JP2019111549A - 連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置 - Google Patents

連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】連続圧延機のスタンド間材料張力を高精度に制御することができる連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置を提供すること。【解決手段】連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法であって、各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理によりスタンド間材料張力を時々刻々と推定し、その推定されたスタンド間材料張力の推定値に基づいて、スタンド間材料張力を制御する張力推定制御工程を有しており、張力推定制御工程において、逐次推定処理で用いる圧延トルクアーム係数の値に、所定の補正係数を乗じて算出した補正後圧延トルクアーム係数を用いてスタンド間材料張力を推定する。【選択図】図3

Description

本発明は、連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置に関する。
連続圧延機を用いた圧延プロセスにおいては、スタンド間の材料張力は、被圧延材の厚みや幅などを決定する一つの因子である。したがって、被圧延材の厚みや幅を精度よく制御するためには、スタンド間の材料張力を、正確に測定するか、他の測定量を用いて間接的に推定するかして求める必要がある。
特許文献1には、各スタンドの圧延荷重と圧延トルクとを測定し、これらの測定量を用いて、スタンド間の材料張力を間接的に推定するスタンド間材料張力推定方法が開示されている。このスタンド間材料張力推定方法では、まず、各スタンドの圧延荷重と圧延トルクとを測定し、各スタンドにおける圧延荷重、圧延トルク、前方張力、後方張力、及び、圧延トルクアーム係数を、下記(1)式で示すロール半径Rで正規化されたHillの近似式で関係付ける。
Figure 2019111549
次に、下記(2)式及び(3)式を定義する。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
そして、各変数をスタンドごとに区別して表すために、被圧延材搬送方向上流側に位置するスタンドから順に付される各スタンドの番号を添え字「i」で表すと、下記(4)式の関係から下記(5)式のように定義すれば、第iスタンドにおける上記(1)式は、下記(6)式に示すように変形される。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
Figure 2019111549
次に、中間パラメータである圧延トルクアーム係数aを推定する。すなわち、被圧延材が第1スタンド〜第jスタンドまで噛み込んでいる状態で、各スタンドの上記(6)式を全て加算して張力項を消去し、下記(7)式を得る。
Figure 2019111549
ここでは、境界条件として、被圧延材両端は無張力(q=q=0)としている。この結果、上記(1)式の圧延トルクアーム係数aを推定する問題に帰結でき、その各スタンドの圧延トルクアーム係数aを要素とする推定ベクトルを、各スタンドの変数pを要素とする入力ベクトルを用いて、下記(8)式及び(9)式に示す逐次最小二乗法で求める。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
なお、上記(8)式及び(9)式の添え字「k」は、k番目のサンプリング時刻を表す。Qはj行j列の行列であり、共分散行列と呼ばれる。次に、張力qを推定する。上記(8)式及び(9)式に示す逐次最小二乗法で求められた推定ベクトルを用いて、上記(6)式を下記(10)式に変形する。
Figure 2019111549
上記(10)式は、被圧延材を噛み込んでいるスタンド数分(j個)作成できるが、推定したい張力qはスタンド間の数(j−1個)である。この冗長性を利用して、誤差εを最小とすべく最小二乗法で、すなわち連立方程式を解くことで、各スタンドの張力qを推定する。そして、その推定された張力qが張力目標値となるように、ワークロールを回転駆動させる駆動モータの速度を制御する。
特開昭58−86918号公報
しかしながら、特許文献1に開示された各スタンド間の材料張力を求める方法では、圧延トルクアーム係数aの推定値が真の値から大きく外れ、結果として張力qの推定精度が低下するといった問題が生じ得る。この問題は、被圧延材の厚さが比較的厚い被圧延材に見られるもので、原因の一つとしてピーニング効果と呼ばれる現象が考えられる。圧延におけるピーニング効果は、図8に示すように、被圧延材の圧延ロール投影接触弧長Ldと圧延ロールバイト内平均板厚との比である接触比が1より小さいときに生じる現象であると推定されており、図8(b)に示すように圧延ロールバイトの入口付近で圧力分布のピークが生じて面圧が高くなることが知られている。
