JP5852303B2 - 金属膜表面の酸化防止方法及び酸化防止液 - Google Patents

金属膜表面の酸化防止方法及び酸化防止液 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子の製造過程で適用される金属膜表面の酸化防止方法及び酸化防止液に関する。
半導体素子の製造におけるダイシング(dicing)工程では、ウェハ上に形成された集積回路(半導体基板)を個々の素子サイズに区分するよう切断加工が施される。この切断加工には、ダイヤモンド製の円形回転刃等のダイシングブレードが適用され、これを高速回転させてウェハ上の集積回路を精度良く切り分けていく。このときに生じる熱の冷却と、その切断に伴い生じる切削屑の洗い流しとを目的として、半導体ウェハ上に多量の純水が供給される。
ダイシング加工が行われるときの半導体基板は、通常、金属膜の表面が露出した部分を有する。例えば、図2に示したものでは、パッド5’を構成するアルミニウム−銅合金膜52’の表面が開口部Hで露出した状態とされている。そして、このダイシング工程の後に切り分けられた半導体基板は回路基板等に実装され、このパッドを介してボンディングワイヤ等により電気的に接続される。そのために、その金属表面は清浄であり、良好な導電性が確保される状態であることが望まれる。
ところが、上記ダイシング工程を行うときに多量の純水が供給されるため、半導体基板の金属膜表面も、この純水に晒され、その影響を受けることがある。例えば、金属膜で構成したパッドにおいて、その表面が酸化され、アルミニウムや銅などを金属膜材料として用いたときにピッティングコロージョン(pitting corrosion)と呼ばれる腐食(浸食)cが進行することがある(図2参照)。その結果、導通不良による歩留まり低下が生じる。上述のような腐食は極力低減ないし防止したい。また、最近パッドの構成材料としてアルミニウム−銅合金が主流になってきた。本出願人の確認によれば、このアルミニウム−銅合金を金属膜として用いたときに上述のような腐食の進行が顕著になる傾向があることが分かってきた。
本発明は、上記半導体基板における特有の課題の解決に鑑み、その金属膜表面の酸化による腐食(浸食)を抑制ないし防止する酸化防止方法及び酸化防止液の提供を目的とする。また本発明は、酸化防止液の適用による金属膜や絶縁層の腐食が抑えられ、かつ、その酸化防止効果を利用して、特にダイシング工程において多量に付与される水の影響を緩和し、良好な金属膜表面の維持を可能とする酸化防止方法及び酸化防止液の提供を目的とする。
上記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕半導体基板の金属膜表面を酸化防止液により処理するに当たり、
前記酸化防止液として、水に少なくとも下記リン含有化合物及び下記塩基性化合物を含有させ、pHを6〜10に調整したものを用いることを特徴とする金属膜表面の酸化防止方法。
塩基性化合物:炭素数4〜30の有機アミン、第4級アンモニウム水酸化物、KOH、NaOH、およびLiOHから選ばれる少なくとも1つ
リン含有化合物:リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸、亜リン酸、五酸化二リン、またはそれらの塩からなる無機リン化合物
〔2〕前記酸化防止液中に、防黴・防菌剤を含むことを特徴とする〔1〕記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔3〕前記防黴・防菌剤がフェノール構造、ピリジン構造、トリアジン構造、モルホリン構造、イソチアゾリン構造、ピリジニウム構造、第4級アンモニウム構造のいずれかを含む化合物である〔2〕記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔4〕前記リン含有化合物を0.001〜10質量%で含有させる〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔5〕前記塩基性化合物を0.001〜20質量%で含有させる〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔6〕前記酸化防止液に、さらに有機カルボン酸化合物を含有させる〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔7〕前記塩基性化合物が、第4級アンモニウム水酸化物又は炭素数4〜30のアルカノールアミンである〔1〕〜〔6〕のいずれか1に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔8〕前記有機カルボン酸化合物が、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及びフタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である〔6〕又は〔7〕に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔9〕前記酸化防止液による処理を半導体基板に施し、その後当該半導体基板に対して水を付与して行うダイシングを行うことを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔10〕半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程において、前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程の後に、前記酸化防止液による処理を実施することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔11〕前記金属膜を構成する金属がアルミニウムまたはアルミニウム−銅合金である〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の金属膜表面の酸化防止方法。
