JP7323799B2 - 熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機 - Google Patents

熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機 Download PDF

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本発明は、複数の圧延ミルにより鋼板を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板を製造する熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機に関する。
一般に、熱間圧延鋼板の板厚制御方法として、ロールフォース(RF)オートマチックゲージコントロール(AGC)及びモニター(MON)AGCが知られている。RFAGCは、圧延ミルの圧延荷重等の測定値を用いて圧延ミルの位置における鋼板の板厚を算出し、板噛込後から鋼板の計算板厚を一定に保持するように圧延ミルのロールギャップを修正する制御である。MONAGCは、圧延ミルの出側に配置された厚み計により測定される鋼板の測定板厚を目標板厚に近づけるように圧延ミルのロールギャップを修正する制御である。これらRFAGC及びMONAGCが併用されて、熱間圧延鋼板が目標板厚を有するように熱間圧延が行われる。
このような熱間圧延において、鋼板からの受熱により圧延ミルのワークロールが膨張してしまう。このワークロールの熱膨張を考慮せずに熱間圧延を行うと、ロールギャップの制御に誤差が生じることにより、熱間圧延鋼板の板厚に誤差が生じてしまう。数十μmでも熱間圧延鋼板の板厚に誤差が生じることは好ましくない。
例えば下記の特許文献1等には、熱伝導モデルを使用してワークロールの温度分布からワークロールの熱膨張量を算出し、そのワークロールの熱膨張量に基づいて熱間圧延を行うことが提案されている。
特開平8-238515号公報
特許文献1等で提案されているように熱伝導モデルを使用すれば、高精度でワークロールの熱膨張量を算出できるかもしれない。しかしながら、熱伝導モデルに基づくワークロールの熱膨張量の算出は演算負荷が高いので、計算周期を短くして応答性の高い板厚制御を実現することが難しい。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ワークロールの熱膨張変化量の算出に高い演算負荷が求められることを回避でき、より応答性が高い板厚制御を行うことができる熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機を提供することである。
本発明者が種々の検討を行った結果、以下の知見を新たに得た。すなわち、圧延ミルの圧延材通板中のワークロールの熱膨張量変化を考慮せずに、圧延ミルのワークロールの直下における鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミルを制御したところ、ワークロールの直下における鋼板の計算板厚とその圧延ミルの出側における鋼板の板厚との差が圧延時間に従って線形的に増大することが判明した。この差の増大がワークロールの熱膨張変化に対応し、この差の増大を計算板厚の計算式に盛り込むことで、熱間圧延鋼板の板厚の誤差を抑えられることが分った。
本発明に係る熱間圧延鋼板の製造方法は、複数の圧延ミルにより鋼板を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板を製造する熱間圧延鋼板の製造方法であって、圧延ミルのワークロールの直下における鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミルを制御することを含み、少なくとも1つの圧延ミルにおいて、該圧延ミルのワークロールの熱膨張量変化を考慮せずに該圧延ミルの制御を行った際に、ワークロールの直下における鋼板の計算板厚と該圧延ミルの出側における鋼板の板厚との差の時間変化を取得する工程と、差の時間変化を圧延時間に関する一次式で近似する工程と、ワークロールの熱膨張変化量を表す項として一次式を計算板厚の計算式に追加して、一次式が追加された計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミルを制御する工程とを含み、差の時間変化を取得する工程と、一次式が追加された計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミルを制御する工程とは、互いに異なる鋼板において行われる
