JP6757206B2 - 製菓製パンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、乳風味の向上とその持続性が優れた製菓製パンの製造方法に関する。
従来より、食品の乳風味を向上させるための方法として、ラクトン類、脂肪酸類、アルデヒド類、エステル類、アルコール類、ケトン類および含硫化合物等の揮発性香気成分を食品の原材料に添加することが知られている。しかし、揮発性の高い香気成分は、製菓製パンのような加熱調理される食品に直接添加しても、製造時や保管時に揮発してしまい、風味が低下してしまうという問題があった。上記含硫化合物の一種であるジメチルスルフィド(DMS)等の揮発性香気成分は、適量を食品の原材料に添加することで、乳風味を付与あるいは向上させることが知られているが、揮発性が高く、食品の原材料に添加されていても、風味やその持続性が低下しやすい。近年、DMSの前駆物質であるS−メチルメチオニンスルフォニウムクロライド(MMSC)やDMSを食品の原材料に添加することにより、乳風味を向上させる食品の製造方法が提案されている。(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1には、MMSCを配合する乳系フレーバーの製造方法が提案されており、具体的には、MMSCを添加した乳飲料を製造することが記載されている。この乳飲料では乳風味が向上するとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、クッキーやパンなどの製菓製パンについて、製菓製パン自体の乳風味を向上させたり、乳風味の持続性を向上することができるかどうかについては、十分に検討されていなかった。
一方、特許文献2には、DMSを含有し、バター様の風味および好ましい塩味を呈する油脂組成物の製造方法が提案されている。この油脂組成物をトーストに塗布すると、良好なバター風味を得られるとされている。特許文献3では、DMSを含有するパンの芳香臭を有する着香組成物が提案されており、この着香組成物を用いて製造したパンには、軽く、ソフトで良好な発酵香があり、甘味、香ばしさ、清酒様香気が強く感じられるとされている。
特開2014−77067号公報 特開2012−50359号公報 特開2004−161948号公報
しかしながら、特許文献2、3に記載された方法においては、DMSを油脂組成物やパン生地に添加しており、製造工程の途中で、DMSが揮発してしまい、トースト後のパンや焼成後のパンにおける乳風味が十分であるとはいえなかった。
このように、自然な乳風味を有し、かつ乳風味の持続性を向上させることができる製菓製パンの製造方法の開発が望まれていた。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、自然な乳風味を有し、かつ乳風味の持続性を向上させることができる製菓製パンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の製菓製パンの製造方法は、S−メチルメチオニンスルフォニウムクロライド(MMSC)を生地に1.4〜13ppm添加し、加熱調理することを特徴としている。
本発明の製菓製パンの製造方法によれば、自然な乳風味を有し、かつ乳風味の持続性が向上した製菓製パンが得られる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の製菓製パンの製造方法は、S−メチルメチオニンスルフォニウムクロライド(MMSC)を、生地に対して1.4〜13ppm添加し、加熱調理することを特徴とする。
本発明に用いられるS−メチルメチオニンスルフォニウムクロライド(MMSC)は、ビタミンUとも呼称され、キャベツの搾汁から発見され、種々の胃腸薬の有効成分の一つとして知られている。精製したMMSCは、淡黄色の粉末で、特有の風味を有する。
また、MMSCは、加水分解されることによって、ジメチルスルフィド(DMS)を生じる。DMSは、特定の濃度範囲において、乳風味を示すが、その一方で、高濃度では、青海苔に似た磯臭い臭気をもたらす。また、DMSは非常に揮発性が高く、乳風味の持続性に難がある。
製菓製パンの生地へのMMSCの添加は、生地作製の際に配合する水中にあらかじめ添加、溶解させる方法、バターやマーガリンなどの油脂組成物の油相中にあらかじめ添加、分散させてから溶解させる方法や粉末状のMMSCを他の原材料とともに、攪拌混合してから溶解させる方法等が例示される。
本発明の製菓製パンの製造方法においては、MMSCの添加量は、生地に対して1.4〜13ppmの範囲内、好ましくは、4.0〜10ppmの範囲内であることが考慮される。MMSCの含有量が上記の範囲内であれば、自然な乳風味を有し、かつ乳風味の持続性を向上させた製菓製パンが得られる。
前述のとおり、MMSCが加水分解されることによって、DMSを生じ、乳風味が向上するため、乳風味が向上することの指標として、製菓製パン中のDMS含有量を測定することができる。製菓製パン中のDMSの含有量については、例えば、SPMEファイバーにDMSを吸着固定した上で、GC−MSを用いて測定することが好ましく例示される。また、製菓製パン中のDMSの含有量より、製菓製パン生地へのMMSC添加量に換算することができる。
乳風味の持続性としては、例えば、焼成直後から焼成後1〜3週間程度経過した後も、同程度の乳風味が感じられることが好ましく考慮される。
本発明の製菓製パンの製造方法は、穀粉等を原料として加熱調理された製菓製パン全般、例えば、菓子類(洋菓子、和菓子)、パン類等の製菓製パン生地に対して適用することができる。乳風味やその持続性が向上するため、乳や乳製品を含む製菓製パンの生地に添加することが好適である。
