JP2011161473A - 熱延板の形状制御方法、製造方法及び製造装置 - Google Patents

熱延板の形状制御方法、製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減することができる熱延板の形状制御方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る形状制御方法は、少なくとも被圧延材Mの先端が熱間圧延機1の下流に設置された巻取り機6に巻き取られるまでは、形状制御アクチュエータ2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御し、被圧延材Mの先端が巻取り機6に巻き取られてから、形状計3によって被圧延材Mの形状不良が検出され始めるまでの間の所定のタイミングで、第1の制御ゲインG1をこれよりも大きな第2の制御ゲインG2に切り替え、前記所定のタイミング以降は、形状制御アクチュエータ2を第2の制御ゲインG2で閉ループ制御することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法、並びにこの方法を用いた熱延板の製造方法及び製造装置に関する。特に、本発明は、形状制御アクチュエータの制御方法を工夫することで、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減することができる熱延板の形状制御方法、製造方法及び製造装置に関する。
熱延鋼板の熱間圧延ラインでは、加熱炉で加熱されたスラブが粗圧延機で粗圧延されて粗圧延材とされる。粗圧延材は、粗圧延機から仕上圧延機までを搬送テーブルにより所定の搬送パターンで搬送され、仕上圧延機で所定の寸法に圧延されて熱延鋼板とされる。この熱延鋼板は、ランナウトテーブルにおいて冷却された後、巻取り機によってコイル状に巻き取られる。巻き取られた熱延鋼板は、熱間圧延ラインよりも下工程にある処理ラインで払い出されて各種の処理が施される(例えば、スキンパスラインで形状が矯正されたり、スリッターラインで切断されたり、酸洗ラインで表面のスケールが除去される)。
上記のような製造工程で製造される熱延鋼板の形状(圧延方向の伸び率の幅方向分布)は、熱延鋼板の平坦性そのものだけでなく、熱延鋼板の品質全般に対して与える影響が大きい重要な因子である。つまり、熱延鋼板の形状は、ランナウトテーブルにおける冷却温度の制御性や、巻取り機によってコイル状に巻き取られた熱延鋼板コイルの状態や、熱間圧延ラインよりも下工程にあり熱延鋼板コイルから熱延鋼板を払い出す処理ラインでの表面欠陥(スリ傷など)の発生などにも影響を及ぼす。
より具体的に説明すると、熱延鋼板の形状不良が引き起こす問題としては、下記のようなものが挙げられる。
(1)機械特性の不良や破断の発生
熱間圧延ラインの仕上圧延機を出た熱延鋼板の形状が不良であると、ランナウトテーブルでの冷却の際に熱延鋼板表面の凹部に水が溜まって過冷却が生じ、均一な機械特性を得ることができない場合がある。また、過冷却の程度が酷いと、下工程の処理ラインでの搬送中に熱延鋼板が破断し、復旧まで処理ラインを長時間休止させる必要が生じたり、処理ラインに設置された設備を破損してしまうこともある。
(2)巻き不良によるエッジの折れ曲がりやスリ傷の発生
熱延鋼板の形状が不良であると、巻取り機で巻き取られた熱延鋼板のエッジが不揃いになったり、熱延鋼板の巻き緩みが生じるといった、熱延鋼板コイルの巻き不良が発生し易い。熱延鋼板のエッジが不揃いの場合、熱延鋼板コイルを倒した際やクレーン搬送する際に、熱延鋼板のエッジが折れ曲がってしまうおそれがある。熱延鋼板の巻き緩みが生じている場合も、熱延鋼板コイルのクレーン搬送中に、熱延鋼板のエッジが飛び出てクレーンに接触し、折れ曲がってしまうことがある。また、熱延鋼板コイルのクレーン搬送中や下工程の処理ラインでの熱延鋼板の払い出しの際に、巻き緩みが発生している箇所で熱延鋼板同士が擦れて、スリ傷が発生してしまうこともある。
(3)下工程の処理ラインに設置された設備との接触等によるスリ傷の発生
熱間圧延ラインにおける熱延鋼板の後端側は、下工程の処理ラインで熱延鋼板コイルから払い出す際には、先端側になる。従って、熱間圧延ラインにおける熱延鋼板の後端側の形状が不良である(湾曲した部分を有する)と、処理ラインでは、熱延鋼板の先端側に湾曲した部分を有することになる。処理ラインにおいて熱延鋼板の先端は拘束されることなく搬送されるため、当該先端側の湾曲した部分が処理ラインに設置されたパスラインロールやガイドなどの設備に接触し、スリ傷が発生し易くなる。また、熱延鋼板の先端がパスラインロールの上に載らずに下に潜り込んだり、ガイドに衝突した場合、熱延鋼板が曲がって激しく設備に衝突して酷いスリ傷が生じたり、熱延鋼板の払い出し装置において熱延鋼板コイルの巻き緩みが発生して熱延鋼板同士が擦れてスリ傷が発生してしまうこともある。
(4)許容範囲外の形状の発生
熱延鋼板の形状不良部の形状が、需要家の指定する許容範囲外となる場合がある。
従来、熱延鋼板等の熱延板の形状を制御する方法としては、予め設定した目標形状が得られるように、仕上圧延機の出側で測定した被圧延材の形状に基づき、仕上圧延機に設置された形状制御アクチュエータ(ワークロールベンダー、レベリングなど)を制御する方法が一般的に知られている。
例えば、特許文献1には、仕上圧延機に設置されたベンダーによって熱延鋼板の形状を目標値にするFBK形状制御方法であって、熱延鋼板が平坦度計をオンしてから巻取機をオンするまでの間に、最終スタンドで、あるゲインKで熱延鋼板の先端から尾端までN本圧延を行った後、最終スタンド毎にN本でオンライン回帰分析を行い、ベンダーの平坦度感度を求め、得られた平坦度感度をオンラインデータとして層別値である平坦度感度を更新して、平坦度精度を上げて行くようにしたことを特徴とする形状制御方法が提案されている(特許文献1の請求項3等)。
また、特許文献2には、圧延機の下流側に離れて設置した形状検出器の検出信号をフィードバックして自動的に圧延材の形状制御を行う圧延機において、圧延速度を検出し、制御系の比例ゲイン及び積分時間を該圧延速度に応じて設定することを特徴とする圧延機の自動形状制御方法が提案されている(特許文献2の特許請求の範囲等)。
さらに、特許文献3には、連続圧延機に通板される板の長手方向端の形状そのものを光学的手段によって流れ方向の複数位置において検出し、第1位置から第2の位置までの間における左右部それぞれの長手方向伸びを演算し、左右の伸びの差に基づいて蛇行を修正すべく(片伸びを修正すべく)1以上のスタンドにおいて左右の圧下量を制御することを特徴とする圧延時における板の蛇行修正制御方法が提案されている(特許文献3の特許請求の範囲等)。
なお、形状計(平坦度計)としては、例えば、特許文献4に記載のものが知られている。
特開平11−179413号公報 特開昭62−292212号公報 特開昭60−199513号公報 特開2008−58036号公報
上記のように、従来の熱延板の形状制御方法としては、被圧延材の材質等の層別に応じて制御ゲインを最適化する方法(特許文献1)や、被圧延材の圧延速度に応じて制御ゲインを最適化する方法(特許文献2)が提案されている。また、被圧延材の形状の幅方向に非対称な成分(片伸び等)については、左右の圧下量を制御する方法(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、実際の被圧延材の形状変化の挙動は、被圧延材の材質や圧延速度に応じて相違するのみならず、被圧延材の先端部(被圧延材の先端が熱間圧延機の最下流圧延スタンドで圧延され始めてから、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られるまでの間の、張力が付与されていない状態で圧延された部分)と、後端部(被圧延材の後端が仕上圧延機の最上流圧延スタンドを通過して以降に圧延された部分)とでも相違する。このため、特許文献1〜3に記載のような従来の形状制御方法を用いて被圧延材先端部の形状不良を低減できたとしても、被圧延材先端部と同じ形状制御方法を用いたのでは、被圧延材後端部の形状不良を効果的に低減することができないという問題がある。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減することができる熱延板の形状制御方法、製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った。
前述のように、被圧延材の形状の修正は、予め設定した目標形状が得られるように、仕上圧延機に設置された形状制御アクチュエータ(ワークロールベンダー、レベリングなど)を制御することによって行われる。
