JP5459599B2 - 熱延板の製造方法 - Google Patents
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まず、被圧延材の先端が圧延スタンド間に設置した形状計を通過した後、出側圧延スタンドに噛みこむまでの時間が一般的には1秒前後の一瞬であり、通常の比例積分型のフィードバック制御(PI制御)を適用するには制御時間が足りないことに着眼した。そこで、被圧延材の先端が出側圧延スタンドに噛み込んだ直後までは、出側圧延スタンドに噛み込むまでに形状計で測定した形状の代表値に基づき、入側圧延スタンドに設置された形状制御アクチュエータを開ループ制御することを考えた。
一方、被圧延材の先端が出側圧延スタンドに噛み込んだ直後以降には、圧延スタンド間の形状が修正され、形状計で検出される被圧延材の形状は概ねフラットな形状となるが、出側圧延スタンドに噛み込む前の形状不良が大きい場合には、噛み込んだ後にも形状不良が残存する場合がある。また、圧延中のサーマルクラウン増大などの影響で形状不良が表面化する場合もある。このため、被圧延材の先端が出側圧延スタンドに噛み込んだ直後以降(被圧延材の先端が出側圧延スタンドに噛み込んだ直後から当該被圧延材の後端が入側圧延スタンドを抜けるまでの間)は、入側圧延スタンドに設置された形状制御アクチュエータに、通常の比例積分型のフィードバック制御などの閉ループ制御を適用して、圧延スタンド間の形状を改善することを考えた。
本発明者は、上記のように、被圧延材の先端が出側圧延スタンドに噛み込む前後で形状制御アクチュエータの制御方法を異ならせることにより、先端部も含む被圧延材全体の形状不良を効果的に低減できることを見出した。
なお、本発明で用いる形状制御アクチュエータとしては、上記に列挙したものに限らず、直接的には被圧延材の幅方向板厚分布(プロフィル)を変更し、その結果、被圧延材の形状の幅方向に対称な成分、及び/又は、非対称な成分を変更することができる構成であれば良い。
被圧延材の先端が形状計を通過した後、出側圧延スタンドに噛み込むまでの被圧延材は、通常は蛇行を伴う非定常な状態であるため、被圧延材の幅方向の一定位置についての形状を測定するには、蛇行に追従しながら測定する必要がある。
しかしながら、特許文献3に記載のツインビーム型距離計方式の形状計では、設備に対して固定された位置での形状を測定することになるため、測定値の変化があったとしても、その変化が被圧延材の形状変化に起因したものであるか、被圧延材の蛇行により幅方向の測定位置が変化したことに起因したものであるかを判断できず、制御が困難となる。
従って、本発明において適用する非接触式の形状計としては、被圧延材の蛇行に追従して、被圧延材の幅方向の一定位置の形状を測定できる、特許文献4に記載のような線状パターン投影方式を採用することが好ましい。
また、圧延スタンド間における形状計の設置位置は、形状測定結果を速やかに形状制御アクチュエータの制御に反映させるため、できる限り入側圧延スタンド近傍に設置することが好ましい。
また、本発明では形状を重視し、被圧延材の形状の幅方向に対称な成分を制御する場合、幅方向に対称な成分を変更するための形状制御アクチュエータを制御するが、これにより、幅方向板厚分布(プロフィル)のうち左右対称成分(クラウン)が変化してしまう。ただし、板厚が薄いほど、形状制御アクチュエータを制御することによるクラウンへの影響が少ないため、クラウンへの悪影響を軽減するという点でも、熱間圧延機の出側に近い領域に優先して形状計を設置することが好ましい。
図1に示すように、本実施形態の仕上圧延機100は、7つの圧延スタンドF1〜F7を備えている。各圧延スタンドF1〜F7には、被圧延材Mの形状の幅方向に対称な成分を変更するための形状制御アクチュエータとしてワークロールベンダ(図示せず)が設置され、被圧延材Mの形状の幅方向に非対称な成分を変更するための形状制御アクチュエータとしてレベリング(図示せず)が設置されている。
形状制御装置3は、被圧延材Mの先端が形状計1を通過してから、圧延スタンドF7に噛み込んだ直後(被圧延材Mの先端が圧延スタンドF7に噛み込んでからT2[秒]経過後)までの第1の時間帯においては、圧延スタンドF6に設置された各形状制御アクチュエータを開ループ制御する。
具体的には、まず、形状制御装置3は、形状測定値の立ち上がり等を考慮して、測定開始(被圧延材Mの先端が形状計1に到達した時点)からT1[秒]経過後に形状計1で測定した各評価点での形状測定値(εC、εDS、εWS)を、図6に示すように、被圧延材Mの幅方向に対称な成分と、非対称な成分とに分離する。このT1は、例えば、0.05〜0.20秒程度に設定される。そして、形状制御装置3は、各成分の目標値に対する偏差を求め、必要に応じて当該偏差にノイズ除去処理及びデッドバンド処理を施した後、各偏差(又は上記処理後の偏差)に開ループ制御を適用して、ワークロールベンダ変更指令値及びレベリング変更指令値を算出する。具体的には、圧延前に、圧延スタンドF6に設置されたワークロールベンダの設定変更による形状の対称成分への影響係数G1と、圧延スタンドF6に設置されたレベリングの設定変更による形状の非対称成分への影響係数G2をそれぞれ計算しておき、形状制御装置3に記憶しておく。形状制御装置3は、記憶された影響計数G1、G2を用いて、下記の式(1)及び(2)に基づき、ワークロールベンダ変更指令値及びレベリング変更指令値を算出する。
