JP2019211463A - 超高感度マイクロ磁気センサ - Google Patents
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Abstract
Description
1952年に発明された縦型FGセンサ(特許文献1)は、磁性ワイヤに30KHzの交流電流(表皮深さ180μm)を通電し円周方向に交番的に飽和磁化して、巻きつけたコイルの電圧変化の波高値から外部磁界Hを求めるタイプで、横型FGに比べて小型化・構造簡素化を実現した。
2009年には、本発明者は、上記商品AMI306をベースに周波数0.2GHzから0.5GHzへとあげて2倍程度の出力向上を図った(特許文献5)が、パルス周波数を0.5GHz以上に増加すると出力は逆に減少した。しかも回路の周波数帯域によるコイル電圧降下や高周波化に伴うノイズの増加など技術課題が噴出して商品化には至らなかった。
感度S/N比、サイズ(長さL、直径D)、測定範囲Wの三要因の間のトレードオフの関係に着目して、性能指数F=S/N比・W/L・Dによる比較を試みた。感度は微小磁界の検出限界S/N比で評価した。ここで、Sは単位G当たりコイル電圧、Nはコイル電圧のσノイズとした。
a)FGセンサは、S/N比=100、W=2G、L=50mm、D=2mmでF=2、
b)MIセンサは、S/N比=100、W=2G、L=5mm、D=0.03mmでF=1300、
c)コイル式MIセンサは、S/N比=50,W=12G、L=0.6mm,D=0.01mmでF=10万と増加する。
d)GSRセンサは、S/N比=160、W=100G、L=0.16mm、D=0.01mmでF=1000万となって、コイル式MIセンサの100倍程度優れている。
現在、画期的なGSR効果を基礎にした高感度磁気センサの商品化が待ち望まれている。
FGセンサからMIセンサの技術進歩は、技術論的には周波数が30KHzから100MHzと増加したことによるものであるが、本質的には表面磁区とコア磁区の間に存在する90度磁壁の高周波振動というMI現象の発見によるものであった。コイル方式のMIセンサの技術進歩については、毛利教授の著作「新しい磁気センサとその応用」(トリケップス社、毛利佳年雄著、2012年)に詳しく紹介されている。
MIセンサからGSRセンサの技術進歩は、技術論的には周波数が100MHzから2GHzと増加したことによるものであるが、本質的には表面磁区とコア磁区の間に存在する90度磁壁の高周波振動というMI効果と表面磁区内の電子スピンの高速回転というGSR効果との違いによるものであった。MI効果は、周波数を1MHzから100MHzで発現し、表面磁区とコア磁区の境界に存在する90度磁壁の移動に起因し、ワイヤ内部磁化の回転を外周コイルで検知するものである。GSR効果は0.5GHzから4GHzで生じて、表面磁区のスピン回転に起因し、最表面スピンの傾斜角度θの変化を外周コイルで検知するものである。
ピークホールド回路は、コイル電流の通電開始からコイル電圧が最大値となるまで、あるいは、コイル電流の遮断時からコイル電圧が最大値となるまで電子スイッチを開閉することによって、時間を10n秒から25n秒程度に制御して、コンデンサにコイル電流を蓄え、その時のコンデンサ電圧をホールドする。MIセンサの回路を使用した場合、コイル巻き数を増加すると、あるいはコイルを微細化して小型化するとコイル抵抗が増加して、コイル電流によるIRドロップ電圧降下が生じる。そのためコイルの微細化およびコイル巻き数Ncの増加による効果は制約される。
一方、GSRセンサは、コイルで電子スピンの高速回転による、小さいが高速に変化する磁化を検出するので、大きな出力電圧を示すと同時に、ヒステリシスは生じず、良好な直線性、および低ノイズと上記欠点を伴わないことが期待される。
これは、コイル側のインピーダンスを大きくしてコイルの流れる電流を抑制し、サンプルホールド側のインピーダンスを相対的に小さくし、コイル側のIRドロップ降下を小さくした上で、n秒(ナノ秒)の瞬間的なコイル電圧を電子スイッチで同期検波して、コイル電圧の最大値をサンプルホールド電圧として取り出す回路である。
しかしながら、バッファー回路は周波数が高い場合、バッファー回路の出力電圧と消費電力の増加とのトレードオフ関係が顕著に悪化することが分かった。さらに理論的に期待される磁気ノイズはゼロに近いはずであるが、実際には100μV程度もありバッファー回路を使ったサンプルホールド回路に問題がありそうであった。
検波後のコイル電圧は正弦関数特性を示しておりコイルはスピン回転のみを検出していると考えられるが、ノイズについては磁壁の移動の影響やコイルの誘導電圧や電子回路設計上の問題の影響を受けているように見える。
また、GSRセンサの場合、素子面上の配線デザインとGHzパルスが干渉して、従来の素子デザインでは、ある外部磁界強度で著しくノイズが増大する場合があることが分かった。
GSR効果は、磁壁の移動を抑制し電子スピン回転のみを検知するものであるが、外部磁界の強度、磁性ワイヤの内部応力、配線デザインとGHzパルスの干渉など素子の出力特性への影響および電子回路、検波方法など多くの設計因子が複雑に交錯しているようである。
この複雑な交錯関係を把握して、その上で、GSRセンサの優れた特性を安定して得ることができるようにすることが本発明の課題である。
急速に変化するタイミングでは電子スピンの回転のみのタイミングで、GSR効果が観察されるが、時間的には0.2n秒以下の一瞬であり、コイル電圧波形のピーク置を取る一瞬の時間であると考えられる。
