1に適用し、スラブ1の幅寸法に応じて、成形後の幅を一定にするためのプレス開度を変更するスラブの成形方法である。
このテーパ状のスラブ1に適用されるスラブの成形方法は、通常の幅が略一定であるスラブに適用した場合、プレス開度を長手方向全長にわたって変化させるため、ステンレス熱延鋼帯2の幅を長手方向全長にわたり一定にすることも、最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することもできないという問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することと、長手方向全長にわたり幅が均一であるステンレス熱延鋼帯を得ることが両立できる、サイジングプレスにおけるステンレス鋼スラブの成形方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、さらにサイジングプレスを用いた段差プレス法、粗圧延機の幅圧下ロールを用いたショートストローク法について検討した。
段差プレス法では、サイジングプレスに引き続く粗圧延機の水平ロールでの圧延で生じる、定常部と非定常部における幅戻り量の違いを予測し、非定常部(先尾端近傍を含む部分)における幅プレス量を定常部(長手方向中央部)よりも小さくし、幅プレス後のスラブ1の平面形状を図7(a)に示したようにする。この段差量a3、a4、段差部長さb3、b4はスラブ幅、幅プレス量、粗圧延および仕上げ圧延での圧延条件などに基づき決定する。
一方、ショートストローク法では、粗圧延機の水平ロールでの厚み圧延で生じるフレア4、5(図6参照)を予測し、それを相殺するように、粗圧延機の幅圧下ロール13aの開度を調整する。すなわち、図7(b)に示したように、先尾端近傍の開度を長手方向中央部よりも狭くする。フレア4、5を相殺するための開度調整量は、スラブ幅、幅プレス量、粗圧延および仕上げ圧延での圧延条件などに基づき決定する。
図7(c)には、前記した段差プレス法と、前記したショートストローク法を併用して得られる、ステンレス熱延鋼帯2の平面形状を示した。
破線で示したシーム疵ライン3Lから、最先尾端におけるシーム疵回り込み量が低減できていないことが判明した。この原因は、フレア4、5を相殺するための、粗圧延機の幅圧下ロールによる幅圧下量が最先尾端で大きくなっているためである。
そこで、本発明においては、ステンレス熱延鋼帯の最先尾端に生じるフレアの平面形状を予測し、予測したフレアを相殺するようにサイジングプレスによる1叩きを行うことで、最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することができるということを知見し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.幅プレス後の先尾端部の幅を長さ方向中央部の幅よりも幅広にする段差プレスによるステンレス鋼スラブの成形方法において、
粗圧延機および仕上げ圧延機の水平ロールでの厚み方向圧延で生じるフレアの平面形状を予測し、予測したフレアを相殺するようにフレアの生じるスラブの最先尾端部分の幅プレス量を、前記段差プレス法による幅広部の幅プレス量よりも大きくするに際し、最先尾端部分に対して下記式を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行うことを特徴とする、サイジングプレスによるスラブの成形方法。

最先端部:0<パラメータA<1.3、A=(a1+5×b1)/t
最尾端部:0<パラメータA<1.3、A=(a2+5×b2)/t
ただし、t:スラブ厚み、最先尾端部分の逆段差量a1、a2:略矩形状の幅プレス前のスラブに対し、段差プレス法を適用して成形する幅広部の幅を基準とし、そこから測った片側あたりの幅差。逆段差部長さb1、b2:先尾端から測った逆段差部の端までの距離(図10参照)。
2.前記サイジングプレスによる1叩きは、先ずスラブ最先端で行い、スラブをスラブ搬送方向に一旦送り出してから、スラブをスラブ搬送方向と逆に搬送し、次にスラブ最尾端に対して行うことを特徴とする、上記1.に記載のサイジングプレスによるスラブの成形方法。
