JP2007319872A - 高s快削鋼線材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】仕上圧延中に鋼材の先端部に割れが生じることを確実に防止することにより、線材を圧延ラインから逸脱させることのない、安定性に優れた高S快削鋼線材の製造方法を提供する。
【解決手段】C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.10%以下(0%を含まない)、Mn:1.05%超3.5%以下、P :0.2%以下(0%を含まない)、S :0.35%超0.8%以下、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N :0.007%以上、O :0.008%以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である鋼材を、加熱炉1にて鋼材表面温度で1000℃以上に加熱した後、粗圧延機列2、中間圧延機列3、および、少なくとも最終仕上圧延機4d前に水冷帯4cを備えた仕上圧延機列4からなる圧延ラインで熱間圧延するにあたり、水冷帯4cでの水冷を行わずに最終仕上圧延を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、有害でリサイクルを困難にするPbを使用しない高S快削鋼線材の製造方法に関する。
従来のPb快削鋼に含まれるPbは、被削性改善に極めて有効な元素であるものの、埋め立てられた廃棄スクラップから溶け出すおそれがあることや溶解すると有害なPbガスが発生するので、リサイクルの障害となっていた。
このため、Pbに替わる被削性改善元素としてSを多量に含有させた高S快削鋼が種々提案されているものの、S含有率が高まると表面疵の増大や仕上げ面粗さの悪化などの問題が生じるため、これらの改善が要請されていた(例えば、特許文献1〜3参照)。
そこで、出願人は、表面疵の発生防止と仕上げ面粗さの改善とを両立することのできる鋼材として、C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.01%以下(0%を含まない)、Mn:1.3〜3.5%、P :0.2%以下(0%を含まない)、S :0.38〜0.8%、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N :0.007%以上、O :0.008%以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である高S快削鋼を完成させ、特許出願を行った(特許文献4参照)。
ここで、従来の鉛快削鋼線材は、例えば以下のようにして製造されていた。すなわち、成分調整を行った溶鋼を連続鋳造して得たブルームを分塊圧延・鋼片加工によりビレット(鋼材)に加工し、このビレットを図1に示すように、加熱炉1にて放射温度計にて計測されるビレット表面温度で約1000℃に加熱した後、粗圧延機列2、中間圧延機列3および各仕上圧延機4b、4d前に水冷帯4a、4cをそれぞれ設けた仕上圧延機列4からなる圧延ラインで熱間圧延して所定の線径に伸線加工した後、徐冷して最終製品である線材を製造していた。なお、以降に示すビレット(鋼材)の表面温度および圧延中の鋼材の表面温度は、特記のない限り、放射温度計で計測したものとする。
しかしながら、上記圧延ラインを用いて上記高S快削鋼線材を従来の鉛快削鋼線材と同様の条件で熱間圧延すると、図2に示すように、仕上圧延中に鋼材の先端部に割れが生じて、鋼材が圧延ラインより逸脱し、生産ラインが長時間停止してしまうという不具合がたびたび発生した。
特開2000−319753号公報 特開2002−249848号公報 特開平5−345951号公報 特開2005−23342号公報
そこで、本発明は、仕上圧延中に鋼材の先端部に割れが生じることを確実に防止することにより、線材を圧延ラインから逸脱させることのない、安定性に優れた高S快削鋼線材の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.10%以下(0%を含まない)、Mn:1.05%超3.5%以下、P :0.2%以下(0%を含まない)、S :0.35%超0.8%以下、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N :0.007%以上、O :0.008%以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である鋼材を、加熱炉で加熱した後、粗圧延機列、中間圧延機列および仕上圧延機列からなり、前記仕上圧延機列を構成する仕上圧延機のうち少なくとも最終仕上圧延機前に水冷帯を備えた圧延ラインで熱間圧延して高S快削鋼線材を製造する方法であって、前記加熱炉での加熱温度を鋼材表面温度で1000℃以上とするとともに、前記最終仕上圧延機前の水冷帯での水冷を行わずに最終仕上圧延を行うことを特徴とする高S快削鋼線材の製造方法である。
