JP6769882B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は磁気センサに関する。
磁場を検出する磁気センサとして、GMR(巨大磁気抵抗)効果やTMR(トンネル磁気抵抗)効果を用いたスピンバルブ型MR磁気センサがある。
スピンバルブ型MR磁気センサは、非磁性体を強磁性体で挟んだ構造(強磁性体/非磁性/強磁性体)を有し、一方の磁性体の磁化を反強磁性体で固定し(磁化固定層)、もう一方の強磁性体(磁化自由層)の磁化は外部磁場に対して自由に回転できる構造を有している(スピンバルブ構造)。スピンバルブ型MR磁気センサは、外部磁場Hが加わり、磁化固定層の磁化と磁化自由層の磁化との相対角が変化すると、非磁性体である中間層を流れる電流が変化するため、磁場を検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
スピンバルブ型MR磁気センサは微小な磁場で大きな磁気抵抗(MR)変化を示すことが知られており、主にハードディスクの磁気ヘッド等に用いられている。また、スピンバルブ型MR磁気センサは、ホール効果を用いた磁気センサと比較して高感度であること、つまり微小磁場の検出が可能であることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
MRセンサには他の方式があり、例えばAMR(異方性磁気抵抗)効果を利用したAMR磁気センサがある。AMR磁気センサはGMR磁気センサやTMR磁気センサと比較して感度は小さいが、ノイズ特性が優れており、磁気検出能はGMR磁気センサやTMR磁気センサと比較しても同等レベルである(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−199769号公報 特開2005−221383号公報 特許第5044070号公報
上述したようなGMR効果やTMR効果を用いたスピンバルブ型MR磁気センサは、低周波領域において比較的大きなノイズを持つ。そのため、スピンバルブ型MR磁気センサによる検出精度の低下につながるという問題がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検出精度を向上させることの可能な磁気センサを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る磁気センサは、基板と、当該基板上に配置された積層部を有し、当該積層部が、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層、及び前記磁化自由層と前記磁化固定層との間に配置された非磁性層を含み、前記外部磁場に応じた信号を出力する感磁ユニットと、前記磁化自由層に対してバイアス磁場を印加する磁場発生部と、を備え、前記磁化自由層に対して前記バイアス磁場が印加されていないとき前記磁化自由層の磁化方向は、前記第一の方向に対して略平行又は略反平行であって、前記磁化自由層に対して、上面視で前記第一の方向に垂直な第二の方向に正の成分を含む第一のバイアス磁場を印加した状態での前記感磁ユニットの出力である第一の出力と、前記磁化自由層に対して、前記第二の方向に負の成分を含む第二のバイアス磁場を印加した状態での前記感磁ユニットの出力である第二の出力と、に基づいて前記外部磁場の前記第二の方向の成分を算出するようになっていることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、より優れたノイズ特性を実現することが可能な磁気センサを提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第一実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 外部磁場を検出する回路の一例である。 磁気センサの出力電圧に含まれるノイズの一例である。 従来の磁気センサの一例を示す構成図である。 従来の磁気センサの出力特性の一例である。 フルブリッジ回路からなる磁気センサの一例を示す構成図である。 従来の磁気センサを用いてフルブリッジ回路を構成した場合の出力特性の一例である。 本発明の第二実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 本発明の第三実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第三実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 本発明の第四実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第四実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 本発明の第五実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第五実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 第五実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 本発明の第六実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第六実施形態に係る磁気センサの変形例である。 第六実施形態に係る磁気センサの感磁ユニットの磁気抵抗曲線の一例である。 第六実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 第六実施形態に係る磁気センサの感磁ユニットの磁気抵抗曲線のその他の例である。 第六実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線のその他の例である。 本発明の第七実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第七実施形態に係る磁気センサの感磁ユニットの磁気抵抗曲線の一例である。 第七実施形態に係る磁気センサの感磁ユニットの磁気抵抗曲線の一例である。 第七実施形態に係る磁気センサの磁気抵抗曲線の一例である。 本発明の第八実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第八実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第八実施形態に係る磁気センサの端子出力の磁気抵抗曲線の一例である。 第八実施形態に係る磁気センサの各端子出力の差分が示す磁気抵抗曲線の一例である。 本発明の第九実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第九実施形態に係る磁気センサの一例を示す構成図である。 第九実施形態に係る磁気センサの各端子出力の磁気抵抗曲線の一例である。 第九実施形態に係る磁気センサの各端子出力の差分が示す磁気抵抗曲線の一例である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
<磁気センサ>
本実施形態に係る磁気センサは、基板と、基板上に配置された積層部を有し、積層部が、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層、及び磁化自由層と磁化固定層との間に配置された非磁性層を含み、外部磁場に応じた信号を出力する感磁ユニットと、磁化自由層に対してバイアス磁場を印加する磁場発生部と、を備え、磁化自由層に対してバイアス磁場が印加されていないとき磁化自由層の磁化方向は、第一の方向に対して略平行又は略反平行であって、磁化自由層に対して、上面視で第一の方向に垂直な第二の方向に正の成分を含む第一のバイアス磁場を印加した状態での感磁ユニットの出力である第一の出力と、磁化自由層に対して、第二の方向に負の成分を含む第二のバイアス磁場を印加した状態で感磁ユニットの出力である第二の出力と、に基づいて外部磁場の第二の方向の成分を算出するようになっている。
これにより、本実施形態に係る磁気センサは、従来の磁気センサと比べて良好なノイズ特性を示し、測定精度を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る磁気センサが、従来の磁気センサと比べて低ノイズになる作用は、測定対象である外部磁場が印加された時の第一の出力の信号変化の方向と第二の出力の信号変化の方向とが逆方向であり、且つ、信号に重畳して存在するノイズは第一の出力と第二の出力とで同一であるため、例えば第一の出力と第二の出力との差分をとることで真信号(検出対象の信号)に重畳して存在するノイズを除去し、信号変化成分のみを取り出すことができるからである。
演算を容易にする観点から、第一の出力と第二の出力との差分に基づいて外部磁場の第二の方向の成分を算出することが好ましい。
(外部磁場)
本発明の一実施形態において、外部磁場とは、測定対象から発生した磁場、環境に存在する磁場など、であり、磁気センサ自身から発生した磁場、例えば、磁化自由層や磁化固定層の磁化による磁場や、磁場発生部で発生させた磁場等は含まない。
(略平行、略反平行)
本発明の一実施形態において、略平行とは、外部磁場が理想的にはゼロの状態で、且つ、バイアス磁場が印加されていない状態において、磁化自由層の磁化方向が、第一の方向に対して−45度以上45度以下であることを意味し、略反平行とは、135度以上225度以下であることを意味する。
ここで、第一の方向と磁化自由層の磁化方向との相対角度が0度の時を「平行」、180度の時を「反平行」と定義している。
また、デバイス動作の利便性の観点から、磁化自由層の磁化方向が、第一の方向に対して略平行の場合には、相対角度としては、−30度以上30度以下がより好ましく、−10度以上10度以下の方がさらに好ましい。同様の観点から、磁化自由層の磁化方向が、第一の方向に対して略反平行の場合には、相対角度としては、150度以上210度以下がより好ましく、170度以上190度以下の方がさらに好ましい。磁化自由層の磁化方向と第一の方向との相対角度が0度または180度に近づくことで、磁場発生部からバイアス磁場を印加する際に、第一のバイアス磁場と第二のバイアス磁場の大きさを同じにすることができるため、デバイス動作の利便性の観点から好ましい。
本発明の一実施形態に係る磁気センサは、電気信号を外部の回路等との接続に用いる電極をさらに備えてもよい。
