JP5839527B1 - 超高感度マイクロ磁気センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェアラブルコンピュータ、医療用機器などに応用される高感度マイクロ磁気センサにおいて、高感度、広い測定範囲、マイクロサイズ、低消費電流、高速測定などの面で大幅な改善を図る。【解決手段】基板2上の基板溝28に沿って磁性ワイヤ29を2本設置し、それぞれのワイヤに一対の右巻きコイル21Rと左巻きコイル21Lおよび一対の右巻きコイル22Rと左巻きコイル22Lを設置し、両ワイヤに反対向きにパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する。円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を持つ磁性ワイヤに、パルス電流を通電することによって、表面磁区内のワイヤ軸方向の外部磁界Hにより軸方向に傾斜した円周方向スピンを超高速に一斉回転させて、その時に生じる超高速スピン回転現象によるワイヤの軸方向の磁化変化のみをコイル出力として取り出す。【選択図】図5

Description

本発明は、超高速スピン回転効果(英語表記は、GHz Spin Rotation effectである。略称は、GSR効果とする。)を基礎にした超高感度マイクロ磁気センサ(以下、GSRセンサという。)に関するものである。
高感度マイクロ磁気センサは、横型FGセンサ、縦型FGセンサ、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサ、MIセンサ、高周波キャリアセンサなどがある。現在これらの原理を用いた電子コンパスがスマートフォンや自動車などに採用され広く使用されている。今後ウェアラブルコンピュータのモーション入力装置として期待されており、その開発が加速している。
横型FGセンサは、1936年発明されたもので、励磁コイルを巻きつけたふたつの磁性ワイヤの30KHzの交流磁界で反並行に励磁して両方の磁化変化の差分の第二高調波の交流波高値をコイルで検知して外部磁界Hをもとめるタイプで、高感度性能を実現した。
1952年発明された縦型FGセンサ(特許文献1)は、磁性ワイヤに30KHzの交流電流、(表皮深さ180μm)を通電し円周方向に交番的に飽和磁化して、巻きつけたコイルの電圧変化の波高値から外部磁界Hを求めるタイプで、横型FGに比べて小型化・簡素構造化を実現した。
1988年発明されたパルス駆動の縦型FGセンサ(特許文献2)は、磁性アモルファスワイヤと500kHzの周波数のパルスを採用して、ワイヤを長さ50mm、径を125μmと小型化を実現したが、市場が求める長さ1mm以下のマイクロサイズの実現には至っていない。
縦型FGセンサは軸方向に磁化を円周方向磁界の駆動力で磁壁移動を引き起こし、磁化を円周方向に回転させもので、磁化の大きさとワイヤ長さとはトレードオフの関係にあり、原理的に小型化は困難であった。また磁化を円周方向に回転させるため大きな磁界、すなわち大きな励磁電流が必要で、消費電流が大きくなるという欠点があった。
MIセンサ(特許文献3)は、1993年に発見されたMI現象(magneto-impedance現象)を基礎にしたものである。この現象は、表面の円周方向に磁化した表面磁区(厚みは0.2μm程度)と中心部の軸方向に磁化したコア磁区の二つの構造を持つ磁性ワイヤ(直径30μm)または磁性薄膜に、1MHzから30MHzの高周波あるいはパルス電流を通電し、二つの磁区の間にある90度磁壁を振動させる。磁壁振動の平均的深さは1μmから4μmで、磁化の増大に比例して円周方向透磁率が増加し表皮深さが著しく縮小し、ワイヤの磁気インピーダンスが大きく変化する電磁現象である。そのインピーダンス(交流抵抗)の変化量から外部磁界Hをもとめるタイプである。
90度磁壁がコア磁区に浸透することでコア磁区内のスピンが円周方向に回転、すなわち磁化が回転することで磁化が変化するので、反磁界の影響はFGセンサに比べて小さい。その結果磁性ワイヤの長さを50mmから5mmと大幅に縮小することが実現した。
また、出力特性は、ワイヤのヒステリシスの影響を強く受け、しかも反対称性かつ非直線的であるという欠点があった。これらの問題は、負帰還回路を用いて解決したが、消費電力の点で問題であった。MIセンサ技術については、毛利教授の著作「磁気センサ理工学」(コロナ社出版、毛利佳年雄著、1998年)において詳しく紹介されている。
コイル検出型のMIセンサ(特許文献4;1999年)は、MI現象をコイルで検知した改良方式で、直線的出力を実現した。構造的には、縦型FGセンサと同じである。パルス通電時に円周方向磁界によって90度磁壁がコア部に浸透し、軸方向磁化が円周方向に回転し、軸方向の磁化の変化が起きる。この変化をコイルで検出する。90度磁壁の浸透は、通電電流の強さ、周波数、およびワイヤの透磁率などによって決まるが、1.3μmから4μm程度である。FGセンサは素材全体の磁化の回転を利用するため、感磁体であるワイヤの体積に比例するが、MIセンサの場合10MHzの高周波を利用するため、表皮深さが非常に浅く、出力は直径に比例する。高感度化のためには、FGセンサはワイヤ長さの増加することが必要であるが、MIセンサは高い周波数を活用して高感度化を図っているため、磁性ワイヤを直径30μmで、長さをFGセンサの50mmから3mmへと大幅に小型化できる。コイル内径は3mmであった。
コイル型MIセンサについて、構造がFGセンサと同じであるので、FGセンサの改良タイプという意見があるが、適用周波数が高く90度磁壁の振動という電磁現象を検出している点を考えれば、MIセンサの改良タイプというべきである。しかし、ヒステリシス低減のために負帰還回路を使用しており、消費電力が大きくなり問題であった。
続いて、MEMSプロセスで製造したMI素子を使い、磁性ワイヤを直径12μmで、長さを0.6mmと縮小し、しかもコイル内径を30μmと小型化したコイル検出型のMIセンサ(特許文献5)が開発された。これは、小型化と同時にパルス波形を三角波から台形波に変更し、パルス磁界アニーリング処理を施してヒステリシスの影響を取り除き、負帰還回路を省略して消費電流の低減を図ったものである。さらに磁性ワイヤの異方性磁界を20Gと著しく大きくして測定レンジを±10Gに拡大を図ったものである。MIセンサの改良型センサとして電子コンパス(商品名AMI306)などに応用商品化されている。
しかし、異方性磁界を大きくすると透磁率μが1000程度と著しく小さくなり、感度が大きく低下してしまう。感度低下を補うため、周波数を30MHzから200MHzへと増加している。と同時に大きな異方性磁界に打ち勝つ円周磁界を発生させるためにパルス電流を10mAから200mAへと増加している。
200MHzの高周波の場合、表面磁区とコア磁区の界面に存在する90度磁壁を動かすことは困難である。そこで、台形波パルスの立下りに着目して、立下り直前では90度磁壁はコア内部の深い位置に存在しており、電流が遮断すると、表皮深さより内部は円周方向磁界が無くなり、90度磁壁が移動を始めることができる。しかし、磁壁の移動自体が作る電磁ブレーキのためゆっくりと緩和現象的に磁化回転が進行していく。一方表面磁区内の円周方向に向いたスピンは円周方向の異方性磁界に逆らって外部磁界の力で磁化回転していく。この二つの電磁現象を混合してコイルで電圧として取り出している。
表面磁区の厚みを極力薄くして、そこに矩形波形状のパルスを通電し、円周方向磁界の力で表面磁区の厚みを厚くした上で、電流を遮断し、その時に90度磁壁が元の表面近くに移動するが、その際の生じる磁化の回転と軸方向の磁化変化をコイルで検出したものである。90度磁壁がワイヤ中心部に深く浸透することでヒステリシスが消失する。これによって負帰還回路を省略することに成功している。
以上、磁気センサの高感度化と小型化は、磁性ワイヤの改善、周波数の増加、素子の超小型化によって図られてきた。感度K、サイズ(長さL、直径D)、測定範囲Wとはトレードオフの関係があるので、性能指数S=W/K・L・Dで比較する。感度Kは微小磁界の検出限界で評価した。
FGセンサは、K=0.2mG、W=2G、L=50mm、D=2mmでS=0.1、
MIセンサは、K=0.2mG、W=2M、L=5mm、D=0.03mmでS=60、
MEMS式素子を使ったコイル式MIセンサは、K=2mG,W=10G、L=0.6mm,D=0.01mmでS=700と増加する。
主に周波数が30KHzから10MHz、さらに200MHzと増加したことによるものと表面的には見えるが、技術進歩の核心は、表面磁区とコア磁区の間に存在する90度磁壁の高周波振動というMI現象の発見であった。コイル方式のMIセンサの技術進歩については、毛利教授の著作「新しい磁気センサとその応用」(トリケップス社、毛利佳年雄著、2012年)に詳しく紹介されている。
現在、高感度マイクロ磁気センサは、スマートフォンなどの電子コンパスから、ウェアラブルコンピュータのモーション入力装置としての進化が期待されている。そのためには、2mGから0.2mGへの高感度化、±10Gから±40Gへの測定レンジの拡大、0.6mmから0.2mmへのミニサイズ化および一層の低消費電流化が強く求められている。性能指数で言えば、K=0.2mG,W=40G、L=0.2mm,D=0.01mmでS=10万となって、MEMS式素子を使ったコイル式MIセンサの100倍程度の飛躍的改善が求められている。
本発明者は、この課題に挑戦するために、上記商品AMI306をベースに周波数をあげて高感度化を図ったMIセンサ(特許文献6;2009年)を研究した。パルス周波数を0.2GHzから0.5GHzへと増加すると出力が2倍程度向上するが、それ以上の高周波では出力が頭打ちとなり減少する。しかし高周波化に伴う技術課題が噴出し商品化にまでは至らなかった。高周波パルス発振回路の技術的課題、高周波化に伴う電磁誘導電圧の増加などの問題が発生し、総合的メリットが見いだせなかったためである。
そこで、磁性ワイヤ、検出コイル、励起パルス、検出回路および測定原理とすべての角度からMIセンサを見直し、超高感度マイクロ磁気センサの開発に取り組むことにした。
なお、磁性ワイヤを用いない高感度マイクロ磁気センサとしては、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサなど半導体微細加工技術を基礎にした安価で小型タイプのものがあるが、温度特性および感度、消費電流の点では必ずしも十分ではないので、本発明者は、磁性ワイヤを基礎にした超高感度マイクロ磁気センサの発明に挑戦することにした。
米国特許第2,856,581号明細書 特許第2617498号 特許第3197414号 特許第3645116号 特許第3801194号 特許第4655247号 国際公開第2014/115765号
「磁気センサ理工学」:コロナ社出版、毛利佳年雄著、1998年 「新しい磁気センサとその応用」:トリケップス社、毛利佳年雄著、2012年
本発明の課題は、MIセンサの100倍程度の性能向上を実現する磁気センサ原理と具現化条件を見出すことである。そのために、本発明者らは、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個を設置した磁界検出素子および該磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する回路とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とを基本構成にした超高感度マイクロ磁気センサにおいて、ワイヤの磁気特性、磁界検出素子の小型化、特に検出用コイルの微細化、パルスの周波数と形状、ワイヤ内部でおこる電磁現象とコイルとの電磁結合、コイル電圧の処理方法およびコイル電圧と磁界の関連性などについて、総合的に研究を行うことにした。
ワイヤについては、従来のテンション熱処理ワイヤに変えて、ガラス付ワイヤを採用した。磁界検出素子は、コイルピッチを30μmから10μm以下、コイル内径を従来の30μmから15μm以下、つまりワイヤ径の1.5倍以下と微細化、パルスは、形状は台形状で、立上りの周波数は0.5GHzから4GHz、パルス電流強度は、50mAから300mA、パルス電流が誘起する電磁現象とコイル電圧との関係およびコイル電圧と磁界との関係、さらにはコイル電圧とコイル誘起電流による電圧降下の問題、高周波パルスによる誘導電圧の問題、信号検波方式の見直し、温度補正法の検討およびコイル電圧と磁界との数学的関係の調査など全面的な検討を行うことであった。