具体的には、MMSCを原材料に添加して生地を作製し、この生地を焼成や、油ちょう、水蒸気で蒸す等の加熱調理することによって製菓製パンを製造することができる。
製菓製パンとしては、穀粉等を原料として加熱調理されるものであれば特に限定されないが、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッド等のパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツ等のイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイ等のペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフル等のケーキ、ビスケット、クッキー、プリン、ゼリー、ババロア等の冷菓、ミルク饅頭等の乳菓、カステラ、どら焼き、蒸しパン等が挙げられる。
生地は穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、製菓製パンの生地に配合されるものであれば、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。これらは単独または2種類以上を併用することが例示される。
生地には、穀粉とMMSC以外にも、通常、製菓製パンの生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、製菓製パンの生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく配合することができる。具体的には、例えば、水や乳製品、食用油脂、蛋白質、糖質の他、卵、卵加工品、塩類、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、可塑性油脂(マーガリン類、ショートニング)、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色成分、香料等が挙げられる。
乳製品としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエイパウダー、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、牛乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、発酵乳等が例示され、また上記乳製品由来の乳タンパク質やその分解物なども好適に利用できる。このような乳製品とMMSCとを併用することにより、加熱調理後においても乳風味のある製菓製パンが得られ、しかも乳風味の持続性も向上させることができる。
前記食用油脂としては、通常食品に添加することができる油脂であれば特に制限はなく、また、常温で液体、固体等の形態は問わない。食用油脂の具体例としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、ヤシ油、カカオ脂、パーム油、パーム核油および藻類油等の植物油脂が例示される。また、豚脂、牛脂、魚油等の動物油脂が例示される。また、これらの食用油脂の分別油、硬化油、エステル交換油などを配合したものであってもよい。食用油脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用した調合油を用いてもよい。
生地に含まれる食用油脂の量としては、特に限定されないが、製菓製パンが、食パン、テーブルロール、菓子パン等のパン類や、デニッシュ、クロワッサン等のペストリーである場合には、例えば、製菓製パン中の穀粉100質量部に対して、1〜100質量部含むことが好ましい。製菓製パンが、イーストドーナツ、ケーキドーナツ等のドーナツ類である場合には、生地に含まれる食用油脂の量として、例えば、製菓製パン中の穀粉100質量部に対して、1〜20質量部含むことが好ましい。
製菓製パンが、クッキー、ビスケット等の菓子類である場合には、生地に含まれる食用油脂の量としては、例えば、製菓製パン中の穀粉100質量部に対して、10〜100質量部含むことが好ましい。製菓製パンが、スポンジケーキの場合は、生地に含まれる食用油脂の量として、例えば、製菓製パン中の穀粉100質量部に対して、10〜50質量部含むことが好ましい。製菓製パンが、バターケーキやパウンドケーキの場合は、生地に含まれる食用油脂の量として、例えば、製菓製パン中の穀粉100質量部に対して、50〜120質量部含むことが好ましい。
糖質としては、例えば、砂糖、異性化糖、液糖、澱粉糖化物、糖アルコール、乳糖、寒天、アルギン酸ナトリウム、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、大豆多糖類、イヌリン、タラガム、ローカストビーンガム、カードラン、アラビアガム、タマリンドシードガム、ペクチン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが例示される。
製菓製パンとしてクッキー、特にアイスボックスクッキーを製造する場合、バター、上白糖、全卵、薄力粉、MMSC水溶液等の原材料をミキサーボールに投入し、ビーターを使用して、ミキシングを行い、クッキー生地を得ることができる。
クッキーの焼成温度については、公知の製造条件を適宜適用することが可能である。