ワークロールベンダ変更指令値=対称成分の偏差/G1 ・・・(1)
レベリング変更指令値=非対称成分の偏差/G2 ・・・(2)
そして、形状制御装置3は、この各変更指令値に基づき、ワークロールベンダ及びレベリングの設定を変更する。
形状制御装置3は、被圧延材Mの先端が圧延スタンドF7に噛み込んだ直後(噛み込んでからT2[秒]経過後)から当該被圧延材Mの後端が圧延スタンドF4を抜けるまでの時間帯は、制御時間が制御方法Aのように極端に短くないため、当該時間帯では、前述した図4に示すものと同様の閉ループ制御(PI制御)を実行する。このT2の値は、被圧延材Mの先端が圧延スタンドF7に噛み込む前の各形状制御アクチュエータの設定変更の影響が形状計1の測定値に現れるまでの時間と、被圧延材Mの先端が圧延スタンドF7に噛み込んだ直後の形状の変化が落ち着き、それが形状計1の測定値に現れるまでの時間とを比べた場合の遅い方の時間に合わせて設定される。具体的には、T2は、例えば、1〜6秒程度に設定される。
被圧延材Mの後端部では、ルーパロールが下降したり、各圧延スタンドから被圧延材Mが抜ける際の影響により、張力変動や荷重変動が大きくなり、形状が悪化しやすい。従って、形状制御装置3は、被圧延材Mの後端が圧延スタンドF4を抜けてから圧延スタンドF6を抜けるまでの時間帯においては、被圧延材Mの後端が圧延スタンドF4を抜けた際に算出した各成分の偏差をロックオンする。そして、形状制御装置3は、このロックオンした各偏差に図4に示すものと同様の閉ループ制御(PI制御)を適用する。なお、以上に説明した制御方法Cを開始してから被圧延材の後端が圧延スタンドF6を抜けるまでの時間は短いため、PI制御のゲインを制御方法Bで設定するPI制御のゲインよりも大きな値に調整する必要がある。
3,4・・・形状制御装置
100・・・熱間圧延機(熱間仕上圧延機)
F1〜F7・・・圧延スタンド
M・・・被圧延材
Claims (4)
- 熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、少なくとも何れか一対の圧延スタンド間に被圧延材の形状を測定する形状計を設置し、前記一対の圧延スタンドのうち該形状計に対して被圧延材の圧延方向入側に位置する入側圧延スタンドに、被圧延材の形状の幅方向に対称な成分、及び/又は、非対称な成分を変更するための形状制御アクチュエータを設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板を製造する方法であって、
前記被圧延材の先端が前記形状計を通過してから、前記一対の圧延スタンドのうち前記形状計に対して前記被圧延材の圧延方向出側に位置する出側圧延スタンドに噛み込むまでの第1の時間帯においては、前記形状計で測定した被圧延材の形状測定値の代表値に基づき1回のみ前記形状制御アクチュエータの設定変更を行う開ループ制御を実行し、
前記被圧延材の先端が前記出側圧延スタンドに噛み込んだ後から当該被圧延材の後端が前記入側圧延スタンドを抜けるまでの第2の時間帯においては、前記形状制御アクチュエータを閉ループ制御することを特徴とする熱延板の製造方法。 - 前記形状制御アクチュエータが、ワークロールベンダ、バックアップロールベンダ、中間ロールベンダ、ワークロールシフト、中間ロールシフト、ペアクロス及びレベリングのうちの少なくとも一つから構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱延板の製造方法。
- 前記形状計が、線状パターンを被圧延材の表面に投影する投影機と、前記投影された線状パターンを撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置で撮像した線状パターンの歪みに基づいて前記被圧延材の形状を測定する構成であって、前記線状パターンの歪みを算出する領域が、検出した前記被圧延材の幅方向エッジに基づいて、前記被圧延材の幅方向の一定位置に設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延板の製造方法。
- 複数対の圧延スタンド間に前記形状計を設置する場合、前記熱間圧延機の出側に最も近い対の圧延スタンド間から、前記熱間圧延機の入側に向けて順に設置することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の熱延板の製造方法。
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