被圧延材の先端部(被圧延材の先端が熱間圧延機の最下流圧延スタンドで圧延され始めてから、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られるまでの間の、張力が付与されていない状態で圧延された部分)の長さは、仕上圧延機と巻取り機との間にあるランナウトテーブルの長さに略等しい。このため、被圧延材の先端部においては、ランナウトテーブルの長さに応じて、比較的緩やかに形状が変化し、この先端部の形状を修正するための制御時間を比較的長く確保することができる。
一方、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後は、被圧延材に一定の張力が付与されるため、被圧延材の形状は比較的安定する。しかしながら、被圧延材の後端部(被圧延材の後端が仕上圧延機の最上流圧延スタンドを通過して以降に圧延された部分)では、ルーパが下降したり、各圧延スタンドから被圧延材が抜ける際の影響により、張力変動や荷重変動が大きくなって、形状が変化しやすい。そして、被圧延材の後端部においては、先端部に比べて急激に形状が変化し、この後端部の形状を修正するための制御時間は先端部に比べて短時間に制限される。
つまり、被圧延材の先端部及び後端部の形状変化及び制御時間を比較すると、下記の表1のようになる。
被圧延材の後端部の形状のように、修正するための制御時間が短く、且つ、急激な変化に対応する場合、形状制御アクチュエータの制御ゲインを大きくすることが有効であると考えられる。一方、被圧延材の先端部については、必要以上に制御ゲインを大きくすると、制御のオーバーシュートが生じたり、それに伴う形状制御アクチュエータの過剰な使用により被圧延材に穴あきが生じたり、仕上圧延機内での被圧延材のバタツキにより被圧延材の噛み込み不良が生じるといった圧延トラブルが発生するおそれがある。このため、従来の形状制御においては、制御時間の長い被圧延材の先端部に合わせて制御ゲインを調整する場合が多く、その結果、被圧延材の後端部では十分に形状を修正できていない。
本発明者らは、被圧延材の後端部の形状を改善するには、先端部用の制御ゲインとは別に、後端部用の制御ゲインを形状制御アクチュエータに設定し、その後端部用の制御ゲインを少なくとも先端部用の制御ゲインよりも大きくすることが有効ではないかと考えた。そして、本発明者らは、上記の着想に基づき、被圧延材の先端部と後端部とで形状制御アクチュエータの制御ゲインを切り替えることにより、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減できることを見出した。
本発明は、上記の本発明者の知見に基づき完成されたものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
少なくとも被圧延材の先端が前記熱間圧延機の下流に設置された巻取り機に巻き取られるまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、被圧延材の先端が前記巻取り機に巻き取られてから、前記形状計によって被圧延材の形状不良が検出され始めるまでの間の所定のタイミングで、前記第1の制御ゲインをこれよりも大きな第2の制御ゲインに切り替え、前記所定のタイミング以降は、前記形状制御アクチュエータを前記第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法を提供する。
本発明によれば、少なくとも被圧延材の先端が前記熱間圧延機の下流に設置された巻取り機に巻き取られるまでは、最下流圧延スタンドの形状制御アクチュエータは、第1の制御ゲインで閉ループ制御される。つまり、少なくとも被圧延材の先端部(被圧延材の先端が熱間圧延機の最下流圧延スタンドで圧延され始めてから、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られるまでの間の部分)を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは、第1の制御ゲインで閉ループ制御される。
次に、本発明によれば、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られてから、形状計によって被圧延材の形状不良が検出され始める(形状制御アクチュエータを制御しない場合に被圧延材の形状不良が検出され始める)までの間の所定のタイミングで、第1の制御ゲインが第2の制御ゲインに切り替えられ、前記所定のタイミング以降は、形状制御アクチュエータは、第2の制御ゲインで閉ループ制御される。そして、この第2の制御ゲインは、第1の制御ゲインよりも大きくされる。つまり、最下流圧延スタンドで被圧延材の先端部を圧延し終えた後、被圧延材の形状不良が検出され始める(形状計で測定した被圧延材の形状と目標形状との差が所定値以上に大きくなる)までの間の所定のタイミング以降では、形状制御アクチュエータは、第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御されることになる。被圧延材の先端部を圧延し終えた後(被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後)は、被圧延材の後端部を除き、被圧延材に一定の張力が付与され被圧延材の形状は比較的安定するため、被圧延材の先端部以降で被圧延材の形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端部内であると考えられる。このため、被圧延材の形状不良が検出され始めるまでに第2の制御ゲインに切り替えれば、少なくとも被圧延材の後端部の形状不良箇所を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第2の制御ゲインで閉ループ制御されることになる。
以上のように、本発明によれば、被圧延材の先端部を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインで閉ループ制御され、被圧延材の後端部(少なくとも後端部の形状不良箇所)を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御される。これにより、被圧延材の先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
なお、本発明において、「形状」とは、被圧延材の圧延方向の伸び率の幅方向分布を意味する。
また、第2の制御ゲインは、第1の制御ゲインの3〜5倍の値に設定することが好ましい。
具体的には、前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過する以前に設定することが可能である。換言すれば、第1の制御ゲインから第2の制御ゲインへの切り替えタイミングを、被圧延材の後端部の開始点(後端部の先端)が最下流圧延スタンドで圧延される以前に設定することが可能である。
斯かる好ましい方法によれば、被圧延材の後端部内の何れに形状不良箇所が存在するのかに関わらず、被圧延材の後端部全体に対して、形状制御アクチュエータが第2の制御ゲインで閉ループ制御されることになる。
なお、前述のように、被圧延材の先端部を圧延し終えた後は、被圧延材の後端部を除き、被圧延材に一定の張力が付与され被圧延材の形状は比較的安定する。また、被圧延材の平坦な箇所に対して形状制御アクチュエータの制御ゲインを高く設定し過ぎると、小さな形状変化に対しても過剰に反応してしまい、かえって形状が悪化するおそれもある。さらには、形状計の測定誤差の影響を考慮すれば、長期に亘って制御ゲインを高く設定するのは好ましくない。以上の理由より、第1の制御ゲインから第2の制御ゲインへの切り替えタイミングを、被圧延材の後端が最上流圧延スタンドを通過するよりもかなり前ではなく、最上流圧延スタンドを通過する直前に設定することがより一層好ましい。
あるいは、過去の被圧延材の圧延実績(形状制御アクチュエータを制御しない場合の形状計による複数の被圧延材の形状測定結果)に基づき、被圧延材の後端部内の何れに形状不良箇所が存在し易いのかを求めることができる(形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が何れの圧延スタンド(以下、適宜、圧延スタンドFiという)を通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき求めることができる)のであれば、第1の制御ゲインを第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が最上流圧延スタンドを通過してから、被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過するまでの間に設定しても良い。