本発明者は、コイル出力電圧と外部磁界Hの関係に及ぼすワイヤの磁気特性、磁性ワイヤの大きさ、コイル巻き数およびパルス電流特性の影響を詳細に調査した結果、本発明センサにおいて、表面磁区とコア磁区の2相構造で異方性磁界が5Gの磁性ワイヤを使った微細コイルに0.5GHz以上の周波数の台形状パルスを与えた時、コイルの発生する電圧と外部磁界との間に、式(1)なる実験式が存在することを発見した。
Vs=Vo・L・πD・p・Nc・f・sin(πH/2Hm) (1)
ここで、Vsはコイル出力電圧、Voはワイヤ透磁率、飽和磁束密度のワイヤ素材の磁気特性およびパルス電強度等で決まる比例定数、制御因子定数としては、Lはワイヤの長さ、Dはワイヤの直径、pはパルス電流の表皮深さ、Ncはコイルの巻き数、fはパルス周波数、Hは外部磁界、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る外部磁界強度である。
磁性ワイヤの表面磁区内に存在する円周方向の内部磁界によって円周方向に強制されていたスピンが、外部磁界Hによってθだけ傾いたとする。この状態に周波数0.5GHz以上のパルス電流が印加されると、スピンは円周方向に一斉にθ回転する。この磁気変化をコイル電圧として検知すると、
V=Vosin2θ (2)
となる。したがって実験式(1)はこのスピンの一斉高速回転を検知していると考えることができる。つまり同じ表皮効果でもMIセンサは90度磁壁の移動による磁化回転を検知するが、本発明センサは表面磁区内のスピンの回転のみを純粋に検知する全く新しい原理、つまり発明者は超高速スピン回転現象に基づく新型のGSRセンサであると考えられる。
この原理に基づくと、以下の実施例1で詳細に紹介するように、MIセンサに比較して、コイル出力が大幅に向上し、性能指数で試算すると、K=0.2mG、W=40G、L=0.2mm、D=0.01mmでS=10万となって、コイル式MIセンサの120倍程度の飛躍的改善が実現できることを見出した。
(1)まず、新原理の基礎であるスピン角度θとコイル出力、外部磁界との関係について説明する。
超高速スピン回転をコイルで検出する時のコイル電圧は、磁束Φの時間変化に比例する。つまりV=―dΦ/dtである。
スピン傾斜角θで回転開始時期(時間t=0)における磁束Φxo(θ)は、ms・L・πD・d・sinθである。角速度はdθ/dt=2πf(ここでfはパルス周波数)と一定なので、回転開始の瞬間のX軸方向のφxの変化速度は、dΦx(θ)/dt=dφx(θ)/dθ・dθ/dt=cosθ・2πfとなる。
磁束Φxo(θ)が、cosθ・2πfの変化速度を持つので、V=−dΦ/dt=φ0(θ)・dφx(θ)/dt。これに、φ0(θ)とdφx(θ)/dtの値を代入すると、V=−dΦ/dt=−ms・L・πD・d・sinθ・cosθ・2π/T=−φ0・sin2θとなって、コイル出力電圧はsin2θに比例する。
コイル出力と外部磁界Hはsin関数関係で存在しており、本発明者が行った条件下では、スピンの一斉回転のみを検出していると思われる。
ここで、コイル出力と外部磁界とは、式(1)に示したようにsin(πH/2Hm)となることが実験的に発見されているので、式(3)となることが期待される。
θa=πH/4Hm (3)
しかし、一方本来のスピン角度θbは、磁性ワイヤにかかる磁界Hから反磁界の影響を除いた実際の内部磁界Hinと、円周方向の異方性磁界Kθとで決まる角度で(4)式のように定義できる。
tanθb=Hin/Kθ (4)
もし、実験式(1)が、スピン角度を検知しているならば、θaとθbが一致していることが必要である。以下、両者が一致していることを証明する。
(2)その説明の前に、用いた磁性材料の特性として、磁性ワイヤの軸方向磁化特性10を図1a)に、円周方向磁化特性11としてのコイル出力電圧特性を図1b)に示す。
磁化曲線において、急峻な立上域は磁壁移動による磁化過程で、緩やかに増加する域は磁化回転による磁化過程である。磁化回転が始まる磁界強度を異方性磁界Hkと定義する。磁化M=χH、ここでχの近似式は式(5)で表される。磁性ワイヤの透磁率μが200から4万程度まで変化した場合、それに対応して、近似式中のβは0.07から0.7程度まで変化する。
χ=χo{1―β×(H/Hk)) (5)
磁性ワイヤの磁化特性は、反磁界がゼロ(無限長のワイヤの場合)で、外部磁界Hと内部磁界Hinが一致しするが、有限長のワイヤでは、反磁界が強まり、Hin=H−NMs(ここでMs=χH)となるので、式(2)を使ってHをHinに補正すると(6)式になる。
Hin=H{1−Nχo+βNχo(H/Hk)} (6)
コイル出力は外部磁界Hの増加とともに式(1)に従って単調に増加し、外部磁界Hが、Hmの時に最大出力を取りその後漸減傾向を示す。Hmは、軸方向磁化特性のHkとほぼ一致していた。厳密にはHm=αHk、α=0.96との関係にあった。外部磁界H=Hkの時、コア磁区が飽和し、表面磁区のスピンは45度と最大傾斜をとるためである。表面磁区の方が反磁界は小さいのでコア部が飽和する前に最表面のスピンは45度に達する。そのためにHmはHkよりやや小さな値を取る。外部磁界HがHk以上に負荷されると、コア磁区との界面に存在する90度磁壁が移動して表面磁区全体が作る磁化は減少していく。スピンは45度の傾斜を保っているが、最後に消失する。
パルス電流は、円周方向に磁化飽和を実現する十分な電流強さで、周波数は、0.5GHz〜4GHzのパルス周波数(パルス周波数は、f=1/2dtで定義した。ここで立上り、立下り瞬間の遷移時間をdtとした。)とした。これにより電流の表皮深さを0.2μm〜1μmに制御して、円周表面磁区の厚み以下とした。パルス時間間隔はコイル信号干渉を避けることのできる十分な長さ5n秒とした。
上記の2相の磁区構造を持つアモルファスワイヤに、ワイヤ軸方向の外部磁界Hをかけると、円周表面磁区内の円周方向スピンは軸方向にθ角度ほど傾斜し軸方向に磁化Ms(=Ns・ms・sinθ)が生じる。Nsは、表面磁区内の単位体積当たりのスピン数、msはスピンが持つ磁化である。中央部のコア磁区では磁壁が移動し磁化Mcが発生する。
この状態のワイヤに上記パルス電流を通電すると、パルスが作る60G程度の大きな円周磁界によって、超高速(パルスの遷移時間dt内をいう。)でスピンが円周方向に一斉回転する。その際に生じるワイヤの磁化変化をコイル出力電圧Vsとして検知する。そのコイル出力電圧は、周波数に比例するが、一方、表皮深さがf−1/2で小さくなり、両効果を合わせてコイル出力はf/p=f1/2 に比例して増加する。コイル巻き数Ncに比例し両者を合わせると驚異的な出力となる。
この超高速スピン回転効果は将来の超高感度マイクロ磁気センサの新原理と期待される。なおコア磁区部の磁化Mcは、表皮効果により影響を受けず、また磁壁の移動は生じない。
(3)次に、超高速スピン回転現象をコイルで検出する時、スピンの回転角と磁界とコイル出力電圧との関係性を説明する。
コイル出力電圧は、磁束Φの時間変化とコイル巻き数Ncに比例する。外部磁界Hによって円周方向に強制されていたスピンがθだけ傾いたとする。時間t=0における磁束Φは、ms・L・πD・d・sinθに比例する。回転開始の瞬間、角度の時間変化dθ/dtは、sinθの微分であるcosθdθに比例する。回転初期に獲得した回転速度dθ/dtで角度θだけ回転すると考えられるので、その時の磁束Φの変化量はcosθに比例する。その結果、コイル電圧の最大値はms・L・πD・d・sinθ・cosθに比例する。つまりに(7)式のようにsin2θ比例する。
V=VoNc・sin2θ (7)
コイル出力と磁界とは、式(1)に示したようにsin(πH/2Hm)となることが実験的に発見されているので、θ=πH/4Hmとなって、スピンの傾斜角度θを求めることができる。コイル出力電圧のデータから求めたθをθaとすると、(8)式が得られる。
θa=πH/4Hm (8)
本来、スピンの傾斜角θは、磁性ワイヤにかかる磁界Hから反磁界の影響を除いた実際の内部磁界Hinと、円周方向の異方性磁界Kθとで決まる角度である。理論的な角度θをθbとすると、(9)式のように定義できる。
tanθb=Hin/Kθ (9)
Vsが最大値を取るピーク値は、θは45度の時であるから、Hin=Kθの時である。この時Hin={1−(1−β)Nχo}Hkであるので、この結果
Kθ={1−(1−β)Nχo}Hk (10)
と求めることができる。tanθb=Hin/Kθに、(6)式のHinと(10)式のKθを代入すると、(11)式となる。
tanθb=H/Hk{(1−Nχo)+βNχo(H/Hk)}/{1−(1−β)Nχo} (11)
以上の考察の結果、コイル出力の実験結果から求まる角度θa=πH/4Hmと材料固有の基礎データから理論予測で与えられるスピンの傾斜角度θb(tanθ=Hin/Kθ)の二つが存在することになる。そこで(3)式で定義したθaと(6)式で定義したθbとが一致することを説明する。
θaは、Hmで定義され、θbは、Hkで定義されているので、まずHkとHmの関係を詳細に説明する。実験事実としてHm=αHkが成立、ここでαは0.96程度である。
異方性磁界Hkは、磁壁の移動が終了し磁化回転が始まり最終的に飽和に至る過程の変化点を示す値である。磁性ワイヤの場合、外部磁界HがHkまで増加するとコア磁区は飽和にまで達する。表面磁区内のスピンは軸方向に傾斜して45度に達する。外部磁界HがHk以上に増加していくと、軸方向の磁化の増加は90度磁壁が表面磁区に浸透する形で進む。この間スピンは45度に保たれている。スピンを45度に保つ時の磁界がHmであるから、Hk=Hmとなるはずである。しかしこの時コア磁区と表面磁区内では磁界が異なりスピンを傾ける有効磁界である内部磁界は異なっている。表面磁区内の反磁界は、飽和したコア部の漏れ磁場によって反磁界が形成されるので、コア磁区内よりやや小さい。HmはHkより小さい値で必要な内部磁界に到達する。この時の磁界Hmで、円周方向の異方性磁界Kθと内部磁界がつり合い、スピンは45度の傾斜角度をとる。その結果、Hm=0.96×Hkとなる。
磁界HがHkより少し小さい値で、表面磁区の最表面のスピンは45度なるが、コア磁区との境界の磁壁に近いところでは45度にはまだ達していない。逆に外部磁界HがHkよりやや大きくなると、最表面のスピンは45度を保ち、磁壁が表面方向に移動して飽和したコア磁区部が太り表面磁区が細り軸方向の磁化が大きくなる。最表面のスピンが45度となる外部磁界Hmは、表面磁区全体のスピンが異方性磁界とつりあって45度となる磁界Hkにくらべてやや小さくなる。
(4)HkとHmとの関係が掴めたので、次に(8)式で定義したθaと(9)式で定義したθbとが一致することを説明する。
θa=πH/4Hmのtanをとると、tanθは、以下の式で近似できるので、
tanθ=θ(1+1/3×θ ) (12)
tanθa=(H/Hm){π/4+1/3×(π/4)(H/Hm)} (13)
一方、(11)式にHm=αHkを代入すると、(14)式となる。
tanθb=(H/Hm){α(1−Nχo)+βNχoα(H/Hm)}/{1−(1−β)Nχo}
(14)
(13)式と(14)式は同じ関数形となっている。Hが小さいとき、2次項は無視できるので、両者の一次項が等しい。α=0.96として計算すると、
Nχoは、(15)式にように求まる。
Nχo=1/(1+4.49β) (15)
次に、Hが大きいときは、両者の2次項同士を比較すると、条件式(15)が成立しているとき、両者は等しくなることが確認できる。つまり、α=0.96と条件式(15)が成立するとき、tanθa=tanθbとなって、θa=θbとなる。
ここでNχoは0.25から0.77などの値を取るが、物理的の意味について考察する。有効透磁率μeffと反磁場係数Nとの関係は、以下の(13)式で表される関係が存在することが知られている。
Nμeff=1−(μeff/μr) (16)
ここでμrは、材料固有の透磁率である。