さらにこの方式は、バッファー回路を使用することなくコイル側の抵抗Rはそのままで、インピーダンスを大きくしコイル電流を小さくして、IRドロップを抑制できるので、バッファー回路の省略が可能であった。
図4は、コイルの出力電圧と外部磁界との間に正弦関数関係式(1)が存在することを示している。コイル出力電圧Vsと外部磁界Hとの関係には、式(1)なる実験式が存在することを再度確認した。その上で、逆変換した式(2)を使って、センサの直線性および測定レンジを評価した。
Vs=Vo(f、P、Td、Nc、μ、D)・sin(πH/2Hm) (1)
H=2Hm/π・arcsin(Vm/Vo) (2)
ここで、Vsはコイル出力電圧、Hは外部磁界、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る外部磁界強度である。Voは比例定数で、比例定数の制御因子としては、fはパルス周波数、Pは立下り検波または立上り検波の検波方式、Tdは検波タイミング、Ncはコイルの巻き数、μは磁性ワイヤの透磁率、Dは磁性ワイヤの直径である。
図5は、正弦関数を逆変換し、コイル電圧と外部磁界との間の関係を直線に変換したものである。直線性は0.2%/FSと非常に良好で、正弦関数のひずみが小さいことを示している。
検波タイミングをピーク電圧とした場合、ノイズが著しく小さくなり、0Gと80Gとでほぼ同じになる。つまり磁気ノイズはほとんど観察されないことが分かる。電子スイッチの開閉時間を0.1n秒として検波すると、スピン回転のみを検知して、著しくノイズが下がることが分かった。
特許文献6のGSRセンサのバッファー回路を介した検波方式は、同じくコイル電圧の立上り開始からピーク値に至るまで、磁壁の移動に伴うノイズが含まれ、結果としてコンデンサにサンプルホールドした電圧に相当量のノイズが含まれてしまっていたと思われる。
図8は、コイル電圧に及ぼす立ち上が検波と立下り検波との影響に比較を示したものである。立ち上が検波の方が、立下り検波よりも感度が1.5倍程度大きくなることが分かる。
図9は、コイル電圧に及ぼすコイル巻き数の影響に比較を示したものである。コイル電圧はコイル巻き数に比例して増加することが分かる。
図10は、コイル電圧に及ぼす磁性ワイヤの透磁率の影響を示したものである。コイル電圧は透磁率に比例して増加することが分かる。
図11は、コイル電圧測定におけるヒステリシスの観察結果を示したものである。ヒステリシスは観察されなかった。
を示したものである。
第1実施形態の超高感度マイクロ磁気センサは、
基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回したコイルと磁性ワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用の電極2個を設置した磁界検出素子および前記磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する信号処理回路と前記コイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とからなる超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
前記磁性ワイヤは、CoFe系合金組成の負磁歪特性を持つアモルファス構造を有する材料で、かつ内部応力を付与することによる円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有し、
前記パルス電流は、その周波数は0.5GHz〜4.0GHzで、
前記コイルは、コイルピッチ10μm以下でコイル内径を25μm以下とし、
前記信号処理回路は、検波タイミング調整回路および電子スイッチとコンデンサとからなるサンンプルホールド回路を含み、
前記検波タイミング調整回路で調整される検波タイミングは、コイル電圧波形が最大値Vmを示すタイミングとし、前記タイミングで前記電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行い、その電圧を前記コンデンサにホールドしてコイル電圧Vmを求め、
前記コイル電圧の最大値Vmから関係式(2)を使って外部磁界Hを求めることからなる。
H=2Hm/π・arcsin(Vm/Vo) (2)
ここで、Voは比例定数、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る時の外部磁界強度である。
磁性ワイヤは、CoFe系合金組成の負磁歪特性を持つアモルファス構造を有する材料で、かつ内部応力を付与することによる円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有している。
表面磁区の円周方向スピン配列が0.5〜4GHzのパルス電流により高速のスピン回転を生じ、外部磁界に応じた傾斜角度θを変化し、その変化を外周コイルで検知する。
磁性ワイヤの長さLが長いほど、図10に示すように有効透磁率を大きくなって、コイル出力を増加する。しかし測定範囲±Hmが小さくなり、有効透磁率と測定範囲とがトレードオフ関係にある制御因子である。
このトレードオフ関係の問題は、コイルピッチの微細化して単位長さ当たりのコイル数を増やすことによって解決できる。優れた透磁率特性のワイヤを使用した上で、磁性ワイヤの長さを短くし反磁界を強めて測定範囲を拡大し、他方感度低下の問題についてはコイル巻き数を増やして感度の増加を図ることによって、高感度と広い測定範囲および素子のマイクロサイズ化の3つの要求のすべてを満足することができる。