本発明の一実施形態に係る磁気センサは、外部から電力を供給するための外部接続配線をさらに備えていてもよい。外部接続配線は、外部端子と電極とを電気的に接続する部材であり、例えば金属細線(ボンディングワイヤー)や、金属バンプ等を用いることができる。
以下、本実施形態に係る磁気センサの各構成部について、例を挙げて説明する。
(1)基板
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける基板は、その上に所望の積層部を形成することが可能なものであれば特に制限されない。基板の一例としては、Si基板やガラス基板が挙げられるがこの限りではない。素子との絶縁性を確保する観点から、基板は、Si基板上にSi酸化膜(SiO等)を成膜したものが好ましい。このときSi基板は、IC(集積回路)などとの組み合わせの目的でパターニングされたものであってもよい。
(2)感磁ユニット
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける感磁ユニットは、基板上に配置され、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層と、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に配置された非磁性層と、を含む積層部を有するものである。感磁ユニットは、積層部と接続される配線部をさらに有してもよい。
感磁ユニットは、積層部、配線部、磁場発生部との絶縁を保つための保護層をさらに有してもよい。
感磁ユニットは、第一の方向に磁場を印加するためのハードバイアス層をさらに備えていてもよい。また、第一の方向と直交する第二の方向に磁場を印加するためのハードバイアス層をさらに備えていてもよい。例えば、積層部の上方に保護層(絶縁層)を介してハードバイアス層が配置されていてもよい。ハードバイアス層の材料は例えば、CoPt、CoPtCrなどのヒステリシスの大きい強磁性体材料が用いられるが、この限りではない。
感磁ユニットは基板上に複数存在してもよく、また、感磁ユニットは、複数の積層部を有していてもよい。
基板上に積層部が複数存在し、それらが配線部によって直列もしくは並列、またはその直並列(すなわち、直列と並列との組み合わせ)に接続されていてもよい。
複数の積層部を配線部によって直並列に接続してブリッジ回路を形成してもよい。この場合、電源の供給端子用の配線部、電圧の読み出し端子用の配線部、接地端子用の配線部を有する。
また、本発明の一実施形態に係る磁気センサは、複数の感磁ユニットが存在しており、その一部の磁化固定層の磁化方向が第一の方向の正の方向を向いており、残りの感磁ユニットの磁化固定層の磁化方向が第一の方向の負の方向を向いていてもよい。
(3)積層部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける積層部は、基板上に配置され、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層と、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に配置された非磁性層と、を含む。
積層部は、基板上に磁化自由層→非磁性層→磁化固定層の順で積層してもよく、磁化固定層→非磁性層→磁化自由層の順で積層してもよい。
また、上記三つの層の上又は下、又は三つの層間に他の層が挿入されていてもよい。
積層部の最上部には、酸化防止の観点から、非磁性のキャップ層を備えていることが好ましい。非磁性のキャップ層は、配線部との接続の観点から、Au、Ruなどの導電性材料であることが好ましい。
密着性の観点から、キャップ層と、磁化自由層または磁化固定層との間にTi、Taなどの金属層を備えていることが望ましい。積層部は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、スパッタ法により形成することができる。また、複数の積層部を形成する場合、基板上に形成された積層膜を、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材を用いてドライエッチングやウェットエッチングすることにより形成することができる。
この時、積層部の途中でエッチングを停止させることにより、積層部の形状を制御してもよい。この場合、エッチング停止点より上側の層が、エッチング停止点の下側の層上に複数部分に分かれて形成されていてもよい。
また、エッチング停止点は任意に設定することができる。例えば、上側の層に磁化自由層と非磁性層の一部が含まれ、下側の層に非磁性層の一部、磁化固定層が含まれていてもよい。
また、上側の層に磁化自由層、非磁性層、磁化固定層、が含まれ、下側の層はそれ以外の層(例えばTa、Ruなど)で構成されていてもよい。
積層膜の磁化容易軸を決定するために、磁化容易軸にしたい方向と平行に、成膜中に磁場を印加してもよい。
ここで、磁化容易軸とは、磁性体のもつ磁気異方性の特性により、磁化されやすい方向のことを意味する。磁気異方性は、磁性体の形状によって決まる形状磁気、結晶方位によって決まる形状磁気異方性、磁性原子の配列によって起こる誘導磁気異方性などにより決定される。
また、積層膜を成膜後に、磁場中で熱処理を行うことで、磁化容易軸を決定してもよい。
また、磁化自由層を上面視で細長い形状に加工することで、磁化容易軸を決定してもよい。
(4)磁化自由層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける磁化自由層は、外部磁場によって容易に磁化される強磁性材料で主に構成される。磁化自由層は、一つの材料で構成される必要はなく、多層膜であってもよい。強磁性材料としては、NiFe、CoFeB、CoFeSiB、CoFe、NiFeSiBなどが用いられるがこの限りではない。磁気感度向上のため、磁化自由層中にRuやTaなどの非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。なお、磁化自由層の微細加工形状は問わない。
(5)非磁性層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける非磁性層は、非磁性材料で構成される。一般的に、非磁性層には、GMR素子の場合はCuなどの金属材料が用いられ、TMR素子の場合はAlやMgO等の絶縁材料が用いられるが、この限りではない。高磁気感度化のため、非磁性層にMgOを利用することが好ましい。なお、非磁性層の微細加工形状は問わない。
(6)磁化固定層
本発明の一実施形態の磁気センサにおける磁化固定層は、外部磁場によって磁化方向が容易に変化しないように、強磁性材料を主に用いて構成される。磁化固定層は、一つの材料で構成される必要はなく、多層膜であってもよい。一例としては、磁化固定層は、強磁性材料を反強磁性材料でピン止めした構造が用いられる。軟磁性材料としては、NiFe、CoFeB、CoFeSiB、CoFeなどが用いられるがこの限りではない。磁気感度向上のため、磁化固定層中にRuやTaなどの非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。また、反強磁性材料としてIrMn、PtMnなどが用いられるが、本発明はこの構成に限定されない。なお、磁化固定層の微細加工形状は問わない。
(7)保護層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける保護層は、積層部、配線部、磁場発生部との絶縁を保つために用いる。保護層の材料は積層部、配線部、磁場発生部を絶縁可能なものであれば特に制限されず、一例として酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウムが挙げられる。保護層は積層部の表面全体を覆うように形成され、積層部と配線部との接合部分や、電極上には通電窓(すなわち、開口部)が存在する。本発明において通電窓の位置や形状は限定されない。
(8)配線部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける配線部は、絶縁層上に形成された通電窓を介して電極と積層部とを接続する。また、複数の磁気センサを、直列接続又は並列接続する場合、積層部同士を電気的に接続するためにも用いる。密着性の観点から、キャップ層と配線部の間にTi、Taなどの層を備えていることが望ましい。
配線部の材料としては、積層部同士、電極間を電気的に接続することが可能な導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta、Ruなど)であれば特に制限されない。また、配線部は単一の材料からなってもよいし、複数の材料の混合又は積層であってもよい。配線部は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材、及び、積層部の全面に、蒸着法やスパッタリング法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。
(9)電極
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける電極は、外部の回路等との接続に用いる。密着性の観点から、基板と電極との間にTi、Taなどの層を備えていることが望ましい。基板上に積層部を残し、その上部に電極を作製してもよい。電極の材料としては、配線部同様、導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta、Ruなど)であれば特に制限されないが、素子特性の観点から、酸化されにくい材料(Au,Ruなど)である方が好ましい。
また、電極は単一の材料からなってもよいし、複数の材料の混合又は積層であってもよい。電極は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材、及び、積層部の全面に、蒸着法やスパッタリング法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。プロセス工数の観点から、配線部と同一プロセスで作製することが望ましい。
(10)磁場発生部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける磁場発生部は、磁化自由層にバイアス磁場を印加可能なものであれば特に限定されない。磁場発生部は、磁化自由層に対して、第二の方向の成分を含むバイアス磁場を印加することが可能である。磁場発生部が発生させるバイアス磁場は、第二の方向の正の成分を含む第一のバイアス磁場と、第二の方向の負の成分を含む第二のバイアス磁場とを有する。ここで、第一のバイアス磁場の第二の方向の成分が0より大きい場合、第二のバイアス磁場の第二の方向の成分は0でもよい。また、第二のバイアス磁場の第二の方向の成分が0より小さい場合、第一のバイアス磁場の第二の方向の成分は0でもよい。