本発明に係る圧延機は、鋼板を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板を製造するための圧延機であって、複数の圧延ミルと、圧延ミルのワークロールの直下における鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミルを制御する制御装置とを備え、制御装置の制御モードには、少なくとも1つの圧延ミルにおいて、該圧延ミルのワークロールの熱膨張量変化を考慮せずに該圧延ミルの制御を行い、ワークロールの直下における鋼板の計算板厚と該圧延ミルの出側における鋼板の板厚との差の時間変化を取得して、差の時間変化を圧延時間に関する一次式で近似するための第1モードと、ワークロールの熱膨張変化量を表す項として一次式を計算板厚の計算式に追加して、一次式が追加された計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミルを制御する第2モードとが含まれており、第1モードと第2モードとは、互いに異なる鋼板において行われる
本発明の熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機によれば、ワークロールの熱膨張変化量を表す項として一次式を用いるので、ワークロールの熱膨張変化量の算出に高い演算負荷が求められることを回避でき、より応答性が高い板厚制御を行うことができる。
本発明の実施の形態による熱間圧延鋼板の製造方法を実施するための圧延機を示す構成図である。 図1の制御装置が第1モードで圧延ミルの制御を行った際の圧延ミルのワークロールの直下における鋼板の計算板厚とその圧延ミルの出側における鋼板の板厚との差の時間変化を示すグラフである。 本実施の形態の熱間圧延鋼板の製造方法を示すフローチャートである。 比較例における熱間圧延鋼板の板厚変化を示すグラフである。 実施例における熱間圧延鋼板の板厚変化を示すグラフである。 比較例における熱間圧延鋼板の尾端部の板厚偏差と実施例における熱間圧延鋼板の尾端部の板厚偏差との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1は、本発明の実施の形態による熱間圧延鋼板の製造方法を実施するための圧延機1を示す構成図である。図1に示す圧延機1は、鋼板2を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板3を製造するための装置である。図1に示す圧延機1は、仕上圧延機と呼ばれることもある。図示はしないが、鋼板2の搬送方向2aに係る圧延機1の上流側には、鋼板2を所定温度まで加熱する加熱炉と、加熱された鋼板2の粗圧延を行う粗圧延機とが設けられていることがある。また、鋼板2の搬送方向2aに係る圧延機1の下流には、熱間圧延鋼板3をコイル状に巻き取る巻取機が設けられていることがある。鋼板2は、粗圧延機により粗圧延されたホットバーと呼ばれることもある。
図1に示すように、圧延機1には、複数の圧延ミル4、複数の厚み計5及び制御装置6が含まれている。
圧延ミル4は、鋼板2の搬送方向2aに沿って並べて配置されている。各圧延ミル4を区別して説明する場合、各圧延ミル4を搬送方向2aに係る上流側から第1~第7圧延ミル4-1~4-7とそれぞれ呼ぶ。
各圧延ミル4は、鋼板2に接触する上下一対のワークロール4aと、各ワークロール4aを支える上下一対のバックアップロール4bとを有している。第4~第7圧延ミル4-4~4-7は、ワークロール4aとバックアップロール4bとの間に介在された上下一対の中間ロール4cをさらに有している。各圧延ミル4のロール構成は図1の態様に限定されず、すべての圧延ミル4が中間ロール4cを有するか又は有しなくてもよい。
ワークロール4a間を通過される際に鋼板2が圧延される。各圧延ミル4は、バックアップロール4bを介してワークロール4aに加えられる圧延荷重が調整可能に構成されている。また、各圧延ミル4は、ワークロール4a間のロールギャップが調整可能に構成されている。
厚み計5は、鋼板2の搬送方向2aに係る圧延ミル4の出側に配置されており、圧延ミル4の出側における鋼板2の板厚を測定することができる。厚み計5は、例えばX線厚み計等の機器によって構成され得る。厚み計5は、設置位置に応じて、幅方向中央における鋼板2の板厚及び/又は幅方向端部における鋼板2の板厚を測定することができる。本実施の形態の圧延機1では、第4圧延ミル4-4、第6圧延ミル4-6及び圧延ミル4-7の出側に厚み計5が配置されている。他の圧延ミル4の出側に厚み計5が配置されていてもよい。
例えば第5圧延ミル4-5等の出側に厚み計5が配置されていない圧延ミル4の出側における鋼板2の板厚は、各圧延ミル4を通過する単位時間当たりの鋼板2の体積が一定であることに基づき、下記の式(1)を用いて算出することもできる。
a=(Hb・Vb)/Va ・・・式(1)
ここで、算出対象であるHaは特定の圧延ミルの出側における鋼板2の板厚(mm)であり、Vaはその特定の圧延ミルにおける鋼板2の通板速度(ワークロール4aの周速度)(mm/s)である。また、Hbは基準ミルの出側における鋼板2の板厚(mm)であり、これは、ミル下流部に板厚計を設置しているミルの板厚計測定値とする。Vbはその基準圧延ミルにおける鋼板2の通板速度(mm/s)である。
