JP6330780B2 - 鋼材の製造方法および鋼材用熱処理設備 - Google Patents

鋼材の製造方法および鋼材用熱処理設備 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材の製造方法および鋼材用熱処理設備に関する。
従来、大型の構造物には、造塊法等により得られた極厚鋼材が用いられることがある。このような鋼材を用いる際、鋼材内の位置による強度および靭性のばらつきをできるだけ抑制しておく必要がある。
例えば、特許文献1では、Cを0.3質量%以上、Siを0.2質量%以上およびPを0.01質量%以上含有する鍛鋼ロールの製造方法であって、溶鋼にBiを添加して、Bi含有率が10質量ppm以上で100質量ppm以下であるインゴットを造塊法で鋳造し、インゴットを鍛造してロールを製造することを特徴とする鍛鋼ロールの製造方法が開示されている。この特許文献1の技術によれば、溶鋼にBiを添加して、鋳造したインゴットにBiを微量(10ppm以上)に含有させることにより、デンドライト組織を微細化し、ゴースト偏析の発生を抑制することが可能である。
その他の技術としては、鋼材内の強度および靭性にばらつきが生じる部位について、スラブまたは鋼材の該当部分を切り捨てて使用することもなされている。
特開2012−107307号公報
特許文献1に記載の技術では、鋼の成分組成が限定されることとなる。しかしながら、鋼材内の強度および靭性のばらつきを抑制するための鋼材の成分組成の限定はしない技術も希求されている。この点、前述したように、製造過程において鋼材やスラブの一部を切り捨てて使用する方法では鋼材の成分組成は限定されないが、製造過程において鋼スラブの一部を切り捨てて使用することは、歩留まりの低下を生じ、また、鋼材やスラブの一部を切り捨てるだけでは鋼材内の強度および靭性を十分に抑制できない場合がある。さらに、鋼材やスラブの切捨て位置や切捨て量の決定などが必要になり、製造効率の低下を招く。特に、スラブの製造方法として造塊法を用いる場合、成分の偏析に起因する鋼材内の強度および靭性にばらつきが生じやすい。
そこで、本発明は、製造効率を低下させずに鋼材内の強度および靭性のばらつきを抑制する鋼材の製造方法および鋼材用熱処理設備を提供することを主目的とする。
本発明者らは、従来の造塊法を用いて製造する極厚鋼材等の鋼材の圧延後の熱処理方法では、鋼材を熱処理する熱処理設備が適用されている点に着目した。
一般に、大型の構造物に用いられる鋼材は、造塊法等で製造されたスラブを熱間圧延し、その後焼戻しのための熱処理を経て製造される。造塊法で得られる造塊スラブの場合は、凝固時に生じる偏析により、スラブトップとスラブボトムの成分含有量が異なることがある。造塊スラブから製造された鋼材の先端部と尾端部では、前記の成分偏析に起因して、鋼材の材質、特に強度および靭性に差が生じることがある。このとき、鋼材の材質の規格範囲をはずれ、所望の用途に適用することができない場合がある。
一方で、強度、靭性、成分および熱処理設定温度の間には相関関係があり、適正な温度で熱処理を行うと、所望の材質を得ることができる。そのため、熱処理の温度を鋼材の長手方向で変え、鋼材の先端部と尾端部を異なる温度で熱処理することが出来れば、長手方向で成分含有量の差が生じていても、強度および靭性を均一化することができる可能性がある。
そこで、前記熱処理設備での熱処理温度を制御することにより、鋼材内の強度および靭性を精度良く調整できることを知見した。より具体的には、本発明者らは、この熱処理設備の長手方向に設けられた複数のゾーンでの各熱処理温度を制御することにより、製造効率を低下させずに、鋼材内の強度および靭性を調整できることを知見した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]熱間圧延後の鋼材の成分を分析して成分偏析情報を得る成分分析工程と、
前記成分偏析情報に基づいて、前記鋼材の所定位置毎の熱処理温度を決定する熱処理温度決定工程と、
前記所定位置毎に決定された熱処理温度で前記鋼材を熱処理する熱処理工程と、
を含む鋼材の製造方法。
[2]前記鋼材の成分偏析情報は、前記鋼材の長手方向の成分量の差の情報であり、
前記所定位置毎に決定された熱処理温度は、前記鋼材の長手方向の所定位置の熱処理温度である[1]に記載の鋼材の製造方法。
[3]前記成分偏析情報は、前記鋼材の炭素当量の情報である[1]または[2]に記載の鋼材の製造方法。