そこで、長さは0.1mm〜1mmとして、有効透磁率は50〜1000とすることが好ましい。
パルス電流の強度は、30mA〜200mAとして磁性ワイヤ表面にHmの1.5倍以上の十分大きな円周磁界Hθを発生させて表面に存在する電子スピンの高速回転を実現する。Hθは、異方性磁界の強さが大きい場合、それに対応して増加する必要があるが過大電流はワイヤを加熱するしセンサの消費電流を増加せしめるので好ましくない。好ましくは70mA〜150mA、Hθは40G〜80G程度とすることである。
パルス発信回路の電圧を2V〜5V、ワイヤの抵抗は、4Ω〜40Ωに調整して、パルス電流の強度を30mA〜200mAに調整することが好ましい。
この条件で、周波数を高めると、コイル電圧は周波数に比例して増加する。一方、表皮深さが周波数の平方根に反比例するので、コイル電圧は図7のように周波数の平方根に比例して増加することになる。しかし高速化に伴って渦電流が増加しスピン回転を抑制するようになるので、ある周波数以上で飽和傾向を示すようになる。さらに、5GHz近くまでパルス周波数を高めると、スピンの歳差運動やスピン共鳴現象が惹起し始めて、各スピンは交換作用力に打ち勝って回転を始めて、コイル出力電圧が低下する。従って4GHz以下が好ましい。
コイルは、コイルピッチ10μm以下でコイル内径25μ以下とする。
GSR素子の感度は、周波数が大きくなるほど増加するが、スピン回転が生み出す磁界の変化量自体は小さくなっていくので、磁性ワイヤとコイルとの電磁結合を強める必要がある。微弱で高速な信号をコイルで検知するためには、コイルピッチは10μm以下で、コイル内径は25μm以下が必要である。好ましくは、コイルピッチは3μm以下でコイル内径は15μm以下である。
信号処理回路は、検波タイミング調整回路と電子スイッチとコンデンサとからなるサンンプルホールド回路を含み、検波タイミングはコイル電圧波形が最大値Vmを示すタイミングとし、そのタイミングで電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行う。
なお、電子スイッチの開閉時間は、パルス電流の換算周波数、パルス幅およびパルス周期により変動する。
第2実施形態は、第1実施形態のマイクロ磁気センサの信号処理回路におけるサンプルホールド回路24についてより好ましい実施形態である。
第2実施形態のサンプルホールド回路24は、図2に示すように、1MHzから100MHzの周期のパルス電流を通電し、入力パルス毎に検波したコイル電圧を1pF以下の容量の第1コンデンサであるサンプルホールド用コンデンサ(C1)27にサンプルホールドし、続いて10pF以下の容量の第2コンデンサであるサンプルホールド用コンデンサ(C2)28に入力して平均化したコイル電圧をサンプルホールドする。
第3実施形態のサンプルホールド回路24は、図3に示すように、1MHzから100MHzの周期のパルス電流を通電し、入力パルス毎に検波したコイル電圧を1pF以下の容量の第1コンデンサであるサンプルホールド用コンデンサC1(図3の符号:27)にサンプルホールドし、続いてバッファー回路を介して10pF以下の容量の第2コンデンサであるサンプルホールド用コンデンサ(C2)28に入力して平均化したコイル電圧をサンプルホールドする。
バッファー回路30を介することにより、コイル電圧の平均化回数を1/10で、第2実施形態と同じノイズを得ることができる。またコイル電圧の検出周期を1μ秒毎から100μ秒毎になり、10倍の短時間化ができる。
第4実施形態は、上記の実施形態における磁界検出素子の配線構造についてより好ましい配線構造である。
磁界検出素子の配線構造は、磁界検出素子の上に設置されたコイルのコイル端子とコイル電圧検出用電極(以下、コイル電極という。)および信号処理回路の側の入力端子の間を最短線あるいは可能な限り直線的配線で連結する。
第5実施形態は、上記の実施形態における磁性ワイヤの内部応力の付与について好ましい実施形態である。
磁性ワイヤには、およそ10kg/mm2〜100kg/mm2の内部応力が付与されている。この内部応力を付与することによって、円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有する。
発明者らが特開2015−95129号公報(磁性ワイヤ整列装置および磁性ワイヤ整列方法)にて開示した磁性ワイヤ整列装置の磁性ワイヤの固定方法を改善して、磁性ワイヤはワイヤボビンから50kg/mm2〜100kg/mm2の高張力で引き出して、磁性ワイヤを4個の固定チャックで固定し、その高張力の状態で磁界検出素子用の基板を下方から上昇させて磁性ワイヤを基板に押し付ける。磁性ワイヤは接着剤で基板溝に仮固定し、磁性ワイヤの両端を固定している固定チャックの外側で磁性ワイヤを切断した後、磁性ワイヤを基板溝の仮止めしてから、磁性ワイヤと基板全面に接着剤を塗布し硬化処理をして基板に固定する。仮止め時に、接着剤を使用し、その接着剤の固着力を調整することで、磁性ワイヤの内部応力を10kg/mm2〜100kg/mm2に調整することができる。
理由としては、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央コア部磁区および両者の境界面に存在する90度磁壁とからなる2相の磁区構造の磁性ワイヤにおいて、この引張応力によって、軸方向と円周方向にそれぞれの向きに磁気異方性を増大せしめて、表面磁区の厚みを1μm程度に増し、90度磁壁の位置をワイヤ内部に押し込むことができる。
