JP4165243B2 - 被圧延材の蛇行制御方法及び熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被圧延材の蛇行制御方法及び熱延鋼板の製造方法に関する。なお、一般に、圧延ロール(作業ロールまたは補助ロール)のロール端にロール駆動用モータが取り付けられている側を「駆動側」、その反対側を「作業側」と称しており、本願においてもその一般呼称を用いることにする。
【0002】
【従来の技術】
複数の圧延機を有するタンデム圧延設備での圧延作業においては、被圧延材が圧延機の胴長方向中心から作業側または駆動側に移動する「蛇行」と呼ばれる現象が発生する。この蛇行の程度が大きくなると、圧延設備のサイドガイドに被圧延材が衝突して尾端部のエッジが折れこみ、その状態で圧延されるために「絞り込み」と称される圧延トラブルが生じることがある。
【0003】
従来から、蛇行を抑制する手段として、圧延機の蛇行相当量を検出して、作業側と駆動側の圧下位置差を調整することにより、蛇行を防止する方法が提案されている。すなわち、例えば圧延機の作業側に被圧延材が蛇行した場合には、作業側の圧下位置を閉じるように操作して、蛇行の進展を防ぐのである。
【0004】
特許文献1には、圧延機の作業側と駆動側との間の圧延荷重差に基づき蛇行相当量を検出して、レベリング、ロールギャップを調整する方法が開示されている。また、特許文献2には、光学式センサ等により被圧延材の作業側及び駆動側の幅端部位置を直接検出して蛇行量を求め制御する方法が開示されている。さらには、圧延最終スタンド出側板厚を所定厚みだけ変化させて、尾端の蛇行を防止する方法における各圧延スタンドのロール間隔の設定方法が特許文献3に開示されている。また特許文献4には、制御対象圧延機の蛇行制御を行うとともに、圧延材の形状不良や尾端部が通過する直前にロールギャップを開放する蛇行制御の方法が開示されている。
【特許文献1】
特開2000−42615号公報
【特許文献2】
特開昭63−20110号公報
【特許文献3】
特開2002−96109号公報
【特許文献4】
特開平6−285522号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、蛇行現象においては、被圧延材の最尾端部が当該圧延機の1つ上流側の圧延機を通過し、後方張力による拘束が働かなくなる極めて短い時間の間に、特に蛇行が大きく進行しやすくなることが知られている。このように蛇行量が大きくなると、圧下装置の応答性や設備上の動作範囲の制約から、作業側と駆動側との間の圧下位置差を蛇行抑制に必要な量に調整できず、十分に効果を発揮できないまま、被圧延材が当該圧延機を通過してしまう場合がある。
【0005】
そこで本発明は、被圧延材の蛇行量が大きな場合でも、蛇行制御効果を高め、確実に蛇行を抑制することができる被圧延材の蛇行制御方法及び熱延鋼板の製造方法、並びにタンデム圧延設備を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
上記課題を解決するために提供される本発明の第一の態様は、複数の圧延機(2、3)を備えるタンデム圧延設備を用いて圧延する際の被圧延材(1)の蛇行制御方法であって、圧延設備の任意の圧延機における蛇行相当量を検出し、当該蛇行相当量に基づいて圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める工程と、予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて圧延機のセンタ圧下位置指令値を求める工程と、作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値とセンタ圧下位置指令値に基づいて圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する工程と、からなることを特徴とする被圧延材の蛇行制御方法である。
【0008】
上記課題を解決するために提供される本発明の第二の態様は、複数の圧延機(2、3)を備えるタンデム圧延設備を用いる熱延鋼板(1)の製造方法であって、圧延設備の任意の圧延機における鋼板の蛇行相当量を検出し、当該蛇行相当量に基づいて圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める工程と、予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて圧延機のセンタ圧下位置指令値を求める工程と、作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値とセンタ圧下位置指令値に基づいて圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する工程とによって、鋼板の蛇行制御をしつつ圧延を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0009】