制御装置6は、各圧延ミル4を制御するための装置である。制御装置6は、例えばプログラムに基づいて演算処理を行うコンピューター又は専用回路等の機器により構成することができる。制御装置6は、例えば鋼板2の鋼種及び目標板厚等の圧延条件に基づいて各圧延ミル4のロールギャップ及び/又は圧延荷重を設定することができる。制御装置6は、各圧延ミル4に対してオートマチックゲージコントロール(AGC)を実行できる。本実施の形態の制御装置6は、第1~第7圧延ミル4-1~4-7に対してAGCを実行する。
制御装置6のAGCモードには、第1モード及び第2モードが設けられている。第1モードは、各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずに各圧延ミル4-1~4-7の制御を行うモードである。第2モードは、各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮に入れた状態で各圧延ミル4-1~4-7の制御を行うモードである。ワークロール4aの熱膨張量変化とは、先端から後端まで鋼板2を圧延する際に鋼板2から受ける熱によって各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aが膨張することを指す。ワークロール4aは、鋼板2からの受熱により樽型に膨張することがある。すなわち、ワークロール4aの軸方向中央部が軸方向端部よりも大きく膨張することがある。
第1及び第2モードの両モードにおいて、本実施の形態の制御装置6は、第1~第7圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚が目標板厚に近づくように第1~第7圧延ミル4-1~4-7を制御する。鋼板2の計算板厚hは圧延ミル4-1~4-7毎に求められ、圧延ミル4-1~4-7毎に制御が行われる。
一方、第1モードと第2モードとは、鋼板2の計算板厚の算出方法において互いに異なる。
第1モードでは、ワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚hが下記の式(2)により求められる。
h=S+(P/M)+d ・・・式(2)
ここで、Sはワークロール4a間のロールギャップ(mm)であり、Pは圧延荷重(Ton)であり、Mはミル定数(Ton/mm)である。ミル定数は各圧延ミル4の上下方向の剛性を示し、P/Mの項によりロールの撓み、ロールの扁平及びハウジングの伸び等を計算板厚hの算出に組み込んでいる。dは、通板中に変動しない外乱要素であり、ワークロール4aの摩耗量や圧延機ガタによるロールギャップへの影響量等を示す項である。
第2モードでは、ワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚hが下記の式(3)により求められる。
h=S+(P/M)+d-F(tRT) ・・・式(3)
ここで、F(tRT)は、式(2)に対して追加された項であり、第1~第7圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの熱膨張変化量の補正項であり、後に詳しく説明するように、F(tRT)は圧延時間tRTに関する一次式である。圧延時間tRTは、各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aに鋼板2が噛み込んだ時点からカウントされる時間である。圧延時間tRTの経過とともにF(tRT)が増大する。F(tRT)は、圧延時間tRTの経過とともに計算板厚hを小さく補正する項として機能する。F(tRT)には上限値が設定されていてもよい。すなわち、圧延時間tが経過してもF(tRT)が増大せずに上限値を維持してもよい。これは、圧延時間が極端に長い材は、ロールが被圧延材より受ける熱量と外部冷却のより失われる熱量とが釣合い、ロールの熱膨張量の時間変化がなくなることによる。
第1モードにおいて各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずに各圧延ミル4-1~4-7の制御を行うとは、第2モードで用いられるF(tRT)を欠いた計算式で算出した鋼板2の計算板厚に基づいて各圧延ミル4-1~4-7の制御を行うことを意味する。
次に、図2は、図1の制御装置6が第1モードで圧延ミル4-7の制御を行った際の圧延ミル4-7のワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚とその圧延ミル4-7の出側における鋼板2の板厚との差GMEの時間変化を示すグラフである。