本発明によれば、加熱炉での加熱温度を鋼材表面温度で1000℃以上とするとともに、最終仕上圧延機前の水冷帯での水冷を行わずに最終仕上圧延を行うことで、最終仕上圧延機に導入される鋼材の先端部が水冷により急冷されることがなくなった結果、先端部に割れが発生することが防止され、鋼材が圧延ラインより逸脱することが確実に防止できるようになった。
以下、本発明を実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。
〔実施形態〕
本発明は、C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.10%以下(0%を含まない)、Mn:1.05%超3.5%以下、P :0.2%以下(0%を含まない)、S :0.35%超0.8%以下、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N :0.007%以上、O :0.008%以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である鋼材を、加熱炉で加熱した後、粗圧延機列、中間圧延機列および仕上圧延機列からなり、前記仕上圧延機列を構成する仕上圧延機のうち少なくとも最終仕上圧延機前に水冷帯を備えた圧延ラインで熱間圧延して高S快削鋼線材を製造する方法であって、前記加熱炉での加熱温度を鋼材表面温度で1000℃以上とするとともに、最終仕上圧延機前の水冷帯での水冷を行わずに最終仕上圧延を行うことを特徴とする。
上記成分の鋼材は、たとえば、常法にしたがって成分調整した溶鋼を連続鋳造して得たブルームを分塊圧延・鋼片加工して鋼材としてのビレットに加工して得ることができる。
ここで、鋼材の各成分の限定理由は、上記特許文献4に記載したとおりであるが、成分の限定範囲を一部変更したので、以下にその変更点を含めて引用して示す。
[C:0.01〜0.25%]
Cは鋼の基本強度を決定するために不可欠な元素であり、また所定量以上添加することによって仕上げ面粗さを改善する作用も有する。しかし過剰に添加すると工具寿命が低下する。C量は、鋼の他の成分などに応じて適切な範囲に設定されるが、本発明では0.01%以上(好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.05%超)、0.25%以下(好ましくは0.20%以下、さらに好ましくは0.17%以下)とする。
[Si:0.10%以下(0%を含まない)]
本発明では、後述するように、脱酸剤としてのSiを添加しないのが望ましい。しかしSiは原料(鉄鉱石、スクラップなど)に含まれており脱Si処理をしてもSiOとして混入してくる。また他の鋼を製造する場合には脱酸剤として頻繁に使用されているため、製造設備からもSiOとして混入してくる。SiOとしての混入であれば脱酸剤としての機能を喪失しており、特にSi量は制限されないが、通常、Siは0.10%以下、好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.01%(例えば0.009%以下、特に0.007%以下)程度である(なお実際上、0%となることはない)。
[Mn:1.05%超3.5%以下]
MnはMnSを形成して被削性を高めるため、本発明では不可欠な元素である。またFeSの生成による圧延中の液相の発生を抑制するため、表面疵を低減する点でも効果がある。しかしMnが過剰となると工具寿命が低下する。Mn量は、1.05%超(好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%以上)、3.5%以下(好ましくは3.2%以下、さらに好ましくは3.0%以下)程度である。
[P:0.2%以下(0%を含まない)]