この第一の態様にかかる被圧延材の蛇行制御方法、及び第二の態様にかかる熱延鋼板の製造方法によれば、圧下率を低減することにより、レベリング操作による蛇行抑制効果を高めることが可能となるので、効果的に被圧延材尾端部の蛇行を抑制できる。
【0010】
また、この第一の態様にかかる被圧延材の蛇行制御方法、及び第二の態様にかかる熱延鋼板の製造方法においては、圧延設備の任意の圧延機において蛇行制御が行われる。したがって、当然にタンデム圧延設備の最終スタンドにも適用されうる。最終スタンドでは、本発明により、板厚外れより尻振りが重要視される薄物で、板厚不良による歩留まり低下よりも尻振り防止を優先して、より大きな効果を得ることが可能となる。
【0011】
ここでの「蛇行相当量」とは、例えば蛇行検出器等により直接的に検出された蛇行量でもよく、また例えば差荷重方式等により間接的に検知あるいは算出される蛇行量に相当する量でも良い。また、「予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量」は、制御遅れが生じないように、鋼板の蛇行量にはよらず、圧延機毎に予め決められている量である。また、単に圧延機毎に決めてもよいが、板厚により分類しても良い。すなわち、蛇行が発生しやすく、いわゆる尻振りが問題となる薄物では大きく設定し、厚物では小さく設定し、場合によっては零としても良い。
【0012】
上記第一及び第二の態様において、センタ圧下位置指令値を求める工程は、鋼板が圧延機(3)の1つ上流側圧延機(2)を抜けた後に開始することが好ましい。ここでの「鋼板が圧延機の1つ上流側圧延機を抜けた後」とは、「当該圧延機を抜ける前まで」を同時に意味するものであることはいうまでもない。このようにすれば後方張力の変動を防止することができる。
【0013】
また、上記第一及び第二の態様においては、センタ圧下位置指令値と予め与えられた係数を積算することにより圧延機のロール回転数修正指令値を求め、当該ロール回転数修正指令値に基づき圧延機のロール回転数を修正することが好ましい。このようにすることによって、圧延機のセンタ圧下位置上昇に伴う先進率変化を補償することが可能となり、前方張力の変動を抑制することができる。
【0014】
さらに、上記第一及び第二の態様において、センタ圧下位置指令値を求める工程に先立ち圧延機の自動板厚制御(AGC)機能を停止することが好ましい。このようにすれば、温度低下しがちな被圧延材最尾端部において、蛇行抑制効果をより高めることができる。
【0015】
また、上記第一及び第二の態様において、タンデム圧延設備の入側に設置された加熱装置によりタンデム圧延設備入側における鋼板の尾端部温度を上昇させることが好ましい。このようにすれば、上記AGC停止の場合と同様に、温度低下しがちな被圧延材最尾端部において、蛇行抑制効果をより高めることができる。
【0016】
本発明の第三の態様は、複数の圧延機(2、3)を備えるタンデム圧延設備であって、複数の各圧延機には当該圧延機における鋼板の蛇行相当量を検出し、該蛇行相当量に基づいて圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める圧下位置差の指令値算出手段(4、6)と、予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて圧延機のセンタ圧下位置指令値を求めるセンタ圧下位置算出手段(7)と、作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値とセンタ圧下位置指令値に基づいて圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する圧下位置操作手段(3a)と、により構成される、鋼板の蛇行制御装置を備えたタンデム圧延設備である。かかるタンデム圧延設備を使用して熱延鋼板を製造すれば、圧下率を低減することにより、レベリング操作による蛇行抑制効果を高めることが可能となるので、効果的に被圧延材尾端部の蛇行を抑制することができる。
【0017】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態により明らかにされる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(1)圧延における蛇行
