JP5844560B2 - フィリング入りのパンにおけるフィリングの風味向上方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィリング入りのパンにおけるフィリングの風味向上方法、詳細には、フィリング入りのパンにおいて、スクラロースをパン生地に添加することを特徴とするフィリングの風味向上方法に関する。
パンは消費者の嗜好の多様化に合わせて、多くの種類のものが販売されている。
従来から、焼成したパンに、ジャムやカスタードクリームなどのフィリングを用いた菓子パンがあり、根強い需要を維持している。
菓子パンにおいて、クリームやジャムなどのフィリングに甘味を付与し、風味を向上させるために、砂糖や種々の高甘味度甘味料が使用されているが、これまでこれらの甘味剤は、フィリングに直接添加されて使用されていた。
スクラロースは、ショ糖の約600倍の甘味を有しており、高甘味度甘味料として、種々の食品の甘味付けや、風味の向上などに用いられている。
スクラロースがパンに使用されている例として、例えば特許文献1には、スクラロースなどの高甘味度甘味料を、菓子パンなどの醗酵ベーカリー食品の生地中に練り込むことにより、甘味が付与されることが記載されている。
また、特許文献2には、スクラロースを添加して特定温度で焼成することにより、砂糖を使用した場合に比べて、焼き色が薄く調製されたパンが製造できることが記載されている。
しかしながら、フィリング入りのパンにおいて、スクラロースを直接パン生地に添加することによって、当該パンに用いられるフィリング自体の風味を向上できることは、いずれにも記載されていない。
特開2002−199840号公報 特開2002−233299号公報
従来のクリームやジャムなどのフィリングに、砂糖やスクラロースなどの高甘味度甘味料を添加して、甘味を付与し風味を向上させる方法では、使用するフィリング毎にこれらの甘味剤を添加してフィリングを調製しなければならないため、いろいろなフィリング入りのパンを製造するには工程が煩雑になり、コストが高くなるという問題点があった。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、フィリング入りのパンにおいて、スクラロースをパン生地に添加することにより、クリームやジャムなどのフィリングに、直接スクラロースを添加しなくとも、フィリングの風味を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は下記に掲げるフィリングの風味向上方法に関するものである。
項1.フィリング入りのパンにおいて、スクラロースをパン生地に添加することを特徴とするフィリングの風味向上方法。
項2.フィリングが、クリーム又はジャムである、項1記載のフィリングの風味向上方法。
項3.クリームがチョコレートクリームであり、ジャムがイチゴジャムである、項2記載のフィリングの風味向上方法。
項4.スクラロースの添加量が、パン生地中の穀粉類に対して、0.0001〜0.05質量%である、項1〜3記載のフィリングの風味向上方法。
フィリング入りのパンにおいて、スクラロースをパン生地に添加することにより、当該パンに用いられるフィリングの風味を向上することができる。
そのため、パン生地を製造して焼成したパンの中に、フィリングを詰めたりするだけで、菓子パンを製造できるので、一度に多くの種類のフィリング入りの菓子パンを製造することができる。
本発明は、フィリング入りのパンにおいて、スクラロースをパン生地に添加することを特徴とする、当該パンに用いられるフィリングの風味向上方法に関するものである。
本発明に用いるスクラロースは、ショ糖の約600倍の甘味を有する高甘味度甘味料であり、商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンスイートSU100等を挙げることができる。
本発明において、パン生地中の穀粉類に添加するスクラロースの割合は、使用するフィリングの種類によって適宜調整することができるが、通常穀粉類に対して0.0001〜0.05質量%、好ましくは0.0005〜0.02質量%、さらに好ましくは0.001〜0.01質量%である。
パン生地中の穀粉類に対して、スクラロースが0.0001質量%より少ないと、フィリングの風味向上効果が十分ではなく、また、スクラロースが0.05質量%より多いと、パン生地自体に甘味がつきすぎて、いずれも好ましくない。