本発明によれば、最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することができ、かつ長手方向全長にわたり幅が均一であるステンレス熱延鋼帯を得ることができる。したがって、ステンレス熱延鋼帯の歩留りを大幅に向上することが可能となる。
まず、サイジングプレスによるスラブの幅変形挙動について説明する。
図4は、サイジングプレスに用いて好適な一対のプレス用金型12aの平面形状を示した。Lは金型平行部長さである。ステンレス鋼スラブ1(単にスラブ1ともいう)の幅プレスは、一対のプレス用金型12aを往復動させて行う。その際、スラブ1の送りピッチは、サイジングプレスの送り装置で金型平行部長さLよりも小さく設定し、サイジングプレスによる幅調整は、(1)式で与えられる幅プレス量を長手方向位置で変えて行う。
幅プレス量=幅プレス前のスラブ幅W1−幅プレス後のスラブ幅W2・・・(1)
長手方向中央の定常部と、スラブ先尾端の非定常部(以下、非定常部という)における幅プレス後のスラブ1の断面形状を図5(b)、(c)に示した。
一定圧下量の幅プレスを行った場合、幅プレスによって局部的に増厚が生じるが、非定常部における長手方向への材料流動が、定常部に比べて起こりやすいため、非定常部の増厚量は小さい。その結果、粗圧延機の水平ロールでの厚み圧延により、定常部における幅戻り量は大きくなるのに対し、非定常部における幅戻り量は小さくなる。したがって、粗圧延機で得られるシートバーには、幅寸法が定常部よりも小さくなる幅マイナスが生じる。粗圧延機による幅圧下ロールで一定圧下量の幅圧延を行った場合にも同様の幅変形挙動を示す。
サイジングプレスによる幅プレス、粗圧延機による幅圧延も行わず、ステンレス熱延鋼帯2を得た場合、図6(a)のような平面形状となる。このように幅プレスも幅圧延も施さない場合には、フレア4、5が生じるうえに定常部における幅の変動が拡大する。一方、スラブ長手方向に同一量の幅プレス及び/又は幅圧延を行った場合には、定常部における幅の変動は抑制されるが、幅マイナスが生じる幅変形挙動が、重畳される結果、図6(b)のような平面形状のステンレス熱延鋼帯2となる。すなわち、幅マイナス部6、7がフレア4、5に続いて形成される。
そこで、本発明にかかるサイジングプレスによるスラブの成形方法は、幅マイナス部6、7が生じるのを防止するため、幅プレス後の先尾端部の幅を長さ方向中央部の幅よりも幅広にする段差プレス法を採用する。それとともに、粗圧延機および仕上げ圧延機の水平ロールでの厚み方向の圧延で生じるフレア4、5の平面形状について、フレア長およびフレア量として予測し、予測したフレア4、5を相殺するように、フレア4、5の生じるスラブの最先尾端部分の幅プレス量を、前記段差プレス法による幅広部6a、7aの幅プレス量よりも大きくするサイジングプレスによる1叩きを行う。
本発明法で成形したスラブ1の平面形状を図10に示した。図10中、2点鎖線は前述した従来の代表的なステンレス熱延鋼帯2の平面形状を、長手方向位置のみスラブ位置に換算して示した。
ここで、本発明法は、最先尾端部分に対して下記式(2)、(3)を満たすように、サイジングプレスによる1叩きを行うことを特徴とする。
最先端部:0<(a1+5×b1)/t<1.3 ・・・(2)
最尾端部:0<(a2+5×b2)/t<1.3 ・・・(3)
ただし、t:スラブ厚み、最先尾端部分の逆段差量a1、a2:略矩形状の幅プレス前のスラブに対し、段差プレス法を適用して成形する幅広部の幅を基準とし、そこから測った片側あたりの幅差。逆段差部長さb1、b2:先尾端から測った逆段差部の端までの距離。上記のようにサイジングプレスによる1叩きを限定した理由は、後述する実施例1、2の結果に基づく。
また、フレア4、5の平面形状は以下のようにして予測する。
(フレア長およびフレア量の定義)
フレア長は、先尾端から、フレア4、5がステンレス熱延鋼帯2の定常部幅WMと交わる点までの距離で定義した(図6(a)、(b)参照)。また、フレア量はフレア4、5の面積で定義した。
なお、フレア長およびフレア量は、操業データを解析して得られる、下記式(4)、(5)に基づき求める。
フレア長=f(スラブ厚み、スラブ幅、厚み圧下比)・・・・・(4)
フレア量=g(スラブ厚み、スラブ幅、厚み圧下比)・・・・・(5)