すなわち、前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドFiを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過してから、前記予め求めた圧延スタンドFiを通過するまでの間に設定することが可能である。
斯かる好ましい方法によれば、被圧延材の後端部全体ではなく、被圧延材の後端部内の形状不良箇所に対してのみ、形状制御アクチュエータが第2の制御ゲインで閉ループ制御される可能性が高まる。このため、形状不良が生じていない平坦な箇所に対して形状制御アクチュエータの制御ゲインを高く設定し過ぎることによる形状悪化のおそれ等を低減可能である。
なお、第1の制御ゲインから第2の制御ゲインへの切り替えタイミングを、被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過するよりもかなり前ではなく、圧延スタンドFiを通過する直前に設定することがより一層好ましい。ここで、被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過する直前とは、被圧延材の後端が圧延スタンドFiよりも一つだけ上流に位置する圧延スタンドFi−1と圧延スタンドFiとの間に位置することを意味し、好ましくは、圧延スタンドFi寄りの位置とされる。
ここで、被圧延材の材質や寸法に応じて、被圧延材の後端部における形状変化があまりにも急激であるため、以上に述べたように閉ループ制御される形状制御アクチュエータの制御ゲインを高く設定(第2の制御ゲインに設定)したとしても、閉ループ制御では制御が追いつかず、形状修正がうまくできない場合がある。この場合には、被圧延材の後端が通過した以降に、形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始める圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンド(以下、適宜、圧延スタンドFjという)を通過するタイミングで(つまり、形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始める前に)閉ループ制御から開ループ制御に切り替えることが好ましい。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドFiを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、被圧延材の後端が前記予め求めた圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFjを通過するまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドFjを通過した後には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法としても提供される。
本発明によれば、少なくとも被圧延材の先端部(被圧延材の先端が熱間圧延機の最下流圧延スタンドで圧延され始めてから、被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られるまでの間の部分)と、被圧延材の後端部を除く形状が比較的安定した部分(一定の張力が付与される部分)とを最下流圧延スタンドで圧延する際、形状制御アクチュエータは、第1の制御ゲインで閉ループ制御される。
次に、本発明によれば、被圧延材の後端が予め求めた圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFjを通過するタイミングで(形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始める前に)、閉ループ制御が開ループ制御に切り替えられる。このため、被圧延材の後端部における形状変化が非常に急激であったとしても、制御が追いつき、形状修正をうまく行えることが期待できる。
以上のように、本発明によれば、被圧延材の先端部を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第1の制御ゲインで閉ループ制御され、被圧延材の後端部(少なくとも後端部の形状不良箇所)を最下流圧延スタンドで圧延する際には、形状制御アクチュエータは第3の制御ゲインで開ループ制御される。これにより、被圧延材の先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
なお、圧延スタンドFj及び開ループ制御の制御ゲイン(第3の制御ゲイン)は、過去の被圧延材の圧延実績(形状制御アクチュエータを制御しない場合の形状計による複数の被圧延材の形状測定結果)に基づいて被圧延材の形状(圧延方向の形状分布)を予測し、該形状予測値をうまく修正できるように決定すればよい。
本発明において、第3の制御ゲインで形状制御アクチュエータを開ループ制御することによって得られる被圧延材の形状と目標形状との差が大きい場合には、第3の制御ゲインで形状制御アクチュエータを開ループ制御するよりもむしろ、前述した第2の制御ゲインで形状制御アクチュエータを閉ループ制御した方が、目標形状との差が小さくなる可能性がある。従って、第3の制御ゲインで形状制御アクチュエータを開ループ制御することによって得られる被圧延材の形状と目標形状との差に応じて、第3の制御ゲインでの開ループ制御を維持するか、或いは、第2の制御ゲインでの閉ループ制御に変更するのかを切り替えることが好ましい。
すなわち、被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドFjを通過した後、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御している際に、前記形状計で測定した被圧延材の形状と予め設定した目標形状との差が所定値以上の場合には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することに代えて、前記形状制御アクチュエータを前記第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御することが好ましい。
本発明で用いる形状計としては、非接触式のものが好ましい。接触式の形状計を用いると、被圧延材のバタツキ等によって形状計が破損することを回避するために、被圧延材の先端部や後端部が通過する際に形状計を退避させる必要が生じ、被圧延材の先端部や後端部の形状を測定できない場合があるからである。
本発明では、非接触式の形状計の中でも、短時間で急激に形状が変化する被圧延材の後端部にも適用できるように、応答性や測定精度に優れた形状計を用いることが好ましい。また、非接触式の形状計の中でも、蛇行が発生し易い被圧延材の先端部や後端部に適用できるように、被圧延材の蛇行に追従し、被圧延材の幅方向の一定位置の形状を測定可能な形状計を用いることが好ましい。これらの観点より、本発明で用いる非接触式の形状計としては、被圧延材の蛇行に追従し、高応答で且つ高精度に測定できる、特許文献4に記載のような線状パターン投影方式を採用することが好ましい。
すなわち、前記形状計は、線状パターンを被圧延材の表面に投影する投影機と、前記投影された線状パターンを撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置で撮像した線状パターンの歪みに基づいて前記被圧延材の形状を測定する構成であって、前記線状パターンの歪みを算出する領域が、検出した前記被圧延材の幅方向エッジに基づいて、前記被圧延材の幅方向の一定位置に設定されるものであることが好ましい。
また、前記課題を解決するため、本発明は、前述した何れかの形状制御方法を用いて熱延板を製造することを特徴とする熱延板の製造方法としても提供される。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機と、前記複数の圧延スタンドのうち最下流圧延スタンドに設置され、被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータと、前記熱間圧延機の出側に設置され、被圧延材の形状を測定する形状計と、前記形状制御アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、前述した何れかの形状制御方法を実行することを特徴とする熱延板の製造装置としても提供される。