〔12〕半導体基板の金属膜表面を処理する酸化防止液であって、水と下記リン含有化合物と下記塩基性化合物とを含有させ、pHを6〜8.4に調整した酸化防止液。
塩基性化合物:炭素数4〜30の有機アミン、第4級アンモニウム水酸化物、KOH、NaOH、およびLiOHから選ばれる少なくとも1つ
リン含有化合物:リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸、亜リン酸、五酸化二リン、またはそれらの塩からなる無機リン化合物
〔13〕さらに防黴・防菌剤を含む〔12〕に記載の酸化防止液。
〔14〕さらに有機カルボン酸化合物を含む〔12〕又は〔13〕に記載の酸化防止液。
〔15〕pHを6〜8としたことを特徴とする〔12〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の酸化防止液。
〔16〕前記リン含有化合物を0.001〜10質量%で含有させた〔12〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の酸化防止液。
〔17〕前記塩基性化合物を0.001〜20質量%で含有させた〔12〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の酸化防止液。
〔18〕前記金属膜を構成する金属がアルミニウムまたはアルミニウム−銅合金である〔12〕〜〔17〕のいずれか1つに記載の酸化防止液。
〔19〕水を付与して行うダイシング工程の前の酸化防止処理に用いることを特徴とする〔12〕〜〔18〕のいずれか1つに記載の酸化防止液。
本発明の酸化防止方法及び酸化防止液によれば、半導体基板の金属膜表面の酸化による腐食(浸食)を抑制ないし防止することができる。また、酸化防止液の適用による金属膜や絶縁層の腐食が抑えられ、かつ、その酸化防止効果を利用して、特にダイシング工程において多量に付与される水の影響を緩和し、良好な金属膜表面の維持を可能とするという優れた効果を奏する。
本発明の方法を適用する一実施態様として半導体素子の製造過程の一部を模式的に示した工程断面図(その1)である。 本発明の方法を適用する一実施態様として半導体素子の製造過程の一部を模式的に示した工程断面図(その2)である。 本発明の方法を適用する一実施態様として半導体素子の製造過程の一部を模式的に示した工程断面図(その3)である。 本発明の方法を適用する一実施態様として半導体素子の製造過程の一部を模式的に示した工程断面図(その4)である。 ダイシング工程を経た一般的な半導体基板の金属膜の腐食(浸食)の状態を説明する断面図である。
本発明の金属膜表面の酸化防止方法は、半導体基板の金属膜表面を酸化防止液により処理するに当たり、前記酸化防止液(リンス液)として、水(a)に少なくとも塩基性化合物(b)及びリン含有化合物(c)を含有させ、pHを6〜10に調整した水溶液を用いることを特徴とする。上記pHが調整され特有の成分を含有する水溶液は、半導体基板の金属膜表面を腐食せず、かつ高い酸化防止性を示す。とりわけ、ダイシング工程において付与される多量の水の影響を低減し、金属膜表面の腐食を効果的に抑制ないし防止する。この理由については未解明の部分を含むが以下のように推定される。
まず、酸化防止液に含有されるリン含有化合物が金属膜表面に保護膜を形成する働きがあるものと考えられる。典型的には、アルミニウムや銅ないしその合金表面において上記リン含有化合物が作用することにより特有の不動態膜が形成され、その後の水との接触によっても酸化の進行が抑止されることが挙げられる。さらに本願発明者らは、上記リン含有化合物が塩基性化合物の共存によりその液中のpHが特定の範囲に調整されることにより、特に高い金属表面の保護作用と低エッチング能が両立する領域が存在することを発見した。以下に、本発明の好ましい実施態様について、一部図面を含めて、詳細に説明する。ただし、これにより、本発明が限定して解釈されるものではない。
本発明の好ましい実施形態によればアルミニウムや銅ないしその合金表面に数nm以上の不動態膜層を形成することができ、それにより酸化を防止することができる。この不動態膜の存在はエッチングESCAやTEMなどで確認することができ、また、不動態膜の酸化防止効果は水中における開回路電位の上昇で確認することができる。
〔酸化防止液〕
(水)
本発明の酸化防止液は、溶媒として水を含有する。水の含有量は、酸化防止液全体の質量に対して60〜99.9質量%であることが好ましく、90〜99.9質量%であることがより好ましい。上記のように、水を主成分(50質量%以上)とする酸化防止液を特に水系酸化防止液と呼ぶことがある。水としては、本発明の効果を損ねない範囲で溶解成分を含む水性媒体であってもよく、あるいは不可避的な微量混合成分を含んでいてもよい。なかでも、蒸留水やイオン交換水、あるいは超純水といった浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に使用される超純水を用いることが特に好ましい。