ただし、厚み圧下比=仕上げ厚み/スラブ厚み。
このようにすることでフレア4、5の平面形状は、その形状をたとえば三角形近似し、式(4)、(5)で得られるフレア長およびフレア量に基づき予測する。このフレアを相殺するための逆段差部の形状は、実験により決定することができる。
以上説明した本発明法によれば、サイジングプレスによる段差プレス法を採用し、しかもサイジングプレスによる1叩きで、フレア4、5の生じる部分にあたる逆段差部の幅プレス量を、段差プレス法による幅広部6a、7aの幅プレス量よりも大きくしたから、最先尾端におけるシーム疵回り込み量を低減することができ、かつ長手方向全長にわたり幅が均一であるステンレス熱延鋼帯を得ることができる。本発明法で得たステンレス熱延鋼帯2の平面形状を図11に示した。
たとえば厚みが220mm、幅が1500mmの代表的なステンレス鋼スラブの場合、フレア4、5の発生する長手方向位置はスラブ換算すると、先尾端から200mm以内である。同じ寸法のステンレス鋼スラブの場合、幅マイナス部6、7の生じる長手方向位置はスラブ換算すると、先尾端から600mm以内である。このため、フレア4、5を相殺するためのサイジングプレスによる1叩きのb1、b2は、段差プレス法におけるスラブ1の送りピッチを300〜400mmとした場合、それよりも小さく設定する。
なお、サイジングプレスによる1叩きを行うには、リバースプレス方式を採用するのが好適である。それには、先ずスラブ先端で1叩きを行い、次いでステンレス鋼スラブをスラブ搬送方向にある送りピッチで搬送しつつ幅プレスを行い、スラブ尾端から1叩き分を残した段階で、一対のプレス用金型を離隔させた後、ステンレス鋼スラブをスラブ搬送方向に一旦送り出してから、ステンレス鋼スラブをスラブ搬送方向と逆に搬送し、スラブ尾端に対して1叩きを行う。この方式によれば、クロップロス低減、座屈防止を図れるので有利である。
また、サイジングプレスによるプレス用金型12aの動かし方には2種類あり、どちらの方式を採用してもかまわない。
(1)ゴーストップ方式:一対のプレス用金型12aの押圧面が互いに向かい合うように配置しスラブ1を一対のプレス用金型12a間に搬送してくる。そして、一対のプレス用金型12aをスラブ搬送方向と直角な方向に動作させ、1叩きの幅プレスを行った後、一対のプレス用金型12aが離隔したときに、スラブ1をある一定の送りピッチで送るという動作を繰り返す方式。
(2)フライング方式:スラブ1を一対のプレス用金型12a間に搬送してくるところは同じである。そして、一対のプレス用金型12aで1叩きの幅プレスを行いつつ、スラブ1をある一定の送りピッチで送るという動作も同時に行い、一対のプレス用金型12aが離隔したときに、一対のプレス用金型12aのみスラブ搬送方向と逆方向に戻すという動作を繰り返す方式。
鋼のスラブの代わり、鉛の供試材A、Bを用い、供試材A、Bの最先尾端部分に対してサイジングプレスによる1叩きを行ったモデル実験結果について述べる。
鉛を用いたモデル実験は、実機における鋼のスラブの厚み、幅寸法に対する縮尺比を1/10とし、室温で行った。室温の鉛は1200℃に加熱した鋼のスラブに相当する変形挙動を示すことが公知である。
(供試材A、Bの寸法)
供試材A:厚み20mm、幅100mm、長さ300mm、供試材B:厚み22mm、幅120mm、長さ300mm。
(供試材A、Bの成形条件)
供試材A、Bの最先尾端部分に対して、プレス用金型12aの一叩きで逆段差部を成形した。逆段差部の形状は図10に示した。サイジングプレスによる1叩きで成形した逆段差量a1、a2および逆段差部長さb1、b2は表1に示した。最先端部分の逆段差部形状:(a1、b1)、最尾端部分の逆段差部形状:(a2、b2)は同一とした。
Figure 2010075977
用いたプレス用金型12a:金型平行部長さL=45mm、入側傾斜面の傾斜角θ=18°(図4参照)。段差プレス法による供試材の送りピッチ=35mm、同法で成形したスラブの段差部長さb3、b4=10mm、スラブの段差量a3、a4=2mm(図7(a))。段差プレス法によるスラブ1の定常部における幅プレス量=10mm。
(幅プレス後の圧延条件)
直径130mmの水平圧延ロールで7パスの厚み方向圧延を施し、厚み3mmとした。
(幅変動量の測定条件)