本発明によれば、被圧延材の先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材の後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、図1に示す制御手段の具体的構成を概略的に示す模式図である。 図3は、図1に示す制御手段が実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。 図4は、本発明の第2実施形態の制御手段の具体的構成を概略的に示す模式図である。 図5は、図4に示す制御手段が実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。 図6は、各種の材質からなる被圧延材について、それらの板厚と、ワークロールベンダーを制御せずに被圧延材の圧延方向の適宜の位置で測定した急峻度(被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後の急峻度)との関係を示すグラフである。 図7は、本発明の第3の実施形態の制御手段の具体的構成を概略的に示す模式図である。 図8は、図7に示す制御手段が実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。 図9は、比較例1の圧延結果を示すグラフである。 図10は、比較例2の圧延結果を示すグラフである。 図11は、実施例1の圧延結果を示すグラフである。 図12は、多数の被圧延材について、実施例1及び比較例2と同様の圧延試験を行い、各被圧延材の後端部について測定した急峻度の分布を評価した結果を示すグラフである。 図13は、実施例2の圧延結果を示すグラフである。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について、熱延板が熱延鋼板である場合を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100は、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4とを備えている。また、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100は、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
仕上圧延機1は、図1に白抜き矢符で示す被圧延材Mの搬送方向(圧延方向)上流側から下流側に向けて順に設置された複数の圧延スタンドF1〜F7を備えている。
ワークロールベンダー2は、複数の圧延スタンドF1〜F7のうち、最下流の圧延スタンドF7に設置され、被圧延材Mの形状を修正する。
形状計3は、仕上圧延機1の出側に設置され、被圧延材Mの形状を測定する。本実施形態では、形状計3として、被圧延材Mの蛇行に追従して、被圧延材Mの幅方向の一定位置の形状を測定できる線状パターン投影方式の形状計が用いられている。具体的には、形状計3は、線状パターンを被圧延材Mの表面に投影する投影機と、前記投影された線状パターンを撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置で撮像した線状パターンの歪みに基づいて被圧延材Mの形状を測定する構成である。形状計3では、前記線状パターンの歪みを算出する領域が、検出した被圧延材Mの幅方向エッジに基づいて、被圧延材Mの幅方向の一定位置に設定されている。形状計3のより具体的な構成は、前述した特許文献4に記載の構成と同様であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
制御手段4は、プロセスコンピュータ7によって指定された目標形状が得られるように、形状計3で測定した被圧延材Mの形状に基づきワークロールベンダー2を制御する。本実施形態の制御手段4は、ワークロールベンダー2を閉ループ制御(PI制御)する構成とされている。
以上の構成を有する熱延鋼板製造装置100において、被圧延材Mは仕上圧延機1で所定の寸法に圧延されて熱延鋼板とされる。この熱延鋼板は、ランナウトテーブル5において冷却された後、巻取り機6によってコイル状に巻き取られる。
図2は、図1に示す制御手段4の具体的構成を概略的に示す模式図である。図3は、図1に示す制御手段4が実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。
図2に示すように、本実施形態の制御手段4は、先端部用形状解析部41Aと、後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、後端部用形状制御部42Bと、切替部43とを備えている。
先端部用形状解析部41A及び後端部用形状解析部41Bのそれぞれには、形状計3で測定した被圧延材Mの形状(具体的には、被圧延材Mの長手方向の一定区間における、被圧延材Mの幅方向中央部の伸び率εCENTと、被圧延材Mの幅方向中央部以外(一般的には、エッジ近傍)の伸び率εEDGE)が入力される。
先端部用形状解析部41A及び後端部用形状解析部41Bは、形状計3から入力された伸び率εCENTと伸び率εEDGEとの差である伸び差率Δε(=εCENT−εEDGE)を算出した後、以下の式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。
先端部用形状制御部42Aには、先端部用形状解析部41Aで算出された急峻度λが入力される。また、先端部用形状制御部42Aには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ)が入力される。さらに、先端部用形状制御部42Aには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた第1の制御ゲインG1が入力される。そして、先端部用形状制御部42Aは、目標急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第1の制御ゲインG1を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
同様に、後端部用形状制御部42Bには、後端部用形状解析部41Bで算出された急峻度λが入力される。また、後端部用形状制御部42Bには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ)が入力される。さらに、後端部用形状制御部42Bには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた第2の制御ゲインG2が入力される。そして、後端部用形状制御部42Bは、目標急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1よりも大きな値に設定されている。本実施形態では、ワークロールベンダー2を閉ループ制御(PI制御)するため、第1の制御ゲインG1及び第2の制御ゲインG2は、比例ゲイン及び積分ゲインから構成されている。従って、第2の制御ゲインG2の比例ゲインは第1の制御ゲインG1の比例ゲインよりも大きな値に設定され、第2の制御ゲインG2の積分ゲインは第1の制御ゲインG1の積分ゲインよりも大きな値に設定されている。
切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力される被圧延材Mの位置情報(本実施形態では被圧延材Mの後端の位置情報)に基づき、ワークロールベンダー2に先端部用形状制御部42A及び後端部用形状制御部42Bの何れを接続するかを切り替える。つまり、切替部43は、先端部用形状制御部42Aから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御するか)、或いは、後端部用形状制御部42Bから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第2の制御ゲインG2で閉ループ制御するか)を切り替えることになる。以下、図3を適宜参照しつつ、切替部43の切替動作について、より具体的に説明する。