一方で、上記(1)式では、図8(a)に示すようなロールバイト内の中央部付近にのみ、圧力分布のピークが生じることを前提としている。そのため、前記接触比が1より小さくピーニング効果が発生するような圧延条件下では、圧延トルクアーム係数aが真の値よりも小さく推定されてしまい誤差が生じる。特に、連続圧延機における途中のスタンドまでしか被圧延材が噛み込んでいない状態で圧延が行われる非定常な圧延状態では、被圧延材の板厚が厚い、すなわちピーニング効果の生じやすい初段側のスタンドのみによって、圧延トルクアーム係数aが推定されており、生じた前記誤差はそれらスタンドにそのまま蓄積される。その結果、全てのスタンドに被圧延材が噛み込んだ後の定常な圧延状態においても、前記初段側のスタンドは、圧延トルクアーム係数aに大きな前記誤差を持つことになり、スタンド間材料張力の推定精度が低下することになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、連続圧延機のスタンド間材料張力を高精度に制御することができる連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法は、複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御する連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法であって、各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理により前記スタンド間材料張力を時々刻々と推定し、その推定された前記スタンド間材料張力の推定値に基づいて、該スタンド間材料張力を制御する張力推定制御工程を有しており、前記張力推定制御工程において、前記逐次推定処理で用いる圧延トルクアーム係数の値に、所定の補正係数を乗じて算出した補正後圧延トルクアーム係数を用いて前記スタンド間材料張力を推定することを特徴とするものである。
また、本発明に係る連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法は、上記の発明において、前記所定の補正係数が、予め求められた、被圧延材の圧延ロール投影接触弧長と圧延ロールバイト内平均板厚との比と、前記圧延トルクアーム係数の推定値と前記圧延トルクアーム係数の実績値との比と、の関係に基づいて設定されることを特徴とするものである。
また、本発明に係る連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法は、上記の発明において、被圧延材の圧延ロール投影接触弧長と圧延ロールバイト内平均板厚との比と、前記圧延トルクアーム係数の推定値と前記圧延トルクアーム係数の実績値との比と、前記所定の補正係数と、の関係を表した回帰式を用いて、前記所定の補正係数が設定されることを特徴とするものである。
また、本発明に係る鋼板の製造方法は、複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御して鋼板を製造する鋼板の製造方法であって、上記の発明の連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法を用いて、前記スタンド間材料張力を制御することを特徴とするものである。
また、本発明に係る連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置は、複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御する制御手段を備えた連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置であって、前記制御手段は、各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理により前記スタンド間材料張力を時々刻々と推定し、その推定された前記スタンド間材料張力の推定値に基づいて、該スタンド間材料張力を制御する張力推定制御工程を有しており、前記張力推定制御工程において、前記逐次推定処理で用いる圧延トルクアーム係数の値に、所定の補正係数を乗じて算出した補正後圧延トルクアーム係数を用いて前記スタンド間材料張力を推定することを特徴とするものである。
本発明に係る連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置においては、連続圧延機のスタンド間材料張力を高精度に制御することができるという効果を奏する。