図1は、本発明の第1の実施形態による被圧延材の蛇行制御の構成を示す図である。この図では、1点鎖線から上は制御系を、下は圧延系を示している。なお、この図では本発明に関係する構成部分のみ表されており、各圧延機に設けられているロードセル(圧延荷重計)、タンデム圧延設備全体の動作制御を司る中央コントローラ、各圧延機において自動的に板厚を制御する自動板厚制御装置(AGC)等の図示は省略されている。図1では、タンデム圧延設備を構成する任意の隣接する2機の圧延機2及び3が示されており、被圧延材(鋼板)1は、図の左側から右方向へと走行されている。圧延機3の入側には蛇行計4が設置されている。なお、ここでは蛇行相当量検出器として蛇行計4を用いたが、圧延機の作業側と駆動側との間の圧延荷重差等により間接的に蛇行量に相当する量を検知あるいは算出しても良い。蛇行計4により検出された被圧延材1の蛇行に関する情報に基づいて、圧下位置差の指令値算出装置6は、レベリング修正量を算出して、圧下装置3aに伝える。一方圧下率変更装置7は、予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて圧延機のセンタ圧下位置指令値を圧下装置3aに伝える。圧下装置3aは、これらの情報を基に圧延機3の作業側と駆動側の圧下位置を操作する。一方、センタ圧下上昇量の情報を基に、ロール速度コントローラ8は、最適ワークロール速度を決定して、ワークロール駆動モータ9の動作を制御する。なお、ここで、圧下装置3aは、圧下に関する制御装置、及びアクチュエータ(狭義の意味での圧下装置)を含む。
【0019】
いま、被圧延材1の最尾端部が前記圧延機3の1つ上流側の圧延機2を通過後、圧延機3およびその1つ下流側の圧延機(図示せず)でタンデム圧延中の場合を考える。この場合、圧延機3の入側では、上流側圧延機2による拘束が働かないため、被圧延材1は自由に回転運動できる。この場合の被圧延材1の運動を、図6を用いて説明する(詳しくは「板圧延の理論と実際」、P.240〜242、日本鉄鋼協会を参照されたい。)。図6は、水平面内にx軸、y軸をとって、y軸を圧延機3直下の変形域、つまり圧延機3のロール軸直下の変形域に一致させ、原点を圧延機の胴長方向中心にとったものである。
【0020】
上述した上流側圧延機2による拘束が働かない場合には、圧延機3の作業側と駆動側の圧下位置差(以下において「レベリング」と称する。)の設定不良や、被圧延材1の圧延機3入側における作業側と駆動側の板厚差(以下において「ウェッジ」と称する。)などの非対称圧延要因によって、作業側と駆動側との間に被圧延材1の速度差が発生するので、被圧延材1は回転運動をする。なお、被圧延材1の運動は水平面内の剛体運動と考えられるから、上記圧延機3の直下での被圧延材1の圧延方向が圧延ロールの周方向と一致するとした場合、時刻τ=0における圧延材1の板幅b方向中心線上の点
(x0,y0)(但し,y0=f0(x0)とする)の、時刻tでの位置(x,y)は,式(1)で表される。このときの回転角速度をω1とする。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、v1は、被圧延材1のX軸方向の移送速度であり、時間変化は無視する。式(1)より、圧延機直下の蛇行量yc(t)は、次式で与えられる。
【0023】
【数2】
【0024】
一方、被圧延材1の回転角速度ω1は、被圧延材1のウェッジ比率変化△Ψに比例することが知られている。すなわち、
【0025】
【数3】
である。
【0026】
ここで、
H,h:入出側板厚
Hdf,hdf:入出側ウェッジ
b:板幅
v1:入側速度
ζ:定数
である。
【0027】
また,出側ウェッジは,レべリング量Sdfと圧延機直下での蛇行量(オフセンタ量)ycに影響を受けるので、次式で表す。
【0028】
【数4】
【0029】
ここで、d´は外乱であり、レべリング量やオフセンタ量以外の要因、すなわち、変形抵抗分布などの影響を表す。また、D、Eはそれぞれ、レべリングに対する被圧延材のウェッジへの影響係数、蛇行量に対する被圧延材のウェッジへの影響係数を示す。
【0030】
式(3)(4)より、被圧延材1の回転運動の角速度ω1は次式で表すことができる。
【0031】
【数5】
【0032】
ただし、
Ks=D/h
Kh=E/h
d=(d´/h)−(Hdf/H)
であり、
Ksはレベリングに対する被圧延材のウェッジ比率への影響係数、
Khは蛇行量に対する被圧延材のウェッジ比率への影響係数、
dは変形抵抗分布や入側ウェッジ仕率に起因する外乱
を示す。
【0033】
(2)蛇行の制御