図2の横軸は圧延ミル4-7の圧延時間(sec)であり、図2の縦軸は圧延ミル4-7のワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚と圧延ミル4-7の出側における鋼板2の板厚との差GMEである。圧延ミル4-7の出側における鋼板2の板厚としては、厚み計5による測定板厚か又は式(1)に基づいて算出される板厚を用いることができる。同様の整理を、圧延ミル4-1~4-6に関しても行う。
制御装置6が第1モードで圧延ミル4-1~4-7の制御を行った際、すなわち各圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずに各圧延ミル4-1~4-7の制御が行われた際、図2に示すように差GMEが圧延時間に従って線形的に増大することが確認できる。
この差GMEを圧延時間に関する一次式で近似することできる。すなわち、以下の式(4)に示す一次式F(tRT)を得ることができる。
F(tRT)=a・tRT ・・・式(4)
式(4)において、tRTは圧延時間(sec)であり、aは単位時間当たりの差GMEの変化量である。この一次式F(tRT)は、差GMEのデータに対して例えば最小二乗法等の近似法を適用することで得ることできる。ただし、板先端については、板厚の修正等による荷重変動が発生し、ミル伸び誤差等の影響を受けるため、近似直線の範囲より除外することが好ましい。
上述の式(3)に現れているように、制御装置6の第2モードでは、ワークロール4aの熱膨張変化量を表す項として一次式F(tRT)が追加された計算式により計算板厚を算出し、その計算板厚を用いて圧延ミル4-1~4-7を制御する。
差GMEは、幅方向中央における鋼板2の板厚の差であってよいし、幅方向端部における鋼板2の板厚の差であってもよい。幅方向端部の差GMEを算出する際に必要な板端部の計算板厚Heについては、簡易的に以下の式で表されることが公知の事実とされている。(第3版鉄鋼便覧III(1)圧延基礎・鋼板、P.54等)
He=hc-Cr=hc-αPP-αCCW-(αC-(B/L)2)RCB-αBJ-Fe(tRT)+d
ここで、hcは板中央部の板厚、Crはクラウン量(hc-He)、Pは圧延荷重、RCWはワークロールクラウン、Bは製品巾、Lはロール幅、RCBはバックアップロールクラウン、Jはベンディング力、Fe(tRT)はエッジ部の熱膨張変化量、dは通板中に変動しない外乱要素である。αP、αB、αCは各影響係数となる。この影響係数については、荷重、ベンディング力、ロールクラウンの条件を変更しながら、冷間オフライン試験にて算出する。差GMEが幅方向中央における鋼板2の板厚の差である場合、幅方向中央における鋼板2の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミル4-1~4-7の制御が行われる。同様に、差GMEが幅方向端部における鋼板2の板厚の差である場合、幅方向端部における鋼板2の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミル4-1~4-7の制御が行われる。幅方向中央における鋼板2の板厚の差GMEによる制御と、幅方向端部における鋼板2の板厚の差GMEによる制御との両方を同時に行ってもよい。
次に、図3は、本実施の形態の熱間圧延鋼板の製造方法を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施の形態の熱間圧延鋼板の製造方法には、時間変化取得工程(ステップS1)、近似工程(ステップS2)及び一次式追加工程(ステップS3)が含まれている。
時間変化取得工程(ステップS1)は、少なくとも1つの圧延ミル4において、その圧延ミル4のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずにその圧延ミル4の制御を行った際に、ワークロール4aの直下における鋼板2の計算板厚とその圧延ミル4の出側における鋼板2の板厚との差GMEの時間変化を取得する工程である。本実施の形態では、第1モードにて第1~第7圧延ミル4-1~4-7の制御を行った際に、各圧延ミル4-1~4-7について差GMEの時間変化を取得する。上述のように、圧延ミル4のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずにその圧延ミル4の制御を行うとは、一次式F(tRT)を欠いた計算式で算出した鋼板2の計算板厚に基づいて各圧延ミル4-1~4-7の制御を行うことを意味する。差GMEの時間変化は、圧延ミル4-1~4-7毎に取得することができる。
近似工程(ステップS2)は、時間変化取得工程で取得した差GMEの時間変化を圧延時間に関する一次式で近似する工程である。一次式F(tRT)=a・tRTを得る。一次式F(tRT)は、圧延ミル4-1~4-7毎に得ることができる。