[4]前記鋼材は、造塊法により得られた鋼スラブを熱間圧延して得られたものである[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼材の製造方法。
[5]前記鋼材は、厚み80mm以上の極厚鋼材である[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼材の製造方法。
[6]鋼材の成分を分析して成分偏析情報を得る成分分析部と、
個別に熱処理温度の設定が可能な複数のゾーンを有し、前記鋼材を熱処理する熱処理部と、
前記成分偏析情報に基づいて、前記ゾーン毎の熱処理温度を決定する熱処理温度決定部と、
を備える鋼材用熱処理設備。
なお、鋼材の長手方向とは、鋼材の圧延方向を指し、成分分析工程の際に鋼材が搬送されてくる方向のことを指す。そして、この方向の先端部は成分含有量過多となりやすいスラブトップに対応し、もう一方の端部である尾端部は成分含有量過少となりやすいスラブボトムに対応する。
また、造塊法とは、鋳型に溶鋼を流し込み鋳塊(インゴット)を造る鋳造方法のことを指す。
また、ゾーンとは、熱処理部が有する領域であり、鋼材が搬送される方向(鋼材の長手方向)に形成された、個別に異なる熱処理温度の設定が可能な領域のことを指す。
本発明によれば、製造効率を低下させずに内部の強度および靭性のばらつきを抑制した鋼材を得ることができる。
本発明の鋼材用熱処理設備の概念図である。 本発明の鋼材の製造方法を説明するためのフロー図である。
以下、本発明の鋼材の製造方法および鋼材用熱処理設備について、図1および図2を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の鋼材用熱処理設備1(以下、単に熱処理設備1とも記す。)の概念図である。熱処理設備1は、鋼材100の成分を分析する成分分析部2と、成分分析部2の結果に基づいて鋼材の熱処理温度を決定する熱処理温度決定部3と、熱処理温度決定部3で決定された熱処理温度に基づいて鋼材を熱処理する熱処理部4を有する。熱処理部4はそれぞれ独自に温度設定することが可能な複数のゾーン41、42、43、44、45に区切られている。熱処理設備1に搬入された鋼材100は、所定の時間をかけて熱処理設備1内を移動し、熱処理される。
ここで、鋼材100に対して行われる熱処理は、熱間圧延後の焼戻しに相当する。前述したように、造塊スラブから製造された鋼材の場合、成分偏析に起因する成分含有量の差から、鋼材の先端部および尾端部の材質、特に強度および靭性に差が生じることがある。熱処理を同じ温度で実施した場合、鋼材の先端部および尾端部の材質の差は解消されない。
しかし、成分含有量に応じた熱処理を行うことにより、鋼材の先端部および尾端部の材質の差を解消して、均質な材質を持つ鋼材を得ることが可能になる。
例えば、図1に示すように、ゾーン41が予熱帯に対応し、ゾーン42、43が加熱帯に対応し、ゾーン44、45が均熱帯に対応する。そして、ゾーン44、45において、鋼材の成分含有量に応じた所定の熱処理温度で熱処理を行うことができる。
なお、図1では、複数のゾーンについては、5つのゾーン41、42、43、44、45を例に挙げているが、5つに限定はされない。
図2は、本発明の鋼材の製造方法を説明するためのフロー図である。
図2に示すように、本発明の鋼材の製造方法では、熱間圧延後の鋼材100の成分を分析し、鋼材100内の成分の偏析を把握する成分分析工程(ステップS1)と、この成分分析工程により得られた鋼材100の成分偏析情報に基づいて、鋼材100の所定位置毎の熱処理温度を決定する熱処理温度決定工程(ステップS2)と、この所定位置毎に決定された熱処理温度で鋼材100を熱処理する熱処理工程(ステップS3)と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の鋼材の製造方法では、造塊法により鋳造した鋼材を用いることができる。