式(2)(5)を、ブロック図を用いて表すと図2のように表される。従って、図3に示すように、蛇行量ycを検出し、適切な制御ゲインKを乗じて、レベリング指令Sdfrを出力してレベリング量を修正するようにすれば、フィードバックループが形成され、蛇行量ycを制御することが可能となる。
【0034】
しかし、被圧延材の硬度やサイズによっては、レベリング量Sdfに対する被圧延材のウェッジ比率変化が小さく、すなわち影響係数Ksが小さく、蛇行抑制に必要なレベリング量が過大になる場合がある。この場合、圧延機3の圧下装置の応答性が悪かったり、設備保護の観点から圧下位置の動作範囲の制約を設けたりしていると、蛇行抑制効果が十分に発揮されない。
【0035】
本願発明者等は、実機試験や解析モデルでのシミュレーション計算を通して、圧延機3の圧下率と、レベリングに対する被圧延材のウェッジ比率への影響係数Ksとの間には図4のような関係があることを突き止めた。すなわち、圧下率が小さいほどレベリングに対するウェッジ比率への影響係数Ksが大きくなり、蛇行抑制効果が大きくなる。そこで、圧下率変更装置7は、圧下率を低減するために予め与えられたセンタ圧下位置上昇量△Srを出力する。蛇行抑制のためのレベリング指令Sdfrと圧下率低減のためのセンタ圧下位置上昇量△Srに基づいて、それぞれ駆動側および作業側の圧下位置指令値を求め、両者に基づいて圧下装置3aが動作する。レベリング指令Sdfrセンタと圧下上昇量△Srを両方満足するためには、駆動側および作業側の圧下位置を図5に示すように動作させればよい。すなわち、レベリングにより開方向に圧下位置を変更する側は、圧下上昇量にレベリングの1/2を加算し、反対側は減算すればよい。
【0036】
ここで、圧延機3のセンタ圧下位置を上昇させると、圧延機3の入出側において被圧延材1のマスフローバランスが乱れ、後方張力変動および前方張力変動を引き起こす。従って、後方張力変動を防止するため、センタ圧下位置上昇を被圧延材1の最尾端部が上流側圧延機2を通過した後に開始することが望ましい。
【0037】
以上の蛇行制御のフローチャートを図7に示す。まずステップS1において、被圧延材1の尾端部が上流側圧延機2を通過したかどうかが判断される。ステップS1において否定判断された場合は、ステップS1の処理動作が繰り返される。ステップS1において肯定判断された場合には、蛇行計4による蛇行量(蛇行相当量)の検出が行われる(ステップS2)。次いで、圧下位置差の指令値算出装置6により、蛇行量に基づいて当該圧延機3の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値が求められる(ステップS3)。さらに、圧下率変更装置7により、予め圧延機毎に与えられた圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて圧延機3のセンタ圧下位置指令値が求められる(ステップS4)。次に、圧下装置3aにより作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値とセンタ圧下位置指令値に基づいて圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置が操作される(ステップS5)。続くステップS6においては、被圧延材1の尾端部が当該圧延機を通過したか否かが判断される。ステップS6において否定判断された場合には処理はステップS2へと戻され、上述したステップS2〜ステップS5の処理が繰り返される。ステップS6において肯定判断された場合には、当該被圧延材1に対する処理は終了する。
【0038】
(3)ロール速度の修正
更に、前方張力変動を抑制するためには、圧延機3のセンタ圧下位置上昇に伴う先進率変化を補償すべく、ロール速度を修正することが望ましい。その方法を以下に示す。センタ圧下位置変更前の圧延機3の、ロール速度をVR、先進率をfとすると、出側板速度νは、次式で表される。
【0039】
【数6】
【0040】
ここで、センタ圧下位置を△Sだけ上昇した場合、圧延機3のミル剛性をM、被圧延材1の塑性係数をQとすると、圧延機3出側の板厚は、
【0041】
【数7】
【0042】
だけ変化する。出側板厚に対する先進率の影響係数を(δf/δh)とし、圧延機3のロール速度を修正することによって圧延機3の出側板速度を一定に保つためには、センタ圧下位置上昇後の圧延機3の出側板速度
【0043】
【数8】
【0044】
が、ν´=νとなるようにすればよい。このためには、式(6)(8)より、圧延機3のロール速度を、センタ圧下位置上昇に伴い、次式で修正すればよい。
【0045】
【数9】
【0046】
