JPS649086B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はホツトストリツプミルにおいて、圧
延の途中で発生したキヤンバーの早期発見と迅速
適確な修正を図るキヤンバー防止方法に関する。

ホツトストツプ圧延の途中において、鋼材にキ
ヤンバー（曲り）が発生する事例は屡々経験され
るが、特にタンデムミルの場合にはキヤンバーに
よりロールの噛み込み不良等が発生してトラブル
となる。

キヤンバーの生じた鋼材は、例えば第１図の平
面図に示す如き形状となり、キヤンバー量は鋼材
１の中心線３とその両端Ａ，Ｂを結ぶ直線２との
間の最大距離ｃで示され、曲り内側の板厚は外側
の板厚より厚くなつている。

このキヤンバーの修正は従来次のように行われ
ていた。まずキヤンバー発生の有無の検知は、目
視または仕上圧延機出口に設けたキヤンバー計に
よる測定で行われる。そしてキヤンバーが発生し
たときには、仕上スタンドの左右のレベリングを
変えてキヤンバーのために厚目となつた曲りの内
側の圧下量を外側より大となして圧延し、鋼材左
右両側の伸び率の違いによりキヤンバーを修正す
る方法で行われる。また上記スタンドのレベリン
グの修正は、スタンド左右の圧延荷重の測定値に
基いて行われる。これは圧延時の板厚偏差（△
ｈ）が通常次式△ｈ＝Ｐ／Ｋ＋S₀−ｈ（但しＰ：圧延 荷重、Ｋ：ミル剛性係数、S₀：無負荷時のロール
間隙、ｈ：目標の板厚）で求められるので、上式
において、Ｋ，ｈを定数とすれば圧延荷重Ｐの測
定値を代入して△ｈを零とする場合のS₀を求めれ
ば、△ｈを零に修正できる。従つてスタンド左右
の圧延荷重を測定し、それぞれ上式から△ｈを零
とするS₀値を求めれば、レベリングの修正値は算
出される。しかもこの方法は、厚み計で板厚差を
測定する方法に較べて応答速度が速いという利点
があるので、タンデムミルでは好んで用いられて
いる。

しかし上記従来の方法は、ロードセルの誤差及
び圧延機自体の特性の違い等により測定誤差の生
じ易い欠点があつて、キヤンバーを零とするよう
な適確なキヤンバーの修正は不可能であつた。

また近時、省エネルギー対策の一環として連続
鋳造鋳片を熱間のまま直接ホツトストリツプミル
に通して圧延する方法（以下直接圧延という）に
関するテストが行われている。この方法では圧延
工程と連続鋳造工程とが直結されるため、従来熱
延工程で一般に行われているパターン圧延、すな
わちロール摩耗の圧延に対する影響度を考慮して
予め材料を板厚、板巾別に分類しておき、例えば
材料板厚の厚い方から薄い方へ、或いは板巾の広
い方から狭い方へと一定のパターンに従つて圧延
してロール寿命の延命を図る方法、をとることが
できない。従つて直接圧延ではロール摩耗の増大
が予想されるが、その圧延への影響力を如何に軽
減するかが問題となつてくる。上記テスト結果に
よると、直接圧延に対してはロールの摩耗による
キヤンバーの頻発が最大の阻害要因であることが
判明した。従つて直接圧延を実施するためには、
キヤンバーの早期発見とともに確度の高いキヤン
バーの修正技術の確立が必須条件となるので、対
策が望まれていた。

本発明は上記に鑑みてなされたものであつて、
ホツトストリツプミルにおいて圧延の途中で発生
した鋼材のキヤンバーの早期発見と迅速適確な修
正を図り得る鋼板のキヤンバー防止方法の提供を
目的とするものである。

すなわち本発明は、熱間圧延ラインにおいてバ
ーチカルスケールブレーカ（以下VSBという）
出口にキヤンバー計を、粗圧延機出口及び仕上圧
延機出口にキヤンバー計、巾方向厚み計、巾方向
温度計を、仕上圧延機の各スタンド間にキヤンバ
ー計をそれぞれ設け、またVSBと粗圧延機間に
鋼材の巾方向押圧用のプレス装置を設けるととも
に、前記キヤンバー計、巾方向厚み計、巾方向温
度計での測定結果に基き前記プレス装置、圧延機
各スタンドのレベリング調整機構が機能するよう
制御する制御器を付設して、VSB出口キヤンバ
ー計での測定結果に基く制御値をプレス装置にフ
イードフオワードし、粗圧延機出口のキヤンバー
計、巾方向厚み計、巾方向温度計での測定結果に
基く制御値を仕上圧延機にフイードフオワードす
るとともに粗圧延機にフイードバツクし、仕上圧
延機各スタンド間のキヤンバー計での測定結果に
基く制御値を次スタンドにフイードフオワード
し、仕上圧延機出口のキヤンバー計、巾方向厚み
計、巾方向温度計での測定結果に基く制御値を仕
上圧延機にフイードバツクして、それぞれ鋼材に
発生したキヤンバーを修正することを特徴とする
鋼板のキヤンバー防止方法を要旨とする。

