JP5848207B2 - 圧延機の板厚制御方法 - Google Patents
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圧延スタンドには板厚を制御するための板厚制御部が備えられており、この板厚制御部では、自動板厚制御(AGC)として、フィードフォワードAGC(FF−AGC)、BISRA−AGC、モニタAGCなどが採用されている。
BISRA−AGCでは、圧延荷重の変動による出側板厚の変動を低減すべく、圧延スタンドに備えられたロードセルで検出された荷重に基づき、圧下位置を操作する。理想的なBISRA−AGCでは、荷重が変動しても出側板厚が変動しないように、圧下位置の指令値(ギャップ量の変更量ΔSB)を操作する。したがって、式(1)にΔh=0を代入したときのΔS(ΔSB)をBISRA−AGCによる圧下位置の指令値とする。
例えば、特許文献1には、圧下装置とロール駆動装置の各々をフィードフォワード制御して、圧延材の板厚および張力を制御する多段スタンド圧延機の制御方法において、各スタンドの圧下位置、ロール周速、出側の板厚及び次スタンドとの間の板速を所定周期で検出し、前記出側の板厚の検出位置から次スタンドまでの位置に対応して記憶している前記板厚の履歴データ列を前スタンド出側で検出された前記板速に応じてシフトしながら、新たに検出された前記板厚を記憶し、予め与えられる前記圧下装置の応答遅れ時間に移動する圧延材の移動距離に相当する板厚データを前記履歴データ列の前記次スタンド側から選択し、この選択された板厚データを元に圧下フィードフォワードする前記圧下装置への圧下指令を求め、同様にして前記ロール駆動装置の応答遅れ時間に基づいて前記履歴データ列から選択される板厚データを元に速度フィードフォワードする前記ロール駆動装置への速度指令を求める圧延制御方法が開示されている。
図4は、この問題を説明するためにシミュレーションを行った結果である。図4(a)には、入側板厚の変動量が示されている。図4(b)は、この入側板厚の変動に対し、何も制御をしなかった場合のシミュレーション結果を示している。図4(c)には、式(4)によるフィードフォワードAGCを適用した場合、図4(d)には、式(6)によるBISRA−AGCを適用した場合、図4(e)には、式(4)によるフィードフォワードAGCと式(6)によるBISRA−AGCを同時に適用した場合の出側板厚の変動が示されている。
本発明の圧延機の板厚制御方法は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機の板厚制御方法であって、前記圧延機の入側板厚の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるフィードフォワードAGCと、圧延機の圧延荷重の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるBISRA−AGCを併用するに際しては、前記圧延機の圧延荷重の実績値から、フィードフォワードAGCで算出された圧下位置の指令値に対応する圧延荷重を差し引いた圧延荷重偏差を求め、求められた圧延荷重偏差を基にBISRA−AGCによる圧延機の圧下位置の指令値を求め、前記フィードフォワードAGCで算出された圧下位置の指令値と、BISRA−AGCで算出された圧下位置の指令値とを、前記圧延機に適用することを特徴とする。
の指令値ΔSF,i−1に対応する圧延荷重PF,i−1を求め、i番目の制御ステップにおける圧延機の圧延荷重の実績値Piから、前記圧延荷重PF,i−1を減算することで、i番目の制御ステップでのBISRA−AGCに用いる圧延荷重PB,iを求め、求められた圧延荷重PB,iを基にi番目の制御ステップでのBISRA−AGCによる圧下位置の指令値ΔSB,iを求めると共に、i番目の制御ステップにおけるフィードフォワードAGCによる圧下位置の指令値ΔSF,iを求め、求められた圧下位置の指令値ΔSF,iと圧下位置の指令値ΔSB,iとの和を、圧延機に適用することを特徴とする。
図1は、圧延材Wを圧延する圧延機(圧延スタンド1)を模式的に示した図である。
圧延スタンド1は、上下一対のワークロール2,2とそれぞれの圧延ロールをバックアップするバックアップロール3,3を備える。ワークロール2は、圧下位置制御装置4によりその圧下位置が変更可能となっていて、そのギャップ量が可変とされている。
以下、板厚制御部10において実施される圧延機の板厚制御方法(本発明の板厚制御方法)について、図2に示すフローチャートに従いつつ、詳細に説明する。
測した板速度に基づき、板厚計5で計測した板厚をトラッキングすることにより、圧延スタンド1の位置における入側板厚偏差ΔHiを計算する。なお、以降の表記で、添字のiはi番目の制御ステップ(制御サイクル)での値を意味する。