本実施形態では、過去の被圧延材Mの圧延実績(ワークロールベンダー2を制御しない場合の形状計3による複数の被圧延材の形状測定結果)に基づき、形状計3によって被圧延材Mの後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(例えば、圧延スタンドF4)を通過した以降であることが予め求められ、切替部43に設定される。
切替部43は、被圧延材Mの先端を最下流圧延スタンドF7で圧延し始めてから後述する所定のタイミングまでは、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2とを接続する。これにより、ワークロールベンダー2は、第1の制御ゲインG1で閉ループ制御される(図3のステップS11)。そして、切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力された被圧延材Mの後端の位置情報に基づき、被圧延材Mの後端が最上流圧延スタンドF1を通過してから、被圧延材の後端が予め求めた圧延スタンドFiを通過するまでの間の所定のタイミングで(本実施形態では、好ましい態様として被圧延材の後端が圧延スタンドFiを通過する直前に)、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2との接続を、後端部用形状制御部42Bとワークロールベンダー2との接続に切り替える(図3のステップS12)。これにより、前記所定のタイミング以降、ワークロールベンダー2は、第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される(図3のステップS13)。
以上に説明した本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100によれば、被圧延材Mの先端部を最下流圧延スタンドF7で圧延する際には、ワークロールベンダー2は第1の制御ゲインG1で閉ループ制御され、被圧延材Mの後端部(少なくとも後端部の形状不良箇所)を最下流圧延スタンドF7で圧延する際には、ワークロールベンダー2は第1の制御ゲインG1よりも大きな第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される。これにより、被圧延材Mの先端部については圧延トラブルが発生するおそれを回避しながら、被圧延材Mの後端部の形状不良を効果的に低減可能である。
なお、本実施形態では、前述のように、好ましい態様として、切替部43による切り替えタイミングを、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFiを通過する直前に設定している。しかしながら、本発明は、これに限るものではなく、切替部43による切り替えタイミングを、被圧延材Mの後端が最上流圧延スタンドF1を通過してから、被圧延材Mの後端が予め求めた圧延スタンドFiを通過するまでの間の所定のタイミングに設定することが可能である。或いは、切替部43による切り替えタイミングを、被圧延材Mの後端が最上流圧延スタンドF1を通過する以前(好ましくは、被圧延材Mの後端が最上流圧延スタンドF1を通過する直前)に設定してもよい。
<第2実施形態>
本実施形態に係る熱延鋼板製造装置も、図1に示す第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置100と同様に、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4Aと、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
ただし、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置は、制御手段4Aの具体的構成及び制御手段4Aが実行する制御方法が第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略し、主として第1実施形態と異なる点について説明する。
図4は、本実施形態の制御手段4Aの具体的構成を概略的に示す模式図である。図5は、図4に示す制御手段4Aが実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。
図4に示すように、本実施形態の制御手段4Aも、第1実施形態の制御手段4と同様に、先端部用形状解析部41Aと、後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、第1の後端部用形状制御部42Bと、切替部43とを備えている。さらに、本実施形態の制御手段4Aは、第2の後端部用形状制御部42Cを備えている。
先端部用形状解析部41A及び後端部用形状解析部41Bのそれぞれには、第1実施形態と同様に、形状計3で測定した被圧延材Mの形状が入力される。そして、先端部用形状解析部41A及び後端部用形状解析部41Bは、第1実施形態と同様に、形状計3から入力された被圧延材Mの形状に基づき、前述した式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。
先端部用形状制御部42Aは、第1実施形態と同様に、目標急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第1の制御ゲインG1を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
第1の後端部用形状制御部42Bは、第1実施形態の後端部用形状制御部42Bと同様に、急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1よりも大きな値に設定されている。本実施形態の先端部用形状制御部42A及び第1の後端部用形状制御部42Bは、ワークロールベンダー2を閉ループ制御(PI制御)するため、第1の制御ゲインG1及び第2の制御ゲインG2は、比例ゲイン及び積分ゲインから構成されている。従って、第2の制御ゲインG2の比例ゲインは第1の制御ゲインG1の比例ゲインよりも大きな値に設定され、第2の制御ゲインG2の積分ゲインは第1の制御ゲインG1の積分ゲインよりも大きな値に設定されている。
第2の後端部形状制御部42Cは、ワークロールベンダー2を開ループ制御する。第2の後端部用形状制御部42Cには、後端部用形状解析部41Bで算出された急峻度の代表値λr(例えば、被圧延材Mの後端が後述する圧延スタンドFjを通過する直前に形状計3で測定された形状から算出された急峻度)が入力される。また、第2の後端部用形状制御部42Cには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ)が入力される。さらに、第2の後端部用形状制御部42Cには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた第3の制御ゲインG3及び圧延スタンドFjの情報(圧延スタンドFjが何れの圧延スタンドであるのかという情報)が入力される。そして、第2の後端部用形状制御部42Cは、目標急峻度λに対する急峻度λrの偏差(=λr−λ)を算出し、この偏差に第3の制御ゲインG3を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力される被圧延材Mの位置情報(本実施形態では被圧延材Mの後端の位置情報)に基づき、ワークロールベンダー2に先端部用形状制御部42A、第1の後端部用形状制御部42B及び第2の後端部用形状制御部42Cの何れを接続するかを切り替える。つまり、切替部43は、先端部用形状制御部42Aから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御するか)、第1の後端部用形状制御部42Bから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第2の制御ゲインG2で閉ループ制御するか)、或いは、第2の後端部用形状制御部42Cから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第3の制御ゲインG3で開ループ制御するか)を切り替えることになる。以下、図5を適宜参照しつつ、切替部43の切替動作について、より具体的に説明する。