(リン含有化合物)
本発明の酸化防止液は、少なくとも1つのリン含有化合物(リン原子を分子内に有する化合物)を含有する。リン含有化合物は下記無機リン化合物である。中でもリン酸化合物であることが好ましい。ここで、リン酸化合物とは、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸もしくはそれらの塩を含む概念である。なお、本明細書において化合物というときには、当該化合物そのものに加え、その塩、そのイオンを含む意味に用い、典型的には、当該化合物及び/又はその塩を意味する。無機リン化合物としては、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸、亜リン酸、五酸化二リン、もしくはそれらの塩を使用する。ポリリン酸の場合、繰り返し構造が2〜5が好ましく、メタリン酸の場合、3〜5が好ましい。
上記リン含有化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記リン含有化合物は、酸化防止液全量に対して、好ましくは0.001〜10質量%で加えられ、より好ましくは0.01〜5質量%で加えられ、特に好ましくは0.1〜2.5質量%で加えられる。リン含有化合物の量を、上記下限値以上とすることで、1nm以上の保護膜形成を行うことができる観点で好ましい。一方、上記上限値以下とすることで過剰な金属膜エッチングを抑制することができる観点で好ましい。
<塩基性化合物>
本発明の酸化防止液は、塩基性化合物を含む。塩基性化合物は、塩基性有機化合物または塩基性無機化合物を用いる。塩基性有機化合物としては、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を用いる。なお、有機アミンとは、構成元素として炭素を含むアミンを意味する。
塩基性有機化合物の炭素数は、4〜30であることが好ましく、沸点もしくは水への溶解度の観点から6〜16であることがより好ましい。
有機アミンとしては:
・エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、第3ブチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノールアミン、3−アミノ−1−プロパノールアミン、イソブタノールアミン、2−アミノエタノールアミン、2−アミノ(2−エトキシエタノール)アミン、2−アミノ(2−エトキシプロパノール)アミン、ジエチレングリコールアミン、ジグリコールアミン、N−ヒドロキシルエチルピペラジンなどのアルカノールアミン;
・エチルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、o−キシレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1−メチルブチルアミン、エチレンジアミン(EDA)、1,3−プロパンジアミン、2−アミノベンジルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの水酸基を有しない有機アミンが含まれる。
ただし、本発明で使用する有機アミンは、炭素数4〜30の有機アミンである。
第4級アンモニウム水酸化物としては、テトラアルキルアンモニウム水酸化物が好ましく、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されたテトラアルキルアンモニウム水酸化物がより好ましく、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などが挙げられる。さらに第4級アンモニウム水酸化物としてトリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)なども挙げられる。それに加え、アンモニウム水酸化物と1つあるいはそれ以上の第4級アンモニウム水酸化物の組み合せも使用することができる。これらの中でも、TMAH、TEAH、TPAH、TBAH、コリンがより好ましく、TMAH、TBAHが特に好ましい。
無機塩基としては、KOH、NaOH、LiOHを用い、中でもKOHが好ましい。
上記塩基性化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の酸化防止液において、塩基性化合物の含有量は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。塩基性化合物の量を、上記下限値以上、上限値以下とすることで適切なpHに調整することができる観点で好ましい。
<pH>
本発明の酸化防止液のpHが6〜10に調整されており、pHが6〜9であることが好ましく、pHが6〜8であることがより好ましい。pHを、上記範囲とすることで、酸化防止液を実質的に中性ないし弱アルカリ性とすることができ、金属膜や絶縁層の耐腐食性を確保することができる。本発明においては、特に断らない限り、pHは実施例で示した条件で測定した値をいう。酸化防止液を所定のpHに調整するためには、塩基性化合物の添加量を調節した滴定により行うことができる。
(カルボン酸化合物)