理想的磁性材料では、μr=∞となって、Nμeff=1である。実際の磁性材料ではNμeff=0.2〜0.8と低下する。今回使用している磁性材料は異方性磁界Hkが5G、μr=32000、素子に組み込んだ時の異方性磁界は40G、μeff=600で、Nμeff=0.8であった。
また、使用したアモルファスワイヤのμrは、4,000で、μeffをワイヤの長さを変えて有効透磁率を3000から920程度まで変化させた時、Nμeff=0.25から0.77程度と変化する。さらに、μ=χ+1(μとχは1より十分大きい)なので、χo≒μeffと近似すると、Nχo=Nμeffとなる。
以上の検討の結果、スピンの傾斜角度θは、円周方向の異方性磁界と内部磁界Hinの合成方向に向いて、その角度から円周方向に回転した時、式(1)式で与えられるコイル出力電圧を得ることができる。つまりスピンの傾斜角度がコイル出力の源であることが明確になった。
その角度は、表面磁区内のスピンにかかる内部磁界Hinと円周方向の異方性磁界の比で決まるが、それをいかに制御するかが重要である。異方性磁界が大きいほどスピンが傾斜しにくく大きな外部磁界が必要となる。しかも外部磁界を大きくしても表面磁区内の内部磁界を大きくするのは難しい。というのは、表面磁区とコア磁区の2相構造の下では、小さな外部磁界でコア部は磁壁移動して容易に磁化し大きな反磁界を生み出す。表面磁区のスピンは、コア磁区からも漏れ磁場を反磁界として、その影響を強く受けることになるためである。したがって異方性磁界を極力小さくして、小さな内部磁界でスピンが大きく傾斜できるようにすることが重要である。
(5)磁性ワイヤの表面磁区内のスピンの傾斜角度をいかに制御するか。まずスピンの傾斜角度と外部磁界との関係について説明する。
図2は、磁性ワイヤのスピン構造をワイヤ軸方向断面12と断面13に分けて示す。表面磁区14のスピンは円周方向向きで、コア磁区15のスピンは軸方向向きで右向きスピン16と左向きスピン17に4分割されている。外部磁界Hを負荷させた時の、スピン構造の変化を示す。
a)外部磁界H=0の場合で、コア部の磁区構造15はスピンが軸方向に正負向きに向いた4個の磁区に対称的に分割され磁化Mはゼロである。表面磁区14のすべてのスピンは、円周方向のパルス磁化された向きに整列している。
b)外部磁界H=Hk/2程度を印加した場合で、コア磁区15の印加磁界の向きのスピン17をもつ磁化が太り、反対方向のそれ16が細って磁化M=χHが生じ、大きな反磁界をつくる。表面磁区のすべてのスピン18は印加磁界Hの方向に傾斜するが、実験式(1)のθから求めることができて、傾斜角度θは、θ=πH/4Hmである。GSRセンサの対象域は、ゼロからHmで、θを決める反磁界、円周方向の異方性磁界Kθによってセンサ出力が決定づけられる。さらにパルス周波数に依存したθの回転速さ、および表面磁区の厚みと表面積で決まるスピン総量が重要であることがわかる。
c)外部磁界H=Hkを印加した場合で、コア磁区のスピンはすべて印加磁界の向きに整列している。表面磁区のすべてのスピンは印加磁界Hの方向に傾斜角度45度で傾斜している。Hkより少し小さな値のHm=0.96Hkにおいて、最表面部のスピンは45度に傾斜し、コイル出力は最大値をとる。逆に、HがHk以上になると、スピンの傾斜角度は45度のまま、コア磁区と表面磁区の境界磁壁が外側に移動をはじめ、表面磁区の厚みが小さくなっていき、コイル出力が低下し始める。測定範囲は、Hmで定義される。
d)Hkより十分大きな外部磁界Hを印加した場合で、コア部のスピンはすべて印加磁界の向きに整列し、しかもコア部と表面磁区の磁壁が外側に移動し、ついには表面磁区が消失または非常に細る。GSRセンサの測定範囲外の磁化状態になる。HkとHmはほぼ同じ値をとるので、外部磁界HがHkからさらに増加した時、最表面のスピンは45度のままより強く固着され、パルス円周磁界に対して抵抗を示しコイル出力が低下する。同時に表面磁区の厚みが減少を開始してコイル出力の減少が始まると予想される。
外部磁界Hが小さい場合、つまりスピン角度θが0.2ラジアン(12度)以下の場合、コイル出力は外部磁界Hに比例する。言い換えれば0.2Hk以下の場合である。逆に外部磁界Hが異方性磁界Hkより大きくなると、コア部磁区が太り、表面磁区が細ることになってコイル出力の低下が起こる。Hが、0.2HkからHkの間は、式(1)を使ってコイル出力電圧からHを求めることができる。
(6)次に、新電磁現象である超高速スピン回転現象が発現する条件を説明する。
発現条件は、表面に円周方向スピン配列を持った表面磁区が存在す磁性ワイヤを用いて、GHzの周波数を持つ十分大きな電流の励磁パルスを印加して、表皮深さpが表面磁区の厚さdよりも小さくして、円周方向スピンの一斉回転を惹起し、その変化を微細コイルで検知することであることを説明する。
コイル出力電圧の原因としては、90度磁壁の移動による磁化回転と表面磁区のスピン回転が考えられる。90度磁壁は小さな磁界で移動できるが、周波数が高くなると渦電流による電磁ブレーキのため著しく遅くなる。一方表面磁区内のスピン回転は、集団で一斉回転しその移動は瞬時に完了する。回転に参加するスピン数が限られ出力信号は微弱である。
MI現象は、表面磁区とコア磁区の境界である90度磁壁が最表面に存在し、1MHzから30MHzの周波数域で表皮深さp(この場合、1μm〜4μmである。)の幅で振動する。表面磁区の厚みは0.2μm〜0.8μmと考えられる。周波数が0.5GHz以上と増加すると、90度磁壁の移動は渦電流による電磁ブレーキのため著しく遅くなる。しかも表皮深さpが0.2μm〜0.8μmとなって、表面磁区の厚み程度となり、磁壁振動は停止する。
一方GSR現象は、表面磁区の厚みを1μmとして、周波数0.5GHz以上、磁性ワイヤの透磁率を3000以上として、表皮深さを0.2μm程度にして、表面スピンの一斉回転を惹起せしめる。
式(1)から分かるように、表面磁区の厚みdが1μm程度あり、表皮深さpが0.1μから1μ以下の場合、コイル出力電圧は周波数の平方根に比例する。理由はスピン回転する深さである表皮深さpが周波数の平方根の逆数に比例するためである。
一方厚みdが0.2μmと表皮深さpより小さい場合、スピン回転する深さはpまでは浸透せず、90度磁壁の位置dで固定されるので、p=dと一定となって、コイル出力電圧は周波数に一次比例する。ガラス付ワイヤを使った実験では、コイル出力電圧は周波数の平方根に比例しており、表面磁区の厚みは1μm程度と十分な深さを有していると考えられる。
使用した磁性ワイヤは、直径10μmで、アモルファス構造を有し、弱負磁歪特性を持つ磁性Co合金からなり、磁気異方性は1Gまたは5G、比透磁率は2万と3000の高透磁率磁性ワイヤである。そのワイヤに、引張応力を負荷し軸方向と円周方向にそれぞれ磁気異方性Kuと磁気異方性Kθを発生させて、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を形成した。パルス電流の表皮深さpは0.5μmを考慮して、表面磁区の厚みdを1μm程度に制御した。
さらに十分大きなパルス電流で、異方性磁界Hkの1.5倍を超える磁界を発生させて、パルス磁界アニーリング処理を測定毎に行い円周方向に磁化飽和させて磁化履歴を消去した。
以上の条件で、純粋にスピンの一斉回転現象のみを惹起することができる。微弱で高速な信号をコイルで検知するためには、微細コイルが必要である。単位長さ当たりのコイルピッチを30μmから10μm以下としコイル内径を15μm以下とし、磁性ワイヤとコイルとの間隔をコイル式MIセンサの10μmから3μm以下として、ワイヤとコイルとの電磁結合を強めて、コイル数Nに比例した出力電圧を得ることに成功した。
(7)超高速スピン回転効果型のGSRセンサとコイル検出型のMIセンサを比較して、新原理の特徴を明確にする。
MIセンサは外部磁界H中にある磁性ワイヤまたは磁性薄膜に周波数1MHzから30MHzの高周波電流またはパルス電流を通電した時、インピーダンスが表皮効果のため大きく変化する現象を利用したものである。表面磁区とコア磁区の境界に存在する90度磁壁が振動した時に、透磁率が外部磁界Hに大きく依存して変化し、表皮深さを小さくして大きなインピーダンス変化が起こる。その変化量から外部磁界Hを検知する。センサ長さを5mmのセンサで1mGの優れた感度を実現した。
出力は外部磁界に対して正負対称でしかも外部磁界の大きさに対して単調増加し、ある臨界磁界以上では漸減するという非線形特性を持つ。さらに出力は、磁性ワイヤのヒステリシスの影響も強く受けるので、負帰還回路を利用して、そのフィードバック電流の強さから直線的でヒステリシスに小さな出力を得ることが前提となっている。
先行技術であるFGセンサは、一般的な磁区構造を持つパーマロイ等の磁性材料を用いて、周波数30KHzの交流を使って外部磁界Hに比例したコイル出力電圧を取る。MIセンサは30MHzの高周波を活用して1000倍程度の高性能化を実現した画期的な発明であった。表面磁区とコア磁区の境界に存在する90度磁壁が振動するという画期的な発明がその基礎にあった。
発明者らが開発したコイル付の改良型MIセンサは、台形状のパルス電流を与えてパルス磁界アニーリングを施して負帰還回路を省略して消費電流の低減に成功したタイプである。またMI素子をMEMSプロセスで製作して長さを3mmから0.6mmへと小型化している。パルス周波数を200MHzにあげることによってコイル出力の向上を図った。同時に磁性ワイヤの異方性磁界を20Gと著しく大きくして測定レンジを拡大した。以上のように小型化と測定レンジの拡大を図ったために、トレードオフ関係にある感度が2mGと大幅に低下している。今後感度の改善とさらなる小型化・測定レンジ拡大が今後の課題となっている。
200MGzの周波数は、MI現象を現出する周波数域を超えている。そこで、台形形状のパルス電流のパルスの立下りを利用して、90度磁壁の移動を可能にした。コア内部に浸透した90度磁壁はパルス遮断時に円周方向磁界が消失に伴って、外部磁界の力で90度磁壁がゆっくり表面方向に移動していく。
一方、パルスの立下り時に、表面磁区内のスピンは円周方向磁界の消失に伴って傾斜し始めるが、強い異方性磁界によって傾斜が小さくまた回転速度も遅いものとなってコイル出力の増化が抑制されている。コイル出力は主にMI現象である90度磁壁の移動に起因するが、一部GSR現象であるスピン回転の影響も検出している。
MI効果を基礎にしたコイル出力電圧の最大値は外部磁界Hに比例する。本方式はMI現象とGSR現象が混合しているため、直線域が測定領域の1/3程度までに小さくなっている。一方GSRセンサの出力は明確な数学的式が成立しているので、演算処理によって測定領域のすべての範囲で使用することができる。
MIセンサの電子回路は、積分回路のコンデンサにコイル電流を蓄積してコイル信号を受けて、その積分電圧を求め、その最大値をピークホールド回路で求めて出力する。MEMSコイルにしたためコイルの抵抗が増加し、積分電圧を獲得する過程で電圧降下(IRドロップ)が生じてしまい問題である。またコイルをメッキプロセスで形成し膜厚を厚くし抵抗を下げる対処しているため、大幅のコストアップになってしまっている。
さらに本発明者は、上記MEMSコイル型MIセンサにおいて、パルス周波数を0.2GHzから1GHzと高めることを検討した(特許文献6)。0.5GHzとすると出力を2倍程度向上することができるが、1GHz以上では逆に出力が低下する。これは、MI現象を前提に周波数を高めていくと、コア磁区の90度磁壁の移動による磁化回転と表面磁区の傾斜スピンの一斉回転の両方をコイル電圧として検知するようになる。高周波化しても磁壁の移動は緩慢のままで、表面磁区のスピン回転の影響の方が大きくなる。しかしスピン回転は高速回転が可能であるが磁気信号は微弱であり、内径30μmのコイルではワイヤとコイル間が10μmもあり、電磁結合が弱く十分検知することが出来なかった。スピン回転現象を検知するためには、コイルとワイヤ間の距離を10μmから3μm以下と接近させ、かつ単位長さ当たりのコイルピッチを増やしてワイヤ表面のスピン回転とコイルとの電磁結合を強化する必要がある。
また感度と測定レンジの背反問題が存在する中で、MIセンサでは測定レンジは直線近似できる範囲に限られているため広くすることが困難であった。高周波化によって2倍程度の改善はなされている。しかし、それ以上に高周波化に伴う技術課題が噴出し商品化にまでは至らなかった。