Pは過剰となると工具寿命を低下させるため低減することが推奨される。したがってPは0.2%以下、好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.10%以下とする。なお実際上、Pを0%とすることは困難であり、またPは被削性の改善にも有効である。したがってPは好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上とする。
[S:0.35%超0.8%以下]
SはMnSを形成して被削性を高めるため、本発明では不可欠な元素である。またPb快削鋼と同等の被削性を得るためにはS量を十分に高める必要がある。したがって本発明では、S量を0.35%超、好ましくは0.40%以上、さらに好ましくは0.45%以上とする。しかしSが過剰になると表面疵の発生が認められるようになる。したがってS量は0.8%以下、好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.65%以下程度とする。
[Al:0.01%以下(0%を含まない)]
本発明では、後述するように、脱酸剤としてのAlを添加しないのが望ましい。しかしAlは他の鋼を製造する場合には脱酸剤として頻繁に使用されているため、製造設備からAlが混入してくる。Alとしての混入であれば脱酸剤としての機能を喪失しており、特にAl量は制限されないが、通常、Alは0.01%以下(例えば0.009%以下、特に0.006%以下)程度である(なお実際上、0%となることはない)。
[N:0.007%以上]
Nが多くなるほど仕上げ面粗さが改善される。Nは0.007%以上、好ましくは0.008%以上、さらに好ましくはNは0.009%以上である。表面疵および仕上げ面粗さの観点からはNの上限は限定されないが、Nが多くなるとブローホールが発生するため上限を設定するのが望ましい。好ましくはNは0.02%以下、さらに好ましくは0.015%以下、特に0.013%以下である。
[O:0.008%以上]
本発明では、後述するように、鋳造直前の溶鋼中のフリー酸素濃度を高くすることが望ましく、鋼中の酸素濃度は特に設定されないが、通常、0.008%以上、好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.013%以上程度である。なお表面疵および仕上げ面粗さと鋼中の酸素濃度との直接の関係はないが、鋼中の酸素濃度が多い程、原料や製造設備由来の酸化物(SiO、Alなど)が多くなっている傾向があり、工具寿命が低下する傾向がある。したがって鋼中の酸素は、好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下、特に0.018%以下程度とするのが推奨される。
[Mn/S比:3.5以上]
また本発明では、MnとSの比(Mn/S;質量基準)が3.5以上に設定されている。MnがSに比べて少なすぎると、表面疵の発生を防止できない。好ましいMn/S比(質量比)は、3.8以上、さらに好ましくは4.0以上である。
上記のようにして鋼を製造するに際して、鋳造直前の脱酸操作(例えば取鍋精錬時のスラグ調整による脱酸操作)を工夫するのが望ましい。取鍋精錬では、通常、SiやAlなどの脱酸剤を添加して脱酸を行っている。しかし本発明のようにMn/S比を高くすると、Mnが脱酸剤として働くため、溶鋼中のフリー酸素濃度が既に低減されている。ここで常法にしたがってSiやAlなどを添加してしまうと、溶鋼中のフリー酸素濃度が著しく少なくなってしまい、鋳造時に析出するMnSが微細化してしまい、仕上げ面粗さが劣化してしまう。そこで、本発明では、フリー酸素濃度を低減し過ぎないようにするため、脱酸剤としてのSiやAlを添加しないことが望ましく、これによりMnSの微細化を防止でき、仕上げ面粗さの劣化を防止できる。
鋳造直前の溶鋼中のフリー酸素濃度は、0.004%以上、好ましくは0.0043%以上、さらに好ましくは0.0045%以上とするのがよい。なおかかるフリー酸素濃度を確保可能である限り、必要によってSiやAlを添加してもよい。またフリー酸素を過剰としなければ、MnSサイズが大きくなり過ぎるのを防止でき、表面疵の発生をさらに抑制できる。したがってフリー酸素濃度は、好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.008%以下、特に0.006%以下程度とするのがよい。
