JP5846865B2 - 濃色モルトエキス、及びその製造方法、並びにモルトエキス由来の、味又は臭いのマスキング剤、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
着色しようとする飲食品に求められる色によって、使用される天然色素は異なり、飲食品を茶系色に着色可能な天然色素としては、カラメル色素(カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIV)、コウリャン色素、タマネギ色素、カカオ色素、タマリンド色素などが知られている。
このような従来の茶系色を有する天然色素は、一般に耐酸性が低く、特にpHが4以下といった低pH条件(酸性条件)下では色素成分自体が不溶化する。このため、酸性飲料の底に不溶化した色素が沈澱する等、酸性飲食品を所望の色に着色することができないなどといった問題があった。酸性飲食品を茶系色に着色可能な天然色素としては耐酸性を有するカラメル色素(IV型)が挙げられるが、当該カラメル色素(IV型)は、製造時に亜硫酸化合物及びアンモニウム化合物を加えて製造されるため、安全性の問題から敬遠される傾向にある。
また、各種可食性製品の不快臭及び/又は不快味を抑制又は低減する目的で、従来のモルトエキスを用いた場合、前記可食性製品にモルトエキス由来の味、香り、及び色が付与されてしまうという問題があった。この問題に関して、本発明者らのグループは、かかる問題を解決する方法を見いだし、これに基づく新規のマスキング剤を特許出願している(特願2010-244167、未公開)。しかし、このようなマスキング剤の製造効率については、改善の余地があった。
また、本発明の別の目的は、可食性製品の味又は臭いを有効に低減でき、かつ前記可食性製品へのモルトエキス由来の味、香り、及び色の付与が抑制された、モルトエキス由来の味又は臭いのマスキング剤を効率的に製造する方法を提供することである。
本発明は、以下の態様を有する。
固形分の全体に対する分子量2000以下の固形分の重量百分率が20w/w%未満であり、かつ色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が70以上である濃色モルトエキス。
項2.
固形分の全体に対する分子量4000以下の固形分の重量百分率が20w/w%未満であり、かつ色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が80以上である項1に記載の濃色モルトエキス。
項3.
色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
低分子量の固形分を除去する工程
を含む、濃色モルトエキスの製造方法。
項4.
前記低分子化が、酸加水分解、及び酵素処理から選択される1種以上の処理によって実施される項3に記載の製造方法。
項5.
前記低分子化が、酵素処理によって実施され、前記酵素がアミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である項4に記載の製造方法。
項6.
前記低分子量の固形分の除去が、限外濾過、吸着樹脂による処理、及び微生物による処理から選択される1種以上の処理によって実施される項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.
項3〜6のいずれかに記載の製造方法で製造される濃色モルトエキス。
項8.
項1、2及び7のいずれかに記載の濃色モルトエキスを含有する茶系色素。
項9.
項1、2及び7のいずれかに記載の濃色モルトエキスを含有する着色製品。
項10.
色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
高分子量の固形分を除去する工程
を含む味又は臭いのマスキング剤の製造方法。
項11.
前記低分子化が、酸加水分解、及び酵素処理から選択される1種以上の処理によって実施される項10に記載の製造方法。
項12.
前記低分子化が、酸加水分解によって実施される項11に記載の製造方法。
項13.
前記低分子化が、酵素処理によって実施され、前記酵素がアミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である項11に記載の製造方法。
項14.
前記高分子量の固形分の除去が、限外濾過、及び吸着樹脂による処理から選択される1種以上の処理によって実施される項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
項15.
項10〜13のいずれかに記載の製造方法で製造される味又は臭いのマスキング剤。
項16.
項15に記載の味又は臭いのマスキング剤を含有する可食性製品。
項17.