本発明の鋼材の製造方法では、鋼材100内部で成分偏析が発生しやすい造塊法を用いても、製造効率の低下を抑制しつつ、鋼材100内部の強度および靭性のばらつきを低減することができる。より具体的に説明すると、まず、造塊法で得られる造塊スラブは、凝固時に生じる偏析により、スラブトップとスラブボトムの成分含有量が大きく異なることがある。図1の鋼材100の符号X1で示される先端部の領域がスラブトップに対応し、符号X2で示される尾端部の領域がスラブボトムに対応するので、以下では鋼材100のスラブトップに相当する部分を先端部X1、スラブボトムに相当する部分を尾端部X2と呼ぶことにする。先端部X1側が正偏析と呼ばれる成分含有量過多となり、尾端部X2側が負偏析と呼ばれる成分含有量過少となる。そして、成分偏析に起因して、先端部X1と尾端部X2とで材質、特に強度および靭性が異なることがあり、その結果、製品の規格範囲をはずれ、所望の用途に適用することができない場合があった。
上記の事態を回避するために、スラブトップおよびスラブボトムの一部、または鋼材の先端部X1および尾端部X2の一部を切り捨てる方法を採用すると、歩留まりの低下を生じる。また、スラブの一部または鋼材の一部を切り捨てても、鋼材内部での成分含有量差を解消できない場合がある。さらに、切り捨てる工程が追加された場合、製造効率を下げることになる。
本発明では、このような成分含有量差が生じた先端部X1および尾端部X2を有する鋼材100に対して、成分含有量に応じた温度で熱処理を行うため、鋼材100内部の強度および靭性のばらつきを抑制することができる。
鋼材100の製造方法では、例えば所定の成分の溶鋼を溶製した後、造塊法により鋳造して造塊スラブを製造した後、該造塊スラブを加熱し、所定の板厚に熱間圧延して鋼材100を得ることができる。
鋼材100の成分は特に限定されないが、例えば、質量%で、C:0.10〜0.17%、Si:0.10〜0.40%、Mn:1.00〜1.50%、P:0.01%以下、S:0.002%以下、Cu:0〜0.40%、Ni:0〜4.0%、Cr:0〜1.50%、Mo:0〜1.00%を含有し、その他Feおよび不可避的不純物からなる成分組成とすることができる。なお、必要に応じて、上記以外の成分として、Nb、Ti、V、B、Caの中から選ばれる1種類以上の元素を、合計で0.5%を上限に含有してもよい。
本発明の鋼材の板厚は、特に限定されないが、極厚鋼材を対象とすることが好ましく、具体的には、80mm以上の厚みを有する鋼材を用いても、内部の強度および靭性のばらつきを精度良く低減させることができる。
以下、本発明の鋼材の製造方法を構成する成分分析工程、熱処理温度決定工程、熱処理工程について順に説明する。なお、成分分析工程、熱処理温度決定工程および熱処理工程の前には、鋼材100を溶製した後、鋳造し、加熱し、次いで得られる鋼材100を熱間圧延しておくことが好ましい。
[成分分析工程]
本発明の鋼材の製造は、図2のフローにしたがって行われる。まず、成分分析部2により熱間圧延後の鋼材100の成分分析を行って、鋼材100の成分偏析状況を把握する(ステップS1)。ここで分析する成分としては、特に限定されないが、例えば、鋼材100の炭素当量とすることができる。鋼材100の炭素当量を分析することで、先端部X1と尾端部X2との成分偏析度合いを把握することができる。なお、炭素当量は、以下の式(1)で表されるCeqとして求められる。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(1)
式(1)中、C、Mn、Ni、Cr、Mo、Vは、各元素の鋼材中の含有量(質量%)である。
ここで、成分偏析とは、鋼材100内の成分の差を指すものとする。そして、鋼材100の成分偏析は、鋼材100の長手方向で顕著であるため、成分分析は、鋼材100の長手方向について実施する。
また、鋼材100の長手方向とは、鋼材100の圧延方向を指し、成分分析工程の際に鋼材100が搬送されてくる方向のことを指す(図1中、矢印Fの方向)。そして、この方向の先端部X1は成分含有量過多となりやすいスラブトップに対応し、もう一方の尾端部X2は成分含有量過少となりやすいスラブボトムに対応する。したがって、鋼材100の成分分析は、鋼材の先端部X1と、尾端部X2との少なくとも2点で行う。さらに鋼材の先端部X1と尾端部X2との間について分析してもよい。また、一般に、造塊スラブの場合、溶鋼の凝固は鋳型に接触している部分から始まるため、成分は鋼材の板幅の中央付近で低くなり、また板厚の中心付近でも低くなる傾向がある。したがって、成分分析は、板幅中央付近の板厚中心付近で実施することが好ましい、さらに、正確さを期すため、分析する点を増やしても良い。
また、この成分分析部2では、蛍光X線分析法や赤外線吸収法等により鋼材の成分を分析することができる。