磁場発生部は、第一のバイアス磁場の発生と第二のバイアス磁場の発生とを自由に切り替えることができる。例えば、感磁ユニットとは絶縁された金属薄膜に電流を流すことで、バイアス磁場を発生させることができる。電流の極性を変えることでバイアス磁場の方向を切り替えられるので、金属薄膜を、本発明の磁場発生部として用いることが可能である。この金属薄膜の材料としては、例えば、導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta、Ruなど)であれば特に制限されない。
磁場発生部は、磁気センサのサイズ縮小の観点から、基板上にある方が望ましいが、コイルなどを後から設置してもよい。
磁化容易軸が第一の方向に向いているとき、その正負の向きは不安定で、外部磁場によって容易に変動しうる。そのため、磁場発生部によって、第一の方向の正の成分または第一の方向の負の成分を与えることでより安定した動作が可能となる。このような観点から、第二の方向に磁場を印加する時、同時に第一の方向成分の磁場が含まれている方が好ましい。
演算を容易にする観点から、第一のバイアス磁場の第二の方向の成分と第二のバイアス磁場の第二の方向の成分の絶対値は等しいことが好ましい。
磁場発生部は一つに限定されず、複数設けてもよい。また、一つの磁場発生部が発生させるバイアス磁場が第二の方向の成分を含んでいれば、その他の磁場発生部により発生させるバイアス磁場は、第二の方向の成分を含んでいなくてもよい。
<具体例>
以下、本発明の一実施形態に係る磁気センサの具体例を説明する。また、従来技術との比較を行い、優位性を示す。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、方向については、以下のように定義する。
第一の方向の正方向(図1(a)に示す平面図において下から上方向)を「+Y方向」とする。
第一の方向の負方向(図1(a)に示す平面図において上から下方向)を「−Y方向」とする。
第一の方向に関して特に正負を指定しない場合は単にY方向とする。
第二の方向の正方向(図1(a)に示す平面図において左から右方向)を「+X方向」とする。なお、第二の方向は第一の方向と直交する方向である。
第二の方向の負方向(図1(a)に示す平面図において右から左方向)を「−X方向」とする。
第二の方向に関して特に正負を指定しない場合は単にX方向とする。
また、基板上に複数の感磁ユニットが存在し、磁化固定層の磁化方向が異なる場合には、最も番号が若い感磁ユニットの磁化固定層の磁化方向を「+Y方向」とする。
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態に係る磁気センサについて説明する。
(構成)
図1は、本発明の第一実施形態に係る磁気センサ1の構成の一例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A′断面図である。なお、図1(bにおいて、電極60−1は省略している。
図1に示す磁気センサ1は、基板10と、基板10上に配置された感磁ユニット20と、一対の電極60(60−1、60−2)と、磁場発生部としてY方向に電流を流す金属薄膜70と、を備える。
感磁ユニット20は、積層部30と、積層部30を覆う保護層40と、保護層40に形成された通電窓40aを通じて積層部30と接続される配線部50と、配線部50及び保護層40を覆う保護層41と、を備える。積層部30は、磁化容易軸方向が「+Y方向」であり、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層31と、非磁性層32と、「+Y方向」に磁化が固定された磁化固定層33とが、基板10側から磁化固定層33、非磁性層32、磁化自由層31の順に基板10上に配置されてなる。なお、図1は、感磁ユニット20が1つの積層部30を有し、積層部30は磁化固定層33上に2つの磁化自由層31−1、31−2を有する場合を例示している。
保護層40の磁化自由層31−1、31−2と対向する位置には通電窓40a−1、40a−2が形成され、通電窓40a−1、40a−2を覆うように、保護層40の上に配線層50−1、50−2がそれぞれ形成され、配線層50−1、50−2のそれぞれは、一端が、通電窓40a−1、40a−2を通じて磁化自由層31−1、31−2に接続され、他端が電極60−1、60−2に接続される。積層部30のうち、通電窓40aと対向する部分を除く領域は保護層40によって絶縁されている。
そして、保護層40及び配線部50がさらに保護層41で覆われて、感磁ユニット20が形成される。
電極60−1、60−2は、金属薄膜70を挟んで一方は「−X方向」側に形成され、他方は「+X方向」側に形成される。
金属薄膜70は、保護層41上の、上面視で磁化自由層31−1、31−2と重なる領域を含んで、Y方向に伸びて形成され、磁場発生部としてY方向に電流を流す。
(動作)
磁気センサ1の出力は、磁化自由層31の磁化容易軸方向及び磁化固定層33の磁化方向が、共に「+Y方向」を向いている時、X方向の外部磁場に対して、図2(a)に示すような下に凸の放物線状の磁気抵抗曲線を描く。つまり、外部磁場Hが零のとき、出力電圧Vは最小値となり、「+X方向」及び「−X方向」の外部磁場が大きくなるほど二次曲線状に増加し、飽和磁場を「Hs」としたとき、外部磁場が「−Hs」以上「Hs」以下範囲の値をとるときに、外部磁場に応じて出力電圧Vが放物線状に変化する。そのため、磁気センサ1の出力電圧を読み取ることで、磁気センサ1に印加されている外部磁場の値を算出することができる。飽和磁場Hsは、磁化自由層の形状や熱処理条件等に応じて変化するものである。
なお、図2(a)及び後述の図2(b)、図2(c)において、横軸は、磁気センサ1に与えられるX方向の外部磁場Hを表し、縦軸は、磁気センサ1の出力電圧Vを表す。
ここで、金属薄膜70に対して「+Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「−X方向」にバイアス磁場が印加される。この時、磁気センサ1の磁気抵抗曲線は、図2(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。この時の磁気センサ1の出力電圧値をVaとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力値は「Va−ΔV」となる。これを出力1とする。
また、金属薄膜70に対して「−Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「+X方向」にバイアス磁場が印加される。この時、磁気センサ1の磁気抵抗曲線は、図2(c)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトする。この時の電圧値をVbとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力値は「Vb+ΔV」となる。これを出力2とする。
外部磁場がゼロのときの出力1と出力2とが同一、つまり「Va=Vb」の時、磁気抵抗曲線は極小点を軸中心として略線対称になるため、出力1と出力2の磁気抵抗曲線の傾きの大きさは同じになる。そのため、印加される外部磁場Hextが比較的小さい場合には、出力1のΔVの絶対値と、出力2のΔVの絶対値は略同一とみなすことができる。なお、「Va=Vb」の状態は、磁気抵抗曲線が極小点を中心として線対称である時、出力1と出力2のバイアス磁場の絶対値が同一である場合に実現できる。
磁気センサ1から出力される測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。差分回路90において、出力1と出力2との差分を算出する方法としては、例えばPeak to Peak detectorを用いることができる。Peak to peak detectorは、Correlated double sampling difference amplifierとも呼ばれ、第一及び第二の信号を異なるタイミングでサンプリングし、その差分を検出する、スイッチキャパシタを利用した回路である。ここで、出力1及び出力2には、図4に示すように、一定の幅をもって揺らぐ電圧ノイズが存在する。この電圧ノイズは周波数分解すると、1/fノイズとなることが多い。
この電圧ノイズをVnとすると、出力1は「Va−ΔV±Vn」、出力2は「Vb+ΔV±Vn」と表すことができる。
出力1及び出力2のノイズは、同じ素子(磁気センサ1)から出力されるため、十分に早いスイッチング周波数、例えば1kHz程度の周波数で出力1と出力2とを測定し、差分をとれば、スイッチング周波数よりも小さいノイズは、同相で打ち消しあうため、除去することができる。さらに、出力1測定時と出力2測定時における、金属薄膜70によって発生したバイアス磁場の絶対値が同じであるとすると、磁気抵抗曲線が極小点を中心として線対称である時、「Va=Vb」となるので、出力2と出力1との差分は「2ΔV」となり、バイアス磁場に応じた成分及び素子の電圧ノイズ成分が含まれない、X方向の外部磁場に応じた信号のみを得ることができる。つまり、X方向の外部磁場を高精度に測定することができる。なお、前述のように、出力1のΔVの絶対値と出力2のΔVの絶対値とは、印加される外部磁場Hextが比較的小さい領域で略同一とみなすことができるため、得られる出力1のΔVの絶対値と出力2のΔVの絶対値とが略同一とみなすことができる外部磁場Hextの範囲を考慮して外部磁場検出を行うことが好ましい。
なお、ここでは、バイアス磁場の絶対値が同一とした場合について説明した。バイアス磁場の絶対値は必ずしも同一でなくとも効果はあるが、その効果は小さくなるため、同一である方が好ましい。
つまり、バイアス磁場の絶対値が同一である場合には、「Va=Vb」となるため、出力2と出力1との差分が「2ΔV」となり、バイアス磁場に応じた成分を含まないX方向の外部磁場のみに応じた信号を得ることができる。一方、バイアス磁場の絶対値が同一でない場合には、「Vb−Va」からなるバイアス磁場に応じた成分を含む出力2と出力1との差分信号が得られることになるが、バイアス磁場に応じた成分「Vb−Va」は略直流成分となるため、得られた差分信号から直流成分を除去することにより、外部磁場のみに応じた信号を得ることができる。