本発明の実施例1は、磁性ワイヤと巻回コイルから構成されるGSR素子(図14)および磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する信号処理回路(図3)とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とから構成されている。外部磁界Hとコイル出力電圧は、式(1)のような数学的関係で表される。式(2)に示す直線関係式で磁界Hを得ることができる。
その磁性ワイヤに、引張応力を軸方向に76kg/mm2付加して基板上に張り付け、接着剤で固定することで40kg/mm2程度の内部応力を付与する。これによって表面磁区の厚みを1μm程度まで厚くできると予想される。
パルス周波数は、1.5GHzとして、電流の表皮深さpを0.2μmとして、円周表面磁区の厚みの1μmよりも浅くする。
パルス幅は、5n秒のパルス持続時間を確保して、立ち上がりパルスの影響が立下りパルスに影響を及ぼさないようにする。
パルス発振器から1.5GHzの換算周波数とパルス幅5n秒、パルス周期1MHzをもつパルス電流をGSR素子22に通電し、その時に発生するコイル電圧をサンプルホールド回路24で検知する。電子スイッチ26は、開閉タイミングはパルス検波タイミング調整回路23でパルス電圧の波高値を検波するように調整され、その開閉時間は0.1n秒とした。この瞬間電圧を0.4pFのサンプルホールドコンデンサ27にホールドした後、バッファー回路30を介して、並列に接合した4pFのコンデンサ28にその電圧を蓄積していく、そのホールド電圧プログラミングアンプ29で、10μ秒毎に電圧として検出する。その電圧をAD変換回路で16ビットのデジタル信号に変換され、デジタル信号処理回路に転送する。
原点補正については、磁界ゼロの場合のコイル電圧差分ΔVcを同じ検波タイミングで測定し、プログラミング演算回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、測定値VmからΔVcを差し引くことにした。
また、素子サイズは、長さ0.6mm、幅0.3mmから長さ0.16mm、幅0.2mmへと1/6と小型化、センササイズは、2mm×2mm×1mmから1mm×1mm×0.5mmへと1/8に小型化ができる。総合的視点で見れば、市販のMIセンサの性能指数に比べて3000倍程度の改善が実現している。
実施例2は、実施例1をベースにして、磁界の検出力とセンササイズのバランスを考慮したタイプで、磁気式位置決めシステムなどに応用に適している。使用するGSR素子の構造は図14の素子構造と同じで、磁性ワイヤ12の長さを0.16mmから0.45mmへと長くしたものである。
磁性ワイヤ12の長さが2.5倍も長いのでHmは80Gから20Gと大きく減少する。サンプリング速度5KHzにおけるσノイズを6mGから1mGへと1/6程度低減する。コイル抵抗は360Ω程度、ワイヤの抵抗は8Ωに調整する。
内視鏡やカテーテルなどの先端に取り付けて、位置決め精度±100μmを実現する生体内での磁気式位置決めシステムに応用が期待される。
実施例3は、実施例1をベースにして、磁界検出力を1nTレベルに高めたもので、整体磁気検出などに応用が可能である。使用したGSR素子の構造は図14の素子構造と同じで、ワイヤ長さを 0.16mmから0.90mmと長くしたものである。
ノイズ密度で考えると、1nT/Hz1/2以下となって、生体磁気を検知できるようになる。
11:基板、12:磁性ワイヤ、13:コイル、14:ワイヤ電極、15:ワイヤ端子
16:ワイヤ連結部、17:コイル端子、18:コイル電極、19:コイル連結部
2:電子回路
21:パルス発振器、22:GSR素子、221:ワイヤ電極、222:コイル電極、23:検波タイミング調整回路、24:サンプルホールド回路、25:サンプルホールド回路入力電極、26:電子スイッチ、27:サンプルホールド用コンデンサ(C1)、28:サンプルホールド用コンデンサ(C2)、29:増幅器、30:バッファー回路
1952年に発明された縦型FGセンサ(特許文献1)は、磁性ワイヤに30KHzの交流電流(表皮深さ180μm)を通電し円周方向に交番的に飽和磁化して、巻きつけたコイルの電圧変化の波高値から外部磁界Hを求めるタイプで、横型FGに比べて小型化・構造簡素化を実現した。
2009年には、本発明者は、上記商品AMI306をベースに周波数0.2GHzから0.5GHzへとあげて2倍程度の出力向上を図った(特許文献5)が、パルス周波数を0.5GHz以上に増加すると出力は逆に減少した。しかも回路の周波数帯域によるコイル電圧降下や高周波化に伴うノイズの増加など技術課題が噴出して商品化には至らなかった。
感度S/N比、サイズ(長さL、直径D)、測定範囲Wの三要因の間のトレードオフの関係に着目して、性能指数F=S/N比・W/L・Dによる比較を試みた。感度は微小磁界の検出限界S/N比で評価した。ここで、Sは単位G当たりコイル電圧、Nはコイル電圧のσノイズとした。
a)FGセンサは、S/N比=100、W=2G、L=50mm、D=2mmでF=2、
b)MIセンサは、S/N比=100、W=2G、L=5mm、D=0.03mmでF=1300、
c)コイル式MIセンサは、S/N比=50,W=12G、L=0.6mm,D=0.01mmでF=10万と増加する。
