JP5376330B2 - 熱延板の形状制御方法、製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
熱間圧延ラインの仕上圧延機を出た熱延鋼板の形状が不良であると、ランナウトテーブルでの冷却の際に熱延鋼板表面の凹部に水が溜まって過冷却が生じ、均一な機械特性を得ることができない場合がある。また、過冷却の程度が酷いと、下工程の処理ラインでの搬送中に熱延鋼板が破断し、復旧まで処理ラインを長時間休止させる必要が生じたり、処理ラインに設置された設備を破損してしまうこともある。
熱延鋼板の形状が不良であると、巻取り機で巻き取られた熱延鋼板のエッジが不揃いになったり、熱延鋼板の巻き緩みが生じるといった、熱延鋼板コイルの巻き不良が発生し易い。熱延鋼板のエッジが不揃いの場合、熱延鋼板コイルを倒した際やクレーン搬送する際に、熱延鋼板のエッジが折れ曲がってしまうおそれがある。熱延鋼板の巻き緩みが生じている場合も、熱延鋼板コイルのクレーン搬送中に、熱延鋼板のエッジが飛び出てクレーンに接触し、折れ曲がってしまうことがある。また、熱延鋼板コイルのクレーン搬送中や下工程の処理ラインでの熱延鋼板の払い出しの際に、巻き緩みが発生している箇所で熱延鋼板同士が擦れて、スリ傷が発生してしまうこともある。
熱間圧延ラインにおける熱延鋼板の後端側は、下工程の処理ラインで熱延鋼板コイルから払い出す際には、先端側になる。従って、熱間圧延ラインにおける熱延鋼板の後端側の形状が不良である(湾曲した部分を有する)と、処理ラインでは、熱延鋼板の先端側に湾曲した部分を有することになる。処理ラインにおいて熱延鋼板の先端は拘束されることなく搬送されるため、当該先端側の湾曲した部分が処理ラインに設置されたパスラインロールやガイドなどの設備に接触し、スリ傷が発生し易くなる。また、熱延鋼板の先端がパスラインロールの上に載らずに下に潜り込んだり、ガイドに衝突した場合、熱延鋼板が曲がって激しく設備に衝突して酷いスリ傷が生じたり、熱延鋼板の払い出し装置において熱延鋼板コイルの巻き緩みが発生して熱延鋼板同士が擦れてスリ傷が発生してしまうこともある。
熱延鋼板の形状不良部の形状が、需要家の指定する許容範囲外となる場合がある。
前述のように、被圧延材の形状の修正は、予め設定した目標形状が得られるように、仕上圧延機に設置された形状制御アクチュエータ(ワークロールベンダー、レベリングなど)を制御することによって行われる。
被圧延材の先端部(被圧延材の先端が熱間圧延機の最下流圧延スタンドで圧延され始めてから、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られるまでの間の、張力が付与されていない状態で圧延された部分)の長さは、仕上圧延機と巻取り機との間にあるランナウトテーブルの長さに略等しい。このため、被圧延材の先端部においては、ランナウトテーブルの長さに応じて、比較的緩やかに形状が変化し、この先端部の形状を修正するための制御時間を比較的長く確保することができる。
一方、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後は、被圧延材に一定の張力が付与されるため、被圧延材の形状は比較的安定する。しかしながら、被圧延材の後端部(被圧延材の後端が仕上圧延機の最上流圧延スタンドを通過して以降に圧延された部分)では、ルーパが下降したり、各圧延スタンドから被圧延材が抜ける際の影響により、張力変動や荷重変動が大きくなって、形状が変化しやすい。そして、被圧延材の後端部においては、先端部に比べて急激に形状が変化し、この後端部の形状を修正するための制御時間は先端部に比べて短時間に制限される。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
少なくとも被圧延材の先端が前記熱間圧延機の下流に設置された巻取り機に巻き取られるまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、被圧延材の先端が前記巻取り機に巻き取られてから、前記形状計によって被圧延材の形状不良が検出され始めるまでの間の所定のタイミングで、前記第1の制御ゲインをこれよりも大きな第2の制御ゲインに切り替え、前記所定のタイミング以降は、前記形状制御アクチュエータを前記第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法を提供する。
次に、本発明によれば、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られてから、形状計によって被圧延材の形状不良が検出され始める(形状制御アクチュエータを制御しない場合に被圧延材の形状不良が検出され始める)までの間の所定のタイミングで、第1の制御ゲインが第2の制御ゲインに切り替えられ、前記所定のタイミング以降は、形状制御アクチュエータは、第2の制御ゲインで閉ループ制御される。そして、この第2の制御ゲインは、第1の制御ゲインよりも大きくされる。つまり、最下流圧延スタンドで被圧延材の先端部を圧延し終えた後、被圧延材の形状不良が検出され始める(形状計で測定した被圧延材の形状と目標形状との差が所定値以上に大きくなる)までの間の所定のタイミング以降では、形状制御アクチュエータは、第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御されることになる。被圧延材の先端部を圧延し終えた後(被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後)は、被圧延材の後端部を除き、被圧延材に一定の張力が付与され被圧延材の形状は比較的安定するため、被圧延材の先端部以降で被圧延材の形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端部内であると考えられる。このため、被圧延材の形状不良が検出され始めるまでに第2の制御ゲインに切り替えれば、少なくとも被圧延材の後端部の形状不良箇所を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第2の制御ゲインで閉ループ制御されることになる。