高周波パルス発振回路の技術的課題は、コイルと配線回路に付随する寄生容量が増加して、パルス立ち上がりの平滑化、IRドロップによる出力の減衰が発生し、大出力回路が必要となり実用的でなかった。高周波化に伴う電磁誘導電圧の増加は、表面の磁化変化によるコイル電圧よりも大きくなり、その除去が最大の問題となっている。大きな電磁誘導電圧は、信号の増幅度の制約、検出信号の直線性と精度の低下、温度特性の劣化などに大きな誤差を生じさせてしまい、実用的な感度はむしろ低下した。MIセンサを前提にして、周波数を高めるという発想ではトレードオフの網の目に迷い込み性能アップに向けた改善策は発見できないと発明者は判断した。
(8)GSRセンサの原理とMIセンサの原理の基本的な違いをまとめる。
MI現象は、周波数を1MHzから30MHzで発現し、表面磁区とコア磁区の境界に存在する90度磁壁の振動に起因するが、GSR現象は0.5GHzから4GHzで生じて、表面磁区のスピン回転に起因する。MIセンサのコイル出力は、出力電圧を積分回路のコンデンサに蓄積し、その電圧と磁界との比例関係から磁界を求める。GSRセンサは、コイルの瞬間電圧をバッハー回路で直接検知し、その電圧と磁界とが式(1)の数学的関係にあることから磁界を求める。MIセンサのコイルを微細化すると抵抗が増加してIRドロップが生じる。そのためコイルの微細化およびコイル巻き数Ncの増加による効果は限定的になる。GSRセンサは、コイルの抵抗が著しく大きくコイルにはごく微量電流しか流れない。コイル出力電圧を電圧のまま直接検知する必要があるのでバッハー回路を介して検知する。コイル巻き数およびコイル微細化による抵抗増加の問題の影響をほとんど受けず、コイルによる検出力を増加させることができる。
一方GSR現象を基礎にしたGSRセンサは、駆動パルス周波数を0.5GHzから3GHzと高めて、表面磁区内のスピンを一斉に高速回転させ、発生する高速信号を微細コイルで検出することによって、周波数とコイル巻き数に比例して大きな出力を実現することができる。具体的にはパルスの表皮深さpより表面磁区の深さdを大きくすることで、コイル出力が周波数の平方根に比例して増加することを発見し、かつ微細コイル製作技術と融合することで、驚異的な出力を引出すことに成功した。
さらにコイル出力電圧と外部磁界Hは、測定領域±Hmの範囲で、式(1)に示すような明瞭な数学的関係が存在し、ヒステリシスもほとんど生じないので、図3に示すように広い測定範囲の優れた出力特性と低消費電流特性を得ることができる。図3−a)は、外部磁界とコイル出力電圧Vsとの関係を示した。図3−b)は、コイル出力電圧Vsのarcsin変換した換算値と外部磁界Hとの関係を示した。換算電圧値と外部磁界とは測定範囲(最大値から最小値までの範囲)で直線的関係が存在することが良く分かる。
この数学的関係の成立は、外部磁界Hに対する表面の円周方向スピンをもつ表面磁区と中央コア部の軸方向スピン磁区の2相の磁区の持つ磁化挙動の違いに着目して、異方性磁界を8G以下にして表面磁区深さを表皮深さ以上に調整し、パルス電流の周波数を0.5GH以上、表皮効果深さを1μm以下として、超高速で円周方向スピン回転のみを純粋に検知できる条件を設定したことに起因している。
超高速一斉スピン回転の電磁現象の物理的基礎は、スピン−スピン間の交換相互作用である。円周方向に整列したスピン集団はこの交換相互作用で強力に結合しており2GHzの超高速でスピンの一斉回転が可能となっている。また表面磁区の厚みを十分大きく確保している場合で、周波数を高めると、表皮深さが小さくなりコイル出力はf/p=f1/2 に比例して増加する。
しかし高速化に伴って渦電流が増加しスピン回転を抑制するようになるので、ある周波数で最大値を取る。さらに、5GHz近くまでパルス周波数を高めると、スピンの歳差運動やスピン共鳴現象が発生し始め、各スピンは交換作用力に打ち勝って回転を始めて、コイル出力電圧が低下する。渦電流による格子発熱や歳差運動によるスピン系の発熱によって、コイル出力の低下が増幅する。
周波数が高いほど出力電圧は大きくなる。また表皮深さも小さくなって、表面磁区の厚さdを小さくできる。このことは円周方向の応力を小さくし磁性ワイヤの透磁率を大きくできて、つまり係数Voの値を大きくできて出力を改善しうることを意味している。
しかしスピン共鳴周波数に近づくにつれて、一斉回転に揺らぎが生じコイル電圧が低下するので、最適周波数域が存在し、それは0.5GHzから4GHzである。図4に実施例1を使ってコイル出力に及ぼす周波数の影響を調査した結果を示す。(A)は、本発明品で、測定レンジは±40G、センサ長さ0.2mmのタイプである。(B)(C)は特許文献6のセンサ長さ0.6mmで、測定レンジが±2Gと±30Gの二つのMIセンサの実施例である。本発明のGSRセンサは感度および測定レンジともにMIセンサよりも優れている。さらにより高い周波数域まで、周波数増加に伴って電圧は増加していく。2GHzで最高値を示し、その後ゆるやかに減少していく。スピンの歳差運動や渦電流ブレーキが増加するためと思われる。したがって望ましい周波数域は0.5GHzから4GHzである。
しかし、パルス周波数の増加は、コイルに円周パルス磁界によって誘導される誘導電圧を増加するのでこの対策がGSRセンサにおいてはより重要となる。
(9)次のGSR効果を実現する具体的なセンサ緒元を明らかにする。
発明者は上記GSR効果の電磁現象を基礎に、以下のセンサ緒元の解明と具現化方策を発明した。
磁性ワイヤは、ゼロ磁歪または弱負磁歪のCo基合金で、異方性磁界Hkを8G以下、比透磁率は1000以上で、直径は20μm以下、軸方向の応力は表面磁区の厚みdは1μm以下で2p以上とした。厚みについては適用パルス周波数を考慮して、パルス磁界アニーリングまたはテンションアニーリングを施して2p以上になるように調整した。なおコア部の残留磁化はパルス通電継続時間の間に、それ以前の外部磁界の影響履歴の消失・低減を図り、ヒステリシスを抑制した。
パルス電流の電流強さは、ワイヤの直径を考慮し上での表面での円周方向磁界の強さを30G以上、目安として1.5×Hk以上の円周方向磁界強度を確保して、パルス周波数は0.5GHZ〜4GHzとして、表面磁区内のスピンのみの超高速一斉スピン回転を実現した。またパルス通電継続時間中の大きな円周方向磁界でコア磁区を縮小させ、表面磁区の厚みを増加した。
パルスの立上り速度は、コイルの寄生容量の低減、配線ワイヤボンディングから半田づけ接合への変更、コンデンサのASIC内蔵などにより急峻な立上りを確保した。
パルス時間間隔は長さ10n秒以上としコイル信号干渉を避けると同時にワイヤの自然冷却を行った。
素子のサイズについては、コイル出力はワイヤの直径Dに比例するが、直径を大きくしすぎると表面の円周方向スピン磁区が形成できないので30μm以下にすべきである。しかし、コイルピッチの最小化およびセンササイズの小型化を考慮すると直径は20μm以下が現実的である。長さLは、コイル出力を増加するが、磁界の測定範囲が小さくなり、コイル出力と測定範囲とがトレードオフ関係にある。その対策としては、コイルピッチを小さくしてコイル巻き数を増やしてコイル出力を増加し、ワイヤ長さLは出来るだけ小さくして測定範囲を拡大することが望ましい。測定範囲が小さくてもよい場合は、十分な長さを確保してコイル出力およびセンサ感度を高めることが望ましい。
検出コイルは、ワイヤ表面のGSR現象とコイルとの電磁結合を強めるために、コイル内径は25μm以下、望ましくはワイヤとコイルとの間隔を3μm以下にすべきである。コイルの巻き数については、最表面のGSR素子を小型化する上ではコイルピッチを10μm以下と小さくすることが重要である。
その微細コイルの構造は、凹形状のコイル下部と凸形状のコイル上部および両者の間にある段差を介して連結するジョイント部の3層構造または段差がゼロの特殊な場合は2層の凹凸構造からなり、磁性ワイヤの下部のみをコイル下部配線を施した基板溝に埋設し、それを接着機能を有する樹脂で固定し、ワイヤ上部は樹脂の表面張力で薄く覆われ、もしくは絶縁被覆磁性ワイヤの場合には一部露出した状態で、コイル上部配線およびコイル下部と上部のジョイント部の配線を行うことによって得られる。
また、コイルの製作にあたっては、ワイヤに直接被覆した絶縁材料を用いてコイルとワイヤ間の絶縁を確保し、ワイヤと電極の接続はワイヤ絶縁被覆材料を除去したコンタクト部においてワイヤ上面部を含めて導電性金属材料で接続して強い強度を持つ接続部を実現できる。なお、コイルとワイヤ間に挿入した樹脂絶縁被膜を使って製作してもよい。
(10)パルス電流の周波数を高めると、パルス電流が作る円周方向磁界とコイル配線構造との関係によってコイルに発生する誘導電圧Vcが増加する。それをコイル電圧Vmから取り除く技術を考案発明した。
誘導電圧Vcは、(1)パルス通電中のワイヤ電位差を静電的に感知する電圧と、(2)円周方向磁界の変化をコイルが直接感知して発生する電圧、および(3)基板面上の配線ループが感知する電圧の3種類が存在する。誘導電圧の大きさは、静電電位差の影響が一番大きく、次にコイルが直接に感じる電圧。配線ループについては、キャンセルは容易で通常は小さくすることができるが、好ましくない配線をすると大きな電圧を生じる。
上記の誘導電圧Vcは、 基板上に右巻きコイルの検出素子と左巻きコイルの検出素子の一対または複数対を設置し、左巻コイルと右巻コイルに反対向きに前記パルス電流が流れるように、ワイヤ通電用の電極2個とワイヤ端子を接続し、またコイル電圧検出用電極2個とコイル端子は前記ワイヤには前記パルス電流を通電した時に、右巻きコイルと左巻きコイルの出力電圧が外部磁界に比例した出力電圧が同符号になり、かつ外部磁界がゼロの場合にパルス通電が作る円周方向磁界によって発生する出力電圧が異符号になるように接続して消失させることができる。さらに、基板上のコイルと電子回路とが形成する配線ループによって生じる電圧を配線のクロス構造化により取り除くことができる。
実施例4に用いたGSR素子の平面図(以下、配線構造の正面図をいう。)を図9に示す。
この配線構造を一般的に表現すると、基板上の磁性ワイヤ1本に、パルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第1コイルと右巻きコイルの第2コイルとを取り付ける。また、第1コイルと第2コイルのそれぞれに、パルス電流の流れてくる方向に向けて、第1コイル端子と第2コイル端子とを設ける。
第1コイルの第1コイル端子と第2コイルの第1コイル端子とを接続し、コイル出力電極と第1コイルの第2コイル端子とを接続するとともにコイルグランド電極と第2コイルの第2コイル端子を接続する。コイル端子の配置は、第1コイルおよび第2コイルの第1コイル端子と第1コイルおよび前記第2コイルの第2コイル端子とは磁性ワイヤの両側に行なう。コイル電極とコイル端子との接続は、コイル出力電極から第1コイルの第2コイル端子への配線とコイルグランド電極から第2コイル第2コイル端子への配線が交差するように行なう。
この配線構造により、1本のワイヤに左巻きコイルと右巻きコイルを取り付け、同一方向に電流を流すと、磁界は逆相電圧となり、静電電位差によるコイル電圧は同相電圧となる。コイル端子を逆接合すると磁界による出力電圧は加算され、静電電位差による電圧はキャンセルされる。さらに配線ループによって生じる電圧は、出力配線を交差させると、ループ内の上向き磁界と下向き磁界がキャンセルするのでほぼ消失する。
この場合は左右コイルに発生する電圧は、右巻きコイルと左巻きコイルの電圧は、電流は同じ向きなので逆電圧となるが、コイル同士は逆接続となるので同じ向きの電圧となって残留するのが難点である。しかし誘導電圧は完全には消滅しないが、単純コイルの誘導電圧と比較すると、1/4以下と十分小さくすることができるので、好ましくはないが、サイズなどの制約がある場合、利用は可能な配線構造である。
実施例3に用いたGSR素子の平面図を図8に示す。
2本のワイヤにそれぞれ左巻きコイルを取付け、双方向に電流を流すと、磁界は同相電圧となり、静電電位差によるコイル電圧は逆相電圧となる。一方のマイナス端子を他方のプラス端子に接続すると、磁界による電圧を加算され、静電電位差によるコイル電圧はキャンセルされる。さらに配線ループは、2本ワイヤ間で交差させると、二つのループは同じ向きの磁界を検知するが、電流がループに沿って流れる向きが逆向き方向なので、発生電圧は逆相電圧となってほぼキャンセルすることができる。