ただし、電圧ノイズVnは素子への印加電圧値に比例するため、Va≠Vbの場合、その差分に比例した電圧ノイズが残ることになるが、差分を取らない場合と比べて、ノイズの影響を低減することが可能となる。
ここで、磁気センサ1の磁化自由層31の磁化容易軸が、「−Y方向」に固定されている場合については、磁気抵抗曲線は上に凸の放物線状となるが、第一実施形態と同様の原理で第一実施形態と同等の作用効果を得ることができる。磁気センサ1の磁化自由層31の磁化容易軸が、「−Y方向」に固定されている場合の動作については、後述の第三実施形態における磁気センサの動作と同様であるので、そこで詳述する。
ちなみに、従来の磁気センサ100では、以下に示すノイズの問題がある。
図5は、従来の磁気センサ100の一例を示す構成図であり、図5(a)は平面図(上面視)であり、図5(b)は図5(a)におけるA−A′断面図である。なお、図5(bにおいて、電極60−1は省略している。
図5に示す磁気センサ100は、基板10と、基板10上に配置された感磁ユニット20aと、電極60(60−1、60−2)と、を備える。
図5に示すように、感磁ユニット20aは、積層部30と、積層部30を覆う保護層40と、配線部50と、を備える。
積層部30は、磁化容易軸方向が「+Y方向」で、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層31と、非磁性層32と、「+X方向」に磁化が固定された磁化固定層33と、が、基板10側から磁化固定層33、非磁性層32、磁化自由層31の順に基板10上に形成されてなる。
なお、図5は、感磁ユニット20aが1つの積層部30を有し、積層部30は磁化固定層33上に2つの磁化自由層31−1、31−2を有する場合を例示している。
保護層40の磁化自由層31−1、31−2と対向する位置には通電窓40a−1、40a−2が形成され、通電窓40a−1、40a−2を覆うように、保護層40の上に配線層50−1、50−2がそれぞれ形成されている。配線層50−1、50−2のそれぞれは、一端が、通電窓40a−1、40a−2を通じて磁化自由層31−1、31−2に接続され、他端が電極60−1、60−2に接続される。積層部30のうち、通電窓40aと対向する部分を除く領域は保護層40によって絶縁されている。
図6は、図5に示す従来の磁気センサ100の出力特性の一例を示す。図6において、横軸はX方向の外部磁場H、縦軸は磁気センサ100の出力電圧Vを示す。
磁気センサ100の出力電圧は、積層部30内の磁化自由層31の磁化方向と磁化固定層33の磁化方向との相対角度によって決まる。例えば、磁気センサ100に対して、「−X方向」の外部磁場が印加されている場合、磁化自由層31と磁化固定層33の磁化相対角度は反平行になり、いわゆるTMR効果またはGMR効果により磁気センサ1の抵抗値が高くなる。そのため磁気センサ100の出力電圧が高くなる。逆に、「+X方向」の外部磁場が印加されている場合、磁化自由層31と磁化固定層33の磁化相対角度は平行になり、TMR効果またはGMR効果により磁気センサ100の抵抗値が低くなる。そのため磁気センサ100の出力電圧は低くなる。
また、外部磁場がゼロの場合、磁気センサ100の抵抗値は中間の値となり、出力電圧も中間値付近となる。
図6に示す出力特性を有する磁気センサ100は、外部磁場が「+Hs(飽和磁場)」以上「−Hs(飽和磁場)」以下の範囲で連続的に抵抗値が変化するため、磁気センサ100の出力電圧を読み取ることで磁気センサ100に印加されている外部磁場の値を算出することができる。
次に、従来の磁気センサ100に起こるノイズの問題について説明する。
図6(b)に示すように、外部磁場Hextが磁気センサ100に印加された時、磁気センサ100の出力電圧は、理想的には、外部磁場がゼロの状況での出力電圧VoからΔV分だけ減少し、「Vo−ΔV」となることが期待される。
しかし、磁気センサ100の実際の出力電圧は、図4のように一定の幅をもって揺らぐことが分かっている。
出力電圧に発生するノイズ成分をVnとすると、磁気センサ100の実際の出力電圧は、「Vo−ΔV±Vn」となり、ノイズ成分によって磁気センサ100の精度が低下する。
ここで、図5に示す磁気センサ100において、磁化固定層33の磁化方向が、「+X方向」ではなく「−X方向」に固定されており、後の部分は磁気センサ100と同じ構成の磁気センサを磁気センサ100aとする。
磁気センサ100は、実際に使用される際は、磁気センサ100と磁気センサ100aを組み合わせて、ハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路が構成されることが多い。磁気センサ100と磁気センサ100aとを備えたフルブリッジ回路を有する磁気センサ101の一例を図7に示す。
磁気センサ101は、電源の正極側(+)、磁気センサ100a、磁気センサ100、電源の負極側(−)の順に接続され、磁気センサ100aと磁気センサ100との接続点に端子Taをもつ磁気センサ群Aと、電源の正極側(+)、磁気センサ100、磁気センサ100a、電源の負極側(−)の順に接続され、磁気センサ100と磁気センサ100aとの接続点に端子Tbをもつ磁気センサ群Bとが、並列に接続されて構成される。磁気センサ2は端子Taの信号と端子Tbの信号とを、差動アンプ等に入力することで、端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号を得る。
図7において、端子Ta、端子Tbそれぞれに注目すると、X方向の外部磁場の変化に対して、端子Taからは図8(a)に示すように「+X方向」の外部磁場が大きくなるほど減少する出力電圧が得られ、端子Tbからは図8(b)に示すように「+X方向」の外部磁場が大きくなるほど増加する出力電圧が得られ、両者の差分をとると、図8(c)に示すように、「+X方向」の外部磁場が大きくなるほど減少する出力電圧が得られる。なお、図8(a)〜(c)において、横軸は「X方向」の外部磁場H、縦軸は磁気センサ101の出力電圧Vを表す。
理想的な出力の場合、フルブリッジ回路全体への印加電圧がV、印加磁場がHext、印加電圧Vあたりの電圧変化がΔVであるとすると、端子Taの出力電圧は「(V−ΔV±√2Vn)/2」となり、端子Tbの出力電圧は「(V+ΔV±√2Vn)/2」となり、両者の差分を取ると、「ΔV±Vn」となる。
このように、空間的に配置された2つ以上の磁気センサの出力電圧の差分を取ったとしても、ノイズ成分は除去できない。
つまり、従来の磁気センサ100を備えた磁気センサ101においては、感磁ユニット20aにおいて、外部から磁場が印加された時に出力の変化方向(例えばΔVを−ΔVに変化させる、等)を変化させることができない。つまり、本発明における磁気センサ1と同じように出力タイミングを変えた時の出力電圧の差分をとってもノイズを除去することはできない。
これに対し、第一実施形態に係る磁気センサ1は、前述のようにノイズを除去することができる。そのため、第一実施形態に係る磁気センサ1は、従来に比較して、磁気センサ1による磁気検出精度を向上させることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図9は、本発明の第二実施形態に係る磁気センサ2の構成の一例を模式的に表したものであり、図9(a)は平面図、図9(b)は、図9(a)のA−A′断面図、図9(c)は図9(a)のB−B′断面図である。
図9に示す磁気センサ2は、図1に示す第一実施形態における磁気センサ1において、さらに、金属薄膜70及び保護層41を覆う保護層42を設け、保護層42上の、上面視で、二つの磁化自由層31−1、31−2を除く領域に、これら磁化自由層31−1、31−2のそれぞれをY方向から挟むように3つのハードバイアス層80を積層したものである。3つのハードバイアス層80は「+Y方向」に磁化されており、ハードバイアス層80によって、磁化自由層31−1、31−2は、「+Y方向」に磁化されている。ハードバイアス層80を設けることによって、図2に示す磁気センサ1の出力特性において、U字カーブとなる特性を安定させることができる。その結果、より安定した磁気センサ2の出力を得ることができる。
なお、図9(a)では、見やすくするため、保護層40〜42、配線部50、電極60、金属薄膜70を省略している。
(動作)
磁気センサ2の磁気抵抗曲線は、図2に示す第一実施形態における磁気センサ1と同様である。磁化自由層31は、ハードバイアス層80により、「+Y方向」に磁化されているため、X方向の外部磁場が入った時、磁気センサ1に比較して磁化自由層31の磁化方向が変化しづらく、飽和磁場「±Hs」が大きくなる。動作原理は磁気センサ1と同じであるため、X方向の磁場に対して、図2(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。したがって、磁気センサ2は、第一の実施形態における磁気センサ1と同等の作用効果を得ることができると共に、飽和磁場「±Hs」がより大きいため、磁気センサ2の検出範囲をより広げることができる。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図10は、本発明の第三実施形態に係る磁気センサ3の構成の一例を模式的に表す平面図である。
図10に示す磁気センサ3は、図9に示す第二実施形態における磁気センサ2において、磁化自由層31を「−Y方向」に磁化させたものである。
つまり、ハードバイアス層80は「−Y方向」に磁化されており、ハードバイアス層80によって、磁化自由層31−1、31−2は、「−Y方向」に磁化されており、外部磁場が加わらない状態では、反平行となっている。
(動作)
磁気センサ3は、磁化自由層31の磁化方向が「−Y方向」、磁化固定層33の磁化方向が「+Y方向」を向いている時、「X方向」の磁場に対して、図11(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。つまり、上に凸の放物線状となる。
ここで、金属薄膜70に対して、「+Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「−X方向」に磁場が印加される。この時、図11(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。この時の電圧値をVaとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力値は「Va+ΔV」となる。これを出力1とする。