具体的には図1に示されるロール速度コントローラ8、及びワークロール駆動モータ9により上記修正が実現される。
【0047】
(4)被圧延材最尾端部の温度低下への対応
被圧延材1の最尾端部では圧延開始から時間が経過しているため温度低下しやすく、圧延荷重が増加し、圧延機3の出側板厚が厚くなる。このため、自動板厚制御機能(AGC)が働き、センタ圧下位置が下降方向に修正され、圧下率変更装置7の効果が小さくなる場合がある。従って、センタ圧下位置の下降動作を防止するため、センタ圧下位置上昇を開始する前に、自動板厚制御(AGC)機能を不使用とすることが望ましい。
【0048】
また、タンデム圧延設備の入側に加熱装置を有する場合は、この加熱装置を用いて被圧延材1の尾端部を昇温し、尾端部での圧延荷重増加を抑制することが望ましい。
【0049】
【実施例】
本発明の実施例を図8に、比較例を図9に示す。図8は、図1に示される本発明の構成に従って圧延機3の作業側及び駆動側の圧下位置を操作したものであり、図9は従来方法として、蛇行量に基づく作業側と駆動側との間の圧下位置差のみを操作したものを示している。
【0050】
図8(a)に本発明を実施したときの、被圧延材が対象圧延機3の1つ上流側圧延機2を抜けてから対象圧延機3を抜けるまでの蛇行量の時間変化を示す。図8(b)に本発明による対象圧延機3の作業側と駆動側との間の圧下位置差(レベリング)指令、図8(c)にセンタ圧下位置上昇指令、図8(d)に本発明による対象圧延機3の作業側及び駆動側の圧下位置を示す。なお、各データは、被圧延材が上流側圧延機2を抜けてからの相対値で表されている。
【0051】
本発明によると、対象圧延機3での圧下率が低下するため、レベリング操作の効果が発揮されやすく、適切に蛇行を抑制していることがわかる。その結果、最終的な蛇行量は30mmで収まっている(図8(a)参照)。
【0052】
一方、図9(a)に従来方法を実施したときの、被圧延材が対象圧延機の1つ上流側圧延機を抜けてから対象圧延機を抜けるまでの蛇行量の時間変化を示す。図9(b)に従来方法による対象圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差(レベリング)指令、図9(c)にセンタ圧下位置上昇指令、図9(d)に従来方法による対象圧延機の作業側および駆動側の圧下位置を示す。なお、各データは、被圧延材が上流側圧延機を抜けてからの相対値で表されている。
【0053】
従来方法では、圧下率が低減されないので、レベリング操作の効果が現れにくく、最尾端部に近づくにつれて、蛇行量が加速度的に増加している。この結果、圧下位置の変更速度が設備上限となり、目標通りのレベリング操作を行えなくなっている。そのため、最終的な蛇行量は90mmに達する(図9(a)参照)。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、圧下率を低減することにより、レベリング操作による蛇行抑制効果を高めることが可能となるので、効果的に被圧延材尾端部の蛇行を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蛇行制御の構成を示す図である。
【図2】蛇行現象を表すブロック図である。
【図3】蛇行制御を表すブロック図である。
【図4】圧下率とレベリングに対するウェッジ比率変化の影響係数との関係を示す図である。
【図5】作業側と駆動側の圧下位置差指令とセンタ圧下位置指令から作業側および駆動側圧下位置を操作することを説明する図である。
【図6】圧延機での蛇行現象を説明する図である。
【図7】蛇行制御のフローチャートである。
【図8】本発明による蛇行制御結果を示す図である。
【図9】従来方法による蛇行制御結果を示す図である。
【符号の説明】
1 被圧延材(熱延鋼板)
2、3 圧延機
3a 圧下装置(圧下位置操作手段)
4 蛇行計(圧下位置差の指令値算出手段)
6 圧下位置差の指令値算出装置(圧下位置差の指令値算出手段)
7 圧下率変更装置(センタ圧下位置算出手段)
Claims (11)
- 複数の圧延機を備えるタンデム圧延設備を用いて圧延する際の被圧延材の蛇行制御方法であって、
前記圧延設備の任意の圧延機における蛇行相当量を検出し、当該蛇行相当量に基づいて前記圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める工程と、
予め前記圧延機毎に与えられた前記圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて前記圧延機のセンタ圧下位置指令値を求める工程と、