d)GSRセンサは、S/N比=160、W=100G、L=0.16mm、D=0.01mmでF=1000万となって、コイル式MIセンサの100倍程度優れている。
現在、画期的なGSR効果を基礎にした高感度磁気センサの商品化が待ち望まれている。
FGセンサからMIセンサの技術進歩は、技術論的には周波数が30KHzから100MHzと増加したことによるものであるが、本質的には表面磁区とコア磁区の間に存在する90度磁壁の高周波振動というMI現象の発見によるものであった。コイル方式のMIセンサの技術進歩については、毛利教授の著作「新しい磁気センサとその応用」(トリケップス社、毛利佳年雄著、2012年)に詳しく紹介されている。
MIセンサからGSRセンサの技術進歩は、技術論的には周波数が100MHzから2GHzと増加したことによるものであるが、本質的には表面磁区とコア磁区の間に存在する90度磁壁の高周波振動というMI効果と表面磁区内の電子スピンの高速回転というGSR効果との違いによるものであった。MI効果は、周波数を1MHzから100MHzで発現し、表面磁区とコア磁区の境界に存在する90度磁壁の移動に起因し、ワイヤ内部磁化の回転を外周コイルで検知するものである。GSR効果は0.5GHzから4GHzで生じて、表面磁区のスピン回転に起因し、最表面スピンの傾斜角度θの変化を外周コイルで検知するものである。
ピークホールド回路は、コイル電流の通電開始からコイル電圧が最大値となるまで、あるいは、コイル電流の遮断時からコイル電圧が最大値となるまで電子スイッチを開閉することによって、時間を10n秒から25n秒程度に制御して、コンデンサにコイル電流を蓄え、その時のコンデンサ電圧をホールドする。MIセンサの回路を使用した場合、コイル巻き数を増加すると、あるいはコイルを微細化して小型化するとコイル抵抗が増加して、コイル電流によるIRドロップ電圧降下が生じる。そのためコイルの微細化およびコイル巻き数Ncの増加による効果は制約される。
一方、GSRセンサは、コイルで電子スピンの高速回転による、小さいが高速に変化する磁化を検出するので、大きな出力電圧を示すと同時に、ヒステリシスは生じず、良好な直線性、および低ノイズと上記欠点を伴はないことが期待される。
これは、コイル側のインピーダンスを大きくしてコイルの流れる電流を抑制し、サンプルホールド側のインピーダンスを相対的に小さくし、コイル側のIRドロップ降下を小さくした上で、n秒(ナノ秒)の瞬間的なコイル電圧を電子スイッチで同期検波して、コイル電圧の最大値をサンプルホールド電圧として取り出す回路である。
しかしながら、バッファー回路は周波数が高い場合、バッファー回路の出力電圧と消費電力の増加とのトレードオフ関係が顕著に悪化することが分かった。さらに理論的に期待される磁気ノイズはゼロに近いはずであるが、実際には100μV程度もありバッファー回路を使ったサンプルホールド回路に問題がありそうであった。
検波後のコイル電圧は正弦関数特性を示しておりコイルはスピン回転のみを検出していると考えられるが、ノイズについては磁壁の移動の影響やコイルの誘導電圧や電子回路設計上の問題の影響を受けているように見える。
また、GSRセンサの場合、素子面上の配線デザインとGHzパルスが干渉して、従来の素子デザインでは、ある外部磁界強度で著しくノイズが増大する場合があることが分かった。
GSR効果は、磁壁の移動を抑制し電子スピン回転のみを検知するものであるが、外部磁界の強度、磁性ワイヤの内部応力、配線デザインとGHzパルスの干渉など素子の出力特性への影響および電子回路、検波方法など多くの設計因子が複雑に交錯しているようである。
この複雑な交錯関係を把握して、その上で、GSRセンサの優れた特性を安定して得ることができるようにすることが本発明の課題である。
急速に変化するタイミングでは電子スピンの回転のみのタイミングで、GSR効果が観察されるが、時間的には0.2n秒以下の一瞬であり、コイル電圧波形のピーク値を取る一瞬の時間であると考えられる。
さらにこの方式は、バッファー回路を使用することなくコイル側の抵抗Rはそのままで、インピーダンスを大きくしコイル電流を小さくして、IRドロップを抑制できるので、バッファー回路の省略が可能であった。
図3は、コイルの出力電圧と外部磁界との間に正弦関数関係式(1)が存在することを示している。コイル出力電圧Vsと外部磁界Hとの関係には、式(1)なる実験式が存在することを再度確認した。その上で、逆変換した式(2)を使って、センサの直線性および測定レンジを評価した。
Vs=Vo(f、P、Td、Nc、μ、D)・sin(πH/2Hm) (1)
H=2Hm/π・arcsin(Vm/Vo) (2)
ここで、Vsはコイル出力電圧、Hは外部磁界、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る外部磁界強度である。Voは比例定数で、比例定数の制御因子としては、fはパルス周波数、Pは立下り検波または立上り検波の検波方式、Tdは検波タイミング、Ncはコイルの巻き数、μは磁性ワイヤの透磁率、Dは磁性ワイヤの直径である。
図4は、正弦関数を逆変換し、コイル電圧と外部磁界との間の関係を直線に変換したものである。直線性は0.2%/FSと非常に良好で、正弦関数のひずみが小さいことを示している。
検波タイミングをピーク電圧(最大値の電圧をいう。)とした場合、ノイズが著しく小さくなり、0Gと80Gとでほぼ同じになる。つまり磁気ノイズはほとんど観察されないことが分かる。電子スイッチの開閉時間を0.1n秒として検波すると、スピン回転のみを検知して、著しくノイズが下がることが分かった。