また、「−Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「+X方向」に磁場が印加される。この時、図11(c)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトする。この時の電圧値をVbとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力値は「Vb−ΔV」となる。これを出力2とする。なお、図11において、横軸は、磁気センサ3に与えられるX方向の外部磁場Hを表し、縦軸は、磁気センサ3の出力電圧Vを表す。
磁気センサ3から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
ここで、第一実施形態における磁気センサ1と同様に、出力1、出力2ともに、図4に示すような電圧ノイズが存在する。よって電圧ノイズをVnとすると、前述のように、外部磁場Hextによる電圧値の変化分ΔVは、出力1と出力2とで略同等とみなすことができるため、出力1は「Va+ΔV±Vn」、出力2は「Vb−ΔV±Vn」と表すことができる。
そして、出力1、出力2のノイズは、同じ素子(磁気センサ3)から出力されるため、十分に早いスイッチング周波数、例えば1kHz程度で出力1と出力2を測定し、差分をとれば、スイッチング周波数よりも小さいノイズは、同相で打ち消しあうため、除去することができる。
「+Y方向」及び「−Y方向」に電流を流したときに金属薄膜70によって発生した磁場が同じであるとすると、磁気抵抗曲線が極小点を中心として線対称である時、「Va=Vb」となるので、出力1と出力2との差分は「2ΔV」とみなすことができる。つまり、差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ3による検出精度を向上させることができる。
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図12は、本発明の第四実施形態に係る磁気センサ4の構成の一例を模式的に表す平面図である。
図12に示す磁気センサ4は、図9に示す第二実施形態における磁気センサ2において、ハードバイアス層80が作る磁場の向きが異なるものであって、ハードバイアス層80は、「−X方向及び+Y方向」に磁化されている。このハードバイアス層80によって、磁化自由層31は、「−X方向及び+Y方向」に磁化されている。「+Y方向」に磁化されることで、磁気抵抗曲線のU字カーブは安定する。また、「−X方向」に磁化されることで、図13(a)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。この時、電圧値Vaをとるとする。
ここで、磁気センサ4の磁化自由層31がハードバイアス層80によって固定される方向は、「−X方向及び+Y方向」に限るものではなく、「+X方向及び+Y方向」に固定されている場合(磁気センサ4−1とする)、「−X方向及び−Y方向」に固定されている場合(磁気センサ4−2とする)、「+X方向及び−Y方向」に固定されている場合(磁気センサ4−3とする)、であっても同等の作用効果を得ることができる。
磁気センサ4−1の場合、図13(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトする。この時、電圧値Vbをとるものとする。
磁気センサ4−2の場合、図13(c)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。この時、電圧値Vaをとるものとする。
磁気センサ4−3の場合、図13(d)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトする。この時、電圧値Vbをとるものとする。
なお、図13において、横軸は、磁気センサ4、4−1〜4−3に与えられるX方向の外部磁場Hを表し、縦軸は、磁気センサ4、4−1〜4−3の出力電圧Vを表す。
(動作)
(磁気センサ4の動作)
第四実施形態における磁気センサ4の出力特性は、磁化自由層31の磁化方向が「+Y方向と+X方向」との中間、つまり、「+X方向」から45度傾いた方向であり、磁化固定層33の磁化方向が「+Y方向」であり、金属薄膜70に電流を印加していないとき、X方向の磁場に対して、図13(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。図13(a)において、外部磁場Hextがゼロの状態で出力電圧VはVaをとる。
この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Va−ΔV」となる。これを出力1とする。
ここで、金属薄膜70に対して、「−Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「+X方向」に磁場が印加される。このとき、図13(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が磁気抵抗曲線の中心を挟んで左側から右側にシフトする。この時の電圧値をVbとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Vb+ΔV」となる。これを出力2とする。
磁気センサ4から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
ここで、出力1、出力2ともに、図4に示すような電圧ノイズが存在する。よって電圧ノイズをVnとすると、外部磁場Hextによる電圧値の変化分ΔVは出力1と出力2とで略同等とみなすことができるため、出力1は「Va−ΔV±Vn」、出力2は「Vb+ΔV±Vn」となる。
出力1、出力2のノイズは、同じ素子(磁気センサ4)から出力されるため、十分に早いスイッチング周波数、例えば1kHz程度のスイッチング周波数で出力1と出力2を測定し、差分をとれば、スイッチング周波数よりも小さいノイズは、同相で打ち消しあうため、除去することができる。
出力1及び出力2を得る測定タイミングにおいて、金属薄膜70によって発生した磁場が同じであるとすると、磁気抵抗曲線が極小点を中心として線対称である時、「Va=Vb」となるので、出力2と出力1との差分は、「2ΔV」とみなすことができる。
つまり、差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ4による検出精度を向上させることができる。
(磁気センサ4−1の動作)
図13(b)は、磁気センサ4−1の金属薄膜70に電流を印加していない状態での出力特性である。図13(b)において、外部磁場Hextがゼロの状態で出力電圧VはVbをとる。
この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Vb+ΔV」となる。これを出力1とする。
ここで、金属薄膜70に対して、「+Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「−X方向」に磁場が印加される。このとき、図13(a)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が磁気抵抗曲線の中心を挟んで右側から左側にシフトする。この時の出力電圧VはVaをとる。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Va−ΔV」となる。これを出力2とする。
磁気センサ4−1から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
上記動作により、磁気センサ4−1も磁気センサ4と同等の作用効果を得ることができる。
(磁気センサ4−2の動作)
図13(c)は、磁気センサ4−2の金属薄膜70に電流を印加していない状態での出力特性である。図13(c)において、外部磁場Hextがゼロの状態で、出力電圧VはVaをとる。
この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Va+ΔV」となる。これを出力1とする。
ここで、金属薄膜70に対して、「−Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「+X方向」に磁場が印加される。このとき、図13(d)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が磁気抵抗曲線の中心を挟んで左側から右側にシフトする。この時の出力電圧VはVbをとる。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Vb−ΔV」となる。これを出力2とする。
磁気センサ4−2から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
上記動作により、磁気センサ4−2も磁気センサ4と同等の作用効果を得ることができる。
(磁気センサ4−3の動作)
図13(d)は、磁気センサ4−3の金属薄膜70に電流を印加していない状態での出力特性である。図13(d)において、外部磁場Hextがゼロの状態で、出力電圧VはVbをとる。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Vb−ΔV」となる。これを出力1とする。
ここで、金属薄膜70に対して、「+Y方向」に電流を流すと、磁化自由層31には、「−X方向」に磁場が印加される。このとき、図13(c)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が磁気抵抗曲線の中心を挟んで右側から左側にシフトする。この時の電圧値をVaとする。この状態で外部磁場Hextが印加され、電圧値がΔVだけ変化すると、出力電圧Vは「Va+ΔV」となる。これを出力2とする。
磁気センサ4−3から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
上記動作により、磁気センサ4−3も磁気センサ4と同等の作用効果を得ることができる。
なお、磁化自由層の形状異方性等といった、ハードバイアス層を設けること以外の効果により、磁化自由層31の磁化容易軸方向を決定する場合でも、同等の作用効果を得ることができる。
また、ハードバイアス層の方向をリセットするためのコイル等をさらに備えていてもよい。