色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
高分子量の固形分と低分子量の固形分とを分離して、高分子量の固形分を含有する濃色モルトエキス及び低分子量の固形分を含有する味又は臭いのマスキング剤を得る工程
を含む、濃色モルトエキス及び味又は臭いのマスキング剤の製造方法。
また、本発明の味又は臭いのマスキング剤の製造方法によれば、モルトエキスを原料として、可食性製品の味又は臭いをマスキングでき、かつ前記可食性製品にモルトエキス由来の味、香り、及び色が付与されてしまうことが抑制されているマスキング剤を効率的に製造することができる。
固形分の全体に対する分子量2000以下の固形分の重量百分率が20w/w%未満であり、かつ色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が70以上である。
恒量とは、引続き更に1時間乾燥するとき、前後の秤量差が前回に量った乾燥物の重量の0.25%以下であることを意味する。
本発明のモルトエキスは、前記の条件で乾燥させた場合、通常、30分間乾燥後の試料と、更に1時間乾燥後の試料との重量の差が、30分間乾燥後の試料の重量の0.25%以下になる。この場合、便宜上、前記の条件で30分間乾燥した固形分全体の重量を「固形分全体の重量」とすることができる。
当該「食品添加物公定書」の「色価測定法」においては、「通例、色価は、着色料溶液の可視部での極大吸収波長における吸光度を測定し、10w/v%溶液の吸光度に換算した数値(E10% 1cm)で表す」と定められている。
しかし、本発明においては、「可視部での極大吸収波長における吸光度」ではなく、500nmにおける吸光度を用いる。この理由から、本発明における色価は、「色価(波長:500nm)」と記載される場合がある。特に記載が無い限り、本明細書中、色価とは「色価(波長:500nm)」を意味する。
500nmの波長は、この波長の吸収はヒトに赤色を知覚させるので、赤系色の低彩度色である茶系の色素の評価に適している。
検液は次のようにして用意する。試料の量を精密に量り、メスフラスコに入れ、イオン交換水約10mlを加えて溶かし(又は希釈し)、更にイオン交換水を加えて正確に100mlとし、必要があれば遠心分離又はろ過し、試料溶液とする。この試料溶液を吸光度測定用の検液(希釈倍率=1)として用いる。但し、試料溶液の吸光度が0.3〜0.7の範囲内に入らない場合は、試料溶液を所定の希釈倍率で正確に希釈することにより得た希釈液を検液として用いる。
色価(波長:500nm)=((10×A×F)/試料の採取量(g))
[式中、Aは500nmでの検液の吸光度である。Fは、測定吸光度が0.3〜0.7の範囲に入るように調整するための希釈倍率である。]
ここで、所定の分子量以下の固形分の重量百分率は、前述の方法における分画分子量2,000の限外濾過膜に換えて、前記所定の分子量と同じ分画分子量を有する限外濾過膜を用いて測定される。
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程(工程A2)、及び
低分子量の固形分を除去する工程(工程A3)
を含む、濃色モルトエキスの製造方法。
モルトエキス原液の「色価(波長:500nm)/固形分含有率」の値は、濃色モルトエキスについて説明した「色価(波長:500nm)/固形分含有率」の値と同様の方法で決定することができる。
「焙煎されたモルト」は、モルトを、例えば、約90℃〜約230℃の温度で焙煎することによって得ることができる。ここで、焙煎の温度が高いほど、より色価が高いモルトエキス原液が得られる。
このようにして得られるモルトエキス原液は通常シロップ状である。当該シロップ状のモルトエキス原液は、そのまま、又は水で希釈(例、2〜6倍希釈)して、工程A2に付すことができる。
なお、このようなモルトエキス原液は、乾燥した粉末のモルトエキスを水に溶解させたものであってもよい。
このようなモルトエキス原液は、市販品としても入手可能である。
このような酸の使用量は、用いる酸の種類等に応じて設定すればよいが、通常、硫酸の場合、モルトエキス原液500g(固形分含有率10〜30w/w%)に対して2〜4N硫酸を最終濃度10〜20w/w%で用いることができる。なお、モルトエキス原液の「固形分含有率」は、濃色モルトエキスについて説明した「固形分含有率」の測定方法と同様の方法で測定することができる。
当該処理の温度は、通常、40〜60℃の範囲内である。
当該処理の時間は、通常、3〜8時間の範囲内である。
このような塩基の使用量は、用いる塩基の種類等に応じて設定すればよいが、例えば、水酸化ナトリウムの場合、モルトエキス原液500g(固形分含有率10〜30w/w%)に対して1〜4N水酸化ナトリウムを最終濃度5〜20w/w%で用いることができる。
当該処理の温度は、通常、40〜60℃の範囲内である。
当該処理の時間は、通常、3〜8時間の範囲内である。
このような酵素の使用量は、用いる酵素の種類等に応じて設定すればよいが、例えば、α-アミラーゼ又はプロテアーゼの場合、モルトエキス原液500g(固形分含有率10〜30w/w%)に対して、1,000〜3,000単位の酵素を用いることができる。