上記のようにして溶鋼中のフリー酸素濃度を制御すると、Mn/S比が高められているにも拘わらずMnSの微細化を防止できる。そのため表面疵の発生を防止できるとともに、仕上げ面粗さをも改善できる。上記のようにして得られる鋼材中のMnS介在物の平均面積は、10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上である。なおMnS介在物の平均面積は、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、特に150μm以下とすることが推奨される。
上記実施形態では、鋳造方法は連続鋳造法としたが、造塊法を用いてもよい。連続鋳造法によれば生産性を高めることができるいっぽう、造塊法によれば、鋳造時の冷却速度を遅くでき、MnSサイズを大きくし易くなるため、仕上げ面粗さの改善にさらに有効である。造塊法による場合、1つの鋳片の大きさは、例えば5トン以上とすることが推奨される。
上記のようにして得られた鋼材としてのビレットを、粗圧延機列、中間圧延機列および仕上圧延機列からなり、前記仕上圧延機列を構成する仕上圧延機のうち少なくとも最終仕上圧延機前に水冷帯を備えた圧延ラインで熱間圧延するが、上述した図1に示す加熱炉+圧延ラインからなる線材製造装置を例として詳細に説明する。
上記のようにして得られたビレットを加熱炉1でビレット表面温度で1000℃以上に加熱する。このように、ビレットの加熱温度をビレット表面温度で1000℃以上とするのは、1000℃未満では、その後の圧延、鍛造において硫化物の伸展が抑制され、硫化物の平均幅を大きくすることが困難になり、所定の被削性が得られなくなるためである。なお、ビレットの加熱温度(ビレット表面温度)はビレットが加熱炉1を出た段階で測定され、その測定値により加熱炉内雰囲気温度を調整することで、ビレットの加熱温度へのフィードバックを行っている。
表面温度で1000℃以上に加熱されたビレット(鋼材)は、粗圧延機列2、中間圧延機列3で複数の双ロールにて連続的に伸線される。伸線された鋼材は、加工発熱による鋼材の加熱を抑制し、鋼材の組織制御に必要な温度に調整するために設けられた最初の水冷帯4aを通過して鋼材表面温度で900℃程度に冷却される。ここで、水冷帯4aは、圧延時の鋼材をできるだけ均一に冷却するため、直列に配置された複数の筒状容器内を水流で満たしておき、鋼材をこれらの水流中を順次くぐらせる構成が採用されている。下記の最後の水冷帯4cも同様の構成である。なお、上記冷却後の鋼材表面温度は連続的に測定しており、その測定値より水冷帯に流す水量を調整することで、鋼材表面温度へのフィードバックを行っている。
水冷帯4aにて表面温度で900℃程度に温度調整された鋼材は、仕上圧延機列4の最初の仕上圧延機(たとえば、ブロックミル)4bにて最終製品に近い線径まで圧延された後、最後の水冷帯(すなわち、最終仕上圧延機4d前に設けられた水冷帯)4cを通過し、最終仕上圧延機(たとえば、サイジングミル)4dにて最終製品の寸法精度に仕上圧延されるが、この水冷帯4cを構成する複数の筒状容器にはいずれも水を流通させず空の状態にしておき、最終仕上圧延機4dに導入される鋼材は、空の筒状容器内を通過し、水冷されないようにしておく。
このように、最終仕上圧延機4dに導入される鋼材を水冷しないようにするのは、以下の理由による。
まず、本発明者らは、同様の圧延条件で圧延しても、従来の鉛快削鋼では割れが発生しないのに対し、本発明で用いる高S快削鋼では鋼材の先端部に割れが発生する理由を考察した。
すなわち、従来の鉛快削鋼に相当する試験材では、900℃での絞り値が80%程度、550℃での絞り値が46%であるのに対し、本発明で用いる高S快削鋼では、900℃での絞り値は上記鉛快削鋼と同様の80%程度であるものの、550℃での絞り値が1.2%と極端に低くなる。
ここで、鋼材を最初の仕上圧延機4bで圧延したのち水冷帯4cで水冷することにより鋼材表面温度は約900℃に調整される。したがって、この鋼材表面温度から単純に判断すれば、高S快削鋼であっても、絞り加工による変形に十分対応しうるとも考えられる。しかしながら、鋼材の先端部は、水との接触面積が他の部位に比べ大きいため急冷され温度低下が著しくなる。このため、鋼材先端部の温度は、実測は行っていないが、鋼材全体の平均温度である鋼材表面温度よりも相当程度低くなっているものと想定される。
低温でも延性を有する従来の鉛快削鋼では、最終仕上圧延機27前で水冷することにより鋼材先端部の温度が相当程度低下しても、この先端部における伸び値がある程度確保され、最終仕上圧延機4dで圧延しても先端部に割れが発生しないと考えられる。これに対し、低温になると極端に延性が低下する高S快削鋼では、最終仕上圧延機4d前で水冷して鋼材先端部の温度が相当程度低下すると、この先端部における伸び値が大きく低下し、最終仕上圧延機4dによる変形荷重に耐えられなくなり、先端部に割れが発生してしまうものと考えられる。