特許文献6のGSRセンサのバッファー回路を介した検波方式は、同じくコイル電圧の立上り開始からピーク値に至るまで、磁壁の移動に伴うノイズが含まれ、結果としてコンデンサにサンプルホールドした電圧に相当量のノイズが含まれてしまっていたと思われる。
図7は、コイル電圧に及ぼす立上り検波と立下り検波との影響に比較を示したものである。立上り検波の方が、立下り検波よりも感度が1.5倍程度大きくなることが分かる。
図8は、コイル電圧に及ぼすコイル巻き数の影響に比較を示したものである。コイル電圧はコイル巻き数に比例して増加することが分かる。
図9は、コイル電圧に及ぼす磁性ワイヤの透磁率の影響を示したものである。コイル電圧は透磁率に比例して増加することが分かる。
図10は、コイル電圧測定におけるヒステリシスの観察結果を示したものである。ヒステリシスは観察されなかった。
を示したものである。
第1実施形態の超高感度マイクロ磁気センサは、
基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回したコイルと磁性ワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用の電極2個を設置した磁界検出素子および前記磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する信号処理回路と前記コイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とからなる超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
前記磁性ワイヤは、CoFe系合金組成の負磁歪特性を持つアモルファス構造を有する材料で、かつ内部応力を付与することによる円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有し、
前記パルス電流は、その周波数は0.5GHz〜4.0GHzで、
前記コイルは、コイルピッチ10μm以下でコイル内径を25μm以下とし、
前記信号処理回路は、検波タイミング調整回路と電子スイッチとコンデンサとからなるサンンプルホールド回路を含み、
前記検波タイミングは、コイル電圧波形が最大値Vmを示すタイミングとし、
前記サンプルホールド回路は、1MHzから100MHzの周期の前記パルス電流を通電し、入力パルス毎に前記検波タイミングで前記電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行い、検波したコイル電圧の最大値Vmを1pF以下の容量の第1コンデンサにサンプルホールドし、続いて10pF以下の容量の第2コンデンサに入力して平均化したコイル電圧の最大値Vmをサンプルホールドしてコイル電圧の最大値Vmを求め、
前記コイル電圧の最大値Vmから関係式(2)を使って外部磁界Hを求めることからなる。
H=2Hm/π・arcsin(Vm/Vo) (2)
ここで、Voは比例定数、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る時の外部磁界強度である。
磁性ワイヤは、CoFe系合金組成の負磁歪特性を持つアモルファス構造を有する材料で、かつ内部応力を付与することによる円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有している。
表面磁区の円周方向スピン配列が0.5〜4GHzのパルス電流により高速のスピン回転を生じ、外部磁界に応じた傾斜角度θを変化し、その変化を外周コイルで検知する。
磁性ワイヤの長さLが長いほど、図9に示すように有効透磁率を大きくなって、コイル出力を増加する。しかし測定範囲±Hmが小さくなり、有効透磁率と測定範囲とがトレードオフ関係にある制御因子である。
このトレードオフ関係の問題は、コイルピッチの微細化して単位長さ当たりのコイル数を増やすことによって解決できる。優れた透磁率特性のワイヤを使用した上で、磁性ワイヤの長さを短くし反磁界を強めて測定範囲を拡大し、他方感度低下の問題についてはコイル巻き数を増やして感度の増加を図ることによって、高感度と広い測定範囲および素子のマイクロサイズ化の3つの要求のすべてを満足することができる。
そこで、長さは0.1mm〜1mmとして、有効透磁率は50〜1000とすることが好ましい。
パルス電流の強度は、30mA〜200mAとして磁性ワイヤ表面にHmの1.5倍以上の十分大きな円周磁界Hθを発生させて表面に存在する電子スピンの高速回転を実現する。Hθは、異方性磁界の強さが大きい場合、それに対応して増加する必要があるが過大電流はワイヤを加熱するしセンサの消費電流を増加せしめるので好ましくない。好ましくは70mA〜150mA、Hθは40G〜80G程度とすることである。
パルス発信回路の電圧を2V〜5V、ワイヤの抵抗は、4Ω〜40Ωに調整して、パルス電流の強度を30mA〜200mAに調整することが好ましい。
この条件で、周波数を高めると、コイル電圧は周波数に比例して増加する。一方、表皮深さが周波数の平方根に反比例するので、コイル電圧は図6のように周波数の平方根に比例して増加することになる。しかし高速化に伴って渦電流が増加しスピン回転を抑制するようになるので、ある周波数以上で飽和傾向を示すようになる。さらに、5GHz近くまでパルス周波数を高めると、スピンの歳差運動やスピン共鳴現象が惹起し始めて、各スピンは交換作用力に打ち勝って回転を始めて、コイル出力電圧が低下する。従って4GHz以下が好ましい。