このような酵素としては、精製品、粗製品、又はこれらの酵素活性を有する菌体を用いることができる。
当該処理の温度は、通常、「酵素の至適温度−10℃」〜「酵素の至適温度+5℃」の範囲内である。
当該処理におけるpHは、通常、「酵素の至適pH値−1」〜「酵素の至適pH値+1」の範囲内である。
当該処理の時間は、通常、1〜8時間の範囲内である。
当該処理においては、酵素反応に必要な塩類等を添加する場合がある。
当該分画分子量を選択することにより、濃色モルトエキスの色価(波長:500nm)/固形分含有率の値及び収量を調製することができる。
具体的には、当該分画分子量を大きくすると、本発明の濃色モルトエキスの色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が高くなる傾向があり、一方、当該分画分子量を小さくすると、本発明の濃色モルトエキスの収量が増大する傾向がある。
しかし、分画分子量が2,000より小さいと、本発明の濃色モルトエキスに求められる色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が得られない恐れがある。
具体的には、例えば、ポリアクリロニトリル膜(例、ACP-1010、AHP-1010;旭化成ケミカルズ社)、ポリスルフォン膜(例、SAP-1013、SIP-1013;旭化成ケミカルズ社)等が挙げられる。
また、限外濾過膜の形態は、特に限定されず、例えば、平膜(シート状)、スパイラル膜、チューブラー膜、又は中空糸膜であることができる。
更に、本吸着処理工程を経た通過液は、モルトエキス特有の香り及び味も効果的に除去されているので、当該溶液に含まれる色素成分を茶系天然色素として食品に利用する場合、可食性食品へのモルトエキス由来の味、香りの付与が抑制されている点で優れる。
このような微生物としては、例えば、ビール酵母、ワイン酵母、パン酵母のように食品分野で使用されている酵母(例、サッカロマイセス・セレビシエ)、及び麹菌(例、アスパルギルス・オリザエ)等が安全性の面で好ましい。
微生物培養の定法に従い、このような微生物の菌体を、工程A1で低分子化されたモルトエキス原液を添加し、生育させる。
生育条件(例、温度、酸素濃度、pH)は、使用する微生物にとって好適な条件を、の種類に応じて、選択すればよい。
微生物処理後、加熱殺菌が好ましい。又は、微生物処理液を濾過助剤(例、セライト)でプレコートした濾紙(例、No.2、ADVANTEC社)で濾過することにより、微生物を除去する。
特に、本発明の濃色モルトエキスは、対象物の味又は臭いをマスキングする性質が抑制されているので、添加による対象物の味又は臭いへの影響が少ない。
その具体的な用途は、後記に詳細に述べる。
色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程(工程B1)、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程(工程B2)、及び
高分子量の固形分を除去する工程(工程B3)
を含む。
本発明の製造方法においては、当該工程B2によって、味又は臭いのマスキング作用を有する低分子量の固形分の量が増加するので、効率的にマスキング剤を製造することができる。
アルコール水溶液に用いられるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールを例示することができる。なかでも、好ましくは、エタノールである。
アルコール水溶液の使用量は適宜調整することが可能であるが、好ましくは、モルトエキス原液又はその処理液に対して2〜10倍量、更に好ましくは3〜4倍量使用することができる。アルコール濃度が90v/v%より高いアルコール水溶液、若しくは10v/v%未満のアルコール水溶液や水を用いると、目的とするマスキング効果が得られない。
なお、本発明では、吸着樹脂にモルトエキス原液又はその処理液を通液させた後、アルコール水溶液を用いる前に、水で吸着樹脂を洗浄する工程を含むことが好ましい。
特に、当該味又は臭いのマスキング剤は、色が薄いので、添加による対象物の色への影響が少ない。
なお、このようにして得られた低分子量の固形分は、塩味を呈する食品の塩味を増強させることができるので、そのまま、又は所望により、精製、濃縮、乾燥、添加剤の添加等により、適当な形態(例、液体、ペースト、粉体)に調製し、塩味の増強剤として、或いは、味又は臭いのマスキング及び塩味の増強剤として好適に使用できる。
その具体的な用途は、後記に詳細に述べる。
すなわち、本発明は、
色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程(工程C1)、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程(工程C2)、及び
高分子量の固形分と低分子量の固形分とを分離して、高分子量の固形分を含有する濃色モルトエキス及び低分子量の固形分を含有する味又は臭いのマスキング剤を得る工程(工程C3)