実施例1に用いたGSR素子の平面図を図5に示す。
この配線構造を一般的に表現すると、基板上の2本の前記磁性ワイヤは、並列かつパルス電流がお互いに
反対方向に流れるように接続して配置する。左側の磁性ワイヤ(以下、一の磁性ワイヤという。)にパルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第1コイルと右巻きコイルの第2コイルとを取り付け、右側の磁性ワイヤ(以下、他の磁性ワイヤという。)にパルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第3コイルと右巻きコイルの第4コイルとを取り付ける。
また、第1コイルと第2コイルと第3コイルと第4コイルのそれぞれに、パルス電流の流れてくる方向に向けて、第1コイル端子と第2コイル端子を設ける。
コイルのコイル端子間の接続は磁性ワイヤの2本の間に配置し、第1コイルの第1コイル端子と第4コイルの第2コイル端子とを接続し、第4コイルの第1コイル端子と第2コイルの第1コイル端子を接続し、第1コイルの第2コイル端子と第3コイルの第2コイル端子を接続する。
コイルのコイル端子と接続する電極は2本の磁性ワイヤの両側に配置し、コイル出力電極から第3コイルの第1コイル端子への配線とコイルグランド電極から第2コイルの第2コイル端子への配線が2本の磁性ワイヤの間でクロス構造化(以下、交差という。)している。
この配線構造により、2本のワイヤにそれぞれ左巻きコイルと右巻きコイルを取り付ける。コイル21Lとコイル22Lは同じ左巻きコイルで電流は逆に流れており、配線は図5のパターンとなっているので、静電電位差とコイル巻きに依存した誘導電圧はキャンセルできている。また右巻きコイルの21Rと22Rも同じく、2種類の誘導電圧はキャンセルされる。配線ループによる誘導電圧は、二つの対称なループが2本ワイヤ間の形成によりできるのでほぼ完全にキャンセルされ消滅する。この配線が最も望ましい配線である。
図8や図9の配線構造の場合、あるいはコイルの製作の都合でコイル間に出力特性に差異がありコイルの誘導電圧残差が残る場合、磁界ゼロの場合のコイル誘導電圧Voを測定して、プログラミング演算回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、測定値VmからVcを差し引き、Vsを求めることが必要である。
しかしこの場合、センサ出力電圧の上限Emo(=1/2Eo、ここで、Eoはセンサの駆動電圧をいう。)は、誘導コイル電圧Vcを差し引いた値Emo−Vcとなりセンサ感度が小さくなる。例えば、駆動電圧Eoを2V、誘導コイル電圧Vcを0.5Vと最悪ケースの場合、センサの出力の上限電圧は1Vから0.5Vと半減し、センサ感度は50%低減する。
さらに、誘導コイル電圧Vcはスピン回転によって生じるGSR効果によるコイル電圧Vsに比べて、少し早くピーク電圧をとる。誘導電圧は、磁界の変化と同時に発生するが、GSR効果に起因する電圧は、材料のスピンの運動を介してそれが作る磁界変化を検知するため、遅れが生じるためである。
コイル電圧の検波は、磁界の影響で最も強く変化するタイミングで行う。このタイミングは誘導コイル電圧Vcのピークから遅れた点で、変化が急峻な点で検波することになる。これは温度によって検波タイミングが微妙にずれるとコイル出力の大きな温度ドリフトになってしまうことを意味している。したがって左巻きコイルと右巻きコイルの二つを組み合わせて、誘導電圧の消失を図ることが望ましい。
(11)新原理の超高感度マイクロ磁気センサの電子回路を考案した。
GHzの速さの瞬間的なコイル電圧を検知して、その電圧から式(1)を使って外部磁界を求めるため、コイル電圧をバッハー回路で検知して、その後電子スイッチを使った同期検波回路に転送し、コンデンサでノイズ低減を図った後で、信号の増幅処理をした。これまでのMIセンサは、コイル電圧を積分回路に連結し、大きな容量コンデンサに電流を蓄積した。電子スイッチでピーク電圧になるタイミングを選んでピークホールドしその電圧を増幅後出力した。
また使用した微細素子は、コイル巻き数が大きくコイル出力を大きくすることができる長所がある反面、抵抗が大きく電流が流れると大きな電圧降下が生じる。そこで検出回路として、特許文献7に記載されている電子回路を採用することにした。コイル電圧信号は、コイル電極からパルス対応型のバッハー回路へ、さらにそれに接続されたサンプルホールド回路および増幅器に送られて信号処理し、外部磁界Hと式(1)で記述される電圧信号Vsを得る。
(12)コイル電圧の温度依存性は、検波タイミングは、誘導電圧を低減した上で、電圧Vsのピーク点に取り、それが温度の影響で微妙にずれてもコイル出力のドリフトにならないように工夫して回路の温度安定性を高めた。センサに内蔵した温度センサの出力と温度補正プログラムを使って、原点の温度を実施した。これにより原点の温度ドリフトは0.02mG/℃以下を実現した。
コイル電圧Vsから、外部磁界Hを式(1)の関数関係の処理を可能にした電子回路またはプログラム演算の手段を使って求めることによって、コイル電圧の最大値を示す磁界Hmまで測定範囲を拡大することができる。これまでのMEMS素子を使ったコイル式のMIセンサの測定範囲は0.3×Hm程度であった。
素子出力の温度安定あるいは温度依存性については、式(1)から分かるように円周方向スピン集団の平均磁化量、異方性磁界Hkの温度依存性が存在する。平均磁化量については、Co元素はキュリー点が1422Kと高く、300K前後の温度変化では影響はない。異方性磁界については、出力感度に影響するが、温度変化はほとんど見られない。
表面磁区の円周方向に整列したスピン集団は、円周方向の磁気異方性に拘束されて安定している。しかもコバルト合金の場合キュリー点が非常に高く常温での磁化の変化はほとんどない、つまりスピン集団の乱れはほとんど存在しない。この磁化状態を基礎にした超高速スピン回転効果はほとんど熱雑音を含まない。
理論的解析の結果、アモルファスコバルト合金の磁気ノイズは、10fT(fは、10ー15)とほとんどゼロ程度に近いと見積もられている。言い換えれば、スピン系の温度は絶対零度に近く、GSRセンサは、磁束の量子化を基礎にしたSQUIDに匹敵する微小磁界の検知を将来実現しうる潜在力があると考えられる。
一方MI効果は、90度磁壁の振動をその基礎としているために、磁壁の移動の際に格子の熱振動の影響を直接受け、大きな熱雑音を拾う。
GSR効果の電磁現象の本質は、高いキュリー点、負磁歪、表面磁区とコア磁区の2層の磁区構造を持ったコバルト系アモルファスワイヤの表面磁区のスピンを円周方向にスピン−スピン相互作用の強力な力で結合整列させ、かつスピン系の温度を絶対零度として、そこにGHzのパルスを通電し超高速で一斉スピン回転を惹起して、その時のスピン回転による軸方向の磁化変化を微細コイルで検出する技術である。
GSRセンサは、発見された出力と磁界との数学的関係と微細コイルによるコイル巻き数の増加、左右巻きコイルを組合せた素子、バッハー付回路などによって、驚異的に優れた感度、低ノイズ化、高直線性、低ヒステリシス、広い測定範囲、超高速測定、優れた温度安定性、小型化および低消費電流とMIセンサに比較して性能指数で100倍以上の優れた性能を実現できる。
超高速スピン回転効果を基礎にした超高感度マイクロ磁気センサは、FGセンサ、MIセンサおよびコイル検出式の改良型MIセンサなどに比べて、センサ出力電圧、センサ感度とセンサ検出力の向上、ノイズ低減、測定レンジの拡大、低消費電流化、温度安定性改善、ヒステリシス特性と直線性の改善およびマイクロサイズ化を実現し、産業上の普及に資する極めて有用なものである。
アモルファス磁性ワイヤの磁化特性図である。a)は軸方向のMH磁化特性図である。b)はGSRセンサの出力と磁界との関係図である。 外部磁界Hを変化させた時のアモルファス磁性ワイヤの磁化状態の変化図である。a)H=0、b)H=Hk/2、c)H=Hk、d)H>Hm 実施例1のコイル出力電圧と磁界との関係を示した図である。 a)外部磁界とコイル出力の関係である b)外部磁界と換算コイル出力との関係である。 実施例1のコイル出力に及ぼす周波数の影響を示した図である。 実施例1に係るGSR素子の平面図である。 実施例1のGSR素子の構造図(断面図)である。a)は断面図説明用の単位磁界検出素子の上面図、b)はコイル部の断面図、c)ワイヤ電極部の断面図。 実施例2のGSR素子の平面図である。 実施例3に係るGSR素子の平面図である。 実施例4に係るGSR素子の平面図である。 実施例で使用する回路図である。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。
第1実施形態の超高速スピン回転効果を原理とするGSRセンサは、0.5mG程度の地磁気程度の微小磁界を測定対象とする。
それは、磁性ワイヤと周回コイルから構成されるGSR素子(以下、GSRセンサ素子をいう。)および該磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する回路とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とから構成されている。外部磁界Hとコイル出力電圧は、上記の(1)式のような数学的関係で表される。
磁性ワイヤは、CoFeSiBアモルファス合金の直径は3μm〜10μmにて、1μm以下の厚みの絶縁被覆をしたワイヤである。その結晶構造は、アモルファス構造が望ましいが、ナノ結晶構造も可能である。8G以下の小さな磁気異方性とゼロまたは弱負磁歪特性を持った比透磁率は1000から10万程度の高透磁率磁性ワイヤである。絶縁被覆が無いワイヤを使用することも可能であるが、コイルとワイヤの間の絶縁を、両者の間に樹脂を介在させて確保する必要がある。
磁気異方性が小さく透磁率が高いワイヤを使うほどHmは小さくなり、それに比例してコイル出力の感度は高くなるが、測定範囲は狭まる。このトレードオフ関係の問題に対して、コイルピッチの微細化して単位長さ当たりのコイル数を増やすことを可能にして、優れた透磁率特性のワイヤを使用した上で、ワイヤ長さを短くし反磁界を強めて測定範囲を拡大し、次に感度低下問題についてはコイル巻き数を増やして解決すれば、高感度、広い測定範囲および素子のマイクロサイズ化の3つの要求のすべてを満足することができる。
そのワイヤに、引張応力を負荷し軸方向と円周方向にそれぞれ磁気異方性Kuと磁気異方性Kθを発生させて、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央コア部磁区の2相の磁区構造を形成した。
表面磁区の厚みdはKθを大きくするほど大きくなるが、感度は低下するので、パルス電流が作る表皮深さpの2倍以上である必要はない。厚みdは、測定磁界範囲±Hmを決定したうえで、使用するパルス周波数を考慮して、d=2p程度に調整する。実用的には1μm以下が望ましい。
パルス電流の強度は、50mA以上としてワイヤ表面にHmの1.5倍以上の十分大きな円周磁界Hθを発生させて表面スピンの一斉回転を実現した。さらに円周方向に磁化飽和させて磁化履歴を消去した。このパルス磁界アニーリング処理を測定毎に行い、出力からヒステリシス特性を除去した。
Hθは、異方性磁界の強さが大きい場合、それに対応して増加する必要があるが過大電流はワイヤを加熱するしセンサの消費電流を増加せしめるので望ましくない。望ましくは70mAから150mA、Hθは40Gから80G程度とすることが望ましい。
パルス周波数は、0.5GHz以上として、電流の表皮深さpを1μm以下として、円周表面磁区の厚みd以下とすることが望ましい。
この条件で、周波数を高めると、表皮深さが小さくなり回転スピン数が減少しコイル出力はf/p=f1/2 と、fの一次比例からf1/2比例して増加する。
しかし高速化に伴って渦電流が増加しスピン回転を抑制するようになるので、さらにfによる増加傾向は抑制され、ある周波数で最大値を取る。さらに、5GHz近くまでパルス周波数を高めると、スピンの歳差運動やスピン共鳴現象が惹起し始めて、各スピンは交換作用力に打ち勝って回転を始めて、コイル出力電圧が低下する。渦電流による格子発熱や歳差運動によるスピン系の発熱によって、コイル出力の低下が増幅する。従って4GHz以下が望ましい。