コイルは、コイルピッチ10μm以下でコイル内径25μ以下とする。
GSR素子の感度は、周波数が大きくなるほど増加するが、スピン回転が生み出す磁界の変化量自体は小さくなっていくので、磁性ワイヤとコイルとの電磁結合を強める必要がある。微弱で高速な信号をコイルで検知するためには、コイルピッチは10μm以下で、コイル内径は25μm以下が必要である。好ましくは、コイルピッチは3μm以下でコイル内径は15μm以下である。
信号処理回路は、検波タイミング調整回路と電子スイッチとコンデンサとからなるサンンプルホールド回路を含み、検波タイミングはコイル電圧波形が最大値Vmを示すタイミングとし、そのタイミングで電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行う。
第2実施形態は、第1実施形態におけるサンプルホールド回路24は、図2に示すように、1MHzから100MHzの周期の前記パルス電流を通電し、入力パルス毎に前記検波タイミングで前記電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行い、検波したコイル電圧の最大値Vmを1pF以下の容量の第1コンデンサにサンプルホールドし、続いてバッファー回路を介して10pF以下の容量の第2コンデンサに入力して平均化したコイル電圧の最大値Vmをサンプルホールドすることを特徴とする。
バッファー回路30を介することにより、コイル電圧の平均化回数を1/10で、第1実施形態と同じノイズを得ることができる。またコイル電圧の検出周期を1μ秒毎から100μ秒毎になり、10倍の短時間化ができる。
第3実施形態は、上記の実施形態における磁界検出素子の配線構造についてより好ましい配線構造である。
磁界検出素子の配線構造は、磁界検出素子の上に設置されたコイルのコイル端子とコイル電圧検出用電極(以下、コイル電極という。)および信号処理回路の側の入力端子の間を最短線あるいは可能な限り直線的配線で連結する。
第4実施形態は、上記の実施形態における磁性ワイヤの内部応力の付与について好ましい実施形態である。
磁性ワイヤには、およそ10kg/mm2〜100kg/mm2の内部応力が付与されている。この内部応力を付与することによって、円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有する。
発明者らが特開2015−95129号公報(磁性ワイヤ整列装置および磁性ワイヤ整列方法)にて開示した磁性ワイヤ整列装置の磁性ワイヤの固定方法を改善して、磁性ワイヤはワイヤボビンから50kg/mm2〜100kg/mm2の高張力で引き出して、磁性ワイヤを4個の固定チャックで固定し、その高張力の状態で磁界検出素子用の基板を下方から上昇させて磁性ワイヤを基板に押し付ける。磁性ワイヤは接着剤で基板溝に仮固定し、磁性ワイヤの両端を固定している固定チャックの外側で磁性ワイヤを切断した後、磁性ワイヤを基板溝の仮止めしてから、磁性ワイヤと基板全面に接着剤を塗布し硬化処理をして基板に固定する。仮止め時に、接着剤を使用し、その接着剤の固着力を調整することで、磁性ワイヤの内部応力を10kg/mm2〜100kg/mm2に調整することができる。
理由としては、円周方向スピン配列を持つ円周表面磁区と軸方向スピン配列を持つ中央コア部磁区および両者の境界面に存在する90度磁壁とからなる2相の磁区構造の磁性ワイヤにおいて、この引張応力によって、軸方向と円周方向にそれぞれの向きに磁気異方性を増大せしめて、表面磁区の厚みを1μm程度に増し、90度磁壁の位置をワイヤ内部に押し込むことができる。
本発明の実施例1は、磁性ワイヤと巻回コイルから構成されるGSR素子(図13)および磁性ワイヤにパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する信号処理回路(図2)とコイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とから構成されている。外部磁界Hとコイル出力電圧は、式(1)のような数学的関係で表される。式(2)に示す直線関係式で磁界Hを得ることができる。
その磁性ワイヤに、引張応力を軸方向に76kg/mm2付加して基板上に張り付け、接着剤で固定することで40kg/mm2程度の内部応力を付与する。これによって表面磁区の厚みを1μm程度まで厚くできると予想される。
パルス周波数は、1.5GHzとして、電流の表皮深さpを0.2μmとして、円周表面磁区の厚みの1μmよりも浅くする。
パルス幅は、5n秒のパルス持続時間を確保して、立上りパルスの影響が立下りパルスに影響を及ぼさないようにする。
パルス発振器から1.5GHzの換算周波数とパルス幅5n秒、パルス周期1MHzをもつパルス電流をGSR素子22に通電し、その時に発生するコイル電圧をサンプルホールド回路24で検知する。電子スイッチ26は、開閉タイミングはパルス検波タイミング調整回路23でパルス電圧の波高値を検波するように調整され、その開閉時間は0.1n秒とした。この瞬間電圧を0.4pFのサンプルホールド用コンデンサ27にホールドした後、バッファー回路30を介して、並列に接続した4pFのサンプルホールド用コンデンサ28にその電圧を蓄積していく、そのホールド電圧プログラミングアンプである増幅器29で、10μ秒毎に電圧として検出する。その電圧をAD変換回路で16ビットのデジタル信号に変換され、デジタル信号処理回路に転送する。