被圧延材Mの材質や寸法に応じて、被圧延材Mの後端部における形状変化があまりにも急激であるため、第1実施形態のように、ワークロールベンダー2を閉ループ制御する際の制御ゲインを第1の制御ゲインG1から第2の制御ゲインG2に高めたとしても、閉ループ制御では制御が追いつかず、形状修正がうまくできない場合がある。従って、本実施形態では、被圧延材Mの材質や寸法(板厚、板幅、板クラウンなど)に応じて、被圧延材Mを複数のグループに区分し、後端部における形状変化が急激であるため閉ループ制御では形状修正がうまくできないグループ(以下、適宜、第1グループという)に属する被圧延材Mについては、第1の実施形態とは異なる制御方法を適用している。一方、第1グループに属する被圧延材Mに比べれば後端部における形状変化が急激でないため閉ループ制御でも形状修正が可能なグループ(以下、適宜、第2グループという)に属する被圧延材Mについては、第1の実施形態と同じ制御方法を適用している。
具体的には、切替部43には、今回圧延する被圧延材Mが、後端部における形状変化が急激である第1グループに属するか否かの情報が、プロセスコンピュータ7から入力される(図5のステップS21)。そして、被圧延材Mが第1グループに属さない(第2グループに属する)場合、切替部43は、第1実施形態と同様の動作を実行し、これにより、第1実施形態と同様の制御方法が実行される(図5のステップS22〜S24)。
一方、被圧延材Mが第1グループに属する場合、切替部43は、被圧延材Mの先端を最下流圧延スタンドF7で圧延し始めてから、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(前述のように、過去の被圧延材Mの圧延実績に基づき予め求めた圧延スタンド)の上流に位置する圧延スタンドFj(例えば、圧延スタンドF3)を通過するまでは、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2とを接続する。これにより、ワークロールベンダー2は、第1の制御ゲインG1で閉ループ制御される(図5のステップS25)。そして、切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力された被圧延材Mの後端の位置情報に基づき、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過するタイミングで、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2との接続を、第2の後端部用形状制御部42Cとワークロールベンダー2との接続に切り替える(図5のステップS26)。これにより、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過した後には、ワークロールベンダー2は、第3の制御ゲインG3で開ループ制御される(図3のステップS27)。
なお、圧延スタンドFj及び第3の制御ゲインG3は、過去の被圧延材Mの圧延実績(ワークロールベンダー2を制御しない場合の形状計3による複数の被圧延材の形状測定結果)に基づいて被圧延材Mの形状(圧延方向の形状分布)を予測し、該形状予測値をうまく修正できるように決定すればよい。
図6は、炭素含有量が0.02重量%未満の極低炭素鋼、炭素含有量が0.1重量%以上0.2重量%以下の中炭素鋼、引張り強さが60kg/cm以上の高張力鋼からなる各被圧延材Mについて、それらの板厚と、ワークロールベンダー2を制御せずに被圧延材Mの圧延方向の適宜の位置で測定した急峻度(被圧延材の先端が巻取り機に巻き取られた後の急峻度)との関係を示すグラフである。図6から分かるように、被圧延材Mの材質や寸法(板厚)に応じて急峻度の変化(圧延方向の形状分布に相当)は傾向が異なり、なお且つ、その急峻度の変化は被圧延材Mの材質や寸法に応じて概ね予測可能である。例えば、板厚の小さい方が中伸びの形状不良が発生し易く、その傾向は、特に高張力鋼からなる被圧延材Mについて顕著であることが分かる。従って、後端部における形状変化が非常に急激である被圧延材Mについては、図6に示すような過去の被圧延材Mの圧延実績に基づき、被圧延材Mの材質や寸法に応じて区分された各グループ毎に被圧延材Mの形状(圧延方向の形状分布)を予測し、該形状予測値をうまく修正できるように、圧延スタンドFj及び第3の制御ゲインG3を決定すればよい。
以上に説明した本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100によれば、後端部における形状変化が急激であるため閉ループ制御では形状修正がうまくできない第1グループに属する被圧延材Mについては、被圧延材Mの後端が予め求めた圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFjを通過するタイミングで(形状計3によって被圧延材Mの後端部における形状不良が検出され始める前に)、閉ループ制御が開ループ制御に切り替えられる。このため、被圧延材Mの後端部における形状変化が非常に急激であったとしても、制御が追いつき、形状修正をうまく行えることが期待できる。
<第3実施形態>
本実施形態に係る熱延鋼板製造装置も、図1に示す第1実施形態に係る熱延鋼板製造装置100や、第2実施形態に係る熱延鋼板製造装置と同様に、熱間圧延機(仕上圧延機)1と、形状制御アクチュエータ(本実施形態ではワークロールベンダー)2と、形状計3と、制御手段4Bと、ランナウトテーブル5と、巻取り機6と、プロセスコンピュータ7とを備えている。
ただし、本実施形態に係る熱延鋼板製造装置は、制御手段4Bの具体的構成及び制御手段4Bが実行する制御方法が、第1実施形態や第2実施形態と異なる。
以下、第1実施形態や第2実施形態と共通する点については適宜説明を省略し、主として第1実施形態や第2実施形態と異なる点について説明する。
図7は、本実施形態の制御手段4Bの具体的構成を概略的に示す模式図である。図8は、図7に示す制御手段4Bが実行する制御方法を概略的に示すフロー図である。
図7に示すように、本実施形態の制御手段4Bも、第2実施形態の制御手段4Aと同様に、先端部用形状解析部41Aと、第1の後端部用形状解析部41Bと、先端部用形状制御部42Aと、第1の後端部用形状制御部42Bと、第2の後端部用形状制御部42Cと、切替部43とを備えている。さらに、本実施形態の制御手段4Bは、第2の後端部用形状解析部41Cと、切替部制御手段44とを備えている。
先端部用形状解析部41Aには、第2実施形態と同様に、形状計3で測定した被圧延材Mの形状が入力される。そして、先端部用形状解析部41Aは、第2実施形態と同様に、形状計3から入力された被圧延材Mの形状に基づき、前述した式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。また、第1の後端部用形状解析部41Bには、第2実施形態の後端部形状解析部41Bと同様に、形状計3で測定した被圧延材Mの形状が入力される。そして、第1の後端部用形状解析部41Bは、第2実施形態の後端部形状解析部41Bと同様に、形状計3から入力された被圧延材Mの形状に基づき、前述した式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。さらに、第2の後端部用形状解析部41Cにも、第1の後端部用形状解析部41Bと同様に、形状計3で測定した被圧延材Mの形状が入力される。そして、第2の後端部用形状解析部41Cは、第1の後端部用形状解析部41Bと同様に、形状計3から入力された被圧延材Mの形状に基づき、前述した式(1)で表される急峻度λ(%)を算出する。
先端部用形状制御部42Aは、第2実施形態と同様に、目標急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第1の制御ゲインG1を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
第1の後端部用形状制御部42Bは、第2実施形態と同様に、急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差に第2の制御ゲインG2を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
切替部制御手段44には、第2の後端部用形状解析部41Cで算出された急峻度λが入力される。また、切替部制御手段44には、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ)が入力される。そして、切替部制御手段44は、目標急峻度λに対する急峻度λの偏差(=λ−λ)を算出し、この偏差が所定値以上である場合には、切替部43を制御する。