一次式追加工程(ステップS3)は、ワークロール4aの熱膨張変化量を表す項として一次式F(tRT)を計算板厚の計算式に追加して、一次式F(tRT)が追加された計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミル4-1~4-7を制御する工程である。本実施の形態では、第2モードによる圧延ミル4-1~4-7の制御が行われる。第2モードによる制御は、圧延ミル4-1~4-7毎に行うことができる。
時間変化取得工程(ステップS1)と一次式追加工程(ステップS3)とは、すなわち差GMEの時間変化を取得する工程と一次式が追加された計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミルを制御する工程とは、1つの鋼板2内で実施されてもよいが、互いに異なる鋼板2において行われることが好ましい。これらの工程が異なる鋼板2において行われる場合、時間変化取得工程(ステップS1)では、圧延ミル4-1~4-7のワークロール4aに鋼板2が噛み込んだ時から鋼板2の後端がワークロール4aを抜け出るまでの差GMEの時間変化を取得することが好ましい。異なる鋼板2とは、物理的に分離された鋼板を意味する。異なる鋼板2の鋼種及び目標板厚は同一であることが好ましい。換言すると、一次式追加工程(ステップS3)は、前材以前の差GMEに基づく一次式F(tRT)を利用して行われる。これらの工程が1つの鋼板2内で行われると、差GMEに含まれる誤差により適切な一次式F(tRT)を得ることができない場合がある。これらの工程が異なる鋼板2において行われることで、このような問題の発生を回避できる。
次に、実施例を挙げる。本発明者らは、実施例として、本実施の形態の熱間圧延鋼板の製造方法を適用して熱間圧延鋼板3を製造した。すなわち、ワークロール4aの熱膨張量変化を表す項として上述の一次式F(tRT)を計算板厚の計算式に追加して、一次式F(tRT)が追加された計算式により算出される前記計算板厚を用いて圧延ミル4を制御して熱間圧延鋼板3を製造した。また、その際の圧延長に係る熱間圧延鋼板3の板厚の変化を調査した。また、本発明者らは、比較例として、圧延ミル4のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずに熱間圧延鋼板3を製造するとともに、その圧延長に係る熱間圧延鋼板3の板厚の変化を調査した。
それらの結果を図4及び図5に示す。図4は比較例における熱間圧延鋼板3の板厚変化を示すグラフであり、図5は実施例における熱間圧延鋼板3の板厚変化を示すグラフである。図4及び図5において、横軸は熱間圧延鋼板3の圧延長を表し、縦軸は熱間圧延鋼板3の板厚を表している。図4及び図5では、熱間圧延鋼板3のミドル部(前端と尾端との間の中間部分)から尾端にかけての板厚変化を示している。
図4に示すように、圧延ミル4のワークロール4aの熱膨張量変化を考慮せずに熱間圧延鋼板3を製造した場合、圧延長が延びるにつれて、熱間圧延鋼板3の板厚が板厚目標から離れていった。これは、ワークロール4aの熱膨張量変化により熱間圧延鋼板3の板厚が想定よりも薄くなるためである。一方、図5に示すように、本実施の形態の熱間圧延鋼板3の製造方法を適用して熱間圧延鋼板3を製造した場合、圧延長が延びても、熱間圧延鋼板3の板厚が板厚目標の近傍の値を維持できている。
次に、図6は、比較例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差と実施例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差との関係を示すグラフである。ここで集計した板厚偏差は、尾端部の最小値を使用しており、ロールの熱膨張量が増加し、実ロールギャップが小さくなり、板厚が薄くなる事象の改善効果を評価した図となる。図6では、比較例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差を基準とする、実施例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差の評価を示している。図6に示すように、比較例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差を1とした場合、実施例における熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差は0.74程度まで低くなっていた。すなわち、実施例では、熱間圧延鋼板3の尾端部の板厚偏差を比較例に対して26%程度小さくすることができた。
これらの結果から、本実施の形態の熱間圧延鋼板3の製造方法を適用することで、熱間圧延鋼板3の板厚精度を向上できることが確認できた。
このような熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機では、ワークロール4aの熱膨張変化量を表す項として一次式F(tRT)を用いるので、ワークロール4aの熱膨張変化量の算出に高い演算負荷が求められることを回避でき、より応答性が高い板厚制御を行うことができる。