図1は、実施例に係る連続圧延機の概略構成図である。 図2は、被圧延材の圧延ロール投影接触弧長と圧延ロールバイト内平均板厚との説明図である。 図3は、実施形態に係る連続圧延機における、スタンド間材料張力の推定制御の一例を示すフローチャートである。 図4は、連続圧延機の第1スタンド−第2スタンド間のスタンド間材料張力を、本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法によって推定する際に用いた、圧延トルクアーム係数の値を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。 図5は、連続圧延機の第1スタンド−第2スタンド間のスタンド間材料張力を、本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法によって推定し、張力推定誤差を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。 図6は、連続圧延機の第1スタンド−第2スタンド間のスタンド間材料張力を、従来のスタンド間材料張力推定方法によって推定する際に用いた、圧延トルクアーム係数の値を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。 図7は、連続圧延機の第1スタンド−第2スタンド間のスタンド間材料張力を、従来のスタンド間材料張力推定方法によって推定し、張力推定誤差を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。 図8は、圧延におけるピーニング効果の説明図である。
以下に、本発明を適用した連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法、その連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法を用いた鋼板の製造方法、及び、連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置の一実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る連続圧延機1の概略構成図である。実施形態に係る連続圧延機1は、図1に示すように、第1スタンドST1から第7スタンドST7までの複数のスタンドを備えており、第1スタンドST1から第7スタンドST7までの全てのスタンド間における被圧延材(鋼板)2の張力制御を、ルーパを使用しないルーパレスで制御するものである。
各スタンドは、それぞれ上下に配置した一対のワークロール11a〜11gと、これらワークロール11a〜11gを支持する一対のバックアップロール12a〜12gとを備えている。各ワークロール11a〜11gには、駆動モータ13a〜13gから回転駆動力が伝達される。また、各スタンドST1〜ST7には、圧延荷重計14a〜14g及び圧下位置検出装置15a〜15gが設けられている。また、連続圧延機1には、スタンド間における被圧延材2の張力であるスタンド間材料張力を推定及び制御するための張力推定制御装置16が設けられている。なお、上記スタンド間材料張力制御装置は、駆動モータ13、圧延荷重計14、圧下位置検出装置15及び張力推定制御装置16などで構成されている。
張力推定制御装置16は、後述する本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法を利用して、所定の制御周期ごとに、各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理によりスタンド間における被圧延材2の張力であるスタンド間材料張力を時々刻々と推定する。そして、スタンド間材料張力の推定値に基づいて、スタンド間材料張力が予め設定された張力目標値となるように駆動モータ13a〜13gの速度を制御する。
実施形態に係る連続圧延機1で適用されるスタンド間材料張力制御方法では、前記逐次推定処理の一例として、圧延トルク、圧延荷重及びスタンド間材料張力が関係付けられた所定の式に、圧延トルク及び圧延荷重の値を代入し、逐次最小二乗法で解いて圧延トルクアーム係数を時々刻々と推定し、その推定した圧延トルクアーム係数の推定値に基づいて、スタンド間材料張力を時々刻々と推定する。そのため、まず、各スタンドにおける圧延荷重P、圧延トルクG、前方張力q、後方張力q、及び、圧延トルクアーム係数aを、下記(11)式で示すロール半径Rで正規化されたHillの近似式で関連付けておく。
Figure 2019111549
なお、圧延荷重Pは圧延荷重計14によって測定し、圧延トルクGは駆動モータ13a〜13gの電流や電圧や、駆動モータ13a〜13gからワークロール11への駆動伝達ギア列のギア比などを考慮して算出する。また、各スタンドのスタンド出側板厚hは、圧下位置検出装置15の出力であるロールギャップSと、圧延荷重Pと、ミルのバネ定数Mとから、下記(12)式で示されるゲージメータ式で求める。
Figure 2019111549
各スタンドのスタンド入側板厚Hは、前スタンドのスタンド出側板厚hを、駆動モータ速度から推定する被圧延材2の速度に応じて下流にシフトすることにより求めた。なお、第1スタンド入側板厚は、前段に設置されている粗圧延機の出側板厚情報を使用した。扁平ロール半径R’は、下記(13)式で示されるHitchicoch式で求めた。なお、下記(13)式における「B」は板幅であり、「C」はワークロール11の弾性定数である。
Figure 2019111549
また、材料噛み込み角αは、下記(14)式で求める。
Figure 2019111549
上記(11)式において、ロール半径Rで正規化されたHillの近似式を採用することにより、圧延荷重Pの係数が圧延トルクアーム係数aという物理的意味が明確な量にすることができる。また、スタンド入側板厚Hやスタンド出側板厚hなどを既知の変数としてモデル式に取り込むことが可能となるため、それらの影響を張力推定に考慮することができ、張力推定精度を向上させることもできる。