前記説明は熱間圧延後の鋼材100について行ったが、成分分析工程は、鋳造後のスラブの段階で実施してもよい。スラブの段階で成分分析を行えば、熱処理温度をより早期に決定することができ、その結果、製造効率をより高くすることもできる。また、成分分析工程をスラブの段階および熱間圧延後の鋼材に対して実施するようにしてもよい。成分分析工程を2回とすれば、当然のことながら、より正確な温度設定が可能になる。
また、成分分析は熱処理の直前に行ってもよいし、事前に成分分析を行ってデータを蓄えておき、熱処理時に前記データを読み出してもよい。
[熱処理温度決定工程]
次に、鋼材用熱処理設備1の熱処理温度決定部3により、前述した成分分析工程で得られた鋼材100の成分偏析情報に基づいて、鋼材100の所定位置毎の熱処理温度を決定する(ステップS2)。具体的には、図1中、成分分析の後、符号Fの方向に搬送されてきた鋼材100の先端部X1および尾端部X2の夫々の熱処理温度を、熱処理温度決定部3により決定する。前述したように、成分偏析が鋼材100の長手方向で発生した場合、鋼材100の先端部X1および尾端部X2の最適な熱処理温度は異なってくる。したがって、先端部X1および尾端部X2夫々の熱処理温度を適宜設定する必要がある。そこで、熱処理温度決定部3で、成分分析工程(ステップS1)で得られた鋼材100の成分偏析情報に基づいて、先端部X1および尾端部X2の熱処理温度を決定する。
また、前述した成分偏析情報は、コンピュータに設けられたCPU(Central Processing Unit)等の制御部(図示せず)により管理されていてもよく、熱処理温度決定部3はCPUの一部とすることができる。
[熱処理工程]
次に、鋼材用熱処理設備1の熱処理部4により、前述した鋼材100の所定位置(例えば、先端部X1と尾端部X2の位置)毎に決定された熱処理温度で鋼材100に熱処理を行う(ステップS3)。この熱処理部4は、複数のゾーン41、42、43、44、45を有し、少なくとも2つのゾーン(例えば、ゾーン44、45)について個別に熱処理温度の設定が可能である。
前述しているが、先端部X1側が、正偏析と呼ばれるような成分過多となり、尾端部X2側が、負偏析と呼ばれるような成分過少となる場合、先端部X1側のゾーン44の熱処理温度を高めにし、尾端部X2側のゾーン45の熱処理温度を低めにすることが好ましい。
このように、成分過少の側よりも成分過多の側の方の熱処理温度を高めに設定することによって、焼戻しの効果により、鋼材100の成分偏析による強度および靭性のばらつきを低減することができる。
なお、図1中では、5つのゾーンのみを示し、上記の説明では、熱処理温度の制御は2つのゾーン44、45のみで行うものとしているが、この2つに限定されるものではなく、鋼材用熱処理設備1はより多くのゾーンで熱処理温度の制御を行ってもよい。例えば、3つ以上のゾーンでの熱処理温度を制御する場合、尾端部X2の成分で適正材質が得られる熱処理の設定温度を基準として、この設定温度を各ゾーンの設定温度(以下、基準設定温度と記す。)とし、先端部X1が存在するゾーンの温度だけ、基準設定温度に対して、高く設定することにより、先端部X1と尾端部X2の強度および靭性の長手方向の均一化を図ることができる。
例えば、鋼材100を熱処理部4の2つのゾーンにまたがって停止させ、尾端部X2側が位置する後段ゾーンを基準設定温度に設定し、先端部X1が位置する前段ゾーンを基準設定温度より高く設定する。前段ゾーンの設定温度は、先端部X1と尾端部X2との成分含有量差によって変化させる。そして、この成分含有量差が大きい場合は、基準設定温度に対して、上げ代を出来るだけ高く設定し、成分含有量差が小さい場合は、上げ代を低く設定する。また、熱処理の時間は、特に限定はされないが、例えば、均熱に要する時間を考慮し、板厚および基準設定温度から決定される基準在炉時間の半分とすることができる。また、鋼材100が熱処理されている間、鋼材100は移動していてもよいし、停止していてもよい。例えば、鋼材100は、熱処理されている間、ゾーン44、45で前後移動(オシレーション)していてもよい。
また、この熱処理工程の前に、鋼材100の焼入れ処理がなされてもよい。また、この熱処理工程における熱処理方法は、通常の焼戻し処理での方法を採用することができる。