本発明の酸化防止液は、上記の各成分以外に、さらにカルボン酸化合物を含有させることが好ましい。有機カルボン酸化合物としては、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、フタルヒドロキサム酸、蟻酸、又はそれらの塩が挙げられ、中でも、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、サリチルヒドロキサム酸、フタルヒドロキサム酸が好ましい。上記有機カルボン酸化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の酸化防止液において、有機カルボン酸化合物の含有量は、防食性という観点から、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.01〜3質量%であることが特に好ましい。
(防黴・防菌剤)
本発明においては、さらに防黴・防菌剤を含有することが好ましい。これは、本発明の酸化防止液ないしこれを用いた酸化防止方法が、実質的に中性領域に規定されたことと密接に関連する。すなわち、強い酸性やアルカリ性の下では顕在化しにくい現象として、中性領域では細菌や黴が発生しやすくその液物性に影響を与えることがある。また、逆に言えば、中性領域であるからこそ効果的な防黴・抗菌剤が適用でき、その高い効果を発揮させることができる。さらには、かかる防黴・抗菌剤の添加によっても、本発明において好適に酸化防止効果を発揮する中性領域が維持されるものであることが好ましい。かかる状況を考慮し、本発明では、防黴・防菌剤として、フェノール構造、ピリジン構造、トリアジン構造、モルホリン構造、イソチアゾリン構造、ピリジニウム構造、第4級アンモニウム構造のいずれかを含む化合物を用いることが好ましい。
防黴・防菌剤の具体例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル4−イソチアゾリン−3−オン、o−フェニルフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、2−メルカプトピリジン−N−オキヂソナトリウム、ヘキサハイドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジン、p−トルエンスルホン酸塩、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,4‘−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化ドデシルピリジニウム、などが挙げられる。
本発明において、防黴・防菌剤の含有量は、上述した相互作用の点から、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.01〜3質量%であることが特に好ましい。
なお、防黴・防菌剤として、上記リン含有化合物や塩基性化合物に該当する化合物と共通するものが含まれるが、それらを防黴・防菌剤として適用することを妨げるものではない。
(その他の成分)
・アミノ基含有カルボン酸化合物
本発明の酸化防止液は、その他に、アミノ基含有カルボン酸化合物を含有してもよい。アミノ基含有カルボン酸化合物は、金属腐食を効率よく防止する点で好ましい。アミノ基含有カルボン化合物は、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン、EDTA、DTPA、HIDAが好ましく、アルギニン、ヒスチジンがより好ましい。これらアミノ基含有カルボン酸化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の酸化防止液において、アミノ基含有カルボン酸化合物を含有させる場合、その添加量は、適宜選択できるが、本発明の酸化防止液の全質量に対して、約0.01〜約5.0質量%であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましい。
・界面活性剤
また、本発明の酸化防止液は界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤を用いることができる。酸化防止液中の界面活性剤の含有量は、酸化防止液の全質量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%であり、より好ましくは0.0001〜1質量%である。界面活性剤を酸化防止液に添加することでその粘度を調整し、対象物への濡れ性を改良することができるため好ましく、加えて基板や絶縁膜などに対するダメージ性の両者がより優れるという点からも好ましい。このような界面活性剤は一般に商業的に入手可能である。これらの界面活性剤は、単独又は複数組み合わせて用いてもよい。
・腐食防止剤
本発明の酸化防止液は複素環化合物を含有してもよい。複素環化合物は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体であることがより好ましい。前記誘導体としては、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール(DBTA)、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール(DCEBTA)、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(HEABTA)、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール(HMBTA)が好ましい。本発明で用いる腐食防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、本発明で用いる腐食防止剤は、定法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。また、腐食防止剤の添加量は、酸化防止液全量に対して、好ましくは0.01質量%以上0.2質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.2質量%以下である。