本発明者らは前述の直接圧延を想定して、圧延
を支障を及ぼさないようなキヤンバーの早期発見
ならびにキヤンバー量を零にできる適確な修正を
迅速に行える法について鋭意調査研究を重ねた。
その結果、まず早期発見については、VSB段
階でのキヤンバーの検知が必要なこと、粗圧延
段階では出口での検知で十分なこと、仕上圧延
段階では各スタンド間と出口での検知が必要なこ
とが分つた。またキヤンバー修正の方法について
は、VSB段階でのキヤンバーにはVSBと粗圧
延機関でのプレスによる修正が必要であること、
圧延段階でのキヤンバーについては、キヤンバ
ー量の測定だけでなく、鋼材の圧延時の変形抵抗
に関連のある巾方向の厚み差、巾方向温度差の測
定が必要で、これらの測定値に基いてミルのレベ
リング修正量を算出して該修正量に基いてスタン
ド左右のロール間隙を設定して圧延すれば適確な
キヤンバーの修正が行えることが分つた。なお、
上記レベリング修正量の算出は、鋼材の品種毎に
キヤンバー量、巾方向の厚み差、巾方向の温度差
等を種々に変えた試料について各スタンド毎の所
要のレベリング修正量のモデルを予め準備し、制
御器に記憶させておいて、これらのオンラインで
の実測値を上記モデルに当嵌めて計算することに
より、所要の迅速な応答速度で行うことができる
ことも判明した。

以下図面に基いて本発明方法を詳細に説明す
る。

第２図はホツトストツプミルラインのVSBか
ら巻取機までの間において、本発明方法を実施す
るに適したプレス装置、各種計器、制御器等の配
置の一例を示した説明図である。

図において、５はVSB、６は粗圧延機、７は
仕上圧延機、８は巻取機である。９はVSB５と
粗圧延機６間に設けたプレス装置である。VSB
５出口にはキヤンバー計１０₁が、粗圧延機６出
口にはキヤンバー計１０₂、巾方向厚み計１１₁、
巾方向温度計１２₁が、また仕上圧延機７出口に
は同じくキヤンバー計１０₃、巾方向厚み計１１
_２、巾方向温度計１２₂が設けられるとともに、仕
上圧延機各スタンドF₁〜F₇間にはそれぞれキヤ
ンバー計１０₄〜１０₉が設けられている。また
VSB５、粗圧延機６、仕上圧延機７にそれぞれ
制御器１３₁，１３₂，１３₃が付設され、該制御
器と各計器類、プレス装置または圧延機の各スタ
ンド間には所要の制御回路が形成されている。

第３図は搬送ラインＬに沿い両側に配置したプ
レス装置９，９の要部とプレスしようとするスラ
ブ１４₁との関係を部分的に詳細に示した平面図
であつて、１５は油圧シリンダ、１６はシリンダ
１５のピストンロツド、１７はピストンロツド１
６の先端に取替自由に支軸１８，１８に搬送ライ
ンと平行に取付けたプレスヘツダーであり、必要
に応じてヘツダー長さｌの異なるものと取替える
ことができる。

まず、VSB５でキヤンバーが発生したときに
は、キヤンバー計１０₁での実測値に基く制御値
を制御器１３₁からプレス装置９にフイードフオ
ワードするとともに、スラブをプレス装置９内に
一旦停止せしめ、前記制御値に基く所要の油圧を
働かせてプレスヘツダー１７，１７で両側からス
ラブを押圧し、第３図に示す実線形状のスラブ１
４₁を破線の形状１４₂となしてキヤンバーを修正
する。

粗圧延の間に発生したキヤンバーに対しては、
粗圧延機６出口のキヤンバー計１０₂、巾方向厚
み計１１₁、巾方向温度計１２₁での実測値に基く
仕上圧延機F₁スタンドのレベリング修正値を制
御器１３₂で計算してF₁にフイードフオワードし、
前記修正値に基いてF₁スタンドのレベリングを
修正して上記粗圧延で発生したキヤンバー量を零
となすような圧延をF₁スタンドで行う。また次
材に対処するため粗圧延機スタンドR₂またはR₃
に対するレベリング修正値を計算してそれぞれフ
イードバツクする。

次に仕上圧延の間に発生したキヤンバーに対し
ては、キヤンバー計１０₄〜１０₉での各実測値に
基いてその都度制御器１３₃で次スタンドのレベ
リング修正値を計算してフイードフオワードして
キヤンバーの修正を行わしめるとともに、次材に
対処するため出口のキヤンバー計１０₃、巾方向
厚み計１１₂、巾方向温度計１２₂での実測値に基
く各スタンドでのレベリング修正値を計算して各
スタンドF₁〜F₇にフイードバツクする。