を含む、濃色モルトエキス及び味又は臭いのマスキング剤の製造方法
をも提供するものである。
本発明は、前述する本発明の濃色モルトエキスの茶系色素としての用途もまた提供する。本発明の濃色モルトエキスは、茶系色を付与又は増強する必要がある製品に添加することで、当該製品に茶系色を付与、又は当該製品の茶系色を増強することができる。本発明の茶系色素は前述する本発明の濃色モルトエキスを成分として含有する。
茶系色素の色調(色相)測定は、次のように実施される。まず、検液の500nmにおける吸光度が0.4になるように適量の試料を100mlメスフラスコに精密に量り、イオン交換水で正確に100mlとし、必要があれば遠心分離又はろ過し、試料溶液とする。この試料溶液を積分球付の紫外可視分光光度計V−560(日本分光社製)を利用して分光透過率を測定することによって行って、Hunter Lab表色系のLab値を測定し、色相(Hue)を算出する。
このような茶系色素は、その形態及び組成に応じて、色素、着色料、及び色素製剤の製造における慣用の方法によって、製造することができる。
着色される飲食品としては、制限はされないが、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等の冷菓類;乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料(果汁入りを含む)、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、スポーツ飲料、粉末飲料等の飲料類;リキュールなどのアルコール飲料;コーヒー飲料、紅茶飲料等の茶飲料類;コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;カスタードプリン、ミルクプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け、粕漬け、麹漬け、糠漬け、酢漬け、芥子漬、もろみ漬け、梅漬け、福神漬、しば漬、生姜漬、朝鮮漬、梅酢漬け等の漬物類;セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;チーズ等の酪農製品類;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。
また、本発明の茶系色素は、石鹸及びシャンプーなどの日用品の着色にも使用することができる。
当該マスキング剤は、モルトエキス由来の味、香り、及び色が可食性製品へ付与されることが抑制されている点で優れている。
モルトエキス原液に、1650単位のプロテアーゼ(プロテアーゼM「アマノ」、アマノエンザイム社)によって、40〜45℃で3時間処理し、80℃、30分間加熱することにより酵素を失活させ、30℃まで冷却し、その後、セライトでプレコートした濾紙(No.2、ADVANTEC社)で濾過した。次いで、分画分子量2500の限外濾過膜(G10、DESAL社)で、限外濾過し、更に、500mlのイオン交換水を5回通液して、濃縮液(膜非透過画分)及び透過液(膜透過画分)を得た。
分画分子量2500の限外濾過膜に換えて、
分画分子量4,000(SAP-1013、旭化成ケミカルズ社)(実施例2)、
分画分子量6,000(SIP-1013、旭化成ケミカルズ社)(実施例3)、
分画分子量13,000(ACP-1050D、旭化成ケミカルズ社)(実施例4)、又は
分画分子量50,000(AHP-1010、旭化成ケミカルズ社)(実施例5)
の限外濾過膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ濃縮液(膜非透過画分)及び透過液(膜透過画分)を得た。
焙煎モルトエキス原液のプロテアーゼ処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、前記分画分子量6,000(比較例1)の限外濾過膜を用い、それぞれ濃縮液(膜非透過画分)及び透過液(膜透過画分)を得た。
焙煎モルトエキス原液のプロテアーゼ処理に換えて、1650単位のα−アミラーゼ(ビオザイムA「アマノ」、アマノエンザイム社)によって、50℃で3時間処理したこと以外は、実施例3と同様にして、前記分画分子量6,000の限外濾過膜を用い、濃縮液(膜非透過画分)及び透過液(膜透過画分)を得た。
焙煎モルトエキス原液のプロテアーゼ処理に換えて、最終濃度15%の3N硫酸によって、50℃で4時間処理したこと以外は、実施例3と同様にして、前記分画分子量6,000の限外濾過膜を用い、濃縮液(膜非透過画分)及び透過液(膜透過画分)を得た。
吸光度(波長:500nm、光路長:10mm)の測定に分光光度計(日本分光(株)のV-560を使用)を用いて、色価(波長:500nm)/固形分含有率の値を求めた。
モルトエキス原液(固形分含有率:19.4%)の色価(波長:500nm)/固形分含有率の値は53であった。