〔リンス方法〕
次に、本発明の酸化防止液の好ましい適用方法(リンス方法)について説明する。本実施形態においては、前記酸化防止液による処理を、ダイシング工程の前に実施することが好ましい。また、半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程において、前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程の後に、前記酸化防止液による処理を実施することが好ましい。この時機に本発明の酸化防止処理を施すことにより、半導体基板の金属膜表面を、ダイシング工程における多量の水との接触による浸食から効果的に保護することができ、特にその高い効果が得られる点で好ましい。ただし、その時機以外において、上記酸化防止液を適用することを妨げるものではない。なお、酸化防止液ないし洗浄液による金属膜の「腐食」と、ダイシング工程における多量の水による「腐食」とを区別して言うときには、後者を「浸食」と呼ぶことがある。
本発明の酸化防止液による処理をリンスないしリンス処理といい、その酸化防止液をリンス液ということがある。これは、上記残渣の洗浄組成物(洗浄液)とは別に、それとは異なる処理液として適用することを意味したものであり、シャンプーの後のリンスと同様に洗浄後の処理液という点を考慮した呼称である。なお、ここでの「リンス」とは、上記残渣の洗浄の後に、さらにその洗浄液を洗い流すものや(特開2007−123787号公報)、残渣除去の効果を補完する意味で追加洗浄するもの(特開2003−5388号公報)とは区別される。
本発明の酸化防止液による処理の前に別薬液にてウェハの前処理を行ってもよい。ウェハの前処理液として、アルカリ性水溶液が好ましく、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などが挙げられる。
本発明の酸化防止液は残渣の洗浄組成物(洗浄液)として利用されることは、基本的に想定されていない。その理由は、近年のデバイス構造では残渣が多く、残渣除去・低金属膜エッチング・保護膜形成による酸化防止を両立できないため、洗浄液と酸化防止液を2液にすることで上記3項目を達成することができる。本発明の酸化防止液と組み合わせることが好ましい洗浄液の処方としては下記のものが挙げられる。
・フッ素化合物とカルボン酸とを少なくとも水に含有させた洗浄組成物
・フッ素化合物とアミンとを少なくとも水に含有させた洗浄組成物
・アルカノ−ルアミンとヒドロキシルアミンとを少なくとも水に含有させた洗浄組成物
・有機溶剤からなる洗浄組成物
・ヒドロキシルアミンとカルボン酸と水を含む洗浄組成物
本発明の酸化防止液と上記洗浄組成物とを組み合わせて用いることにより、残渣除去と金属膜の低エッチング能と酸化防止という効果が高まる点で好ましい。なお、上記洗浄組成物の組成(質量%)は任意に設定することができ、例えばそのpHに併せて酸性化合物と塩基性化合物とを配合すればよい。
本発明の酸化防止液は特定のリンス方法に依らず、様々な実施態様に適合して使用することができる。例えば、使用装置は枚葉式でもバッチ式でもどちらでもよい。リンス時の温度は室温以上が好ましい。処理時間は30秒から10分が好ましい。適用量は適宜選択できる。
〔半導体素子の製造〕
次に、本発明の酸化防止液を好適に適用することができる半導体素子の構造及びその製造過程の一例について図1(図1−1〜1−4)を用いて説明する。同図は、本実施形態に基づく半導体素子の製造過程の一部の概要を示す工程断面図である。本実施形態においては、所定の構造に半導体基板を構成し、その最上部に形成されたパッド(パッド電極)5を露出する開口部Hが設けられている(図1−4参照)。その後の回路基板への実装では、このパッドの部分を端子としてボンディングワイヤ等が接続される。本実施形態においては、そのダイシング工程に先立って、この露出したパッドの金属膜表面55に不動態膜を形成し酸化腐食から保護するものである。なお、本明細書において半導体基板とは半導体素子を製造する中間体(前駆体)の総称として用い、シリコンウェハのみならず、そこに絶縁膜や電極等が付された実装前の中間製品を含む意味である。
半導体基板上に形成された多層配線構造においては、積層された層間絶縁膜中に、配線パターンが形成されている。また、配線パターン間を接続するビアが層間絶縁膜中に適宜形成されている。図中の工程(a)では(図1−1)、パッドまで形成された多層配線構造の最上部の一例を示すものである。図示するように、半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁膜1中には、配線パターン7が形成されている。配線パターン7は、TiNやTi膜などのバリアメタル膜71と、バリアメタル膜71に覆われたアルミニウム(Al)膜72とを有している。その隣には、バリアメタル膜81に覆われたAl膜82で構成された配線パターン8が図示されているが、この断面においては、パッドと接続されていない。なお、層間絶縁膜1及び2も断面を表しているが図の煩雑化を避け、ハッチングを付していない。