次に本発明の実施例について説明する。

第２図に示した本発明方法を実施する装置を用
いて、厚さ265mm×巾1270mm×長さ9500mmのスラ
ブをVSB５に通した後、厚さ35mm×巾1250mmに
粗圧延し、ひきつづいて厚さ3.2mm×巾1230mmに
仕上圧延する熱間圧延を行い、上記工程中に生じ
たキヤンバーの修正を行つた。

まず、VSBを通る間にキヤンバー量が50mmの
キヤンバーがキヤンバー計１０₁で実測されたの
で、プレス装置９内で一旦スラブを停止させると
ともに長さ10mのプレスヘツダー１７，１７を作
動させて、上記キヤンバー実測値による制御値に
基き押圧量を片側で25mm両側で50mmとし、圧下力
を500Tとして押圧した結果、上記キヤンバーは
適確に修正され、キヤンバー量が零の第３図の破
線で示したスラブ１４₂が得られた。

次いで上記キヤンバーの無いスラブを粗圧延し
た後出口キヤンバー計１０₂、巾方向厚み計１１
_１、巾方向温度計１２₁での各実測値が、キヤンバ
ー量が零、巾方向厚み差が零、巾方向温度差が30
℃であつたので、これらの実測値に基く仕上圧延
機F₁スタンドのレベリング修正値を計算した結
果、上記巾方向温度差によつて0.3mmのレベリン
グ修正を要するという制御値を得た。この値に基
いてF₁のレベリング修正を行い圧延した結果キ
ヤンバー量を零とする圧延ができた。

以後の仕上圧延機通過の間は、各スタンド間の
キヤンバー計１０₄〜１０₉でのキヤンバー量の実
測値に基いて適宜キヤンバーの修正が行われて、
キヤンバーによる噛み込み不良の事故も無く、仕
上圧延機出口での実測ではキヤンバー量が零の所
要寸法の圧延材を得ることができた。

以上述べた如く、本発明の鋼板のキヤンバー防
止方法は、VSB、粗圧延、仕上圧延でのキヤン
バーの早期発見を可能とするとともに、VSB段
階でのキヤンバーをプレス装置により修正し、圧
延段階でのキヤンバーを従来のキヤンバー量ばか
りでなく巾方向厚み差、巾方向温度差を加味して
迅速適確に修正するようにしたので、キヤンバー
による圧延作業性、品質の低下が防止されるとと
もに、キヤンバーに基く阻害要因が解消されて直
接圧延方法の導入が可能となるので、熱延鋼板製
品の品質向上、コストの低減に大きく寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図はキヤンバーを生じた鋼材の平面図、第
２図はホツトストリツプミルラインにおいて本発
明方法を実施するに適したプレス装置、各種計
器、制御器等の配置の一例を示した説明図、第３
図は本発明のプレス装置の要部とスラブの関係を
示す平面図である。 １：鋼材、２：直線、３：中心線、５：VSB、
６：粗圧延機、７：仕上圧延機、８：巻取機、
９：プレス装置、１０₁〜１０₉：キヤンバー計、
１１₁，１１₂：巾方向厚み計、１２₁，１２₂：巾
方向温度計、１３₁〜１３₃：制御器、１４₁，１
４₂：スラブ、１５：油圧シリンダ、１６：ピス
トンロツド、１７：プレスヘツダー、１８：支
軸、R₁〜R₃：粗圧延機スタンド、F₁〜F₇：仕上
圧延機スタンド。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱間圧延ラインにおいて、バーチカルスケー
   ルブレーカ出口にキヤンバー計を、粗圧延機出口
   および仕上圧延機出口にキヤンバー計、巾方向厚
   み計、巾方向温度計を、仕上圧延機の各スタンド
   間にキヤンバー計をそれぞれ設け、またバーチカ
   ルスケールブレーカと粗圧延機間に鋼材の巾方向
   押圧用のプレス装置を設けるとともに、前記キヤ
   ンバー計、巾方向厚み計、巾方向温度計での測定
   結果に基き前記プレス装置、圧延機各スタンドの
   レベリング調整機構が機能するよう制御する制御
   器を付設し、バーチカルスケールブレーカ出口の
   キヤンバー計での測定値に基く制御値を前記プレ
   ス装置にフイードフオワードし、粗圧延機出口の
   キヤンバー計、巾方向厚み計、巾方向温度計での
   測定結果に基く制御値を仕上圧延機にフイードフ
   オワードするとともに粗圧延機にフイードバツク
   し、仕上圧延機各スタンド間のキヤンバー計での
   測定結果に基く制御値を次スタンドにフイードフ
   オワードし、また仕上圧延機出口のキヤンバー
   計、巾方向厚み計、巾方向温度計での測定結果に
   基く制御値を仕上圧延機にフイードバツクして鋼
   材に発生したキヤンバーを修正することを特徴と
   する鋼板のキヤンバー防止方法。