最適周波数域は1GHzから3GHzである。透磁率が高く異方性磁界が小さく円周表面磁区の厚みdが1μm以下と小さい場合は、それに対応してパルス周波数を高くする必要がある。表皮深さpをd以下に制御することが望ましい。dが小さい場合、それに合わせてパルス周波数を高めて表面磁区のスピンのすべてが回転するようにすることが望ましい。 ただし、dよりpの方が大きい条件では、周波数を増加してpを小さくしても表面磁区の回転するスピンの数は変化しないので、出力は周波数fに比例して増加する。この条件では、ワイヤの異方性磁界と周波数の組合せが最適化されていないことを意味している。なお中央部の磁化Msは、高周波では移動しない表面磁区とコア磁区との間の磁壁によってシールドされているので、表皮効果による影響はを受けない。
パルス時間間隔は10n秒以上、望ましくは50n秒としてコイル信号干渉を避ける必要がある。
この状態のワイヤに上記パルス電流を通電すると、パルスが作る60G程度の大きな円周磁界によって、超高速(パルスの遷移時間dt内)でスピンが円周方向に一斉回転する。その際に生じるワイヤの磁化変化をコイル出力電圧Vsとして検知する。
ワイヤの直径は、ワイヤの直径Dに比例してコイル出力が増加するが、大きすぎると表面の円周方向スピン磁区が形成できなくなるので20μm以下にすべきである。また直径が大きいほど必要なパルス電流が大きくなる。さらにピッチが小さい微細コイルの製造が困難となるので、望ましくは5μm〜12μmとすべきである。
長さLは、コイル出力を増加するが、測定範囲±Hmが小さくなり、コイル出力と測定範囲とがトレードオフ関係にある制御因子である。一般的には、コイルピッチを小さくしてコイル巻き数を増やしてコイル出力を増加し、ワイヤ長さLは0.1mm〜0.5mmと出来るだけ小さくして測定範囲を拡大することが望ましい。
コイルの巻き数については、センサの高感度化と小型化を同時に実現できるので、コイルピッチを小さくして単位コイル巻き数を増加することは極めて重要である。磁性ワイヤの下半分または一部を基板に形成された溝に埋設し、溝底面に下コイルを配置し、ワイヤ上部に上コイルを配置し、上下のコイルを基板面上で接合してコイルを形成することによって、コイルピッチを10μm以下とすることができる。現在の微細加工技術レベルを考慮すると、コイルピッチは、1μm〜6μmが望ましい。
コイルの製作にあたっては、絶縁被覆されたワイヤは下部コイルを設置した溝に沿って樹脂で固定され、つぎに上部コイルを設置して、コイルとワイヤとの間の絶縁を確保した。ワイヤと電極の接続はワイヤ上面部の絶縁被覆材料を除去した後、被覆除去したワイヤ面と電極とを導電性金属材料を蒸着して接続した。
磁界検出素子の構造については、パルス電流の周波数を高めると、パルス電流が作る円周方向磁界とコイル配線構造との関係によってコイルに発生する誘導電圧Vcが増加する。それをコイル電圧Vmから取り除く構造が必要である。
誘導電圧Vcは、(1)パルス通電中のワイヤ電位差を静電的に感知する電圧と、(2)円周方向磁界の変化をコイルが直接感知して発生する電圧、および(3)基板面上の配線ループが感知する電圧の3種類が存在する。誘導電圧の大きさは、静電電位差の影響が一番大きく、次にコイルが直接に感じる電圧。配線ループについては、キャンセルは容易で通常は小さくすることができるが、好ましくない配線をすると大きな電圧を生じる。
図8に示すように、二本のワイヤにそれぞれ左巻きコイルを取付け、双方向に電流を流すと、磁界は同相電圧となる。静電電位差によるコイル電圧は逆相の電圧となるので、一方のマイナス端子を他方のプラス端子に接続すると、磁界による電圧を加算され、静電電位差によるコイル電圧はキャンセルされる。さらに配線ループは、二本ワイヤ間で交差させると、二つのループは同じ向きの磁界を検知するが、電流が流れる向きが双方向なので、発生電圧は逆向きとなってほぼキャンセルすることができる。しかし配線ループの形を対称形状にする点で難点がある。
そこで、図5に示すように、二本のワイヤにそれぞれ左巻き右巻きのコイルを取り付ける。コイル21Lとコイル22Lは同じ左巻きコイルで電流は逆に流れており、配線は図8と同じパターンとなっているので、静電電圧差とコイル巻に依存した誘導電圧はキャンセルできている。また右巻きコイル21Rと22Rも同じく、2種類の誘導電圧はキャンセルされる。配線ループによる誘導電圧は、二つの対称なループが二本ワイヤ間の形成できるのでほぼ完全にキャンセルされ消滅する。この配線が最も望ましい配線である。
コイルの製作の都合でコイル間に出力特性に差異がありコイルの誘導電圧残差が残る場合、磁界ゼロの場合のコイル誘導電圧Voを測定して、プログラミング演算回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、測定値VmからVcを差し引き、Vsを求めることが必要である。
この極端な場合として、右巻きコイルと左巻きコイルの組合せができない単体コイルの場合があるが、同様のプログラム処理で処理することができる。しかしこの場合、センサ出力電圧の上限は、センサの駆動電圧Eoから誘導コイル電圧Vcの2倍を差し引いた値となりセンサ感度が小さくなる。例えば駆動電圧Eoを2V、誘導コイル電圧Vcを0.5Vと最悪ケースの場合、センサの出力の上限電圧は1Vから0.5Vと半減し、センサ感度は50%低減する。
さらに、誘導コイル電圧Vcはスピン回転によって生じるGSR効果によるコイル電圧Vsに比べて、少し早くピーク電圧をとり、GSR電圧Vsの直線性を確保するために、誘導コイル電圧Vcのピークから少しずれた点、変化が急峻な点の値を検波してメモリし補正に使用する必要がある。これは温度によって検波タイミングが微妙にずれるとコイル出力の大きな温度ドリフトになってしまうことを意味している。
したがってパルス電流の方向と、左巻きコイルと右巻きコイルの組合せおよび配線ループを組み合わせて、完全に誘導電圧の消失を図ることが好ましい。
GSR素子のコイルの巻き数と抵抗は、20回以上、10Ω以上で所定の性能を確保しうるが、地磁気検知センサの場合には、巻き数は40回〜100回、コイル抵抗は100Ω〜400Ωが望ましい。ワイヤ通電の抵抗は、4Ω〜40Ωに調整することが望ましい。
これらのGSR素子を、図10に示すパルス対応型のバッハー回路55に接続して出力電圧を測定した結果、出力は所定の出力電圧を得ることができた。
本素子と集積回路チップとの接続は、ワイヤおよび検出コイルの4つの電極と集積回路チップ側の接続用電極とを半田で直接接続した。
信号処理回路の構成は、図10に示すパルス発振器51、GSR素子52、パルス対応型バッハー回路55、サンプルホールド回路56からなるアナログ回路とAD変換回路およびデジタル信号処理回路からなるデジタル回路からなっている。
パルス発振器から2GHzの換算周波数をもつパルス電流をGSR素子52に通電し、その時に発生するコイル電圧をパルス対応型バッハー回路55で検知する。この時コイル抵抗は大きいが、コイルの寄生容量が極限的に抑制されているため、コイルには極微小電流が流れるだけで、その電圧降下はコイル出力電圧の5%と非常に小さい。
バッハー回路の入力側回路53と出力側回路56ともに高インピーダンスで、通常のバッハー回路の概念、つまり入力側回路は高インピーダンスで出力側回路は低インピーダンスと大きく異なっている。しかしワイヤのパルス電流によってコイルに一瞬の電流が流れ、電子スイッチ57が開閉した一瞬のみ、つまり出力側のコンデンサ58が充電されるナノ秒以下の時間間隔のみバッハー回路として機能するパルス対応型バッハー回路55によってコイル電圧は減衰することなくコンデンサ58にサンプルホールドされ増幅器59を介して出力される。
その後AD変換回路で8ビットから16ビットのデジタル信号に変換され、デジタル信号処理回路に転送され、所定の処理が行われて外部磁界Hに変換されて、その値が出力される。またデジタル信号処理回路は、直接の信号データを保存するメモリ部、信号補正プログラムと初期設定値を保存するメモリ部を有している。
上記構成のGSRセンサの性能に関しては、磁気信号ノイズは0.05mG〜1mG、測定範囲は±3Gから±60Gへ、直線性は±0.1%以下、感度は1mG/ビット〜0.05mG/ビット、ヒステリシスは1mG以下、原点の温度ドリフトは0.02mG/℃以下、測定間隔200Hzの場合の消費電流は0.1mA以下と大幅に向上し、素子サイズは、長さ0.1mm〜0.4mm、幅0.1mm〜0.4mm、参考までに集積回路ASICと組み合わせたセンサは、1mm×1mm×0.6mm〜2mm×2mm×1mm程度の小型サイズが実現できる。
現行のコイル式の改良型MIセンサで製作した地磁気検知センサの性能は、磁気信号ノイズは2mG、測定範囲は±12G,直線性は±0.2%、感度は1.5mG/ビット、ヒステリシスは2mG、原点の温度ドリフトは1mG/℃、測定間隔200Hzの場合の消費電流は0.4mA以下、素子サイズは、長さ0.6mm、幅0.3mm、センササイズは、2mm×2mm×1mmである。
GSRセンサはMIセンサに比べて、性能指数で100倍から1000倍の性能改善が実現している。
第2の実施形態のGSRセンサは、100pT(1μG)以下の生体磁気レベルの超微小磁界を測定対象とするものである。
第1の実施形態の基本構成およびセンサ緒元をベースにして、ワイヤ長さ2mm〜5mmと十分な長さを確保してコイル出力およびセンサ感度を高めることにした。素子サイズは、長さ2mm〜5mm、幅0.6mm〜1.8mm、センササイズは、2mm×2mm×0.6mmから5mm×2mm×1mmへと大きくし、コイル巻き数を300回〜2000回に拡大して微小磁界検知を可能にした。GSR素子の構造は、左巻き右巻きコイルの組合せを一対から2対〜8対と増やした。コイル抵抗は500Ω〜2kΩ程度に調整し、ワイヤの抵抗は、20Ω〜40Ωに調整することが望ましい。
この生体磁気検知センサは、磁気信号ノイズは1pT(10nG)〜100pT(1μG)、測定範囲は±3G以下,直線性は±0.1%以下、感度は1nG/ビット〜0.10nG/ビット、ヒステリシスは1pT以下、原点の温度ドリフトは0.2pT/℃以下、連続測定の場合の消費電流は10mA以下、の性能が実現できる。
現行のコイル式の改良型MIセンサで製作した生体磁気検知センサnTセンサの磁気信号ノイズ1nTに比べて、1000倍の高感度センサが実現できる。
第3の実施形態のGSRセンサは、磁石や電流磁界による磁界を測定対象としたもので、その測定磁界強度の強さ、測定周波数、センササイズなど用途に応じて、センサ緒元を最適化したものである。
自動車、家電、工場、産業用ロボットおよび電力センサなどは、ワイヤ長さを0.1mm以下、コイルピッチを2μm〜6μm、巻き数を15回〜50回として、測定範囲を300G程度へと拡大したものである。経済性を考慮して配線構造を簡便化した素子構造を図8に示す。二本のワイヤにそれぞれ左巻きコイルを取付け、双方向に電流を流すと、磁界は同相電圧となる。静電電位差によるコイル電圧は逆相の電圧となるので、一方のマイナス端子を他方のプラス端子に接続すると、磁界による電圧を加算され、静電電位差によるコイル電圧はキャンセルされる。さらに配線ループは、二本ワイヤ間で交差させると、二つのループは同じ向きの磁界を検知するが、電流が流れる向きが双方向なので、発生電圧は逆向きとなってほぼキャンセルすることができる。
第4の実施形態のGSRセンサは、胃カメラ、カテーテルなど生体内部で地磁気などの磁界を検出して生体内の測定装置の姿勢を検知する用途の場合、超小型化を図ったものである。
この場合、磁性ワイヤ、コイルおよび配線構造を図9に示す素子構造として小型化を図ることが望ましい。一本のワイヤに左巻き右巻きコイルを取り付け、同一方向に電流を流すと、磁界は逆相電圧となるが、静電電位差によるコイル電圧は同相で電圧となり、コイル端子を逆接合すると磁界による出力電圧は加算され、静電電圧差による電圧はキャンセルされる。さらに配線ループによって生じる電圧は、出力配線を交差させると、ループ内の上向き磁界と下向き磁界がキャンセルするのでほぼ消失する。