本発明のフィリング入りのパンに用いられるフィリングとしては、クリーム(チョコレートクリーム、バタークリーム、チーズクリーム、カスタードクリーム、生クリーム、フラワーペーストなど)、ジャム(イチゴジャム、オレンジジャム、マーマレードなど)、餡、チョコレートなどが挙げられるが、スクラロースは、パン生地に添加することにより、特にクリームやジャムの風味を向上することができる。
本発明に係るパン自体は、必須原料としての穀粉類(薄力粉、強力粉、中力粉等)及び水の他に、スクラロースを含み、必要に応じて本発明の効果を損なわない限りにおいて、糖類(例えば砂糖、果糖、ブドウ糖、蜂蜜、オリゴ糖、糖アルコール、トレハロースなど)、スクラロース以外の高甘味度甘味料(例えば、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、ステビア抽出物、羅漢果抽出物など)、イースト、食塩、油脂類(例えばショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油など)、乳製品、調味料(グルタミン酸類、核酸など)、化学膨脹剤、香料、色素、酸化防止剤、保存料等を添加混捏し、焼成の工程を経て製造される。
本発明のパン自体の製造工程は、通常用いられる方法であれば特に制限はない。スクラロースをパン生地に添加し練り込む工程についても特に制限はなく、穀粉類等の原材料に粉体で混合したり、あらかじめ水中に溶かして使用したりすることができる。通常用いられる方法として、例えばストレート法、中種法、液種法など従来用いられている方法を使用できる。
このようにして製造したパンに、上記フィリングを詰める、シート状に折り込む、うわがけするなどの方法により、フィリングの風味が向上した菓子パンを製造することができる。
以下、本発明の内容を以下の実験例及び実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実験例1(菓子パンの製造)
(1)ホームベーカリー(National製 品番:SD−BT103)を使用して、表1の処方に基づき、強力粉、無塩バター、砂糖、食塩、脱脂粉乳を内釜に仕込む。
(2)スクラロースを冷水に溶解して、(1)に加える。
(3)ドライイーストを所定の位置にセットする。
(4)ホームベーカリーの食パンコースで、約200℃で焼成し、−20℃で冷凍して保存する。
(5)出来上がったパンに、市販のチョコクリームを詰めて、菓子パンを製造する。
Figure 0005844560
チョコクリームの風味のエンハンス効果が好ましい順に、◎、○、△、×で評価し、結果を表2に示す。
Figure 0005844560
実験例2
実験例1と同様にしてチョコクリームを詰めた菓子パンを製造し、スクラロースの効果を他の高甘味度甘味料と比較した。
各高甘味度甘味料の添加量は、表3の通りとし、スクラロースと同等の甘味となるように、他の高甘味度甘味料を添加した(表3の数値は、質量%を示す)。実験例1と同様に評価して、結果を表4に示す。
Figure 0005844560
*1:J-100(守田化学株式会社製)
*2:ミラスィー200(大日本住友化学株式会社製)
*3:ネオサンマルクDC(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
Figure 0005844560
上記の結果から、スクラロースは他の高甘味度甘味料と比べて、パンに詰められるフィリングの風味を向上する効果に優れている。
実施例8
実験例1の実施例2(スクラロース添加量:0.001質量%)と同様にして製造したパンに、市販のイチゴジャムを詰めて菓子パンを調製し、イチゴジャムの風味を評価した。
その結果、パンとイチゴジャムの一体感があり、バランスのとれた味になり、さらに、イチゴの味が引き立ち、すっきりとした甘さになるのと同時に、甘酸っぱさが長く持続した。
本発明により、パンに用いられるフィリングの風味を向上することができるので、食品工業において有用である。




Claims (1)

  1. フィリングがチョコレートクリーム又はイチゴジャムであるフィリング入りのパンにおい
    て、スクラロースをパン生地中の穀粉類に対して、0.0005〜0.02質量%添加することを特徴とするフィリングの風味向上方法。
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