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図14は、本発明の第五実施形態に係る磁気センサ5の構成の一例を示す模式図であり、図14(a)は平面図、図14(b)は図14(a)のA−A′断面図である。なお、図14(b)において電極60−1は省略している。
図14に示す磁気センサ5は、図1に示す第一実施形態における磁気センサ1において、さらに、金属薄膜70及び保護層41を覆う保護層42を設け、保護層42上に、上面視で磁化自由層31−1、31−2と重なるように、これら磁化自由層31−1、31−2に対してY方向に磁場を印加することのできる金属薄膜71を備える。金属薄膜71は、上面視で保護層42を跨いでローマ字のS字状に形成され、保護層42を挟んで「+X方向」側が+電極、「−X方向」側が−電極となり、金属薄膜71の「+電極」側が磁化自由層31−1と重なり、「−電極」側が磁化自由層31−2と重なるように配置される。このような構成をとるのは磁化自由層31−1、31−2を同一方向に磁化させるためである。金属薄膜71の「−側」から「+側」に向かって電流を流すと、磁化自由層31−1、31−2はいずれも「+Y方向」に磁化され、「+側」から「−側」に向かって電流を流すと、磁化自由層31−1、31−2はいずれも「−Y方向」に磁化することができる。金属薄膜71に電流を流すことによって、図2に示す磁気センサ1の出力特性において、U字カーブとなる特性を安定させることができる。その結果、より安定した出力を得ることができる。
(動作1)
磁気センサ5の磁気抵抗曲線は、磁化自由層31が常に「+Y方向」に磁化するように図中の「−側」から「+側」に向かって金属薄膜71に電流を流す時、図2に示す第一実施形態における磁気センサ1の磁気抵抗曲線と同様である。
すなわち、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「−X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「+Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力1とし、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「+X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「+Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力2とし、磁気センサ5から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、図3に示すように、別途設けた差分回路90によって検出する。
磁化自由層31は、金属薄膜71を流れる電流によって磁化されているため、X方向の外部磁場が入った時、磁気センサ1に比較して磁化自由層31の磁化方向が変化しづらく、飽和磁場「±Hs」が大きくなる。動作原理は磁気センサ1と同じであるため、磁気センサ5の出力はX方向の磁場に対して、図2(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。したがって、出力1と出力2との差分は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ5による検出精度を向上させることができる。
(動作2)
また、磁化自由層31が常に「−Y方向」に磁化するように金属薄膜71に電流を流す時には、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「−X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「−Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力1とし、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「+X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「−Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力2とし、磁気センサ5から出力される、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分を、差分回路90によって検出する。
磁気センサ5が動作2で動作する場合の動作原理は磁気センサ3と同じであり、磁気センサ5の出力は、X方向の磁場に対して、図11(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。したがって、出力1と出力2との差分は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ5による検出精度を向上させることができる。
(動作3)
また、磁化自由層31が、常に「+X方向」に磁化するように金属薄膜70に電流を流す時には、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「+X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「−Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力1とし、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「+X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「+Y方向」に磁化したときの磁気センサ5の出力を出力2とする。この場合、磁気センサ5の磁気抵抗曲線は、出力1では、外部磁場がゼロとなる位置が、上に凸の放物線の中心より右側(図15(a))となり、出力2では下に凸の放物線の中心より右側(図15(b))となり、これら出力1と出力2との差分を、差分回路90によって検出する。この場合も出力1と出力2との差分は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ5による検出精度を向上させることができる。
(動作4)
また、磁化自由層31が、常に「−X方向」に磁化するように金属薄膜70に電流を流す時には、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「−X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「−Y方向」に磁化したときを出力1とし、金属薄膜70に流す電流によって磁化自由層31を「−X方向」に磁化し、金属薄膜71に流す電流によって磁化自由層31を「+Y方向」に磁化したときを出力2とする。出力1では、外部磁場がゼロとなる位置が、上に凸の放物線の極大点より左側(図16(a))となり、出力2では下に凸の放物線の中心より左側(図16(b))となり、これら出力1と出力2との差分を、差分回路90によって検出する。この場合も出力1と出力2との差分は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ5による検出精度を向上させることができる。
<第六実施形態>
次に、本発明の第六実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図17は、本発明の第六実施形態に係る磁気センサ6の構成の一例を模式的に表す平面図である。図17(a)は金属薄膜70を省略した図であり、図17(b)は金属薄膜70を記載した図である。
図17に示す磁気センサ6はハーフブリッジ回路を構成するように接続されており、感磁ユニット20と同一構成を有する感磁ユニット201及び202がY方向に直線上に配置され、感磁ユニット201と感磁ユニット202との間に出力端子601が設けられている。各感磁ユニット201、202の磁化自由層31の磁化容易軸と、磁化固定層33の磁化方向はそれぞれ「+Y方向」を向いている。
図17(a)に示すように、感磁ユニット201及び202を挟んで、電極60−1、60−2は「−X方向」側に配置され、出力端子601は「+X方向」側に配置される。
図17(b)に示すように、金属薄膜70は、上面視で感磁ユニット201及び202と、「+Y方向」側に配置された金属薄膜用の電極70a−1及び「−Y方向」側に配置された金属薄膜用の電極70a−2と重なるように配置され、さらに、金属薄膜70は、電極70a−1を正電極、電極70a−2を負電極としたとき、電極70a−1、70a−2間に通電することにより、感磁ユニット201上では「−Y方向」、感磁ユニット202上で「+Y方向」に流れるように配置される。その結果、感磁ユニット201と感磁ユニット202には、逆方向のバイアス磁場がかかることになり、出力端子601からはハーフブリッジ回路の出力が得られるような構成となっている。
図3に示すように、あるタイミングに金属薄膜70に「+側」から「−側」方向に電流を流した時の出力1と、出力1とは別のタイミングに金属薄膜70に「−側」から「+側」方向に電流を流した時の出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。
なお、磁気センサ6において、金属薄膜70は、図17に示すように配置する場合に限るものではなく、例えば図18に示すように配置してもよい。
図18は、磁気センサ6のその他の構成の一例を模式的に示したものであり、図18(a)は平面図、図18(b)は図18(a)のA−A′断面図、図18(c)は図18(a)のB−B′断面図である。なお、図18(b)において、電極60−1、正極70a−1は省略し、図18(c)において、結合部70a−3、出力端子601は省略している。
図18に示す金属薄膜70′は、正極70a−1に接続される素子上部に形成された金属薄膜701と、負極70a−2に接続される素子下部に形成された金属薄膜702と、を備える。図18に示すように、感磁ユニット201側では金属薄膜701が保護層41の上に配置され、感磁ユニット202側では金属薄膜702が積層部30と基板10との間に配置され、金属薄膜701と金属薄膜702とは結合部70a−3を介して結合される。このように金属薄膜70の代わりに、金属薄膜70′を配置した場合でも、図17に示す磁気センサ6と同等の作用効果を得ることができる。なお、積層部30と基板10との間に金属薄膜702を形成する場合には、積層部30と金属薄膜702との間に保護層43を形成する必要がある。
金属薄膜70′が図18に示すように配置された磁気センサ6の場合、感磁ユニット201と感磁ユニット202の磁化方向が「−Y方向」を向いていてもよい。