表1に濃縮液(膜非透過画分)の、表2に透過液(膜透過画分)の固形分重量、固形分含有率(%)、色価(波長:500nm)、色価(波長:500nm)/固形分含有率の値及びマンセル表色系の色相を記載する。
表1により、本発明の濃色モルトエキスは、高い、色価(波長:500nm)/固形分含有率の値を有することが理解される。
また、実施例1〜5及び比較例1の透過液(膜透過画分)は、味又は臭いのマスキング効果を有する。本発明の製造方法により、得られるマスキング剤の量が著しく増えることが理解される。
実施例6及び7の濃縮液(膜非透過画分)並びにモルトエキス原液について、吸光度(波長:500nm、光路長:10mm)の測定に分光光度計(日本分光(株)のV-560を使用)を用いて、前述した方法により、色価(波長:500nm)/固形分含有率の値を求めた。
その結果、モルトエキス原液の色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が53であったのに対し、実施例6の濃縮液の色価(波長:500nm)/固形分含有率の値は125.4であり、実施例7の濃縮液の色価(波長:500nm)/固形分含有率の値は177.0であった。
これにより、本発明の濃色モルトエキスは、高い、色価(波長:500nm)/固形分含有率の値を有することが理解される。
実施例1〜5で得られた濃縮液を乾燥して濃色モルトエキスを調製する。これらの各種6濃色モルトエキスを用いて、表3及び4に示す処方に従ってシロップを調製し、得られたシロップ20部に対して炭酸水80部を加え、酸性炭酸飲料(コーラ風飲料)を調製する。当該酸性炭酸飲料は、濃い茶系の色を呈する。
表5に示す各調味料を混合した調味液に刻み白菜漬、刻みダイコン漬、刻みネギ漬、刻みニンジン漬を添加し、漬物を調製する。当該漬物は、大根や魚醤に由来する不快味や不快臭が顕著に低減され、まろやかな呈味を有する。
本発明の製造方法により製造される味又は臭いのマスキング剤は、飲食品の不快味のマスキング等に使用できる。
Claims (7)
- 色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
分子量2000以下である低分子量の固形分を除去する工程
を含み、
前記低分子化が、(1)酸加水分解処理、及び(2)アミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である酵素を添加する段階を含む酵素処理から選択される1種以上の低分子化処理によって実施されることを特徴とする
濃色モルトエキスの製造方法。 - 前記低分子量の固形分の除去が、限外濾過、吸着樹脂による処理、及び微生物による処理から選択される1種以上の処理によって実施される請求項1に記載の製造方法。
- 色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
分子量50000以上である高分子量の固形分を除去する工程
を含み、
前記低分子化が、(1)酸加水分解処理、及び(2)アミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である酵素を添加する段階を含む酵素処理から選択される1種以上の低分子化処理によって実施されることを特徴とする
味又は臭いのマスキング剤の製造方法。 - 前記高分子量の固形分の除去が、限外濾過、及び吸着樹脂による処理から選択される1種以上の処理によって実施される請求項3に記載の製造方法。
- 色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
分画分子量2000〜50000の限外濾過膜を用いて高分子量の固形分と低分子量の固形分とを分離して、高分子量の固形分を含有する濃色モルトエキス及び低分子量の固形分を含有する味又は臭いのマスキング剤を得る工程
を含み、
前記低分子化が、(1)酸加水分解処理、及び(2)アミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である酵素を添加する段階を含む酵素処理から選択される1種以上の低分子化処理によって実施されることを特徴とする
濃色モルトエキス及び味又は臭いのマスキング剤の製造方法。 - 色価(波長:500nm)/固形分含有率の値が30以上であるモルトエキス原液を用意する工程、
前記モルトエキス原液中の固形分を低分子化する工程、及び
分子量2000を超える高分子量の固形分と分子量2000以下である低分子量の固形分とを分離して、高分子量の固形分を含有する濃色モルトエキス及び低分子量の固形分を含有する味又は臭いのマスキング剤を得る工程
を含み、
前記低分子化が、(1)酸加水分解処理、及び(2)アミラーゼ、及びプロテアーゼから選択される1種以上である酵素を添加する段階を含む酵素処理から選択される1種以上の低分子化処理によって実施されることを特徴とする
濃色モルトエキス及び味又は臭いのマスキング剤の製造方法。 - 前記高分子量の固形分が、分子量50000以上である高分子量の固形分である請求項5に記載の製造方法。
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