この場合には、右巻きコイルと左巻きコイルの電圧は、電流は同じ向きなので逆電圧となるが、コイル同士は逆接続となるので同じ向きの電圧となって残留するのが難点である。しかし誘導電圧は完全には消滅しないが、単純コイルの誘導電圧と比較すると、1/4以下と十分小さくすることができる。
ワイヤ径を2μm以下、コイルピッチを1μm以下として、ワイヤ長さを10μm〜20μm、コイル巻き数を10回〜20回とし、素子サイズを長さ0.02mm以下、幅0.02mm以下にすることが望ましい。
第5の実施形態のGSRセンサは、紙幣検知、磁気カメラなど磁気マッピングなどに使用する場合、パルス間隔を10n秒〜100n秒として、10MHzから100MHzの超高速測定を実現したものである。直線状あるいは面上に配置したアレイセンサ素子を用いて、高速切り替えスイッチを備えたものである。
以上、5つの実施形態を説明したが、測定対象に応じてセンサ設計の自由度が高い点も本センサの利点である。
磁性ワイヤの異方性磁界Hk(ほぼHmに等しい)を制御して磁性ワイヤの表面磁区の深さdをパルスの表皮深さp以上確保することを条件において、超高速スピン回転効果によるコイル出力電圧と外部磁界との間には式(1)の関係が存在する。出力特性は、磁性ワイヤの長さと径、コイルピッチ、パルス周波数と電流強度および回路構成を組みあわせることで、感度、測定範囲など用途に応じて性能を最適化することが可能であるからである。
[実施例1]
実施例1に係るGSR素子の平面図を図5に示す。また、GSR素子の構造図(断面図)を説明するために単位磁界検出素子の上面図、断面構造図を図6に示す。
超高速スピン回転効果を原理とするGSRセンサの実施例1は、磁性アモルファスと周回コイルから構成されるGSR素子および該磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する回路とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とから構成されている。外部磁界Hとコイル出力電圧は、式(1)のような数学的関係で表される。
磁性ワイヤは、CoFeSiBアモルファス合金の直径10μm、厚み1μm以下のガラス被覆のワイヤである。その結晶構造は、アモルファス構造で弱負磁歪10−6を持った比透磁率は1万の高透磁率磁性ワイヤである。そのワイヤに、引張応力を付加し軸方向と円周方向に5Gの磁気異方性Kθを発生させて、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央コア部磁区の2相の磁区構造を形成した。表面磁区の厚みdを1μm以下とした。
パルス電流の強度は、100mA以上としてワイヤ表面に60Gの十分大きな円周磁界Hθを発生させて、その磁界の力で表面磁区のθ傾斜したスピンを一斉に円周方向に回転を実現した。同時に2n秒のパルス持続時間を確保してコア部磁区と表面磁区との界面に存在する90度磁壁をコア中心部へ浸透させて、コア部磁区を縮小し、円周方向に磁化飽和またはそれに近い磁化状態にさせて磁化履歴を消去した。このパルス磁界アニーリング処理を測定毎に行い、出力からヒステリシス特性を除去した。
パルス周波数は、2GHzとして、電流の表皮深さpを0.12μmで円周表面磁区の厚みは1μm以下とした。上記特性のアモルファスワイヤの直径は10μm、長さLは0.2mmとして、測定範囲±Hmは40Gに調整した。
コイルの巻き数は48回、コイルピッチは5μmとしてコイル出力電圧を高めた。
そのために、素子の構造は、図6に示すように、絶縁被膜で被覆された磁性ワイヤ42の一部を基板に形成された溝41に埋設し、溝41の底面に下コイル431を配置し、ワイヤ上部に上コイル432を配置し両者を樹脂47で固定して基板の平面上で接合し、コイル高さは溝の下コイル431、ワイヤ上部の上コイル432、および上限コイルのジョイント部段差433の3分割にした。これにより微細コイルを凹凸面上に実現した。
コイルについては、コイル内径を15μm、コイルの側面の平面接続部を5μm、コイルピッチを5μmとした。磁界検出素子のサイズは、ワイヤ長さ200μm、コイル長さ160μm、溝深さ6μm、コイル凸部の高さ7μmおよび上下コイルの接合部の段差は1μmとした。
コイルの製作にあたっては、絶縁被覆されたワイヤを下コイルが設置されている溝に沿って樹脂で固定し、つぎに上コイルを設置して、コイルとワイヤ間の絶縁を確保した。ワイヤと電極の接続はワイヤ上面部の絶縁被覆材料を除去した後、被覆除去したワイヤ面44と電極45とを導電性金属材料を蒸着して接続部46を形成した。
GSR素子の平面図を図5に示す。基板上の基板溝28に沿って磁性ワイヤ29を2本設置し、それぞれのワイヤに一対の右巻きコイル21Rと左巻きコイル21Lおよび一対の右巻きコイル22Rと左巻きコイル22Lを設置する。両ワイヤに反対向きにパルス電流が流れるようにするために、ワイヤ通電用の入力電極23、ワイヤプラス端子21+、ワイヤマイナス端子21−、両ワイヤ接続部25、右側ワイヤのプラス端子22+、マイナス端子22−、ワイヤグランド端子24と接続する。コイル接続は、出力端子26から、右側左巻きコイル22Lの端子261、262に接続され、順次コイル端子263、264、265、266、267、268と接続され、最後にコイルグランド端子27に接続される。
コイル電圧はワイヤにはパルス電流を通電した時、外部磁界に起因した出力電圧は右巻きコイル同士と左巻きコイル同士には同相電圧が生じるが、右巻きと左巻きコイル間では逆相電圧が生じる。同じ巻方向のコイルは準接合、異なる方向のコイル間は逆接合されて、4つのコイルに生じる電圧はすべて加算される。
静電電位差による誘導電圧は、コイル21Lとコイル22Rは電流と反対向きに端子接続され、コイル21Rとコイル22Lは電流と同じ向きに端子接続がなされており、合計でキャンセルとなる。円周磁界がコイルに直接作る誘導電圧は、反対向きに電流が流れるふたつのコイル22Lとコイル21Lの端子接続によりキャンセルされ、さらに反対向きに電流が流れるふたつのコイル22Rと21Rの端子接続によってキャンセルされ、結局4つのコイルに生じる電圧はすべてキャンセルされる。配線ループに起因する誘導電圧は、二つの対称性のあるループによってキャンセルされる。端子263、264、265、266で形成されるループと端子261、262、267、268で形成されるふたつループは、同一方向向きの磁界を検知するがコイル電流の向きが反対なのでキャンセルすることになる。以上3つの要因による誘導電圧はすべて消失する。
この素子の構造と素子基板面上での配線構造によってパルス電流が作る円周方向磁界よって生じるコイルに発生する200mV程度の誘導電圧Vcをコイル電圧Vmから取り除くことを成功した。
コイル間のアンバランスによって両者の差分dVcが30mV程度残る場合がある。コイル誘導電圧Vcを磁界ゼロの場合のコイル電圧差分dVcを測定して、プログラミング演算回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、測定値VmからdVcを差し引くことにした。
GSR素子のコイルの巻き数と抵抗は、48回で220Ωとし、ワイヤの抵抗は、4Ωに調整した。これらのGSR素子を、図10に示すパルス対応型のバッハー回路55に接続して出力電圧を測定した結果、所定の出力電圧を得ることができた。
本素子と集積回路チップとの接続は、ワイヤおよび検出コイルの4つの電極と集積回路チップ側の接続用電極とを半田で直接接続した。
信号処理回路の構成を図10に示す。パルス発振器51、GSR素子52、パルス対応型バッハー回路55、サンプルホールド回路56、AD変換回路およびデジタル信号処理回路からなっている。
パルス発振器から1GHzの換算周波数をもつパルス電流をGSR素子に通電し、その時に発生するコイル電圧をパルス対応型バッハー回路で検知する。この時コイル抵抗は大きいが、コイルの寄生容量54が極限的に抑制されているため、コイルには極微小電流が流れるだけで、その電圧降下はコイル出力電圧の5%以下と非常に小さい。
バッハー回路の入力側回路53と出力側回路56ともに高インピーダンスで、通常のバッハー回路の概念、つまり入力側回路は高インピーダンスで出力側回路は低インピーダンスと大きく異なっている。しかしワイヤのパルス電流によってコイルに一瞬の電流が流れ、電子スイッチ57が開閉した一瞬のみ、つまり出力側のコンデンサが充電されるナノ秒以下の時間間隔のみバッハー回路として機能するパルス対応型バッハー回路によってコイル電圧は減衰することなくコンデンサ58にサンプルホールドされ増幅器59を介して出力される。
その後AD変換回路で14ビットのデジタル信号に変換され、デジタル信号処理回路に転送され、所定の処理が行われて磁界Hに変換されて、その値が出力される。またデジタル信号処理回路は、直接の信号データを保存するメモリ部、信号補正プログラムと初期設定値を保存するメモリ部を有している。出力は2回の値を平均処理した。
上記構成のGSRセンサの性能に関しては、現行のコイル式の改良型MIセンサ商品AMI306に比べて、磁気信号ノイズは2mGから0.2mGへと10倍、測定範囲は±12Gから±50Gへと4倍,直線性は±0.2%から±0.1%へ、感度は2mGから0.4mGへと5倍、ヒステリシスは2mGから0.5mG以下へ、原点の温度ドリフトは1mG/℃から0.02mG/℃以下へと5倍、測定間隔200Hzの場合の消費電流は0.4mAから0.1mAへと1/4へと性能が大幅に向上している。
また、素子サイズは、長さ0.6mm、幅0.3mmから長さ0.2mm、幅0.2mmへと1/4と小型化、センササイズは、2mm×2mm×1mmから1mm×1mm×0.6mmへと1/4に小型化ができる。
総合的視点で見れば、160倍の性能指数の改善が実現している。
[実施例2]
実施例2は、100pT(1μG)程度の生体磁気レベルの超微小磁界を測定対象にした生体磁気検知センサである。
使用したGSR素子の平面図を図7に示す。4本のワイヤ31、32、33、34に、左巻コイルはそれぞれ31L、32L、33L、34Lを配置し、右巻コイルはそれぞれ31R、32R、33R、34Rを配置したものである。パルス電流は、ワイヤ電極35+からワイヤ31、ワイヤ結合部351、ワイヤ32、結合部352、ワイヤ33、結合部353、ワイヤ34と流れてワイヤグランド端子35Gに入る。コイル配線は、コイル出力電極36+から、コイル32R、31R、32L、31Lと接続され、続いて34R、33R、34L、33Lと図7の図面のように配線接続され最後にコイルグランド電極36Gに接続される。この配線により、磁界の影響で検知される出力電圧はすべて同符号になり、誘導電圧はすべてキャンセルされる。
実施例1と比較して、ワイヤ長さを0.2mmから2mmへと長くし、コイル巻き数を48回から1000回へと20倍増加させた。また、磁性ワイヤは異方性磁界Hkが5Gから1.5Gのワイヤを使用した。素子の長さが10倍も長いのでHmは40Gから2Gと1/20に大きく減少した。さらに周波数は2GHzとし、および測定値の平均回数を4回から16回と4倍(ノイズは1/2に減少)にした。コイル抵抗は5kΩ程度、ワイヤの抵抗は40Ωに調整した。
以上の設計因子の変更により、ノイズを0.2mGから20nG(2pT)へと大幅に減少したので生体磁気100pTを検知することが可能になる。
この生体磁気検知センサは、磁気信号ノイズは2pT(20nG)、測定範囲は±2G,直線性は±0.1%、感度は2nG/ビット、ヒステリシスは1pT、原点の温度ドリフトは0.2pT/℃以下、連続測定の場合の消費電流は10mA以下と総合特性にも優れたものである。
[実施例3]
実施例3のGSR素子の平面図を図8に示す。
2本のワイヤ21,22に左巻コイルを2個21L,22Lを配置したものである。パルス電流は、ワイヤ電極23からワイヤ21、ワイヤ結合部25、ワイヤ22と流れてワイヤグランド端子24に入る。コイル配線は、コイル出力電極26から、端子261、262、263、264と接続され、最後にコイルグランド電極27に接続される。この配線により、磁界の影響で検知される出力電圧はすべて同符号になり、誘導電圧はすべてキャンセルされる。