次に、下記(15)式及び(16)式を定義する。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
そして、各変数をスタンドごとに区別して表すため、スタンドの番号を添え字「i」で表すと、下記(17)式の関係から下記(18)式のように定義すれば、第iスタンドにおける上記(11)式は、下記(19)式に示すように変形される。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
Figure 2019111549
次に、中間パラメータである圧延トルクアーム係数aを推定する。すなわち、被圧延材2が第1スタンドから第jスタンドまで噛み込んでいる状態で、各スタンドの上記(19)式を全て加算して張力項を消去して、下記(20)式を得る。
Figure 2019111549
ここでは、境界条件として、被圧延材両端は無張力(q=q=0)としている。この結果、上記(11)式の圧延トルクアーム係数aを推定する問題に帰結でき、その各スタンドの圧延トルクアーム係数aを要素とする推定ベクトルを、各スタンドの変数pを要素とする入力ベクトルを用いて、下記(21)式及び(22)式で示した逐次最小二乗法で求める。なお、下記(21)式及び(22)式の「Q」は共分散行列、「ρ」は忘却係数を表しており、変数の上のハット記号は推定値であることを表している。また、下記(21)式及び(22)式の添え字「k」は、k番目のサンプリング時刻を表し、Qはj行j列の行列である。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
次に、張力qを推定する。上記(21)式及び(22)式で示した上記逐次最小二乗法で求められた上記推定ベクトルを用いて、上記(19)式を下記(23)式に変形する。
Figure 2019111549
ここで、本実施形態においては、上述の張力関係式の所定のパラメータの値に対して、所定の補正係数を乗じ、当該所定のパラメータの値を補正する。具体的には、張力推定制御工程において、上記(23)式の所定のパラメータの値である圧延トルクアーム係数aの推定値に、下記(24)式に示すように所定の補正係数fを乗じて算出した補正後パラメータである補正後圧延トルクアーム係数aを用いてスタンド間材料張力を推定する。
Figure 2019111549
上記(24)式は、被圧延材2を噛み込んでいるスタンド数分(j個)作成できるが、推定したい張力qはスタンド間の数(j−1個)である。この冗長性を利用して、誤差εを最小とすべく最小二乗法で、すなわち連立方程式を解いて各スタンドの張力qを推定する。そして、その推定された張力qが張力目標値となるように駆動モータ13の速度を制御する。
また、本実施形態においては、スタンド間材料張力を推定する際に用いる圧延トルクアーム係数aの補正係数fを、次のように設定している。まず、図2に示すような、下記(25)式で定義される被圧延材2の圧延ロール投影接触弧長Lと、下記(26)式で定義される圧延ロールバイト内平均板厚hとの比であって、下記(27)式で定義される接触比λが異なる複数の被圧延材2を用いて、連続圧延機1により圧延を行い、各被圧延材2を用いた場合における実績圧延トルク、実績圧延荷重及び張力目標値または他の手段で取得可能な張力実績値を予め取得しておく。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
Figure 2019111549
そして、その取得した実績圧延トルク、実績圧延荷重及び張力目標値または他の手段で取得可能な張力実績値を、それぞれHillの近似式に代入し、各被圧延材2を用いた場合における圧延トルクアーム係数aの実績値を算出する。
次に、圧延トルクアーム係数aの推定値と圧延トルクアーム係数aの実績値との比と、圧延トルクアーム係数aの補正係数fと、各被圧延材2の接触比λとの関係を表した下記(28)式に示す回帰式に、連続圧延機1による当回の圧延で圧延対象となる被圧延材2である当回被圧延材の想定される接触比λを代入して、当回被圧延材を用いた場合における圧延トルクアーム係数aの補正係数fを算出する。なお、下記(28)式中のd2i、d1i、d0iは各項の係数である。ただし、下記(29)式に示すように、接触比λが予め定められた閾値s以上となる場合、補正係数fはd3iで与えられる定数に一致するものとする。閾値sは、圧延トルクアーム係数aの推定値と圧延トルクアーム係数aの実績値との比と、各被圧延材2の接触比λとの関係に応じて定められるものとする。
Figure 2019111549
Figure 2019111549
そして、その算出された補正係数fを、当回被圧延材を用いた圧延における圧延トルクアーム係数aに乗じる。このようにして各回ごとに補正係数fを求めて算出した補正圧延トルクアーム係数aは、スタンド間材料張力の推定制御における各回の推定ステップで用いられる。これにより、継時的に累積される圧延トルクアーム係数aの推定誤差、ひいては、スタンド間材料張力の推定誤差を低減させることが可能となる。