配線パターン7が形成された層間絶縁膜1上には、層間絶縁膜2が形成されている。層間絶縁膜2中には、配線パターン7に接続されたビア6が形成されている。ビア6は、窒化チタン膜などのバリアメタル膜61と、バリアメタル膜61に覆われたタングステン膜62とを有している。ビア6が形成された層間絶縁膜2上には、ビア6を介して配線パターン7に接続されたパッド(パッド電極)5が形成されている。パッド5は、順次積層された密着膜51とAl−Cu膜52と密着膜52とを有している。密着膜51、53は、チタン/窒化チタンの積層構造又は窒化チタンの単層構造を有している。このようにパッド5が形成された層間絶縁膜2上に、例えば高密度プラズマCVD法により、シリコン酸化膜3を形成する(工程(b)参照)。
次いで、シリコン酸化膜3上に、例えばプラズマCVD法により、シリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜4を形成する(工程(c)参照)。
次に、パッシベーション膜4上に、フォトリソグラフィーにより、パッド5に達する開口部の形成領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマを用いたドライエッチングにより、パッシベーション膜4及びシリコン酸化膜3をエッチングする。このとき、パッド5の密着膜51及びAl−Cu膜52の上部もエッチングされうる。こうして、パッシベーション膜4及びシリコン酸化膜3に、パッド5を露出する開口部Hを形成する(工程(d)参照)。パッシベーション膜4及びシリコン酸化膜3のドライエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
次いで、プラズマを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する(工程(e)参照)。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。開口部Hを形成するためのフォトレジスト膜の形成、パッシベーション膜4及びシリコン酸化膜3のドライエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいては、開口部H周辺の表面を含む基板表面に残渣(プラズマエッチング残渣)zが付着する。この残渣zは、変質したフォトレジスト膜、パッシベーション膜4、シリコン酸化膜3、及び密着膜51、Al−Cu膜52などに由来する。図中では、残渣の種類によって区別して示してはいない。
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、残渣洗浄液により、パッド52を露出する開口部Hまでが形成された半導体基板を洗浄する(工程(f))。こうして、開口部Hの内壁及び底面(Al−Cu膜表面)が洗浄され、そこに付着した残渣zを除去する。このときの洗浄液としては、市販のもの等を用いることができる。市販品としては、EKC Technology Inc.社製 EKC 265(商品名)、Ashland Chemical社製 ACT 935(商品名)、Mitsubishi Gas Chemical社製 ELM C-30(商品名)などが挙げられる。これらの製品に関しては特許文献としても公開されている(米国特許第5279771号明細書、米国特許第5419779号明細書、米国特許第5630904号明細書参照)。
本実施形態においては、上記洗浄工程の後に上述した酸化防止液を適用するリンス工程を有する(工程(g)参照)。このときのリンス条件は既に述べたとおりである。本実施形態によれば、上述した酸化防止液の作用が発揮され、パッド表面で露出したアルミニウム−銅合金(Al−Cu)膜52の表面が処理され、そこに不動態膜pが形成される。図示したものは模式化して示したものであり、厚みのある膜(層)として認識できるものでなくてもよい。このように酸化防止液によりAl−Cu膜52表面が保護され、酸化防止性が付与されたため、その後に引き続くダイシング工程において大量の水ないし水性媒体に晒されても、Al−Cu膜の腐食(浸食)が抑制・防止される。したがって、本実施形態によれば、このパッドにボンディングワイヤ等を接続したときに、ピッティングコロージョン(pitting corrosion)等のない、良好な電気的特性が発揮される。それにより高い歩留まりを実現することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例I)
<実施例、比較例、参考例>
以下の表1に示す成分をそこに示した組成(質量%)で水に含有させて酸化防止液を調液した(実施例・比較例)。水は、半導体製造工程で使用される一般的な超純水を用いた。表中に組成(質量%)を示した成分はこの量を含有させ、塩基性化合物は各試料について示したpHになる量で含有させた。これらに水の組成(質量%)を合わせて100質量%となることを意味する。表中のpHは室温(20℃)においてHORIBA社製、F−51(商品名)で測定した値である。なお、比較例1はリン酸を含まない薬液でのリンス実験を示すものである。
残渣の除去にはMitsubishi Gas Chemical社製 ELM C−30(商品名)の残渣除去液を使用し20℃で枚葉式の除去装置(SPS-Europe B.V.社製、POLOS(商品名))を用いて行った。