厚み方向の圧延のみを施して得た、厚み3mmの被圧延材(厚み30mmの鋼のシートバー相当)において、定常部の幅を基準として最先端部分での幅変動量S1と最尾端部分での幅変動量S2を測定した。得られた幅変動量S1、S2と、パラメータA:(a1+5×b1)/t又は(a2+5×b2)/tとの関係を表2に示した。
Figure 2010075977
幅変動量Sは、定常部の幅に対して幅が広いフレア4、5が生じている場合(図6(a)もしくは図6(b)参照)、その面積を「正」の値で表わし、一方定常部の幅に対して幅が狭い幅マイナス部6、7が生じている場合(図6(b)参照)、その面積を「負」で表わした。なお、幅が広いフレア4、5と、幅が狭い幅マイナス部6、7の両者が複合的に発生した場合、幅マイナス部6、7を優先的に扱い、「負」の値を採用するものとする。
また、図16には、横軸にパラメータAを取り、縦軸に長手方向の幅変動量S(=(先端側の幅変動量S1+尾端側の幅変動量S2)/2)を取って示した。
図16に示した結果から、パラメータAの値が大きくなるほど、長手方向の幅変動量Sが減少することがわかる。また、表2に示した結果から、パラメータA≧1.3となると、先端側の幅変動量S1および尾端側の幅変動量S2ともに「負」となっており、幅マイナス部6、7が両方ともに生じることがわかる(表2のNo.7,No10,No12,No13,No20)。
すなわち、最先尾端部分に対して、0<パラメータA<1.3を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行うようにすれば、幅マイナス部6、7(図6(b)参照)が両方ともに生じないため、製品歩留りを向上させることが可能となる。
好ましくは最先尾端部分に対して、0.4≦パラメータA≦1.0を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行う。より好ましくは最先尾端部分に対して、0.65≦パラメータA≦1.0を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行う。
このようにすれば、幅マイナス部の発生を防止することができ、しかもフレア4、5の面積が減少するほど、シーム疵回り込み量の低減に有効である。すなわち、シーム疵回り込み量は、サイジングプレスによる幅プレス後、粗圧延機の幅圧下ロールのロール開度を一定として幅圧下を行う場合、フレア4、5が生じやすい最先尾端部分での幅圧下ロールでの幅圧下量を小さくすることで、あるいは幅圧下を省略することで低減できる。
図1に示した熱間圧延ラインに配置したサイジングプレスに本発明を適用し、以下のようにしてシーム疵回り込み量が低減できることを確認した。熱間圧延ラインには、連続鋳造機で鋳造したフェライト系ステンレス鋼のスラブ(厚さ220mm、幅900〜1400mm)を供給した。その際、テーパ形状のスラブは除外し、スラブ長手方向の幅変動量が5mm以下のものを本発明例、従来例ともに150本用い、所定の温度に加熱したスラブの幅プレスをサイジングプレスで行った。その後、粗圧延、仕上げ圧延を経てコイラで巻き取った後、焼鈍・酸洗を施した。
(本発明例のサイジングプレス条件)
用いたプレス用金型12aの平面形状(図12)、そのY−Y断面形状(図13)。段差プレス法によるスラブ1の送りピッチ=350mm、同法で成形したスラブの段差部長さb3、b4=350〜700mm、スラブの段差量a3、a4=10〜30mm(図7(a))。段差プレス法によるスラブ1の定常部における幅プレス量=50〜250mm。
ここで、最先尾端部分に対して、上記した式(2)、(3)を満たすようにサイジングプレスによる1叩きで逆段差部を成形した。幅プレス後のスラブ1の形状は図10に示した。
(従来例のサイジングプレス条件)
サイジングプレスによる一叩きを行わず、それ以外は本発明例と同様なサイジングプレス条件とした。
(粗圧延、仕上げ圧延条件)
粗圧延では7パスで厚み圧延を行い、厚み30mmのシートバーとし、仕上圧延で厚み2.5〜5.0mmに仕上げた。なお、粗圧延では、幅圧下ロール13aの開度は一定とし、目標幅圧下量5.0mmの条件で幅圧延を行った。