製菓製パンとして、パンを製造する場合、イーストを分散させた水、イーストフード、および強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用して、ミキシング、生地を得ることができる。なお、パン生地にMMSCを添加する場合には、原材料の水中にあらかじめ所定量のMMSCを溶解しておくことが好ましく考慮される。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の製菓製パンの製造方法に基づいて、アイスボックスクッキーおよび食パンを製造し、乳感の向上と持続性について以下のとおり分析および評価した。
<アイスボックスクッキーの製造>
バター、上白糖、全卵、薄力粉、水を以下に記載した配合でミキサーボールに投入し、ビーターを使用して、下記条件にてミキシングを行い、クッキー生地を得た。すなわち、上白糖とバターをすり合わせ、全卵とMMSC水溶液を徐々に加え合わせる。薄力粉を加えビーターでなじませた後、手で軽く合わせ、冷蔵庫で1時間リタードした。これを成型、リタードした後、脱型したクッキー生地を厚さ10mmにスライスし、オーブンで焼成した。二枚の天板を使用し、上段を180℃、下段を150℃に設定して18分間焼成してアイスボックスクッキーが得られた。なお、水中にあらかじめ所定量のMMSCを溶解した。後述する評価については、焼成直後のクッキー、20℃に1日、1週間および2週間保管したクッキーを用いた。
(アイスボックスクッキーのクッキー生地の配合)
バター 180g
上白糖 120g
全卵 45g
薄力粉 300g
水 0.8g(所定量のMMSCを溶解)
(実施例1)
上記のクッキー生地の水中に、生地の総重量に対して1.4ppmとなるようにMMSC(東京化成工業株式会社製)を溶解し、アイスボックスクッキーの製造を行った。
(実施例2)
MMSCの添加量を4.2ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(実施例3)
MMSCの添加量を9.8ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(実施例4)
MMSCの添加量を12.6ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(比較例1)
MMSCを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(比較例2)
MMSCの添加量を0.03ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(比較例3)
MMSCの添加量を0.3ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(比較例4)
MMSCの添加量を16.7ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
(比較例5)
水中にMMSCの代わりに、DMS(東京化成工業株式会社製)を直接クッキー生地に5.6ppm添加したこと以外は、実施例1と同様にしてアイスボックスクッキーの製造を行った。
<食パンの製造>
マーガリン以外の材料をミキサーに投入し、低速3分、中高速4分ミキシングを行った後、マーガリンを入れ低速2分、中高速4分ミキシングを行い、生地を得た。捏上げ温度は27℃であった。この生地を、室温で60分発酵させた後、パン生地を320gに分割し室温でベンチタイムを取り生地を休ませた後、成型してワンローフ型用の焼成型に入れ、38℃、湿度80%のホイロで60分発酵させた後、200℃で30分焼成して、食パンの製造を行った。なお、水中にあらかじめ所定量のMMSCを溶解した。後述する評価については、焼成直後の食パン、20℃に1日および3日保管した食パンを用いた。
(食パンの生地の配合)
強力粉 100質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 3質量部
マーガリン 8質量部
イースト 3質量部
イーストフード 0.1質量部
水 68質量部(所定量のMMSCを溶解)
(実施例5)
上記の食パンの生地の水中に、生地の総重量に対して1.4ppmとなるようにMMSCを溶解し、食パンの製造を行った。
(実施例6)
MMSCの添加量を4.2ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(実施例7)
MMSCの添加量を9.8ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(実施例8)
MMSCの添加量を12.6ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(比較例6)
MMSCを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(比較例7)
MMSCの添加量を0.03ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(比較例8)
MMSCの添加量を0.3ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(比較例9)
MMSCの添加量を16.7ppmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
(比較例10)
水中にMMSCの代わりに、DMSを生地に5.6ppm添加したこと以外は、実施例1と同様にして食パンの製造を行った。
<DMSの測定条件>
実施例1〜4、比較例1〜5のアイスボックスクッキーおよび実施例5〜8、比較例6〜10の食パンについて、SPME−GC/MS(固相マイクロ抽出−GC/MS)によるDMSの捕集、測定を行った。
SPME−GC/MSによるDMSの捕集、測定は下記の方法で行った。