以上説明した本発明の鋼材の製造方法は、造塊スラブ等を用いて、特定条件の熱処理方法を用いて得られる高強度および低温靭性を有する極厚鋼材の製造方法に関するものである。本発明の鋼材の製造方法によれば、製造効率を落とさずに、長手方向の材質を均一化することができる。すなわち、熱処理部4の各ゾーンの熱処理温度を鋼材100の各位置の成分に応じて設定し、鋼材の熱処理を行うため、鋼材の材質の均一化を達成できる。このことにより、造塊スラブのスラブトップおよびスラブボトムに相当する部分の切り捨て量を削減することができ、また、切り捨ての工程が不要となるので、製造効率を低くしなくても済む。
なお、本発明の本質から外れない限り、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。例えば、図1では、成分分析部2や熱処理温度決定部3が鋼材用熱処理設備1の外部に設けられていてもよい。
次に、実施例に基づき、本発明について説明する。
成分組成として、質量%で、C:0.12%、Si:0.20%、Mn:1.15%、Cu:0.20%、Ni:2.45%、Cr:0.87%、Mo:0.53%を含有し、その他Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼材を溶製し、造塊法で鋼材スラブとした。得られた鋼材スラブを、加熱炉で加熱し、可逆式圧延機で圧延し、焼入れ処理を施した。
次に、得られた鋼材に対して、鋼材用熱処理設備により、鋼材の先端部と尾端部の成分分析を行った。鋼材の先端部の炭素当量は0.77であり、尾端部の炭素当量は0.70であった。そして、この鋼材に対して熱処理を施した。
発明例では、熱処理において、焼戻し熱処理炉(鋼材用熱処理設備)として、5つのゾーンを有し、Mixガスを使用する加熱炉を用いた。なお、ここでいうMixガスとは、高炉ガス(Cガス)とコークスガス(Bガス)とを混合したガスである。また、ここで加熱に使用されるガスの種類は、スラブの加熱ができるのであれば、Mixガスに限られず、都市ガスやその他の可燃性ガスや十分に加熱された空気でもよい。
そして、鋼材が搬送される方向において4番目のゾーンと5番目のゾーンの中央に基準在炉時間の半分の時間滞留させた。このとき、鋼材の先端部を4番目のゾーンに位置するようにし、鋼材の尾端部を5番目のゾーンに位置するようにした。また、このときの設定温度は、5番目のゾーンを基準設定温度(615〜625℃)に設定し、4番目のゾーンの設定温度を5ゾーンの基準設定温度+5〜10℃に設定した。なお、上記の熱処理中、鋼材の前後移動(オシレーション)も実施した。
また、比較例では、上記の発明例に対して、各ゾーンの設定温度を全て615〜625℃で同じ温度とした以外は、同様にして鋼材を製造した。
なお、得られた鋼材の寸法は、厚180mm×幅1880mm×長9270mmであった。
本発明の鋼材用熱処理設備で熱処理を施した発明例では、規格範囲を満たさないものを抑制でき、比較例の約2倍歩留まりを向上させることができた。
1 鋼材用熱処理設備
2 成分分析部
3 熱処理温度決定部
4 熱処理部
41、42 ゾーン
100 鋼材

Claims (6)

  1. 熱間圧延後の鋼材の成分を分析して成分偏析情報を得る成分分析工程と、
    前記成分偏析情報に基づいて、前記鋼材の所定位置毎の熱処理温度を決定する熱処理温度決定工程と、
    前記所定位置毎に決定された熱処理温度で前記鋼材を熱処理する熱処理工程と、
    を含む鋼材の製造方法。
  2. 前記鋼材の成分偏析情報は、前記鋼材の長手方向の成分量の差の情報であり、
    前記所定位置毎に決定された熱処理温度は、前記鋼材の長手方向の所定位置の熱処理温度である請求項1に記載の鋼材の製造方法。
  3. 前記成分偏析情報は、前記鋼材の炭素当量の情報である請求項1または2に記載の鋼材の製造方法。
  4. 前記鋼材は、造塊法により得られた鋼スラブを熱間圧延して得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材の製造方法。
  5. 前記鋼材は、厚み80mm以上の極厚鋼材である請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材の製造方法。
  6. 鋼材の成分を分析して成分偏析情報を得る成分分析部と、
    個別に熱処理温度の設定が可能な複数のゾーンを有し、前記鋼材を熱処理する熱処理部と、
    前記成分偏析情報に基づいて、前記ゾーン毎の熱処理温度を決定する熱処理温度決定部と、
    を備える鋼材用熱処理設備。
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