第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1よりも大きな値に設定されている。本実施形態の先端部用形状制御部42A及び第1の後端部用形状制御部42Bは、ワークロールベンダー2を閉ループ制御(PI制御)するため、第1の制御ゲインG1及び第2の制御ゲインG2は、比例ゲイン及び積分ゲインから構成されている。従って、第2の制御ゲインG2の比例ゲインは第1の制御ゲインG1の比例ゲインよりも大きな値に設定され、第2の制御ゲインG2の積分ゲインは第1の制御ゲインG1の積分ゲインよりも大きな値に設定されている。
第2の後端部形状制御部42Cは、ワークロールベンダー2を開ループ制御する。第2の後端部用形状制御部42Cには、第1の後端部用形状解析部41Bで算出された急峻度の代表値λr(例えば、被圧延材Mの後端が後述する圧延スタンドFjを通過する直前に形状計3で測定された形状から算出された急峻度)が入力される。また、第2の後端部用形状制御部42Cには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた目標形状(具体的には、目標とする急峻度λ)が入力される。さらに、第2の後端部用形状制御部42Cには、プロセスコンピュータ7から被圧延材Mに応じた第3の制御ゲインG3及び圧延スタンドFjの情報(圧延スタンドFjが何れの圧延スタンドであるのかという情報)が入力される。そして、第2の後端部用形状制御部42Cは、目標急峻度λに対する急峻度λrの偏差(=λr−λ)を算出し、この偏差に第3の制御ゲインG3を適用して、ワークロールベンダー2の操作量を演算する。
切替部43は、プロセスコンピュータ7から入力される被圧延材Mの位置情報(本実施形態では被圧延材Mの後端の位置情報)に基づき、ワークロールベンダー2に先端部用形状制御部42A、第1の後端部用形状制御部42B及び第2の後端部用形状制御部42Cの何れを接続するかを切り替える。つまり、切替部43は、先端部用形状制御部42Aから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御するか)、第1の後端部用形状制御部42Bから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第2の制御ゲインG2で閉ループ制御するか)、或いは、第2の後端部用形状制御部42Cから出力される操作量でワークロールベンダー2を操作するか(ワークロールベンダー2を第3の制御ゲインG3で開ループ制御するか)を切り替えることになる。
また、ワークロールベンダー2に第2の後端部用形状制御部42Cが接続されている際(ワークロールベンダー2を第3の制御ゲインG3で開ループ制御している際)に、切替部制御手段44で算出した偏差が所定値以上になった場合には、切替部制御手段44から切替部43に制御信号が入力される。この制御信号の入力により、切替部43は、ワークロールベンダー2に第1の後端部用形状制御部42Bを接続する。これにより、第1の後端部用形状制御部42Bから出力される操作量でワークロールベンダー2が操作される(ワークロールベンダー2が第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される)ことになる。以下、図8を適宜参照しつつ、切替部43の切替動作について、より具体的に説明する。
第2実施形態と同様に、切替部43には、今回圧延する被圧延材Mが、後端部における形状変化が急激である第1グループに属するか否かの情報が入力される(図8のステップS31)。そして、被圧延材Mが第1グループに属さない(第2グループに属する)場合、切替部43は、第1実施形態と同様の動作を実行し、これにより、第1実施形態と同様の制御方法が実行される(図8のステップS32〜S34)。
一方、被圧延材Mが第1グループに属する場合、切替部43は、第2実施形態と同様に、被圧延材Mの先端を最下流圧延スタンドF7で圧延し始めてから、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過するまでは、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2とを接続する。これにより、ワークロールベンダー2は、第1の制御ゲインG1で閉ループ制御される(図8のステップS35)。そして、切替部43は、第2実施形態と同様に、プロセスコンピュータ7から入力された被圧延材Mの後端の位置情報に基づき、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過するタイミングで、先端部用形状制御部42Aとワークロールベンダー2との接続を、第2の後端部用形状制御部42Cとワークロールベンダー2との接続に切り替える(図8のステップS36)。これにより、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過した後には、ワークロールベンダー2は、第3の制御ゲインG3で開ループ制御される(図8のステップS37)。
ワークロールベンダー2が第3の制御ゲインG3で開ループ制御されている際に、切替部制御手段44から切替部43に制御信号が入力された場合(切替部制御手段44で算出した偏差が所定値以上になった場合)、切替部43は、第2の後端部用形状制御部42Cとワークロールベンダー2との接続を、第1の後端部用形状制御部42Bとワークロールベンダー2との接続に切り替える(図8のステップS38のYes)。これにより、ワークロールベンダー2は、第2の制御ゲインG2で閉ループ制御される(図8のステップS39)。
一方、ワークロールベンダー2が第3の制御ゲインG3で開ループ制御されている際に、切替部制御手段44から切替部43に制御信号が入力されなかった場合(切替部制御手段44で算出した偏差が所定値未満である場合)、切替部43は、第2の後端部用形状制御部42Cとワークロールベンダー2との接続を維持する(図8のステップS38のNo)。これにより、ワークロールベンダー2は、第3の制御ゲインG3で閉ループ制御されたままとなる(図8のステップS40)。
以上に説明した本実施形態に係る熱延鋼板製造装置100によれば、第3の制御ゲインG3でワークロールベンダー2を開ループ制御することによって得られる被圧延材Mの形状(急峻度λ)と目標形状(目標急峻度λ)との差が大きい場合には、第2の制御ゲインG2でワークロールベンダー2を閉ループ制御することになる。このため、第3の制御ゲインG3でワークロールベンダー2を開ループ制御し続けるよりも、目標形状との差を小さくできる可能性がある。
なお、以上に述べた第1〜第3実施形態では、熱延板が熱延鋼板である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、本実施形態と同様の熱間圧延機で製造される他の熱延板(例えばチタン製の熱延板)に適用することもでき、本実施形態で得られたのと同様の効果が得られることが期待できる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
<比較例1>
図1に示すものと同様の熱延鋼板製造装置を用いて、板厚3.0mm、板幅1200mmで、炭素含有量が0.1重量%の中炭素鋼からなる被圧延材Mを圧延した。ただし、制御手段4を機能させずに(ワークロールベンダー2の位置を一定にした状態で)、被圧延材Mを圧延した。
図9は、比較例1の圧延結果を示すグラフである。図9の上側のグラフは、形状計3で測定した被圧延材Mの形状(伸び率差)を示す。図9の下側のグラフは、上側のグラフと同じ時間軸で表示したワークロールベンダー2の位置を示す。
図9に示すように、被圧延材Mの先端が巻取り機6に巻き取られた後は、被圧延材Mに一定の張力が付与されるため、被圧延材の形状は一旦安定する。しかしながら、被圧延材Mの後端が最下流圧延スタンドF7よりも上流に位置する圧延スタンドFi(図9に示す例では圧延スタンドF4)を通過すると、急激に中伸び方向へと形状が変化する。
<比較例2>
制御手段4により、被圧延材Mの全長に対して、ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御(PI制御)した点を除き、比較例1と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。
図10は、比較例2の圧延結果を示すグラフである。図10の上側のグラフは、形状計3で測定した被圧延材Mの形状(伸び率差)を示す。図10の下側のグラフは、上側のグラフと同じ時間軸で表示したワークロールベンダー2の位置を示す。
図10に示すように、ワークロールベンダー2を第1の制御ゲインG1で閉ループ制御することにより、被圧延材Mの先端部の形状不良を低減することは可能である。しかしながら、被圧延材Mの後端部の形状不良(特に、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(図10に示す例では圧延スタンドF4)を通過した後の形状不良)を低減することはできない。