原点補正については、磁界ゼロの場合のコイル電圧差分ΔVcを同じ検波タイミングで測定し、プログラミング演算回路またはソフトプログラム演算の手段を用いて、測定値VmからΔVcを差し引くことにした。
また、素子サイズは、長さ0.6mm、幅0.3mmから長さ0.16mm、幅0.2mmへと1/6と小型化、センササイズは、2mm×2mm×1mmから1mm×1mm×0.5mmへと1/8に小型化ができる。総合的視点で見れば、市販のMIセンサの性能指数に比べて3000倍程度の改善が実現している。
実施例2は、実施例1をベースにして、磁界の検出力とセンササイズのバランスを考慮したタイプで、磁気式位置決めシステムなどの応用に適している。使用するGSR素子の構造は図13の素子構造と同じで、磁性ワイヤ12の長さを0.16mmから0.45mmへと長くしたものである。
磁性ワイヤ12の長さが2.5倍も長いのでHmは80Gから20Gと大きく減少する。サンプリング速度5KHzにおけるσノイズを6mGから1mGへと1/6程度低減する。コイル抵抗は360Ω程度、磁性ワイヤの抵抗は8Ωに調整する。
内視鏡やカテーテルなどの先端に取り付けて、位置決め精度±100μmを実現する生体内での磁気式位置決めシステムに応用が期待される。
実施例3は、実施例1をベースにして、磁界検出力を1nTレベルに高めたもので、生体磁気検出などに応用が可能である。使用したGSR素子の構造は図13の素子構造と同じで、磁性ワイヤ長さを 0.16mmから0.90mmと長くしたものである。
ノイズ密度で考えると、1nT/Hz1/2以下となって、生体磁気を検知できるようになる。
11:基板、12:磁性ワイヤ、13:コイル、14:ワイヤ端子、15:ワイヤ電極、
16:ワイヤ連結部、46:コイル電極、17:コイル端子、18:コイル電極、19:コイル連結部 、48:コイル外径、49:段差
2:電子回路
21:パルス発振器、22:GSR素子、221:ワイヤ電極、222:コイル電極、23:検波タイミング調整回路、24:サンプルホールド回路、25:サンプルホールド回路入力電極、26:電子スイッチ、27:サンプルホールド用コンデンサ(C1)、28:サンプルホールド用コンデンサ(C2)、29:増幅器、30:バッファー回路
Claims (5)
- 基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回したコイルと磁性ワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用の電極2個を設置した磁界検出素子および前記磁性ワイヤにパルス電流を流す手段と前記パルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知する信号処理回路と前記コイル電圧を外部磁界Hに変換する手段とからなる超高感度マイクロ磁気センサにおいて、
前記磁性ワイヤは、CoFe系合金組成の負磁歪特性を持つアモルファス構造を有する材料で、かつ内部応力を付与することによる円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有し、
前記パルス電流は、その周波数は0.5GHz〜4.0GHzで、
前記コイルは、コイルピッチ10μm以下でコイル内径を25μm以下とし、
前記信号処理回路は、検波タイミング調整回路および電子スイッチとコンデンサとからなるサンプルホールド回路を含み、
前記検波タイミング調整回路で調整される検波タイミングは、コイル電圧波形が最大値Vmを示すタイミングとし、前記タイミングで前記電子スイッチを使って0.2n秒以下の開閉時間で検波を行い、その電圧を前記コンデンサにホールドしてコイル電圧Vmを求め、
前記コイル電圧の最大値Vmから関係式(2)を使って外部磁界Hを求めることを特徴とする超高感度マイクロ磁気センサ。
H=2Hm/π・arcsin(Vm/Vo) (2)
ここで、Voは比例定数、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る時の外部磁界強度である。 - 請求項1において、
前記サンプルホールド回路は、1MHzから100MHzの周期の前記パルス電流を通電し、入力パルス毎に検波した前記コイル電圧を1pF以下の容量の第1コンデンサにサンプルホールドし、続いて10pF以下の容量の第2コンデンサに入力して平均化したコイル電圧をサンプルホールドすることを特徴とする磁気センサ。 - 請求項1において、
前記サンプルホールド回路は、1MHzから100MHzの周期の前記パルス電流を通電し、入力パルス毎に検波した前記コイル電圧を1pF以下の容量の第1コンデンサにサンプルホールドし、続いてバッファー回路を介して10pF以下の容量の第2コンデンサに入力して平均化したコイル電圧をサンプルホールドすることを特徴とする磁気センサ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
前記磁界検出素子の配線構造は、前記磁界検出素子の上に設置された前記コイルのコイル端子と前記コイル電圧検出用の電極および前記信号処理回路の側の入力端子との間を最短線あるいは可能な限り直線的配線で連結することを特徴とする磁気センサ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
前記磁性ワイヤに20kg/mm2〜100kg/mm2の引張張力を付与することを特徴とする磁気センサ。
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