また、外部磁場がゼロの時、感磁ユニット201内の磁化固定層33の磁化方向と、感磁ユニット202内の磁化固定層33の磁化方向とが異なっていたとしても、感磁ユニット201と202との間で、磁化固定層33の磁化方向と磁化自由層31の磁化容易軸との相対角度が同じであればよい。
例えば、感磁ユニット201の磁化固定層33の磁化方向は「+Y方向」、磁化自由層31の磁化容易軸方向は「+Y方向」で、感磁ユニット202の磁化固定層33の磁化方向は「−Y方向」、磁化自由層の磁化容易軸方向は「−Y方向」の場合は、上記各実施形態と同様の手順で出力1と出力2とを得たときのこれらの差分は、電圧ノイズを含まない出力となる。
しかしながら、感磁ユニット201の磁化固定層33の磁化方向は「+Y方向」、磁化自由層31の磁化容易軸方向は「−Y方向」で、感磁ユニット202の磁化固定層33の磁化方向は「−Y方向」、磁化自由層31の磁化容易軸方向は「−Y方向」であり、金属薄膜70の形状が上面視で図17(b)に示す形状の場合は、上記各実施形態と同様の手順で出力1と出力2とを得たときのこれらの差分は、電圧ノイズを除去することができない。この場合には、金属薄膜70の形状を変更すれば電圧ノイズを除去することができる。この金属薄膜70の形状を変更した磁気センサについては、第七実施形態として説明する。
なお、第六実施形態における磁気センサ6において、第二〜第五実施形態に示すように、ハードバイアス磁石等を用いて磁化自由層31の磁化方向を固定してもよい。なお、第四実施形態のように、ハードバイアス磁石等で磁化自由層31のX方向の磁化を固定する場合、感磁ユニット201の磁化自由層31と感磁ユニット202の磁化自由層の磁化方向の符号は逆である必要がある。
(動作)
第六実施形態における磁気センサ6では、感磁ユニット201及び感磁ユニット202の出力は、図19に示すように、下に凸の放物線状となる磁気抵抗曲線を描き、金属薄膜70に対して「+側」の電極70a−1から「−側」の電極70a−2方向に電流を流した時、感磁ユニット201の出力特性は図19(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトし、感磁ユニット202の出力特性は図19(a)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。その結果、磁気センサ6の出力端子601からは、図20(a)のような出力が得られる。これを出力1とする。
また、金属薄膜70に対して「−側」の電極70a−2から「+側」の電極70a−1方向に電流を流した時、感磁ユニット201は図19(a)、感磁ユニット202は図19(b)に示すような出力となる。その結果、出力端子601からは、図20(b)に示す出力が得られる。これを出力2とする。
そして、図3に示すように、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。
この場合も、十分に早いスイッチング周波数で出力1と出力2とを測定し、差分をとることにより、第一実施形態と同様に差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ6による検出精度を向上させることができる。
一方、感磁ユニット201と感磁ユニット202の磁化固定層33の磁化方向が「−Y方向」を向いているとき、磁化自由層31と磁化固定層33とは反平行となるため、感磁ユニット201及び感磁ユニット202の出力特性は、上に凸の放物線状となる磁気抵抗曲線を描き、金属薄膜70に対して、「+側」から「−側」の電極に電流を流した時、感磁ユニット201の出力は、図21(a)に示すように外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトし、感磁ユニット202の出力特性は図21(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。その結果、出力端子601からは、図22(a)のような出力が得られる。これを出力1とする。
また、金属薄膜70に対して「−側」の電極70a−2から「+側」の電極70a−1方向に電流を流した時、感磁ユニット201は図21(b)、感磁ユニット202は図21(a)のような出力となる。その結果、出力端子601からは、図22(b)に示す出力が得られる。これを出力2とする。
そして、図3に示すように、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。この場合も差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、磁気センサ6による検出精度を向上させることができる。
金属薄膜70′の場合、「+側」の電極70a−2から「−側」の電極70a−1方向に電流を流した時、正電極70a−1から印加された電流は、金属薄膜701、結合部70a−3、金属薄膜702を通って、負電極70a−2へと流れる。電流がこのような経路を通ることで、感磁ユニット201には、「+X方向」の磁場を、感磁ユニット202には「−X方向」の磁場を印加することができる。したがって金属薄膜70′は、金属薄膜70と同等の働きをするといえる。
<第七実施形態>
次に、本発明の第七実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図23は、本発明の第七実施形態に係る磁気センサ7の構成の一例を模式的に示す平面図であり、図23(a)は金属薄膜70を省略した図であり、図23(b)は金属薄膜70を記載した図である。
図23に示す磁気センサ7は、図17に示す第6実施形態における磁気センサ6において、金属薄膜70の形状と、感磁ユニット202の磁化固定層33の磁化方向が異なる。磁気センサ7は、ハーフブリッジ回路を構成するように接続されており、感磁ユニット20と同一構成を有する感磁ユニット201及び202がY方向に直線上に配置され、感磁ユニット201と感磁ユニット202との間に出力端子601が設けられている。感磁ユニット201の磁化自由層31の磁化容易軸と、磁化固定層はそれぞれ「+Y方向」を向いており、感磁ユニット202の磁化自由層31の磁化容易軸は「+Y方向」、磁化固定層33の磁化方向は「−Y方向」を向いている。
図23(a)に示すように、感磁ユニット201及び感磁ユニット202を挟んで、電極60−1、60−2は「−X方向」側に配置され、出力端子601は「+X方向」側に配置される。
図23(b)に示すように、金属薄膜70は、上面視で感磁ユニット201及び感磁ユニット202と、「+Y方向」側に配置された金属薄膜70用の電極70a−1及び「−Y方向」側に配置された金属薄膜70用の電極70a−2と重なるように配置され、さらに、金属薄膜70は、電極70a−1を正電極、電極70a−2を負電極としたとき、電極70a−1、70a−2間に通電することにより、感磁ユニット201、感磁ユニット202上で「−Y方向」に流れるように配置される。感磁ユニット201と感磁ユニット202の磁化固定層33は逆方向を向いているので、金属薄膜70への通電で発生した磁場によって、出力端子601からはハーフブリッジ回路の出力が得られるような構成となっている。
図3に示すように、あるタイミングに金属薄膜70に「+側」から「−側」方向に電流を流した時の出力1と、出力1とは別のタイミングに金属薄膜70に「−側」から「+側」方向に電流を流した時の出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力され、電圧ノイズを含まない出力が得られる。
なお、第七実施形態における磁気センサ7の変形例としては、感磁ユニット201の磁化自由層31が「−Y方向」、磁化固定層33が「+Y方向」、感磁ユニット202の磁化自由層31が「+Y方向」、磁化固定層33が「+Y方向」である場合、感磁ユニット201の磁化自由層31が「−Y方向」、磁化固定層33が「−Y方向」、感磁ユニット202の磁化自由層31が「−Y方向」、磁化固定層33が「+Y方向」、である場合等、各感磁ユニット201、202に磁化自由層31、磁化固定層33のうち、いずれか1つの磁化方向が逆向きになっている組み合わせであれば、電圧ノイズを含まない出力を得ることができる。
なお、磁気センサ7において、第二〜第五実施形態に示すように、ハードバイアス磁石等を用いて磁化自由層31の磁化方向を固定してもよい。なお、磁気センサ7において、第四実施形態のように、ハードバイアス磁石等で磁化自由層31のX方向の磁化を固定する場合、感磁ユニット201と感磁ユニット202の磁化方向の符号は同じである必要がある。
(動作)
第七実施形態における磁気センサ7の、感磁ユニット201の出力特性は図24(a)に示すように下に凸となる放物線状の磁気抵抗極性を描き、感磁ユニット202は図25(a)に示すように、上に凸となる放物線状の磁気抵抗曲線を描くため、出力端子601からは、図26(a)に示すように、上に凸の放物線状となる磁気抵抗曲線を描く。ここで、金属薄膜70に対して「−側」の電極70a−2から「+側」の電極70a−1方向に電流を流した時、感磁ユニット201の出力は、図24(b)に示すように、また、感磁ユニット202の出力は図25(b)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から左側にシフトする。その結果、出力端子601からは、図26(b)のような出力が得られる。これを出力1とする。
また、金属薄膜70に対して「+側」の電極70a−1から「−側」の電極70a−2方向に電流を流した時、感磁ユニット201の出力は、図24(c)に示すように、また、感磁ユニット202の出力は図25(c)に示すように、外部磁場がゼロとなる位置が、磁気抵抗曲線の中心から右側にシフトする。その結果、出力端子601からは、図26(c)のような出力が得られる。これを出力2とする。
そして、図3に示すように、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ7による検出精度を向上させることができる。
<第八実施形態>
次に、本発明の第八実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図27、図28は、本発明の第八実施形態に係る磁気センサ8の構成の一例を模式的に表す平面図である。図27は金属薄膜70を省略した図であり、図28は金属薄膜70を記載した図である。