前記作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値と前記センタ圧下位置指令値に基づいて前記圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する工程と、からなることを特徴とする被圧延材の蛇行制御方法。 - 前記センタ圧下位置指令値を求める工程は、被圧延材が前記圧延機の1つ上流側圧延機を抜けた後に開始することを特徴とする請求項1に記載の被圧延材の蛇行制御方法。
- 前記センタ圧下位置指令値と予め与えられた係数を積算することにより前記圧延機のロール回転数修正指令値を求め、当該ロール回転数修正指令値に基づき前記圧延機のロール回転数を修正することを特徴とする請求項1または2に記載の被圧延材の蛇行制御方法。
- 前記センタ圧下位置指令値を求める工程に先立ち前記圧延機の自動板厚制御機能を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被圧延材の蛇行制御方法。
- 前記タンデム圧延設備の入側に設置された加熱装置により前記タンデム圧延設備入側における被圧延材の尾端部温度を上昇させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被圧延材の蛇行制御方法。
- 複数の圧延機を備えるタンデム圧延設備を用いる熱延鋼板の製造方法であって、
前記圧延設備の任意の圧延機における鋼板の蛇行相当量を検出し、当該蛇行相当量に基づいて前記圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める工程と、
予め前記圧延機毎に与えられた前記圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて前記圧延機のセンタ圧下位置指令値を求める工程と、
前記作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値と前記センタ圧下位置指令値に基づいて前記圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する工程とによって、前記鋼板の蛇行制御をしつつ圧延を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 - 前記センタ圧下位置指令値を求める工程は、前記鋼板が前記圧延機の1つ上流側圧延機を抜けた後に開始することを特徴とする請求項6に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記センタ圧下位置指令値と予め与えられた係数を積算することにより前記圧延機のロール回転数修正指令値を求め、当該ロール回転数修正指令値に基づき前記圧延機のロール回転数を修正することを特徴とする請求項6または7に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記センタ圧下位置指令値を求める工程に先立ち前記圧延機の自動板厚制御機能を停止することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記タンデム圧延設備の入側に設置された加熱装置により前記タンデム圧延設備入側における鋼板の尾端部温度を上昇させることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
- 複数の圧延機を備えるタンデム圧延設備であって、
前記複数の各圧延機には、当該圧延機における鋼板の蛇行相当量を検出し、該蛇行相当量に基づいて前記圧延機の作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値を求める圧下位置差の指令値算出手段と、
予め前記圧延機毎に与えられた前記圧延機のセンタ圧下位置上昇量に基づいて前記圧延機のセンタ圧下位置指令値を求めるセンタ圧下位置算出手段と、
前記作業側と駆動側との間の圧下位置差の指令値と前記センタ圧下位置指令値に基づいて前記圧延機の作業側及び駆動側の圧下位置を操作する圧下位置操作手段と、
により構成される、鋼板の蛇行制御装置を備えたタンデム圧延設備。
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JP2003028885A JP4165243B2 (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | 被圧延材の蛇行制御方法及び熱延鋼板の製造方法 |
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