本実施例の特徴は、実施例1の基本構成およびセンサ緒元をベースにして、測定範囲を200Gに拡大したものである。そのために、実施例1に比較して、コイルピッチを5μmから2μmへ、長さを0.20mmから0.08mm、コイル巻き数を48回と同じにした。素子の構造、パルス周波数、ワイヤ材質などは同じにした。
総合的性能は、磁気信号ノイズは1mG、測定範囲は±200G,直線性は±0.1%、感度は1mG/ビット、ヒステリシスは0.1mG以下、原点の温度ドリフトは0.1mG/℃以下、測定間隔200Hzの場合の消費電流は0.1mA、素子サイズは、長さ0.08mm、幅0.2mmと小型である。
自動車、家電、工場、産業用ロボットおよび電力センサなどに適している。
[実施例4]
実施例4のGSR素子の平面図を図9に示す。
1本のワイヤ21に左巻コイル21Lと右巻きコイル21Rの2個のコイルを配置したものである。パルス電流は、ワイヤ電極23からワイヤ21に流れてワイヤグランド端子24に入る。コイル配線は、コイル出力電極27から、端子261、262、263、264と接続され、最後にコイルグランド電極26に接続される。この配線により、磁界の影響で検知される出力電圧はすべて同符号になり、誘導電圧のうち円周磁界が直接作るコイル誘導電圧を除いて大部分がキャンセルされる。
実施例4は、実施例1の基本構成およびセンサ緒元をベースにして、素子サイズを超小型化して、生体内で使用する医療機器に組み込むことを可能にしたものである。磁性ワイヤは、Hkが1.5G,ワイヤ径を2μm、コイルピッチを1μmとして、磁性ワイヤ長さを40μm、コイル巻き数を32回とし、素子サイズを長さ0.04mm、幅0.04mmにした。磁気信号ノイズは2mG、測定範囲は±50G,直線性は±0.1%、感度は2mG/ビット、ヒステリシスは0.5mG以下、原点の温度ドリフトは0.02mG/℃以下、測定間隔200Hzの場合の消費電流は0.05mA、回路は、医療機器の電子回路に組み込んだ。
胃カメラ、カテーテルなど生体内部で地磁気などの磁界を検出して生体内の測定装置の姿勢を検知する用途に適したものである。
[実施例5]
実施例5は、実施例1の基本構成およびセンサ緒元をベースにして、測定周期を200Hzから20MHzに拡大に拡大したものである。素子は、直線状あるいは面上に配置したアレイセンサ素子とした。
そのために、実施例1において、パルス間隔を50n秒に短くし、20MHzに対応できる波数応答性を持つバッハー回路、増幅器およびAD変換器を採用した。さらに素子と回路との接続部に高速切り替えスイッチを備えた。超高速測定を実現した本GSRセンサは、紙幣検知、磁気カメラなど磁気マッピングなどに適している。
本発明の超高速スピン回転現象を基礎とした超高感度マイクロ磁気センサは、微小磁界検知能力、高速測定、高感度、低消費電流、および良質な磁気信号を提供し、電子コンパス、磁気ジャイロ等の微小な地磁気を測定して、3次元方位計およびリアルタイム三次元方位計への応用、生体磁気を測定した医療用センサ、マイクロサイズ化して生体内部での応用、高速測定能力を活用した磁気マッピング応用、さらに測定範囲を拡大した産業用磁気センサなど、幅広い用途で、その使用が期待される。
10:BH磁化曲線、11:コイル出力曲線、12:ワイヤ軸方向断面、13:ワイヤ断面、14:表面磁区、15:コア磁区、16:左スピン向き、17:右スピン向き、
18:表面磁区スピン向き、19:コア磁区スピン向き
2:実施例1、実施例3および実施例4のGSRセンサ素子
21:左側ワイヤ、21+:左ワイヤ+端子、21−:左ワイヤグランド端子
22:右側ワイヤ、22+:右ワイヤ+端子、22−:右ワイヤグランド端子
21L:左側左巻きコイル、21R:左側右巻コイル、22L:右側左巻コイル、22R:右側右巻きコイル
23:ワイヤ入力側電極、24:ワイヤグランド側電極、25:両ワイヤ接続部
26:コイル+電極、27:コイルグランド電極
261から268:コイル端子
28:基盤溝、29:磁性ワイヤ
3:実施例2のGSRセンサ素子
31:1段目のワイヤ、32:2段目のワイヤ、33:3段目のワイヤ、34:4段目のワイヤ
31R、32R、33R、34R:各段の右巻きコイル
31L、32L、33L、34L:各段の左巻コイル
35+:ワイヤ入力電極、35G:ワイヤグランド電極、351、352、353:ワイヤ連結部
36+:コイル出力電極、36G:コイルグランド電極
4:単位磁界検出素子の基板
41:基板上の溝 、42:磁性ワイヤ、43:コイル
431:下コイル、 432:上コイル、433:ジョイント部段差、44:ワイヤ端子
45:ワイヤ電極、46:接続部、47:樹脂
5:電子回路
51:パルス発振器、52:GSR素子、53:入力側回路、54:コイル寄生容量、
55:パルス対応型バッハー回路、 56:出力側回路(サンプルホールド回路)
57:電子スイッチ、 58:サンプルホールド用コンデンサ、 59:増幅器

Claims (8)

  1. 基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個を設置した磁界検出素子および前記磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する回路とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とからなる磁気センサにおいて、
    前記磁性ワイヤは、10G以下の異方性磁界を有し、かつ円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有してなり、
    前記磁性ワイヤに通電するパルス電流は、該周波数は0.5GHz〜4.0GHzで、該ワイヤ表面に異方性磁界の1.5倍以上の円周方向磁界を発生させるのに必要な電流強度以上とし、
    前記コイルはコイルピッチ10μm以下でコイル内径を25μm以下とすることを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
  2. 請求項1に記載の超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
    前記磁性ワイヤに前記パルス電流を通電することによって、前記表面磁区内のワイヤ軸方向の磁界により軸方向に傾斜した円周方向スピンを超高速に一斉回転させて、その時に生じる超高速スピン回転現象による前記ワイヤの軸方向の磁化変化のみをコイル出力として取り出し、関係式(1)を使って磁界Hに変換することを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
    Vs=Vo・L・πD・p・Nc・f・sin(πH/2Hm) (1)
    ここで、Vsはコイル出力電圧、Voは比例定数、制御因子定数としては、Lはワイヤの長さ、Dはワイヤの直径、pはパルス電流の表皮深さ、Ncはコイルの巻き数、fはパルス周波数、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る時の外部磁界強度。
  3. 請求項1または請求項2に記載の超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
    基板上に右巻きコイルの検出素子と左巻きコイルの検出素子の一対または複数対を設置し、左巻コイルと右巻コイルに反対向きに前記パルス電流が流れるように、ワイヤ通電用の電極2個とワイヤ端子を接続し、またコイル電圧検出用電極2個とコイル端子は前記ワイヤには前記パルス電流を通電した時に、右巻きコイルと左巻きコイルの出力電圧が外部磁界に比例した出力電圧が同符号になり、かつ外部磁界がゼロの場合にパルス通電が作る円周方向磁界によって発生する出力電圧が異符号になるように接続することを特徴とする
    超高感度マイクロ磁気センサ。
  4. 請求項1または請求項2に記載の超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
    前記基板上の前記磁性ワイヤ1本に、パルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第1コイルと右巻きコイルの第2コイルとを取り付け、
    また、前記第1コイルと前記第2コイルのそれぞれに、パルス電流の流れてくる方向に向けて、第1コイル端子と第2コイル端子とを設けて、
    第1コイルの第1コイル端子と第2コイルの第1コイル端子とを接続し、
    コイル出力電極と第1コイルの第2コイル端子とを接続するとともにコイルグランド電極と第2コイルの第2コイル端子を接続し、
    かつ、
    前記第1コイルおよび前記第2コイルの前記第1コイル端子と前記第1コイルおよび前記第2コイルの前記第2コイル端子とは前記磁性ワイヤの両側に配置し、
    前記コイル出力電極から前記第1コイルの第2コイル端子への配線とコイルグランド電極から前記第2コイルの第2コイル端子への配線が交差していることを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
  5. 請求項1または請求項2に記載の超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
    前記基板上の2本の前記磁性ワイヤは、並列かつパルス電流がお互いに反対方向に流れるように接続して
    配置し、
    一の前記磁性ワイヤにパルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第1コイルと右巻きコ
    イルの第2コイルとを取り付け、
    他の前記磁性ワイヤにパルス電流の流れてくる方向に向けて一対の左巻きコイルの第3コイルと右巻きコイルの第4コイルとを取り付け、
    また、前記第1コイルと前記第2コイルと前記第3コイルと前記第4コイルのそれぞれに、パルス電流の流れてくる方向に向けて、第1コイル端子と第2コイル端子とを設けて、
    該コイルのコイル端子間の接続は、前記磁性ワイヤの2本の間に配置し、前記第1コイルの第1コイル端子と前記第4コイルの第2コイル端子を接続し、前記第4コイルの第1コイル端子と前記第2コイルの第1コイル端子を接続し、前記第1コイルの第2コイル端子と前記第3コイルの第2コイル端子を接続し、
    前記コイルのコイル端子と接続する電極は、前記2本の磁性ワイヤの両側に配置し、コイル出力電極から前記第3コイルの第1コイル端子への配線とコイルグランド電極から前記第2コイルの第2コイル端子への配線が前記2本の磁性ワイヤの間で交差していることを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載された超高感度磁気マイクロ磁気センサにおいて、
    プログラミング演算電子回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、磁界Hにおけるコイル電圧の測定値から、磁界ゼロにおけるコイル誘導電圧を差し引くことを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された超高感度磁気マイクロ磁気センサにおいて、
    内蔵した温度センサと温度依存性補正プログラムを使ったVsに対する温度の影響を補正する手段を有することを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載された超高感度磁気マイクロ磁気センサにおいて、
    前記磁界検出素子に使用されている前記磁性ワイヤとして、アモルファス構造またはナノ結晶構造を有していて、小さな結晶磁気異方性とゼロまたは弱負磁歪特性を持つ磁性合金からなる高透磁率磁性ワイヤに対して、引張応力を負荷し軸方向と円周方向に異方性を発生させて、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を形成せしめ、さらに十分大きなパルス電流でパルス磁界アニーリング処理を測定毎に行い円周方向に磁化飽和させて磁化履歴を消去することができる磁性ワイヤを用いることを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
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