そこで、本発明者らは、上記考察に基づいてさらに検討を行った結果、後記実施例で示すように、本発明に用いる高S快削鋼では、水冷帯4cに流通させる水の供給を止めて水冷帯4cを空の状態にし、最終仕上圧延機4dに導入される鋼材を水冷しないようにすることにより、先端部に割れを発生させないようにすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明では、最終仕上圧延機4dに導入される鋼材を水冷しないようにする。
このように鋼材を最初の仕上圧延機4bで圧延したのち水冷帯4cでの水冷を行わないと、鋼材表面温度は仕上圧延機4bによる加工発熱によって約1000℃に上昇し、鋼材先端部の温度も同程度の温度となる。したがって、鋼材の先端部においても伸び値が高く確保され、最終仕上圧延機4dで圧延しても先端部に割れが発生することが確実に防止される。
この結果、圧延ラインから鋼材が逸脱することがなくなり、安定した高S快削鋼の製造が実現できることとなる。
(変形例)
上記実施形態では、仕上圧延機列として、2機の圧延機を直列に配置した例を示したが、1機のみの圧延機で構成してもよい。この場合、当該1機の圧延機が最終仕上圧延機となる。
また、上記実施形態では、仕上圧延機列を構成する2機の圧延機の前にそれぞれ水冷帯を設けた例を示したが、最終仕上圧延機の前にのみ水冷帯を設け、最初の仕上圧延機の前には水冷帯を設けない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、水冷帯として、直列に配置した複数の筒状容器内に水流を満たしたものを例示したが、単一の筒状容器内に水流を満たしたものを用いてもよい。
常法にしたがって成分調整した下記表1に示す化学成分の溶鋼を連続鋳造、分塊圧延、鋼片加工して155mm×155mm×10mのビレットに加工した後、図1に示す加熱炉+圧延ラインからなる線材製造装置にて、下記表2に示す圧延条件にて直径5.5〜17mmの線材を製造した。
Figure 2007319872
Figure 2007319872
そして、各圧延条件にて製造された線材の先端部の観察を行い、割れ発生の有無を調査した。調査結果を下記表3に示す。
表3から明らかなように、本発明の規定する成分組成を有する高S含有率の鋼材を用いると、最終仕上圧延機前の水冷ありの状態で最終仕上圧延を行った場合(比較例、No.1〜18)は、線材の先端部に割れが発生した。これに対し、本発明の規定する成分組成を有する高S含有率の鋼材を用いても、最終仕上圧延機前の水冷なしの状態で最終仕上圧延を行った場合(発明例、No.19〜35)は、線材の先端部に割れがまったく発生しなかった。
Figure 2007319872
本発明の実施形態に係る線材製造設備の概略を示すフロー図である。 線材の先端部に割れが生じた様子を示す斜視図である。
符号の説明
1…加熱炉
2…粗圧延機列
3…中間圧延機列
4…仕上圧延機列
4a…水冷帯
4b…最初の仕上圧延機
4c…水冷帯
4d…最終仕上圧延機

Claims (1)

  1. C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.10%以下(0%を含まない)、Mn:1.05%超3.5%以下、P :0.2%以下(0%を含まない)、S :0.35%超0.8%以下、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N :0.007%以上、O :0.008%以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である鋼材を、加熱炉で加熱した後、粗圧延機列、中間圧延機列および仕上圧延機列からなり、前記仕上圧延機列を構成する仕上圧延機のうち少なくとも最終仕上圧延機前に水冷帯を備えた圧延ラインで熱間圧延して高S快削鋼線材を製造する方法であって、
    前記加熱炉での加熱温度を鋼材表面温度で1000℃以上とするとともに、前記最終仕上圧延機前の水冷帯での水冷を行わずに最終仕上圧延を行うことを特徴とする高S快削鋼線材の製造方法。
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