上記残渣の洗浄後、それぞれ調製した酸化防止液を図1−の工程()に示した構造を有する半導体基板に塗布しリンス処理を行った。半導体基板の金属膜52にはアルミニウム−銅合金(銅0.5質量%含有)、シリコン酸化膜3にはSiOを適用したものを用いた。各実施例、参考例および比較例において適用した金属膜の材料種は表1に示した。
<ダイシング工程による腐食(浸食)>
上記半導体基板(集積回路付きウェハ)について、ダイシング加工を施し、その後の金属膜52の表面55を観察した。この観察には、光学顕微鏡を用い、50倍の倍率を主たる条件として行った。この観察により以下のように区別してその良否を評価した。その結果を下表1に示した。
AA:黒点の数が0個/μm
A: 黒点の数が1−2個/μm
B: 黒点の数が3−9個/μm
C: 黒点の数が10個/μm以上
ダイシングはUV剥離型ダイシングテープを用い、切削水を使用の上、ダイシングプレートを用いて行った。
Figure 0005852303
本発明の酸化防止方法及び酸化防止液によれば(実施例)、この処理を行わなかったもの(比較例1)に比し、半導体基板における金属膜表面の酸化による浸食(ピッティングコロージョン)を効果的に抑制することができた。また、pHが好適な範囲に調節されているので金属膜や絶縁層を腐食してしまうことがなく(実施例・比較例を対比参照)、しかも、ダイシング工程において多量に付与される水の影響を緩和し良好な金属膜表面の維持を可能とすることが分かる。
なお、上記表1における略号が示す化合物は以下の通りである。
(リン含有化合物)
P1: リン酸(Phosphoric acid)
P2: ポリリン酸(Poly phosphoric acid)
P3: ホスホン酸(Phosphonic acid)
P4: 五酸化二リン(Phophorous pentoxide)
P5: 次亜リン酸(Dihydridohydroxidooxidophosphorus)
P6: フォスカルネット(Foscarnet)
P7: エチルホスホン酸(Ethyl phosphonic acid)
P8: 1-ヒドロキシエタン−1,1−ビス(ホスホン酸)
(1-Hydroxyethane-1,1-bis(phosphonic acid))
(有機カルボン酸化合物)
AA:酢酸
BA:安息香酸
CA:クエン酸
DGA:ジグリコール酸(オキシ二酢酸)
FRA:蟻酸
GA:グリコール酸
GLA:グルコン酸
LA:乳酸
MA:リンゴ酸
MLA:マレイン酸
MNA:マロン酸
OA:シュウ酸
PA:プロピオン酸
PHA:フタル酸
PHHA:フタロヒドロキサム酸
SA:サリチル酸
SHA:サリチルヒドロキサム酸
SUA:コハク(琥珀)酸
TA:酒石酸
(塩基性化合物)
DEA:ジエタノールアミン
DGAm:ジグリコールアミン
BTMAH:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
KOH:水酸化カリウム
MEA:2−アミノエタノール
TEA:トリエタノールアミン
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(実施例II)
また、実施例1の処理液を用いて処理時間に対する黒点の数を調べた。その際、基板の前処理をしたものとしていないもので比較したところ、前処理を行ったものでは前処理をしていないものよりも早く黒点の数が減少することが確認できた。前処理としては、2.38%TMAH水溶液に30秒浸漬した後、純水にて1分間洗浄を行った。
(実施例II
以下の表2に示す成分をそこに示した組成(質量%)で水に含有させて酸化防止液を調液した(実施例、参考例、参考実施例)。詳細な調製条件は実施例と同様である。評価は、上述の黒点の判定に加え、コスモ・バイオ株式会社製、商品名:イージーカルト(Easicult)M及びイージーカルト(Easicult)TTC を使用し、25℃で5日間培養し細菌の繁殖試験を行った。結果を、下記のように分類して表2に示した。
3:繁殖が確認できなかった
2:10CFU/ml以下で繁殖を確認した
1:10CFU/mlを超える繁殖を確認した
なお、本実施例における黒点の判定試験においては、酸化防止液試料として、黴や細菌の発生による影響が出やすくなる7日間大気中に室温(約28℃)で保存後のものを使用した。
Figure 0005852303
・リン含有化合物、塩基性有機化合物、カルボン酸化合物の略称は上記表1の注釈参照。
(防黴・防菌剤)
EA: 2-Methyl-4-isothiazoline-3-one
EB: 1,2-Benzoisothiazoline-3-one
EC: 5-Chloro-2-methyl-4-isothiazoline-3-one
ED: o-Phenylphenol
EE: p-Chloro-m-cresol
EF: 3-Methyl-4-chlorophenol
EG: Sodium 2-pyridinethiol-1-oxide
EH: Hexahydro-1,3,5-triethyl-s-triazine
EI: 2,4,6-Trimethylpyridinium p-Toluenesulfonate
EJ: 4-(2-nitrobutyl)morpholine
EK: 4,4'-(2-ethyl-2-nitrotrimethylene)dimorpholine
EL: Tetramethyl ammonium chloride
EM: Dodecyl pyridinium chloride
上記の結果から分かるとおり、本発明の好ましい実施形態によれば、黴や細菌の発生が好適に抑制され、所定期間大気中に保存の後にも高い酸化防止効果が得られることが分かる。