なお、板厚、板幅及び鋼種ごとに、各被圧延材2の接触比λと圧延トルクアーム係数aの補正係数fとを関係付けた複数のテーブルを予め作成しておいてもよい。そして、その複数のテーブルから、当回被圧延材の想定される接触比λに対応する圧延トルクアーム係数aの補正係数fを求めて、その求めた補正係数fの値を、当回被圧延材を用いた圧延における圧延トルクアーム係数aの補正係数fとして設定してもよい。
逐次最小二乗法の推定過程においては、一般的に、共分散行列Qの要素の値の大小により、推定ステップ毎の圧延トルクアーム係数aの変動の大小も変化する。また、推定ステップを重ね、圧延トルクアーム係数aの推定誤差が小さくなるにつれて、共分散行列Qの要素の値も小さくなることが知られている。特に、接触比λが1より小さい圧延条件下で、連続圧延機1における途中のスタンド、例えば、第3スタンドST3までしか被圧延材2が噛み込んでいない状態で圧延が行われる非定常な圧延状態である場合、ピーニング効果によるロールバイト入口付近の圧延荷重の増大に対し、Hillの近似式にしたがって、圧延トルクアーム係数aの真の値よりも低い圧延トルクアーム係数aの値に収束することになる。そのため、それに伴って共分散行列Qの要素の値が小さくなり、その結果、誤差に対する修正能力も低下する。
一方で、実際には、上記逐次最小二乗法を用いて推定した圧延トルクアーム係数aの推定値と、圧延トルクアーム係数aの真の値との間には誤差が残っている。そして、上述の非定常な圧延状態では、第1スタンドST1〜第7スタンドST7までの7つのスタンドを備えた連続圧延機1において、被圧延材2の板厚が厚い、すなわちピーニング効果が生じやすく、圧延トルクアーム係数aの前記誤差が比較的大きい初段側のスタンドである第1スタンドST1〜第3スタンドST3のみによって、圧延トルクアーム係数aが推定されており、前記誤差は、そのまま第1スタンドST1〜第3スタンドST3に蓄積される。その結果、第1スタンドST1〜第7スタンドST7の全てのスタンドに被圧延材2が噛み込んだ後の定常な圧延状態においても、第1スタンドST1〜第3スタンドST3は、圧延トルクアーム係数aに大きな前記誤差を持つことになる。そのため、上述したように連立方程式を解いて各スタンドの張力qを推定するので、スタンド間材料張力の推定精度が低下することになる。
これに対して、補正係数fを設定し圧延トルクアーム係数aに乗じて補正することで、非定常な圧延状態が原因となる圧延トルクアーム係数aの推定値の過剰な変動により、圧延トルクアーム係数aの推定値が、圧延トルクアーム係数aの真の値に対して乖離の大きな値として算出される場合でも、最終的な張力の推定値の誤差を抑制することができる。これにより、共分散行列Qの要素の値が小さくなっても、定常な圧延状態において、スタンド間材料張力の推定精度を維持することができる。
図3は、実施形態に係る連続圧延機1における、スタンド間材料張力の推定制御の一例を示すフローチャートである。張力推定制御装置16は、スタンド間材料張力の推定制御が開始されると、まず各スタンドの圧延トルクG及び圧延荷重Pを測定する(ステップS1)。次に、張力推定制御装置16は、測定した圧延トルクG及び圧延荷重Pに基づいて、圧延トルクアーム係数aを上述したように逐次最小二乗法を解いて算出し推定する(ステップS2)。次に、張力推定制御装置16は、圧延トルクアーム係数aの推定値を、所定の補正係数fで補正する(ステップS3)。張力推定制御装置16は、補正された圧延トルクアーム係数aの推定値に基づいて、スタンド間材料張力を算出し推定する(ステップS4)。そして、張力推定制御装置16は、スタンド間材料張力の推定値に基づいて、スタンド間材料張力が張力目標値となるように駆動モータ13の速度を制御し(ステップS5)、スタンド間材料張力の推定制御を終了する。
[実施例]
図4は、連続圧延機1の第1スタンドST1−第2スタンドST2間のスタンド間材料張力を、本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法によって推定する際に用いた、圧延トルクアーム係数aの値を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。図5は、連続圧延機1の第1スタンドST1−第2スタンドST2間のスタンド間材料張力を、本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法によって推定し、張力推定誤差を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。
図4及び図5に示すグラフでは、34.64[s」の時点に連続圧延機1の最終段のスタンドである第7スタンドST7への材料の噛み込みが開始されており、34.64[s]よりも前が非定常な圧延状態であり、34.64[s]以降が定常な圧延状態である。この実施例においては、図5に示すように、圧延トルクアーム係数aの値を補正することで、定常な圧延状態において張力推定誤差が小さい状態で、スタンド間材料張力の推定を継続的に高精度に維持することができる。よって、経時にわたって、スタンド間材料張力の推定値に基づいて、スタンド間材料張力を精度よく制御することができ、ルーパレス圧延の安定性が向上するため、連続圧延機1で良好な通板を行って圧延鋼板を製造することができる。
[比較例]