以上のように、本発明によれば、被圧延材の先端部を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインで閉ループ制御され、被圧延材の後端部(少なくとも後端部の形状不良箇所)を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御される。これにより、被圧延材の先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
なお、本発明において、「形状」とは、被圧延材の圧延方向の伸び率の幅方向分布を意味する。
また、第2の制御ゲインは、第1の制御ゲインの3〜5倍の値に設定することが好ましい。
なお、前述のように、被圧延材の先端部を圧延し終えた後は、被圧延材の後端部を除き、被圧延材に一定の張力が付与され被圧延材の形状は比較的安定する。また、被圧延材の平坦な箇所に対して形状制御アクチュエータの制御ゲインを高く設定し過ぎると、小さな形状変化に対しても過剰に反応してしまい、かえって形状が悪化するおそれもある。さらには、形状計の測定誤差の影響を考慮すれば、長期に亘って制御ゲインを高く設定するのは好ましくない。以上の理由より、第1の制御ゲインから第2の制御ゲインへの切り替えタイミングを、被圧延材の後端が最上流圧延スタンドを通過するよりもかなり前ではなく、最上流圧延スタンドを通過する直前に設定することがより一層好ましい。
すなわち、前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドFiを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過してから、前記予め求めた圧延スタンドFiを通過するまでの間に設定することが可能である。
なお、第1の制御ゲインから第2の制御ゲインへの切り替えタイミングを、被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過するよりもかなり前ではなく、圧延スタンドFiを通過する直前に設定することがより一層好ましい。ここで、被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過する直前とは、被圧延材の後端が圧延スタンドFiよりも一つだけ上流に位置する圧延スタンドFi−1と圧延スタンドFiとの間に位置することを意味し、好ましくは、圧延スタンドFi寄りの位置とされる。
次に、本発明によれば、被圧延材の後端が予め求めた圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFjを通過するタイミングで(形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始める前に)、閉ループ制御が開ループ制御に切り替えられる。このため、被圧延材の後端部における形状変化が非常に急激であったとしても、制御が追いつき、形状修正をうまく行えることが期待できる。
以上のように、本発明によれば、被圧延材の先端部を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインで閉ループ制御され、被圧延材の後端部(少なくとも後端部の形状不良箇所)を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第3の制御ゲインで開ループ制御される。これにより、被圧延材の先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
なお、圧延スタンドFj及び開ループ制御の制御ゲイン(第3の制御ゲイン)は、過去の被圧延材の圧延実績(形状制御アクチュエータを制御しない場合の形状計による複数の被圧延材の形状測定結果)に基づいて被圧延材の形状(圧延方向の形状分布)を予測し、該形状予測値をうまく修正できるように決定すればよい。
すなわち、被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドFjを通過した後、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御している際に、前記形状計で測定した被圧延材の形状と予め設定した目標形状との差が所定値以上の場合には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することに代えて、前記形状制御アクチュエータを前記第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御することが好ましい。