STEP2にて、板厚制御部10内のフィードフォワードAGC11において、入側板厚偏差ΔHiに基づき、圧下位置への指令値ΔSF,iを計算する。
STEP6では、圧下位置制御装置が入力された圧下位置の指令値(ΔSF,i+ΔSB,i)に従い、圧下位置を制御する。
このように、圧延荷重ΔPBを式(9)にて計算する理由について、以下に示す。
まずは、KF=1とした場合について説明する。式(8)中のミル定数、影響係数、入側板厚偏差ΔHに誤差がないものとする。この場合、フィードフォワードAGC11により入側板厚偏差ΔHによる出側板厚の変動を0にすることができるため、Δh=0となる。入側板厚偏差ΔHに対してフィードフォワードAGC11によりΔh=0になるように制御した結果、
計測値から、入側板厚の変動による荷重変動分だけ差し引いた値ΔPBをBISRA−AGC12の計算に用いる。
以上述べた、STPE1〜STEP6を実施することで、本発明によれば、FF−AGC11とBISRA−AGC12を同時に使用した場合であっても、ゲイン調整によらず、過制御になることを防止しつつ、適正な圧延を行うことが可能となる。
図3(a)には、圧延スタンド1により圧延材Wを圧延した結果として、フィードフォワードAGC11を適用した際の板厚偏差が示されている。図3(b)には、BISRA−AGC12を適用した際の板厚偏差が示されている。図3(c)には、フィードフォワードAGC11とBISRA−AGC12を同時に適用した際の板厚偏差が示されている。この制御は、例えば特許文献1に開示された板厚制御技術である。図3(d)には、本発明の板厚制御を適用した際の板厚偏差が示されている。図3の各グラフの右側には、グラフの範囲における板厚の標準偏差を示している。
つまり、本発明によれば、FF−AGCとBISRA−AGCを併用した場合であっても、ゲイン調整によらず、過制御になることを防止しつつ、適正な圧延を行うことが可能となる。
2 ワークロール
3 バックアップロール
4 圧下位置制御装置
5 板厚計
6 板速度計
7 ロードセル
10 板厚制御部
11 フィードフォワードAGC
12 BISRA−AGC
13 遅延装置
14 荷重計算装置
W 圧延材
Claims (2)
- 圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機の板厚制御方法であって、
前記圧延機の入側板厚の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるフィードフォワードAGCと、圧延機の圧延荷重の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるBISRA−AGCを併用するに際しては、
前記圧延機の圧延荷重の実績値から、フィードフォワードAGCで算出された圧下位置の指令値に対応する圧延荷重を差し引いた圧延荷重偏差を求め、
求められた圧延荷重偏差を基にBISRA−AGCによる圧延機の圧下位置の指令値を求め、
前記フィードフォワードAGCで算出された圧下位置の指令値と、BISRA−AGCで算出された圧下位置の指令値とを、前記圧延機に適用することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。 - 圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機の板厚制御方法であって、
前記圧延機の入側板厚の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるフィードフォワードAGCと、圧延機の圧延荷重の実績値に基づき、当該圧延機の圧下位置の指令値を求めるBISRA−AGCを併用するに際しては、
i−1番目の制御ステップにおけるフィードフォワードAGCで算出された圧下位置の指令値ΔSF,i−1に対応する圧延荷重PF,i−1を求め、
i番目の制御ステップにおける圧延機の圧延荷重の実績値Piから、前記圧延荷重PF,i−1を減算することで、i番目の制御ステップでのBISRA−AGCに用いる圧延荷重PB,iを求め、
求められた圧延荷重PB,iを基にi番目の制御ステップでのBISRA−AGCによる圧下位置の指令値ΔSB,iを求めると共に、i番目の制御ステップにおけるフィードフォワードAGCによる圧下位置の指令値ΔSF,iを求め、
求められた圧下位置の指令値ΔSF,iと圧下位置の指令値ΔSB,iとの和を、圧延機に適用することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
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