破砕したアイスボックスクッキーまたは食パン2gを20mLバイアル瓶に秤量し、1mlの水を加えて、シリコンセプタムおよびアルミニウム製のキャップを用いて密封した。50℃恒温槽にて15分間インキュベートし、その後50℃にて25分間SPMEファイバー(50/30 DVB/Carboxen/PDMS (SUPELCO社製))にDMSを吸着した後、GC/MSにて測定した。DMSの分析機器には、Agilent 7890A/5975C GC/MSD (AgilentTechnologies社製)を使用し、Pure−WAX(内径0.25mm 長さ30m 膜厚0.25μm Intert Cap社製)カラムを用いた。DMSの測定結果の解析は GC/MS付属の解析ソフトを使用して行い、DMSの同定にはNIST08 Mass Spectral Libraryをデータベースと標準試薬の分析によって行った。
また、各サンプル中のDMS含量を比較するために、DMS(m/z62)のピークについて積分を行いピーク面積とした。さらに、表1においては、実施例1の焼成直後のクッキーのDMSのピーク面積を1とした際の各サンプルのDMSのピーク面積の相対強度を算出した。表2においては、実施例5の焼成直後の食パンのDMSのピーク面積を1とした際の各サンプルのDMSのピーク面積の相対強度を算出した。
測定条件は以下に示すとおりである。すなわち、スプリットレスモード、注入口温度250℃、キャリアガスHe、カラム初期流量1.0mL/min、オーブン条件40℃3分保持後、230℃まで3℃/minで昇温後、24分保持して、香気成分の分離を行った。MS条件は以下に示すとおりである。すなわち、検出器はイオントラップ型(EIモード)、測定はスキャンモード、MSトラップ温度200℃、トランスファー温度250℃、質量範囲35〜500m/z、スキャン速度0.5sec/scanとした。
実施例1〜8および比較例1〜10のアイスボックスクッキーおよび食パンについて、次の評価を行った。パネルは、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性15名、女性14名の合計29名を選抜した。
[製菓製パンの風味の評価]
実施例1〜4、比較例1〜5のアイスボックスクッキーおよび実施例5〜8、比較例6〜10の食パンについて、上記パネルにより喫食し、以下の基準でその風味を評価した。
なお、以下の評価において、乳風味を感じる場合について「乳感がある」と表現している。
◎:クセの無い自然な乳感がある。
○:クセの無い自然な乳感がやや向上している。
△:乳感があるが、やや青海苔臭がする。
×:乳感はせず、青海苔臭がきつい。または、乳感が弱い。
実施例1〜4および比較例1〜5のアイスボックスクッキーにおける各評価項目の評価結果を表1に、実施例5〜8および比較例6〜10の食パンにおける各評価項目の評価結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 0006757206
Figure 0006757206
表1に示すように、実施例1〜4のアイスボックスクッキーについては、MMSCを生地に添加してない比較例1に対し、乳感が向上していることが確認された。乳感は、MMSCの添加量依存的に向上したものの、MMSCを12.6ppm添加した実施例4では、やや青海苔臭が感じられた。しかも、焼成後、2週間経過しても乳風味が感じられ、乳風味の持続性が向上することが確認された。
一方、比較例2、3のアイスボックスクッキーの風味の評価試験を行った結果、MMSCの添加量が1.4ppm未満では、焼成直後には乳感の向上が認められるものの、焼成後1日経過した時点でほとんど乳風味を感じることができなくなった。すなわち、MMSCの添加量が1.4ppm未満では、乳風味の持続性の向上は認められなかった。
また、比較例4のアイスボックスクッキーの風味の評価試験を行った結果、MMSCの添加量が13ppm超では、青海苔臭がきつく感じられた。
MMSCの代わりにDMSを5.6ppm添加した比較例5のアイスボックスクッキーでは、比較例4と同様に、青海苔臭がきつく感じられた。
表2に示すように、実施例5〜8の食パンについては、表1の結果と同様に、MMSCを生地に添加してない比較例6に対し、乳感が向上していることが確認された。しかも、焼成後、2週間経過しても乳風味が感じられ、乳風味の持続性が向上することが確認された。乳感は、MMSCの添加量依存的に向上したものの、MMSCを12.6ppm添加した実施例8では、やや青海苔臭が感じられた。
一方、比較例7、8の食パンの風味の評価試験を行った結果、MMSCの添加量が1.4ppm未満では、焼成直後には乳感の向上が認められるものの、焼成後1日経過した時点でほとんど乳風味を感じることができなくなった。すなわち、MMSCの添加量が1.4ppm未満では、乳風味の持続性の向上は認められなかった。
また、比較例9の食パンの風味の評価試験を行った結果、MMSCの添加量が13ppm超では、青海苔臭がきつく感じられた。
MMSCの代わりにDMSを5.6ppm添加した比較例10の食パンでは、比較例9と同様に、青海苔臭がきつく感じられた。
したがって、本発明の製菓製パンの製造方法の発明においては、MMSCを生地に1.4〜13ppm添加し、加熱調理することにより、自然な乳風味を有し、かつ乳風味の持続性を向上させることが確認された。

Claims (1)

  1. S−メチルメチオニンスルフォニウムクロライド(MMSC)を、生地に対して4.0〜10ppm添加し、加熱調理する製菓製パンの製造方法。
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