<実施例1>
制御手段4によって、第1実施形態で説明した形状制御方法(被圧延材Mの後端が圧延スタンドFiを通過する直前にワークロールベンダー2の制御ゲインを第1の制御ゲインG1から第2の制御ゲインG2に高める)を実行した点を除き、比較例2と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。なお、第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1の5倍に設定した。
図11は、実施例1の圧延結果を示すグラフである。図11の上側のグラフは、形状計3で測定した被圧延材Mの形状(伸び率差)を示す。図11の下側のグラフは、上側のグラフと同じ時間軸で表示したワークロールベンダー2の位置を示す。
図11に示すように、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFi(図11に示す例では圧延スタンドF4)を通過する直前にワークロールベンダー2の制御ゲインを第1の制御ゲインG1から第2の制御ゲインG2に高めることにより、被圧延材Mの先端部の形状不良のみならず、後端部の形状不良も低減することが可能である。ただし、被圧延材の後端近傍については、若干形状不良が残存している。
図12は、多数の被圧延材Mについて、上記の実施例1及び比較例2と同様の圧延試験を行い、各被圧延材Mの後端部について測定した急峻度の分布を評価した結果を示すグラフである。
図12に示すように、実施例1では、急峻度の平均値(図12の急峻度X)の絶対値及び急峻度の標準偏差(図12の急峻度σ)の双方が、比較例2よりも小さくなる。つまり、実施例1では、比較例2よりも、後端部の形状(急峻度)を平坦に修正できているといえる。
<実施例2>
制御手段4によって、第3実施形態で説明した形状制御方法(被圧延材Mの後端が圧延スタンドFjを通過するタイミングでワークロールベンダー2の制御を第1の制御ゲインG1での閉ループ制御から第3の制御ゲインG3での開ループ制御に切り替え、さらに目標形状に対する偏差に応じて、第3の制御ゲインG3での開ループ制御から第2の制御ゲインG2での閉ループ制御に切り替える方法)を実行した点を除き、実施例1と同様の条件で被圧延材Mを圧延した。なお、第2の制御ゲインG2は、第1の制御ゲインG1の5倍に設定し、第3の制御ゲインG3は、第1の制御ゲインG1の3倍に設定した。
図13は、実施例2の圧延結果を示すグラフである。図13の上側のグラフは、形状計3で測定した被圧延材Mの形状(伸び率差)を示す。図13の下側のグラフは、上側のグラフと同じ時間軸で表示したワークロールベンダー2の位置を示す。
図13に示すように、被圧延材Mの後端が圧延スタンドFiの上流に位置する圧延スタンドFj(図12に示す例では圧延スタンドF3)を通過するタイミングで閉ループ制御から開ループ制御に切り替え、さらに目標形状に対する偏差に応じて高い制御ゲイン(第2の制御ゲインG2)での閉ループ制御に切り替えるため、被圧延材の後端近傍についても、形状不良を効果的に低減できる。
1・・・熱間圧延機(仕上圧延機)
2・・・形状制御アクチュエータ(ワークロールベンダー)
3・・・形状計
4・・・制御手段
5・・・ランナウトテーブル
6・・・巻取り機
7・・・プロセスコンピュータ
100・・・熱延板の製造装置(熱延鋼板製造装置)
F1〜F7・・・圧延スタンド
M・・・被圧延材

Claims (9)

  1. 熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
    少なくとも被圧延材の先端が前記熱間圧延機の下流に設置された巻取り機に巻き取られるまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、
    被圧延材の先端が前記巻取り機に巻き取られてから、前記形状計によって被圧延材の形状不良が検出されるまでの間の所定のタイミングで、前記第1の制御ゲインをこれよりも大きな第2の制御ゲインに切り替え、
    前記所定のタイミング以降は、前記形状制御アクチュエータを前記第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法。
  2. 前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過する以前に設定することを特徴とする請求項1に記載の熱延板の形状制御方法。
  3. 前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、
    前記第1の制御ゲインを前記第2の制御ゲインに切り替えるタイミングを、被圧延材の後端が前記熱間圧延機を構成する最上流圧延スタンドを通過してから、前記予め求めた圧延スタンドを通過するまでの間に設定することを特徴とする請求項1に記載の熱延板の形状制御方法。
  4. 熱間圧延機を構成する複数の圧延スタンドのうち、最下流圧延スタンドに被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータを設置し、前記熱間圧延機の出側に被圧延材の形状を測定する形状計を設置して、予め設定した目標形状が得られるように、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、熱延板の形状を制御する方法であって、
    前記形状計によって被圧延材の後端部における形状不良が検出され始めるのは、被圧延材の後端が前記熱間圧延機の何れの圧延スタンドを通過した以降であるのかを、過去の被圧延材の圧延実績に基づき予め求めておき、
    被圧延材の後端が前記予め求めた圧延スタンドの上流に位置する圧延スタンドを通過するまでは、前記形状制御アクチュエータを第1の制御ゲインで閉ループ制御し、
    被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドを通過した後には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することを特徴とする熱延板の形状制御方法。
  5. 被圧延材の後端が前記上流に位置する圧延スタンドを通過した後、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御している際に、前記形状計で測定した被圧延材の形状と予め設定した目標形状との差が所定値以上の場合には、前記形状制御アクチュエータを第3の制御ゲインで開ループ制御することに代えて、前記形状制御アクチュエータを前記第1の制御ゲインよりも大きな第2の制御ゲインで閉ループ制御することを特徴とする請求項4に記載の熱延板の形状制御方法。
  6. 前記形状計が、非接触式の形状計であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の熱延板の形状制御方法。
  7. 前記形状計が、線状パターンを被圧延材の表面に投影する投影機と、前記投影された線状パターンを撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置で撮像した線状パターンの歪みに基づいて前記被圧延材の形状を測定する構成であって、前記線状パターンの歪みを算出する領域が、検出した前記被圧延材の幅方向エッジに基づいて、前記被圧延材の幅方向の一定位置に設定されるものであることを特徴とする請求項6に記載の熱延板の形状制御方法。
  8. 請求項1から7の何れかに記載の形状制御方法を用いて熱延板を製造することを特徴とする熱延板の製造方法。
  9. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機と、
    前記複数の圧延スタンドのうち最下流圧延スタンドに設置され、被圧延材の形状を修正するための形状制御アクチュエータと、
    前記熱間圧延機の出側に設置され、被圧延材の形状を測定する形状計と、
    前記形状制御アクチュエータを制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記形状計で測定した被圧延材の形状に基づき前記形状制御アクチュエータを制御することで、請求項1から7の何れかに記載の形状制御方法を実行することを特徴とする熱延板の製造装置。
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