1、2 層間絶縁層
3 シリコン酸化膜
4 パッシベーション膜
5 パッド
51、53 密着膜
52 アルミニウム−銅合金(Al−Cu)膜
6 ビア
61 バリアメタル膜
62 タングステン膜
7、8 配線パターン
H 開口部
c ピッティングコロージョン(黒点)
p 不動態膜
z 残渣

Claims (19)

  1. 半導体基板の金属膜表面を酸化防止液により処理するに当たり、
    前記酸化防止液として、水に少なくとも下記リン含有化合物及び下記塩基性化合物を含有させ、pHを6〜10に調整したものを用いることを特徴とする金属膜表面の酸化防止方法。
    塩基性化合物:炭素数4〜30の有機アミン、第4級アンモニウム水酸化物、KOH、NaOH、およびLiOHから選ばれる少なくとも1つ
    リン含有化合物:リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸、亜リン酸、五酸化二リン、またはそれらの塩からなる無機リン化合物
  2. 前記酸化防止液中に、防黴・防菌剤を含むことを特徴とする請求項1記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  3. 前記防黴・防菌剤がフェノール構造、ピリジン構造、トリアジン構造、モルホリン構造、イソチアゾリン構造、ピリジニウム構造、第4級アンモニウム構造のいずれかを含む化合物である請求項2記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  4. 前記リン含有化合物を0.001〜10質量%で含有させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  5. 前記塩基性化合物を0.001〜20質量%で含有させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  6. 前記酸化防止液に、さらに有機カルボン酸化合物を含有させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  7. 前記塩基性化合物が、第4級アンモニウム水酸化物又は炭素数4〜30のアルカノールアミンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  8. 前記有機カルボン酸化合物が、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及びフタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項6又は7に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  9. 前記酸化防止液による処理を半導体基板に施し、その後当該半導体基板に対して水を付与して行うダイシングを行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  10. 半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程において、前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程の後に、前記酸化防止液による処理を実施することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  11. 前記金属膜を構成する金属がアルミニウムまたはアルミニウム−銅合金である請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属膜表面の酸化防止方法。
  12. 半導体基板の金属膜表面を処理する酸化防止液であって、水と下記リン含有化合物と下記塩基性化合物とを含有させ、pHを6〜8.4に調整した酸化防止液。
    塩基性化合物:炭素数4〜30の有機アミン、第4級アンモニウム水酸化物、KOH、NaOH、およびLiOHから選ばれる少なくとも1つ
    リン含有化合物:リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸、亜リン酸、五酸化二リン、またはそれらの塩からなる無機リン化合物
  13. さらに防黴・防菌剤を含む請求項12に記載の酸化防止液。
  14. さらに有機カルボン酸化合物を含む請求項12又は13に記載の酸化防止液。
  15. pHを6〜8としたことを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の酸化防止液。
  16. 前記リン含有化合物を0.001〜10質量%で含有させた請求項12〜15のいずれか1項に記載の酸化防止液。
  17. 前記塩基性化合物を0.001〜20質量%で含有させた請求項12〜16のいずれか1項に記載の酸化防止液。
  18. 前記金属膜を構成する金属がアルミニウムまたはアルミニウム−銅合金である請求項12〜17のいずれか1項に記載の酸化防止液。
  19. 水を付与して行うダイシング工程の前の酸化防止処理に用いることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の酸化防止液。
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