本発明では、非接触式の形状計の中でも、短時間で急激に形状が変化する被圧延材の後端部にも適用できるように、応答性や測定精度に優れた形状計を用いることが好ましい。また、非接触式の形状計の中でも、蛇行が発生し易い被圧延材の先端部や後端部に適用できるように、被圧延材の蛇行に追従し、被圧延材の幅方向の一定位置の形状を測定可能な形状計を用いることが好ましい。これらの観点より、本発明で用いる非接触式の形状計としては、被圧延材の蛇行に追従し、高応答で且つ高精度に測定できる、特許文献4に記載のような線状パターン投影方式を採用することが好ましい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100は、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4とを備えている。また、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100は、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
図2に示すように、本実施形態の制御手段4は、先端部用形状解析部41Aと、後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、後端部用形状制御部42Bと、切替部43とを備えている。
先端部用形状解析部41A及び後端部用形状解析部41Bは、形状計3から入力された伸び率εCENTと伸び率εEDGEとの差である伸び差率Δε(=εCENT−εEDGE)を算出した後、以下の式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。
同様に、後端部用形状制御部42Bには、後端部用形状解析部41Bで算出された急峻度λが入力される。また、後端部用形状制御部42Bには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ0)が入力される。さらに、後端部用形状制御部42Bには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた第2の制御ゲインG2が入力される。そして、後端部用形状制御部42Bは、目標急峻度λ0に対する急峻度λの偏差(=λ−λ0)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
切替部43は、被圧延材Mの先端を最下流圧延スタンドF7で圧延し始めてから後述する所定のタイミングまでは、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2とを接続する。これにより、ワークロールベンダー2は、第1の制御ゲインG1で閉ループ制御される(図3のステップS11)。そして、切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力された被圧延材Mの後端の位置情報に基づき、被圧延材Mの後端が最上流圧延スタンドF1を通過してから、被圧延材の後端が予め求めた圧延スタンドFiを通過するまでの間の所定のタイミングで(本実施形態では、好ましい態様として被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過する直前に)、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2との接続を、後端部用形状制御部42Bとワークロールベンダー2との接続に切り替える(図3のステップS12)。これにより、前記所定のタイミング以降、ワークロールベンダー2は、第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される(図3のステップS13)。
本実施形態に係る熱延鋼板製造装置も、図1に示す第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置100と同様に、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4Aと、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
ただし、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置は、制御手段4Aの具体的構成及び制御手段4Aが実行する制御方法が第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略し、主として第1実施形態と異なる点について説明する。
図4に示すように、本実施形態の制御手段4Aも、第1実施形態の制御手段4と同様に、先端部用形状解析部41Aと、後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、第1の後端部用形状制御部42Bと、切替部43とを備えている。さらに、本実施形態の制御手段4Aは、第2の後端部用形状制御部42Cを備えている。
第1の後端部用形状制御部42Bは、第1実施形態の後端部用形状制御部42Bと同様に、急峻度λ0に対する急峻度λの偏差(=λ−λ0)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
本実施形態に係る熱延鋼板製造装置も、図1に示す第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置100や、第2実施形態に係る熱延鋼板製造装置と同様に、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4Bと、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
ただし、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置は、制御手段4Bの具体的構成及び制御手段4Bが実行する制御方法が、第1実施形態や第2実施形態と異なる。
以下、第1実施形態や第2実施形態と共通する点については適宜説明を省略し、主として第1実施形態や第2実施形態と異なる点について説明する。