図27、図28に示す磁気センサ8は感磁ユニット20と同一構成を有する感磁ユニット201、202、203及び204が、フルブリッジ回路を構成するように接続されている。
具体的には、正極側(+)の電極60−1、感磁ユニット201、感磁ユニット202、負極側(−)の電極60−2の順に接続され、感磁ユニット201と感磁ユニット202との接続点に端子Taをもつ磁気センサ群Aと、正極側(+)の電極60−1、感磁ユニット203、感磁ユニット204、負極側(−)の電極60−1の順に接続され、感磁ユニット203と感磁ユニット204との接続点に端子Tbをもつ磁気センサ群Bとが、並列に接続されて構成される。磁気センサ8は端子Taの信号と端子Tbの信号とを、差動アンプ等に入力することで、端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号を出力として得る。
なお、感磁ユニット201〜204の磁化自由層31の磁化容易軸方向、磁化固定層33の磁化方向はすべて「+Y方向」を向いている。
磁気センサ8における金属薄膜70は、すべての感磁ユニット201〜204上を通り、「+側」から「−側」に電流を流した時、感磁ユニット201上と204上では「−Y方向」、202と203上では、「+Y方向」になるように構成される。
図3に示すように、あるタイミングに金属薄膜70に「+側」から「−側」方向に電流を流した時の端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号である出力1と、出力1とは別のタイミングに金属薄膜70に「−側」から「+側」方向に電流を流した時の端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号である出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。この場合も差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ8による検出精度を向上させることができる。
なお、磁気センサ8の変形例として、感磁ユニット201〜204の磁化固定層33の磁化方向がすべて「−Y方向」を向いている場合等が挙げられる。金属薄膜70が図28に示すように配置されている場合、感磁ユニット201〜204の全ての磁化自由層31が同じ方向を向いており、すべての磁化固定層33が磁化自由層31と同じ向きか、逆方向であれば、磁気センサ8と同等の作用効果を得ることができる。なお、第二〜第五実施形態に示すように、ハードバイアス磁石等を用いて磁化自由層31の磁化方向を固定してもよい。
(動作)
第八実施形態における磁気センサ8の、端子Taからの出力は、磁気センサ6の出力と同等の特性が得られるため、金属薄膜70に対して「−側」の電極70a−2から「+側」の電極70a−1方向に電流を流した時、端子Taの出力は図29(a)に示すような磁気抵抗曲線を描き、端子Tbの出力は図29(b)に示すような磁気抵抗曲線を描く。そのため端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号は、図30(a)に示す特性となる。これを出力1とする。
金属薄膜70に対して「+側」の電極70a−1から「−側」の電極70a−2方向に電流を流した時、端子Taの出力は図29(b)に示すような磁気抵抗曲線を描き、端子Tbの出力は図29(a)に示すような磁気抵抗曲線を描く。そのため端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号は、図30(b)に示す特性となる。これを出力2とする。
そして、図3に示すように、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。この場合も差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ8による検出精度を向上させることができる。
<第九実施形態>
次に、本発明の第九実施形態に係る磁気センサを説明する。
(構成)
図31、図32は、本発明の第九実施形態に係る磁気センサ9の構成の一例を模式的に表す平面図である。図31は金属薄膜70を省略した図であり、図32は金属薄膜70を記載した図である。
図31に示す磁気センサ9は磁気センサ8と同様に、フルブリッジ回路を構成するように接続されており、磁気センサ8において、磁化固定層33の磁化の方向と、金属薄膜70の形状とが異なる。
磁気センサ9では、全ての感磁ユニット201〜204の磁化自由層31の磁化容易軸方向は、「+Y方向」であり、感磁ユニット201と感磁ユニット204の磁化固定層33は「+Y方向」を向いており、感磁ユニット202と感磁ユニット203の磁化固定層33は、「−Y方向」を向いている。
磁気センサ9における金属薄膜70は、全ての感磁ユニット201から204上を通り、「+側」から「−側」に電流を流した時、電流の方向が全ての感磁ユニット201〜204上で「−Y方向」になるように構成される。
図3に示すように、あるタイミングに金属薄膜70に「+側」から「−側」方向に電流を流した時の出力1と、出力1とは別のタイミングに金属薄膜70に「−側」から「+側」方向に電流を流した時の出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力され、電圧ノイズを含まない出力が得られる。
磁気センサ9の変形例として、全ての感磁ユニット201〜204の磁化自由層31の磁化方向が「+Y方向」であり、感磁ユニット201と感磁ユニット204の磁化固定層33の磁化方向が「−Y方向」、感磁ユニット202と感磁ユニット203の磁化固定層33の磁化方向が「+Y方向」、を向いている場合等が挙げられる。
このように金属薄膜70が、図32に示す第九実施形態における磁気センサ9の金属薄膜70と同一形状である場合、全ての感磁ユニット201〜204の磁化自由層31が同じ方向を向いており、全ての磁化固定層33の磁化方向が磁化自由層31の磁化容易軸方向と同じ向きか、逆方向であれば、磁気センサ9と同等の作用効果を得ることができる。
なお、磁気センサ9において、第二〜第五実施形態に示すように、ハードバイアス磁石等を用いて磁化自由層31の磁化方向を固定してもよい。
(動作)
第九実施形態における磁気センサ9の、端子Taからの出力は、第七実施形態における磁気センサ7の出力と同等の特性が得られるため、金属薄膜70に対して「−側」の電極70a−2から「+側」の電極70a−1方向に電流を流した時、端子Taの出力は図33(a)に示すような磁気抵抗曲線を描き、端子Tbの出力は図33(b)に示すような磁気抵抗曲線を描く。そのため端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号は、図34(a)に示す特性となる。これを出力1とする。
金属薄膜70に対して「+側」の電極70a−1から「−側」の電極70a−2方向に電流を流した時、端子Taの出力は図33(c)に示すような磁気抵抗曲線を描き、端子Tbの出力は図33(d)に示すような磁気抵抗曲線を描く。そのため端子Taの出力信号と端子Tbの出力信号との差分信号は、図34(b)に示す特性となる。これを出力2とする。
そして、図3に示すように、測定タイミングの異なる出力1と出力2との差分が、別途設けられた差分回路90によって出力される。この場合も差分回路90の出力は、電圧ノイズを含まない出力となり、この場合も、磁気センサ9による検出精度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
1〜9 磁気センサ
20 感磁ユニット
30 積層部
31 磁化自由層
32 非磁性層
33 磁化固定層
40、41、42、43 保護層
50 配線部
60、60−1、60−2 電極
80 ハードバイアス層
70、70′、71 701、702 金属薄膜
90 差分回路

Claims (8)

  1. 基板と、
    当該基板上に配置された積層部を有し、当該積層部が、外部磁場に応じて磁化が変化する磁化自由層、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層、及び前記磁化自由層と前記磁化固定層との間に配置された非磁性層を含み、前記外部磁場に応じた信号を出力する感磁ユニットと、
    前記磁化自由層に対してバイアス磁場を印加する磁場発生部と、を備え、
    前記磁化自由層に対して前記バイアス磁場が印加されていないとき前記磁化自由層の磁化方向は、前記第一の方向に対して略平行又は略反平行であって、
    前記磁化自由層に対して、上面視で前記第一の方向に垂直な第二の方向に正の成分を含む第一のバイアス磁場を印加した状態での前記感磁ユニットの出力である第一の出力と、
    前記磁化自由層に対して、前記第二の方向に負の成分を含む第二のバイアス磁場を印加した状態での前記感磁ユニットの出力である第二の出力と、に基づいて前記外部磁場の前記第二の方向の成分を算出するようになっている磁気センサ。
  2. 前記第一のバイアス磁場及び前記第二のバイアス磁場の第二の方向の成分のうち、何れか一方のみが零である請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記磁化自由層の磁化方向を、前記第一の方向に磁化するハードバイアス層をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記第一のバイアス磁場及び前記第二のバイアス磁場が、第一の方向の成分を含んでいる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記第一の方向の成分を含むバイアス磁場を発生させる磁場発生部と、前記第二の方向の成分を含むバイアス磁場を発生させる磁場発生部とを、それぞれ独立に備える請求項4に記載の磁気センサ。
  6. 前記第一の出力と前記第二の出力との差分に基づいて前記外部磁場の前記第二の方向の成分を算出するようになっている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  7. 前記第一の出力と前記第二の出力との差分を演算する差分回路を備えることを特徴とする請求項6に記載の磁気センサ。
  8. 前記磁場発生部は、上面視で前記磁化自由層と重なるように前記感磁ユニット上に配置された金属薄膜である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気センサ。
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