その後、焼鈍、酸洗を施し、図14に示した位置(先尾端から各10mm位置の両幅端部の表裏面)でステンレス熱延鋼帯2のシーム疵回り込み量dsを測定し、一本ごとにその平均値を求めた、その結果を図15(a)、(b)に示した。
本発明例によれば、図15(a)に示したように、従来例に比べて先尾端近傍におけるシーム疵回り込み量を低減できることがわかる。また、従来例におけるシーム疵回り込み量の構成比平均値は21.9mm、本発明例におけるその値は18.3mmであった。
熱間圧延ラインの構成図である。 ステンレス熱延鋼帯のシーム疵の発生状態を示した平面図である。 シーム疵の形成過程を示した断面図である。 サイジングプレスの動作を示す平面図である。 サイジングプレスによる幅圧下で生じるスラブの厚み変化を示す断面図である。 (a)、(b)はステンレス熱延鋼帯の平面図である。 サイジングプレスによる段差プレス法(a)、幅圧下ロールによるショートストローク法(b)を経て得たステンレス熱延鋼帯の平面図(c)である。 特許文献2の方法で得たステンレス熱延鋼帯の平面図である。 特許文献3に記載のテーパスラブの幅圧下方法の説明図である。 本発明法で得たスラブの平面図である。 本発明法で得たステンレス熱延鋼帯の平面図である。 本発明の実施例に用いたサイジングプレスのプレス用金型の平面図である。 図12に示したプレス用金型のY−Y断面図である。 本発明の実施例で評価したシーム疵回り込み量の測定位置を示す平面図である。 本発明例の効果を従来例と比較して示す特性図である。 測定した長手方向の幅変動量SとパラメータA:(a1+5×b1)/t又は(a2+5×b2)/tとの関係を図示した特性図である。
符号の説明
W1 プレス前スラブ幅
W2 プレス後スラブ幅
WM ステンレス熱延鋼帯の定常部幅
L 金型平行部長さ
θ 入側傾斜面の傾斜角
a1、a2 逆段差量
b1、b2 逆段差部長さ
a3、a4 段差量
b3、b4 段差部長さ
dS シーム疵回り込み量
1 スラブ(ステンレス鋼スラブ)
2 熱延鋼帯(ステンレス熱延鋼帯)
3 シーム疵
3L シーム疵ライン
4、5 フレア
6、7 幅マイナス部
6a、7a 幅広部
8 しわ
9 表面欠陥
10 被圧延材
11 加熱炉
12 サイジングプレス
12a プレス用金型
13 粗圧延機
13a 幅圧下ロール
13b 水平圧延ロール
14 仕上げ圧延機
14b 水平圧延ロール
15 コイラ
16 デスケーリング装置
17 クロップシャー
18 冷却装置

Claims (2)

  1. 幅プレス後の先尾端部の幅を長手方向中央部の幅よりも幅広にする段差プレスによるステンレス鋼スラブの成形方法において、
    粗圧延機および仕上げ圧延機の水平ロールでの厚み方向圧延で生じるフレアの平面形状を予測し、予測したフレアを相殺するようにフレアの生じるスラブの最先尾端部分の幅プレス量を、前記段差プレス法による幅広部の幅プレス量よりも大きくするに際し、最先尾端部分に対して下記式を満たすようにサイジングプレスによる1叩きを行うことを特徴とする、サイジングプレスによるスラブの成形方法。

    最先端部:0<パラメータA<1.3、A=(a1+5×b1)/t
    最尾端部:0<パラメータA<1.3、A=(a2+5×b2)/t
    ただし、t:スラブ厚み、最先尾端部分の逆段差量a1、a2:略矩形状の幅プレス前のスラブに対し、段差プレス法を適用して成形する幅広部の幅を基準とし、そこから測った片側あたりの幅差。逆段差部長さb1、b2:先尾端から測った逆段差部の端までの距離。
  2. 前記サイジングプレスによる1叩きは、先ずスラブ最先端で行い、スラブ搬送方向に一旦送り出してから、スラブをスラブ搬送方向と逆に搬送し、次にスラブ最尾端に対して行うことを特徴とする、請求項1に記載のサイジングプレスによるスラブの成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114769323A (zh) * 2022-04-29 2022-07-22 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧带钢宽度精度的控制方法

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