図6は、連続圧延機1の第1スタンドST1−第2スタンドST2間のスタンド間材料張力を、従来のスタンド間材料張力推定方法によって推定する際に用いた、圧延トルクアーム係数aの値を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。図7は、連続圧延機1の第1スタンドST1−第2スタンドST2間のスタンド間材料張力を、従来のスタンド間材料張力推定方法によって推定し、張力推定誤差を時間経過とともに描いたグラフの一例を示したものである。
図6及び図7に示すグラフでは、34.64[s」の時点に連続圧延機1の最終段のスタンドである第7スタンドST7への材料の噛み込みが開始されており、34.64[s]よりも前が非定常な圧延状態であり、34.64[s]以降が定常な圧延状態である。この比較例では、上記実施例のように本発明を適用したスタンド間材料張力推定方法によってスタンド間材料張力を推定した場合と比べて、図6に示すように、スタンド間材料張力を推定する際に用いる圧延トルクアーム係数aの値が、補正されていないために上記実施例よりも小さく、図7に示すように、張力推定誤差が大きい状態で推移していることがわかる。
なお、本発明は、ここに記載していない様々な実施形態を含み、圧延トルクアーム係数aの補正係数fと、接触比λとの関係を表した回帰式の設定方法などについては、上記実施形態に限定されない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に記載された発明特定事項によってのみ定められるものである。
1 連続圧延機
2 被圧延材
11 ワークロール
13 駆動モータ
14 圧延荷重計
15 圧下位置検出装置
16 張力推定制御装置

Claims (5)

  1. 複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御する連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法であって、
    各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理により前記スタンド間材料張力を時々刻々と推定し、その推定された前記スタンド間材料張力の推定値に基づいて、該スタンド間材料張力を制御する張力推定制御工程を有しており、
    前記張力推定制御工程において、前記逐次推定処理で用いる圧延トルクアーム係数の値に、所定の補正係数を乗じて算出した補正後圧延トルクアーム係数を用いて前記スタンド間材料張力を推定することを特徴とする連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法。
  2. 請求項1に記載の連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法において、
    前記所定の補正係数が、予め求められた、被圧延材の圧延ロール投影接触弧長と圧延ロールバイト内平均板厚との比と、前記圧延トルクアーム係数の推定値と前記圧延トルクアーム係数の実績値との比と、の関係に基づいて設定されることを特徴とする連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法。
  3. 請求項2に記載の連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法において、
    被圧延材の圧延ロール投影接触弧長と圧延ロールバイト内平均板厚との比と、前記圧延トルクアーム係数の推定値と前記圧延トルクアーム係数の実績値との比と、前記所定の補正係数と、の関係を表した回帰式を用いて、前記所定の補正係数が設定されることを特徴とする連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法。
  4. 複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御して鋼板を製造する鋼板の製造方法であって、
    請求項1乃至3のいずれか1つに記載の連続圧延機のスタンド間材料張力制御方法を用いて、前記スタンド間材料張力を制御することを特徴とする鋼板の製造方法。
  5. 複数のスタンドからなる連続圧延機のスタンド間における被圧延材の張力であるスタンド間材料張力を、予め設定された張力目標値となるように制御する制御手段を備えた連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置であって、
    前記制御手段は、各スタンドにおける圧延トルク及び圧延荷重に基づいて、逐次推定処理により前記スタンド間材料張力を時々刻々と推定し、その推定された前記スタンド間材料張力の推定値に基づいて、該スタンド間材料張力を制御する張力推定制御工程を有しており、
    前記張力推定制御工程において、前記逐次推定処理で用いる圧延トルクアーム係数の値に、所定の補正係数を乗じて算出した補正後圧延トルクアーム係数を用いて前記スタンド間材料張力を推定することを特徴とする連続圧延機のスタンド間材料張力制御装置。
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