また、差GMEの時間変化を得る工程と一次式を含む計算式により算出される計算板厚を用いて圧延ミル4-1~4-7を制御する工程とが互いに異なる鋼板2において行われるので、差GMEに含まれる誤差により適切な一次式F(tRT)を得ることができないことを回避することができる。
また、ワークロール4aの熱膨張変化量を表す項、すなわち一次式F(tRT)に上限値が設定されているので、圧延時間が長い材料でも、適切にロールの熱膨張変化量を推測できる。
また、差GMEが幅方向中央における鋼板2の板厚の差であり、幅方向中央における鋼板2の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミル4-1~4-7の制御を行うので、幅方向中央における鋼板2の板厚をより確実に目標板厚とすることができる。
また、差GMEが幅方向端部における鋼板2の板厚の差であり、幅方向端部における鋼板2の計算板厚が目標板厚に近づくように圧延ミル4-1~4-7の制御を行うので、幅方向端部における鋼板2の板厚をより確実に目標板厚とすることができる。
2 鋼板
3 熱間圧延鋼板
4 圧延ミル
4a ワークロール

Claims (5)

  1. 複数の圧延ミルにより鋼板を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板を製造する熱間圧延鋼板の製造方法であって、前記圧延ミルのワークロールの直下における前記鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように前記圧延ミルを制御することを含み、
    少なくとも1つの前記圧延ミルにおいて、該圧延ミルのワークロールの熱膨張量変化を考慮せずに該圧延ミルの制御を行った際に、前記ワークロールの直下における前記鋼板の計算板厚と該圧延ミルの出側における前記鋼板の板厚との差の時間変化を取得する工程と、
    前記差の時間変化を圧延時間に関する一次式で近似する工程と、
    前記ワークロールの熱膨張変化量を表す項として前記一次式を前記計算板厚の計算式に追加して、前記一次式が追加された計算式により算出される前記計算板厚を用いて前記圧延ミルを制御する工程と
    を含
    前記差の時間変化を取得する工程と、前記一次式が追加された計算式により算出される前記計算板厚を用いて前記圧延ミルを制御する工程とは、互いに異なる鋼板において行われる、
    熱間圧延鋼板の製造方法。
  2. 前記ワークロールの熱膨張変化量を表す項には上限値が設定されている、
    請求項1に記載の熱間圧延鋼板の製造方法。
  3. 前記差は、幅方向中央における前記鋼板の板厚の差であり、
    幅方向中央における前記鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように前記圧延ミルの制御を行う、
    請求項1又は請求項2に記載の熱間圧延鋼板の製造方法。
  4. 前記差は、幅方向端部における前記鋼板の板厚の差であり、
    幅方向端部における前記鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように前記圧延ミルの制御を行う、
    請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の熱間圧延鋼板の製造方法。
  5. 鋼板を熱間圧延することにより熱間圧延鋼板を製造するための圧延機であって、
    複数の圧延ミルと、
    前記圧延ミルのワークロールの直下における前記鋼板の計算板厚が目標板厚に近づくように前記圧延ミルを制御する制御装置と
    を備え、
    前記制御装置の制御モードには、
    少なくとも1つの前記圧延ミルにおいて、該圧延ミルのワークロールの熱膨張量変化を考慮せずに該圧延ミルの制御を行い、前記ワークロールの直下における前記鋼板の計算板厚と該圧延ミルの出側における前記鋼板の板厚との差の時間変化を取得して、前記差の時間変化を圧延時間に関する一次式で近似するための第1モードと、
    前記ワークロールの熱膨張変化量を表す項として前記一次式を前記計算板厚の計算式に追加して、前記一次式が追加された計算式により算出される前記計算板厚を用いて前記圧延ミルを制御する第2モードと
    が含まれており
    前記第1モードと前記第2モードとは、互いに異なる鋼板において行われる、
    圧延機。
JP2019183099A 2019-10-03 2019-10-03 熱間圧延鋼板の製造方法及び圧延機 Active JP7323799B2 (ja)

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