図7に示すように、本実施形態の制御手段4Bも、第2実施形態の制御手段4Aと同様に、先端部用形状解析部41Aと、第1の後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、第1の後端部用形状制御部42Bと、第2の後端部用形状制御部42Cと、切替部43とを備えている。さらに、本実施形態の制御手段4Bは、第2の後端部用形状解析部41Cと、切替部制御手段44とを備えている。
第1の後端部用形状制御部42Bは、第2実施形態と同様に、急峻度λ0に対する急峻度λの偏差(=λ−λ0)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
切替部制御手段44には、第2の後端部用形状解析部41Cで算出された急峻度λが入力される。また、切替部制御手段44には、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ0)が入力される。そして、切替部制御手段44は、目標急峻度λ0に対する急峻度λの偏差(=λ−λ0)を算出し、この偏差が所定値以上である場合には、切替部43を制御する。
また、ワークロールベンダー2に第2の後端部用形状制御部42Cが接続されている際(ワークロールベンダー2を第3の制御ゲインG3で開ループ制御している際)に、切替部制御手段44で算出した偏差が所定値以上になった場合には、切替部制御手段44から切替部43に制御信号が入力される。この制御信号の入力により、切替部43は、ワークロールベンダー2に第1の後端部用形状制御部42Bを接続する。これにより、第1の後端部用形状制御部42Bから出力される操作量でワークロールベンダー2が操作される(ワークロールベンダー2が第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される)ことになる。以下、図8を適宜参照しつつ、切替部43の切替動作について、より具体的に説明する。
一方、ワークロールベンダー2が第3の制御ゲインG3で開ループ制御されている際に、切替部制御手段44から切替部43に制御信号が入力されなかった場合(切替部制御手段44で算出した偏差が所定値未満である場合)、切替部43は、第2の後端部用形状制御部42Cとワークロールベンダー2との接続を維持する(図8のステップS38のNo)。これにより、ワークロールベンダー2は、第3の制御ゲインG3で閉ループ制御されたままとなる(図8のステップS40)。
図1に示すものと同様の熱延鋼板製造装置を用いて、板厚3.0mm、板幅1200mmで、炭素含有量が0.1重量%の中炭素鋼からなる被圧延材Mを圧延した。ただし、制御手段4を機能させずに(ワークロールベンダー2の位置を一定にした状態で)、被圧延材Mを圧延した。
図9に示すように、被圧延材Mの先端が巻取り機6に巻き取られた後は、被圧延材Mに一定の張力が付与されるため、被圧延材の形状は一旦安定する。しかしながら、被圧延材Mの後端が最下流圧延スタンドF7よりも上流に位置する圧延スタンドFi(図9に示す例では圧延スタンドF4)を通過すると、急激に中伸び方向へと形状が変化する。
制御手段4により、被圧延材Mの全長に対して、ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御(PI制御)した点を除き、比較例1と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。
図10に示すように、ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御することにより、被圧延材Mの先端部の形状不良を低減することは可能である。しかしながら、被圧延材Mの後端部の形状不良(特に、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(図10に示す例では圧延スタンドF4)を通過した後の形状不良)を低減することはできない。
制御手段4によって、第1実施形態で説明した形状制御方法(被圧延材Mの後端が圧延スタンドFiを通過する直前にワークロールベンダー2の制御ゲインを第1の制御ゲインG1から第2の制御ゲインG2に高める)を実行した点を除き、比較例2と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。なお、第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1の5倍に設定した。
図11に示すように、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(図11に示す例では圧延スタンドF4)を通過する直前にワークロールベンダー2の制御ゲインを第1の制御ゲインG1から第2の制御ゲインG2に高めることにより、被圧延材Mの先端部の形状不良のみならず、後端部の形状不良も低減することが可能である。ただし、被圧延材の後端近傍については、若干形状不良が残存している。
図12に示すように、実施例1では、急峻度の平均値(図12の急峻度X)の絶対値及び急峻度の標準偏差(図12の急峻度σ)の双方が、比較例2よりも小さくなる。つまり、実施例1では、比較例2よりも、後端部の形状(急峻度)を平坦に修正できているといえる。
制御手段4によって、第3実施形態で説明した形状制御方法(被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過するタイミングでワークロールベンダー2の制御を第1の制御ゲインG1での閉ループ制御から第3の制御ゲインG3での開ループ制御に切り替え、さらに目標形状に対する偏差に応じて、第3の制御ゲインG3での開ループ制御から第2の制御ゲインG2での閉ループ制御に切り替える方法)を実行した点を除き、実施例1と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。なお、第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1の5倍に設定し、第3の制御ゲインG3は、第1の制御ゲインG1の3倍に設定した。
図13に示すように、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFj(図12に示す例では圧延スタンドF3)を通過するタイミングで閉ループ制御から開ループ制御に切り替え、さらに目標形状に対する偏差に応じて高い制御ゲイン(第2の制御ゲインG2)での閉ループ制御に切り替えるため、被圧延材の後端近傍についても、形状不良を効果的に低減できる。
2・・・形状制御アクチュエータ(ワークロールベンダー)
3・・・形状計
4・・・制御手段
5・・・ランナウトテーブル
6・・・巻取り機
7・・・プロセスコンピュータ
100・・・熱延板の製造装置(熱延鋼板製造装置)
F1〜F7・・・圧延スタンド
M・・・被圧延材
Claims (9)
- 熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
少なくとも被圧延材の先端が前記熱間圧延機の下流に設置された巻取り機に巻き取られるまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、
被圧延材の先端が前記巻取り機に巻き取られてから、前記形状計によって被圧延材の形状不良が検出されるまでの間の所定のタイミングで、前記第1の制御ゲインをこれよりも大きな第2の制御ゲインに切り替え、
前記所定のタイミング以降は、前記形状制御アクチュエータを前記第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法。 - 前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過する以前に設定することを特徴とする請求項1に記載の熱延板の形状制御方法。
- 前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、
前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過してから、前記予め求めた圧延スタンドを通過するまでの間に設定することを特徴とする請求項1に記載の熱延板の形状制御方法。 - 熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、
被圧延材の後端が前記予め求めた圧延スタンドの上流に位置する圧延スタンドを通過するまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、
被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドを通過した後には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法。 - 被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドを通過した後、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御している際に、前記形状計で測定した被圧延材の形状と予め設定した目標形状との差が所定値以上の場合には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することに代えて、前記形状制御アクチュエータを前記第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする請求項4に記載の熱延板の形状制御方法。
- 前記形状計が、非接触式の形状計であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の熱延板の形状制御方法。
- 前記形状計が、線状パターンを被圧延材の表面に投影する投影機と、前記投影された線状パターンを撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置で撮像した線状パターンの歪みに基づいて前記被圧延材の形状を測定する構成であって、前記線状パターンの歪みを算出する領域が、検出した前記被圧延材の幅方向エッジに基づいて、前記被圧延材の幅方向の一定位置に設定されるものであることを特徴とする請求項6に記載の熱延板の形状制御方法。
- 請求項1から7の何れかに記載の形状制御方法を用いて熱延板を製造することを特徴とする熱延板の製造方法。
- 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機と、
前記複数の圧延スタンドのうち最下流圧延スタンドに設置され、被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータと、
前記熱間圧延機の出側に設置され、被圧延材の形状を測定する形状計と、
前記形状制御アクチュエータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、請求項1から7の何れかに記載の形状制御方法を実行することを特徴とする熱延板の製造装置。
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